説明

二塩化アシル化合物

【課題】 耐熱性の高い縮合系高分子の原料として有用な新規な二塩化アシルを提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表されるいずれかの構造を有する化合物である二塩化アシル化合物。
【化1】


(式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立していて、二価の有機基を示す。式(1)中、X1〜X4は、それぞれ独立していて、水素原子もしくは一価の有機基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二塩化アシル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
カリックスレゾルカレンやカリックスアレーン等の環状化合物は、包接化合物を形成し、水中の重金属イオンの吸着剤として期待されており、水に対する溶解度を向上させることを目的とした化合物の合成が試みられている。このような環状化合物を機能性材料として用いるための手段の1つとして、カリックスアレーンおよびその誘導体のフィルム化が検討された例がある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような環状化合物を二塩化アシル化合物とした例はまだない。一分子中に2つの塩化アシル基を有する二塩化アシル類は、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂などの原料として用いられ、その用途に応じて、様々な構造を有する樹脂が合成され、使用することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平4−15232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情のもとで、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂に変換できる二塩化アシル化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、
1. 一般式(1)で表される二塩化アシル化合物、
【化1】

(式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立していて、有機基を示す。式(1)中、X1〜X4は、それぞれ独立していて、水素原子、ハロゲン基または有機基を示す。)
2. 前記二塩化アシル化合物が、一般式(1)におけるR1として、メチルメチレン基、フェニルメチレン基またはアダマンチルメチレン基を有するものである第1項に記載の二塩化アシル化合物、
3. 前記二塩化アシル化合物が、一般式(1)におけるR2として、メチレン基、ジメチルシリレン基またはアダマンチルメチレン基を有するものである第1項または第2項に記載の二塩化アシル化合物、
4. 前記二塩化アシル化合物が、一般式(1)におけるX1〜X4として、これらの少なくとも1つに、炭素−炭素三重結合より構成される基を有するものである、第1項〜第3項のいずれかに記載の二塩化アシル化合物、
5. 前記炭素−炭素三重結合より構成される基は、一般式(2)で表される基である第4項に記載の二塩化アシル化合物、
【化2】

(式(2)中、Yは水素原子または有機基を示す。)
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐熱性の高い縮合系高分子の原料として有用な二塩化アシル化合物を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、一般式(1)で表される二塩化アシル化合物であり、該二塩化アシル化合物は環状構造を有することを特徴とし、熱硬化性樹脂原料として好適に用いることができる。更に詳しくは、例えば、本発明の二塩化アシル化合物を、適切な条件下で、ビスアミノフェノール化合物と反応させることにより、加熱によりベンゾオキサゾール環に変換可能なヒドロキシアミド構造を有する樹脂を得ることができることから、該二塩化アシル化合物は、熱硬化性樹脂原料として好適に用いることができる。
【0008】
本発明において、前記一般式(1)におけるR1としては、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、フェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、アダマンチルメチレン基、メチルアダマンチルメチレン基、フェニルアダマンチルメチレン基およびジアダマンチルメチレン基などのメチレン基より構成される基などの有機基が挙げられ、これらの内、無極性溶媒および極性溶媒に良好な溶解性を発現する上で、メチルメチレン基、フェニルメチレン基およびアダマンチルメチレン基が好ましいが、これらに限られるものではない。
【0009】
本発明において、前記一般式(1)におけるR2としては、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、フェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、アダマンチルメチレン基、メチルアダマンチルメチレン基、フェニルアダマンチルメチレン基およびジアダマンチルメチレン基などのメチレン基より構成される基、シリレン基およびジメチルシリレン基などのシリレン基より構成される基などの有機基が挙げられるが、これらの内、無極性溶媒および極性溶媒に良好な溶解性を発現する上で、メチレン基、ジメチルシリレン基およびアダマンチルメチレン基が好ましいが、これらに限られるものではない。
【0010】
本発明において、前記一般式(1)におけるX1〜X4は、水素原子、ハロゲン基および有機基であり、前記ハロゲン基としては、ブロモ、クロロおよびヨードなどが挙げられ、また、前記有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびアダマンチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、キノリル基およびキノキサリル基などの芳香族基などが挙げられ、これらの基は、ビニル基およびエチニル基などの官能基を有していてもよい。
【0011】
本発明の一般式(1)で表される二塩化アシル化合物の具体例としては、R1がメチルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2がアダマンチルメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラフェニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,6,6,8,10,10,12,14,14,16,20,22,24,25−テトラデカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニル−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2が上記以外の基の例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリエチル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサエチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリプロピル−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,6,8,10,12,14,16−ヘプタフェニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がアダマンチルメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16―テトラメチル―20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,6,6,8,10,10,12,14,14,16−デカメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンなどが挙げられ、R1がアダマンチルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラメチル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1およびR2がアダマンチルメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビ
ス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラメチル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がアダマンチルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,6,6,8,10,10,12,14,14,16−デカメチル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラフェニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンなどが挙げられ、R2がメチレン基であり、R1が上記以外の基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−20,22,24,25−テトラエチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,20,22,22,24,24,25,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラプロピル−20,20,22,22,24,24,25,25−オクタフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0012】
本発明の一般式(1)で表される二塩化アシル化合物の合成方法としては、例えば、以下のルートによって合成することができる。
【0013】
【化3】

(式(1)、(3)、(4)および式(5)中、X1〜X4は、それぞれ独立していて、有機基、水素原子またはハロゲン原子を示し、R1およびR2は、それぞれ独立していて、有機基を示す。)
【0014】
まず、出発原料として、一般式(3)で表される環状ジフェノール化合物を、4−フルオロ安息香酸メチルと反応させることにより、一般式(4)で表される化合物が得られる。
【0015】
この化合物(式(4))を、水酸化カリウムなどのメチルエステル基をアルカリ加水分解する試薬を用いて、処理することにより、一般式(5)で表されるビスカルボン酸化合物が得られる。
次に、この化合物(式(5))のカルボキシル基を、塩化チオニル、三臭化リンおよびフッ化スルホン酸などのハロゲン化剤を用いて酸ハロゲン化することにより、一般式(1)で表される二塩化アシル化合物を得ることができる。
【0016】
本発明において、前記一般式(3)で表される環状ジフェノール化合物としては、例えば、R1がメチルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16,20,22,24,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、および4,8,12,16−テトラフェニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2がアダマンチルメチレン基である例として、6,10,14−トリアダマンチル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、および6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラフェニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラブロモ−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、4,6,6,8,10,10,12,14,14,16,20,22,24,25−テトラデカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、および4,8,12,16−テトラフェニル−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2が上記以外の基である例として、6,10,14−トリエチル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、6,6,10,10,14,14−ヘキサエチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、6,10,14−トリプロピル−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、および4,6,8,10,12,14,16−ヘプタフェニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、および4,8,12,16,20,22,24,25−オクタフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がアダマンチルメチレン基である例として、6,10,14−トリアダマンチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、および6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、4,6,6,8,10,10,12,14,14,16−デカメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、および6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16,20,22,24,25−オクタフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1がアダマンチルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラメチル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、および4,8,12,16−テトラフェニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1およびR2がアダマンチルメチレン基である例として、6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラブロモ−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラメチル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、および4,8,12,16−テトラフェニル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1がアダマンチルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル
−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、4,6,6,8,10,10,12,14,14,16−デカメチル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール、および6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラフェニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオールなどが挙げられ、R1が上記以外の基でR2がメチレン基である他の例として、20,22,24,25−テトラエチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラブロモ−20,20,22,22,24,24,25,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、4,8,12,16−テトラプロピル−20,20,22,22,24,24,25,25−オクタフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール、および4,8,12,16−テトラブロモフェニル−20,22,24,25−テトラクロロメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
以下、一般式(1)で表される二塩化アシル化合物の合成法の例について、更に詳細に説明する。
上記合成例において、一般式(4)で表される化合物は、ジメチルホルムアミド(DMF)などの反応溶媒中、4−フルオロ安息香酸メチルと一般式(3)で表される化合物とを、炭酸カリウム存在下で反応させることにより得られる。前記4−フルオロ安息香酸メチルの添加量としては、一般式(3)で表される化合物中の水酸基の数に対して1〜10当量倍が好ましいが、反応溶媒の量としては、特に制限されない。反応条件において、反応時間は特に制限されないが、反応温度は100℃〜180℃の範囲が好ましい。
【0018】
また、一般式(5)で表される化合物は、上記で得た一般式(4)で表される化合物を、イソプロパノールおよびn−ブタノールなどの反応溶媒中、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムなどの塩基性触媒を用いて、60℃〜180℃の温度範囲で、アルカリ加水分解させることにより得られる。前記塩基性触媒の使用量としては、一般式(4)で表される化合物中のメチルエステル基の数に対して、1〜10当量倍が好ましいが、反応溶媒の量としては特に限定されない。反応条件において、反応時間は特に制限されない。
【0019】
次に、一般式(1)で表される二塩化アシル化合物は、上記で得た一般式(5)で表される化合物を、塩化チオニル、三臭化リンおよびフッ化スルホン酸などのハロゲン化剤を用いてカルボキシル基を酸ハロゲン化することにより得られる。
【0020】
上記酸ハロゲン化反応において、溶媒量に特に制限はなく、ハロゲン化剤の使用量は、一般式(5)で表される化合物中のカルボキシル基の数に対して、2当量倍以上が好ましく、特に上限はない。溶媒を用いない場合には、10当量倍以上の大過剰で用いてもかまわない。また、一般式(1)で表される二塩化アシル化合物の酸ヨウ化物を合成する場合は、上記で得た一般式(1)で表される二塩化アシル化合物にヨウ化リン等のヨウ素化剤を作用させることで得ることが出来る。上記反応は窒素、アルゴンおよびヘリウム等の不活性ガス雰囲気中で反応させることが好ましい。
【0021】
本発明において、前記一般式(1)におけるX1〜X4としての有機基は、少なくとも1つが、エチニル基、フェニルエチニル基、ナフチルエチニル基、フルオレニルエチニル基、フェノキシエチニル基およびプロパギルエーテル基などに代表される炭素−炭素三重結合を有する基であることが好ましく、中でも、一般式(2)で表される基が好ましい。前記一般式(1)におけるX1〜X4の少なくとも1つが炭素−炭素三重結合である場合、特に該二塩化アシル化合物は、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂に好適に変換できる。
【0022】
本発明において、前記一般式(2)におけるYとしての有機基としては、芳香族基またはアルキル基が挙げられ、前記芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、キノリル基、キノキサリル基等が、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アダマンチル基などが挙げられる。
前記一般式(2)で表される基の具体例としては、エチニル基、プロピニル基、アダマンチルエチニル、フェニルエチニル基、ナフチルエチニル基、アントリルエチニル基、キノリルエチニル基およびキノキサリルエチニル基などが挙げられ、これらの基はビニル基、エチニル基などの官能基を有していてもよい。
【0023】
本発明において、一般式(1)におけるX1〜X4の少なくとも1つが、一般式(2)で表される基を有する二塩化アシル化合物の具体例としては、R1がメチルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8−ジエチニル−12,16−ジフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2がアダマンチルメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−8,16−ジエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラエチニル−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラプロピニル−6,6,10,10,14,14,20,22,24,25−デカメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンなどが挙げられ、R1がメチルメチレン基であり、R2が上記以外の基である他の例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサエチル−4,8,12,16−テトラエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサエチル−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサエチル−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサエチル−4,8,−ジエチニル−12,16−ジプロピニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8−アダマンチルエチニル−12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がアダマンチルメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,10,14−トリアダマンチル−4,8,12−トリフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がフェニルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4−エチニル−12−アダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンなどが挙げられ、R1がアダマンチルメチレン基であり、R2がメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラエチニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16
−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラプロピニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1およびR2がアダマンチルメチレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラエチニル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,16−トリエチニル−12−フェニルエチニル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられ、R1がアダマンチルメチレン基であり、R2がジメチルシリレン基である例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラエチニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−4,8−ジアダマンチルエチニル−12,16−ジフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンなどが挙げられ、R2がメチレン基であり、R1が上記以外の基である他の例として、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラエチニル−20,20,22,22,24,24,25,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,20,22,22,24,24,25,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,20,22,22,24,24,25,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン、および3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,16−ジブロモ−8,12−ジエチニル−20,20,22,22,24,24,25,25−オクタメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
一般式(1)におけるX1〜X4の少なくとも1つが、一般式(2)で表される基を有する二塩化アシル化合物の合成方法としては、例えば、以下のルートによって合成することができる。
【化4】

(式(4)、(6)および式(7)中、X1〜X4は、それぞれ独立していて、有機基を示し、R1およびR2は、それぞれ独立していて、有機基を示し、Z1〜Z4は、それぞれ独立して、有機基または一般式(2)で表される基を示し、少なくとも1つは該一般式(2)で表される基を示す。)
【0025】
前記合成法で得られた一般式(4)で表される化合物のうち、式中X1〜X4の少なくとも1つがクロロ、ブロモおよびヨードなどのハロゲン基である化合物を用いて、これと、アセチレンの片側がYで表される基で置換された化合物(一般式(6))とを、カップリング反応させることによって、X1〜X4の少なくとも1つが、一般式(2)で表される基を有するジメチルエステル化合物(一般式(7)で表される化合物)が得られる。このカップリング反応において、触媒を用いると良いが、触媒としては、例えば、パラジウムなどの遷移金属触媒が好ましい。また、前記一般式(6)における置換基Yとしては、水素原子、芳香族基またはアルキル基が挙げられ、前記芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、キノリル基およびキノキサリル基等が、前記アルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基およびアダマンチル基などが挙げられる。さらに、得られた一般式(7)で表される化合物を、上記一般式(1)で表される二塩化アシル化合物の合成法における一般式(4)で表される化合物から一般式(5)で表されるビスカルボン酸化合物を経て、一般式(1)で表される二塩化アシル化合物を得るのと同様に処理することにより、一般式(1)におけるX1〜X4の少なくとも1つが、一般式(2)で表される基を有する二塩化アシル化合物を得ることができる。
【0026】
以下、一般式(1)におけるX1〜X4の少なくとも1つが、一般式(2)で表される基を有する二塩化アシル化合物の合成法の例について、更に詳細に説明する。
【0027】
一般式(7)で表される化合物は、上記で得た一般式(4)で表される化合物のうち、式中X1〜X4の少なくとも1つがクロロ、ブロモおよびヨードなどのハロゲン基である化合物と、一般式(6)で表される化合物とを、触媒存在下で、窒素、アルゴンおよびヘリウム等の不活性ガス雰囲気中で、20〜150℃の温度範囲でカップリング反応することによって、反応生成物が得られ、濃縮および再沈殿等の方法により分離操作を施すことにより、一般式(7)で表される化合物を得ることができる。これは必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の方法により、精製することができる。前記カップリング反応における反応時間としては特に制限されない。
【0028】
前記一般式(6)で表される化合物としては、例えば、エチニルベンゼン、エチニルナフタレン、エチニルアントラセン、エチニルキノリン、エチニルキノキサリン、エチニルアダマンタン、1−ブチン、1−ペンチン、3,3−ジメチル−1−ブチンおよび1−ヘキシン等が挙げられ、その使用量は、一般式(4)で表される化合物中の官能基数に対し、1〜10当量倍が好ましい。
【0029】
前記カップリング反応における前記触媒系としては、通常、炭素−炭素結合を形成し得る触媒系ならば、特に制限無く用いることができるが、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ヨウ化銅およびトリフェニルホスフィンからなる触媒系を用いることが望ましい。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの添加量は、特に規定されないが、一般式(6)で表される化合物中の末端アセチレンに対して、0.1から1mol%、また、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムに対して、トリフェニルホスフィンは1から20当量倍、ヨウ化銅は1から5当量倍の間が好ましい。
【0030】
この反応に用いられる溶媒としては、前記カップリング反応時に発生する酸を捕捉して、触媒反応を促進する上で、アミン系の溶媒が好ましい。前記アミン系溶媒としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミンおよびトリブチルアミン等のアミン類、ピリジンおよびピペリジン等の環状アミン類が挙げられる。これらの溶媒は、単独、又は2種以上を組み合わせて用いられる。その使用量は、特に特定されないが、原料に対して2から50重量倍を用いることが好ましい。また、これらの溶媒は、副反応や触媒の失活等を防ぐために、あらかじめ蒸留しておくことが望ましい。
さらに、上記で得られた一般式(7)で表される化合物を、前記合成法における一般式(4)で表される化合物から一般式(5)で表されるビスカルボン酸化合物を経て、一般式(1)で表される二塩化アシル化合物を得るのと同様に処理することにより、一般式(1)におけるX1〜X4の少なくとも1つが、一般式(2)で表される基を有する二塩化アシル化合物を得ることができる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明を説明するために実施例を示すが、これによって本発明を限定するものではない。
【0032】
得られた化合物は特性評価のため、1H−NMR、IR、MSの各種スペクトルの測定を行った。各特性の測定条件は次のとおりとした。
【0033】
試験方法
(1)核磁気共鳴スペクトル分析(1H−NMR、13C(1H)−NMR):日本電子製JNM−GSX400型を用いて測定した。1H−NMRは共鳴周波数400MHz、13C(1H)−NMRは共鳴周波数100MHzで、それぞれ測定した。測定溶媒は、重水素化溶媒である重水素化ジメチルスルホキシドDMSO−d6を用いた。
(2)赤外分光分析(IR):PERKIN ELMER社製1640型を用いて、KBr錠剤法により測定した。
(3)質量分析(MS):日本電子(株)製JMS−700型を用いてフィールド脱着(FD)法で測定した。
【0034】
(実施例1)
(1)[3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、攪拌機、還流管および窒素導入管を備えた4つ口の1000mlフラスコに、4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール179g(0.20mol)、4−フルオロ安息香酸メチル68g(0.44mol)およびジメチルホルムアミド(DMF)700mlを入れ、窒素気流下、室温で攪拌した。完全に溶解した後に、炭酸カリウム152g(1.10mol)を加え、170℃まで加熱し、その温度で攪拌を続けた。その後、冷水約4000ml中に注いで、組成生物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。さらに、組成生物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物146gを得た。得られた生成物は、IR分析により、エステル基の吸収が1280〜1180cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1165であることより、目的物であることを示していた。
【0035】
(2)[3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、攪拌機および窒素導入管を備えた4つ口の500mlフラスコに、上記で得た3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン117g(0.10mol)およびイソフタノール300mlを入れ、窒素気流下、室温で攪拌した。完全に溶解した後に、水酸化カリウム14g(0.25mol)を加え、120℃まで加熱し、その温度で3時間攪拌を続けた。その後、室温まで冷却し、析出した生成物を濾別した。粗生成物を純水500mlに溶解させ、そこへ6mol/Lの塩酸100mlをゆっくり添加した。析出した固体を濾別し、純水500mlで洗浄して、得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物90gを得た。得られた生成物は、NMR分析により、1.8−2.2ppmに存在したメチル基のプロトンの吸収が消失したこと、質量分析により、分子量が1136であることより、目的物であることを示していた。
【0036】
(3)[3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、ジムロート冷却管および窒素導入管を備えた200mLのナスフラスコに、上記で得た3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン11.36g(0.01mol)、1,2−ジクロロエタン30ml、塩化チオニル10ml(0.14mol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム0.45g(2mmol)を入れ、3時間加熱還流した。析出物を濾別し、減圧乾燥することにより、生成物6.3gを得た。得られた生成物は、IR分析により、カルボン酸塩化物のピークが1800−1770cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1173であることより、目的物であることを示していた。
【0037】
(実施例2)
(1)[3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、ジムロート冷却管および窒素導入管を備えた4つ口の500mLフラスコに、実施例1(1)と同様の操作を繰り返して得た3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン70g(0.06mol)、トリフェニルホスフィン0.79g(0.003mol)、ヨウ化銅0.23g(0.0012mol)、エチニルベンゼン13.48g(0.132mol)、脱水トリエチルアミン72mlおよび脱水ピリジン38ml、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.25g(0.00036mol)を仕込み、窒素を流しながら、105℃で1時間、加熱還流した。その後、トリエチルアミンおよびピリジンを減圧留去し、粘稠な褐色溶液を得た。これに、水200mL、塩酸5mLを注ぎ、析出した固形物を濾取し、さらに、水500mlで洗浄した。この固形物を、50℃で1日間、減圧乾燥することにより、生成物41.2gを得た。得られた生成物は、IR分析により、エチニル基の吸収が2260〜2190cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1249であることより、目的物であることを示していた。
【0038】
(2)[3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、攪拌機および窒素導入管を備えた4つ口の500mlフラスコに、上記と同様の操作を繰り返して得た3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン125g(0.10mol)およびイソフタノール300mlを入れ、窒素気流下、室温で攪拌した。完全に溶解した後に、水酸化カリウム14g(0.25mol)を加え、120℃まで加熱し、その温度で3時間攪拌を続けた。その後、室温まで冷却し、析出した生成物を濾別した。粗生成物を純水500mlに溶解させ、そこへ6mol/Lの塩酸100mlをゆっくり添加した。析出した固体を濾別し、純水500mlで洗浄して、得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物102gを得た。得られた生成物は、NMR分析により、1.8−2.2ppmに存在したメチル基のプロトンの吸収が消失したこと、質量分析により、分子量が1220であることより、目的物であることを示していた。
【0039】
(3)[3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、ジムロート冷却管および窒素導入管を備えた200mLのナスフラスコに、上記で得た3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−4,8,12,16−テトラフェニルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン12.20g(0.01mol)、1,2−ジクロロエタン30ml、塩化チオニル10ml(0.14mol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム0.45g(2mmol)を入れ、3時間加熱還流した。析出物を濾別し、減圧乾燥することにより、生成物7.2gを得た。得られた生成物は、IR分析により、カルボン酸塩化物のピークが1800−1770cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1257であることより、目的物であることを示していた。
【0040】
(実施例3)
(1)[3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、ジムロート冷却管および窒素導入管を備えた4つ口の500mLフラスコに、実施例1(1)と同様の操作を繰り返して得た3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラブロモ−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン70g(0.06mol)、トリフェニルホスフィン0.79g(0.003mol)、ヨウ化銅0.23g(0.0012mol)、エチニルアダマンタン21.15g(0.132mol)、脱水トリエチルアミン108mlおよび脱水ピリジン57ml、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.25g(0.00036mol)を仕込み、窒素を流しながら、105℃で1時間、加熱還流した。その後、トリエチルアミンおよびピリジンを減圧留去し、粘稠な褐色溶液を得た。これに、水300mL、塩酸5mLを注ぎ、析出した固形物を濾取し、さらに、水500mlで洗浄した。この固形物を、50℃で1日間、減圧乾燥することにより、生成物43.1gを得た。得られた生成物は、IR分析により、エチニル基の吸収が2260〜2180cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1482であることより、目的物であることを示していた。
【0041】
(2)[3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、攪拌機および窒素導入管を備えた4つ口の500mlフラスコに、上記と同様の操作を繰り返して得た3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン148g(0.10mol)およびイソフタノール300mlを入れ、窒素気流下、室温で攪拌した。完全に溶解した後に、水酸化カリウム14g(0.25mol)を加え、120℃まで加熱し、その温度で3時間攪拌を続けた。その後、室温まで冷却し、析出した生成物を濾別した。粗生成物を純水500mlに溶解させ、そこへ6mol/Lの塩酸100mlをゆっくり添加した。析出した固体を濾別し、純水500mlで洗浄して、得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物137gを得た。得られた生成物は、IR分析により、1280〜1180cm-1付近にあったエステル基の吸収が消失こと、質量分析により、分子量が1453であることより、目的物であることを示していた。
【0042】
(3)[3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、ジムロート冷却管および窒素導入管を備えた200mLのナスフラスコに、上記で得た3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−4,8,12,16−テトラアダマンチルエチニル−20,22,24,25−テトラメチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン14.53g(0.01mol)、1,2−ジクロロエタン30ml、塩化チオニル10ml(0.14mol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム0.45g(2mmol)を入れ、3時間加熱還流した。析出物を濾別し、減圧乾燥することにより、生成物5.2gを得た。得られた生成物は、IR分析により、カルボン酸塩化物のピークが1800−1770cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1490であることより、目的物であることを示していた。
【0043】
(実施例4)
(1)[3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンの合成]
温度計、攪拌機、還流管および窒素導入管を備えた4つ口の3000mlフラスコに、6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン−3,17−ジオール199g(0.20mol)、4−フルオロ安息香酸メチル68g(0.44mol)およびDMF1000mlを入れ、窒素気流下、室温で攪拌した。完全に溶解した後に、炭酸カリウム152g(1.10mol)を加え、170℃まで加熱し、その温度で攪拌を続けた。その後、冷水約5000ml中に注いで、組成生物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。さらに、組成生物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物156gを得た。得られた生成物は、IR分析により、エステル基の吸収が1280〜1180cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1230であることより、目的物であることを示していた。
【0044】
(2)[3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンの合成]
温度計、攪拌機および窒素導入管を備えた4つ口の1000mlフラスコに、上記と同様の操作を繰り返して得た3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン123g(0.10mol)およびイソフタノール300mlを入れ、窒素気流下、室温で攪拌した。完全に溶解した後に、水酸化カリウム14g(0.25mol)を加え、120℃まで加熱し、その温度で3時間攪拌を続けた。その後、室温まで冷却し、析出した生成物を濾別した。粗生成物を純水500mlに溶解させ、そこへ6mol/Lの塩酸100mlをゆっくり添加した。析出した固体を濾別し、純水500mlで洗浄して、得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物97gを得た。得られた生成物は、IR分析により、1280〜1180cm-1付近にあったエステル基の吸収が消失こと、質量分析により、分子量が1201であることより、目的物であることを示していた。
【0045】
(3)[3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシンの合成]
温度計、ジムロート冷却管および窒素導入管を備えた200mLのナスフラスコに、上記で得た3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−6,6,10,10,14,14−ヘキサメチル−20,22,24,25−テトラフェニル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3,2]ジオキサシロシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3,2]−ベンゾジオキソシロシン12.01g(0.01mol)、1,2−ジクロロエタン30ml、塩化チオニル10ml(0.14mol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム0.45g(2mmol)を入れ、3時間加熱還流した。析出物を濾別し、減圧乾燥することにより、生成物3.6gを得た。得られた生成物は、IR分析により、カルボン酸塩化物のピークが1800−1770cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1238であることより、目的物であることを示していた。
【0046】
(実施例5)
(1)[3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラメチル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、攪拌機、還流管および窒素導入管を備えた4つ口の500mlフラスコに、4,8,12,16−テトラメチル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン−3,17−ジオール30.4g(0.020mol)、4−フルオロ安息香酸メチル68g(0.044mol)およびDMF300mlを入れ、窒素気流下、室温で攪拌した。完全に溶解した後に、炭酸カリウム15.2g(0.11mol)を加え、170℃まで加熱し、その温度で攪拌を続けた。その後、冷水約2000ml中に注いで、組成生物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。さらに、組成生物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物21gを得た。得られた生成物は、IR分析により、エステル基の吸収が1280〜1180cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1788であることより、目的物であることを示していた。
【0047】
(2)[3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−4,8,12,16−テトラメチル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、攪拌機および窒素導入管を備えた4つ口の500mlフラスコに、上記と同様の操作を繰り返して得た3,17−ビス−(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラメチル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン179g(0.10mol)およびイソフタノール300mlを入れ、窒素気流下、室温で攪拌した。完全に溶解した後に、水酸化カリウム14g(0.25mol)を加え、120℃まで加熱し、その温度で3時間攪拌を続けた。その後、室温まで冷却し、析出した生成物を濾別した。粗生成物を純水500mlに溶解させ、そこへ6mol/Lの塩酸100mlをゆっくり添加した。析出した固体を濾別し、純水500mlで洗浄して、得られた固体を減圧乾燥することにより、生成物154gを得た。得られた生成物は、IR分析により、1280〜1180cm-1付近にあったエステル基の吸収が消失こと、質量分析により、分子量が1759であることより、目的物であることを示していた。
【0048】
(3)[3,17−ビス−(4−クロロホルミルフェノキシ)−4,8,12,16−テトラメチル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシンの合成]
温度計、ジムロート冷却管および窒素導入管を備えた200mLのナスフラスコに、上記で得た3,17−ビス−(4−カルボキシフェノキシ)−4,8,12,16−テトラメチル−6,10,14,20,22,24,25−ヘプタアダマンチル−2,18−メタノ−20H,22H,24H−ベンゾ[d,d’][1,3]ジオキソシノ[5,4−i:7,8−i]ビス[1,3]−ベンゾジオキソシン17.59g(0.01mol)、1,2−ジクロロエタン30ml、塩化チオニル10ml(0.14mol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム0.45g(2mmol)を入れ、3時間加熱還流した。析出物を濾別し、減圧乾燥することにより、生成物11.2gを得た。得られた生成物は、IR分析により、カルボン酸塩化物のピークが1800−1770cm-1付近にあること、質量分析により、分子量が1796であることより、目的物であることを示していた。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明により提供される二塩化アシル化合物は、耐熱性に優れる架橋密度の高い高分子に適用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される二塩化アシル化合物。
【化1】

(式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立していて、有機基を示す。式(1)中、X1〜X4は、それぞれ独立していて、水素原子、ハロゲン基または有機基を示す。)
【請求項2】
前記二塩化アシル化合物が、一般式(1)におけるR1として、メチルメチレン基、フェニルメチレン基またはアダマンチルメチレン基を有するものである請求項1記載の二塩化アシル化合物。
【請求項3】
前記二塩化アシル化合物が、一般式(1)におけるR2として、メチレン基、ジメチルシリレン基またはアダマンチルメチレン基を有するものである請求項1または2に記載の二塩化アシル化合物。
【請求項4】
前記二塩化アシル化合物が、一般式(1)におけるX1〜X4として、これらの少なくとも1つに、炭素−炭素三重結合より構成される基を有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の二塩化アシル化合物。
【請求項5】
前記炭素−炭素三重結合より構成される基は、一般式(2)で表される基である請求項4に記載の二塩化アシル化合物。
【化2】

(式(2)中、Yは水素原子または有機基を示す。)