説明

二層フェルト

【目的】本考案の目的は良好な遮音性を有し、安価なフェルトを提供することにある。
【構成】低軟化点繊維と通常の繊維との混合フェルト(2) と、通常の繊維のフェルト(3) とをニードリングによって結合した二層フェルト(1) を提供する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は例えば自動車床敷用カーペットの裏打材として用いられる二層フェルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車床敷用カーペットには例えばポリエステル繊維とポリプロピレン繊維とを7:3重量比に混合した剛性フェルトが裏打ちされている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら上記剛性フェルトは遮音性の点で満足されるものとは云えず、更に剛性フェルトにホットメルトシートを介して通常のフェルトを貼着して遮音性の向上を図らねばならないのでコストアップになる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記従来の課題を解決するための手段として、低軟化点繊維と通常の繊維との混合フェルト(2) と、通常の繊維のフェルト(3) とを積層しニードリングによって結合した二層フェルト(1) を提供するものである。
【0005】
本考案の低軟化点繊維とは軟化点が150℃以下のものであり、例えばポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等がある。また通常の繊維とは軟化点が150℃以上のものであり、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、綿繊維等がある。
【0006】
上記低軟化点繊維と通常の繊維とは一般的に云って20:80〜40:60重量比で混合され、ニードリングによって混合フェルトとされる。混合フェルトとした後は低軟化点繊維の軟化点以上に加熱してアニーリングを行なうことが望ましい。上記混合フェルトは通常2〜4mm厚とされる。
【0007】
通常の繊維のフェルト(通常フェルト)とは上記通常の繊維をニードリングまたはフェノール樹脂等のバインダーによって結着したものである。上記通常フェルトは通常8〜12mm厚とされる。
【0008】
上記混合フェルトと通常フェルトとは積層されニードリングによって結合され、本考案の二層フェルトとなる。該二層フェルトはそのまゝあるいはカーペットに裏打ちされて使用されるが、通常は上記混合フェルトの低軟化点繊維の軟化点温度以上に加熱されて所定形状に成形される。
【0009】
【作用】
本考案の二層フェルトにおいては、混合フェルトと通常フェルトとがニードリングによって結合されホットメルトシート層等が介在しないので、混合フェルトに内在する低軟化点繊維の粘弾性による振動数低減作用と内包される空気による吸音効果、更に通常フェルト内包される空気による吸音効果とが効率的に相乗され、優れた遮音効果が得られる。また混合フェルトは剛性を与える。
【0010】
【実施例】
本考案を図1〜図3に示す一実施例によって説明すれば、(1) は二層フェルトであり、厚み3mmの混合フェルト(2) と厚み10mmの通常フェルト(3) とからなり、重量は600g/m2 であり、該混合フェルト(2) においてはポリプロピレン繊維とポリエステル繊維とが3:7重量比で混合され、ニードリングで結着された後170℃,5分のアニーリングが行なわれ、該通常フェルト(3) は100%ポリエステル繊維をフェノール樹脂30重量%によって結着したものである。
【0011】
上記二層フェルト(1) は180℃,5分の加熱によって混合フェルト(2) 中のポリプロピレン繊維を軟化せしめた後、所定形状に成形され混合フェルト(2) 裏面側には自動車床パネル(5) のビード形状(5A)に適合する凹形状(2A)が形成される。そして上記二層フェルト(1) は通常フェルト(3) 側を上にしてホットメルトシート(6) を介してカーペット(4) に貼着される。
【0012】
上記二層フェルト(1) は図2に示すように混合フェルト(2) 側を上にしてカーペット(4) にホットメルトシート(6) を介して貼着されてもよい。この場合は通常フェルト(3) が床パネル(5) のビード形状(5A)に適合して凹陥する。
【0013】
上記二層フェルト(1) を同じ厚さの通常フェルトおよび混合フェルトの単独と遮音性について比較した結果を図3に示す。この場合カーペット(4) としては基布として目付120g/m2 のポリエステル繊維にナイロンパイルをタフティングした目付380g/m2 のものを用い、ホットメルトシートとして1kg/m2 のポリエチレンシートを裏打ちしたものである。
【0014】
図3をみるとフェルト裏打ちによりカーペット(白丸グラフ)の遮音性は何れも向上するが、本考案の二層フェルト(黒三角グラフ)は混合フェルト単独(白三角グラフ)および通常フェルト単独(黒丸グラフ)よりも良好な遮音性を示すことがわかる。
【0015】
【考案の効果】
したがって本考案においては、遮音性が良好でかつ剛性が高く、安価なフェルトが得られる。
【0016】
【図面の簡単な説明】
図1〜図3は本考案の一実施例を示すものである。
【図1】通常フェルトを上にした断面図
【図2】混合フェルトを上にした断面図
【図3】遮音性を示すグラフ
【符号の説明】
1 二層フェルト
2 混合フェルト
3 通常フェルト

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】低軟化点繊維と通常の繊維との混合フェルトと、通常の繊維のフェルトとを積層しニードリングによって結合したことを特徴とする二層フェルト

【図1】
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【図2】
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【図3】
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