説明

二次冷媒空調システム及びその運転方法

【課題】冷水系統と冷媒系統を組み合わせた二次冷媒空調システムに係り、特にシステム全体の信頼性向上を可能とする二次冷媒空調システムを提供する。
【解決手段】運転中は常時、が液面センサS1により計測されており、液面レベルが下限閾値(h1)及び上限閾値(h2)の範囲内にあるか否かが判定される。上限閾値(h1)を下回っている場合には、冷媒循環流量を減少させるため、冷水バイパス回路2e側流量を絞る。これにより、流体駆動ポンプ6側の流量は減少し、これに伴い駆動側インペラー6fの回転数が下がる。同時に従動側インペラー6eの回転数も下がるため、冷媒循環量が減少する。上限閾値(h2)を超えている場合には、冷房負荷に対して冷媒循環量不足と判断され、冷水バイパス回路2e側流量を絞って、流体駆動ポンプ6側の流量を増加させるように三方弁2dの開度調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水系統と冷媒系統を組み合わせた二次冷媒空調システムに係り、特にシステム全体の信頼性向上を実現した二次冷媒空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信機械室(データセンター)の空調に関しては、漏水によるICT装置損傷のおそれがあるため、室内に冷水配管を行うことが困難である。このため、電気絶縁性を有し、常圧で気化するフロンなどの二次冷媒を用いて、室内に冷熱を搬送する方式が多く採用されている。このようなシステムとして、冷水系統と冷媒系統を組み合わせた二次冷媒空調システム(以下、二次冷媒空調システムという)が開示されている(例えば特許文献1)。
従来の二次冷媒空調システム100は、図6に示すように熱源機101及び冷却水系統102、冷水系統103、冷媒系統104の3系統により構成されている。冷水系統103は、熱源機101で発生させた冷水を建物内で循環する冷水配管103a及び循環ポンプ103bを備えている。冷媒系統104は、系統内で回収した排熱を冷水系統側に放熱する凝縮器104aと、凝縮冷媒液を一旦蓄える冷媒タンク104bと、冷媒循環用の冷媒ポンプ104cと、蒸発器(室内空気と熱交換する熱交換器)104d及びこれらを結ぶ冷媒配管104eと、を備えている。
かかる構成により、凝縮器104aにおいて冷水と熱交換して凝縮した冷媒を、冷媒ポンプ104cを介してAHU104dに搬送し、ここで蒸発潜熱を奪い室内空気を冷房する。熱交換により回収した排熱を、冷水系統103→熱源機101→冷却水系統102の順に搬送し、最終的に冷却塔102aにおいて大気に放熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−261517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次冷媒空調システムは、上述のように電気絶縁性を有するという特徴からICT装置内のCPUなどから直接熱回収を行うシステム(液冷システム)としても利用可能であるが、冷媒循環の不調が直接ICT装置の稼働率に影響を与えることから、特に高い信頼性が要求される。
しかしながら、従来の二次冷媒空調システムは、冷水を直接室内に搬送する方式と比較してシステムの構成要素が増えるため、故障リスクが高いという問題がある。特に、二次側冷媒ポンプと一次側冷水ポンプをそれぞれ独立に備えているため、ポンプ動力の故障がシステム全体の信頼性に相乗的に影響する。
このようなリスクを回避すべく、通常、一次側冷水系統の循環ポンプ、熱源機については、予備機によるバックアップを考慮した重畳的設計や、非常用電源設備によるバックアップが多く採用される。
さらに、二次側冷媒ポンプを不要とするシステムとして、凝縮器とAHUに高低差を設けて冷媒の自然循環を構成するシステムもあるが、配管長や高低差制限の問題があるため適用範囲が限定的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、二次冷媒空調システムにおいて信頼性向上に寄与する二次冷媒空調システム及びその運転方法を提供するものである。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る二次冷媒空調システムは、
(1)熱源機と、熱源機で発生する冷水を建物内で循環させる冷水系統と、冷水系統の冷水と熱交換して被空調対象を冷房するための冷媒系統と、冷水系統と冷媒系統との接点に配設され、冷水と冷媒との熱交換を行う凝縮器と、冷媒系統内に配設され、被空調対象と熱交換する1以上の蒸発器と、を備えた二次冷媒空調システムであって、さらに、冷水系統の循環駆動力を動力源とする駆動ポンプ部と、駆動ポンプ部からの動力伝達により駆動して冷媒を循環させる従動ポンプ部と、を備えた流体駆動ポンプと、冷媒系統における冷媒循環量の過不足を判定する冷媒循環量判定手段と、冷媒循環量判定手段による判定に基づいて、蒸発器を通過する冷媒流量を制御可能とする冷媒流量制御手段と、を備えて成ることを特徴とする。
【0006】
本発明において、「冷水」とは必ずしも「水」に限定されるものではなく、一次冷媒(例えば、不凍液やフロン等を含む)を意味する概念である。
また「熱源機」とは、冷水(冷媒液)発生手段であり、例えばターボ冷凍機、吸収式冷凍機等を含む。
【0007】
(2)上記発明において、前記流体駆動ポンプを迂回する冷水バイパス流路を、さらに備え、前記冷媒流量制御手段が、前記流体駆動ポンプ側流量と冷水バイパス流路側流量との冷水流量比を制御可能とする冷水三方弁であることを特徴とする。
【0008】
(3)上記発明において、前記蒸発器を迂回する冷媒バイパス流路を、さらに備え、前記冷媒流量制御手段が、前記蒸発器側流量と冷媒バイパス流路側流量との冷媒流量比を制御可能とする冷媒三方弁であることを特徴とする。
流体駆動ポンプを用いる場合、2次側冷媒流量は1次側駆動ポンプ部の駆動力(流量)により自動的に決定されることになり、冷房負荷との関係で蒸発器側冷媒流量の過不足が生じうる。本発明によれば、冷媒流量制御手段である冷水三方弁又は冷媒三方弁により適正流量に調整可能となる。
【0009】
(4)上記発明において、前記冷水三方弁は、非通電状態において前記流体駆動ポンプ側に最大流量を流す制御を可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
(5)上記発明において、前記冷媒三方弁は、非通電状態において前記蒸発器側に最大流量を流す制御を可能に構成したことを特徴とする。
冷水三方弁又は冷媒三方弁が故障等により非通電状態となった場合に、フェイルセーフを担保するものである。
【0011】
(6)上記発明において、前記流体駆動ポンプは、冷水系統と冷媒系統とを区画し、かつ、高熱伝導性材料により構成した隔壁を、さらに備えたことを特徴とする。
ポンプ内の冷水流路と冷媒流路の隔壁部材料として熱伝導性の高い材質(例えばCu)を用いることにより、冷水側の冷熱を効率的に冷媒側に伝熱させることができる。これにより、冷媒を過冷却(サブクール)状態に維持することができ、キャビテーション発生を防止できる。
【0012】
(7)上記発明において、前記冷媒循環量判定手段が、冷媒系統中に配設した冷媒タンクに設けた液面検知計であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る二次冷媒空調システムの運転方法は、
(8)上記(7)の二次冷媒空調システムにおいて、前記液面検知計の液面レベルが下限閾値(h1)を下回っている場合には、前記蒸発器を通過する冷媒循環量を減らし、前記液面レベル計の液面レベルが上限閾値(h2)を超えている場合には、前記蒸発器を通過する冷媒循環量を増やす、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記各発明によれば、二次側冷媒ポンプと一次側冷水ポンプをそれぞれ独立に備えるシステムと比較して、ポンプ動力の故障によるシステム運転停止リスクを減少させることができ、システム全体の信頼性向上が可能となる。
また、二次側冷媒ポンプを持たない冷媒自然循環システムと比較して、配管長や高低差制限が緩和でき、設置自由度が向上する。
さらに、分岐冷水系統経路中に、バイパス側と流体駆動ポンプ流量を制御可能とする三方弁を備えた発明にあっては、冷却の安定性が向上し、特にICT装置の高温障害を回避可能とする。
また、流体駆動ポンプの冷水系統と冷媒系統とを区画する隔壁に、高熱伝導性材料を用いた発明にあっては、ポンプ入口部で冷水と冷媒の熱交換量が増加することにより、過冷却が得られ、システムの安定性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一の実施形態に係る二次冷媒空調システム1の構成を示す図である。
【図2(a)】流体駆動ポンプ6の断面(側断面)構成を示す図である。
【図2(b)】図2のA−A’矢示図である。
【図3】二次冷媒空調システム1の運転制御フローを示す図である。
【図4】第二の実施形態に係る二次冷媒空調システム20の構成を示す図である。
【図5】二次冷媒空調システム20の運転制御フローを示す図である。
【図6】従来の二次冷媒空調システム100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る二次冷媒空調システムの各実施形態について、図1乃至5を参照してさらに詳細に説明する。重複説明回避のため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0017】
<第一の実施形態>
本実施形態に係る二次冷媒空調システムは、流体駆動ポンプを用いた二次冷媒空調システムにおいて、冷媒タンク内の冷媒の過不足を検知し、流体駆動ポンプをバイパスする回路により、熱交換器(凝縮器)への冷媒流量を制御する態様に関する。
図1を参照して、本実施形態に係る二次冷媒空調システム1は、冷水発生源である熱源機5、一次側冷水系統2、二次側冷媒系統3及び冷却水系統4、及びシステムの運転制御を指令する制御部(図示せず)により構成されている。冷水系統2は、熱源機5で発生させた冷水を建物内で循環するための冷水配管2a、2b、冷水配管2aから分岐する冷水分岐配管2b、及び、冷水系統内を冷水循環させる冷水循環ポンプ2cを備えている。冷水分岐配管2bには、後述する流体駆動ポンプ6をバイパスするバイパス回路2eと、流体駆動ポンプ6側又はバイパス回路2e側の流量比を調整可能とする三方弁2dが設けられている。
【0018】
また、冷媒系統3は、系統内で回収した排熱を冷水系統側に放熱する熱交換器(凝縮器)3a、凝縮器3aにおいて凝縮させた液冷媒を一旦蓄える冷媒タンク3b、機械室内空気を冷却する熱交換器(蒸発器)3c、室内に収容されているサーバ7のCPU7aを直接冷却する熱交換器(蒸発器)3d、及びこれらを結ぶ冷媒配管3e、分岐冷媒配管3fを主要構成として備えている。冷媒タンク3b内には、冷媒液面レベルを検知する液面センサS1が配設されている。
冷却水系統4は、建物の屋上部等に配置される冷却塔4a、冷却水配管4b及び冷却水循環ポンプ(図示せず)を主要構成として備え、熱源機5を介して回収した機械室内排熱を、冷却塔4aにおいて大気に放熱するように構成されている。
冷媒系統3における冷媒循環は、冷水分岐配管2b経路中の冷水系統2と冷媒系統3の接点に配設され、冷水循環ポンプ2cの水圧を駆動源として駆動する流体駆動ポンプ6により行われる。
【0019】
図2(a)、図2(b)を参照して、流体駆動ポンプ6はケーシング6a内に設けられた隔壁6bにより、冷水が循環する駆動ポンプ部6cと、冷媒が循環する従動ポンプ部6dとの2室に区画されている。隔壁6bは、例えば銅のような高熱伝導性材質の材料で構成されており、冷水側の冷熱を効率的に冷媒側に伝熱させて、冷媒を過冷却(サブクール)状態に維持することにより、キャビテーションの発生を防止している。
駆動ポンプ部6c内には、駆動側インペラー6fが収容されている。駆動側インペラー6fは、支軸6jと一体に構成したランナコーン6n、及び、その表面に放射状に複数取り付けられたランナー6qにより構成されている。駆動側インペラー6fは、一体として軸受部6iに回転可能に軸支されている。また、従動ポンプ部6d内には、支軸6gと一体に回転可能に構成した従動側インペラー6eが収容されている。支軸6gは、隔壁6bと一体に構成された軸受体6h及びケーシング軸受部6iにより軸支されている。
駆動ポンプ部6cには冷水入口6g、冷水出口6rが、また従動ポンプ部6dには冷媒入口6h、冷媒出口6pが、それぞれ設けられており、冷水又は冷媒配管と接続している。
【0020】
流体駆動ポンプ6はマグネット・カップリング式ポンプであり、駆動側インペラー6f、従動側インペラー6eにはそれぞれ複数のマグネット6m、6kが円周状にモールドされている。両インペラーは磁力により吸引及び反発し合って回転可能に構成されている。これにより、流体駆動ポンプ6は冷水循環ポンプ2cによる水流を動力源とする駆動側インペラーの回転駆動により従動側インペラーが回転し、これにより冷媒タンク3b出の冷媒を蒸発器側に循環させることができる。
以上の構成により、冷媒系統3においては、凝縮器3aで冷水との熱交換により凝縮した冷媒を冷媒タンク3bに一旦蓄え、流体駆動ポンプ6により蒸発器3c、3dに搬送する。ここで、室内空気又はサーバ7と熱交換して蒸発した冷媒を凝縮器3aに戻す、という冷凍サイクルが構成されている。
【0021】
二次冷媒空調システム1は以上のように構成されており、次に図3をも参照して、二次冷媒空調システム1における冷媒流量制御フローについて説明する。なお、以下のフローでは制御の安定化を考慮して、各ステップは所定の時間間隔で行われるものとする。また、必要な制御は制御部(図示せず)からの指令により行われる。
制御開始に伴い、熱源機5で発生させた冷水が循環ポンプ2cにより冷水配管2aを介して循環供給される(S101)。また、冷媒系統3側では流体駆動ポンプ6による冷媒循環が行われる(S101a)。運転中は、三方弁2dに正常に通電されているか否かが判定される(S102)。何らかの原因により通電異常が検出された場合には(S102においてN)、冷房能力確保を優先するため三方弁2dの開度調整により、バイパス回路2e側が全閉となり、流体駆動ポンプ6側に最大流量を流すように制御される(S105)。
【0022】
一方、運転中は常時、冷媒タンク3bの液面レベルが液面センサS1により計測されており(S103)、三方弁2dに正常通電されている場合には(S102においてY)、さらに液面レベルが下限閾値(h1)及び上限閾値(h2)の範囲内にあるか否かが判定される(S104)。両閾値の範囲内(h2≧液面2≧h1)にある場合には、三方弁2dは現状開度に維持される(S107)。
【0023】
液面が下限閾値(h1)を下回っている場合には、冷媒循環流量を減少させるため、三方弁2dの開度調整により冷水バイパス回路2e側流量を開く(S106)。すなわち、系の冷媒量は一定であるから、液面レベルが下限閾値(h1)を下回る状態は、冷房負荷の減少により蒸発器3cにおいて冷媒が蒸発しきれず、戻り配管中に液状態で存在するため、冷媒タンク3b内の冷媒量が過少となっていることを意味する。この状態を放置すると、流体駆動ポンプ6の空気噛みを招きポンプ故障の原因となる。このリスクを回避するため上記のように三方弁2dの開度調整を行うものである。
冷水バイパス回路2e側流量増加により、流体駆動ポンプ6側の流量は減少し、これに伴い駆動側インペラーの回転数が下がる。同時に従動側インペラーの回転数も下がるため、冷媒循環量が減少する。さらに冷媒循環量の減少により、蒸発器3c、3dにおいて冷媒の完全蒸発が促進され、配管中の液冷媒量が減少するため冷媒タンク3bの液面は上昇し、適正液面レベルに復帰する方向に向かう。
【0024】
次に、液面が上限閾値(h2)を超えている場合には、冷房負荷に対して冷媒循環量不足と判断される。この場合、冷水バイパス回路2e側流量を絞って、流体駆動ポンプ6側の流量を増加させるように三方弁2dの開度調整を行う(S108)。これにより駆動側インペラーの回転数が増加し、従動側インペラーの回転数も追随して増加することにより冷媒循環量が増加する。冷媒循環量の増加により戻り配管内の冷媒は飽和状態となり液冷媒量が増加する。これに伴い冷媒タンク3bの液面は低下し、適正液面レベルに至る。
【0025】
なお、本実施形態では、流体駆動ポンプ6の従動側インペラー6eの回転数制御を、一次側冷水回路の三方弁2dの開度制御により行う例を示したが、これに限らず、駆動側インペラーと従動側インペラーをギア接続としギア比により調整する形態とすることもできる(第二の実施形態についても同様(以下同様))。
また、駆動側インペラー6fと従動側インペラー6eはそれぞれ独立の回転軸6j、6gを備える例を示したが、両者の回転軸を共通としてダイレクトドライブとする形態であってもよい。
また、冷媒循環量の過不足を冷媒タンク3b内に配設した液面センサにより検知する例を示したが、これに限らず凝縮器出口側の過冷却度を検知する手段、例えば圧力計、温度計等を用いることもできる。
【0026】
<第二の実施形態>
さらに、図4、5を参照して本発明の他の実施形態について説明する。図4を参照して、本実施形態に係る二次冷媒空調システム20の構成が上述の二次冷媒空調システム1と異なる点は、三方弁2d、冷水バイパス回路2eに替えて、冷媒系統3側に三方弁22及び冷媒バイパス回路21を備えていることである。その他の構成については、二次冷媒空調システム1と同一であるので、重複説明を省略する。
【0027】
次に図5をも参照して、二次冷媒空調システム20の運転制御フローについて説明する。
制御開始に伴い、熱源機5で発生させた冷水が循環ポンプ2cにより冷水配管2aを介して循環供給される(S201)。また、冷媒系統3側では流体駆動ポンプ6による冷媒循環が行われる(S202)。運転中は常時、冷媒タンク3bの液面が計測されており(S203)、液面レベルが下限閾値(h1)及び上限閾値(h2)の範囲内にあるか否かが判定される(S204)。両閾値の範囲内(h2≧液面≧h1)にある場合には、三方弁22は現状開度に維持される(S207)。
液面が下限閾値(h1)を下回っている場合には、冷房負荷に対して冷媒循環量過剰と判断されるため、冷媒バイパス回路21側流量を増加させるように三方弁22開度が調整され(S206)、これに伴い蒸発器側冷媒循環量が減少する。冷媒循環量の減少により、蒸発器3c、3dにおける冷媒の完全蒸発が促進され、配管中の液冷媒量が減少するため冷媒タンク3bの液面は上昇し、適正液面レベルに復帰していく。
【0028】
一方、液面が上限閾値(h2)を超えている場合には、冷房負荷に対して冷媒循環量不足と判断されるため、冷媒バイパス回路21側流量を減少させるように三方弁2dの開度調整が行われる(S208)。これにより蒸発器側冷媒循環量が増加し、戻り配管内の冷媒は飽和状態となり液冷媒量が増加する。これに伴い冷媒タンク3bの液面は低下し、適正液面レベルに至る。
【0029】
なお、本実施形態では冷水系統側の三方弁を外した構成としたが、冷水系統側にも三方弁及びバイパス回路を備え、液面レベルに対応して適宜いずれか一方又は両方により冷媒循環量を制御する形態とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、熱源、冷凍方式、一次側・二次側の冷媒タイプ、建物構造等を問わず二次冷媒空調システムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1、20・・・二次冷媒空調システム
2・・・・一次側冷水系統
2a・・・冷水配管
2b・・・冷水分岐配管
2c・・・冷水循環ポンプ
2d・・・三方弁
2e・・・冷水バイパス回路
3・・・・二次側冷媒系統
3a・・・凝縮器
3b・・・冷媒タンク
3c・・・蒸発器
3e・・・冷媒配管
3f・・・分岐冷媒配管
4・・・・冷却水系統
4a・・・冷却塔
4b・・・冷却水配管
5・・・・熱源機
6・・・・流体駆動ポンプ
6a・・・ケーシング
6b・・・隔壁
6c・・・駆動ポンプ部
6d・・・従動ポンプ部
6e・・・従動側インペラー
6f・・・駆動側インペラー
6k、6m・・・マグネット
21・・・冷媒バイパス回路
22・・・冷媒三方弁
S1・・・液面センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、
熱源機で発生する冷水を建物内で循環させる冷水系統と、
冷水系統の冷水と熱交換して被空調対象を冷房するための冷媒系統と、
冷水系統と冷媒系統との接点に配設され、冷水と冷媒との熱交換を行う凝縮器と、
冷媒系統内に配設され、被空調対象と熱交換する1以上の蒸発器と、
を備えた二次冷媒空調システムであって、さらに、
冷水系統の循環駆動力を動力源とする駆動ポンプ部と、駆動ポンプ部からの動力伝達により駆動して冷媒を循環させる従動ポンプ部と、を備えた流体駆動ポンプと、
冷媒系統における冷媒循環量の過不足を判定する冷媒循環量判定手段と、
冷媒循環量判定手段による判定に基づいて、蒸発器を通過する冷媒流量を制御可能とする冷媒流量制御手段と、
を備えて成ることを特徴とする二次冷媒空調システム。
【請求項2】
前記流体駆動ポンプを迂回する冷水バイパス流路を、さらに備え、
前記冷媒流量制御手段が、前記流体駆動ポンプ側流量と冷水バイパス流路側流量との冷水流量比を制御可能とする冷水三方弁であることを特徴とする請求項1に記載の二次冷媒空調システム。
【請求項3】
前記蒸発器を迂回する冷媒バイパス流路を、さらに備え、
前記冷媒流量制御手段が、前記蒸発器側流量と冷媒バイパス流路側流量との冷媒流量比を制御可能とする冷媒三方弁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次冷媒空調システム。
【請求項4】
前記冷水三方弁は、非通電状態において前記流体駆動ポンプ側に最大流量を流す制御を可能に構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の二次冷媒空調システム。
【請求項5】
前記冷媒三方弁は、非通電状態において前記蒸発器側に最大流量を流す制御を可能に構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の二次冷媒空調システム。
【請求項6】
前記流体駆動ポンプは、冷水系統と冷媒系統とを区画し、かつ、高熱伝導性材料により構成した隔壁を、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の二次冷媒空調システム。
【請求項7】
前記冷媒循環量判定手段が、冷媒系統中に配設した冷媒タンクに設けた液面検知計であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の二次冷媒空調システム。
【請求項8】
請求項7に記載の二次冷媒空調システムにおいて、
前記液面検知計の液面レベルが下限閾値(h1)を下回っている場合には、前記蒸発器を通過する冷媒循環量を減らし、
前記液面レベル計の液面レベルが上限閾値(h2)を超えている場合には、前記蒸発器を通過する冷媒循環量を増やす、ことを特徴とする二次冷媒空調システムの運転方法。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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