説明

二次電池繊維状分離膜およびその製造方法

【課題】電気紡糸法を用いて製造することにより、材料選択の幅を広めたうえ、紙を支持層として用いることにより、強度の確保を可能にした二次電池繊維状分離膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の二次電池繊維状分離膜は、支持層10と、支持層10にコートされている高分子層22と、高分子層22にコートされている耐熱性樹脂層24とを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池繊維状分離膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池とは、使い切ったら外部のエネルギーを用いて再充電することにより、本来の状態に戻して再利用できる電池をいう。
【0003】
このような二次電池は、パワー密度が高く、高出力放電が可能であるうえ、温度の影響を少なく受けるという特性を持っている。
【0004】
最近、グリーンエネルギーに対する関心が高まり、二次電池は、その領域がIT、EV、ESSなどに拡張されている。
【0005】
前記二次電池は、その需要が急激に増加している趨勢であり、その機能性についても高機能性が追及されている状況である。
【0006】
このような二次電池は、陽極活物質、陰極活物質、電解質および分離膜の4つの主要構成要素からなっており、これらの中でも、前記分離膜は、陽極活物質と陰極活物質間を短絡させる役割を果たし、イオンの移動通路として用いられる。
【0007】
このように、分離膜は、イオンの移動通路を提供すると同時に、外部異物の移動を防止しなければならないため、その気孔は、数μm以下の気孔サイズを有することが要求される。
【0008】
上述したような分離膜において、既存の分離膜は、大部分が湿式または乾式方式によって形成された。
【0009】
湿式方式は、ポリマー、溶剤、およびその他の成分を溶解させた溶液を相分離した後、延伸工程を経て気孔を形成させる方法である。乾式方式は、ポリマーを押し出した後、延伸工程を経て気孔を形成させる方法である。
【0010】
前記湿式方式は、二軸延伸を行うため、方向性がないという利点はあるが、製造コストが高い。前記乾式方式は、一軸延伸を行うため、方向性があるという欠点はあるが、製造コストが安い。
【0011】
湿式方式または乾式方式によって形成された分離膜の素材は、ポリオレフィン系樹脂を使用する。延伸工程が含まれるため、分離膜の素材の選択においては自由でないという欠点がある。
【0012】
主に使用する樹脂は、ポリエチレンとポリプロピレンの2種である。これらの2種を混ぜて製作し、或いは積層する方式で製品を開発している。
【0013】
このように、従来の技術に係る分離膜は、ポリオレフィン系を使用するため、低い耐熱性により、高温で熱収縮が多く起こるから、EV用には適さない。
【0014】
このように、既存方式の分離膜は、その工法による使用可能素材が、ポリオレフィン系に限定されており、材料選択の幅が非常に狭いため、高機能性の実現には適さないという問題点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、かかる問題点を解決するためのもので、その目的は、電気紡糸法を用いて製造することにより、材料選択の幅を広めたうえ、紙を支持層として用いることにより、強度の確保を可能にした二次電池繊維状分離膜およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、セルロース繊維を含む支持層と、前記支持層の一面にコートされている第1耐熱性樹脂層とを含んでなる二次電池繊維状分離膜を提供する。
【0017】
ここで、前記第1耐熱性樹脂層は、芳香族ポリエステル、ポリホスファゼン類、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンを含むポリウレタン共重合体、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ペルフルオロポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、およびポリメタクリル酸メチルよりなる群から選ばれるいずれか一つで出来ていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記支持層と前記第1耐熱性樹脂層との間にコートされている第1高分子層をさらに含む。
【0019】
また、前記第1高分子層は、融点100〜180℃の高分子物質からなることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記支持層の他の面にコートされている第2耐熱性樹脂層をさらに含む。
【0021】
また、前記第2耐熱性樹脂層は、芳香族ポリエステル、ポリホスファゼン類、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンを含むポリウレタン共重合体、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ペルフルオロポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、およびポリメタクリル酸メチルよりなる群から選ばれるいずれか一つで出来ていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、前記支持層と前記第2耐熱性樹脂層との間にコートされている第2高分子層をさらに含む。
【0023】
また、前記第2高分子層は、融点100〜180℃の高分子物質からなることを特徴とする。
【0024】
本発明の他の観点によれば、(a)セルロース繊維を含む支持層を製造する段階と、(b)前記支持層の一面に耐熱性樹脂溶液を電気紡糸して超極細繊維状の第1耐熱性樹脂層をコートする段階とを含んでなる二次電池繊維状分離膜の製造方法を提供する。
【0025】
また、本発明の方法は、前記(a)段階と前記(b)段階との間に、(c)前記支持層の一面に第1高分子溶液を電気紡糸して前記支持層に超極細繊維状の第1高分子層をコートする段階をさらに含む。
【0026】
また、前記第1高分子層は、融点100〜180℃の高分子物質からなることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、(d)前記支持層の他の面に耐熱性樹脂溶液を電気紡糸して超極細繊維状の第2耐熱性樹脂層をコートする段階をさらに含む。
【0028】
また、本発明は、前記(a)段階と前記(d)段階との間に、(e)前記支持層の他の面に高分子溶液を電気紡糸して前記支持層に超極細繊維状の第2高分子層をコートする段階をさらに含む。
【0029】
また、前記第2高分子層は、融点100〜180℃の高分子物質からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
上述した本発明によれば、紙を支持層として用いて紙上に電気紡糸して製造するため、強度を確保することができる。
【0031】
また、本発明によれば、紙を支持層として電気紡糸法を用いるため、微細気孔を形成することができる。
【0032】
また、本発明によれば、紙と様々な高分子樹脂を用いるため、高温でも収縮しない耐熱性を達成することができる。
【0033】
また、本発明によれば、熱圧縮工程を介しての後処理によって微細繊維と紙との接着力の向上だけでなく、強度の向上、薄い厚さの繊維状分離膜の形成を実現することができる。
【0034】
また、本発明によれば、薄い厚さの分離膜を形成することができるため、出力の向上をもたらして電池性能の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施例に係る二次電池繊維状分離膜の断面図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る二次電池繊維状分離膜の断面図である。
【図3】本発明に係る二次電池繊維状分離膜の製造に使用できる電気紡糸装置の概略図である。
【図4】本発明の第1実施例に係る二次電池繊維状分離膜の製造方法を示す流れ図である。
【図5】本発明の第1実施例によって支持層の表面に形成された高分子層の走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の目的、特定の利点および新規の特徴は、添付図面に連関する以下の詳細な説明と好適な実施例からさらに明白になるであろう。
【0037】
これに先立ち、本明細書および請求の範囲に使用された用語または単語は、通常的で辞典的な意味で解釈されてはならず、発明者が自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づき、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0038】
本発明において、各図面の構成要素に参照番号を付加するにおいて、同一の構成要素については、他の図面上に表示されても、出来る限り同一の番号を付することに留意すべきであろう。なお、本発明を説明するにおいて、関連した公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を無駄に乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0039】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明の第1実施例に係る二次電池繊維状分離膜の断面図である。
【0041】
図1に示すように、本発明に係る二次電池繊維状分離膜は、支持層10と、前記支持層10にコートされている高分子層22と、前記高分子層22にコートされている耐熱性樹脂層24とを含んでなる。ここで、前記高分子層22は、必要に応じて備えなくてもよい。
【0042】
前記支持層10は、前記高分子層22および耐熱性樹脂層24に強度を提供するためのもので、セルロース繊維を基礎としたものであって、5〜500g/mの重量、好ましくは100〜300g/mの重量を有する。
【0043】
特別な場合には、前記支持層10を形成する紙は、透明または半透明であってもよい。特に、前記支持層10を形成する紙は、トレーシングペーパーからなってもよい。「トレーシングペーパー」とは、国際標準ISO4046−1978、6.94に定義された紙を意味する。
【0044】
特に、前記トレーシングペーパーは、セルロース繊維を叩いて得られる。
【0045】
ここで、前記支持層10として紙を使用すると、強度の確保だけでなく、分離膜の要求条件である数μm以下の気孔サイズを得ることができる。
【0046】
前記高分子層22は、電池が高温で加熱される場合、電池をシャットダウンさせる機能を果たす。
【0047】
また、前記耐熱性樹脂層24は、電池の追加加熱の際に、シャットダウン後の分離膜のメルトダウン現象を防止することにより、究極的に電池の短絡および爆発を減少させることができる。
【0048】
前記高分子層22と耐熱性樹脂層24は、電気紡糸ができる程度の分子量を有すれば大きさは制限されないが、特に、少なくとも10,000の分子量を有することがよい。
【0049】
前記高分子層22と耐熱性樹脂層24の分子量が少なくとも10,000の場合、電気紡糸の際に繊維状を得ることが容易であり、物理的性質に優れるうえ、分子量が高ければ高いほど、電気紡糸されるナノ繊維の繊維直径が細くなってナノ繊維の接合点が多く生成されるという利点がある。
【0050】
また、前記高分子層22と耐熱性樹脂層24は、大量生産による作業性と物理的性質の側面で分子量2000以上の高分子から構成できる。特に、前記高分子層22と耐熱性樹脂層24は、1,000,000〜5,000,000の分子量を有する超高分子量ポリエチレン(Ultra high molecular weight polyethylene)から構成されてもよい。
【0051】
本発明に使用される前記高分子層22と耐熱性樹脂層24の高分子溶液内の溶媒は、高分子を溶解させ且つ固体粒子を分散させるのに適当であればよいので、当業者が高分子および固体粒子の種類に応じて選択して使用することができる。
【0052】
前記高分子層22は、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体など、比較的低い温度の融点および溶融指数1〜25g/分のポリオレフィン系樹脂またはポリマーで構成される。
【0053】
前記高分子層22は、シャットダウン機能のために融点100〜180℃、好ましくは120〜150℃の高分子物質からなることが適当である。
【0054】
ここで、前記高分子層22の素材として、ポリオレフィン系樹脂またはポリマーを例示したが、これに限定されるのではなく、融点100〜180℃の高分子物質はいずれも可能である。
【0055】
また、前記耐熱性樹脂層24は、融点180℃以上の耐熱性高分子または融点のない耐熱性高分子、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステルと、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジフェノキシホスファゼン、ポリ{ビス[2−(2−メトキシエトキシ)ホスファゼン]}などのポリホスファゼン類と、ポリウレタンと、ポリエーテルウレタンを含むポリウレタン共重合体と、酢酸セルロースと、酢酸酪酸セルロースと、酢酸プロピオン酸セルロースと、ポリフッ化ビニリデンと、ペルフルオロポリマーと、ポリ塩化ビニルと、ポリ塩化ビニリデンと、ポリエチレングリコール誘導体と、ポリオキシドと、ポリ酢酸ビニルと、ポリスチレンと、ポリアクリロニトリルと、ポリメタクリル酸メチルとよりなる群から選ばれるいずれか一つで出来ている。
【0056】
ここで、融点のない高分子とは、180℃でも融ける過程を経ることなく燃えてしまう高分子をいう。
【0057】
本発明に係る高分子層22と耐熱性樹脂層24のそれぞれの厚さは、通常1〜50μm、好ましくは1〜20μ、さらに好ましくは5〜10μmである。もし前記高分子層22と前記耐熱性樹脂層24のそれぞれの厚さがあまり薄ければ、前記高分子層22および前記耐熱性樹脂層24の効果が十分に発揮されない。前記高分子層22と前記耐熱性樹脂層24のそれぞれの厚さがあまり厚ければ、経済的に不利であるうえ、特別な利益がない。
【0058】
このような前記二次電池繊維状分離膜は、高分子溶液(溶融液を含む)を支持層10に順次電気紡糸して形成したものであって、内部にマイクロ単位の気孔が設けられている。
【0059】
前記二次電池繊維状分離膜のマトリクスは、直径1〜3000nmの超極細高分子繊維が無秩序に3次元的に積層された形態を持っており、繊維の小さい直径により既存のマトリクスに比べて体積対表面積比が非常に高く、空隙率が大きいものと明らかになった。
【0060】
よって、高い空隙率によって電解液の含浸量が高く、これにより、イオン伝導度を高めることができ、高い空隙率にも拘らず、広い表面積により電解液との接触面積を増加させることができるため、電解液の漏液を最小化することができる。
【0061】
電気紡糸法(electro spinning)によって、多孔性高分子マトリクスを製造する場合、膜の形態に直接製造することができるという利点がある。
【0062】
前記高分子マトリクスを形成する繊維状高分子の直径は、1〜3000nmの範囲で調節されることが好ましく、より好ましくは10nm〜1000nm、最も好ましくは50nm〜500nmの範囲内で調節される。前記繊維の直径があまり小さければ、分離膜の形成が難しく、前記繊維の直径があまり大きければ、電解液の含浸性が低下するおそれがある。
【0063】
また、支持層10にコートされた高分子層22は、気孔度が通常約20〜90%であり、気孔サイズが約10nm〜10μmである。
【0064】
図2は、本発明の第2実施例に係る二次電池繊維状分離膜の断面図である。
【0065】
図2に示すように、本発明の第2実施例に係る二次電池繊維状分離膜は、支持層10、前記支持層10を挟んで両面にコートされている一対の高分子層22、22’、および前記高分子層22、22’にコートされている一対の耐熱性樹脂層24、24’を含んでなる。ここで、前記一対の高分子層22、22’は必要に応じて備えなくてもよい。
【0066】
このような構成の本発明の第2実施例に係る二次電池繊維状分離膜は、第1実施例と比較するとき、支持層10の両面に高分子層22、22’と耐熱性樹脂層24、24’が形成されている以外は高分子層と耐熱性樹脂層の構成が同一なので、その詳細な説明は省略する。
【0067】
次に、図3を参照して、本発明の第1実施例に係る二次電池繊維状分離膜の製造方法を説明する。
【0068】
図3は、本発明に係る二次電池繊維状分離膜の製造に使用できる電気紡糸装置の概略図である。
【0069】
図3に示すように、電気紡糸装置は、高分子溶液または耐熱性樹脂溶液を貯留するバレル100と、高分子溶液または耐熱性樹脂溶液を吐き出す定量ポンプ110と、高電圧発生器120が連結された紡糸ノズル130とを含んでなる。
【0070】
前記定量ポンプ110を介して吐き出される高分子溶液または耐熱性樹脂溶液は、高電圧発生器120によって荷電した紡糸ノズル130を通過しながら超極細繊維として放出され、一定の速度で移動するコンベヤー形態の接地された集電板140上の支持層に収集される。
【0071】
図4は、本発明の好適な第1実施例に係る二次電池繊維状分離膜の製造方法を示す流れ図である。
【0072】
図4に示すように、本発明の好適な第1実施例に係る二次電池繊維状分離膜の製造方法は、まず、支持層として使用される紙を製造して準備する(S100)。
【0073】
前記紙は、セルロース繊維を基礎としたもので、5〜500g/mの重量、好ましくは100〜300g/mの重量を有することが好ましく、特に叩いて得られるトレーシングペーパーであることを特徴とする。
【0074】
次に、高分子溶液を電気紡糸装置のバレルに投入し、定量ポンプを用いて前記高分子溶液を吐き出し、高電圧発生器を用いて紡糸ノズルを荷電させ、前記電気紡糸装置の一定の速度で移動するコンベヤー形態で接地された集電板上に在る紙に高分子層を形成する(S200)。
【0075】
一例として、ポリエチレン(PE)溶液を製造して電気紡糸装置のバレルに投入し、定量ポンプを用いて高分子溶液を吐き出す。
【0076】
この際、高電圧発生器を用いて紡糸ノズルに荷電を与えることにより、支持層に厚さ50μmの高分子層を形成する。
【0077】
ここで、前記高分子層を形成する過程は、必要に応じて省略してもよい。
【0078】
その後、前記高分子層の上部に耐熱性樹脂溶液、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)溶液を同一の方法で電気紡糸して耐熱性樹脂層を形成することにより、超極細繊維状多孔性高分子分離膜を形成した(S300)。
【0079】
このように支持層の表面にコートされた高分子層の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)写真を、図5に示した。
【0080】
その次、前記支持層、高分子層および耐熱性樹脂層間の結着力をより増大させ、且つ耐熱性樹脂層の気孔度および厚さを調節するために、支持層に高分子層を積層させた後で特定の温度以下で加圧ラミネート加工を行い、或いは陽極と陰極との間に本発明の分離膜を挟んだ後で特定の温度以下で加圧ラミネート加工を行う(S400)。
【0081】
一方、本発明の第2実施例に係る二次電池繊維状高分子分離膜の製造方法では、前述した第1実施例に係る二次電池繊維状高分子分離膜の製造方法と同様の方法で支持層の両面に高分子層22、22’と耐熱性樹脂層24、24’を形成して製造することができる。
【0082】
本発明の第2実施例に係る二次電池繊維状高分子分離膜の製造方法は、第1実施例に係る二次電池繊維状高分子分離膜の製造方法と類似なので、その詳細な説明は省略する。
【0083】
ここで、前記一対の高分子層22、22’を形成する過程は、必要に応じて省略してもよい。
【0084】
以上、本発明の好適な実施例について図示および説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、添付した請求の範囲に開示された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変形を加え得ることを理解するであろう。これらの変形実施は、本発明の技術的思想または展望から個別的に理解されてはならない。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、電気紡糸法を用いて製造することにより、材料選択の幅を広めたうえ、紙を支持層として用いることにより、強度の確保を可能にした二次電池繊維状分離膜およびその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 支持層
22、22’ 高分子層
24、24’ 耐熱性樹脂層
100 バレル
110 定量ポンプ
120 高電圧発生器
130 紡糸ノズル
140 集電板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維を含む支持層と、
前記支持層の一面にコートされている第1耐熱性樹脂層とを含んでなることを特徴とする、二次電池繊維状分離膜。
【請求項2】
前記第1耐熱性樹脂層は、芳香族ポリエステル、ポリホスファゼン類、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンを含むポリウレタン共重合体、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ペルフルオロポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、およびポリメタクリル酸メチルよりなる群から選ばれるいずれか一つで出来ていることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池繊維状分離膜。
【請求項3】
前記支持層と前記第1耐熱性樹脂層との間にコートされている第1高分子層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池繊維状分離膜。
【請求項4】
前記第1高分子層は融点100〜180℃の高分子物質からなることを特徴とする、請求項3に記載の二次電池繊維状分離膜。
【請求項5】
前記支持層の他の面にコートされている第2耐熱性樹脂層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池繊維状分離膜。
【請求項6】
前記第2耐熱性樹脂層は、芳香族ポリエステル、ポリホスファゼン類、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンを含むポリウレタン共重合体、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ペルフルオロポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、およびポリメタクリル酸メチルよりなる群から選ばれるいずれか一つで出来ていることを特徴とする、請求項5に記載の二次電池繊維状分離膜。
【請求項7】
前記支持層と前記第2耐熱性樹脂層との間にコートされている第2高分子層をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の二次電池繊維状分離膜。
【請求項8】
前記第2高分子層は融点100〜180℃の高分子物質からなることを特徴とする、請求項7に記載の二次電池繊維状分離膜。
【請求項9】
(a)セルロース繊維を含む支持層を製造する段階と、
(b)前記支持層の一面に耐熱性樹脂溶液を電気紡糸して超極細繊維状の第1耐熱性樹脂層をコートする段階とを含んでなることを特徴とする、二次電池繊維状分離膜の製造方法。
【請求項10】
前記(a)段階と前記(b)段階との間に、
(c)前記支持層の一面に第1高分子溶液を電気紡糸して前記支持層に超極細繊維状の第1高分子層をコートする段階をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の二次電池繊維状分離膜の製造方法。
【請求項11】
前記第1高分子層は融点100〜180℃の高分子物質からなることを特徴とする、請求項10に記載の二次電池繊維状分離膜の製造方法。
【請求項12】
(d)前記支持層の他の面に耐熱性樹脂溶液を電気紡糸して超極細繊維状の第2耐熱性樹脂層をコートする段階をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の二次電池繊維状分離膜の製造方法。
【請求項13】
前記(a)段階と前記(d)段階との間に、
(e)前記支持層の他の面に高分子溶液を電気紡糸して前記支持層に超極細繊維状の第2高分子層をコートする段階をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の二次電池繊維状分離膜の製造方法。
【請求項14】
前記第2高分子層は融点100〜180℃の高分子物質からなることを特徴とする、請求項13に記載の二次電池繊維状分離膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−209234(P2012−209234A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119278(P2011−119278)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】