説明

二次電池電槽

【課題】 水蒸気バリア性、力学的強度に優れ、さらに熱溶着性および耐圧性にも優れた二次電池用の電槽材料を提供する。
【解決手段】 ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が650000〜1000000であるポリプロピレン系樹脂からなる電槽。 プロピレン−エチレンランダム共重合体を含むポリプロピレン系樹脂であって、概ポリプロピレン系樹脂に含有されるエチレンの含有量は0.1〜1重量%未満である樹脂からなり、ニッケル−金属水酸化物電極またはリチウム電極を有する二次電池用の電槽に好適である(ただし、ポリプロピレン系樹脂の全量を100重量%とする)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用の電槽に関するものである。さらに詳細には、水蒸気バリア性および力学的強度に優れ、さらに、熱溶着性および耐圧性に優れた二次電池用の電槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蓄電池は、自動車、自動車用部品、電気製品、産業機械等の動力源として広く使用されている。自動車用動力としては、電気自動車やハイブリッド電気自動車の用途に、高エネルギー密度で、高容量の電池であるニッケル−金属水素化物電極またはリチウム電極を有する二次電池が使用されている。
【0003】
二次電池の電槽としては、例えば、特開平11−31483号公報には、密閉型電気化学方式電池の容器の機械的性質と液体や気体に対する不透過性とを改善するために、少なくとも95重量%のポリプロピレンを含み、100重量%にするための補足分はプロピレン−エチレン共重合体からなり、結晶化度が55%〜65%の間にあるポリマー材料を用いることが記載されている。
【0004】
また、特開2002−63873号公報には、二次電池用電槽の機械的強度、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、水蒸気バリア性、ウエルド強度、さらに、溶着強度を改良するために、ポリフェニレンエーテル樹脂、特定の結晶性ポリプロピレン樹脂、及び必要に応じてブロック共重合体を特定の割合で配合してなる樹脂組成物を用いることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−31483号公報
【特許文献2】特開2002−63873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に記載されているポリプロピレンとプロピレン−エチレン共重合体からなるポリマー材料を用いる二次電池用の電槽の耐圧性や熱溶着性は、必ずしも充分ではなく、また、上記の特許文献2に記載されているポリフェニレンエーテル樹脂と特定の結晶性ポリプロピレン樹脂とを配合してなる樹脂組成物からなる二次電池用の電槽の水蒸気バリア性は、必ずしも充分ではないことから、二次電池用の電槽の水蒸気バリア性および力学的強度と、さらに、熱溶着性および耐圧性とを改良することが求められていた。
【0007】
かかる状況の下、本発明の目的は、水蒸気バリア性および力学的強度に優れ、さらに、熱溶着性および耐圧性に優れた二次電池用の電槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討の結果、本発明が上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が650000〜1000000であるポリプロピレン系樹脂からなるニッケル−金属水酸化物電極またはリチウム電極を有する二次電池用の電槽に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のよれば、水蒸気バリア性および力学的強度に優れ、さらに、熱溶着性および耐圧性に優れた二次電池用の電槽を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が650000〜1000000であり、好ましくは、700000〜900000である。重量平均分子量が過小の場合、熱溶着時の溶融粘度が低すぎるため、溶着部の溶着層厚さが薄くなり、溶着後の電槽の耐圧性が不十分となる場合がある。一方、重量平均分子量が過大の場合、溶融粘度が高すぎるため、射出成形性が悪化する場合がある。
【0011】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、または、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体とからなるブロック共重合体が挙げられる。
【0012】
プロピレン単独重合体、または、プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造方法としては、公知の重合触媒を用いる公知の製造方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒が挙げられる。重合方法としては、スラリー重合や気相重合が挙げられる。
【0013】
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体とからなるブロック共重合体の製造方法としても、公知の重合触媒を用いる公知の製造方法が挙げられ、例えば、プロピレン単独重合体を得る第一工程と、プロピレン−エチレンランダム共重合体を得る第二工程とからなる製造方法が挙げられる。
【0014】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂として、好ましくは、プロピレン−エチレンランダム共重合体を含むポリプロピレン系樹脂である。そして、前記ポリプロピレン系樹脂に含有されるエチレンの含有量として好ましくは、力学的強度や耐衝撃性を高めるという観点から、0.1〜1重量%未満であり、より好ましくは、0.1〜0.5重量%である(ただし、ポリプロピレン系樹脂の全量を100重量%とする)。
【0015】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として、好ましくは、3以上であり、より好ましくは、4以上である。
【0016】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂が、プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体とからなるブロック共重合体の場合、プロピレン−エチレンランダム共重合体の含有量は5〜40重量%であり(ただし、プロピレン単独重合体とエチレン−プロピレンランダム共重合体との合計量を100重量%とする)、プロピレン−エチレンランダム共重合体に含有されるエチレンの含有量は0.05〜20重量%である(プロピレン−エチレンランダム共重合体の全量を100重量%とする)。
【0017】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂の温度230℃、せん断速度12sec-1における溶融粘度として好ましくは、耐圧性や射出成形性を高めるという観点から、2000〜7000Pa・sであり、好ましくは、4000〜6000Pa・sである。
【0018】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂として、好ましくは、造核剤が配合されたポリプロピレン系樹脂である。造核剤としては、例えば、ナトリウム 2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]ジヒドロオキシアルミニウム、ビス[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]ヒドロオキシアルミニウム、トリス[リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)]アルミニウム、ナトリウム ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、安息香酸ナトリウムやp−t−ブチル安息香酸アルミニウム等の安息香酸金属塩、
【0019】
1,3:2,4−ビス(o−ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−3,4−ジメチルベンジリデン−2,4−o−ベンジリデンソルビトール、1,3−o−ベンジリデン−2,4−o−3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−p−クロロベンジリデン−2,4−o−3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3−o−3,4−ジメチルベンジリデン−2,4−o−p−クロロベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−p−クロロベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの混合物、
【0020】
ロジン系のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、具体的にはロジンのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩などの化合物が挙げられる。これらの化合物を単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
【0021】
また、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂には、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂、耐衝撃改良剤、無機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、滑剤等の添加剤を配合しても良い。
【0022】
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂に、前記の造核剤および/または各種の添加剤を配合する方法としては、ポリプロピレン系樹脂と配合される前記の造核剤および/または各種の添加剤を混合し、混練する方法が挙げられる。
【0023】
混練に用いられる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられる。混練の温度は、通常、170〜300℃であり、時間は、通常、1〜20分である。また、ポリプロピレン系樹脂と前記の造核剤および/または各種の添加剤の混練は同時に行ってもよく、分割して行ってもよい。ポリプロピレン系樹脂と前記の造核剤と各種の添加剤とを分割して混練する場合、混練順序は、適宜、任意に決めれば良い。
【0024】
本発明の二次電池用の電槽は、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂を、射出成形して得られるものであって、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂を、射出成形によって、2次電池電槽の本体および蓋に成形して得られるものである。射出成形の温度は、通常、220〜300℃である。
【0025】
射出成形して得られた本体に電極および電解液を入れた後、本体および蓋の勘合部を各々熱板等で溶融し、溶融部を圧着することによって、本体と蓋を溶着し、電解液が封入される。溶着板の温度は、通常、180〜300℃であり、好ましくは、200〜250℃である。
【実施例】
【0026】
以下、実施例および比較例によって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた試験片の物性の測定方法を、以下に示した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
ASTM D1238に準拠し、230℃、21N荷重でのメルトフローレート(MFR)を測定した。
【0027】
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
以下の方法によりポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。重量平均分子量/数平均分子量の比をQ値として計算により求めた。GPCの測定条件は以下のとおりであった。
GPC:Waters社製 150C Plus型
カラム:東ソー(株)製 TSK−GEL GMH HR−H(S)×3本直列
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.1wt%)
流量:1ml/分
温度:140℃
溶媒:o−ジクロルベンゼン
検量線は東洋曹達(株)製の標準ポリスチレンを使用し、常法により作成した。またデータ処理は、Waters社製データ処理ソフト「ミレニアム」を使用した。
【0028】
(3)測定温度230℃、せん断速度12sec-1における溶融粘度(単位:Pa・s)
キャピラリーレオメーター(型式:キャピログラフIB(東洋精機製作所製))を用い、測定温度230℃、せん断速度12sec-1の条件下での溶融粘度を測定した。なお、キャピラリーとしては、流動部の長さ4mm、直径1mmのものを用いた。
【0029】
(4)曲げ弾性率(単位:MPa)および曲げ強度(単位:MPa)
ASTM D790に準拠し、射出成形によって得られた3.2mm厚の試験片を使用して、23℃における曲げ弾性率、曲げ強度を測定した。
【0030】
(5)IZOD衝撃強度(単位:KJ/m2
ASTM D256に準拠し、3.2mm厚の試験片を使用して23℃におけるノッチ付きのアイゾット衝撃強度を測定した。
【0031】
(6)熱溶着性
射出成形により、電槽の本体および蓋を成形した。本体および蓋を235℃の金属板を30秒接触させ溶融せしめた後、本体と蓋とを圧着し、溶着した。
溶着した成形品から、溶着部を切削し、偏光顕微鏡観察により、溶着部の溶着層厚みを観察した。また、溶着した成形品に80℃の雰囲気温度下、0.9MPaの圧力を印加し、溶着部に亀裂が入るまでの時間を測定した。
【0032】
(7)固有粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。固有粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
【0033】
(8)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体の全量に対する重量比率(X、重量%)及びプロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量[(C2’)EP、重量%]、及びプロピレン−エチレンブロック共重合体中のエチレン含量[(C2’)、重量%]
下記の条件で測定した13C−NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(Macromolecules 1982,15,1150-1152)に基づいて求めた。
10mmΦの試験管中で約200mgのプロピレン−エチレンブロック共重合体を3mlのオルソジクロロベンゼンに均一に溶解させて試料を調整し、その試料の13C−NMRスペクトルを下記の条件下で測定した。
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
【0034】
(9)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の固有粘度([η]EP、単位:dl/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分の固有粘度[η]Pとプロピレン−エチレンブロック共重合体の固有粘度[η]Tを測定することにより、次式から算出した。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の固有粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の固有粘度(dl/g)
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン単独重合体部分の固有粘度[η]Pは、その製造時に、第一工程であるプロピレン単独重合体部分の製造後に重合槽内より取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体からその固有粘度[η]Pを求めた。
【0035】
実施例または比較例に用いた試料を、以下に示した。
(A−1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(成分(A−1))
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体部分とからなるプロピレン−エチレン共重合体を用いた。このプロピレン−エチレンブロック共重合体は、特開平10−212319号記載の触媒を用いて製造されたものであった。その詳細は、以下の通りであった。
MFR(230℃)が0.5g/10分、プロピレン単独重合体部分の固有粘度([η]P)が3.0dl/g、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の固有粘度([η]EP)が3.0dl/g、プロピレン−エチレンブロック共重合体に対するプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の重量割合が20重量%、エチレン−プロピレンランダム共重合部分におけるエチレン含量が1重量%(プロピレン-エチレンブロック共重合体におけるエチレン含量が0.2重量%)であるプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、重量平均分子量(Mw)が750000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が5.0であり、測定温度230℃、せん断速度12sec-1における溶融粘度が4940Pa・sであった。
【0036】
(A−2)プロピレン−エチレンブロック共重合体(成分(A−2))
プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体部分とからなるプロピレン−エチレン共重合体を用いた。このプロピレン−エチレンブロック共重合体は、特開平10−212319号記載の触媒を用いて製造されたものであった。その詳細は、以下の通りであった。
MFR(230℃)が1.5g/10分、プロピレン単独重合体部分の固有粘度([η]P)が2.4dl/g、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の固有粘度([η]EP)が2.4dl/g、プロピレン−エチレンブロック共重合体に対する重量割合が20重量%、エチレン−プロピレンランダム共重合部分におけるエチレン含量が1重量%であるプロピレン-エチレンブロック共重合体であって、重量平均分子量(Mw)が700000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が4.8であり、測定温度230℃、せん断速度12sec-1における溶融粘度が3600Pa・sであった。
【0037】
(A−3)ポリプロピレン(成分(A−3))
プロピレン単独重合体を用いた。このポリプロピレンは、特開平10−212319号記載の触媒を用いて製造されたものであった。その詳細は、以下の通りであった。
MFR(230℃)が3.0g/10分、固有粘度([η]P)が2.0dl/g、重量平均分子量(Mw)が610000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.2であり、測定温度230℃、せん断速度12sec-1における溶融粘度が1730Pa・sであった。
【0038】
(B)結晶造核剤
リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム(商標:アデカスタブNA−11:旭電化工業(株)製)
【0039】
実施例1
表1に示した配合割合の各成分を混合し、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数200rpmに設定した二軸混練機(日本製鋼所製、TEX44)のホッパーから投入した後、これらの成分を溶融混練したものをストランドカットしてペレット状の樹脂組成物を得た。得られたペレットを射出成形機(東芝機械製 IS150E)を用いシリンダー温度260℃、金型温度50℃に設定し、各試験片を成形した。得られた試験片を用いて曲げ弾性率、曲げ強度、23℃または80℃でのIzod衝撃強度を測定した。また、シリンダー温度250℃に設定した射出成形機にて、電槽本体および蓋を成形した。これらの成形品を用い熱溶着性の評価を行なった。この結果を表1に示した。
【0040】
実施例2
表1に示した配合割合の各成分を用いた以外、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
【0041】
実施例3
A−1を射出成形機(東芝機械製 IS150E)を用いシリンダー温度260℃、金型温度50℃に設定し、各試験片を成形した。得られた試験片を用いて曲げ弾性率、曲げ強度、23℃または80℃でのIzod衝撃強度を測定した。この結果を表1に示した。結果を表1に示した。
【0042】
比較例1
表1に示した配合割合の各成分を用いた以外、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
本発明の要件を満足する実施例1〜3は、ポリプロピレン系樹脂であることから、水蒸気バリア性に優れ、また、力学的強度に優れ、さらに、熱溶着性および耐圧性に優れていることがわかる。
これに対して、本発明の要件である重量平均分子量が650000〜1000000であることを満足しない比較例1は、熱溶着性および耐圧性に劣ることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量が650000〜1000000であるポリプロピレン系樹脂からなるニッケル−金属水酸化物電極またはリチウム電極を有する二次電池用の電槽。
【請求項2】
プロピレン−エチレンランダム共重合体を含むポリプロピレン系樹脂であって、前記ポリプロピレン系樹脂に含有されるエチレンの含有量が0.1〜1重量%未満である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂からなるニッケル−金属水酸化物電極またはリチウム電極を有する二次電池用の電槽(ただし、ポリプロピレン系樹脂の全量を100重量%とする)。
【請求項3】
温度230℃、せん断速度12sec-1における溶融粘度が2000〜7000Pa・sである請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂からなるニッケル−金属水酸化物電極またはリチウム電極を有する二次電池用の電槽。

【公開番号】特開2007−35491(P2007−35491A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218496(P2005−218496)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【出願人】(504305359)ハマプロト株式会社 (6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】