説明

二段階側流分析法および装置

複数の非特異的結合対要素を含む、二段階判定のために適応される、試料中の特異結合対の第1要素を検出するための側流分析装置および方法。一実施形態では、試料中のIgE抗体を同定するための二段階側流分析法は、試料を装置の試料ポートに注入する工程を含み、本装置は試料を第1部位のそれぞれの位置に固定化された複数のIgE抗原種を有する側流マトリックスに送るように適応される。二段法は、さらに固定化複数IgE抗原種を通して側流マトリックスに沿って第1部位の下流の第2部位に試料を移動させる工程と、緩衝液を側流マトリックスに注入して、抗IgE抗体と結合するように適応された標識試薬であって、側流マトリックスへ濾過された試料を送る位置の上流の側流マトリックス上で乾燥される標識試薬を集める工程と、固定化複数IgE抗原種を通して側流マトリックスに沿って第1部位の下流の位置に、緩衝液によって集められた標識試薬を移動させる工程とをさらに含む。さらに実施形態は、追加的側流免疫測定装置および試料中のIgE抗体を同定するための方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の特異結合対の第1要素を検出するための二段階側流分析法および装置を対象とする。本方法および装置は、複数の非特異的結合対要素を含有する試料中の特異結合対の第1要素を検出するのに特に有利である。特定の実施形態では、本方法および装置は、試料中の特異的IgE抗体を同定するのに有利である。
【背景技術】
【0002】
多数の側流分析装置および方法が、当技術分野で周知である。典型的に装置および方法は、試料の側流マトリックス(Lateral flow matrix)への注入を可能にする。試料は側流マトリックスに沿って流れ、検出される試料中の1つ以上の分析物構成要素と、側流マトリックスに提供されまたは添加される少なくとも1つの試薬とが反応する。検出される分析物構成要素またはその試薬との反応のために、少なくとも1つの試薬が一般的に装置中に固定化され、固定化試薬との反応進行度を測定するのに一般的に標識が用いられる。
【0003】
例えばダフォーン(Dafforn)らの米国特許第4,981,786号明細書は、ゾーンにおいて特異結合対の第1要素を捕獲して、液体を毛管作用によってゾーンから運び去らせるための分析装置を開示する。例えば特異結合対要素、シグナル生成システムの要素、補助的試薬などを含む分析を行うための液体試薬が添加される。ダフォーン(Dafforn)らは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)の存在を検出するためのそれらの分析装置および方法の特異的用法を開示する。
【0004】
検査技師による、そして例えば「ポイント・オブ・ケア」用途における検査技師でない医療関係者および消費者による、側流分析装置の使用を容易にするために、そしてより迅速な検出技術を得るために、多大な注目が一段階分析装置および方法の改善に向けられてきた。例えばメイ(May)らの米国特許第5,602,040号明細書、米国特許第5,622,871号明細書、米国特許第5,656,503号明細書、米国特許第6,187,598号明細書、および米国特許第6,228,660号明細書は、一段階側流分析法を容易にする装置、キット、および方法を開示する。試験ストリップには、液体生物学的試料によって可動形態に遊離される乾燥標識試薬が設けてある。標識試薬は検出される分析物と特異的に結合して複合体を形成し、側流マトリックスに沿った液体試料の移行は、複合体を毛管作用によって検出ゾーンに搬送する。
【0005】
ヒューブッシャー(Hubscher)らの米国特許第6,528,325号明細書は、一段階技術を容易にする側流分析の使用によって、ヒト血清中抗体を検出するためのより特異的な装置および方法を開示する。体液から得られた試験試料は金標識抗原と反応し、得られた複合体は膜を超えて側流ストリップに沿って移動する。試験ストリップに沿った特異的位置に形成される赤色線は、検体中のクラス特異的抗体の存在を示唆する。前記ヒューブッシャーらによって開示されるより具体的な実施形態では、側流分析がヒト血清中のアレルゲン特異的IgE抗体の検出のための免疫クロマトグラフのスクリーニング試験の役割を果たす。試験試料は金標識抗IgE抗体と反応し、得られた複合体は膜を超えて移動し、そこで固定化アレルゲンがアレルゲン特異的IgE複合体を捕獲する。着色線が試験領域に形成され、アレルゲン特異的IgE抗体の存在を示唆する。
【0006】
個人における特異的アレルギーの検出は、医療関係者に安全で効果的なアレルギー処置を処方させる上で重要である。一般的なアレルギー検出のための技術は、典型的に個人を様々なアレルゲンおよび/または複合体に暴露する皮膚プリックテスト、および高価な臨床検査を伴う。一般に用いられる技術による外傷、経費および/または不都合のために、多数の医療関係者は、個人が有するかもしれない特異的アレルギーを試験して判定することなく、個人の症状のみに基づいてアレルギー処置を処方する。個人のアレルギー病状に適さない治療薬を処方されることがあるので、このような処方は明らかに危険、無駄および/または無効である。したがって個人のアレルギーの正確な診断のために、個人のIgE抗体検出のための側流分析技術を使用することは有利であろう。しかしながら特異的IgE抗体の検出は困難なことが多い。すなわち血液などの生物学的試料は、特異的IgE抗体の正確な標識および検出に必要な反応を妨げる、複数の非特異的結合要素を含有する。
【0007】
より詳しくは、特異的アレルギーの判定には、特異的アレルゲンエピトープに結合する可変部を有するIgE抗体の同定を必要とする。体液は一般的に、異なるIgE可変部特異性の数千の抗体を含有し、したがって分析による特異的アレルギーの判定は、数千のIgE抗体特異性からの単一抗体型の選択的反応を必要とする。検出接合体はIgE抗体の定常部と容易に結合、すなわち検出接合体は一般的異なるIgE特異性間を識別せず、従来の分析および標識技術を使用した特定のIgE抗体の同定は困難である。実際には、アレルギーを診断するために、先行技術で開示される技術を使用して側方分析を行い、個人のIgEを確実に同定することは困難であった。一般的に、固相に結合したアレルゲンに基づいて、分析中のIgE抗体の非可変部に結合する検出接合体を用いる免疫測定法は、分析中のIgEの非特異結合に対して感度がよいであろう。したがって特に特異的IgE抗体の検出を容易にするための改善された分析装置および方法の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0008】
したがって改善された側流分析装置および方法を提供することが、本発明の目的である。特異的IgE抗体の検出に有利であり、したがって個人のアレルギー診断を支援できる側流分析装置および方法を提供することは、関連した目的である。
【0009】
これらのそして追加的目的が、本発明によって提供される。一実施形態では、本発明は、試料中のIgE抗体を同定するための二段階側流分析法を対象とする。本方法は、第1部位の、それぞれの位置に固定化された複数のIgE抗原種を有する側流マトリックスに試料を送るように適応された装置の試料ポートに、例えば全血または血清である試料を注入する方法を含む。装置は任意に試料を濾過して、例えば実質的に赤血球を含まない濾過試料を流動マトリックスに送るように適応される。本方法はさらに前記試料を、固定化複数IgE抗原種を通して側流マトリックスに沿って第1部位の下流の第2部位に移動させる工程と、緩衝液を側流マトリックスに注入して、IgE抗体と結合するように適応され、かつ側流マトリックスへ試料を送る位置の上流にあり、側流マトリックス上において乾燥される標識試薬を集める工程と、固定化複数IgE抗原種を通して側流マトリックスに沿って第1部位の下流位置に、緩衝液によって集めされた標識試薬を移動させる工程とを含む。
【0010】
本発明は、さらに試料中のIgE抗体を同定するための側流免疫測定装置を対象にする。本装置は試料ポート、試料ポート上流の緩衝液ポート、試料ポート下流の結果窓(Result window)、および任意に結果窓下流の対照窓(Control window)が設けられている筐体を含む。本装置は、さらに試料ポート上流にあり緩衝液ポートを通して注入される一定量の緩衝液を受け入れるように適応された緩衝液ウェルと、緩衝液ウェルから下流位置に、例えば含まれるならば対照窓などに伸展して側流マトリックスを含む筐体内の側流経路と、緩衝液ウェル下流にあり試料ポート上流の側流マトリックス上に配置される、IgE抗体と結合するように適応された乾燥標識試薬で、緩衝液ウェルから側流マトリックスに沿って通過する緩衝液によって側流マトリックス中で集められるように適応された前期乾燥標識試薬と、結果窓を通して見える第1部位にある側流マトリックス上のそれぞれの位置に固定化された複数のIgE抗原種を含む。本装置は任意に、さらに第1部位から離れて下流にあり、筐体中に含む場合対照窓を通して見える、第2部位で側流マトリックス上に固定化される未標識のIgEまたは抗マウス抗体をさらに含んでもよい。
【0011】
他の実施形態では、本装置は、少なくとも1つの試料ポート、および試料ポート上流の少なくとも1つの緩衝液ポート、試料ポート下流の少なくとも1つの結果窓が設けてある筐体、および任意に、結果窓下流の少なくとも1つの対照窓と、試料ポート上流にあり緩衝液ポートを通して注入される一定量の緩衝液を受け入れるように適応された緩衝液ウェルと、それぞれが緩衝液ウェルから下流の位置に、例えば含まれるならば、対照窓の少なくとも1つなどに伸展して側流マトリックスを構成する筐体内の少なくとも2つの側流経路を含む。本装置はさらに、緩衝液ウェル下流にあり試料ポート上流の各側流マトリックス上に配置されるIgE抗体と結合するように適応され、緩衝液ウェルから側流マトリックスに沿って通過する緩衝液によって側流マトリックス内で集められるように適応された乾燥標識試薬と、結果窓の少なくとも1つを通して見える、第1部位の各側流マトリックス上のそれぞれの位置に固定化された複数のIgE抗原種をさらに含む。本装置はさらに、筐体中に含む場合、前記第1部位から離れて下流にあり対照窓の少なくとも1つを通して見える第2部位の各側流マトリックス上に固定化された未標識IgEまたは抗マウス抗体を含んでもよい。
【0012】
さらなる実施形態では、本発明は複数の非特異的結合対要素を含む試料中の特異結合対の第1要素を検出するための側流分析装置および方法を対象とする。本装置は、1つの試料ポート、試料ポート上流の1つの緩衝液ポート、試料ポート下流の少なくとも1つの結果窓、任意に結果窓下流の少なくとも1つの対照窓が設けられている筐体と、試料ポート上流にあり前記緩衝液ポートを通して注入される一定量の緩衝液を受け入れるように適応された緩衝液ウェルと、それぞれが緩衝液ウェルから下流位置に、例えば含まれるならば対照窓の少なくとも1つなどに伸展して側流マトリックスを構成する筐体内の少なくとも2つの側流経路を含む。本装置はさらに、特異結合対の第1要素と結合でき、緩衝液ウェル下流で試料ポート上流にある各側流マトリックス上に配置され、緩衝液ウェルから側流マトリックスに沿って通過する緩衝液によって側流マトリックス内で集められるように適応された乾燥標識試薬と、少なくとも一つの結果窓を通して見える第1部位の各側流マトリックス上に固定化された特異結合対の第2要素を含む。本装置は、未標識であり、第1部位から離れて下流にあり対照窓の少なくとも1つを通して見える第2部位で各側流マトリックス上に固定化された一定量の特異的結合対の第1要素を任意に含んでもよい。
【0013】
別の実施形態は、試料を第1部位に固定化された特異結合対の第2の要素を有する側流マトリックスに注入する工程と、固定化された特異結合対の第2の要素を通して側流マトリックスに沿って、第1部位の下流にある第2部位に試料を移動させる工程と、緩衝液を側流マトリックスに注入して、試料の側流マトリックスへと送る上流の位置で、側流マトリックス上で特異結合対の第1要素に結合できる乾燥標識試薬を集める工程と、固定化された特異結合対の第2の要素を通して側流マトリックスに沿って、第1部位の下流位置に緩衝液によって集められた標識試薬を移動させる工程とを含む、複数の非特異的結合対要素を含んだ試料中の特異結合対の第1要素を検出するための、発明に従った二段階側流分析法である。本発明はまた、このような方法を行うための側流分析装置を対象とする。
【0014】
本発明の装置および方法は、多くの観点において有利である。例えば試料が、その標識試薬との接触に先だって固定化試薬と接触する場合、標識試薬は試料分析物と固定化試薬との間の反応を妨げない。意外にも、これは試料分析物が複数の非特異的結合対要素を含む場合に、例えば試料がIgE抗体を含み、個人のIgE抗体タイプの検出が所望される場合に特に重要であることが分かった。予想外に本方法および装置は、顕著に改善されたIgE検出を提供する。さらに本装置および方法は、単一装置を使用して、試料中の、複数の分析物の簡便かつ効率的な検出を可能にし、また本発明の装置および方法は、医療関係者によって容易かつ正確に使用されて、ポイント・オブ・ケア試験を可能にするかもしれない。
【0015】
これらおよび追加の目的および利点は、以下の詳細な説明を参照してより明らかになるであろう。
【0016】
以下の詳細な説明は、図面を参照してより良く理解されるであろう。
【0017】
図面に記載された実施形態は本質的に例証的であり、特許請求の範囲によって定義される本発明を制限することは意図されない。さらに図面および本発明の個々の特徴は、詳細な説明を参照してより明らかになり、より良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、二段階側流分析装置および方法を対象とするものである。本方法および装置は、特に免疫測定法を実施して、試料が特異結合対の第1要素を含有する場合、第1要素定性的にまたは定量的に判定するのに適している。ここで述べられる特異的装置および方法は、例えば全血、または血液構成要素などの試料中のIgE抗体を同定するために有用かつ有利であるとして示唆されるが、血漿、血清、尿、唾液などをはじめとする様々な生体液試料中のその他の分析物を検出するために使用することも同じく発明の装置および方法の範囲内である。本装置および方法に従って検出されうるその他の分析物の例としてはこれらに限定されるものではないが、さまざまなタンパク質を含むが、これらに限定されず、抗体およびヒト血漿中に見られるその他のタンパク質などの、特定の生物学的機能を有するタンパク質、特定の微生物、特に病原性微生物に関連したタンパク質、タンパク質ホルモンなどである。
【0019】
一実施形態では、本発明の装置は、試料ポート、および試料ポート上流の緩衝液ポート、試料ポート下流の結果窓が設けられている筐体および任意に結果窓下流の対照窓と、試料ポート上流にあり緩衝液ポートを通して注入される一定量の緩衝液を受け入れるように適応された緩衝液ウェルおよび筐体内の側流経路は、それぞれが緩衝液ウェルから下流位置を通じて、例えば対照窓および側流マトリックスを含む、筐体内の側流経路を含む。本装置は、緩衝液ウェル下流で試料ポート上流である側流マトリックス上に配置され、例えばIgE抗体などの特異結合対の第1要素と結合でき、緩衝液ウェルから側流マトリックスに沿って通過する緩衝液によって側流マトリックス内で集められるように適応された、例えば標識抗IgE抗体などの乾燥標識試薬、および結果窓を通して見える第1部位で側流マトリックス上に固定化された、例えば複数のIgE抗原などの特異結合対の第2要素をさらに含む。装置は、含む場合、例えば簡便な未標識の特異結合対の第1要素など、標識試薬と結合できる一定量の未標識試薬と、第1部位から離れて下流にあり対照窓を通して見える第2部位で側流マトリックス上に固定化された未標識のIgE抗体を任意に含んでもよい。
【0020】
特定の実施形態では、本装置は、第1部位で側流マトリックス上のそれぞれの位置に固定化されて複数のIgE抗原種を含み、血液試料からの一連の可能なIgEアレルゲンに対して、IgE抗体検出のためのポイント・オブ・ケア試験を提供する。血液試料は、全血、または例えば血清または血漿などの分離血液構成要素を含んでなってもよい。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に従った装置10の筐体の概略上面図を示す。筐体は、例えば成型プラスチックを含むあらゆる適切な材料から形成されてもよく、好ましくは十分に硬質で、側流経路またはその中に収容される経路にサポートと安定性を提供する。単一の卵型試料ポート12が、試料ポート12上流の単一の卵型緩衝液ポート14と共に筐体上部上部13内に提供される。追加の試料および/または緩衝液ポートが提供されてもよいが、装置の簡単で簡便な使用を円滑にするために、筐体がそれぞれ1つだけ含むことが好ましい。図1の実施形態では、2つの結果窓16および18が、試料ポート12下流で、それぞれの側流経路内の、それぞれの検出ゾーン20および22上で、筐体上部13内に提供され、2つの対照窓24および26が、結果窓16および18の下流で、それぞれの側流経路内の、それぞれの対照ゾーン28および30上で、筐体上部13内に提供される。結果窓16および18と、対照窓24および26は、単に筐体上部内の開口部から構成されてもよく、または代案としては、開口部の1つ以上に透明な覆いが提供されてもよい。図1に示す装置は2つの結果窓および2つの対照窓を含むが、単一結果窓および/または単一対照窓を用いてもよく、または代案としては必要に応じて追加的結果窓および/または対照窓が提供されてもよいものと理解される。図1の実施形態では、側流経路は1つの結果窓および1つの対照窓と連係するが、このような一対一の対応は必要ではない。本装置中に視覚的制御シグナルを提供することが所望されない場合は、筐体から対照窓24および26を省略し、対照ゾーン28および30をそれぞれの側流経路から省略することも同様に本発明の範囲内である。
【0022】
記述される筐体上部13は筐体下部と組み合わさって、その中に2つの側流経路が封入される。上記のように本装置は、代案としては必要に応じて1つの流路、または3つ以上の側流経路を含んでもよい。図2は、本装置の筐体内に含有される、血液分離システムと組み合わさった2つの側流経路の上面図を記載する。図3は図2の線3−3に沿って切られ、組み合わせをさらに詳細に示す。図2および3では、平行側流経路32および34は、血液分離システム36上流の上流部分32aおよび34aと、血液分離システム36下流の下流部分32bおよび34bとを含む。
【0023】
血液分離システム36は、筐体上部内で試料ポート12の下に横たわり適応、試料ポートと側流経路との間に伸展するように適応される。血液分離システムは、側流経路を通過する試料が実質的に赤血球を含まないように、その中に赤血球を凝集するように適応された少なくとも1つの材料層を含んでもよい。血液分離システム36は、最上ガラス繊維濾紙層38、中間ガラス繊維濾紙層40、および底部ガラス繊維濾紙層42を含む。最上および中間濾紙層38および40の少なくとも1つ、好ましくは双方の中に、凝集剤を含有する。多数の凝集剤が当技術分野で知られており、ここで使用するのに適している。例えば凝集剤としては、マンニトール、ソルビトールまたはイノシトールなどの糖、1つ以上の赤血球結合抗体、レクチンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。組み立てられた側流分析装置中で、層38および40は試料ポート12の下に配置されて、試料ポートから試料を受け入れるのには十分大きいが、側流経路32および34に対して側方には伸展しない。底部層42は層40の下に配置されて側方に伸展し、各2つの側流ストリップに接触する。所望ならば底部濾紙層42はまた、赤血球凝集剤を含んでもよい。この層はまた、1またはそれ以上の添加剤を含有して、層38および40から受け入れられた濾過試料の側流経路32および34への流れを容易にしてもよい。例えば一実施形態では、層42はガラス繊維に結合したポリビニルアルコールを含む。下流方向の側流マトリックスに沿った流れを容易にするために、底部層42と側流経路との間の接触は、層42と側流経路32および34の各間の薄い液体不浸透性層44および46の配置によって上流側に限定される。例えば、層44および46はラミネーションテープなどから形成されていてもよい。層44および46の各下流縁は図2中の点線48によって示され、層42が側流経路32および34に接触する縁48下流の領域を図示する。
【0024】
視覚的シグナルを妨害しうる構成要素が濾過され除去された試料、すなわち赤血球が望ましく除去された全血試料を使用することが望ましい場合は、血液分離システム36を本発明の装置に含めてもよい。他方では、意図される試料がそれからのいかなる構成要素の濾過をも必要としない、すなわち血清試料である場合、血液分離システムは省略してもよい。代案としては、必要に応じて本発明の装置にその他の血液または試料分離システムを含めてもよい。
【0025】
図4が本発明に従った装置の拡大側面図を示すのに対し、図5は装置筐体内に装置を組み立てた後に線5−5に沿って切った本装置の断面図を示す。図4では、側流経路32が記載される。しかし側流経路34は図4の側面図には示されないが、側流経路34は側流経路32について記載されるのと同様の特徴群を含む。図示される実施形態の本装置の各側流経路は、多孔性または吸水性の側流マトリックス50を含み、毛管作用によってそこに注入される液体の側流を促進する。図4に示される側流マトリックス50は、試料ポート12の上流位置から伸展するメインストリップ52、および対応する結果窓16、18の下流位置の血液分離システム36を含む。メインストリップ52は、セルロースの材料および濾紙、ニトロセルロース、および酢酸セルロースなどを含むがこれらに限定されないセルロースから誘導される材料、またはナイロン、シリコーンなどを含むがこれらに限定されるものではないポリマーなど、あらゆる望ましい流動材料から形成されてもよい。材料の細孔は、それを通して、下でさらに詳しく述べる試料および標識試薬を流れさせるのに十分に大きくなくてはならない。適切な孔径は一般的に約0.4〜約1000μmの範囲であり、多くの場合、約0.4〜約100の範囲の孔径が適切である。特定の実施形態では、メインストリップ52はニトロセルロースから形成される。各メインストリップ52は、底部ガラス繊維濾過層42の部分を通じて、血液分離システム36と流体連絡するが、それらとの間の接触は、例えばラミネーションテープ層44によって制限される。
【0026】
側流経路32および34の各メインストリップ52は、第1部位に、対応する結果窓16および18を通して見えるそれぞれの検出ゾーン20および22を含む。各検出ゾーンは、試料中に含有される第1要素との反応およびその固定化のための特異的結合対の少なくとも1つの第2要素がその上に固定化される。ここで開示されるような特定の実施形態では、各メインストリップの検出ゾーンは、検出のために所望される一連のIgEアレルゲンに特異的な、一連のIgE抗体を含有する。抗原は、各タイプの抗原が、検出ゾーン内の離れた位置で固定化されるように注入される。必要に応じて様々なIgE抗原の組み合わせを用いてもよい。例えば検出ゾーン内での固定化に適したIgE抗原としては、例えばオオアワガエリ、栽培ライ麦、樺、ハンノキ、ヘーゼルナッツ、ヨモギ、ヘラオオバコ、サワギク、および/またはイラクサなどの花粉、例えばコナヒョウヒダニ(D.farinae)、ヤケヒョウヒダニ(D.pteronyssinus)、および/またはハウスダストなどのダストアレルゲン、例えばススカビ(Alternaria tenuis)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、クロカビ(Cladosporium)、および/またはアオカビ(Penicillium notatum)などのカビ、例えば、ネコのふけ、イヌのふけ、ウマのふけ、および/またはガチョウの羽根などの動物上皮、例えば乳製品、穀類、ナッツ、海産物、および/または豆類などの食物、例えば花粉I(イネ科草本)、花粉II(雑草/樹木)、動物混合物、ダスト混合物、および/またはカビ混合物などの吸入性混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。IgEアレルゲン、またはその他の特異結合対の第2要素は、要素をフローマトリックス内で固定化して分析条件下で固定化を維持するのに十分な、当技術分野で既知のあらゆる様式で検出ゾーンのメイン試験ストリップに付着される。
【0027】
一実施形態では、フローマトリックス孔内に固定化される粒子にIgEアレルゲンを付着して、それぞれのアレルゲンをフローマトリックス内に固定化する。このような固定化粒子については当技術分野で知られており、例えば二酸化ケイ素粒子および任意に合成的に架橋された合成付加ポリマー、合成縮合ポリマー、および生体ポリマーなどの有機ポリマー粒子が挙げられる。粒子は、適切にはフローマトリックスの孔内に受け入れられ、保持されるサイズである。一実施形態では、固定化粒子は、検出ゾーン中の第1部位の側流マトリックス流路の最少内部寸法よりも小さい直径を有する。適切な粒子の例としては、参照によって本明細書に援用するファルマシア・ダイアグノスティックス(Pharmacia Diagnostics)ABのPCT出願国際公開第99/36780号パンフレットで教示されるものが挙げられる。一実施形態では、これもまた前述のファルマシア・ダイアグノスティックス(Pharmacia Diagnostics)ABのPCT出願国際公開第99/36780号パンフレットで教示されるように、固定化粒子が例えばポリスチレンホモポリマーまたはコポリマーラテックス粒子などの合成ポリマーラテックスから形成され、アルコール性水酸基などの親水性基で処理されて、抗原またはその他の特異結合対の第2要素の固定化および反応が改善される。
【0028】
図1に示すように、それぞれの検出ゾーンに固定化されるそれぞれのIgE抗原種の位置を識別するために、筐体上部13の外面に、各結果窓に隣接する証印(Indicia)15が設けられていてもよい。証印は、テキスト、図、アイコン、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。これらの証印はその結果、本装置が分析を行うのに用いられて表示されるあらゆる陽性結果を、医療関係者が読み取るのを助けるだろう。
【0029】
各側流マトリックス50は、メインストリップ52の上流端と流体連絡する上流下方芯54、およびメインストリップ52の下流端と流体連絡する下流上方芯56をさらに含む。筐体に対照窓が設けられている場合、上方芯がそれぞれの対照窓の下に配置されてもよい。したがって図4に示すように各上方芯56が、それぞれの対照窓24、26の下に配置される。上方および下方芯54および56は、セルロース材料と、濾紙、ニトロセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースから誘導される材料と、ナイロンなどを含むが、これらに限定されないあらゆる望ましい流動材料から形成される。一実施形態では、芯はガラス繊維濾紙から形成される。
【0030】
メインストリップ52との接触点上流の位置において、各下方芯54は乾燥標識試薬58を含む。以下でさらに詳細に述べるように、標識試薬は、ひとたび緩衝液が本装置に注入されると、側流マトリックス中を流れて集めするように適応される。標識試薬は、第1特異結合対要素が、それによって固定化された第2特異結合対要素と反応するのとは異なる結合部位において、特異結合対の第1要素と反応できなくてはならない。さらに標識試薬は、視覚的に検出可能な標識を含むか、または視覚的に検出可能な標識と反応性であるかのいずれかである。特定の実施形態では、標識試薬は視覚的に検出可能な標識を含む。このような標識は当技術分野でよく知られており、発色団、蛍光団、放射性化合物、酵素などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、標識試薬上でこのようないずれかの標識を用いてもよい。標識試薬は、金属ゾル粒子を含むがこれに限定されるものではない、当技術分野で知られている技術に従って粒子を構成して、その使用を容易にしてもよい。一実施形態では、標識試薬はIgE抗体と結合するように適応される。より具体的な実施形態では、標識試薬は標識抗IgE抗体を含む。より具体的な実施形態では、標識試薬は金ゾル標識抗IgE抗体を含み、例えばその上に抗IgE抗体を有する金ゾル粒子溶液をガラス繊維濾紙上に噴霧して、噴霧された溶液を乾燥させることで下方芯上に提供される。
【0031】
各上方芯56は、任意にそれぞれの対照窓24、26の下に、対照ゾーン28、30を有してもよい。各対照ゾーンには、標識試薬と結合できる一定量の未標識試薬を含む乾燥対照試薬が提供される。一実施形態では、未標識試薬は特異結合対の第1要素を含む。乾燥対照試薬は、検出ゾーンの第1部位の下流にあって、少なくとも1つの対照窓を通して見える、対照ゾーンの第2部位の側流経路内に固定化される。この固定化された第1要素は未標識であり、以下で述べるように使用して、本分析装置が適切に作動したことを確認してもよい。例えば一実施形態では、各対照ゾーンは、未標識固定化IgEまたは抗マウス抗体を含む。
【0032】
さらに別の実施形態では、各対照ゾーンには、最初に少なくとも1つの水溶性染料の可視マーキングが設けられており、対照窓を通して見える。水溶性染料の可視マーキングは、例えば図1に示す線17のようなあらゆる形態であってもよい。以下で述べるように、このマーキングを使用中に分析装置に試料が適切に注入されたことを確認するために、そして緩衝液の注入によって分析手順を完了するシグナルとして使用してもよい。一実施形態では、水溶性染料マーキングは、標識試薬標識のいかなる可視色とも異なる色であり、および/または水溶性染料マーキングは、対照ゾーンに注入される対照試薬の形状またはパターンとは異なる形状である。その結果、使用者は水溶性染料マーキングと、その中の標識試薬結合の結果として対照ゾーン中に引き続いて現れるあらゆるマーキングとを容易に識別できる。
【0033】
上方芯56の下流端は、側流マトリックスから過剰な液体を収集するためのシンクと任意に接してもよい。このようなシンクは、各マトリックスに沿った側流を促進するのをさらに助けてもよい。
【0034】
図4および5に示すように、装置は緩衝液ウェル62が設けられている底部筐体60をさらに含む。緩衝液ウェル62は、緩衝液ポート14を通して装置に注入される緩衝液を受け入れるための緩衝液ポート14の下に配置される。緩衝液ポートは、一定量の緩衝液、すなわち生理食塩水を保持するのに十分に大きいサイズであり、各下方芯54上の乾燥標識試薬を集めて、集めた標識試薬を各側流マトリックスに沿って、それぞれの上方芯56上の、それぞれの対照ゾーン28、30に輸送するのに効果的である。緩衝液ウェルはひとたび緩衝液が装置に注入されると、各側流経路の各下方芯54の上流端がウェル内の緩衝液と流体接触するように、本装置を横切って側方に伸展する。したがって緩衝液の単回注入は、中各側流経路内の側流を活性化する。緩衝液ウェル62からの各下方芯54に沿った、緩衝液液体の側流を容易にするために、緩衝液ウェルの下流壁は64に示すように勾配していてもよい。
【0035】
さらに側流マトリックスの下に横たわる液体不浸透性層または支持材を提供してもよい。図4に示すように、液体不浸透性層59は、緩衝液ウェル62、メインストリップ52、および上方芯56から伸展する、下方芯54の部分下に提供される。特定の実施形態では、層は、接着剤が側流マトリックスに向いて組み立てられ、側流経路上の適所に側流マトリックスを保持するのを助ける、接着剤被覆可塑性フィルムから形成される。
【0036】
図4および5はまた、筐体が、様々な層およびストリップを筐体内に配置させて、それらを組み立てられた装置内で適所に保持するための1つ以上の押さえ棒、支持材および/または位置決め杭を含んでもよいことも示す。例えば筐体上部13には、下方芯54上流部分を緩衝液ウェルの定位置に保持するための押さえ棒66、および下方芯54下流端とメインストリップ52上流端とを互いに接触させ、組み立てられた装置中の定位置に保持するための押さえ棒68が設けられている。血液分離システム36の領域内で、筐体上部13には、層38および40を試料ポート12の下で適所に保持するための押さえ棒70、および層42および薄層44と側流経路32および34のメインストリップ52とを接触させて保持するための、押さえ棒70の両側の押さえ棒72が設けられている。さらに筐体上部は、メインストリップ52の下流端と上方芯56の上流端とを互いに接触させて、組み立てられた装置中の定位置に保持するための押さえ棒73を含む。一実施形態では、これらの押さえ棒は、例えば筐体上部が成型プラスチックから形成される際に、筐体上部13と一体的に形成されてもよい。代案としては、押さえ棒の1つ以上が別の構成要素として提供されてもよい。特定の実施形態では、筐体上部は結果窓領域内にいかなる押さえ棒も含まず、検出ゾーン内におけるいかなる加圧も防止する。
【0037】
筐体底部60には、1つ以上の支持材または位置決め構造物が設けられていてもよい。表示の実施形態では、筐体底部60は、血液分離システム36を試料ポート12下の適所に保持して、メインストリップ52と位置合わせするのを助ける支持床74を含む。層38および40に隣接する領域内では、支持床74は上流および下流フランジ76および78を含んで、下位層42およびメインストリップ52への試料流動を容易にし、および/または血液分離システムを適所に保持するのをさらに助ける。さらに筐体底部60は緩衝液ウェルにおける下方芯54の上流端の配置を助ける上流位置決め杭80、および対照ゾーン領域における上方芯56下流端の配置を助ける下流杭82を含む。各芯および/またはストリップには、位置決め杭または位置決め杭部分を受け入れるための1つ以上の切り込み、穿孔または孔が任意に設けられていて、ストリップを適所に保持するのをさらに助けてもよい。
【0038】
図6〜8は、本発明に従った、単一側流マトリックスを含有する装置の別の実施形態を対象とする。より詳しくは、筐体は、図1との関連でさらに詳しく述べられるものと構造が類似し、単一の卵型試料ポート112および試料ポート112上流の単一の卵型緩衝液ポート114が設けられている筐体上部113を含む。本装置の簡単で簡便な使用を容易にするために、筐体が試料および緩衝液ポートを各1つのみ含むことが好ましいが、追加的試料および/または緩衝液ポートが提供されてもよい。筐体上部113は、試料ポート112下流にあり、側流経路内に含まれる検出ゾーン120上に配置される結果窓116がさらに設けられている。筐体113には、結果窓116下流にあり、対照ゾーン128の上の対照窓124がさらに設けられていてもよい。前述のように対照ゾーン128が任意に装置に含まれて、同様に例えば図6で117に示される対照窓を通して見える水溶性染料の少なくとも1つの可視マーキングが任意に設けられていてもよい。マーキング117を使用中に本分析装置に試料が適切に注入されたことを確認するための、そして緩衝液の注入によって分析手順を完了するシグナルとして使用してもよい。結果窓116および対照窓124は、単に筐体上部中の開口部から構成されてもよく、または代案としては片方または双方の開口部に透明な覆いが提供できる。筐体上部113にはまた、検出ゾーン中に固定化されたそれぞれの特異結合対要素の位置を識別するために、結果窓に隣接する証印115が設けられ、例えば検出ゾーン120中に固定化されたそれぞれのIgE抗原種の位置を識別してもよい。
【0039】
図7が図6の装置中で使用するのに適した側流マトリックスの概略上面図を示すのに対し、図8は図7の側流マトリックスの概略側面図を示す。図7に関して述べると、側流経路132は血液分離システム136の上流にある上流部分132a、および血液分離システム136の下流にある下流部分132bを含む。上述の実施形態と同様に、血液分離システム136は、筐体上部中で試料ポート112の下に横たわるように適応される。血液分離システムは、血液分離システム36について上述した実施形態のいずれかを含んでもよく、または所望ならば省略してもよい。図8に示す実施形態では、システム136は、最上ガラス繊維濾紙層138、中間ガラス繊維濾紙層140、および底部ガラス繊維濾紙層142を含む。ガラス繊維濾紙層の1つまたはそれ以上は、試料から赤血球を除去するための凝集剤、および/または濾過試料の側流経路132への流れを容易にする添加剤を含んでもよい。下流方向の側流マトリックスに沿った流れを容易にするために、底部層142と側流経路との接触は、層142上流部分と側流経路132との間の薄い液体不浸透性層144の配置によって、層142上流側に限定される。層144はラミネーションテープなどから形成されてもよく、層144の下流縁は図7中の点線148によって示される。
【0040】
側流経路は側流マトリックス150を含み、それは多孔性または吸水性で毛管作用によってそこに注入される液体側流を促進する。図8に示すように、側流マトリックスは、試料ポート112および血液分離システム136の上流位置から結果窓116の下流位置に伸展する、メインストリップ152を含む。メインストリップ152は、メインストリップ52に関して既述されたものをはじめとする、あらゆる望ましい流動材料から形成されてもよい。メインストリップ152は、試料中に含有される第1要素の固定化との反応のために、特異結合対の少なくとも1つの第2要素がその上に固定化された検出ゾーン120を含む。特定の実施形態では、メインストリップ152の検出ゾーンは、検出が所望される一連のIgE抗体に特異的な複数のIgEアレルゲンを含有する。
【0041】
側流マトリックス150は、メインストリップ152上流端と流体連絡する上流下方芯154、およびメインストリップ152下流端と流体連絡する下流上方芯156をさらに含む。図7では、メインフローストリップ152の上流縁が点線153によって示される一方、メインストリップ152の下流縁は点線155によって示される。上流下方芯154は、メインストリップ152との接触点の上流位置に、上述の様式でひとたび緩衝液が装置に注入されると、側流マトリックスを通る流れによって集められるように適応された乾燥標識試薬185を含む。したがって上方芯154上流端は、好ましくは、図4に示す様式で、装置の底部筐体中に含有される緩衝液ウェル内に伸展する。下流上方芯156は対照窓124下に配置され、固定化未標識試薬128は、図6に示すように対照窓124を通して現れる位置にある。
【0042】
側流マトリックスは、図4および5に関して上述されたものをはじめとする、技術分野で知られているあらゆる様式で装置筐体内に配置され保持されてもよい。一実施形態では、液体不浸透性層または支持材159が、側方のマトリックス下に横たわるように提供される。
【0043】
本発明に従った装置の操作では、試料が収集される。例えばIgE抗体の同定が所望される場合、分離された血液構成要素、またはその他の試料を用いてもよいが、全血試料が収集される。試料収集は、好ましくは、装置内で側流マトリックスに沿って側流経路の対照ゾーンへ移動するのに適切な試料容積を提供するのに十分なサイズの毛細管装置内で行なわれる。毛細管などからの定量した試料の注入は、装置の適切な使用に必要な量を超える試料の注入を防止するのを助ける。毛細管は、任意に例えば、ヘパリンなどの抗凝固剤を含有してもよい。全血試料は、毛細管装置から試料ポートに提供される。血液試料が、試料ポートから上部、中間、および底部ガラス繊維濾紙層を通って下方に移動するに連れて、赤血球は凝集して濾紙層に保持される。すなわち上部および中間濾紙層中に含有されるマンニトールなどの凝集剤が赤血球のための凝集剤として作用し、それらが濾紙層を通って通過するのを防止する。その結果、赤血球を含まない血漿試料が、底部ガラス繊維濾紙層から側流経路のメインストリップに送られる。
【0044】
血漿試料がひとたびメインストリップに接触すると、試料は、結果窓下方のそれぞれの検出ゾーンに向かって側方に流れ、そこで分析試料中の特異的IgE抗体は、それぞれの固定化特異的IgEアレルゲン粒子と結合する。試料血漿は、ストリップに沿って上方芯に流れ続けて、そこで対照窓から水溶性染料マーキングを洗い流し、試験手順の試料添加ステップが完了したことの視覚的確認を提供する。用いられる本装置が任意の対照窓を含まない場合、使用者は単に、例えば5分間などの所定時間を経過させて、試験手順の試料添加ステップの完了を確実にしてもよい。
【0045】
次に好ましくは生理食塩水である緩衝液が、緩衝液ポートを通じて緩衝液ウェルに添加される。緩衝液はウェル内に伸展する下方芯上流部分によってウェルから吸収され、下方芯の長さに沿って側方に流れるに連れて緩衝液は乾燥標識試薬を集め、集められた標識試薬を全長メインストリップに沿って上方芯に運ぶ。標識試薬がメインストリップ上の検出ゾーンを通過するに連れて、それは固定化IgEアレルゲン粒子と結合するあらゆるIgE抗体分析物と結合するので、視覚的に検出可能なマーキングが得られる。筐体上部上の証印は、結果窓内のあらゆる視覚的に検出可能なマーキングと抗体/アレルゲン情報とを相関させ、検出ゾーン内で結合するIgE抗体の同定を判定するのを可能にする。
【0046】
緩衝液液体が、過剰な標識試薬を上方芯および対照ゾーンに運ぶに連れて、対照ゾーン中に固定化されたIgE抗体に結合した標識試薬は、追加的な視覚的に検出可能なマーキングを生じる。各対照ゾーン内のマーキングの外観は、標識試薬が成功裏に検出ゾーンを通過して、試験が完了したことの視覚的確認を提供する。
【0047】
したがって本発明の分析装置は、二段階分析を行うために適応される。本発明に従った装置の使用を容易にするために、本装置は、上述のように装置内で使用するのに適切な量の試料を提供するのに効果的なサイズの毛細管装置と組み合わせたキット中で提供してもよい。キットは、任意に、標識試薬を集めて、標識試薬を側流マトリックスに沿って対照ゾーン中に輸送するのに効果的な一定量の緩衝液、すなわち生理食塩水をさらに含んでもよい。さらに別の実施形態では、本発明に従ったキットは、上述されるような複数の分析装置、装置への注入のために試料を収集するための対応する複数毛細管、および装置の適切使用に十分な生理食塩水の供給を含んでもよい。生理食塩水は単一パッケージで供給されてもよく、または複数の分析装置に対応する複数の個々のパッケージで供給されてもよい。
【0048】
本発明に従った分析法および装置は、二段階、すなわち試料注入とそれに続く緩衝液注入を伴うが、本方法および装置は、エラーなしに方法が正しく実施されたことを確認して、簡易にかつ簡便に用いられる。すなわち単一試料ポートは、それぞれが検出ゾーン内に固定化された複数の結合要素、すなわち特異性の異なるIgE抗体を有する、1つ、2つまたはそれ以上の側流経路に試料を送ることができるので、例えば複数のIgE抗体などの複数分析物を試験するために、単回の試料注入のみが必要とされる。さらに緩衝液ウェルは緩衝液を全ての側流経路に分布するので、複数IgE抗体などの複数分析物を試験する場合でさえも、単回の緩衝液注入のみが必要とされる。さらにその上、対照ゾーンには検出反応を妨害することなく、初期段階で水溶性染料マーキングが設けられていてもよいので、容易に検出可能なシグナル、すなわち水溶性染料マーキングの消失が、試料が成功裏に検出ゾーンから対照ゾーンに横切った時点を示唆し、次に緩衝液が適切に注入される。最後に標識試薬が成功裏に検出ゾーンから対照ゾーンへ横切ると、対照ゾーンにおける標識試薬と固定化IgE抗体との反応によって、容易に検出可能なシグナルが起き、それによって分析法完了時に明白なシグナル伝達が起きる。したがって二段法および装置は、簡便かつ信頼性がある。
【0049】
さらに分析法は二段階で行なわれ、分析物含有試料はそれが標識試薬と接触する前に固定化特異結合対要素と接触させられるので、IgE抗体検出が所望される場合に、特に全血試料などの複数の非特異結合対要素を含有する試料のためにより正確な分析物検出方法が達成される。IgE抗体は検出ゾーンにおいてそれぞれの抗原と反応させ、ひとたびこれらの反応が起きると、次に引き続く緩衝液注入によって標識試薬が検出ゾーンに輸送される。意外にも標識試薬が検出ゾーン内の抗体抗原反応を妨げない場合、分析法および装置が改善された感度を示して、より正確なIgE抗体の同定が得られる。
【0050】
以下の実施例で、本発明の方法および装置の利点を実証する。
【実施例】
【0051】
様々な分析を行って、血清試料混合物中のIgE抗体を検出した。試料混合物は、以下の表に記載するように、既知量の4つのIgE抗体(e1、t3、およびd1)で、多数の異なるIgE抗体を含有していた。各試料の総IgE抗体含量を測定し、また下の表に記載する。各試料混合物のために本発明に従った二段階分析法を実施し、そこでは試料を側流分析の検出ゾーン内の固定化IgE抗原に接触させて、その後に(金ゾル粒子上の)標識抗lgE抗体を検出ゾーンに輸送した。得られた検出ゾーン内の可視的変色を0(変色なし)から5(最大変色を示す)の尺度で評価し、その結果を表に記載する。比較の目的で、試料をまた技術分野で一般に用いられるような一段法を使用して分析し、そこでは背景技術で考察される先行技術において教示される一連の方法に沿って、試料を検出ゾーン内への試料到着に先だって(金ゾル粒子上の)標識抗lgE抗体と接触させる。得られた検出ゾーン内の可視的変色を前述の尺度で評価し、また結果を下の表に記載する。
【0052】
【表1】

【0053】
表に記載される結果は、意外にも本発明に従った二段法が、先行技術で一般に教示される一段法と比べてIgE抗体検出に関して特に高い抗体濃度で、改善された感度を示すことを実証する。したがって本方法および装置は、簡便なIgE抗体試験のためのポイント・オブ・ケア技術を提供するだけでなく、改善されたアレルギー診断のために、特定のIgE抗体の検出における改善された感度もまた提供する。
【0054】
ここで述べられる特定の例証および実施形態は、事実上例示的のみを意図し、特許請求の範囲によって定義される本発明を限定することは意図されない。さらに別の実施形態および実施例は、この明細書に照らして当業者には明らかであり、特許請求される発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】2つの側流マトリックスを含有する、本発明に従った装置の一実施形態における筐体の概略上面図である。
【図2】本発明に従った別の実施形態における血液分離システムと組み合わさった、図1に従った装置の側流マトリックスの概略上面図である。
【図3】図2の線3−3に沿って切断した横断面図である。
【図4】本発明に従った装置の分解側面概略図である。
【図5】組み立て形態にある本発明に従った装置の図4の線5−5に沿って切断した横断面図である。
【図6】1つの側流マトリックスを含有する、本発明に従った別の実施形態の、装置の筐体の概略上面図である。
【図7】1つの側流マトリックスを含有する、本発明に従った図6の装置の、側流マトリックスの概略上面図である。
【図8】図7の装置の側流マトリックスの概略側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部位のそれぞれの部位に固定化された複数のIgE抗原種を有する側流マトリックスに試料を送るように適応された装置の試料ポートに、試料を注入する工程と、
前記固定化複数IgE抗原種を通して前記側流マトリックスに沿って、前記第1部位の下流にある第2部位に、前記試料を移動させる工程と、
緩衝液を前記側流マトリックスに注入して、IgE抗体と結合するように適応された標識試薬であって、側流マトリックスへ前記試料を送る位置の上流にあり前記側流マトリックス上において乾燥状態にある標識試薬を集める工程と、
前記固定化複数IgE抗原種を通して側流マトリックスに沿って、前記第1部位の下流部位に、前記緩衝液によって集められた前記標識試薬を移動させる工程と
を含む、試料中のIgE抗体を同定するための二段階側流分析法。
【請求項2】
前記緩衝液が乾燥標識試薬上流の緩衝液ポートを通して注入される、請求項1に記載の二段階法。
【請求項3】
前記緩衝液が、前記緩衝液ポートから、前記側流マトリックスと流体連通する緩衝液ウェルに送られる、請求項2に記載の二段階法。
【請求項4】
前記試料が全血試料であり、前記装置が、前記試料を濾過して実質的に赤血球を含まない濾過試料を前記側流マトリックスに送るように適応される、請求項1に記載の二段階法。
【請求項5】
前記試料が、その中で赤血球を凝集するように適応された少なくとも1つの材料層を通して前記試料を通過させることで濾過される、請求項4に記載の二段階法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの材料層が凝集剤を含む、請求項5に記載の二段階法。
【請求項7】
前記濾過された試料の第2部位への移動が第2部位における可視変化によって検出され、前記緩衝液が可視変化の検出後に注入される、請求項1に記載の二段階法。
【請求項8】
前記標識試薬が第2部位に移動する前記緩衝液によって集められる、請求項1に記載の二段階法。
【請求項9】
前記標識試薬の第2部位への移動が第2部位における可視変化によって検出される、請求項8に記載の二段階法。
【請求項10】
前記標識試薬が抗IgE抗体を含む、請求項1に記載の二段階法。
【請求項11】
前記試料が全血である、請求項1に記載の二段階法。
【請求項12】
試料ポート、前記試料ポート上流の緩衝液ポート、および前記試料ポート下流の結果窓が設けられている筐体と、
前記試料ポート上流にあり、前記緩衝液ポートを通して注入される一定量の緩衝液を受け入れるように適応された緩衝液ウェルと、
緩衝液ウェルから下流位置に伸展する側流マトリックスを含む、前記筐体内の側流経路と、
前記緩衝液ウェル下流にあり前記試料ポート上流の前記側流マトリックス上に配置されるIgE抗体と結合するように適応された乾燥標識試薬であって、緩衝液ウェルから側流マトリックスに沿って通過する緩衝液によって側流マトリックス中で集められるように適応された前記乾燥標識試薬と、
前記結果窓を通して見える第1部位にある、前記側流マトリックス上のそれぞれの位置に固定化された複数のIgE抗原種と、
を含む、試料中のIgE抗体を同定するための側流免疫測定装置。
【請求項13】
前記側流マトリックスがその上流端に、前記緩衝液ウェルから前記側流マトリックスへ緩衝液を送るように適応された上流芯を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記標識試薬が前記側流マトリックスの前記上流芯上に提供される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記筐体に前記結果窓下流の対照窓が設けられており、前記側流マトリックスがその下流端に下流芯を含み、前記下流芯上の前記第1部位から離れて下流の前記対照窓を通して見える位置に、未標識IgEまたは抗マウス抗体が固定化される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記下流芯が、前記装置へのあらゆる液体添加に先だって前記対照窓を通して見える水溶性マークを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記側流マトリックスが、前記上流芯と前記下流芯との間のニトロセルロースマトリックスまたはポリマーマトリックスを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記ニトロセルロースマトリックスが試料ポート上流に伸展する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記筐体に1つの試料ポートおよび1つの緩衝液ポートが設けられており、前記装置が2つの側流経路、2つの結果窓、および2つの対照窓を含み、各側流経路がそれぞれの結果窓およびそれぞれの対照窓と連係する、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記2つの側流経路が実質的に平行である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
さらに前記試料ポートと前記側流マトリックスとの間に血液分離システムを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項22】
前記血液分離システムが、その中で赤血球が凝集するように適応された少なくとも1つの材料層を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記血液分離システムが、凝集剤を含む少なくとも1つのガラス繊維濾紙層を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記凝集剤がマンニトールを含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記血液分離システムが、前記試料ポート下の位置から前記側流マトリックスに伸展する下層を含み、前記血液分離システムと前記側流マトリックスとの間に流体連通をなすように適応される、請求項21に記載の装置。
【請求項26】
前記複数のIgE抗原種が、前記第1部位の前記側流マトリックス上に固定化されている粒子で、表面に親水性基を提示し前記第1部位の前記側流マトリックスの流路の最少内部寸法よりも小さい直径を有する固定化粒子に付着する、請求項12に記載の装置。
【請求項27】
前記筐体が前記結果窓に隣接する証印を含み、前記それぞれのIgE抗原種の位置が識別される、請求項12に記載の装置。
【請求項28】
前記標識試薬が金属ゾルで標識された抗IgE抗体を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項29】
前記標識抗IgE抗体が金ゾルで標識される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
一定量の全血を収集するための毛細管、および前記毛細管からの前記一定量の全血を受け入れるように適応された請求項12に記載の装置を含む、試料中のIgE抗体を同定するためのキット。
【請求項31】
さらに前記標識抗体を集めさせ、前記標識抗体を前記側流マトリックスに沿って第2部位に輸送するのに十分な量の緩衝液含む、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
血液試料を請求項12に記載の装置の前記試料ポートに注入する工程と、所定時間経過後に緩衝液を前記緩衝液ポートに注入する工程とを含む、試料中のIgE抗体を同定するための二段階側流分析法。
【請求項33】
少なくとも1つの試料ポート、および前記試料ポート上流の少なくとも1つの緩衝液ポート、および前記試料ポート下流の少なくとも1つの結果窓が設けられている筐体と、
前記試料ポート上流にあり前記緩衝液ポートを通して注入される一定量の緩衝液を受け入れるように適応された緩衝液ウェルと、
それぞれが前記緩衝液ウェルから下流位置に伸展して側流マトリックスを構成する前記筐体内の少なくとも2つの側流経路と、
前記緩衝液ウェル下流にあり前記試料ポート上流の各側流マトリックス上に配置されるIgE抗体と結合するように適応され、前記緩衝液ウェルから前記側流マトリックスに沿って通過する緩衝液によって前記側流マトリックス内で集められるように適応された乾燥標識試薬と、
前記結果窓の少なくとも1つを通して見える第1部位にある、各側流マトリックス上のそれぞれの位置に固定化された複数のIgE抗原種と
を含む、試料中のIgE抗体を同定するための側流免疫測定装置。
【請求項34】
前記筐体に結果窓下流の少なくとも1つの前記対照窓が設けられており、さらに前記装置が、前記第1部位から離れて下流にあり対照窓の少なくとも1つを通して見える第2部位の各側流マトリックス上に固定化された未標識のIgE抗体を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
各側流マトリックスが、その上流端に、前記緩衝液ウェルから前記側流マトリックスへ緩衝液を送るために適応された上流芯を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記標識試薬が各側流マトリックスの前記上流芯上に提供される、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
各側流マトリックスが、その下流端に下流芯を含み、前記下流芯上に未標識IgEまたは抗マウス抗体が固定化される、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
各下流芯が前記装置への液体の添加に先だって前記対照窓を通して見える水溶性マークを含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
各側流マトリックスが前記上流芯と前記下流芯との間のニトロセルロースマトリックスを含み、前記複数のIgE抗原種が固定化される前記第1部位がニトロセルロースマトリックス上にある、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
各ニトロセルロースマトリックスが前記試料ポート上流に伸展する、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記筐体に1つの試料ポートおよび1つの緩衝液ポートが設けられており、前記装置が2つの側流経路、2つの結果窓、および2つの対照窓を含み、各側流経路がそれぞれの結果窓およびそれぞれの対照窓に連係する、請求項33に記載の装置。
【請求項42】
さらに前記試料ポートと前記側流マトリックスとの間の血液分離システムを含む、請求項33に記載の装置。
【請求項43】
前記血液分離システムが、前記試料ポート下の位置から各側流マトリックスに伸展する下層を含み、血液分離システムと各側流マトリックスとの間に流体連通をなすように適応される、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記複数のIgE抗原種が、前記第1部位の側流マトリックス上に固定化されている粒子で、表面に親水性基を提示し前記第1部位の前記側流マトリックスの流路の最少内部寸法よりも小さい直径を有する固定化粒子に付着する、請求項33に記載の装置。
【請求項45】
前記筐体が前記結果窓に隣接する証印を含み、それぞれのIgE抗原種の前記位置が識別される、請求項33に記載の装置。
【請求項46】
前記標識試薬が金属ゾルで標識された抗IgE抗体を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項47】
前記標識抗IgE抗体が金ゾルで標識される、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
一定量の全血を収集するための毛細管、および前記毛細管からの前記一定量の全血を受け入れるように適応された請求項33に記載の装置を含む、試料中のIgE抗体を同定するためのキット。
【請求項49】
さらに前記標識試薬を集めさせ、前記標識試薬を前記側流マトリックスに沿って第2部位に輸送するのに十分な量の緩衝液を含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
血液試料を請求項33に記載の装置の前記試料ポートに注入する工程と、所定時間経過後に、緩衝液を前記緩衝液ポートに注入する工程とを含む、試料中のIgE抗体を同定するための二段階側流分析法。
【請求項51】
1つの試料ポート、前記試料ポート上流の1つの緩衝液ポート、前記試料ポート下流の少なくとも1つの結果窓、および任意に前記結果窓下流の少なくとも1つの対照窓が設けられている筐体と、
前記試料ポート上流にあり前記緩衝液ポートを通して注入される一定量の緩衝液を受け入れるように適応された緩衝液ウェルと、
それぞれが前記緩衝液ウェルから下流位置に伸展して側流マトリックスを構成する前記筐体内の少なくとも2つの側流経路と、
前記特異結合対の第1要素と結合でき、前記緩衝液ウェル下流で前記試料ポート上流にある各側流マトリックス上に配置され、前記緩衝液ウェルから前記側流マトリックスに沿って通過する緩衝液によって前記側流マトリックス内で集められるように適応された乾燥標識試薬と、
前記結果窓を通して見える第1部位にある、各側流マトリックス上に固定化された特異結合対の第2要素と、
を含む、複数の非特異的結合対要素を含む試料中の特異結合対の第1要素を検出するための側流分析装置。
【請求項52】
さらに前記第1部位から離れて下流にあり、前記対照窓の少なくとも1つを通して見える第2部位の各側流マトリックス上に固定化される未標識の一定量の特異結合対の前記第1要素を含む、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
さらに前記試料ポートと前記側流マトリックスとの間の血液分離システムを含み、前記血液分離システムがその中で赤血球を凝集するように適応された少なくとも1つの材料層を含む、請求項51に記載の装置。
【請求項54】
前記血液分離システムが、前記試料ポート下の位置から各側流マトリックスに伸展して、前記血液分離システムと各側流マトリックスとの間に流体連通をなすように適応された下層を含む、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
試料ポート、前記試料ポート上流の緩衝液ポート、前記試料ポート下流の結果窓、および前記結果窓下流の対照窓が設けられている筐体と、
前記試料ポート上流にあり前記緩衝液ポートを通して注入される一定量の緩衝液を受け入れるように適応された緩衝液ウェルと、
前記緩衝液ウェルから前記対照窓に伸展して側流マトリックスを構成する前記筐体内の側流経路と、
緩衝液ウェル下流で前記試料ポート上流にある前記側流マトリックス上に配置され、緩衝液ウェルから側流マトリックスに沿って通過する緩衝液によって側流マトリックス中で集められるように適応され、特異結合対の第1要素と結合できる乾燥標識試薬と、
前記結果窓を通して見える第1部位の前記側流マトリックス上に固定化された特異結合対の第2要素と、
前記第1部位と離れて下流にあり対照窓を通して見える第2部位の前記側流マトリックス上に固定化される前記標識試薬と結合できる未標識試薬と、
を含み、複数の非特異的結合対要素を含む、試料中の特異結合対の第1要素を検出するための側流分析装置。
【請求項56】
第1部位に固定化された特異結合対の第2要素を有する側流マトリックスに、試料を注入する工程と、
前期固定化された特異結合対の第2要素を通して前記側流マトリックスに沿って、前記第1部位の下流にある第2部位に、前記試料を移動させる工程と、
緩衝液を前記側流マトリックスに注入して、前記試料を側流マトリックスへ送る上流の位置で、側流マトリックス上で特異結合対の第1要素に結合できる乾燥標識試薬を集める工程と、
前記固定化された特異結合対の第2要素を通して前記側流マトリックスに沿って、前記第1部位の下流部位に、前記緩衝液によって集められた前記標識試薬を移動させる工程と、
を含む、複数の非特異的結合対要素を含んだ試料中の前記特異結合対の第1要素を検出するための二段階側流分析法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−542708(P2008−542708A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512956(P2008−512956)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003976
【国際公開番号】WO2007/063423
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(506329801)ファディア・アクチボラグ (7)