説明

二種混合容器

【課題】二種を分離した状態で保管し、直前に混合して使用する如く構成した二種混合容器であって、収納物の漏れや流出が全くなく、従って、開封前に両者が混合してしまう等の不都合を確実に防止でき、また、混合する際の操作も簡単な二種混合容器を提案する。【解決手段】第1容器Aにその口頸部2上端開口を閉塞して第2容器Bを螺着してなり、前記第2容器に環状の薄肉破断線23を設けるとともに、上向き段部形態の環状面24を形成し、第2容器の螺脱の際に前記環状面が口頸部3内に突設した係合部7と係合して薄肉破断線が破断し、第2容器内の収納物が第1容器内に落下する如く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二種混合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体,粉体,粒体等のうち二種類を選択してそれらを隔離した状態で収納し、また、使用の際には簡単に混合することができる二種混合容器が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
上端に口頸部を有しかつ口頸部乃至その下方近傍の内側に突片突当手段を講じた第1容器と、倒立させかつ口部を口頸部へ挿入して口頸部に取り外し可能に装着した第2容器と、該第2容器の口部に取り外し可能に嵌合させるとともに、上記突片突当手段へ係合させる突片を設けた栓体とからなり、第1容器には液等の第1内容物を、第2容器には粉体等の第2内容物を収容し、この状態で第2容器を取り外せば第2容器の口部が液体容器の口頸部から引き抜かれるのに対し、栓体は突片が第1容器の突片突当手段に係合しているため動かず、栓体が外れて、第2内容物が第1内容物に混合される。
【特許文献1】特開平7−300162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この様な二種混合容器は、その第2容器が下方に開口した口部を栓体により閉塞しているため、即ち、取り外しを条件としてセットした部分があることで、ここからの漏れや流出が可能性として存在することは否めない。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、収納物の漏れや流出の可能性を全く無くし、しかも、混合する際も簡単な操作で容易に混合することができ、更に、構造が比較的単純で廉価に製造できる二種混合容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、口頸部3を起立した第1容器Aと、前記口頸部上端開口を閉塞して螺着した第2容器Bとを備え、前記第2容器に環状の薄肉破断線23を設けるとともに、上向き段部形態の環状面24を設け、前記第2容器の螺脱に際して前記環状面24が前記口頸部3内に突設した係合部7と係合して前記薄肉破断線23が破断し、前記第2容器内の収納物が前記第1容器内に落下する如く構成した。
【0007】
第2の手段として、前記第1の手段に於いて、前記第1容器Aの上端に嵌着した筒部材Cを介して前記第2容器Bを螺着してなり、前記筒部材Cは、前記口頸部3外周に装着筒5を嵌着するとともに、前記口頸部3上方に螺筒6を起立し、且つ、前記口頸部内に前記係合部7を突設してなり、前記第2容器Bは、前記螺筒6外周に装着筒13を螺着させるとともに、該装着筒13に支持されて内部に収納室R2を画成してなる筒状の本体部17を前記螺筒6内に垂下させ、且つ、前記本体部17の周壁22に前記薄肉破断線23及び前記環状面24を設けた。
【0008】
第3の手段として、前記第2の手段に於いて、前記第2容器Bの装着筒13に破断部14を周設して下端部に分離帯13a を画成するとともに、該分離帯13a を前記口頸部3に対して抜け出しを防止して強制係合させた。
【0009】
第4の手段として、前記第1の手段乃至第3の手段に於いて、下端部をそれぞれ中心側に湾曲した周方向多数の係合突片7bを筒状に並設した前記係合部7を設けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二種混合容器は、第2容器Bの螺脱に際して第2容器Bの環状面24が係合部7に当接して薄肉破断線23が破断して第2容器Bの内容物が第1容器内に落下する如く構成したので、その開封は極めて簡単であり、また、第2容器Bの収納室R2を形成する本体部に取り外しを条件としてセットする部分がないため、漏れや流出の可能性を殆ど無視でき、しかも、構造は比較的簡単で、合成樹脂により容易に且つ安価に製造できる利点がある。
【0011】
また、第2の手段では、筒部材Cを設けているので、口頸部3内に形成しずらい係合部7をシャープに且つ容易に形成でき、その組み付けも容易に行える。また、係止部の形態も別に形成するため種々選択でき、その自由度は大きく、同様にその材質の選択も自由度が大きい。
【0012】
また、第3の手段では、破断部14を破断しない限り第2容器Bの螺脱ができないため不用意な第2容器Bの破断がなく、不用意な各収納物の混合を防止できる。また、一見して容器の未使用を表現でき、商品の信頼性を向上し、その価値を向上する等の効果を発揮する。
【0013】
また、第4の手段では、各係合突片7bが第2容器Bの螺動上昇に伴って順次環状面24を押圧するため薄肉破断線23が破断し易く、また、第2容器Bの装着の際には、各係合突片7bが外方へ弾性変形して容易に装着できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明二種混合容器1の一例を示し、該容器1は、第1容器Aと、第2容器Bとを備えている。
【0016】
第1容器Aは、胴部2より口頸部3を起立しており、口頸部3の外周には係止突条4を突周設している。胴部2内は混合するための液体或いは粉末、顆粒等の固体状の収納物を収納する第1収納室R1として構成している。
【0017】
第2容器Bは、前記口頸部3上端開口を閉塞して螺着したもので、図示例では、筒部材Cを介して第1容器Aに装着している。筒部材Cは、前記口頸部3外周に装着筒5を嵌合するとともに、口頸部3上方に螺筒6を起立し、且つ、口頸部3内に係合部7を垂設している。係合部7は第2容器Bを螺脱させる際に後述する環状面24が当接して後述する薄肉破断線を破断するためのもので、その形状は筒状であっても、突起状であっても種々選択できる。
【0018】
図示例では、口頸部3外周の係止突条4に乗り越え係合させた係合突条8を内周に突設した装着筒5を口頸部3外周に嵌合している。また、装着筒5の上端縁より内方へ延設したフランジ9の内周縁より下方へ係合部7を垂設し、フランジ9上面から上方へ螺筒6を立設している。螺筒6の外周には螺条10を周設し、その下方には係止突条11を突周設している。また、係合部7はフランジ9の内周縁より口頸部3裏面に嵌合させた筒状の取付基部7a下面に、それぞれ下端部が中心側に湾曲した係合突片7bを周方向多数設けて構成している。
【0019】
第2容器Bは、前記口頸部上端開口を閉塞して螺着している。図示例では、前記螺筒6外周の螺条10と螺合させた螺条12を内面に周設した装着筒13を螺着し、また、装着筒13の下部には破断部14を周設して分離帯13a を画成しており、この分離帯13a 内面に突周設した係合突条15を前記係止突条11下面に乗り越え係合させて抜け出しの防止を図っている。前記破断部14は装着筒13を螺脱しようとした際に、前記抜け出し防止手段により係止された分離帯13a を分離できる程度の連結強度を備えていれば良く、図示例では、分離帯13a とその他の装着筒13とを、周方向複数位置に於いて、細棒状の連結片16により連結した形態を採っている。
【0020】
また、装着筒13に支持されて内部に収納室R2を画成してなる筒状の本体部17を前記螺筒6内に垂下させている。図示例では、装着筒13の上端縁より延設した頂壁18の裏面から、螺筒6内周に液密に嵌合するシール筒19を垂設し、その内方に後述カップ状部材の周壁に密嵌するシール筒20を垂設したキャップ状部材B1と、上端を開口した有底筒状のカップ状部材B2とで第2容器を形成している。カップ状部材B2は底壁21の周縁部より周壁22を立設した有底筒状をなし、周壁22の上端縁より前記シール筒20と装着筒13上端部の縮径部分との間に密に嵌合させている。また、周壁22の外面所定位置には周方向間隔をあけて複数のリブ25を突設しており、その下面を前記フランジ9の上面に当接係止させてカップ状部材B2を所定位置で係止可能に構成している。また、リブ25直下の周壁22外周を前記取付基部7a内面に密嵌させて、この部分でその上下をシールし、ひいてはシール筒19との二重シール構造を形成している。従って、開封前に容器が倒れることがあっても第1容器内の収納物がこのシール部分より上方にいくのを防止できる。尚、第2容器Bの所定位置での係止手段として、上記したリブ25を形成する構成に代えて、その部分の周壁22を肉厚部に形成したり、その部分の周壁22を膨出させてその下面をフランジ9の上面に当接係止させる如く構成しても良い。
【0021】
第2容器Bは環状の薄肉破断線23を設けている。この薄肉破断線23は第2容器Bの螺脱に際して破断して第2容器B内の収納物が第1容器A内に落下する如く構成している。この薄肉破断線23は本体部17の周壁22に周設しているが、ここに限られず、破断した際に第2容器B内の収納物が落下可能な位置であれば良い。また、上向き段部形態の環状面24を設けている。この環状面24が前記係止部7により押圧されることにより薄肉破断線23が破断可能な位置に設ける。従って、例えば薄肉破断線23が本体部の周壁22に設けられている場合には、その少なくとも下方の周壁22に設ける。図示例では周壁22外面に形成した環状の凹みの下面として構成している。
【0022】
上記の如く構成した二種混合容器は、例えば、第1容器A及び第2容器Bにそれぞれ液体,固体の収納物を収納し、使用時に混合して使用する。使用に当たっては、図1の状態から第2容器Bの装着筒13を螺脱方向へ回転させると破断部14が破断し、次いで螺動上昇する。この際、本体部17も同様に螺動上昇しようとするが、係合部7に環状面24が当接して本体部17の上昇を妨害するため薄肉破断線23が破断し、図4に示す如く、第2容器Bの第2収納室内の収納物が第1容器Aの第1収納室内に落下し、第1収納室内の収納物と混合する。この際、分離された底壁21は第1容器A内の第1収納室R1内に落下する。次いで、要すれば混合物を攪拌した後、第2容器Bを螺脱すれば混合した収納物を取り出すことができる。
【0023】
尚、上記各部材を形成する材質は種々選択できるが、合成樹脂により形成すると好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の半断面図である。(実施例1)
【図2】本発明のカップ状部材の半断面図である。(実施例1)
【図3】本発明の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図4】本発明の作用を説明する一部切欠側面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0025】
3…口頸部,6…螺筒,7…係合部,13…装着筒,13a …分離帯,14…破断部,
17…本体部,22…周壁、23…薄肉破断線,24…環状面,A…第1容器,B…第2容器, C…筒部材,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部3を起立した第1容器Aと、前記口頸部上端開口を閉塞して螺着した第2容器Bとを備え、前記第2容器に環状の薄肉破断線23を設けるとともに、上向き段部形態の環状面24を設け、前記第2容器の螺脱に際して前記環状面24が前記口頸部3内に突設した係合部7と係合して前記薄肉破断線23が破断し、前記第2容器内の収納物が前記第1容器内に落下する如く構成したことを特徴とする二種混合容器。
【請求項2】
前記第1容器Aの上端に嵌着した筒部材Cを介して前記第2容器Bを螺着してなり、前記筒部材Cは、前記口頸部3外周に装着筒5を嵌着するとともに、前記口頸部3上方に螺筒6を起立し、且つ、前記口頸部内に前記係合部7を突設してなり、前記第2容器Bは、前記螺筒6外周に装着筒13を螺着させるとともに、該装着筒13に支持されて内部に収納室R2を画成してなる筒状の本体部17を前記螺筒6内に垂下させ、且つ、前記本体部17の周壁22に前記薄肉破断線23及び前記環状面24を設けてなる請求項1記載の二種混合容器。
【請求項3】
前記第2容器Bの装着筒13に破断部14を周設して下端部に分離帯13a を画成するとともに、該分離帯13a を前記口頸部3に対して抜け出しを防止して強制係合させてなる請求項2記載の二種混合容器。
【請求項4】
下端部をそれぞれ中心側に湾曲した周方向多数の係合突片7bを筒状に並設した前記係合部7を設けてなる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の二種混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−44685(P2006−44685A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224728(P2004−224728)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】