説明

二脚式歩行装置

【課題】大きな歩幅と安定性とを両立させた二脚式歩行装置において、簡便な構成にてスムーズな歩容が得られるようにする。
【解決手段】接地している脚に対応する足裏の前縁の接地点と他方の脚に対応する足裏の後縁の接地点とをジグザグ平面ローラーの隣り合う二等辺三角形の共通する辺上に位置させた状態において、共通する辺を中心に進行方向へ転がり動作させることで支持脚と遊脚との入れ替えを行って、ジグザグ平面ローラーが転がる際にジグザグ平面ローラーの二等辺三角形が順番に接地して進行するように、右足裏および左足裏が順番に接地し歩行を実行する二脚式歩行装置であって、支持脚と遊脚との入れ替えの際に、足裏が接地した後、足裏よりも深い角度を持った追加足裏を接地させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の揺動を伴う三次元的二脚式歩行装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された二足歩行ヒューマノイドロボットは、多数の関節部に内蔵された多数のモーターをコンピュータにより複雑に制御することにより、静歩行および動歩行を実現している。
【0003】
非特許文献1には、左右の揺動を伴う三次元的歩行機が販売されている旨が記載されている。
【0004】
また、非特許文献2のように、二脚受動歩行機の研究が進められており、これらは左右への揺動を伴わない二次元型と、左右への揺動を伴う三次元型に分類される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−154078号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本トイザらス株式会社、“ロボザウルス−TR441J”、[online]、2005年8月24日、日本トイザらス株式会社ホームページ(ニュースリリース)、[平成21年11月5日検索]、インターネット〈 URL:http://www2.toysrus.co.jp/truj/press/2005/pdf/20050824.pdf〉
【非特許文献2】Steve Collons, Andy Ruina, Russ Tedrake, Martijn Wisse,"Efficient Bipedal Robots Based on Passive-Dynamic Walkers",SCIENCE Vol.307, pp.1082-1085, (2005). 受動歩行ロボット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の二足歩行ヒューマノイドロボットは、静歩行および動歩行を可能とするため、多数の関節部に内蔵された多数のモーターをコンピュータにより複雑に制御しており、いったんコンピュータの不具合が発生した場合は転倒の可能性があり、貴重品の輸送・移動や人間の搭乗は、危険であり不向きである。また、単独歩行時においても、コンピュータの不具合時の転倒の際には他の物体の破損の可能性があり、危険である。
【0008】
非特許文献1に記載の左右の揺動を伴う三次元的歩行機は、最適な形状決定の理論が存在しない状態で試行錯誤で形状・動作が決定されており、安定性確保のため歩幅が小さく、移動速度が遅いのが現状である。
【0009】
また、非特許文献2に記載の受動歩行機は、左右への揺動を伴わない二次元型と、左右への揺動を伴う三次元型に分類される。二次元型は、人間のもつ二脚とは異なる構成となっており本来の人間の動作を模擬するものではない。一方、左右への揺動を伴う三次元型には様々な形状のものが非特許文献2で挙げられているが、より安定した歩容が求められる。
【0010】
そこで、本出願人は、先に特願2010−247163号にて、大きな歩幅と安定性とを両立させた二脚式歩行装置(以下、先願例と言う。)を提案している。
【0011】
この先願例によると、「ジグザグ平面ローラー」の一部が下り坂を転がり落ちる様子、あるいは、同ローラーが重心のわずかな移動により水平面を転がり進む様子を、二脚歩行の歩容に応用することで、大きな歩幅と安定性とを両立させることができる(後述する図1〜図3を参照)。
【0012】
この先願例では、支持脚は最低3点からなる1枚の仮想平面を足裏形状とするもので、その仮想平面の角度が、左右の足裏で異なることで、支持脚が接地している場合に、遊脚が地面から離れるように設計されている。
【0013】
しかし、右脚と左脚の最大開き角の制御や足首角度の制御や膝関節の制御が無い場合、遊脚の振り出し動作の際に、遊脚の足裏の一部が地面に接地し、遊脚の振り出し動作を妨げることがある。すなわち、よりスムーズな歩容を実現するためには、右脚と左脚の最大開き角の制御や足首角度の制御や膝関節の制御が必要であり、構成が複雑になる。
【0014】
本発明は上記点に鑑みて、大きな歩幅と安定性とを両立させた二脚式歩行装置において、簡便な構成にてスムーズな歩容が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、少なくとも3点の接地点を有する右足裏および左足裏と、
右足裏から上方側に向かって延びるとともに右足裏に接続される右脚と、
左足裏から上方側に向かって延びるとともに左足裏に接続される左脚とを備え、
仮想円柱である基本円柱に対して、両方の円形側面の外周に、一定中心角度毎に頂点を左右互い違いに設け、連続した2つの頂点と反対側側面外周の相対する頂点とを3頂点とする二等辺三角形で連続的に円柱を切り落とした立体形状の仮想側面のことをジグザグ平面ローラーとしたとき、
右足裏および左足裏のうち接地している脚に対応する足裏の前縁の接地点と他方の脚に対応する足裏の後縁の接地点とをジグザグ平面ローラーの隣り合う二等辺三角形の共通する辺上に位置させた状態において、共通する辺を中心に進行方向へ転がり動作させることで支持脚と遊脚との入れ替えを行って、
ジグザグ平面ローラーが転がる際にジグザグ平面ローラーの二等辺三角形が順番に接地して進行するように、右足裏および左足裏が順番に接地し歩行を実行する二脚式歩行装置であって、
右足裏の右外側に設けられ、右足裏よりも深い角度を持つ追加右足裏と、
左足裏の左外側に設けられ、左足裏よりも深い角度を持つ追加左足裏とを備え、
支持脚と遊脚との入れ替えの際に、右足裏および左足裏のうち支持脚に対応する足裏が接地した後、追加右足裏および追加左足裏のうち支持脚に対応する追加足裏を接地させることを特徴とする。
【0016】
これによると、「ジグザグ平面ローラー」の一部が下り坂を転がり落ちる様子、あるいは、同ローラーが重心のわずかな移動により水平面を転がり進む様子を、二脚歩行の歩容に応用することで、大きな歩幅と安定性とを両立させることができる。
【0017】
ここで、「ジグザグ平面ローラー」とは、図1に示すように、原形となる円柱に対して、両方の円形側面の外周に、一定中心角度(T゜)毎に頂点を左右互い違いに設け、連続した2つの頂点と反対側側面外周の相対する頂点とを3頂点とする二等辺三角形で連続的に円柱を切り落とした立体形状の側面のことを言う。ただし、角度T゜は任意の角度であり、360゜の整数分の1である必要は無い。
【0018】
このローラーを平面(地面)上に置き、回転方向に転がすと、図2のように二等辺三角形の平面が順番に接地すると同時に、ローラー全体が左右に角度F °ずつ揺動し、装置の重心点から地面へ垂線の足が接地三角形の外側領域(斜線部で示す)に移動し、静的に安定な回転進行が実現される。
【0019】
本発明では、図3に示すように、「ジグザグ平面ローラー」の接地二等辺三角形の外側の台形領域が支持脚の足裏部となり、転がる「ジグザグ平面ローラー」の二等辺三角形部が順番に接地して進行するように、左右の足裏部が順番に接地し歩行を実行する。
【0020】
例えば、右足が支持脚であり右足裏が接地している場合、後方にあった左足裏は、次に接地する二等辺三角形の位置まで前方に振り出される。さらに、支持脚の交換の際には、支持脚の前縁と前方に振り出された遊脚の後縁が地面上で一直線となっており、この直線を回転軸として前方に倒れることで、重心が新たな支持脚に移動し、安定・安全に支持脚と遊脚の交換が完了し、歩を進めることができる。また、下り坂では重力により自動的に歩行を行うことができる。すなわち、重心の移動だけで安定した歩幅の広い二脚歩行が可能である。
【0021】
なお、本発明における「ジグザグ平面ローラーが転がる際に二等辺三角形が順番に接地して進行するように、右足裏および左足裏が順番に接地する」とは、左右の足裏部がジグザグ平面ローラーの二等辺三角形と厳密に一致して接地することのみを意味するものではなく、製造上の誤差や作動上の誤差等により左右の足裏部がジグザグ平面ローラーの二等辺三角形と若干ずれて接地することをも含む意味のものである。
【0022】
さらに、本発明では、支持脚と遊脚との入れ替えの際に、右足裏および左足裏のうち支持脚に対応する足裏が接地した後、追加右足裏および追加左足裏のうち支持脚に対応する追加足裏を接地させるので、振り出された遊脚が地面から遠くを通過することができる。すなわち、遊脚が地面に接地することを抑制することができる。このため、簡素な構成にてスムーズな歩容を得ることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の二脚式歩行装置において、追加右足裏の角度は、追加右足裏で接地した場合に、静的にも動的にも右外側に二脚式歩行装置全体が倒れないような条件を満たす角度になっており、
追加左足裏の角度は、追加左足裏で接地した場合に、静的にも動的にも左外側に二脚式歩行装置全体が倒れないような条件を満たす角度になっていることを特徴とする。
【0024】
これにより、安全性を高めることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の二脚式歩行装置において、追加右足裏は、右足裏に対して前寄りに配置され、
追加左足裏は、左足裏に対して前寄りに配置されていることを特徴とする。
【0026】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置において、右脚のうち右足裏の反対側部位と、左脚のうち左足裏の反対側部位とを回転接続する主軸を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の二脚式歩行装置において、重心を移動させる手段を搭載した搭載部と、
搭載部を主軸に連結する搭載部連結機構とを備え、
重心が移動することにより、進行方向への転がり動作が行われることを特徴とする。
【0028】
これにより、下り坂のみならず、水平面や上り坂においても自動的に歩行を行うことができる。
【0029】
請求項6に記載の発明では、請求項4または5に記載の二脚式歩行装置において、主軸は、基本円柱の中心軸上に位置していることを特徴とする。
【0030】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置において、右足裏および左足裏は、ジグザグ平面ローラーの軸方向中央線から離れていることを特徴とする。
【0031】
これにより、遊脚の振り出しの際に地面とのクリアランスを一層良好に確保することができるので、一層スムーズな歩容を得ることができる。
【0032】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置において、右足裏および左足裏は、ジグザグ平面ローラーの二等辺三角形の底辺側部位をなす台形とジグザグ平面ローラーの軸方向中央線とに接する放物線形状を有していることを特徴とする。
【0033】
これにより、地面との摩擦が少なく滑らかな動作を実現できる。
【0034】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置において、右足裏および左足裏は何れも、その前縁および後縁のそれぞれに少なくとも1点の接地点を有していることを特徴とする。
【0035】
請求項10に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置において、右足裏および左足裏は何れも、その前縁および後縁のいずれか一方に2点の接地点を有し、その前縁および後縁の他方に1点の接地点を有していることを特徴とする。
【0036】
請求項11に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置において、右足裏および左足裏には、接地して回転する複数の回転体が配置されていることを特徴とする。
【0037】
これにより、スケートの様に地面上を滑走することができる。
【0038】
請求項12に記載の発明では、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置において、進行方向への転がり動作を、右脚および左脚が滑り接続されるレールによって実現することを特徴とする。
【0039】
これにより、低重心を実現でき、安定性が高い二脚式歩行動作が実現できる。
【0040】
請求項13に記載の発明では、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置において、右足裏および左足裏に、着地の際の位置エネルギーおよび衝撃力を吸収し、力学エネルギーとして一旦蓄え、当該足裏が非接地となる際に、蓄えた力学エネルギーを地面を押す力として利用できる装置を具備することを特徴とする。
【0041】
これにより、遊脚−支持脚の交換を援助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の説明に使用するジグザグ平面ローラーの概念の説明図である。
【図2】地面に置いたジグザグ平面ローラーの説明図である。
【図3】ジグザグ平面ローラーを基にした本発明の二脚式歩行装置の基本構成を示す図である。
【図4(a)】比較例1における二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【図4(b)】図4(a)の要部拡大図である。
【図4(c)】図4(a)の要部拡大図である。
【図5】比較例1における二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【図6】比較例1の変形例における二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【図7】比較例2における二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【図8】比較例2における二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【図9】比較例3における二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【図10】比較例1における二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【図11】第1実施形態における、人間搭乗時の二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【図12】図11の足裏および追加足裏の変形例を示す図である。
【図13】図11の足裏および追加足裏の変形例を示す図である。
【図14】第1実施形態における二脚式歩行装置の作動状態を示す図である。
【図15】第1実施形態における二脚式歩行装置の作動状態を示す図である。
【図16】本発明の他の実施形態における二脚式歩行装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、上述した先願例に相当する比較例1〜3を説明する。
【0044】
(比較例1)
図4および図5に比較例1を示す。図4(a)および図5中の各部は、1:右足裏平面、2:右脚、3:左足裏平面、4:左脚、5:基本円柱右側側面中心、6:基本円柱左側側面中心、7:主軸、8:右足首軸、9:左足首軸、10:基本円柱(仮想)、11:ジグザグ平面ローラー(仮想)、12:ジグザグ平面ローラー中央線(仮想)、13:ジグザグ平面ローラー最外線(仮想)、14:搭載部、15:搭載部連結機構、16:足裏拡張部(両脚)、17:ジグザグ平面ローラー平面部の辺、18:ジグザグ平面ローラー平面部の辺である。
【0045】
右脚2および左脚4が回転接続される主軸7は、基本円柱10の側面中心5、6を含む直線上、すなわち基本円柱10の中心軸上に位置する。搭載部連結機構15により、主軸7に固定される搭載部14の角度が右脚2と左脚4の開き角の半分の角度に自動的に設定される。また、搭載部連結機構15により、右脚2と左脚4の最大開き時に、遊脚の足裏がジグザグ平面ローラー11の平面に一致するように脚の開き角が制限される。
【0046】
なお、搭載部14に、駆動装置や人間を搭載し重心を移動することで、遊脚を前方へ振り出すことができる。また、主軸7を支持点とした場合の、脚2、4の重心、あるいは、搭載部連結機構15によって連結された遊脚(図4(a)では左足裏3および左脚4)および搭載部14の重心を、後方に設定することで、遊脚の前方への振り出し動作を確実することが可能となり、さらに、遊脚の前方への振り出し動作を静的にも行うことが可能となる。具体的には、足裏が接地した状態で、主軸7と足裏の後縁とを結ぶ直線よりも後方に重心を設定するのが好ましい。
【0047】
足裏1、3は、ジグザグ平面ローラー11の二等辺三角形の外側部(底辺側部位)であるが、遊脚の振り出しの際に地面とのクリアランスを確保するために、ジグザグ平面ローラー中央線(ジグザグ平面ローラー11の軸方向中央線)12から離れている必要がある。また、足裏1、3の前縁は、ジグザグ平面ローラー最外線を含まない。
【0048】
脚2、4には、それぞれ、足裏1、3が、足首軸8、9によって回転接続される。足首軸8、9は、ジグザグ平面ローラー11の二等辺三角形の二等分線上に位置する。脚と足裏の角度は、基本的には直角であるが、力あるいは衝撃力が加われば、わずかに(3〜10゜程度)に傾くようになっている。
【0049】
支持脚・遊脚の交換時の安定性を高めるため、地面と干渉しない範囲で、足裏1、3の外縁を拡張することができる。
【0050】
基本円柱の直径および厚さとジグザグ平面ローラー11の頂点間の中心角T゜により決定される左右の傾き角F゜は、装置の重心点から地面への垂線の足が支持脚の足裏にあるように定められる。
【0051】
上記の足裏平面は、平面である必要はなく、上記の足裏形状の範囲内に最少で直線上に配置されない3点の接地点があればよいが、搭載部連結機構15が例えばラチェット機構とラチェット解放機構を具備し、右脚2と左脚4の最大開き時に最大開き角を保持する機構を有している場合には、足裏の前縁および後縁にはそれぞれ1点の接地点があればよい。一方、搭載部連結機構15が右脚2と左脚4の最大開き角を保持する機構を有していない場合には、足裏の前縁および後縁の片方には2点の接地点があり、もう片方には1点の接地点があればよい。
【0052】
図4(b)に、足裏の前縁および後縁にそれぞれ1点の接地点がある場合の例を示す。この例では、右足裏1および左足裏3は矩形状になっている。右足裏1の前縁内側および後縁内側にそれぞれ1点の接地点25、26があり、他の1点の接地点(図示せず)は、接地点25、26を結ぶ直線から離れて配置されている。同様に、左足裏3の前縁内側および後縁内側にそれぞれ1点の接地点27、28があり、他の1点の接地点(図示せず)は、接地点27、28を結ぶ直線から離れて配置されている。
【0053】
図4(c)に、足裏の前縁および後縁の片方に2点の接地点があり、もう片方に1点の接地点がある場合の例を示す。この例では、右足裏1および左足裏3は台形状になっている。右足裏1の前縁に2点の接地点29、30があり、右足裏1の後縁に1点の接地点31がある。同様に、左足裏3の前縁に2点の接地点32、33があり、左足裏3の後縁に1点の接地点34がある。
【0054】
図6および図7に、足裏1、3の形状の変形例を示す。この例では、足裏1、3は、ジグザグ平面ローラーの二等辺三角形の外側部の台形とジグザグ平面ローラー中央線12に接する放物線形状である。また、足裏1、3の前縁部は、ジグザグ平面ローラー最外線を含まない。
【0055】
比較例1の作動状態を以下に記す。
【0056】
はじめに図4(a)のように右足が支持脚であり、左足が前方に振り出された結果、左足裏3の後縁が接地している状態であるとする。このとき、右脚裏1と左足裏3は、ジグザグ平面ローラー11の面に一致しており、右足裏1の前縁と左足裏3の後縁は、地面上のジグザグ平面ローラーの辺17と一致する。
【0057】
この状態では、搭載部連結機構15が右脚2と左脚4の最大開き時に最大開き角を保持する機構を有している場合には、重心移動によって搭載部14に前方へ力が掛かっても、両脚2、4がねじれて、開き角が小さくなることはない。一方、搭載部連結機構15が右脚2と左脚4の最大開き時に最大開き角を保持する機構を有していない場合には、足裏の前縁および後縁の片方には最低でも2点の接地点があり、もう片方には最低でも1点の接地点があるため、同様に両脚2、4がねじれて、開き角が小さくなることはない。
【0058】
重心移動によって、この状態のまま、地面上のジグザグ平面ローラーの辺17を回転軸として前方へ回転し、図5のように左足裏3が接地し、左脚が支持脚となる。この支持脚・遊脚の交換の直後には、右足裏1の前縁は接地しているが、衝撃で左脚4が左首軸9を回転軸として前方へわずかに傾き、足首軸9の直線より後方に位置するように制限された右足裏1の前縁は、地面から離れ遊脚となり前方へ振り出され、右足裏1の後縁が、1面分前方へ回転したジグザグ平面ローラーの次の辺18と一致したところで停止する。こうして、右足裏1の後縁は左足裏3の前縁と一直線となる。
【0059】
以上で、1ストライド分の動作説明を終了するが、この過程が左右交互に連続することで、安定した二脚歩行が実現する。また、下り坂では重力により自動的に歩行を行うことができる。
【0060】
遊脚の振り出し開始から終了までに、遊脚の足裏が地面に接地する場合には、遊脚の足裏と脚の角度がわずかに直角からずれて、干渉を緩め、振り出し動作を続行させる。
【0061】
(比較例2)
図8および図9に比較例2を示す。図8および図9中の各部は、1:右足裏平面、2:右脚、3:左足裏平面、4:左脚、5:基本円柱右側側面中心、6:基本円柱左側側面中心、7:主軸、8:右足首軸、9:左足首軸、10:基本円柱(仮想)、11:ジグザグ平面ローラー(仮想)、12:ジグザグ平面ローラー中央線(仮想)、13:ジグザグ平面ローラー最外線(仮想)、14:搭載部、15:搭載部連結機構、16:足裏拡張部(両脚)、17:ジグザグ平面ローラー平面部の辺、18:ジグザグ平面ローラー平面部の辺、19:アーム、20:バネ付きリンク、21:足首角度固定装置(両脚)、22:足裏非接地センサー(両脚)である。
【0062】
右脚2および左脚4が回転接続される主軸7は、基本円柱10の側面中心5、6を含む直線上に位置する。搭載部連結機構15により、主軸7に固定される搭載部14の角度が右脚2と左脚4の開き角の半分の角度に自動的に設定される。また、搭載部連結機構15により、右脚2と左脚4の最大開き時に、遊脚の足裏がジグザグ平面ローラーの平面に一致するように脚の開き角が制限される。なお、搭載部14に、駆動装置や人間を搭載し重心を移動することで、遊脚を前方へ振り出すことができる。また、主軸7を支持点とした場合の、脚2、4の重心、あるいは、搭載部連結機構15によって連結された遊脚(図8では左足裏3および左脚4)および搭載部14の重心を、後方に設定することで、遊脚の前方への振り出し動作を確実することが可能となり、さらに、遊脚の前方への振り出し動作を静的にも行うことが可能となる。具体的には、足裏が接地した状態で、主軸7と足裏の後縁とを結ぶ直線よりも後方に重心を設定するのが好ましい。
【0063】
足裏1、3は、ジグザグ平面ローラーの二等辺三角形の外側部であるが、遊脚の振り出しの際に地面とのクリアランスを確保するために、ジグザグ平面ローラー中央線12から離れている必要がある。
【0064】
脚2、4には、それぞれ、足裏1、3が、足首軸8、9によって回転接続される。足首軸8、9は、ジグザグ平面ローラーの二等辺三角形の二等分線上に位置する。足裏の角度は、足首角度固定装置21が作動していない場合には、搭載部14に固定されているアーム19と、各足裏1、3を繋ぐバネ付きリンク20により構成される平行リンクによって、搭載部14と直角に固定される。一方、足首角度固定装置21が作動している場合には、足裏の角度は脚に対して直角である。足首角度固定装置21は、反対脚の足裏が接地となり、足裏非接地センサー22が作動した場合に、機械的あるいは電気的に作動し、足首角度が直角に固定される。また、搭載部連結機構15により遊脚の前方への開き角が最大と検知された場合にも、当該脚(遊脚)の足首角度固定装置21が機械的あるいは電気的に作動し、足首角度が直角に固定される。
【0065】
支持脚・遊脚の交換時の安定性を高めるため、地面と干渉しない範囲で、足裏1、3の外縁を拡張することができる。
【0066】
基本円柱の直径および厚さとジグザグ平面ローラーの頂点間の中心角T゜により決定される左右の傾き角F゜は、装置の重心点から地面への垂線の足が支持脚の足裏にあるように定められる。
【0067】
上記の足裏平面は、平面である必要はなく、上記の足裏形状の範囲内に最少で直線上に配置されない3点の接地点があればよいが、搭載部連結機構15が例えばラチェット機構とラチェット解放機構を具備し、右脚2と左脚4の最大開き時に最大開き角を保持する機構を有している場合には、足裏の前縁および後縁にはそれぞれ1点の接地点があればよい。一方、搭載部連結機構15が右脚2と左脚4の最大開き角を保持する機構を有していない場合には、足裏の前縁および後縁の片方には2点の接地点があり、もう片方には1点の接地点があればよい。
【0068】
比較例2の作動状態の説明を以下に記す。
【0069】
はじめに図8のように右足が支持脚であり、左足が前方に振り出された結果、左足裏3の後縁が接地している状態であるとする。このとき、右脚裏1と左足裏3は、ジグザグ平面ローラーの面に一致しており、右足裏1の前縁と左足裏3の後縁は、地面上のジグザグ平面ローラーの辺17と一致する。
【0070】
左足裏3が非接地であるため、支持脚の右足裏1の足首角度固定装置21が作動し、右足首は直角に固定されている。また、搭載部連結機構15により遊脚である左脚の前方への開き角が最大と検知されるため、左脚の足首角度固定装置21が作動し、左足首角度も直角に固定されている。
【0071】
この状態では、搭載部連結機構15が右脚2と左脚4の最大開き時に最大開き角を保持する機構を有している場合には、重心移動によって搭載部14に前方へ力が掛かっても、両脚2、4がねじれて、開き角が小さくなることはない。一方、搭載部連結機構15が右脚2と左脚4の最大開き時に最大開き角を保持する機構を有していない場合には、足裏の前縁および後縁の片方には最低でも2点の接地点があり、もう片方には最低でも1点の接地点があるため、同様に両脚2、4がねじれて、開き角が小さくなることはない。
【0072】
重心移動によって、この状態のまま、地面上のジグザグ平面ローラーの辺17を回転軸として前方へ回転しはじめ、まず、右足裏1が非接地となり、右足裏1の足裏非接地センサー22が作動し、支持脚となる左脚の足首角度が直角に固定される。ついで、図9のように左足裏3が接地し、左脚が支持脚、右脚が遊脚となる。このとき、左足裏3の足裏非接地センサー22が非作動となり、反対側の右足首の角度固定が解除され、搭載部14に固定されているアーム19と、足裏1を繋ぐバネ付きリンク20により構成される平行リンクによって、右足裏の角度が搭載部14と直角に固定され、結果として右足裏の前縁が地面から離れ、右脚2の前方への振り出しが始まる。両脚の開き角は最大ではなくなるが、右足裏1の足裏非接地センサー22が作動しているため、支持脚である左脚の足首角度は直角に固定されている。
【0073】
地面から離れ遊脚となり前方へ振り出された右脚が前方へ最大に開いたとき、搭載部連結機構15により遊脚の前方への開き角が最大と検知されるため、右脚の足首角度が直角に固定され、右足裏の後縁が、1面分前方へ回転したジグザグ平面ローラーの次の辺18と一致したところで停止する。こうして、右足裏1の後縁は左足裏3の前縁と一直線となる。
【0074】
以上で、1ストライド分の動作説明を終了するが、この過程が左右交互に連続することで、安定した二脚歩行が実現する。また、下り坂では重力により自動的に歩行を行うことができる。
【0075】
遊脚の振り出し開始から終了までに、遊脚の足裏は平行リンク機構により、地面に接地することはなく、スムーズな振り出し動作が行われる。
【0076】
なお、足裏非接地センサー22の代わりに足裏接地センサーを用いてもよい。
【0077】
(比較例3)
図10に比較例3を示す。比較例3では、比較例1に対して両脚のほぼ中央の位置に膝回転関節23、24を追加している。
【0078】
右脚膝回転関節23および右脚膝回転関節24は、足首関節が後方へは回転するが、脚が前方へは回転しない可動範囲を持っている。
【0079】
遊脚となっている間は、足首関節の角度は非直角で、膝関節は非伸展(膝を曲げた状態)であるが、遊脚が前方への振り出された時のみは足首関節は直角に固定され、膝関節は伸展状態(膝を伸ばした状態)となる。
【0080】
遊脚となっている間は、足首関節の角度は非直角で、膝関節は非伸展であるが、この動作は、バネや、遊脚の前方への振り出し動作による慣性力や、カムなどによる決定論的動作によって成し遂げられる。
【0081】
一方、遊脚が前方への振り出された時のみは足首関節は直角に固定され、膝関節は伸展状態となる動作については、遊脚の前方への振り出し動作による慣性力、あるいは、カムなどによる決定論的動作によって成し遂げられる。
【0082】
膝回転関節23、24を有することによって、遊脚の振り出しの際に地面との干渉を一層防止できる。
【0083】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を説明する。ここでは、人間を搭乗させた場合を例に示す。搭載部14に人間や大きな積載物が搭載される場合、図4、5、6、7、8、9および10より、脚2、4の前面投影幅を狭く設定し、主軸7の中央部を後方に移動させることにより、搭載空間を作り出すとよい。図11に、人間が搭乗する場合の第1実施形態の模式図を示す。この場合、積載部14の形状は、前方に開いた駕籠型となる。
【0084】
第1実施形態では、比較例1に対して、足裏1、3の外側にある足裏拡張部16を廃止し、足裏拡張部16の代わりに、足裏1、3の外側に、より深い角度を持った追加足裏40、41を追加している。以下では、比較例1と共通する構成および作動の説明を省略する。
【0085】
追加右足裏40および追加左足裏41にはそれぞれ1点の接地点があればよい。図11の例では、追加足裏40、41が、足裏1、3の前端から後端に至る円弧平面状になっている。図12は、足裏1、3の前半分領域のみに、円弧平面状の追加足裏40、41がある場合の例を示す。換言すれば、加足裏40、41は、足裏1、3に対して前寄りに配置されている。図13は、追加足裏40、41に1点の接地点がある場合の例を示す。
【0086】
第1実施形態の作動状態の説明を以下に記す。
【0087】
足裏1、3(足裏平面)の外側に、より深い角度を持った追加足裏40、41を足裏平面として追加することで、支持脚−遊脚の交換の際に、図14の状態のように従来の足裏(仮想平面)に接地した後、交換の際の余剰慣性力で図15の状態のように短時間だけ追加足裏(追加仮想平面)で接地する歩容が実現される。なお、図14、15は、足裏1、3および追加足裏40、41を、二脚式歩行装置の正面(進行方向)から見た図(模式図)である。
【0088】
追加足裏40、41(追加平面)は、足裏1、3(従来平面)より角度が深く設定されているため、振り出された遊脚が地面から遠くを通過し、足首角度が直角に保たれたままでも、遊脚が地面に接地しないスムーズな歩容が得られる。
【0089】
追加足裏40、41(追加足裏平面)の角度については、追加足裏40、41で接地した場合に、静的にも動的にも、外側に装置全体が倒れないような条件を満たす角度とする。
【0090】
また、支持脚−遊脚の交換の際には、前方への衝撃があるため、追加足裏40、41(追加足裏平面部)の前側部の面積を大きく設定しておくと良い。
【0091】
本実施形態によると、簡素な構成にてスムーズな歩容を得ることができる。すなわち、上記比較例1〜3では、スムーズな歩容を実現するために右脚と左脚の最大開き角の制御や足首角度の制御や膝関節の制御を行っているが、本実施形態では、追加足裏40、41といった簡素な構成にてスムーズな歩容を実現することができる。
【0092】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下に述べるように種々変形が可能である。
【0093】
(1)搭載部14への人間の搭乗の場合、人間の重心は主軸7より下方に設定するとよい。このとき、重心の前方への移動により遊脚の前方への振り出しが可能となる。
【0094】
(2)主軸7を支持点とした脚2、4の重心を、後方に設定することで、遊脚の前方への振り出しを確実に行うことが可能である。また、主軸7を支持点とした脚2、4の重心を、後方に設定することで、遊脚の前方への振り出しを静的も行うことが可能である。具体的には、足裏が接地した状態で、主軸7と足裏の後縁とを結ぶ直線よりも後方に重心を設定するのが好ましい。
【0095】
(3)搭載部連結機構15によって連結された遊脚および搭載部14の重心に関し、固定した支持脚の上部の主軸7を支持点とした重心を、できるだけ後方に設定することで、遊脚の前方への振り出しを確実に行うことが可能である。
【0096】
(4)搭載部連結機構15によって連結された遊脚および搭載部14の重心に関し、固定した支持脚の上部の主軸7を支持点とした重心を、できるだけ後方に設定することで、遊脚の前方への振り出しを静的に行うことが可能である。
【0097】
(5)重心の移動は、左右あるいは前後への1つの向きへの揺動の他に、支持脚上位置から、前方に振り出された遊脚上への斜め前方方向への重心移動、前動作で遊脚が着地し支持脚となった支持脚上での後方への重心移動、を繰り返す重心移動(上方からみて「8の字」または「Z形」)が望ましい。
【0098】
(6)全動作を遊脚の位置エネルギーを利用するなどせず、モータ、リンク、ギヤなどを用いて全ての動作を確定動作とすることも可能である。
【0099】
(7)遊脚−支持脚の交換は、重心移動の代わりに、足裏から地面を押す機構によって行ってもよい。例えば、足裏からピストン状部材が突出したり、板状部材が起き上がる等によって足裏から地面を押すことができる。足裏から地面を押す機構の位置は、足裏の後縁に近い方が好ましい。
【0100】
(8)遊脚の前方への最大振り出しが不完全でも、遊脚−支持脚の交換が可能なように、遊脚の前方への不完全な振り出しでもラチェット等で遊脚の振り出しをロックする機構を有していてもよい。
【0101】
(9)足首角度調整機構の動作が不完全でも、足首角度の固定が可能なように、足首角度をラチェット等でロックする機構を有していてもよい。
【0102】
(10)進行方向を左右に変えることが出来るように、遊脚−支持脚の交換の際に、両脚の角度を固定するラチェット機構を解除するレバー装置を設けてもよい。
【0103】
このレバー装置に関し、左脚が遊脚から支持脚に交換する際にのみ、両脚の角度を固定するラチェット機構を解除する右偏向用レバーと、右脚が遊脚から支持脚に交換する際にのみ、両脚の角度を固定するラチェット機構を解除する左偏向用レバーとの2個のレバーを有しているのが好ましい。
【0104】
(11)足裏に、接地して回転する複数の回転体(ローラーやキャスター等)が配置され、スケートの様に地面上を滑走できるようになっていてもよい。複数の回転体は、進行方向が自由になっているのが好ましい。滑走状態を連続させたい場合には、当該回転体の配置位置を、遊脚・支持脚の交換時にも複数の回転体が接地点となるように設定すると良い。このようにして滑走機能を付与する場合には、安全および操作性の向上のため、任意のタイミングで滑走速度を調整し、あるいは滑走を止める、ブレーキ装置を具備しておくことが望ましい。ブレーキ装置は、回転体の回転を抑制する装置、あるいは、足裏から回転しない接地点が接地し、滑走を阻害する装置、などにより実現される。
【0105】
(12)右脚2および左脚4が主軸7に回転接続され、主軸7を中心として回転する動作(進行方向への転がり動作)を、図16に図示するように、右脚2および左脚4が滑り接続される円弧レールを有する搭載部14によって実現することもできる。この場合、右脚2、左脚4および搭載部14は、搭載部接続機構15により接続されていても、接続されていなくてもよい。このとき、主軸7は実際に存在しないので、この形態では低重心を実現でき、安定性が高い二脚歩行動作が実現できる。搭載部14に人間が搭乗し、当該人間が本装置を駆動および操作するために、搭載部14には図16に示すような棒状あるいはその他の形状のハンドル部を設けるとよい。このときハンドル部は搭載部に固定されていてもよいが、上記(10)項のレバー装置を設置しておくことが好ましい。また、ハンドル部は搭載部14に対して左右に揺動できるようにし、左右の揺動により上記(10)項の機能を発現させてもよい。搭載部14の円弧レールに滑り接続された状態での、脚2、4のそれぞれの重心、あるいは、搭載部連結機構15によって連結された遊脚(図16では左足裏3および左脚4)および搭載部14の重心を、後方に設定することで、遊脚の前方への振り出し動作を確実することが可能となり、さらに、遊脚の前方への振り出し動作を静的にも行うことが可能となる。なお、円弧レールとは、正円の円弧形状のレールのみを意味するものではなく、楕円の円弧形状のレール等をも含む意味のものである。また、円弧レールに限定されるものではなく、種々の形状のレールを用いることができる。
【0106】
(13)遊脚−支持脚の交換の際に、新たに支持脚となる足裏に生じる衝撃力を足裏に設置したバネ機構などにより力学エネルギーをして一旦蓄え、次回に遊脚となる際に、蓄えた力学エネルギーを地面を押す力として利用することで、遊脚−支持脚の交換を援助することもできる。
【0107】
(14)搭載物に干渉しない領域(例えば頂部)に、風車(全方向型が望ましい。例えばサポニウス風車が望ましい。)を設置し、その回転エネルギーをワイヤー・ギヤーなどで、足裏に設置した地面を押す機構(シリンダー状あるいは板状装置)に動力を供給し、支持脚の足裏から地面の押し出し動作を行い、支持脚−遊脚の交換を行い、歩を進めることができる。
【0108】
また、同様に、回転エネルギーを、搭載した重心移動装置の重心移動の動力として用いても、支持脚−遊脚の交換を行い、歩を進めることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 右足裏
2 右脚
3 左足裏
4 左脚
7 主軸
10 基本円柱
11 ジグザグ平面ローラー
12 ジグザグ平面ローラー中央線(軸方向中央線)
14 搭載部
15 搭載部連結機構
40 追加右足裏
41 追加左足裏

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3点の接地点を有する右足裏および左足裏と、
前記右足裏から上方側に向かって延びるとともに前記右足裏に接続される右脚と、
前記左足裏から上方側に向かって延びるとともに前記左足裏に接続される左脚とを備え、
仮想円柱である基本円柱に対して、両方の円形側面の外周に、一定中心角度毎に頂点を左右互い違いに設け、連続した2つの頂点と反対側側面外周の相対する頂点とを3頂点とする二等辺三角形で連続的に円柱を切り落とした立体形状の仮想側面のことをジグザグ平面ローラーとしたとき、
前記右足裏および前記左足裏のうち接地している脚に対応する足裏の前縁の接地点と他方の脚に対応する足裏の後縁の接地点とを前記ジグザグ平面ローラーの隣り合う二等辺三角形の共通する辺上に位置させた状態において、前記共通する辺を中心に進行方向へ転がり動作させることで支持脚と遊脚との入れ替えを行って、
前記ジグザグ平面ローラーが転がる際に前記ジグザグ平面ローラーの二等辺三角形が順番に接地して進行するように、前記右足裏および前記左足裏が順番に接地し歩行を実行する二脚式歩行装置であって、
前記右足裏の右外側に設けられ、前記右足裏よりも深い角度を持つ追加右足裏と、
前記左足裏の左外側に設けられ、前記左足裏よりも深い角度を持つ追加左足裏とを備え、
支持脚と遊脚との入れ替えの際に、前記右足裏および前記左足裏のうち支持脚に対応する足裏が接地した後、前記追加右足裏および前記追加左足裏のうち支持脚に対応する追加足裏を接地させることを特徴とする二脚式歩行装置。
【請求項2】
前記追加右足裏の角度は、前記追加右足裏で接地した場合に、静的にも動的にも右外側に二脚式歩行装置全体が倒れないような条件を満たす角度になっており、
前記追加左足裏の角度は、前記追加左足裏で接地した場合に、静的にも動的にも左外側に二脚式歩行装置全体が倒れないような条件を満たす角度になっていることを特徴とする請求項1に記載の二脚式歩行装置。
【請求項3】
前記追加右足裏は、前記右足裏に対して前寄りに配置され、
前記追加左足裏は、前記左足裏に対して前寄りに配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の二脚式歩行装置。
【請求項4】
前記右脚のうち前記右足裏の反対側部位と、前記左脚のうち前記左足裏の反対側部位とを回転接続する主軸を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置。
【請求項5】
重心を移動させる手段を搭載した搭載部と、
前記搭載部を前記主軸に連結する搭載部連結機構とを備え、
重心が移動することにより、前記進行方向への転がり動作が行われることを特徴とする請求項4に記載の二脚式歩行装置。
【請求項6】
前記主軸は、前記基本円柱の中心軸上に位置していることを特徴とする請求項4または5に記載の二脚式歩行装置。
【請求項7】
前記右足裏および前記左足裏は、前記ジグザグ平面ローラーの軸方向中央線から離れていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置。
【請求項8】
前記右足裏および前記左足裏は、前記ジグザグ平面ローラーの二等辺三角形の底辺側部位をなす台形と前記ジグザグ平面ローラーの軸方向中央線とに接する放物線形状を有していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置。
【請求項9】
前記右足裏および前記左足裏は何れも、その前縁および後縁のそれぞれに少なくとも1点の接地点を有していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置。
【請求項10】
前記右足裏および前記左足裏は何れも、その前縁および後縁のいずれか一方に2点の接地点を有し、その前縁および後縁の他方に1点の接地点を有していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置。
【請求項11】
前記右足裏および前記左足裏には、接地して回転する複数の回転体が配置されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置。
【請求項12】
前記進行方向への転がり動作を、前記右脚および前記左脚が滑り接続されるレールによって実現することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置。
【請求項13】
前記右足裏および前記左足裏に、着地の際の位置エネルギーおよび衝撃力を吸収し、力学エネルギーとして一旦蓄え、当該足裏が非接地となる際に、蓄えた力学エネルギーを地面を押す力として利用できる装置を具備することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の二脚式歩行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−176057(P2012−176057A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39824(P2011−39824)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)