説明

二輪車用ゲート装置および駐輪場ゲートシステム

【課題】
二輪車が通過を規制する規制力が強く、ゲート装置が無理やりこじ開けられた場合でも機構が破損せずに、自動復帰や警報出力をすることができる二輪車用ゲート装置と、駐輪場ゲートシステムを提供する。
【解決手段】
ゲート軸10Eの一端を挟持する分割された挟持部と、一端部近傍に支軸部を有する挟持体リンクと、回転方向切り換え可能なモータMTと、モータ軸MSに嵌合して一端部近傍に支軸部を有するモータリンクMRと、挟持体リンク41,42およびモータリンクMRの支軸部43,MHを互いに連結する中間リンク47と、モータ保持体48に一体的に固定されてモータリンクMRの支軸部MHを、その動作ストロークの両端部位置で係合する保持部48X,48Y、とで構成し、ゲート軸10Eに過大な外力が作用した場合には、分割された挟持体リンク41,42の挟持部の密着状態が解放されて回動可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車や自動二輪車(バイク)等から成る二輪車(以下単に二輪車という)を収容する駐輪場で使用して好適な、二輪車用ゲート装置および駐輪場ゲートシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道駅周辺や大型ショッピングモールの周辺には有料の駐輪場が設置されることが多く、駐輪場に入退場する各種の二輪車を一台づつ通過する様に規制して、通過する二輪車に対して入場日時を記録したカードを発行したり、駐輪料金の徴収を行ったりするシステムが増えてきている。
【0003】
従来、この様な駐輪場の入場車路や出場車路の通過規制手段としては、鉄道駅などに用いられている改札ゲートの様な構成の機器を適用することが多く、例えば、二輪車をゲート装置前で一旦停止させて、入場券の発行や駐輪料金の精算を以って当該ゲート装置を開動作させる様な仕組みになっているが、一方で、無人管理の駐輪場においては、不正に精算料金を支払わずにゲート装置を突破して退場する利用者が見受けられ、その為に料金徴収が出来ないだけでなく、二輪車、特に自動二輪車(バイク)等でゲート装置を破壊されることも有って、その修理費用が嵩んでしまうことも有り、有人管理にせざるを得ないという駐輪場もあった。
【0004】
そこで、例えばこの様な駐輪場のゲート装置において、不正な突破にあってもゲート装置が破壊されない様に、動力伝達系に衝撃エネルギーを吸収するラバーを含むダンパー軸継手を介在させた技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−213431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この様な従来の機構部を駐輪場のゲート装置に採用するだけでは、確かにゲート装置の破損を防止する効果はあるが、斯る機構は、人間が突破を試みるときに怪我をしない程度の衝撃吸収作用が発揮できるように構成したものであり、二輪車が勢いよく突破する際の規制手段としては些か頼りないものであった。また、一旦ゲート装置が無理やりこじ開けられた様な場合に、それを自動的に元の状態に復帰させたり、警報を出すような仕組みは考慮されていなかった。
【0007】
さらに、駐輪場用としてリミットトルクをもっと強化する場合には、ダンパー継手の形状を大きくしてトルクを増加させる必要があり、その結果、ダンパー継手の摩擦面の直径が大きくなってしまい、ゲート装置を小さい形状に保ったままで実装するには不向きであった。
【0008】
そこで本発明の技術的課題は、二輪車が勢いよく突破する際の規制用としては、十分な規制力が確保されていて、一旦ゲート装置が無理やりこじ開けられた様な場合には、それを元の状態に自動的に復帰させたり、警報を出すことができると共に、ゲート装置全体を小さい形状に保った状態のままで実装することが可能な二輪車用ゲート装置と、この二輪車用ゲート装置を利用した駐輪場ゲートシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を解決する為に本発明で講じた手段は以下の如くである。即ち、
(1) 本発明の請求項1に係る二輪車用ゲート装置は、
モータによって、略90度回動する回転軸上に連設した規制部が、回転軸の回転に従って通路に対する二輪車の通過可能位置と、通過不可能位置を選択的に切り換えることを可能にしたゲート装置であって、
前記回転軸と一体的に回転する軸部の一部に、バネの弾発力によって前記回転軸を挟持する挟持体リンクを挟着せしめ、この挟持体リンクは前記モータの回転に従って、前記規制部を前記二輪車の前記通過可能位置と、前記通過不可能位置とに選択的に切り換えて回動可能に構成すると共に、
前記規制部を介して前記回転軸に対して過大な外力が作用し、当該外力が上記バネの弾発力を上回った場合には、前記回転軸に対する前記挟持体リンクの挟持が外れて、前記の規制部を前記通過不可能位置から前記通過可能位置に至るまでの途中の位置に回動可能に構成したことを特徴としている。
【0010】
(2)本発明の請求項2に係る二輪車用ゲート装置は、前記請求項1に記載の二輪車用ゲート装置において、前記回転軸と一体的に回転され、且つ、円周方向に離間的に配列された複数の平面部が設けられている上記回転軸の軸部と、
前記平面部を挟持する分割された挟持部を有していて、一端部近傍には支軸部を有する挟持体リンクと、
回転方向が切り換え可能なモータ軸を有するモータと、
前記モータの前記モータ軸に嵌合して、当該モータ軸と一緒に回動可能に支持され、且つ、一端部近傍に支軸部を有するモータリンクと、
前記挟持体リンクおよび前記モータリンクの各支軸部を互いに連結する中間リンクと、
前記モータを保持する保持体に一体的に固定されて、前記モータリンクの支軸部を当該モータリンクの動作ストロークの両端部位置で係合する保持部、とで構成され、
前記保持部の一方に前記モータリンクの前記支軸部が係合された状態で、前記回転軸に過大な外力が作用して、前記分割された挟持部に挟持された前記平面部の挟持状態を開放しようとする力が、挟持される付勢力を上回った場合に、分割された挟持部の密着状態が解放されて、前記平面部が円周方向に離間する隣の平面部の位置に至るまでの途中位置に回動可能に構成したことを特徴としている。
【0011】
(3) また、本発明の請求項3に係る二輪車用ゲート装置は、前記請求項1または2に係る二輪車用ゲート装置において、前記保持部の一方に前記モータリンクの前記支軸部が係合された状態で、前記挟持体リンクの前記支軸と前記中間リンクと前記モータリンクの支軸と前記モータ軸は、略一直線上に位置して、前記回転軸に過大な外力が作用した場合に、当該外力による押圧力が前記モータリンクの支軸と前記保持体の保持部に作用することを特徴としている。
【0012】
(4) また、本発明の請求項4に係る二輪車用ゲート装置は、前記請求項1、2または3に係る二輪車用ゲート装置において、前記回転軸上の前記円周方向に離間的に配列された平面部は、互いに平行な平面部同士が直角に配置された4つの平面部よりなり、前記平面部が離間された互いに隣あう間隔部分は、前記回転軸と同芯上の円周形状で構成されていることを特徴としている。
【0013】
(5) また本発明の請求項5に係る二輪車用ゲート装置は、前記請求項4に係る二輪車用ゲート装置において、前記回転軸上の前記4つの平面部は、各々が当該回転軸の前記円周形状の芯軸部から見て30度ないしが50度の範囲角度の外周円弧部を平面状に切断した形状で形成され、当該平面部の前記範囲角度の半分の角度までは前記回転軸に固定された規制部が過大な外力を受けて回動しても、当該外力が解放された際に元の位置に復帰できることを特徴としている。
【0014】
(6) また本発明の請求項6に係る二輪車用ゲート装置は、前記請求項4または5に係る二輪車用ゲート装置において、前記回転軸上の前記4つの平面部を前記挟持体リンクの前記挟持部が前記弾性体の付勢力によって前記分割された両挟持部が密着したままで挟持する回転トルクは、前記モータの最大回転トルクが前記回転軸上に作用する伝達トルクよりも大きく、一方、前記回転軸上の前記4つの平面部を前記挟持体リンクの前記挟持部が前記弾性体の付勢力に打ち勝って前記分割された両挟持部が離間して、前記回転軸の前記円周形状部が前記挟持体リンクの前記分割された両挟持部に挟持されたままで回転するトルクは、前記モータの最大回転トルクが前記回転軸上に作用する伝達トルクよりも小さいことを特徴としている。
【0015】
(7) 本発明の請求項7に係る駐輪場ゲートシステムは、前記請求項1〜6に記載の二輪車用ゲート装置を、走路の両側に対向配置して互いに走路進行方向に開閉動作する1組の二輪車用ゲート装置として配置し、当該1組の二輪車用ゲート装置の進行方向手前側には走路に進入する二輪車を検出する進入センサを有し、当該1組の二輪車用ゲート装置の進行方向奥側には走路から退出する二輪車を検出する通過検知センサを有し、当該1組の二輪車用ゲート装置の進行方向手前側にはさらに二輪車の駐輪場への入場を許可するための発券装置若しくは二輪車の退出を許可するための精算装置等の駐輪管理機を有し、前記駐輪管理機による入場若しくは出場の許可なく前記通過検知センサによって二輪車の通過を検知した場合には、前記ゲート規制部を外力によって強制的に回動作させたことと判断し、一旦前記1組の二輪車用ゲート装置を開方向に動作させて一定時間内に当該1組の二輪車用ゲート装置の開方向の動作完了を検出した場合には、再度当該1組の二輪車用ゲート装置を閉方向に動作させることを特徴としている。
【0016】
(8) 更に、本発明の請求項8に係る駐輪場ゲートシステムは、前記請求項7に係る駐輪場ゲートシステムにおいて、前記1組の二輪車用ゲート装置を一旦開方向に動作させて一定時間内に当該1組の二輪車用ゲート装置の開方向の動作完了を検出した場合には、再度当該1組の二輪車用ゲート装置を閉方向に動作させた後に警報を出力し、一旦前記1組の二輪車用ゲート装置を開方向に動作させて、一定時間内に当該1組の二輪車用ゲート装置の開方向の動作完了を検出しなかった場合には、エラーを出力することを特徴としている。
【0017】
而して、上記(1)と(2)で述べた請求項1及び2に係る手段によれば、ゲート装置の規制部に過大な外力が加わった場合に、挟持部と平面部が相対的に回動することによって、ゲート装置の駆動部、即ちモータやモータ軸に過大な負荷が加わることを防止することができる。
【0018】
また、上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、過大な外力を受けて挟持部と平面部が相対的に回動する際に、その外力を受ける部材は固定された挟持部や保持部や中間リンクだけであり、モータなどの装置の主要部品類が破損するようなことが無い。
【0019】
また、上記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、外力に対抗する保持力を決定する部材が、丸棒形状を4面の2面同士を直角で互いに平行に加工した簡単な加工で製作でき、部材コストが低く抑えられる経済性を有している。また、これを挟持する挟持リンクも分割された双方に直角な溝加工を施すだけでよく、この部材も簡単な加工で製作でき、部材コストが低く抑えることができる経済性を有している。
【0020】
また、上記(5)で述べた請求項5に係る手段によれば、平面部の加工によって形成した範囲角度で、規制部が過大な外力を受けた場合の復帰できる限界である変移角度を設定することが出来るので、走路の幅や規制部の長さなどを鑑みて、最終的にこの平面部と挟持部の加工寸法によって、変移角度の設定や弾性体の付勢力との兼ね合いで規制力の調整を行なうことができ、様々な仕様の走路の用途に利用できる。
【0021】
また、上記(6)で述べた請求項6に係る手段によれば、モータの最大回転トルクよりも大きい挟持体リンクの挟持力によってゲート規制部が保持されているため、走路を容易に突破することが出来ない。尚、一旦ゲート規制部が挟持体リンクの挟持力に打ち勝って回動変移した場合には、モータの最大トルクよりも小さい挟持力で保持されているため、モータの選択的回転動作によって、元の状態に復帰する様に制御することが可能となる。
【0022】
また、上記(7)で述べた請求項7に係る手段によれば、走路を突破した二輪車があったとしても、それを検出して自動的に初期状態に復帰することができるため、無人管理の駐輪場に用いる駐輪場ゲートシステムとして好適である。
【0023】
また、上記(8)で述べた請求項8に係る手段によれば、仮に復帰できない場合にはエラーを出力し、復帰できても突破の検出によって警報を出力することで、仮に無人管理であっても警備機関への通報などがタイムリーにできるため、最終的には不正な突破の抑止に繋がる。
【発明の効果】
【0024】
以上の如く構成された本発明に係る二輪車用ゲート装置と、このゲート装置を利用した駐輪場ゲートシステムによれば、自転車や自動二輪車が勢いよく突破する不正を規制する手段として、十分な規制力が確保され、一旦ゲート装置が無理やりこじ開けられた様な場合には、それを自動的に復帰させたり、警報を出すことができる優れた機能性を備えると共に、ゲート装置を小さい形状に保ったままで実装することが可能な利便性を備えた二輪車用ゲート装置と駐輪場ゲートシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る駐輪場ゲートシステムが実施されている駐輪場出場車路の外観図。
【図2】(1)、(2)、(3)は本発明に係る駐輪場ゲートシステムが実施されている駐輪場出場車路を二輪車(自動二輪車としてのバイク)が出場している状態を説明した平面図。
【図3】本発明に係る二輪車用ゲート装置の内部構成を説明した斜視図。
【図4】(1)は本発明に係る二輪車用ゲート装置の内部機構の構成を示す平面図で、(2)はその側面図。
【図5】(1)と(2)は本発明に係る二輪車用ゲート装置の機構部のゲート閉状態時とゲート開状態時の動作説明図。
【図6】本発明に係る二輪車用ゲート装置の機構部のゲート閉状態と開状態の中間状態の動作説明図。
【図7】(1)と(2)は本発明に係る二輪車用ゲート装置の機構部のゲート閉状態時における動作説明図。
【図8】(3)と(4)は本発明に係る二輪車用ゲート装置の機構部のゲート閉状態におけるゲート変位状態を示した動作説明図。
【図9】(1)と(2)は本発明に係る二輪車用ゲート装置のゲートリンクの動作説明図。
【図10】(1),(2),(3)は本発明の他の実施例に係る駐輪場出場車路の平面図。
【図11】本発明の他の実施例に係る駐輪場ゲートシステムにおける出場車路の動作フロー図。
【図12】(1),(2),(3)は本発明の実施例に係る二輪車用ゲート装置のゲートリンクの動作説明図。
【図13】(1),(2),(3)は本発明の他の実施例に係る二輪車用ゲート装置のゲートリンクの動作説明。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、上述した本発明に係る二輪車用ゲート装置と駐輪場ゲートシステムの実施の形態を添付した図面と共に詳細に説明する。これらの実施の形態は本発明の好適な具体例であって、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0027】
添付した図面中、図1は本発明に係る二輪車用ゲート装置(以下単にゲート装置と称す)と、それを左右1組用いた駐輪場ゲートシステムが実施されている駐輪場の符号ORで全体的に示した出場車路の外観を説明した斜視図、図2の(1),(2),(3)はその平面図である。これ等の図面に於いて、1Hは料金精算機、10,10は右側・左側の各ゲート装置、31,32は右側・左側の車輪センサ、BKは二輪車としてのバイクが示され、図面上右側から左側に向かって二輪車としてのバイクBKが進行して、駐輪場(図示省略)から退場(出場)する様に構成されている。なお、右側・左側のゲート装置10,10と右側・左側の車輪センサ31,32は、二輪車としてのバイクBKの夫々進行方向(図1での白抜き矢印Yで示す方向)から見て、夫々右側と左側に存在している(設置されている)ことを示している。
【0028】
また、詳細に図示はしていないが、左側の車輪センサ32は複数の赤外線ビームを出場車路ORを横切る様に発光して、右側の車輪センサ31によって複数の赤外線ビームの受光のパターンやタイミングから、自転車(図示省略)が進入してきたのか自動二輪車(以下単にバイクBKと称する)が進入してきたのかを、主にタイヤの厚みの差で判定し、その判定結果を料金精算機1Hに図示しない配線を介して出力している。
【0029】
また、右側ゲート装置10には、その筐体の内部から開口部10Sを通過して外部に検出範囲(図2に示す検知エリアSR)を平面視で略扇型に持つ通過検知センサSR1(図4参照)が搭載されており、その検出結果を図示しない配線を通じて料金精算機1Hに出力している。なお、本発明の実施例において左側ゲート装置10にはこの様な通過検知センサは搭載していないが、左右両方のゲート装置10,10に通過検知センサを搭載してもよい。さらにそれ以外の部分では、右側と左側のゲート装置10,10は同じ構成となっているが、その筐体の進行方向中央部に鉛直な回転軸を有する規制部としての内部ゲートが、夫々進行方向に向けて開動作可能になっており、即ち右側と左側のゲート装置10,10は、出場車路ORの進行方向の中央線に対して線対称のゲート動作をする様に構成されている。
【0030】
更に、右側と左側のゲート装置10,10は、夫々内部にゲート回転手段や動作位置検出用のスイッチ若しくはセンサを有していて、それらの状態信号を料金精算機1Hに出力する配線や、料金精算機1Hから開閉動作の制御信号が入力される配線などが、夫々設けられている。もちろん電源配線なども適宜路面に埋設されている。なお、図示はしないが、出場車路ORの左右両側部には、バイクBKや利用者が出場車路ORの途中からは退出できない様に、バリカー(ガードレール)が設置されている。
【0031】
料金精算機1Hは出場車路ORに面した面の上部側には液晶表示画面1Tを有していて、現在時刻表示や料金表示が行なえる。また、中央部には料金精算するための硬貨投入口や紙幣挿入口を有し、さらにその近傍には、図示しない発券機で入場車路において発行された入場時刻情報を記録した入場券などを挿入して読取ることができる券挿入口(いずれも図示省略)が設けられている。
【0032】
また、料金精算機1Hは前述の通り、右側と左側のゲート装置10,10および右側と左側の車輪センサ31,32の図示しない配線を介して接続されている。一方、別途管理機関、例えば管理事務所の監視盤と通信接続されていて、料金精算機1H内部のエラー情報や釣銭切れなどの情報を送信できるようになっていると共に、後述するゲート突破事故を検出してその情報を送信したり、その事故を検出した時点で警報を出力するなどの機能を有している。
【0033】
図2は、出場車路ORにバイクBKが進行して退出するまでの状態を示しており、(1)はまずバイクBKが出場車路ORに進入して来て、左右の車輪センサ31,32の検出位置まで到達した状態を示している。この状態かさらに若干進行方向に進んだ状態で、通常はバイクBKは一旦停止し、その時点で料金精算機1Hの液晶表示画面1Tに表示されている駐輪料金の支払いを行なう。例えば、入場時にはバイクBKや自転車の区別は無く、出場時に車種毎に一律な料金を支払う様な運用の場合、バイクBKであれば多少高額な料金(概ね数百円程度)を徴収し、自転車であれば低額な料金(100円程度)を徴収する形態がある。
【0034】
若しくは、入場時には入場車路に設置された発券機(図示省略)から入場券の発行を受けて、その入場券を抜き取った時点で入場車路のゲートが開いて駐輪場への入場が許可され、出場車路ORでは(1)より若干進行方向に進んだ状態で料金精算機1Hの券挿入口に入場券を挿入すると、入場券に記録された入場時刻と現在時刻から駐輪時間を算出して、車種によって時間当たりの料金が可変設定された料金テーブルで駐輪料金が算出され、例えば自転車であれば2時間まで無料、以降当日24時までは100円、バイクBKは2時間まで無料、以降当日24時までは200円、連泊の場合には一日の最大料金が日毎に加算される、などの料金設定で運用される形態がある。
【0035】
また、不正を防止するために、入場券を紛失した場合には料金精算機1H上の図示しない紛失券釦を押下すると、自転車であれば1000円、バイクであれば2000円、などの追徴料金を支払うことで、精算完了とする運用形態もある。いずれにせよ、料金を支払って料金精算を完了させることで、図2(2)に示す通り、左右のゲート装置10,10の両ゲートとしての規制部10G,10Gがどちらも開動作し、その後は図2(3)に示す通りバイクBKが通過検知センサの検知範囲SRから外れるまで退出すると、右側・左側ゲート装置10,10の両ゲート(規制部10G,10G)が閉動作して、図2(1)の状態に戻る。
【0036】
図11に後述する本発明の他の実施例に係る駐輪場ゲートシステムの動作フロー図を示すが、図11のステップS1〜ステップS12までの動作は前述の通常のバイクBK、若しくは自転車の進入・料金精算、退出の動作を示している。
【0037】
図3は、本発明に係るゲート装置10の内部構成を示した斜視図であり、図面では図1の右側のゲート装置10を拡大し、さらに外扉10C(図1参照)を外して、ゲート装置筐体10Wの開口部10Hより内部を見た状態で示している。また、図示しない左側のゲート装置10は、外観、内部ともこの状態と全く同じで、機構動作部の構成も同様であるが、ゲートとしての規制部10Gの開閉方向のみが異なっている。また、前述した通過検知センサは、外扉10Cに取り付けられているため、図3においては省略されている。
【0038】
図3において、ゲート装置筐体10Wは上部側が図の右側からみてコの字状に凹んだ横凹部10K以外は、基本的には奥行きの薄い長方形の柱状の筐体形状であり、外形寸法が若干小さく作ったベース部10Zに載っている構成となっている。横凹部10Kの上下面には夫々上側(図示せず)と下側の軸受け10Bがゲート装置筐体10Wの幅方向の中央部にあり、これら上下の軸受けに嵌合し、且つ、下側の軸受け10Bを貫通する状態で、ゲート軸としての回転軸10Eが鉛直で上下の軸受けに対して回動可能に挿入されている。また、ゲート軸としての回転軸10Eには、左側より見てコの字形状に棒材を曲げ形成されたゲートとしての規制部10Gが固定されていて、上記回転軸10Eと一体的に回動する様に構成されている。
【0039】
図1と図3に示した状態は、ゲートとしての規制部10Gが出場車路ORを規制する様に最大に突出した状態であり、ゲート閉の状態である。この時のゲート軸としての回転軸10Eの位相を仮に0度とすれば、右側のゲート装置10がゲート開となる場合には、回転軸10Eの位相が図で左側に略90度旋回した状態となる。一方で、左側ゲート装置10であれば、ゲート開となる場合は、ゲート軸としての回転軸10Eの位相が図で右側に略90度旋回した状態となる。もっとも、右側ゲート装置10と左側ゲート装置10はお互いに対向する様に配置されているので、ゲート開となる場合のゲートとしての規制部10G,10Gの開き方向は、どちらも出場車路の進行方向に向かって90度旋回した状態である。
【0040】
次に、図4は本発明に係る二輪車用ゲート装置の内部機構構成を示す平面図および側面図であり、図3の右側のゲート装置10の(1)平面方向から内部を透視した状態の図と(2)背面方向より同様に透視した状態の図で示している。なお図4(1)の図中では上側が出場車路ORに面した側を向いている状態を示している。
【0041】
図4において、本発明の実施例としての二輪車用ゲート装置の内部機構構成を詳細に説明すると、鉛直なゲート軸としての回転軸10Eの下端部には、回転軸10Eと一体に矩形軸部10ETが形成されている。この矩形軸部10ETは、ゲートリンク41およびゲートリンクカバー42とが両側より密着した状態で矩形嵌合部10ES内に嵌合するようになっている。矩形軸部10ETは後述する図9に示す様に、回転軸10Eの下端部に円周方向に離間的に配列された4つの平面部10L…を持っている。また、ゲートリンクカバー42と共に矩形軸部10ETの平面部10L…を挟持する分割された断面略V字状の挟持部によって、上記の矩形嵌合部10ESを形成しているゲートリンク41(挟持体リンク)には、一端部近傍にゲートリンク支軸43が突設されている。
【0042】
図4(2)は、図4(1)のA矢視図を示し、回転方向切り換え可能なモータ軸MSを有するモータMTが、モータブラケット44に固定されていて、モータブラケット44はゲート装置筐体10Wと一体の支柱部GTに固定されている。モータ軸MSはカップリング46を介して上方のモータリンクMRと一体的に回転(カップリングにより若干モータリンクの軸芯はルーズであるが)し、モータリンクMRの一端部近傍には支軸MHが突設されており、ゲートリンク41およびモータリンクMRの支軸43、MH同士を中間リンク47が連結している。
【0043】
さらにモータMTを保持するモータブラケット44には、リンク保持板48(請求項では保持体)が一体的に固定されていて、そのリンク保持板48の上面部48Sには、モータリンクMRの支軸MHを、モータリンクMRの動作ストロークの両端部位置で係合する、図中で下向きUの字状の凹みから成る外側保持部48Xと内側保持部48Yが形成されていて、モータリンクMRの支軸MHのおよそ中間部分のくびれた部位が、上記外側保持部48Xまたは内側保持部48Yに嵌合できる様になっている。
【0044】
前述のゲートリンク41およびゲートリンクカバー42は、2本のボルト50,50とボルト50,50の首下に平座金51,51を介して弾性体52,52(圧縮バネ)を挟み込んで密着固定されているが、弾性体52,52の付勢力に打ち勝つように、これらゲートリンク41およびゲートリンクカバー42を引き離すには、相当な力が必要になるよう、弾性体52,52は強い付勢力を有している。
【0045】
(請求項2の構成要件)また、図4(1)および図5(1)は、右側のゲート装置10のゲート閉状態を示しており、リンク保持板48の内側保持部48YにモータリンクMRの支軸MHのくびれ部が嵌合された状態であり、ゲートリンク41の支軸43と中間リンク47とモータリンクMRの支軸MHとさらにモータ軸MS(と一体的に回動するカップリング44の上方の軸部)は、平面視で略一直線上に位置している。なお、図5は図4の平面図を180度回転させて状態で示しているもので、図の下側が出場車路ORに面した方向で示している。
【0046】
図5(2)は右側のゲート装置10のゲート開状態を示しており、前述の図5(1)の状態からモータ軸MSが時計方向に回転すると、モータリンクMRも一体的に時計方向に回転するが、略180度回転したところでモータリンクMRの支軸MHがリンク保持板48Sの外側保持部48Xに係合する位置で検知スイッチSW1を検知して(図4参照)停止するが、この時にもモータリンクMRの方向は180度異なるが、前述の図5(1)と同様にゲートリンク41の支軸43と中間リンク47とモータリンク支軸MHと、さらにモータ軸MSは、平面視で略一直線上に位置していることになる。
【0047】
図6は本発明に係る二輪車用ゲート装置の機構部の動作説明図であって、図5(1)、(2)の動作の中間的な位置の状態を示しており、矢印Bはゲート開動作時のモータMTの回転方向である。なお、図5(1)、(2)の位置においてモータリンクMRが停止する様に、リンク保持板48には検出スイッチSW1,SW2が夫々搭載されていて、ゲートとしての規制部10Gの開動作時の検知を行なうゲート開検知スイッチSW1と、ゲート閉動作時の検知を行なうゲート閉検知スイッチSW2が、その位置を微調整しながら正確にモータリンクMRが停止する様に取り付けられている。また、これ等のスイッチSW1,SW2は、図示しない左側ゲート装置10の場合には逆に作用し、即ち、検出スイッチSW1がゲート閉検知スイッチ、検知スイッチSW2がゲート開検知スイッチとして作用する。
【0048】
図7は本発明に係る二輪車用ゲート装置の機構部の動作説明図であり、ゲート軸10Eに過大な外力が作用した場合の動作を示している。図7(1)は図4や図5(1)に示したのと同じ右側ゲート装置10におけるゲート閉状態であるが、この状態で規制部10Gに過大な外力が作用したとする。例えば出場車路ORでバイクBKが規制部10Gを強制的に突破しようとした場合には、図中で黒塗り矢印で示す方向で外力が作用することになり、即ち進行方向に規制部10Gが過大な外力で押圧されることになるが、この外力によってゲート軸10Eが時計方向に付勢されると、ゲート軸10Eと一体化されている矩形軸10ETを密着して挟持しているゲートリンク41およびゲートリンクカバー42も時計方向に付勢され、ゲートリンク41の支軸43には図で右横方向の付勢力が生じ、その付勢力は中間リンク47の長手軸方向に作用して、そのままモータリンクMRの支軸MHに作用することになる。
【0049】
ところが、モータリンクMRの支軸MHは、その首下のくびれ部がリンク保持板48の内側保持部48YのUの字の右側壁面(内側保持部内壁部)に当接していて、且つ、モータリンクMRはモータ軸MSとは直接的に一体化してはおらず、さらにモータリンクMRはその回転中心に対して、若干ルーズに取り付けられていることで、前述の中間リンク47から直接モータリンクMRの支軸MHに作用する外力は、すべてこの内側保持部48YのUの字の右側壁面のみに作用することになる。よって、この外力がさらに強化されたとしても、モータ軸MSやモータ軸受けMSTなどを損傷させたり、ゲートリンク41や中間リンク47やモータリンクMR、さらにそれらの支軸部は極めて簡素で十分な強度で構成されているから、これらが損傷されることも無い。従って、規制部10Gよる押圧力が前記モータリンクMRの支軸MHと、保持板48の保持部に作用することになる。
【0050】
但し、本発明の実施例においては、ある一定の外力以上になった場合には、部材を強化して保持するだけでは、部材のコストの高騰などに繋がるため、ある程度の外力では内部の機構を保護するためにゲート、即ち、規制部10Gが変移する様になっている。この状態を図7(2)に示すが、過大な外力が規制部10Gに作用して、ある限界に達すると、図に示した通り規制部10Gが変移角度θ1までは、元の位置に復帰可能に弾性的に動作する様になっている。
【0051】
図9は本発明に係る二輪車用ゲート装置のゲートリンク41の動作説明を示す。(4)は矩形軸10ETの詳細形状を示しており、前述の変移動角度θ1は矩形軸10ETの平面部10Lの中心からの角度の半分に相当している。また、4つの平面部10L…の間には夫々円周形状部10R…が設けられている。さらに、(1)に示す通り、ゲートリンク41とゲートリンクカバー42と、弾性体51とボルト50と座金52の構成も詳細に示している。さらに、ゲート軸10Eの下端側端部はゲートリンク41およびゲートリンクカバー42から軸方向に大きくずれることが無いよう、ワッシャWS(図4参照)でスラスト方向に規制を持たせている。
【0052】
この状態で前述の通り規制部10Gに過大な外力が作用して、図9(2)に示すとおり矩形軸10ETの平面部10L…が弾性体51の付勢力を上回った場合に、分割されたゲートリンク41とゲートリンクカバー42の挟持部の密着状態が解放されることになる。この状態に達するまでは、外力を排除すれば元に戻るが、変移動角度θ1を超えると、弾性体51による付勢力が作用しても、ゲートリンク41およびゲートリンクカバー42のV字の溝からの押圧力が矩形軸10ETの円周部形状部10Rに作用するため、矩形軸10ETを元に戻す方向には作用しなくなる。但し、この状態では、矩形軸10ETを回転させるのに必要な回転トルクは、前述の外力が作用した場合にθ1まで変移するときの回転トルクに比べると、かなり小さいトルクとなる。
【0053】
さらに外力が作用した場合には、最終的に図8(3)の変移角度θ2まではそのままの回転トルクで矩形軸10ETを回転させることが可能であるが、変移角度θ2を超えると、強制的に平面部10Lが円周方向に離間する隣の平面部10Lの位置に至るまで収まろうとして、回動してしまうことになる。
【0054】
図8は、本発明に係る二輪車用ゲート装置の機構部の動作説明で、前述の図9の状態をゲート機構部全体で示している。即ち変移角度θ1までは過大な外力が必要であるが、変移角度θ1からθ2までは、適度な外力によって規制部10Gを回動させることが可能となる。さらにθ2を超えるとθ3までは(過大な外力と同じ値が逆に作用して)強制的にゲート(規制部10G)が回動することになる。このθ3は即ち完全に規制部10Gを開状態と同じ位相まで開ききった状態である。
【0055】
いずれにせよこれら本発明の請求項3,4に記載した構成によって、外力に対抗する保持力を決定する部材が、丸棒形状を4面の2面同士を直角で互いに平行に加工した簡単な加工で製作でき、部材コストが低く抑えられる。また、これを挟持する挟持体リンクも分割された双方に直角なV字の溝加工を施すだけでよく、この部材も簡単な加工で製作でき、部材コストが低く抑えられる。さらには従来技術のダンパー継手などの様に面方向に摩擦を発生させるリミッタ機構に比べて、過大なトルクであっても小さく構成できる利点も有している。
【0056】
さらに従来技術のダンパー継手などに比べて、矩形軸の平面部の加工によって形成した範囲角度で規制部が過大な外力を受けた場合の復帰できる限界である変移角度を設定することが出来るので、走路の幅や規制部の長さなどを鑑みて、最終的にこの平面部と挟持部の加工寸法によって、変移角度の設定や弾性体の付勢力との兼ね合いで規制力の調整を行なうことができ、様々な仕様の走路の用途に利用できる利点も有している。
【0057】
また、ゲート軸10Eの矩形軸10ETの4つの平面部10L…を、ゲートリンク41の挟持部が弾性体51の付勢力によって、分割された両挟持部が密着したままで挟持する回転トルクは、モータMTの最大回転トルクがゲート軸10E上に作用する伝達トルクよりも大きく調整することが可能である。これはある程度は弾性体51(圧縮スプリング)の強さで調整可能であり、矩形軸10ETとそれに接触する両挟持部は、摩擦が安定した材質同士を組み合わせるのが良い。例えば、ゲート軸10Eおよび矩形軸10ETはステンレスの棒材を用い、ゲートリンク41およびゲートリンクカバー42は真鍮を用いると、安定した摩擦が作用されて都合が良い。もちろん、適宜グリス塗布などの耐久性向上策は実施可能である。
【0058】
一方、ゲート軸10Eの矩形軸10ET上の4つの平面部10L…を、ゲートリンク41の挟持部が弾性体51の付勢力に打ち勝って分割された両挟持部が離間して、矩形軸10ETの円周形状部10R…が挟持体部に挟持された際には、ゲートリンク41およびゲート軸10Eが回転するトルクは、モータMTの最大回転トルクが回転軸上に作用する伝達トルクよりも小さくすることも可能である。この両方の条件、即ち安定状態でのゲートリンク41の挟持部を開く回転トルクはモータMTの最大回転トルクが回転軸上に作用する伝達トルクよりも大きく、且つ、矩形軸10ETの円周形状部10R…が挟持体部に挟持された際には、ゲートリンク41およびゲート軸10Eが回転するトルクは、モータMTの最大回転トルクが回転軸上に作用する伝達トルクよりも小さい、という条件に入るように、本発明の実施例では構成している。
【0059】
これにより、モータMTの最大回転トルクよりも大きい挟持体リンク41,42の挟持力によって規制部10Gが保持されているため、走路を容易に突破することが出来ないほど強い規制力のゲート装置が構成できる。また、一旦規制部10Gが挟持体リンク41,42の挟持力に打ち勝って変移した場合には、モータMTの最大トルクよりも小さい挟持力で保持されているため、モータMTの選択的回転動作によって、元の状態に復帰する様に制御することが可能となる。
【0060】
次に、この条件に設定した機構部を有するゲート装置を使用して、駐輪場ゲートシステムを構成し、不正なゲート突破に対して効率的に処理する本発明の実施例を説明すると、図10は本発明の他の実施例に係る駐輪場出場車路ORの平面図を示す。
【0061】
図10において、(1)は図2(1)と同じであるが、この状態で利用者が料金精算する前に、ゲート(規制部10G)を強制的にこじ開けて突破しようとしたとすると、図10(2)には正に規制部10GをバイクBKの車体でこじ開けながら突破している状態を示している。そしてその後バイクBKが退出して通過検知センサの検知エリアSRを外れると、このバイクBKは不正に突破したことが確定となる。そして、このときに規制部10Gが強制的にこじ開けられた変移角度をθとすると、この変移角度θは概ねバイクBKが通り抜けられるだけの分がこじ開けられることになるため、前述のθ2からθ3の間の変移角度でこじ開けられることが想定される。
【0062】
この様な不正な突破事故に至るまでの過程と、その後に本発明の他の実施例としての駐輪場ゲートシステムが自動的に復帰する過程を、図11のゲート装置の動作フロー図をもとに説明すると、まず正常に出場処理が成された場合を説明すると、ステップS1で車輪センサ31,32がONするかどうかを監視し、バイクBK、若しくは自転車が出場車路ORに進入してきて車輪センサ31,32がONするとY(Yes)となり、ステップS2に移行し、車輪センサ31,32での判定がバイクBKか自転車によって異なるフローとなり、バイクBKであればステップS3に移行して、前述のようなバイク用の料金体系で料金表示等がなされ、ステップS5で精算処理が完了すればYとなってステップS6に移行し、ゲート開方向にモータ動作を開始させ、ステップS7でモータリンクMRの開位置を検出するスイッチ(右側ゲート装置の場合は検知スイッチSW1)がONとなったら、ステップS8に移行してモータMTを停止させる。
【0063】
一方、ステップS2で自転車と判定された場合には、ステップS2からステップS4に移行して、前述の様な自転車用の料金体系で料金表示等がなされ、ステップS5に移行して、それ以降はバイクBKと同じフローで処理が進行する。
【0064】
ステップS8の後はステップS9に移行して通過検知センサがバイクBK若しくは自転車の通過を検知するかどうかを監視し、通過を検知した場合にはYとなってステップS10に移行して、ゲート閉方向にモータMTの動作を開始させ、ステップS11でモータリンクの閉位置を検出するスイッチ(右側ゲート装置の場合は検知スイッチSW2)がONとなったら、ステップS12に移行してモータMTを停止させ、全体の処理を終了させる。
【0065】
次に図10で示した様なバイクBKの強制的な突破事故が発生した場合のフローを説明すると、前述と同様にステップS5まで進行し、精算完了がされるかどうか監視しているうちに、ステップS13で通過検知センサが通過を検知するかどうかを監視しており、不正に強制突破をした場合には、このステップS13でステップS5がYとなるより先に通過検知センサが通過を検知してYとなる。この状態が図10の(3)の状態と成っている。
【0066】
このまま放置しては、次に精算しようと進入してくる利用者が戸惑ったり、若しくは未精算で出場してしまったりしかねない。そこで、本発明の実施例に係る二輪車用ゲート装置を利用した駐輪場ゲートシステムでは、ステップS13で未精算で通過検知センサの通過を検知した場合には、ステップS14に移行してゲート開方向にモータMTの動作を開始させ、ステップS15でモータリンクMRが開位置に達したかをリンク開スイッチ(右側ゲート装置の場合は検知スイッチSW1)を監視し、その間にステップS20で時間t1が経過するかを監視しながら、時間t1に達する前にリンク開スイッチがONとなればYとなって、ステップS16に移行してゲート閉方向にモータMTを動作開始させ、ステップS17で今度はリンク閉センサ(右側ゲート装置の場合は検知スイッチSW2)の側がONするかを監視し、ONすればYとなってステップS18でモータMTを停止させ、ステップS19で警報を出力して全体の処理を終了させる。
【0067】
警報出力は、駐輪場の管理形態によって異なるが、例えば料金精算機1Hから一定時間アラーム音を出力させたり、管理室の監視盤に表示を点滅させたり、若しくは警備会社に警報を送信するなどがあり、その手法は任意である。
【0068】
また、もしもステップS20で時間t1が経過してしまったら、ステップS21でモータMTを停止させ、ステップS22でエラー出力する。このときの時間t1は、通常のゲート開/閉動作に係る時間の数倍程度に設定しておけばよく、概ね10秒程度とすればよい。また、この様に時間t1以内にモータMTの動作が完了しないとすれば、ゲート(規制部10G)が完全に変移角度θ3以上変移させられてしまい、モータMTの最大トルクによって自動的に復帰させることが出来ない状態を示している。その場合にはエラーによって係員を呼んで処理させるのが得策である。
【0069】
この様に、本発明の実施例によれば、出場走路ORを未精算で不正に突破したバイクBKがあったとしても、それを検出して自動的に初期状態に復帰することができ、無人管理の駐輪場に好適である。また、仮に復帰できない場合にはエラーを出力し、復帰できても突破の検出によって警報を出力することで、仮に無人管理であっても警備機関への通報などがタイムリーにでき、最終的には不正な突破の抑止に繋がる。
【0070】
なお、不正な未精算の突破事故はバイクBKに限らず、自転車として検出していても同様な処理を行うのは云うまでも無い。
【0071】
次に、本発明の実施例のゲートリンク41とゲートリンクカバー42との間の挟持部(矩形嵌合部10ES)と、矩形軸10ETの平面部による規制力の関係を説明すると、図12には本発明の実施例の挟持部と矩形軸の平面部の状態が示されており、(1)で通常状態においては、変移角度0度として、弾性体51の作用によってゲートリンクカバー42には荷重Pが加わっている。この荷重Pが係って密着状態にあるゲートリンクカバー42とゲートリンク41の間に挟持された矩形軸10ETは、仮に荷重Pを100N、矩形軸の円周部半径を20mm、平面部の角度を片側30度程度、摩擦係数を0.4とすると、図12(1)に示した数式の通り、T1はおよそ8000N・mm以上のトルクで回動しない限り、矩形軸10ETが回動することは無い。
【0072】
それ以上のトルクがゲート軸10Eに作用して、矩形軸10ETに過大な外力が作用した場合には、(2)の状態になり、その過程では矩形軸10ETの回転トルクT2は図12(2)に示した数式の通り、およそ5000N・mm以下のトルクで回転する様になる。その後矩形軸10ETの円周部が挟持部に接するようになって、以降は、摩擦係数も減少して0.2程度となり、(予め加工精度を滑らかに加工している)回転トルクT3は図12(3)に示した数式の通り、およそ2500N・mm以下のトルクで回動可能となる。
【0073】
本発明の実施例におけるモータMTの最大トルクは、このT3よりも大きいことが必要で、T1やT2よりも小さいくても良い。もちろんそれよりも大きくても良い。その結果、ゲート軸10Eに外力が加わり、少なくとも変移角度θ1以上回動させられた場合でも、モータMTの回転力によって、一端ゲート開方向に動作して、矩形軸の回動状態を元に戻すことができる。
【0074】
さらに本発明の他の実施例として、図13に示す手法も有効であり、図13の(2)に示すとおり、ゲートリンク41およびゲートリンクカバー42の平滑部に、矩形軸10ETのエッジ部とかみ合う様に平目ローレット10X…を形成することで、矩形軸10ETの回動前のトルクT1と、変移角度θ1の際のトルクT2をほぼ同じ程度に高くすることができる。平目ローレット10X…があったとしても、矩形軸10ETが変換角度θ1以上回動した場合には、円周形状部10Rが平目ローレット10X…に当接するだけであり、実施例とおなじ低い回転トルクT3が作用するに過ぎない。
【0075】
これにより、規制部10Gの不正なこじ開けに対しては過大な静止トルクを発生させ、一端こじ開けられてしまった場合には、モータMTの回転力でスムーズに元に戻すことができるゲート装置が実現し、単に部材の加工状態に平目ローレット10X…を施すだけで、安価に性能の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の技術は、自転車や自動二輪車用の駐輪場の入場車路や出場車路ORにおいて通過を規制するゲート装置に使用されることが見込まれるものであり、さらにレンタル自転車の管理システムや、人が通過するイベント用ゲートなどへの流用も可能な技術である。
【符号の説明】
【0077】
1H 料金精算機
10,10 (右側・左側)ゲート装置
31,32 (右側・左側)車輪センサ
OR 出場車路
BK (二輪車としての)バイク
10E (回転軸)ゲート軸
10G (規制部)ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって、略90度回動する回転軸上に連設した規制部が、回転軸の回転に従って通路に対する二輪車の通過可能位置と、通過不可能位置を選択的に切り換えることを可能にしたゲート装置であって、
前記回転軸と一体的に回転する軸部の一部に、バネの弾発力によって前記回転軸を挟持する挟持体リンクを挟着せしめ、この挟持体リンクは前記モータの回転に従って、前記規制部を前記二輪車の前記通過可能位置と、前記通過不可能位置とに選択的に切り換えて回動可能に構成すると共に、
前記規制部を介して前記回転軸に対して過大な外力が作用し、当該外力が上記バネの弾発力を上回った場合には、前記回転軸に対する前記挟持体リンクの挟持が外れて、前記の規制部を前記通過不可能位置から前記通過可能位置に至るまでの途中の位置に回動可能に構成したことを特徴とする二輪車用ゲート装置。
【請求項2】
前記回転軸と一体的に回転され、且つ、円周方向に離間的に配列された複数の平面部が設けられている上記回転軸の軸部と、
前記平面部を挟持する分割された挟持部を有していて、一端部近傍には支軸部を有する挟持体リンクと、回転方向が切り換え可能なモータ軸を有するモータと、
前記モータの前記モータ軸に嵌合して、当該モータ軸と一緒に回動可能に支持され、且つ、一端部近傍に支軸部を有するモータリンクと、
前記挟持体リンクおよびモータリンクの各支軸部を互いに連結する中間リンクと、
前記モータを保持する保持体に一体的に固定されて、前記モータリンクの支軸部を当該モータリンクの動作ストロークの両端部位置で係合する保持部と、で構成され、
前記保持部の一方に前記モータリンクの前記支軸部が係合された状態で、前記回転軸に過大な外力が作用して、前記分割された挟持部に挟持された前記平面部の挟持状態を開放しようとする力が、挟持される付勢力を上回った場合に、分割された挟持部の密着状態が解放されて、前記平面部が円周方向に離間する隣の平面部の位置に至るまでの途中位置に回動可能に構成したことを特徴とする前記請求項1に記載の二輪車用ゲート装置。
【請求項3】
前記保持部の一方に前記モータリンクの前記支軸部が係合された状態で、前記挟持体リンクの前記支軸と前記中間リンクと前記モータリンクの支軸と前記モータ軸は、略一直線上に位置して、前記回転軸に過大な外力が作用した場合に、当該外力による押圧力が前記モータリンクの支軸と前記保持体の保持部に作用することを特徴とする前記請求項1または2に記載の二輪車用ゲート装置。
【請求項4】
前記回転軸上の前記円周方向に離間的に配列された平面部は、互いに平行な平面部同士が直角に配置された4つの平面部よりなり、前記平面部が離間された互いに隣あう間隔部分は、前記回転軸と同芯上の円周形状で構成されていることを特徴とする前記請求項1、2または3に記載の二輪車用ゲート装置。
【請求項5】
前記回転軸上の前記4つの平面部は、各々が当該回転軸の前記円周形状の芯軸部から見て30度ないしが50度の範囲角度の外周円弧部を平面状に切断した形状で形成され、当該平面部の前記範囲角度の半分の角度までは前記回転軸に固定された規制部が過大な外力を受けて回動しても、当該外力が解放された際に元の位置に復帰できることを特徴とする前記請求項4に記載の二輪車用ゲート装置。
【請求項6】
前記回転軸上の前記4つの平面部を前記挟持体リンクの前記挟持部が前記弾性体の付勢力によって前記分割された両挟持部が密着したままで挟持する回転トルクは、前記モータの最大回転トルクが前記回転軸上に作用する伝達トルクよりも大きく、一方、前記回転軸上の前記4つの平面部を前記挟持体リンクの前記挟持部が前記弾性体の付勢力に打ち勝って前記分割された両挟持部が離間して、前記回転軸の前記円周形状部が前記挟持体リンクの前記分割された両挟持部に挟持されたままで回転するトルクは、前記モータの最大回転トルクが前記回転軸上に作用する伝達トルクよりも小さいことを特徴とする前記請求項4または5に記載の二輪車用ゲート装置。
【請求項7】
前記請求項1ないし6に記載の二輪車用ゲート装置を、走路の両側に対向配置して互いに走路進行方向に開閉動作する1組の二輪車用ゲート装置として配置し、当該1組の二輪車用ゲート装置の進行方向手前側には走路に進入する二輪車を検出する進入センサを有し、当該1組の二輪車用ゲート装置の進行方向奥側には走路から退出する二輪車を検出する通過検知センサを有し、当該1組の二輪車用ゲート装置の進行方向手前側にはさらに二輪車の駐輪を許可するための発券装置若しくは二輪車の退出を許可するための精算装置等の駐輪管理機を有し、前記駐輪管理機による入場若しくは出場の許可なく前記通過検知センサによって二輪車の通過を検知した場合には、前記ゲート規制部を外力によって強制的に回動作させたことと判断し、一旦前記1組の二輪車用ゲート装置を開方向に動作させて一定時間内に当該1組の二輪車用ゲート装置の開方向の動作完了を検出した場合には、再度当該1組の二輪車用ゲート装置を閉方向に動作させることを特徴とする駐輪場ゲートシステム。
【請求項8】
前記1組の二輪車用ゲート装置を一旦開方向に動作させて一定時間内に当該1組の二輪車用ゲート装置の開方向の動作完了を検出した場合には、再度当該1組の二輪車用ゲート装置を閉方向に動作させた後に警報を出力し、一旦前記1組の二輪車用ゲート装置を開方向に動作させて、一定時間内に当該1組の二輪車用ゲート装置の開方向の動作完了を検出しなかった場合には、エラーを出力することを特徴とする前記請求項7に記載の駐輪場ゲートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−45314(P2013−45314A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183227(P2011−183227)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】