説明

二輪車用荷カゴ及びこれを備えた自転車

【課題】荷カゴの形状を変形することにより、どのような物であっても安定的に収納可能な二輪車用荷カゴ及びこれを備えた自転車の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の二輪車用荷カゴは、互いの側縁が回動自在に連結される複数の側枠を有し、複数種の角筒状に変形可能な枠体と、この枠体の底部に配設される底枠と、この底枠を各種角筒状状態の枠体に係止するための係止手段と、枠体及び/又は底枠を二輪車に連結するための連結部とを備えている。上記枠体が、6枚以上の偶数の側枠を有し、その枚数に応じた多角筒状と四角筒状とに変形可能に構成されているとよい。上記底枠が、側枠の枚数に応じた多角形状に形成されており、折畳自在に連結される前部材及び後部材とを有しているとよい。上記枠体が8枚の側枠を有し、上記底枠が八角形状に形成されているとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状変形可能な二輪車用荷カゴ及びこれを備えた自転車に関し、詳細には、ビジネスバッグ、通学鞄、スーパーマーケットの買い物袋等の形状の異なる荷物を損傷又は破損させることなく、かつ荷カゴの外縁からはみ出すことなく安定して収納することができる二輪車用荷カゴ及びこれを備えた自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車は近距離間での最適移動手段であり、通勤、通学又は買い物等に好適に利用される。そして、通勤、通学又は買い物等の際に持ち運びするビジネスバッグ、通学鞄又は買い物袋等は、二輪車による移動に際し、二輪車の荷カゴに入れておくのが一般的である。しかし、二輪車の荷カゴは、一般的には略正方形又は矩形の底枠を有する箱形である。一方、典型的なビジネスバッグや通学鞄は、底部が細長い矩形状の直方体状であり、その底部の長手方向は二輪車の荷カゴの一辺よりも長いのが通常である。従って、ビジネスバッグや通学鞄は、二輪車の荷カゴに入れると一部が荷カゴの外縁からはみ出してしまう。その結果、荷カゴの外縁と接触して損傷したり、二輪車走行中に落下したり又は盗難にあったりするおそれが高くなる。また、スーパーマーケット等の買い物袋については、たくさん入れると丸くふくらむため、箱形の荷カゴの側枠と接触し、荷カゴと擦れて破損するおそれが高い。
【0003】
このような問題を解決するため、今日では様々なものが発案されている。例えば(1)ビジネスバッグや通学鞄を収納可能な直方体状に構成され、二輪車後輪の横側上部に取付ける補助カゴ(特開2007−39010号公報参照)、(2)荷カゴの側枠に切欠き部を有し、荷カゴのサイズよりも大きな鞄等をこの切欠き部からはみ出して収納可能に構成された自転車用荷カゴ(特開2000−142521号公報参照)等が開発されている。
【0004】
しかし、上記(1)の補助カゴは、二輪車後輪の横側上部に備え付けるものなので、ビジネスバッグ等を収納して走行すると、重心が補助カゴの側に傾いてしまう。そのため、二輪車走行時の安定性が損なわれ、事故等のおそれが高くなる。また、補助カゴを見ながら走行することが困難なので、盗難にあっても気付かないということも考えられる。さらに、カゴの幅が小さいので、買い物袋を収納するのには適していない。
【0005】
また、上記(2)の荷カゴは、荷物が切欠き部と接触して損傷又は破損するおそれが高い。加えて、荷物のうちで切欠き部からはみ出した部分は、十分な強度を備えた側枠によって保護されていないので、他の物と接触して損傷又は破損するおそれも高い。それ故、ビジネスバッグ、通学鞄、買い物袋のいずれの収納についても適していない。
【0006】
このように、二輪車用荷カゴは、通勤、通学時にはビジネスバッグや通学鞄を収納し、買い物時には買い物袋を収納するというように様々な物を収納するために使用することが多いにもかかわらず、ビジネスバッグ、通学鞄及び買い物袋のいずれをも好適に収納することができるものは、現在のところ存在していない。一方、二輪車用荷カゴは、所定の収容スペースを有しているため搬送の際の占有スペースが比較的大きく、流通コストの増大を招来している。しかし、上記従来の二輪車用荷カゴは、収容スペース確保のため、流通コストの低減化を抜本的に図ることができない。それ故、このような要求を満たす二輪車用荷カゴの開発が強く望まれている。
【特許文献1】特開2007−39010号公報
【特許文献2】特開2000−142521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、ビジネスバッグ、通学鞄、買い物袋等の異なる形状の荷物であっても安定的に荷カゴ内に収納することができ、かつこれらを損傷又は破損させるおそれも少なく、さらに流通コストを格段に低減することができる二輪車用荷カゴ及びこれを備えた自転車の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
互いの側縁が回動自在に連結される複数の側枠を有し、複数種の角筒状に変形可能な枠体と、
この枠体の底部に配設される底枠と、
この底枠を各種角筒状状態の枠体に係止するための係止手段と、
枠体及び/又は底枠を二輪車に連結するための連結部と
を備える二輪車用荷カゴである。
【0009】
本発明に係る二輪車用荷カゴは、側枠を回動させることにより、荷カゴの形状を変形することができる。従って、収納する荷物の形状に合わせて荷カゴの形状を変形することにより、ビジネスバッグ、通学鞄、買い物袋等の異なる形状の荷物であっても、荷カゴの外縁からはみ出すことなく安定的に収納することができる。その結果、荷カゴ内に収納した荷物の損傷、破損等を防止することができる。また、スーパーマーケットの買い物袋のように破れ易い物であっても使い回しをすることが可能となり、環境破壊の防止にも寄与することができる。加えて、荷物が荷カゴの外縁からはみ出した状態で二輪車を走行させる必要がないので、荷カゴ内に収納した荷物が盗難にあうおそれを低減することができる。一方、当該二輪車用荷カゴは、複数の側枠を平面状に折り畳み、底枠と重ねることで、全体を平面状に折り畳むことができ、占有スペースを小さくし、流通コストを格段に低減することができる。
【0010】
上記枠体が、6枚以上の偶数枚の側枠を有し、その枚数に応じた多角筒状と四角筒状とに変形可能に構成されているとよい。これにより、枠体を側枠の枚数に応じた多角筒状に構成することで、スーパーマーケットの買い物袋等の比較的丸い形状の荷物を好適に収納することができる。さらに、枠体を四角筒状に変形することによって、ビジネスバッグや通学鞄等の四角い形状の荷物についても、荷カゴの外縁からはみ出すことなく好適に収納することができる。
【0011】
上記底枠が、側枠の枚数に応じた多角形状に形成されており、折畳自在に連結される前部材及び後部材とを有しているとよい。これにより、多角筒状状態の枠体を底枠の外縁に対応させて配設することができる。また、枠体を四角筒状に構成する場合には、前部材又は後部材を底を塞ぐよう安定的に折畳することによって、底枠が枠体の外縁から突出するのを低減することができる。従って、当該二輪車用荷カゴは、底枠をコンパクトにすることができ、底枠が何らかの物と接触して損傷するのを防止することができる。また、当該二輪車用荷カゴは、美観を著しく向上させることができる。
【0012】
上記枠体が8枚の側枠を有し、上記底枠が八角形状に形成されているとよい。これにより、ビジネスバッグ、通勤鞄、買い物袋等の種々の荷物の収納性を格段に向上することができる。
【0013】
従って、上記荷カゴを備える自転車は、収納する物の形状に合わせて荷カゴの形状を変形させることで、ビジネスバッグ、通学鞄、買い物袋等のいずれの物であっても荷カゴ内に安定的に収納して移動することができる。
【0014】
ここで、「側枠」、「底枠」における「枠」とは、外周を構成する縁及びその内部領域を含む概念であり、この内部領域は、一又は複数の縦桟又は横桟から構成されてもよく、また外周と一体的に形成された板状体であってもよい。本願では、二輪車を直進させる場合の走行方向を「前」、その逆方向を「後」という。また、二輪車走行姿勢でシートに跨ったときの右手側を「右」、左手側を「左」という。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の二輪車用荷カゴ及びこれを備えた自転車は、どのような形状の物であっても荷カゴ内に安定的に収納することができ、かつ収納した荷物の破損や損傷を防止することができると共に、収納した荷物の盗難を防止することができる。さらに、当該二輪車用荷カゴは、平面状に折り畳むことができ、その結果流通コストを格段に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る二輪車用荷カゴを示す模式的正面図、図2は図1の二輪車用荷カゴの模式的平面図、図3は図1の二輪車用荷カゴの模式的側面図、図4は図1の二輪車用荷カゴの形状変形機構を示す模式的外観図、図5は図1の二輪車用荷カゴの枠体及び底枠の連結部分を示す拡大斜視図、図6は図1の二輪車用荷カゴの枠体及び底枠が係合した状態を示す拡大斜視図、図7は図1の二輪車用荷カゴを備えた自転車を示す模式的側面図である。
【0017】
図1〜図3の二輪車用荷カゴ1は、枠体2と底枠3と連結部4とを備えている。
【0018】
枠体2は、二輪車用荷カゴ1の外枠を構成するものであり、8枚の側枠5及び各側枠5の側縁を回動自在に連結する連結具6によって、八角筒状及び横長の四角筒状に変形可能に構成されている。
【0019】
側枠5は、網状に形成され、具体的には略長方形状の線状フレームと、そのフレーム内に横方向に掛け渡された複数の横桟とを有している。また、側枠5のうち、枠体2の前端及び両側端を形成する3枚は、枠体2の内部に向けて突出した係止突起を底部に有している。
【0020】
連結具6は、略筒状に形成され、隣接する一対の側枠5の一対の縦フレームに複数個(図中3個)外嵌されている。この連結具6により、各側枠5は、互いの側縁が回動自在に連結されており、8枚の側枠5が連結することにより枠体2を構成している。
【0021】
側枠5の大きさは、二輪車用荷カゴ1にビジネスバッグ、通学鞄又は買い物袋等を好適に収納できる大きさであれば特に限定されないが、例えば、幅140mm〜180mm程度、厚さ2mm〜10mm程度、高さ150mm〜250mm程度とされている。側枠5のうち、枠体2の後部を形成する3枚は、枠体2の前部を形成する3枚よりも高さが大きく構成されている。また、枠体2の両側端を形成する一対の側枠5は、上部において前方に下り傾斜した形状を有している。このように、側枠5の高さにつき、枠体2の前部を低くかつ後部を高くすることで、当該二輪車用荷カゴ1は、荷物の脱落防止機能を発揮させつつ、意匠性を高めることができる。
【0022】
側枠5の材質は、特に限定されず、二輪車用荷カゴ1に荷物を好適に収納でき、かつ荷物を外部の衝撃から保護できるだけの強度を有していればよく、一般的には、合成樹脂又は金属を単独で又は併用して用いることができる。この二輪車用荷カゴ1を形成する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等を挙げることができる。また、側枠5を形成する金属としては、例えば、アルミニウム金属、銅合金、鉄、鋼、ステンレス鋼等を挙げることができる。側枠5は、合成樹脂を用いることによって軽量化を図ることができ、他方、金属を用いることによれば剛性を高く保つことができる。また、側枠5は、金属によって形成された芯と、この芯の表面に被覆される合成樹脂とによって形成するようにすれば、芯の剛性と表面の軟性とを同時に満たすことができる。その結果、当該二輪車用荷カゴ1は、収納した荷物の外部の衝撃に対する保護機能を高めることができると共に、荷物が側枠5と接触・摩擦した場合であっても損傷又は破損するおそれを低減することができる。
【0023】
底枠3は、周囲の線状フレームと前後及び左右方向の複数の桟とを有する格子状体であり、側枠5の枚数に対応させて略八角形状に形成されている。底枠3は、枠体2の底部に対応して配設可能に構成されている。従って、底枠3の一辺の長さは側枠5の幅と同程度とされる。底枠3の厚さは、荷物を下方より支持することができるだけの強度を有していれば特に限定されず、例えば2mm〜10mm程度とされる。底枠3の形成材料は、側枠5と同様のものが使用可能である。底枠3は格子状に形成されており、複数の開口を有しているので、当該二輪車用荷カゴ1は、雨天時に雨が内部に入ってきた場合であっても、水捌けを良好に保つことができる。
【0024】
底枠3は、前後部を略二等分する形で、前部材7と後部材8とに分かれており、この前部材7と後部材8とは連結具9によって折畳自在に連結されている。具体的には、連結具9は上記連結具6と同様に形成されており、前部材7の後フレーム及び後部材8の前フレームとに複数個(図中2個)外嵌されている。これにより、前部材7と後部材8とは連結具9を介して折畳可能に連結されている。
【0025】
前部材7及び後部材8は、前端部中央付近に、前方向に突出した熊手状のフック10又はフック11を有している。
【0026】
連結部4は、一対の棒状体であり、各々の上部は逆U字形状をなし、下部はL字形状をなしている。連結部4は、枠体2の後端を形成する側枠5と上下方向に平行な状体で連結されている。連結部4は、上部の逆U字溝を自転車のハンドルバー(図示しない)に係合することによって自転車に連結される。連結部4は、二輪車用荷カゴ1の幅方向の中心線から左右に等間隔をおいた位置で側枠5と連結されている。従って、当該二輪車用荷カゴ1は、連結部4によって、二輪車の幅方向の略中心線上に二輪車用荷カゴ1の重心が位置するように配設することができる。これにより、当該二輪車用荷カゴ1は、荷物を収納した場合でも二輪車の重心が中心軸から左右に外れることが殆どない。その結果、当該二輪車用荷カゴ1は、二輪車走行中にバランスが崩れるおそれを低減することができる。
【0027】
次に、図4の二輪車用荷カゴ1の構成及び形状変形機構について説明する。図4(1)に示すように、二輪車用荷カゴ1は、枠体2の両側端を形成する一対の側枠5の底部に設けられた係止突起によって前部材7及び後部材8の左右の縁端を下方より支持している(図5参照)。また、二輪車用荷カゴ1は、前部材7の有するフック10を、枠体2の前端を形成する側枠5の底部に設けられた係止突起に係合している(図6参照)。加えて、図5に示すように、側枠5は、それぞれの側縁を、底枠3の外縁によって内側から支持されている。これにより、当該二輪車用荷カゴ1は、枠体2が八角筒状に構成される状態において、安定した形状を保つことができる。その結果、当該二輪車用荷カゴ1は、スーパーマーケットの買い物袋等の比較的丸い形状の荷物であっても破損させることなく安定して収納することができる。
【0028】
図4(2)、(3)に示すように、二輪車用荷カゴ1の形状を変形する場合は、まずフック10と側枠5の有する係止突起との係合を解除し、さらに前部材7を後部材8の表面に折畳する。次に、図4(4)、(5)に示すように、枠体2の前部及び後部を形成するそれぞれ3枚の側枠5を直線上に配設し、枠体2を横長の四角筒状に変形する。そして、後部材8の有するフック11を枠体2の前端部中央を構成する側枠5の有する係止突起に係合する。このとき、枠体2を構成する側枠5は、所定の側縁を前部材7又は後部材8の外縁によって内側から支持される。これにより、当該二輪車用荷カゴ1は、枠体2が横長の四角筒状に構成される状態においても安定した形状を保つことができる。その結果、当該二輪車用荷カゴ1は、ビジネスバッグや通勤鞄等の四角い形状の荷物についても損傷させることなく安定的に荷カゴ内に収納することができる。
【0029】
このように、当該二輪車用荷カゴ1は、枠体2が八角筒状に構成される場合でも、また横長の四角筒状に構成される場合でも、安定した形状を保つことができる。従って、当該二輪車用荷カゴ1は、二輪車走行中に荷カゴがぐらつくおそれがない。その結果、当該二輪車用荷カゴ1は、二輪車走行中に荷カゴ自体がぐらつき、これによって荷カゴ内に収納した物の安定が損なわれることもない。
【0030】
尚、二輪車用荷カゴ1は、枠体2の形状を横長の四角筒状から八角筒状に変形固定させる場合には、上記と逆の手順を経る。具体的には、まず、後部材8の有するフック11と枠体2の前端部中央を構成する側枠5の有する係止突起との係合を解除する。次に、枠体2を横長の四角筒状から八角筒状に変形する。そして、後部材8の表面に折畳されている前部材7を前方に展開し、枠体2の前端部を形成する側枠5の有する係止突起にフック10を係合する。このとき、前部材7及び後部材8の左右の縁端は、枠体2の両側端を形成する一対の側枠5の底部に設けられた係止突起により下方から支持される。また同時に、枠体2を構成する側枠5が有するそれぞれの側縁は、底枠3の外縁によって内側から支持される。これにより、二輪車用荷カゴ1は、上方に開口を有する八角柱状の箱型に変形固定される。
【0031】
当該二輪車用荷カゴ1は、側枠5を回動させることによって形状を変形することができる。従って、当該二輪車用荷カゴ1は、荷物の形状に合わせて荷カゴの形状を変形することによって、ビジネスバッグ、通学鞄、買い物袋等の異なる形状の荷物であっても、荷カゴの外縁からはみ出すことなく安定的に収納することができる。その結果、当該二輪車用荷カゴ1は、収納した荷物の損傷、破損等を防止することができる。加えて、当該二輪車用荷カゴ1は、荷物が荷カゴの外縁からはみ出した状態で二輪車を走行させる必要がないので、荷物が盗難にあうおそれを減少させることができる。また、当該二輪車用荷カゴ1は、二輪車走行中に荷物を手で支えておく必要がないので、二輪車事故の危険を低減することもできる。さらに、当該二輪車用荷カゴ1は、底枠3を各種角筒状の枠体2に係止することができるので、二輪車走行中に荷カゴがぐらつくおそれもない。それ故、二輪車走行中に荷カゴ自体がぐらつき、これによって荷カゴ内に収納した荷物の安定が損なわれることもない。当該二輪車用荷カゴ1は、側枠5を平面状に折り畳み、底枠3と重ねることで、全体を平面状に折り畳むことができ、占有スペースを小さくし、流通コストを格段に低減することができる。当該二輪車用荷カゴ1は、上述したように、荷物の損傷、破損等を防止することができるので、スーパーマーケットの買い物袋のように破れ易い物であっても使い回しをすることが可能となり、環境破壊の防止にも寄与することができる。
【0032】
当該二輪車用荷カゴ1は、多角筒状状体の枠体2を底枠3の外縁に対応させて配設することができる。また、当該二輪車用荷カゴ1は、枠体2を横長の四角筒状に構成する場合には、前部材7を底を塞ぐように安定的に折畳することによって、底枠3が枠体2の外縁から突出するのを低減することができる。その結果、当該二輪車用荷カゴ1は、底枠3をコンパクトにすることができ、底枠3が何らかの物に接触して損傷するのを防止することができる。また、当該二輪車用荷カゴ1は、前部材5を後部材6の表面に折り畳んでおくことで、美観を向上させることができる。
【0033】
図7の自転車21は、二輪車用荷カゴ1を自転車21のハンドル前方に備えている。二輪車用荷カゴ1は、連結部4の上部に設けられている逆U字溝を自転車21のハンドルバーに係合することによって自転車21に連結されている。連結部4は、上述したように、二輪車用荷カゴ1の幅方向の中心線から左右に等間隔をおいた位置で側枠5と連結されている。従って、自転車21は、二輪車用荷カゴ1の重心が、幅方向の略中心線上に位置するように配設することができる。それ故、当該自転車21は、荷カゴ内に荷物を収納した場合であっても自転車21の重心が中心線から外れることが殆どない。その結果、当該自転車21は、自転車走行中にバランスが崩れるおそれを低減することができる。
【0034】
当該自転車21は、二輪車用荷カゴ1を備えているので、荷物の形状に合わせて荷カゴの形状を変形することで、ビジネスバッグ、通学鞄、買い物袋等の異なる形状の荷物であっても安定的に収納して移動することができる。
【0035】
また、当該自転車21は、二輪車用荷カゴ1を前カゴとして備えているため、通常の走行姿勢において、二輪車用荷カゴ1に収納された荷物を確認しつつ自転車21を走行させることができる。従って、二輪車用荷カゴ1に収納した荷物が盗難にあうおそれを著しく減少させることができる。
【0036】
尚、本発明は上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、底枠は格子状に形成されていなくてもよく、所定の底面を有する板状に形成されていてもよい。これにより、当該二輪車用荷カゴは、小物を収納した場合であっても、この小物が底枠から脱落するのを防止することができる。また、底枠は、前部材と後部材とに分かれていなくてもよい。底枠を前部材と後部材とに分割しないことにより、枠体を変形する場合であっても、底枠を折畳する必要がなくなる。従って、二輪車用荷カゴの変形に掛かる手間を減らすことができる。一方、底枠が前部材と後部材とに分かれている場合であっても、必ずしも前部材を後部材の表面に折畳可能な構成にする必要はなく、後部材を前部材の表面に折畳可能に構成してもよい。また、前部材と後部材とは、必ずしも略二等分に分割しなくてもよい。尚、底枠を前部材と後部材とに分割しない場合における底枠と枠体との連結方法としては、後述するような、底枠上に枠体を立設する方法等が考えられる。
【0037】
枠体は8枚の側枠から構成されていなくともよく、6枚以上の偶数枚の側枠から構成されていればよい。例えば、枠体が6枚の側枠から構成される場合であれば、枠体を六角筒状に構成することができると共に、枠体を構成する側枠のうちの隣接する2枚を直線上に配設し、それを二組対向させることにより、四角筒状に変形することができる。従って、このような場合であっても、当該二輪車用荷カゴは、ビジネスバッグ、通勤鞄、買い物袋等の異なる形状の荷物を安定的に収納することができる。
【0038】
また、枠体と底枠との連結方法は、上記方法に限られるものではない。例えば、側枠の底部が下方に向けて突出する複数の突起部を有し、この突起部を底枠が有する挿入孔に挿入して固定するものであってもよく、さらに、この突起部が雄ネジ状に形成されており、底枠の挿入孔に挿入した突起部を底枠の下方からナットによって固定するものであってもよい。また、側枠は、網状体として形成されている必要はなく、所定の平面を有する板状体として形成されていてもよい。
【0039】
連結部は、少なくとも底枠又は枠体のいずれかに連結されていればよい。例えば、連結部と底枠とが連結されており、枠体を底枠上に立設するように構成されていてもよい。また、連結部と自転車との連結は上記方法に限られるものではなく、例えば、連結部によって自転車のハンドルバーやハンドルポストを挟持する方法であってもよい。さらに、当該二輪車用荷カゴは、必ずしも前カゴとして設置されるものでなくてもよく、二輪車の後輪上に配設される荷台に設置されるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明の二輪車用荷カゴ及びこれを備えた自転車は、荷カゴの形状を変形することで、ビジネスバッグ、通学鞄、買い物袋等、どのような形状の荷物であっても損傷、破損等させることなく荷カゴ内に好適に収納することができ、かつ、荷物の盗難防止性にも優れている。さらに、当該二輪車用荷カゴは、流通コストを格段に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る二輪車用荷カゴを示す模式的正面図である。
【図2】図1の二輪車用荷カゴの模式的平面図である。
【図3】図1の二輪車用荷カゴの模式的側面図である。
【図4】図1の二輪車用荷カゴの形状変形機構を示す模式的外観図である。
【図5】図1の二輪車用荷カゴの枠体及び底枠の連結部分を示す拡大斜視図である。
【図6】図1の二輪車用荷カゴの枠体及び底枠が係合した状態を示す拡大斜視図である。
【図7】図1の二輪車用荷カゴを備えた自転車を示す模式的側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 二輪車用荷カゴ
2 枠体
3 底枠
4 連結部
5 側枠
6 連結具
7 前部材
8 後部材
9 連結具
10 フック
11 フック
21 自転車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの側縁が回動自在に連結される複数の側枠を有し、複数種の角筒状に変形可能な枠体と、
この枠体の底部に配設される底枠と、
この底枠を各種角筒状状態の枠体に係止するための係止手段と、
枠体及び/又は底枠を二輪車に連結するための連結部と
を備える二輪車用荷カゴ。
【請求項2】
上記枠体が、6枚以上の偶数枚の側枠を有し、その枚数に応じた多角筒状と四角筒状とに変形可能に構成されている請求項1に記載の二輪車用荷カゴ。
【請求項3】
上記底枠が、側枠の枚数に応じた多角形状に形成されており、折畳自在に連結される前部材及び後部材とを有している請求項2に記載の二輪車用荷カゴ。
【請求項4】
上記枠体が8枚の側枠を有し、上記底枠が八角形状に形成されている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の二輪車用荷カゴ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の二輪車用荷カゴを備える自転車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−143437(P2010−143437A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323248(P2008−323248)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(503266828)有限会社クロップス (12)