説明

二酸化塩素ガス発生装置

【課題】病室、クリーンルーム等の室内空間の安定的な消臭や除菌、殺菌が連続的に行える二酸化塩素ガス発生装置を提供する。
【解決手段】装置本体1に固定された受け皿2と、この受け皿2に供給される二酸化塩素溶液Lを収容したタンク3と、このタンク3から受け皿2に供給された二酸化塩素溶液Lを吸い上げるポンプ4と、このポンプ4で吸い上げた二酸化塩素溶液Lを気化させる気化器5と、この気化器5で気化させた二酸化塩素ガスを吹き出す吹出管6と、この吹出管6から吹き出された二酸化塩素ガスを、装置本体1外部から吸入した空気と共に装置本体1外部に送出するファン7とから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病室、クリーンルーム等の室内空間を消臭したり、殺菌、消毒等をするための二酸化塩素発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二酸化塩素ガス発生装置としては、例えば図3に示したようなスプレー式のものが存在する。このスプレー式の装置は、貯蔵缶体21の頭部に二つの噴射手段22、23を有し、この貯蔵缶体21の中に内蔵された2つの内側容器24、25の一方に次亜塩素酸ソーダ及び又は亜塩素酸ソーダや苛性ソーダを入れ、他方に塩酸、酢酸、過飽和炭酸ガス含有水などの酸の少なくとも一つを入れ、噴射用ガス空間26にLPガスや窒素ガスなどを圧力充填し、キャップ27の内部に混合システムを設け、噴射先端部に噴霧状態を調整するノズルを設けたものとしている(特許文献1)。
【0003】
さらに、二酸化塩素ガスを発生させる方法として、例えば図4に示したような二剤混合式の方法が存在する。この方法は、安定化二酸化塩素溶液31と酸性粉末32とを別々の耐薬品性の高い容器33、34に収容し、両者を混合して二酸化塩素ガスGを発生させるものとしている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−24796号公報(第1頁、図6)
【特許文献2】特開2000−154003号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のスプレー式の二酸化塩素ガス発生装置では、病室、クリーンルーム等の室内空間に噴霧しても、室内空間中ですべてが揮発せず、落下するので効果的な消臭や空間除菌、殺菌ができないという問題点を有する。また、室内空間中に噴霧した微粒子は高濃度のため、衣類等が脱色したり、人が吸い込んだ場合の危険性がある。
【0005】
さらに、上記従来の二剤混合式の二酸化塩素ガス発生方法では、発生ガスの濃度が一定せず、病室、クリーンルーム等の室内空間の安定的な消臭や除菌、殺菌が行えないという問題点を有する。
【0006】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、病室、クリーンルーム等の室内空間の安定的な消臭や除菌、殺菌が連続的に行える二酸化塩素ガス発生装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、この発明の二酸化塩素ガス発生装置は、装置本体1に固定された受け皿2と、この受け皿2に供給される二酸化塩素溶液Lを収容したタンク3と、このタンク3から受け皿2に供給された二酸化塩素溶液Lを吸い上げるポンプ4と、このポンプ4で吸い上げた二酸化塩素溶液Lを気化させる気化器5と、この気化器5で気化させた二酸化塩素ガスを吹き出す吹出管6と、この吹出管6から吹き出された二酸化塩素ガスを、装置本体1外部から吸入した空気と共に装置本体1外部に送出するファン7とから構成したものとしている。
【0008】
そして、この発明の二酸化塩素ガス発生装置は、前記タンク3を着脱自在式にしている。
【0009】
さらに、この発明の二酸化塩素ガス発生装置は、前記ファン7を、装置本体1外部と連通する吸気口11と送気口12を形成したガス拡散室9において、これら吸気口11と送気口12との間に設けたものとしている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の二酸化塩素ガス発生装置は、以上に述べたように構成されており、発生させる二酸化塩素ガスを任意の濃度にすることができるので、使用する室内等の空間に応じた二酸化塩素ガス濃度に設定すれば、その室内等の空間に応じた安定的な消臭や除菌、殺菌等が連続的に行えるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の二酸化塩素ガス発生装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
この発明の二酸化塩素ガス発生装置は、図1、2に示したように、装置本体1に固定された受け皿2と、この受け皿2に供給される二酸化塩素溶液Lを収容したタンク3と、このタンク3から受け皿2に供給された二酸化塩素溶液Lを吸い上げるポンプ4と、このポンプ4で吸い上げた二酸化塩素溶液Lを気化させる気化器5と、この気化器5で気化させた二酸化塩素ガスを吹き出す吹出管6と、この吹出管6から吹き出された二酸化塩素ガスを、装置本体1外部から吸入した空気と共に装置本体1外部に送出するファン7とから構成されている。
【0013】
装置本体1は、前記受け皿2、タンク3、ポンプ4、気化器5を設置する機器室8と、前記ファン7を設置するガス拡散室9とに仕切られている。機器室8には、開閉蓋10が設けられ、タンク3を新しいものに交換するとき、またはタンク3に二酸化塩素溶液Lを給液するときなどに機器室8を開閉できるようにしている。ガス拡散室9には、装置本体1外部と連通する吸気口11と送気口12を形成しており、これら吸気口11と送気口12との間に前記ファン7を設けており、このファン7によって吸気口11から吸入された空気と共に前記吹出管6から吹き出された二酸化塩素ガスが、送気口12から装置本体1外部に送出されるようにしている。
【0014】
受け皿2には、図示したような着脱自在式のタンク3が装着されたり、図示していないが固定式のタンクが装着されている。着脱自在式のタンク3とした場合は、タンク3内の二酸化塩素溶液が無くなれば、新しいものと自由に取り替えることができるので非常に便利なものとなる。固定式のタンクとした場合は、タンク3内の二酸化塩素溶液が無くなれば、そのタンクに取り付けた給液口などから自由に給液することができる。
【0015】
また、受け皿2とポンプ4の間、ポンプ4と気化器5の間は、それぞれ連結管13、14によって連結されており、気化器5からはガス拡散室9内に向けて前記吹出管6が突設されている。
【0016】
気化室5には、加熱用ヒータ15が設けられており、気化室5を通過する二酸化塩素溶液Lを加熱して気化する。加熱用ヒータ15としては、図示したようなニクロム線ヒータとしたり、図示していないがセラミックヒータ等をすることができる。なお、本装置を使用する環境温度等によっては、加熱用ヒータ15による加熱は行われない場合もある。
【0017】
以上のように構成したこの発明の二酸化塩素ガス発生装置は、タンク3内に収容した二酸化塩素溶液Lの濃度を調節したり、ガス拡散室9の吸気口11から吸入する空気の量を調節したり、加熱用ヒータ15による加熱温度を調節することにより、発生させる二酸化塩素ガスを任意の濃度にすることができる。
【0018】
したがって、この発明の二酸化塩素ガス発生装置を病室、クリーンルーム、事務室等で使用するときは、これら室内空間に応じた二酸化塩素ガス濃度に設定すれば、それら室内空間の消臭や除菌、殺菌が安定的した状態で連続的に行える。また、この発明の二酸化塩素ガス発生装置は、発生した二酸化塩素ガスを吸入した空気とともに送出するようにしているので、従来のスプレー式の二酸化塩素ガス発生装置や二剤混合式の二酸化塩素発生方法に比べ、二酸化塩素ガスが体積増加し、広い空間の消臭や除菌、殺菌ができる。さらに、この発明の二酸化塩素ガス発生装置を飲食店や食品工場、倉庫等で使用するときは、このような消臭や除菌、殺菌の他に、害虫を死滅させ得る程度の二酸化塩素ガス濃度に設定すれば、それらの場所に生息する害虫を駆除することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の二酸化塩素ガス発生装置の全体斜視図である。
【図2】この発明の二酸化塩素ガス発生装置の内部説明図である。
【図3】従来のスプレー式の二酸化塩素ガス発生装置の内部説明図である。
【図4】従来の二酸化塩素ガスを発生させる方法の説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 装置本体
2 受け皿
3 タンク
4 ポンプ
5 気化器
6 吹出口
7 ファン
9 ガス拡散室
11 吸気口
12 送気口
L 二酸化塩素溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体(1)に固定された受け皿(2)と、この受け皿(2)に供給される二酸化塩素溶液(L)を収容したタンク(3)と、このタンク(3)から受け皿(2)に供給された二酸化塩素溶液(L)を吸い上げるポンプ(4)と、このポンプ(4)で吸い上げた二酸化塩素溶液(L)を気化させる気化器(5)と、この気化器(5)で気化させた二酸化塩素ガスを吹き出す吹出管(6)と、この吹出管(6)から吹き出された二酸化塩素ガスを、装置本体(1)外部から吸入した空気と共に装置本体(1)外部に送出するファン(7)とから構成したことを特徴とする二酸化塩素ガス発生装置。
【請求項2】
前記タンク(3)を着脱自在式にしたことを特徴とする請求項1記載の二酸化塩素ガス発生装置。
【請求項3】
前記ファン(7)を、装置本体(1)外部と連通する吸気口(11)と送気口(12)を形成したガス拡散室(9)において、これら吸気口(11)と送気口(12)との間に設けたものとしたことを特徴とする請求項1または2記載の二酸化塩素ガス発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−145654(P2007−145654A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343209(P2005−343209)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(391048500)大扇産業株式会社 (16)
【出願人】(391003392)大幸薬品株式会社 (20)