説明

二酸化塩素発生のシステムおよび方法

二酸化塩素発生システムの実施形態が、本明細書に開示される。システムは、典型的には、硫酸と亜塩素酸ナトリウムを式1:(C)(F)=C[式中、Fは、亜塩素酸ナトリウムの少なくとも1つの反応器への供給流量、容積/時間であり、Cは、反応器に供給される亜塩素酸ナトリウムの量当たりの生成されるClOの量であり;およびCは、ClO生産量/時間である。]に従ってその中に供給する反応器容積部を有する反応器を含み、前記反応器容積部とFが、約0.5分〜約30分の範囲である酸性化剤と亜塩素酸ナトリウムとの間の接触時間をもたらすものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年12月7日に出願された米国特許出願第61/267,142号の優先権の利益を主張しており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新規な二酸化塩素製造装置または反応器に関し、商業グレードおよび他のグレードの出発材料から多量の二酸化塩素を製造する新規なシステムに関し、ならびにその場で反応器を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な種類の塩素は、小規模ならびに大規模な漂白、酸化および消毒操作に用いられている。これらの操作は、家庭漂白および消毒用に、容器に入った弱酸性次亜塩素酸ナトリウム溶液(液体漂白溶液、約5%の次亜塩素酸ナトリウム)を準備することから、純粋な塩素ガスを廃水処理プラントの廃水流れに供給することまで及ぶ。しかしながら、純粋な塩素ガスの使用の1つの問題は、その高い有害性ならびに漏出および事故の場合に作業者への危険性である。
【0004】
塩素ガスの輸送およびその後の現場での使用よりも安全であり得る大規模浄水の一般的な方法は、二酸化塩素の現場での製造である。この強い酸化剤は、飲料水処理プラントおよび廃水処理プラント内の水の流れを消毒するように、酸化のために用いられている。強い酸化剤としての二酸化塩素は、それ自体よりも低い酸化性を有する化合物を酸化させるので、ウイルス、バクテリアおよび他の微生物を死滅させる。その酸化および消毒効果を最大限にするように、水処理システムにおいて二酸化塩素は、好ましくは、沈殿タンクまたは沈殿溜まり部の後に添加される。
【0005】
二酸化塩素(ClO;CAS登録番号 10049−04−4)は、暗所で安定であるが明所で不安定である、室温で黄緑色の気体である。上述の通り、二酸化塩素は、極めて強い殺生剤、消毒剤および酸化剤として認識されている。商業的な用途ならびに廃水および水の浄化用途における二酸化塩素の規制認可について、1967年、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)は、消毒剤および殺菌剤としての使用のための液体形態の二酸化塩素を最初に登録した。1988年、EPAは、二酸化塩素ガスを減菌剤として登録した。
【0006】
二酸化塩素は、細胞壁を横断する栄養の輸送を阻害することによって微生物を殺菌する。二酸化塩素は、気体であり、水にかなり溶解でき、および塩素系漂白剤のように臭う。しかしながら、二酸化塩素は、塩素ガスとは混同されない。それらは、別々に反応して副生成物(共通して少量有する)を生成する2つの異なる化学物質である。
【0007】
二酸化塩素、ClOは、以下の利益を提供する。第1に、ClOは、塩素化反応、すなわち塩素ガスの作用機構ではなく酸化反応を介して機能する。このことは、ある種の癌の危険性を増加させると疑われている塩素化有機化合物の形成を事実上排除する。第2に、現場で発生させる場合のClOは、塩素の現場での貯蔵および/またはその輸送の必要性を排除する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
いくつかの種類の二酸化塩素発生装置が市販されている。多くはまだ、これらの発生プロセスに気体の塩素を利用しており、効果的であるが一方で、塩素に伴う危機管理問題がまだ残っている。
【0009】
多くの参考文献は、二酸化塩素の製造方法を開示している。しかしながら、これらの参考文献は、本発明の反応物と条件を用いて、本発明の信頼性のある結果および一貫した運用を達成していない。塩素ガスの使用における特有の毒性および危険性を考慮すると、酸化および消毒用途でのその使用におけるより安全および信頼性のある代替案を作る要求がある。工業または商業グレードの出発材料を使用する場合の既知の二酸化塩素製造方法による収率の過大評価および副生成物の過小評価を考慮すると、確実におよび一貫して、最小限の望ましくない副生成物を伴い、十分に高く経済的な収率で二酸化塩素を製造するように工業および商業グレードの反応物を利用できる方法を作る要求がある。
【0010】
米国公開特許公報第20050244328号は、二酸化塩素を製造する発生装置および方法を開示する。本発明の実施形態の発明者は、二酸化塩素発生の改善および発展を更に示す。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に記載されおよび特許請求の範囲に記載される本発明は、酸化および消毒目的とした二酸化塩素ガスの製造のための反応チャンバー、システムおよび方法を提供することによって技術を進歩させる。以下に記載するように、それは、直前に示された要求を満たすことによって技術を進歩させる。
【0012】
本発明は、商業および工業グレードの反応物からの二酸化塩素ガスの高収率製造に有益である新規な反応チャンバーに関する。本発明は、また、二酸化塩素を、このような化合物を必要としている流れに添加するのに有益なシステムを含んでおり、該システムにおいて、1以上の添加場所が設けられ、および流れに沿った1以上の場所のモニタリングが、初期添加場所の後の場所に二酸化塩素の補給をもたらす。
【0013】
従って、本発明の1つの目的は、反応チャンバーの新しい構成により二酸化塩素発生技術を進歩させることであり、該チャンバー内において、商業および工業グレードの一般的な反応物は、高収率の二酸化塩素ガスを発生させるように、完全またはほぼ完全におよび安全に反応するように流される。関連した態様は、反応体容積または前駆体化学物質の量(流量)以外のものを変える必要無しに、単一の反応チャンバーを用いて大量または少量の二酸化塩素を発生する能力を有することである。
【0014】
本発明の別の態様は、高収率の二酸化塩素ガスを発生させる二酸化塩素製造方法を行うことである。本発明の別の態様は、二酸化塩素を、水または他の液体の流れの消毒のためのその使用に近い場所で製造して、有毒物質放出の危険性ならびに作業者、環境および付近の人々に害をもたらす危険性を軽減する手段を提供することである。
【0015】
前述は、本発明のいくつかのより適切な態様の概要を示した。これらの態様は、本発明のいくつかのより顕著な特徴および用途を単に説明するものと解釈されるべきである。以下の詳細な記載および実施形態は、単なる例示および説明のためであり、特許請求の範囲に記載された本発明を制限するものとは見なされない。本発明のこれらおよび他の目的、特徴ならびに利点は、全体の詳細な記載、開示された実施形態および添付の請求項の検討後に明白になる。当業者によって理解されるように、多くの他の有益な結果および用途は、開示したように、本発明に改良を適用することによって達成できる。このような改良は、本明細書に添付された特許請求の範囲の技術的範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の二酸化塩素システムの実施形態の概略図(正確な縮尺ではない)を示す。
【図2】図2は、2つの二酸化塩素反応器を含む二酸化塩素添加システムの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の1つの実施形態は、重要な要素としての反応チャンバーを有する二酸化塩素発生システムに関し、該システムは、様々な組み合わせの反応物間の反応からの二酸化塩素ガス製造を最適化するように設計されている。
【0018】
本開示全体を通して用いられるように、用語「反応物、前駆体化学物質、前駆体材料および出発材料」は、同じもの、すなわち1以上の反応生成物または反応最終生成物を形成するように反応のための反応チャンバー内に流される化学物質を意味するように定義される。また、本発明全体を通して用いられるように、パイプは、その通常の意味を有し、および「流路(flow channel)」は、流体が通過するパイプおよび全ての開水路を意味すると解釈される。
【0019】
本発明の典型的な実施形態の二酸化塩素システムは、二酸化塩素を製造するように酸性溶液および塩素溶液を利用する。例えば、都市住宅または混合廃水の流れを処理するように実施される場合、システムは、水(搬送媒体)をその場の化学反応器(反応チャンバーまたは発生装置とも呼ぶ)に供給するように原水ポンプを利用する。一旦システムに電力が供給されると搬送水ポンプが作動し、および廃水が、処理される廃水流れの主要廃水配管(パイプ、水路等)内を流れていく。詳細な実施形態では、流入データが、ClOモニターから得られ、流量スイッチが、化学物質供給ポンプを駆動させるようにシステム制御装置に信号を送る。化学物質供給ポンプは、これらの貯蔵タンクからこれらの別個の化学溶液を吸引して、それらを化学反応器に供給する。より詳細な実施形態では、この反応器は、原水ポンプによって供給される水の流れによって実現するように配置される。このことは、二酸化塩素が即座に溶液に溶解していかなる爆発する可能性のある条件も生じるのを防ぐことを保証する安全な機構として行われる。搬送水の損失が生じた場合、化学物質の供給を中断し、従ってClOの発生を止めるため、流量スイッチは、搬送原水ラインに適宜設けられてよい。より詳細な実施形態では、1つの流れが中断した場合に全ての流れが止まるように、各々の化学物質供給ラインは、他の流れの流量スイッチに直列に連結している流量スイッチに設けられている。
【0020】
詳細な実施形態では、システムは、対象の水源の目標ClO濃度を実現するようにClOを対象の含水源に供給(添加)する反応器を含む。対象の含水源の例は、飲料および非飲料水源、下水スラッジ、スイミングプール、噴水、または水要素を含む他の貯蔵部を制限せずに含む。典型的には、システムは、流動している流れを運搬する配管を通して対象の水源に添加する。更により詳細な実施形態では、対象の水源へのClOの供給は、流動流れの既知の流量、反応器の既知の容積および反応物の反応器への既知の供給流量に基づいて調整され、反応器内で反応物間の0.5分〜30分の接触時間を可能にする。
【0021】
1つの実施例によれば、目標濃度は、以下に基づいて達成される:
式I
(C)(F)=C
[式中、
は、亜塩素酸ナトリウムの少なくとも1つの反応器への供給流量(容積/時間)であり、
は、反応器に供給される亜塩素酸ナトリウムの量当たりの生成されるClOの量であり;および
は、ClO生産量(量/時間)である。]。
【0022】
前述の式に基づくと、反応器の容積と流量が0.5分〜30分の間の反応物の接触時間を可能にするものである限り、生産量は、F1を変更することにより調整される。典型的には、目標接触時間は、約1分〜約20分の間である。より詳細な実施形態では、目標接触時間は、1.5分〜20分である。反応器の容積は、二酸化塩素発生システムの最大生産量にも影響を及ぼす。すなわち、一旦流量が、最少の所望の接触時間(または「反応時間(reaction time)」)を満たすものになると、反応器の容積を増加して生産量を増加する必要がある。従って、当業者は、反応器の容積を改良して必要な接触時間および目標生産量を満たして、目標の含水源の二酸化塩素濃度を達成することができる(例えば、以下の実施例1を参照されたい)。
【0023】
上記は、本発明の二酸化塩素システムの典型的な実施形態の運用を説明している。これらまたは他の実施形態に組み込まれてよい付加的な安全装置は、(1)化学物質貯蔵タンクにおける高い、低いおよび極度に低いレベルのインジケータ、(2)化学物質供給ポンプの両側におけるチェックバルブとフートバルブ、および全ての反応物を反応器に同等に供給するのを保証する化学物質流量スイッチ、(3)化学物質供給ポンプの排出側における目盛り付き円柱部、(4)点検および検査を可能にする反応器/注入器の周囲のチェックバルブと側管の配置、ならびに(5)上記および/または他のパラメータの信号を遠隔位置に中継して命令をポンプ等に送り返す(例えば、制御、意思決定のため)双方向テレメトリーに制限されずに、システムの性能に追加する多くの他の機構を含む。このような付加的な機構は、典型的な産業の操作環境におけるシステムの信頼性および安全性を付与する。
【0024】
図1は、対象の含水源の流動流れに添加するように構成された本発明の反応器を示す処理システムの一部の概略的な運用図(正確な縮尺ではない)を提供する。図1は、対象の含水源の流動流れ142に添加するように構成された反応器の実施形態100を示す処理システム90の一部の概略的な運用図(正確な縮尺ではない)を提供する。反応器100は、容積部110を有しており、酸性化剤源103が、酸性化剤106’を、第1の配管106を通して容積部110に供給する。亜塩素酸源105もまた、亜塩素酸剤108’を、配管108を通して容積部110に供給する。酸性化剤106’および亜塩素酸剤108’は、容積部110内で互いに反応してClO130を生成する。反応器100は、流れ配管140と流体連結している。ClOが生成されると、それは、ClOを流れ配管140内の流動流れ142に供給する。
【0025】
更に、1つの例示的な反応は、特有の反応物を用いる必要無しに、以下に示すように亜塩素酸ナトリウムと、プロトン供与体としての硫酸とを使用することを含む:
4NaClO+2HSO→2ClO+HClO+2NaSO+HO+HCl
【0026】
この等式によれば、反応器内の二酸化塩素濃度は、前駆体化学物質の濃度により決定される。15%(pph)濃度の亜塩素酸ナトリウムを利用する場合、例えば、二酸化塩素の最大収率は、概ね13%(pph)である。標準条件下において、亜塩素酸ナトリウムは、85パーセント(85%)の変換率で変換できる。二酸化塩素は、水にかなり溶解でき(8%以下)、溶液から得られる全てのClOガスは、チャンバーから出ていく際に処理流れ(treatment flow)に急速に溶解する。二酸化塩素ガスは、空気中、10%を越える濃度で爆発しやすいため、この特徴は、本発明に特有のある程度の安全性を提供する。
【0027】
用語「有効量(effective amount)」は、見出されている他の添加量に関する量を意味し、または記載される目的、反応または目標を達成するのに十分な量を必要以上に実験せずに決定できる。
【0028】
本発明の反応器の典型的な運用において、以下の化学反応物溶液を用いる。とりわけ、本発明者は、30パーセント(pph)〜60パーセント(pph)の間の濃度の硫酸溶液が、7.5パーセント(pph)〜25パーセント(pph)の間の亜塩素酸ナトリウム溶液と反応できることを決定した。1つの実施形態では、或る容積の40パーセント(pph)〜60パーセント(pph)の硫酸を、反応チャンバー内で或る容積の7.5パーセント(pph)〜25パーセント(pph)の亜塩素酸ナトリウム水溶液と組み合わせ、予め決定していた時間反応させる。より詳細な実施形態では、或る容積の45パーセント〜55パーセント(pph)の硫酸を、或る容積の12パーセント(pph)〜17パーセント(pph)の亜塩素酸ナトリウムと反応させる。更により詳細な実施形態では、50パーセント(pph)の硫酸溶液と15パーセント(pph)の亜塩素酸ナトリウムを、反応チャンバーに提供する。容積は、0.1〜10.0:10〜0.1の比率であってよい。より詳細な実施形態では、容積の比率は、1〜10:10〜1、1〜5:5〜1、1〜2:2〜1、1〜1.5:1.5〜1または1:1である。
【0029】
説明のための実施形態では、本発明は、二酸化塩素の発生における「希硫酸(dilute sulfuric acid)」の使用に関し、従来の方法により使用される場合の化学反応に予測される値よりも高い変換率がもたらされる。更に、本発明に係る発生は、塩酸の2つの化学的発生方法を用いる場合に生じるように、反応器内での長期滞留時間でさえ、発生した二酸化塩素を塩素酸塩にほとんど変換させずにClOを生成する。
【0030】
典型的な反応および反応器の一般的な運用パラメータは、次の通りである。圧力に関して、反応器が「その場(in situ)」(水を運搬し、反応器が反応生成物を放出するパイプ内)にある場合、反応物の流入量、反応チャンバーの容積および反応器(典型的には、過度の圧力を反応容器内で生じずに反応物の希釈を防止するノズル)からの流出量は、供給される反応物および反応生成物が対象の含水源に向かって流れるように設定される。このようにして、反応生成物(すなわち、二酸化塩素ガス、溶液内の鉱物または希釈されたスラリーとして排出される鉱物、化学反応物溶液の組み合わされた水要素から大部分成る水相内に溶解した二酸化塩素)は、望ましくは連続的に、準連続的にまたはパルス状で対象の含水源内に直ちに放出される。
【0031】
概して、二酸化塩素製造のための本発明の方法の反応物を含む化学水溶液の使用および混合における複数の運用代替例がある。ごく一般的なレベルにおいて、簡易物を流し込んで反応物の所望の比率を互いに維持することに関して、1つの代替例は、化学水溶液を製造して濃度で1:1の比率でこれらを流し込むことである。次いで、これらの溶液を簡単な比率で添加して二酸化塩素を発生させる。
【0032】
いくらかの使用者は、適切なレベルの知識および/または技術を有さなくてもよく、および/または所望の範囲で二酸化塩素の生産量を一貫して得るように調整するのに要する時間を費やさなくてもよいと認識される。従って、このような状況では、上記の代替例の別の実施例として、最終の反応物溶液の比率は、1:1で維持されるがしかし、亜塩素酸源の濃度は、低下する。このように亜塩素酸源を希釈することにより、運用者が一般的な化学物質供給ポンプのポンプ流量をその最大限度まで上昇させる場合でさえ、二酸化塩素の生産量は制限される。
【0033】
いくつかの代替例では、選択肢は、各々の化学反応物溶液のポンプによる流量停止を監視して、1つが故障した際に全体のシステムを停止させることである。別の制御メカニズムは、所望の範囲外にあるシステムのパラメータに基づいて1以上のポンプのポンプ流量を調節する制御フィードバックループを有することである。
【0034】
反応物は、時折、反応器内でのカルシウムまたは他の金属の生成をもたらしてよいことに留意されたい。このことは、処理される水が高濃度のカルシウムおよび/または鉄等の他の金属を含む場所において生じてよい。これらの金属は、反応器内でのスケール(または薄片、scale)として析出および生成してよい。従って、本発明の反応器の任意の実施形態に利用できるように、付加的な流入口/流出口、または供給ラインが反応器内に導入される。このことは、反応器の水および/または化学物質の洗浄を可能にする。このような洗浄は、反応プロセスに用いられるような酸を処理してよい。洗浄の頻度は、溶液の析出物の濃度に依存する。
【0035】
また、本発明は、廃水処理プラントの廃液を消毒するのに使用するように、以下の所定の例で説明されるが、本発明は、多くの他の用途を有し、および相当に多目的であると認識される。例えば、制限無しに、本発明の反応、装置、方法およびシステムは、廃水処理プラントの廃水だけでなく、次のものにも消毒または別に処理するのに用いられてよい:
1.外洋船のバラスト水。海外港で船底内に流入され得る幼生および成体段階の外来種を、このようなバラスト水を他港で排出する前に殺生すること(アメリカ合衆国でのゼブラマッスルのような環境問題を防ぐように);
2.国内の廃棄物、農業または他の処理プラントプロセスのスラッジ/バイオソリッドを消毒および/または殺菌すること;
3.飲料に適した(飲用の)水に用いられる水、動物の畜産に用いられる水または他のプロセスの水のための水源を消毒すること;
4.果実および野菜のための洗浄および消毒用途。二酸化塩素は、ある種の農薬の残留物を酸化して、それらを消費者に対して有害でないようにすると認識される。
5.重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生領域内の廃水に付加的な処理を提供する方法として(例えば、発生させた二酸化塩素を、WVVTPに流れ込んでいる廃水流れに適用することおよび/またはこのような症候群の犠牲者が住んでいると知られている場所に適用することによって)。
6.コロイド状の硫黄を形成せずに硫化水素のような硫化物を酸化させて臭気制御すること。
7.パルプと紙を処理し、表面を消毒し、および他のEPA認可目的のために、二酸化塩素の貯蓄溶液を生成すること。
【0036】
次の実施例は、限定するものではないが、本発明をより良く説明するように示される。
【実施例1】
【0037】
図2は、160,000ガロンのスイミングプール(図示せず)を処理するのに用いられる二酸化塩素発生システム200を示す。システム200は、プールパイプ240と流体連結している第1反応器206と第2反応器208とを含み、システム200は、システム200により対象とされるプールの流動流れに付属している。システム200は、また、15パーセント(pph)の亜塩素酸ナトリウム水溶液を含む第1タンク210と、45パーセント(pph)〜55パーセント(pph)の水溶液濃度(好ましくは50パーセント、pph)の硫酸を含む第2タンク212とを含む。タンク210および212の反応物は、それぞれチューブ236、238および234、232を通って、それぞれポンプ216、218および214、220と流体連結している。ポンプ214および216は、亜塩素酸ナトリウムおよび酸を、それぞれチューブ224および222を通して反応器206内に流し込む。ポンプ218および220は、亜塩素酸ナトリウムおよび酸を、それぞれチューブ226および228を通して第2反応器208内に流し込む。表1は、3分間の目標反応時間に関する、システム200を用いた二酸化塩素の最大生産量を実証した計算を示す。
【実施例2】
【0038】
本発明者は、広い範囲の二酸化塩素濃度を処理流れにもたらすことができる1つの発生装置により、これらのシステムの実施形態に利用される反応化学の固有の特徴が、二酸化塩素の添加における非常に高い適応性を可能にすると認識している。表2に説明される例は、この特徴を示す。表2は、2.0リットルの容量を有する単一の発生装置が、27ポンド/日〜404ポンド/日の範囲の二酸化塩素をいずれかの用途に用いることができることを示す。一連のこれらの発生装置は、これまで達成できなかった安全性レベルおよび適応性レベルにより、いずれかの用途のために大量または少量の二酸化塩素の供給を可能にする。
【0039】
特許関連書類を含む本明細書内の全ての参照文献の教示は、本明細書の教示と矛盾しない程度にその全体が本明細書に組み込まれる。本発明の様々な実施形態が本明細書に示されおよび記載されているが一方で、このような実施形態が単なる例示として提供されることは明白である。多くの変形、変化および置換は、本明細書の本発明から逸脱せずに為されてよい。従って、本発明は、添付した特許請求の範囲の趣旨および技術的範囲によってのみ制限されることが意図される。
【表1】



【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性化剤源;
亜塩素酸ナトリウム源;および
反応器容積部を有する少なくとも1つの反応器であって、酸性化剤と亜塩素酸ナトリウムとを反応器容積部に供給するように、前記酸性化剤源と前記亜塩素酸ナトリウム源とに流体連結しており;および酸性化剤と亜塩素酸ナトリウムとの少なくとも1つの反応器への流量に基づいて、ClOを対象の含水源に供給するように、対象の含水源に流体連結している、少なくとも1つの反応器、
を含み、
反応器の容積、および/または前記酸性化剤と亜塩素酸ナトリウムとの少なくとも1つの反応器への流量が、式Iに従って目標のClO生産量を実現するように設定され:
式I
(C)(F)=C
[式中、
は、亜塩素酸ナトリウムの少なくとも1つの反応器への供給流量、容積/時間であり、
は、反応器に供給される亜塩素酸ナトリウムの量当たりの生成されるClOの量であり;および
は、ClO生産量/時間である。]
前記反応器の容積とFが、約0.5分〜約30分の範囲である酸性化剤と亜塩素酸ナトリウムとの間の接触時間をもたらすものである、対象の含水源に添加するための二酸化塩素発生システム。
【請求項2】
前記酸性化剤を、F1と概して同等の流量F2で供給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの反応器内で酸性化剤と亜塩素酸ナトリウムとの連続的および概して均一な分散があるように、酸性化剤源と亜塩素酸ナトリウム源とを少なくとも1つの反応器に供給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの反応器が、その頂末端において前記対象の含水源に流体連結し、および前記酸性化剤と前記亜塩素酸ナトリウムとを前記少なくとも1つの反応器の底末端に供給し、従って、酸性化剤と亜塩素酸ナトリウムとを接触させて、ClOを生成して前記対象の含水源に供給するように、前記少なくとも1つの反応器内の流体を概して前記底末端から前記頂末端に流す、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記接触時間が、約1分〜約20分の範囲にある、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記酸性化剤源が、30パーセント(pph)〜60パーセント(pph)の硫酸水溶液を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記酸性化剤源が、45パーセント(pph)〜55パーセント(pph)の硫酸水溶液を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記酸性化剤源が、50パーセント(pph)の硫酸溶液を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記亜塩素酸ナトリウム源が、約7.5パーセント(pph)〜約25パーセント(pph)の亜塩素酸ナトリウム溶液を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記亜塩素酸ナトリウム源が、約12パーセント(pph)〜約17パーセント(pph)の亜塩素酸ナトリウム溶液を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記亜塩素酸ナトリウム源が、15パーセント(pph)の亜塩素酸ナトリウム溶液を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
酸性化剤と亜塩素酸ナトリウムの容積を0.1〜10.0:10〜0.1の比率範囲に従って、少なくとも1つの反応器に供給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記比率が、1〜10:10〜1、1〜5:5〜1、1〜2:2〜1、1〜1.5:1.5〜1または1:1である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記比率が、1:1である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記対象の含水源が、前記少なくとも1つの反応器と連結している場所において、流動流れを含む、請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−512855(P2013−512855A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543193(P2012−543193)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059208
【国際公開番号】WO2011/071862
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512148780)ビーシーアール・エンバイロンメンタル・コーポレーション (3)
【氏名又は名称原語表記】BCR ENVIRONMENTAL CORPORATION
【Fターム(参考)】