説明

二重容器

【課題】内容物の残量が減少しても内容物が取り出し難くなるのを抑制すること。
【解決手段】内容物が収容される内容器2と、この内容器2を収納するケース体3と、を備え、内容器2は、有底筒状の収容体4と、この収容体4の上端開口部に装着された蓋体5と、を備え、収容体4は上下方向に縮小変形可能に形成され、蓋体5には内容物の取出口6が形成され、ケース体3は、内容器2の上端部を囲繞する上部材15と、内容器2の下端部を囲繞する下部材16と、を備えるとともに、これらの両部材15、16は、上下方向に相対的に移動可能に連結されている二重容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、二重容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される内容器と、この内容器を収納するケース体と、を備える構成が知られている。
ところで近年では、環境保護の観点から、内容器だけを交換してケース体を継続して使用できる二重容器の採用が広く望まれており、例えば紙製品や粒状体等の固形物や、粉体、ゲル状物、液体などの内容物を内容器内に収容することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−258875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の二重容器では、固形物や粉体などの内容物を内容器内に収容した場合、内容物の使用に際し、内容器の口部から指や匙などを差し込んで内容物を取り出すことがあり、内容器内における内容物の残量の減少に伴い、口部から内容物に至るまでの距離が遠くなり、内容物が取り出し難くなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物の残量が減少しても内容物が取り出し難くなるのを抑制することができる二重容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る二重容器は、内容物が収容される内容器と、この内容器を収納するケース体と、を備える二重容器であって、前記内容器は、有底筒状の収容体と、この収容体の上端開口部に装着された蓋体と、を備え、前記収容体は上下方向に縮小変形可能に形成され、前記蓋体には内容物の取出口が形成され、前記ケース体は、前記内容器の上端部を囲繞する上部材と、前記内容器の下端部を囲繞する下部材と、を備えるとともに、これらの両部材は、上下方向に相対的に移動可能に連結されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、内容物の使用に際し、例えば、二重容器を机上などに載置した状態で、取出口から指や匙などを差し込み、収容体内の内容物を取り出すことが容易に実施できる。
そして、収容体内における内容物の残量が減少したときには、収容体を上下方向に縮小変形させるとともに、上部材および下部材を相対的に上下方向に接近移動させる。これにより、収容体の深さが浅くなり、取出口と収容体の底部とが接近することとなる。したがって、収容体内における内容物の残量が減少しても、取出口から内容物に至るまでの距離が遠くなるのを抑えることが可能になり、取出口から内容物が取り出し難くなるのを抑制することができる。
【0008】
また、前記上部材および前記下部材のうちのいずれか一方には、上下方向に延びるガイド孔を有するガイド体が形成されるとともに、他方には、上下方向に延び前記ガイド孔内に上下方向にスライド移動可能に嵌合された被ガイド体が形成されていても良い。
【0009】
この場合、被ガイド体が、ガイド孔内に上下方向にスライド移動可能に嵌合されているので、上部材および下部材の上下方向の相対的な移動を安定させることができる。
【0010】
また、前記ガイド体および前記被ガイド体はそれぞれ、前記内容器を間に挟むように一対備えられていても良い。
【0011】
この場合、ガイド体および被ガイド体がそれぞれ、内容器を間に挟むように一対備えられているので、上部材および下部材の上下方向の相対的な移動をより安定させることができる。
【0012】
また、前記被ガイド体において前記内容器の反対側を向く外面には、上下方向に複数配置された第1係合部が形成され、前記ガイド体において前記内容器の反対側を向く外面には、前記ガイド孔に開口する貫通開口が形成され、前記貫通開口内には、上端部および下端部のうちのいずれか一方に前記第1係合部に下方から係合する第2係合部が形成されるとともに、他方に前記ガイド孔内に向けて押し込み可能な押込部が形成された位置決め手段が配設され、該位置決め手段における上下方向の中間部は、前記貫通開口の内周面に、前記ケース体の周方向に延びるヒンジ軸回りに回転自在に連結されていても良い。
【0013】
この場合、第2係合部が、第1係合部に下方から係合しているので、上部材および下部材の相対的な接近移動が規制されることとなる。
一方、押込部をガイド孔内に向けて押し込むと、位置決め手段がヒンジ軸回りに回動し、第2係合部がガイド孔の外側に向けて移動し第1係合部から離脱される。これにより、上部材および下部材の相対的な接近移動の規制が解除されるので、両部材を上下方向に相対的に接近移動させることができる。その後、押込部の押し込みを解除するとともに位置決め手段をヒンジ軸回りに復元移動させることで、第2係合部がガイド孔内に向けて移動し、前述の接近移動前に係合していた第1係合部よりも上側に位置する他の第1係合部に係合する。これにより、上部材および下部材の相対的な接近移動が再び規制されることとなる。
【0014】
また、前記上部材には、前記蓋体を上方から覆いながら保持する保持部材が着脱可能に装着されていても良い。
【0015】
この場合、上部材に、蓋体を保持する保持部材が着脱可能に装着されているので、内容器がケース体に対してがたつくのを抑制することができる。さらに、保持部材が蓋体を上方から覆っているので、内容器がケース体から不用意に上方に抜け出されてしまうのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る二重容器によれば、内容物の残量が減少しても内容物が取り出し難くなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る二重容器を示す斜視図である。
【図2】図1に示す二重容器が備える内容器の斜視図である。
【図3】図2に示す内容器の部分断面図である。
【図4】図1に示す二重容器が備える外容器の部分断面図である。
【図5】図1に示す二重容器が備える外容器の斜視図である。
【図6】図1に示す二重容器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る二重容器を説明する。
図1に示すように、二重容器1は、内容物が収容される内容器2と、この内容器2を収納するケース体3と、を備えている。
内容器2は、図2に示すように、有底筒状の収容体4と、この収容体4の上端開口部に装着された蓋体5と、を備えている。
【0019】
なお、蓋体5は有頂筒状に形成され、収容体4および蓋体5はそれぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。また収容体4および蓋体5は、いずれも当該二重容器1の上面視で長方形状をなしている。
以下、前記共通軸を容器軸O1といい、容器軸O1に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って蓋体5側を上側、収容体4側を下側という。また前記上面視において内容器2の外周縁のうちの長辺に沿う方向を前後方向Aといい、前後方向Aに沿って後述する取出口6側を前側、後述する第1ヒンジ部10側を後側といい、前記上面視において内容器2の外周縁のうちの短辺に沿う方向を幅方向Bという。
【0020】
蓋体5には、指や匙などが差込み可能な大きさとされた内容物の取出口6が形成されている。
取出口6は、蓋体5の頂壁部7において前側に位置する部分の上面に形成された蓋用凹部8の底面に形成されている。蓋用凹部8は、前記上面視で前後方向Aに長い長方形状をなしている。この蓋用凹部8には、取出口6を閉塞する蓋板部9が配置されている。蓋板部9の後端部は、第1ヒンジ部10を介して前記頂壁部7と連結され、蓋板部9の前端部には、前記頂壁部7の前端部よりも前方に突出する操作片11が形成されている。
なおこれらの蓋体5、蓋板部9および第1ヒンジ部10は、例えば射出成形により合成樹脂材料で一体に形成されている。
【0021】
図3に示すように、蓋体5の周壁部12は、前記頂壁部7の外周縁部に連結された第1周壁部13と、この第1周壁部13の下端に連結され第1周壁部13よりも外径が小さく内径が同等の第2周壁部14と、を備えている。
収容体4は、上下方向に縮小変形可能に形成されている。収容体4は、例えばブロー成形やシート成形などにより形成された薄肉容器、あるいはフィルムをはり合わせてパウチ状とした袋状容器などとされ、その上端部の内周面が、蓋体5の周壁部12の第2周壁部14の外周面に、例えば溶着(熱溶着や高周波溶着、超音波溶着など)や熱圧着、接着などにより固着されている。
【0022】
図1に示すように、ケース体3は、内容器2の上端部を囲繞する上部材15と、内容器2の下端部を囲繞する下部材16と、を備えるとともに、これらの両部材15、16は、上下方向に相対的に移動可能に連結されている。
下部材16は、前記上面視で前後方向Aに長い長方形状をなす有底筒体とされ、容器軸O1と同軸に配設されている。下部材16の底壁部17上には、収容体4の底部18(図2参照)が配置されている。
【0023】
下部材16には、上下方向に延びるガイド孔19を有するガイド体20が形成されている。ガイド体20は、内容器2を間に挟むように一対備えられている。
ガイド体20は、前記上面視で幅方向Bに長い長方形状をなす矩形筒状に形成されており、その内部がガイド孔19となっている。ガイド孔19の前記上面視形状は、幅方向Bに長い長方形状をなしている。なお図示の例では、ガイド体20において内容器2側を向く内面には、ガイド孔19に開口する孔22が形成されている。
【0024】
上部材15は、前記上面視で前後方向Aに長い長方形状をなす矩形筒体とされ、容器軸O1と同軸に配設されている。上部材15は、内容器2の上端部のうちの収容体4の上端部を囲繞している。
上部材15には、上下方向に延びガイド孔19内に上下方向にスライド移動可能に嵌合された被ガイド体24が形成されている。被ガイド体24は、内容器2を間に挟むように一対備えられている。被ガイド体24は、上部材15の前端部および後端部にそれぞれ下方に向けて延設されており、前後方向Aから見た平面視で上下方向に長い長方形状の板体となっている。
【0025】
また上部材15には、内容器2の収容体4を幅方向Bの外側から覆うカバー板25が、下方に向けて延設されている。カバー板25は、内容器2を挟むように上部材15の幅方向Bの両端部に備えられるとともに、カバー板25の上下方向に沿った大きさは、被ガイド体24の上下方向に沿った大きさよりも小さくなっている。
【0026】
さらに上部材15には、内容器2の蓋体5を上方から覆いながら保持する保持部材26が着脱可能に装着されている。
図1および図5に示すように、保持部材26は、蓋体5の頂壁部7において蓋用凹部8よりも後側に位置する部分上に配置された上板部27と、この上板部27の幅方向Bの両端部に下方に向けて延設され蓋体5を挟持する一対の側板部28と、上板部27の後端部に下方に向けて延設され蓋体5を後側から覆う後板部33と、を備えている。なお図5に示すように、一対の側板部28の各後端と、後板部33の幅方向Bの両端と、は互いに連結されている。
【0027】
図1に示すように、側板部28および後板部33の各下端と、蓋体5の周壁部12の第1周壁部13の下端と、の上下方向の位置は同等となっており、側板部28には、下方に向けて延びるとともに幅方向Bに弾性変形可能な係合板部29が形成されている。係合板部29において幅方向Bの外側を向く外面には、幅方向Bの外側に向けて突出する下係合凸部30が形成されており、この下係合凸部30は、上部材15を幅方向Bに貫通する係合窓31内に配置されている。
また側板部28において幅方向Bの外側を向く外面には、幅方向Bの外側に向けて突出する上係合凸部32が形成されている。
【0028】
そして図4に示すように、下係合凸部30は、係合窓31の内周縁において下方を向く部分に下方から係合するとともに、上係合凸部32は、上部材15の上端縁に上方から係合している。図示の例では、下係合凸部30および上係合凸部32は、上部材15において係合窓31よりも上側に位置する部分を上下方向に挟み込んでいる。
また図5に示すように、後板部33の下端は、上部材15の後端部の上端に第2ヒンジ部34を介して連結されている。
【0029】
ここで図1に示すように、一対の被ガイド体24のうち前側に位置する被ガイド体24において、内容器2の反対側を向く外面35には、上下方向に複数配置された第1係合部36が形成されている。第1係合部36は、前側に位置する被ガイド体24の外面35に、幅方向Bに沿って延びる横溝とされている。図6に示すように、第1係合部36は、下側から上側に向かうに従い漸次深さが深くなる縦断面視直角三角形状をなしている。
【0030】
また図1に示すように、一対のガイド体20のうち前側に位置するガイド体20において、内容器2の反対側を向く外面38には、ガイド孔19に開口する貫通開口39が形成されている。貫通開口39は、上方に向けて開口している。
この貫通開口39内には、上端部に第1係合部36に下方から係合する第2係合部40が形成されるとともに、下端部にガイド孔19内に向けて押し込み可能な押込部41が形成された位置決め手段42が配設されている。
【0031】
位置決め手段42は、上下方向に延びるとともにガイド体20の外面38を前後方向Aから見た平面視で上下方向に長い長方形状をなす板体とされている。
図6に示すように、第2係合部40は、位置決め手段42の上端部に後方(内容器側、ガイド孔側)に向けて突出するとともに幅方向Bに延在する突条体とされている。第2係合部40は、上側から下側に向かうに従い漸次、突出量が小さくなる縦断面視直角三角形状をなしており、上方を向く係合面40aと、上端が係合面40aに連なるとともに上側から下側に向かうに従い前方(内容器の反対側、ガイド孔の反対側)に向けて延びる傾斜面40bと、を備えている。そして、第2係合部40が第1係合部36内に進入して、第1係合部36を画成する内面のうち下方を向く係合面36aに、第2係合部40の係合面40aが下方から係合している。
位置決め手段42の下端部は、上側から下側に向かうに従い漸次、後方から前方に向かうように湾曲された後、下方に向けて屈曲されることで上下方向に沿って延在しており、この上下方向に沿って延在する部分が前記押込部41となっている。
【0032】
そして図1に示すように、位置決め手段42における上下方向の中間部は、貫通開口39の内周面に、幅方向B(ケース体の周方向、収容体の周方向)に延びるヒンジ軸O2回りに回転自在に連結されている。図示の例では、位置決め手段42の幅方向Bにおける両端縁の前記中間部が、幅方向Bに延びる弾性変形可能な第3ヒンジ部43を介して貫通開口39の内周面に連結されている。
ここで、下部材16、ガイド体20、位置決め手段42および第3ヒンジ部43は、例えば射出成形などにより合成樹脂材料で一体に形成されている。
【0033】
次に、以上のように構成された二重容器1の作用について説明する。
はじめに、この二重容器1では、第2係合部40が、第1係合部36内に進入して係合面36aに下方から係合しているので、上部材15および下部材16の相対的な接近移動が規制されることとなる。
ここで、この二重容器1から内容物を取り出すときには、まず、例えば指等で蓋板部9の操作片11を操作して蓋板部9を第1ヒンジ部10回りに上方に向けて回動させ、取出口6を開放する。次いで、例えば、この二重容器1を机上などに載置した状態で、取出口6から指を差し込んで収容体4内の内容物を摘んだ後、取出口6から指を引き出して内容物を取り出す。なお、内容物の取り出しに際し、取出口6から匙を差し込み、この匙で内容物を掬った後に匙を引き出すことで、内容物を取り出しても良い。また、内容物を取り出した後、必要に応じて蓋板部9によって取出口6を閉塞しても良い。
【0034】
そして、収容体4内における内容物の残量が減少したときには、まず、内容物の取り出し時と同様に取出口6を開放する。次いで、押込部41をガイド孔19内に向けて押し込むと、第3ヒンジ部43がヒンジ軸O2回りに弾性的にねじり変形することで、位置決め手段42がヒンジ軸O2回りに回動し、第2係合部40がガイド孔19の外側に向けて移動し第1係合部36から離脱される。これにより、上部材15および下部材16の相対的な接近移動の規制が解除される。
【0035】
次いで、例えば押込部41の押し込みを維持した状態で、ケース体3の保持部材26を下方に向けて押し込んで、収容体4を上下方向に縮小変形させるとともに、上部材15および下部材16を相対的に上下方向に接近移動させる。これにより、収容体4の深さが浅くなり、取出口6と収容体4の底部18とが接近する。この際、前述のように取出口6を開放しておくことで、収容体4の内外が連通され収容体4が円滑に縮小変形する。なお、収容体4を上下方向に縮小変形させた後、必要に応じて蓋板部9によって取出口6を閉塞しても良い。
【0036】
次いで、押込部41の押し込みを解除すると、第3ヒンジ部43が復元変形することで、位置決め手段42がヒンジ軸O2回りに復元移動する。これにより、第2係合部40がガイド孔19内に向けて移動し、前述の接近移動前に係合していた第1係合部36よりも上側に位置する他の第1係合部36内に進入して係合面36aに係合し、上部材15および下部材16の相対的な接近移動が再び規制されることとなる。
【0037】
また、収容体4内における内容物がなくなり、内容器2を新たなものと交換するときには、まず図5に示すように、保持部材26の下係合凸部30を幅方向Bの内側に向けて押し込んで、下係合凸部30と上部材15との係合を解除しつつ、保持部材26を第2ヒンジ部34回りに上方に向けて回動させる。これにより、保持部材26による内容器2の蓋体5の保持が解除されるとともに、蓋体5の頂壁部7が全面にわたって上方に向けて露出される。
【0038】
次いで、ケース体3内に収納された内容器2を上方に引き抜いた後、ケース体3内に新たな内容器2を収納するとともに、前述のように上下方向に相対的に接近移動させられた上部材15および下部材16を、上下方向に離間移動させる。この際、図6に示すように、第2係合部40の傾斜面40bと、第1係合部36を画成する内面のうち上方を向く傾斜面36bと、が互いに摺接しながら、第2係合部40が第1係合部36内を相対的に下方に向けて移動することで、第2係合部40が前記傾斜面36bを乗り越えて、下方に位置する他の第1係合部36内に進入するようになっている。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る二重容器1によれば、収容体4内における内容物の残量が減少したときに、取出口6と収容体4の底部18とを互いに接近させることができるので、収容体4内における内容物の残量が減少しても、取出口6から内容物に至るまでの距離が遠くなるのを抑えることが可能になり、取出口6から内容物が取り出し難くなるのを抑制することができる。
【0040】
また、上部材15に、蓋体5を保持する保持部材26が着脱可能に装着されているので、内容器2がケース体3に対してがたつくのを抑制することができる。さらに、保持部材26が蓋体5を上方から覆っているので、内容器2がケース体3から不用意に上方に抜け出されてしまうのを抑制することができる。
【0041】
また、被ガイド体24が、ガイド孔19内に上下方向にスライド移動可能に嵌合されているので、上部材15および下部材16の上下方向の相対的な移動を安定させることができる。
さらに、ガイド体20および被ガイド体24がそれぞれ、内容器2を間に挟むように一対備えられているので、上部材15および下部材16の上下方向の相対的な移動をより安定させることができる。
【0042】
また、位置決め手段42が第3ヒンジ部43を介して貫通開口39の内周面に連結されていることから、押込部41を押し込んで第2係合部40を第1係合部36から離脱させた後、押込部41の押し込みを解除するだけで、第3ヒンジ部43が復元変形し位置決め手段42が復元移動することとなり、両係合部36、40を容易に係合させることができる。
さらに、このように位置決め手段42が第3ヒンジ部43を介して貫通開口39の内周面に連結されていることから、下部材16、ガイド体20、位置決め手段42および第3ヒンジ部43を、例えば射出成形などにより合成樹脂材料で一体に形成することが可能になり、ケース体3の製造の簡素化およびコストの低減を図ることができる。
【0043】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、上部材15には、カバー板25が形成されているものとしたが、カバー板25はなくても良い。
【0044】
また前記実施形態では、保持部材26が上部材15に第2ヒンジ部34を介して連結されているものとしたが、連結されていなくても良く、蓋体5と一体に形成されていても良い。
さらに、保持部材26はなくても良い。この場合例えば、上部材15の上端縁が蓋体5の周壁部12の第1周壁部13の下端縁を下方から支持した状態で、上部材15が収容体4の上端部を囲繞する構成としても良い。また、上部材15が前記第1周壁部13に対して外嵌する構成としても良い。
【0045】
また前記実施形態では、ケース体3の下部材16が有底筒体であるものとしたが、これに限られるものではなく、下部材16は底壁部17を備えていなくても良い。
さらに前記実施形態では、内容器2の収容体4は、薄肉容器であるものとしたが、上下方向に縮小変形可能であれば、これに限られるものではない。例えば、薄肉容器に代えて、上下方向に伸縮可能とされた有底筒状の蛇腹体を採用しても良い。
【0046】
また前記実施形態では、位置決め手段42が第3ヒンジ部43を介して貫通開口39の内周面に連結されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、位置決め手段42における上下方向の中間部に、幅方向Bに延びるとともに幅方向Bの両側に向けて開口する挿通孔が形成され、この挿通孔に挿通されるとともに位置決め手段42を回転自在に支持する軸部が貫通開口39の内周面に連結されていても良い。
【0047】
また前記実施形態では、第2係合部40が位置決め手段42の上端部に形成され、押込部41が位置決め手段42の下端部に形成されるものとしたが、これに代えて、第2係合部40が位置決め手段42の下端部に形成され、押込部41が位置決め手段42の上端部に形成された構成を採用しても良い。
【0048】
また前記実施形態では、第1係合部36は、下側から上側に向かうに従い漸次深さが深くなっているものとしたが、上下方向の位置によらず深さが一定でも構わない。また、第1係合部36は、幅方向Bに沿って延びる横溝としたが、これに代えて、例えば、前側に位置する被ガイド体24の外面35に、幅方向Bに沿って延びる突条体であっても良い。
さらに前記実施形態では、第2係合部40は、上側から下側に向かうに従い漸次、突出量が小さくなっているものとしたが、上下方向の位置によらず突出量が一定でも構わない。
【0049】
また前記実施形態では、一対の被ガイド体24のうち前側に位置する被ガイド体24に第1係合部36が形成されるとともに、一対のガイド体20のうち前側に位置するガイド体20に、内部に位置決め手段42が配設された貫通開口39が形成されるものとしたが、これに限られるものではない。
例えば、一対の被ガイド体24の両方に、第1係合部36が形成されるとともに、一対のガイド体20の両方に、前記貫通開口39が形成されていても良い。また、後側に位置する被ガイド体24にのみ第1係合部36が形成されるとともに、後側に位置するガイド体20にのみ、前記貫通開口39が形成されていても良い。
【0050】
また、第1係合部36、貫通開口39、位置決め手段42はなくても良い。この場合例えば、被ガイド体24の表面とガイド孔19の内周面との間の摩擦力によって、上部材15および下部材16の上下方向の相対的な接近移動が規制されるように、ガイド孔19、ガイド体20および被ガイド体24を形成しても良い。
【0051】
また前記実施形態では、ガイド孔19の前記上面視形状が長方形状をなし、被ガイド体24は板体であるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ガイド孔19の前記上面視形状が円形状をなし、被ガイド体24が円柱状であっても良い。
【0052】
また前記実施形態では、ガイド体20および被ガイド体24がそれぞれ、内容器2を間に挟むように一対備えられているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、ガイド体20および被ガイド体24がそれぞれ、1つのみ備えられていても良く、3つ以上備えられていても良い。また、ガイド体20および被ガイド体24がそれぞれ一対備えられている場合であっても、内容器2を間に挟むように備えられていなくても良い。
【0053】
また前記実施形態では、ガイド体20が下部材16に形成され、被ガイド体24が上部材15に形成されているものとしたが、これに代えて、ガイド体20が上部材15に形成され、被ガイド体24が下部材16に形成された構成を採用しても良い。
【0054】
また前記実施形態では、ガイド体20および被ガイド体24が形成されているものとしたが、上部材15および下部材16が、上下方向に相対的に移動可能に連結されていれば、ガイド体20および被ガイド体24はなくても良い。例えば、上部材15と下部材16とが、上下方向に伸縮変形可能な蛇腹板を介して連結されていても良い。
【0055】
また前記実施形態では、内容器2の収容体4および蓋体5は、前記上面視で長方形状をなしているものとしたが、例えば、前記上面視で正方形状や、円形状、楕円形状などをなしていても良い。この場合、ケース体3の上部材15および下部材16は、内容器2(収容体4および蓋体5)の形状にあわせて適宜形状を変更すれば良い。
【0056】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 二重容器
2 内容器
3 ケース体
4 収容体
5 蓋体
6 取出口
15 上部材
16 下部材
19 ガイド孔
20 ガイド体
24 被ガイド体
26 保持部材
36 第1係合部
39 貫通開口
40 第2係合部
41 押込部
42 位置決め手段
O1 容器軸
O2 ヒンジ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される内容器と、この内容器を収納するケース体と、を備える二重容器であって、
前記内容器は、有底筒状の収容体と、この収容体の上端開口部に装着された蓋体と、を備え、
前記収容体は上下方向に縮小変形可能に形成され、
前記蓋体には内容物の取出口が形成され、
前記ケース体は、前記内容器の上端部を囲繞する上部材と、前記内容器の下端部を囲繞する下部材と、を備えるとともに、これらの両部材は、上下方向に相対的に移動可能に連結されていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
請求項1記載の二重容器であって、
前記上部材および前記下部材のうちのいずれか一方には、上下方向に延びるガイド孔を有するガイド体が形成されるとともに、他方には、上下方向に延び前記ガイド孔内に上下方向にスライド移動可能に嵌合された被ガイド体が形成されていることを特徴とする二重容器。
【請求項3】
請求項2に記載の二重容器であって、
前記ガイド体および前記被ガイド体はそれぞれ、前記内容器を間に挟むように一対備えられていることを特徴とする二重容器。
【請求項4】
請求項2又は3記載の二重容器であって、
前記被ガイド体において前記内容器の反対側を向く外面には、上下方向に複数配置された第1係合部が形成され、
前記ガイド体において前記内容器の反対側を向く外面には、前記ガイド孔に開口する貫通開口が形成され、
前記貫通開口内には、上端部および下端部のうちのいずれか一方に前記第1係合部に下方から係合する第2係合部が形成されるとともに、他方に前記ガイド孔内に向けて押し込み可能な押込部が形成された位置決め手段が配設され、
該位置決め手段における上下方向の中間部は、前記貫通開口の内周面に、前記ケース体の周方向に延びるヒンジ軸回りに回転自在に連結されていることを特徴とする二重容器。
【請求項5】
請求項1から4いずれか1項に記載の二重容器であって、
前記上部材には、前記蓋体を上方から覆いながら保持する保持部材が着脱可能に装着されていることを特徴とする二重容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−73711(P2011−73711A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226099(P2009−226099)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】