説明

二重方式PET/MRI造影剤

本発明は、(a)磁性信号発生コアと、(b)前記磁性信号発生コアの表面にコーティングされた水溶性多作用基リガンドと、(c)前記水溶性多作用基リガンドに結合された陽電子放出因子とを含むハイブリッドナノ粒子を含む二重方式の陽電子放出トモグラフィー/磁気共鳴画像の造影剤に関し、本発明の造影剤は、PET及びMRイメージングを行うことができる二重方式造影剤であって、陽電子放出トモグラフィーによる優れた敏感度及び高い時間解像度及び磁気共鳴画像による高い空間解像度及び解剖学的情報のイメージングの長所が効果的に反映されたイメージを得ることができる。本発明の造影剤は、細胞移動、各種疾病診断(例えば、癌及び癌転移診断)及び薬物運搬のような多様な生物学的現象の非浸透高敏感性実時間誤謬のないイメージングに非常に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重方式(dual-modality)陽電子放出トモグラフィー(以下、PET(positron emission tomography)と記す)/磁気共鳴画像法(MRI(magnetic resonance imaging)と記す)造影剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的ターゲットのイメージング技術は、生物学的現象を理解するか、多様な疾患の正確な診断に使用される重要な道具となっているため、1)敏感度、2)正確度、及び3)迅速度の観点で優れていなければならない。
【0003】
しかしながら、現在の単一イメージング方式(single imaging modality)では、その正確度が劣り、誤診可能性があるという限界がある。したがって、それぞれの単一イメージング方式を組み合わせることにより、多−方式イメージングが重要な手段とされ、たくさんの研究が行われており、臨床でも標準方法とされている。二重及び三重方式を組み合わせることにより、単一イメージング方式の多くの短所が克服できる。
【0004】
例えば、PET/CT(computed tomography)、MR(magnetic resonance)/光学、及びPET/NIRF(nearinfrared optical fluorescence)など、多様なイメージング技法を組み合わせる努力がなされている。その中でも、PET/MRI二重イメージング技法は、非破壊性3次元トモグラフィーの強点を有して、PETの長所である1)優れた敏感度、2)高い時間解像度、3)生態機能イメージング可能性と、MRIの長所である1)高い空間解像度、2)解剖学的情報提供を同時に有するようになり、誤診することなく(fault-free)、正確な疾病診断を可能にするため、その応用可能性が大きい(S. S. Gambhiret al. Gene. Dev. 17:545(2003))。
【0005】
このようなPET/MR二重モードイメージング技術は、米国公開特許US20060052685、US20080045829、US20080033279などで明示しており、最近B. J. Pichler研究チームでPET-MRI一体型複合機器に対して報告(Nature Medicine 14:459(2008))している。
【0006】
このような診断機器の開発と共に、多重方式プローブの開発が要求されており、前記多重プローブは、イメージング技術の正確度及び敏感度を改善する。
【0007】
PET/MR二重プローブがPET/MR二重方式イメージングにおいて、高い診断感度を有して、誤診なく正確な疾病診断を可能にするためには、
1) 優れた磁気共鳴映像造影効果を示し、
2) MR信号発生コアと陽電子放出因子が効果的且つ安定的に結合されており、
3) 生体内で安定的に運搬及び分散されて、
4) 生体活性物質あるいは化学活性物質とも容易に結合が可能でなければならない。
【0008】
これと関連し、PET/MR二重方式造影剤に対する開発が一部報告されているが、まだ開発初期段階である。現在まで、PET/MR二重方式造影は、下記のように開発されてきた。
【0009】
米国登録特許第5,928,958号は、ポリサッカロイドあるいはポリエチレングリコールでコーティングされた鉄を含む酸化物及び鉄ナノ粒子に放射性元素が付着され得ることを明示している。
【0010】
米国特許出願公開第2007025888号は、酸化物、金属酸化物、あるいは金属水酸化物をコアとして有して、光学的に活性化された物質で構成されたシェル(shell)を有する造影剤を提示しており、光活性物質は、放射性同位元素を含む。
【0011】
また、ハーバード医科大学のR. Weissleder博士の研究チームでは、デキストランでコーティングされた酸化鉄(monodisperse iron oxide nanoparticle, MION)ナノ粒子に蛍光物質と放射性物質を結合することにより、動脈硬化診断のための3重モード造影剤を開発した(Circulation, 117:379(2008))。
【0012】
しかし、既存に提示された従来技術は、以下のような限界点がある。
【0013】
米国登録特許第5,928,958号では、MR造影剤に使用可能な鉄を含む酸化物及び鉄ナノ粒子の表面にコーティングされたポリサッカロイドあるいはポリエチレングリコールが、アルコール基を含むため、追加的な放射性同位元素の付着過程が複雑で、その効率が低い。
【0014】
米国特許出願公開第2007025888号で提示するイオン交換反応によるコア−シェル形態の造影剤の製造方法は、製法が複雑で、均一な組成を有する二重モードPET/MRI造影剤の製造が難しく、イメージングする時、同一な信号を得ることが難しい。
【0015】
ハーバード医科大学のR. Weissleder博士の研究チームで提示された3重モード造影剤の場合、コアとして使用された磁性粒子の大きさが不均一で、結晶性が劣り、そのMR造影効果が劣るため、効果的な多重モード造影剤としては限界があって、効果的な多重イメージング技術を提示するよりは、PET/CTイメージングの補助的な役割としてMRIが使用された。
【0016】
したがって、効果的なPET/MRイメージングのための造影剤の開発は、まだ満足できる水準ではなく、優れた造影効果を有して、PET信号発生因子とMR発生因子が安定的に結合し、相補的なPET/MRイメージングが可能な二重方式造影剤の開発が重要である。
【0017】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、効果的な、二重方式PET/MRI造影剤を提供するためのものである。したがって、本発明の目的は、優れた磁気的性質及び造影効果を示す磁性信号発生コアを使用し、陽電子放出因子を効果的且つ安定的に付着することにより、優れた造影効果及び診断正確度の高い、二重方式PET/MRI造影剤を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の様態によると、本発明は、(a)磁性信号発生コア(signal generating core)と、(b)前記磁性信号発生コアの表面にコーティングされた水溶性多作用基リガンドと、(c)前記水溶性多作用基リガンドに結合された陽電子放出因子(positron emitting factor)とから構成されたハイブリッドなナノ粒子を含む二重方式(dual-modality)PET(positron emission tomography)/MRI(magnetic resonance imaging)造影剤を提供する。
【0021】
本発明者らは、PET及びMRイメージングが行える二重方式造影剤を開発するために鋭意研究した。その結果、優れた磁気的性質及びMR造影効果を有する水溶性多作用基リガンドでコーティングされた磁性ナノ粒子に陽電子放出因子を結合させる場合、PETとMRの二つのイメージングができる二重方式造影剤が提供されることを確認した。
【0022】
PET及びMRは、他のイメージング技術と比較し、非−侵略的イメージング及び3次元単層撮影の長所を有するため、効果的な疾病診断及び生体映像技術として幅広い応用が可能である。したがって、前記二つのイメージング技術を単一システム上で具現することにより、高い信号敏感度を有しながらも、優れた時間的、空間的解像度を有する二重方式PET/MRIを理想的な造影技術で作ることができる。また、これを効果的に具現するためには、映像効果を高めることができる二重モード造影剤の使用が必須的である。
【0023】
本発明は、単一造影剤を利用してPET/MRイメージングを行うことにより、イメージを得ようとする生体組織及び/または器官に対するPET及びMRイメージを同時に得ることができる。
【0024】
本発明の二重方式PET/MRI造影剤は、MRイメージングのために、磁性信号発生コアを有する。前記‘磁性信号発生コア’は、磁性ナノ粒子であって、当業界でMRIに利用されるあらゆる常磁性または超常磁性ナノ粒子を含む。
【0025】
本発明の好ましい具現例によると、磁性信号発生コアは、金属、金属カルコゲン(calcogen, 16族)、金属プニコゲン(pnicogen, 15族)、合金またはこれらを含有する多成分混成構造体である。
【0026】
本発明の好ましい具現例によると、磁性信号発生コアに利用される金属ナノ粒子は、遷移金属、ランタン族金属またはアクチニウム族金属である。より好ましくは、信号発生コアに利用される金属ナノ粒子は、Co、Mn、Fe及びNiで構成された群から選択される遷移金属、またはNd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er及びSmから構成された群から選択されるランタン族またはアクチニウム族金属から選択されるか、またはその多成分混成構造体である。
【0027】
前記金属カルコゲンナノ粒子コアは、好ましくは、Maxy、Maxbyzナノ粒子(Ma及びMbは、1族金属元素、2族金属元素、遷移金属元素、13族−15族元素の中の金属及び半金属元素、ランタン族及びアクチニウム族金属元素から1種以上選択される元素、Aは、O、S、Se、Te及びPoから選択される元素;0≦x≦32、0≦y≦32、0<z≦8)、またはその多成分混成構造体である。
【0028】
より好ましくは、前記金属カルコゲンナノ粒子は、MaxyまたはMaxbyzナノ粒子(Ma=Ba, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Cd, Hg, Nb, Mo, Zr, W, Pd, Ag, Pt及びAuから構成された群から選択される遷移金属、Ga, In, Sn, Pb, Biから構成された群から選択される13族−15族元素、またはGd, Tb, Dy, Ho, Er, Sm及びNdから構成された群から選択されるランタン族またはアクチニウム族金属元素から1種以上選択される元素、Mb=1族金属元素、2族金属元素、遷移金属元素、13族〜15族元素の中の金属及び半金属元素、ランタン族及びアクチニウム族金属元素から構成された群から1種以上選択される元素、Aは、O、S、Se、Te及びPoから選択される元素;0≦x≦32、0≦y≦32、0<z≦8)、またはその多成分混成構造体である。
【0029】
さらに好ましくは、金属カルコゲンナノ粒子は、Maxz、Maxbyzナノ粒子(Ma=Ba, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Nb, Pd, Ag, Pt及びAuから構成された群から選択される遷移金属元素、そしてGd, Tb, Dy, Ho, Er, Sm及びNdから構成された群から選択されるランタン族及びアクチニウム族元素から1種以上選択される元素、Mb=1族金属元素(LiまたはNa)、2族金属元素(Be, Ca, Mg, Sr, BaまたはRa)、13族元素(GaまたはIn)、14族元素(SiまたはGe)、15族元素(As、SbまたはBi)、16族元素(S, SeまたはTe)、遷移金属(Sr, Ti, V, Cu, Y, Zr, Nb, Mo, Tc, Ru, Rh, Pd, Ag, Cd,Hf, Ta, W, Re, Os, Ir, Pt, AuまたはHg)、ランタン族及びアクチニウム族金属元素(La, Ce, Pr,Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, TmまたはYb)から構成された群から1種以上選択される元素;0≦x≦16、0≦y≦16、0<z≦8)、またはその多成分混成構造体である。
【0030】
最も好ましくは、信号発生コアに利用される金属酸化物ナノ粒子は、 M'Fexy(M'= Mn, Fe, CoまたはNi, 0<x≦8, 0≦y≦8)、Znw"xFeyz(0<w≦8, 0≦x≦8, 0<y≦8, 0<z≦8であり、M"は、1族元素、2族元素、13族元素、遷移金属元素、ランタン族元素及びアクチニウム族元素から構成された群から選択される1種以上の金属元素)またはM"'xy (M"' = Gd, Tb, Dy, HoまたはEr, 0<x≦8, 0≦y≦16)である。
【0031】
前記金属プニコゲンナノ粒子は、好ましくは、Mcxy、Mcxdyzナノ粒子(Mc及びMdは、それぞれ独立して、1族金属元素、2族金属元素、遷移金属元素、13族、14族元素の中の金属及び半金属元素、ランタン族及びアクチニウム族金属元素から選択される元素、Aは、N、P、As、Sb、Biから選択される元素;0≦x≦40、0≦y≦40、0<z≦8)、またはその多成分混成構造体である。
【0032】
より好ましくは、前記金属プニコゲンナノ粒子は、Mcxy、Mcxdyzナノ粒子(Mcは、Ba, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Cd, Hg, Nb, Mo, Zr, W, Pd, Ag, Pt及びAuから構成された群から選択される遷移金属元素、Ga, In, Sn, Pbから構成された群から選択される13、14族元素、またはGd, Tb, Dy, Ho, Er, Sm及びNdから構成された群から選択されるランタン族及びアクチニウム族金属元素から選択される元素、Md=1族金属元素、2族金属元素、遷移金属元素、13族、14族元素の中の金属及び半金属元素、ランタン族及びアクチニウム族金属元素から構成された群から1種以上選択される元素、Aは、N、P、As、Sb、Biから選択される元素;0<x≦40、0<y≦40、0<z≦8)、またはその多成分混成構造体である。
【0033】
前記合金ナノ粒子の場合、Mexfyナノ粒子またはMexfygzナノ粒子(Me=Ba, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Nb, Mo, Zr, Te, W, Pd, Ag, Pt及びAuからなる群から選択される遷移金属元素、そしてGd、Tb、Dy、Ho、Er、Sm及びNdからなる群から選択されるランタン族及びアクチニウム族元素から1種以上選択される元素;MfまたはMgは、それぞれ独立して、1族金属元素、2族金属元素、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属元素、ランタン族及びアクチニウム族元素からなる群から1種以上選択される元素;0<x≦20、0<y≦20、0<z≦20)である。好ましくは、Mexfy(MeまたはMfは、それぞれ独立して、Co, Fe, Mn, Ni, Mo, Si, Al, Cu, Pt, Sm,B, Bi, Cu, Sn, Sb, Ga, Ge, Pd, Inから構成された群から1種以上選択される元素;0<x≦20、0≦y≦20)。
【0034】
本発明の好ましい具現例によると、磁性信号発生コアは、
1)金属ナノ粒子M(M=Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Zn、Nb、Mo、Zr、Te、W、Pd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、SmまたはNd)、
2)合金ナノ粒子Mfxgy(Mf及びMgは、それぞれ独立して、Co、Fe、Mn、Ni、Mo、Si、Al、Cu、Pt、Sm、B、Bi、Cu、Sn、Sb、Ga、Ge、Pd、In、Au、Ag、Yからなる群から1種以上選択される元素;0<x≦20、0≦y≦20)、
3)金属カルコゲンナノ粒子の中、金属酸化物ナノ粒子Maxy(Ma=Ba、Cr、Co、Fe、Mn、Ni、Cu、Zn、Nb、Pd、Ag、Au、Mo、Si、Al、Pt、Sm、B、Bi、Sn、Sb、Ga、Ge、Pd、In、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Sm及びNdから1種以上選択される元素;0<x≦16、0<y≦8)、またはこれらの多成分混成構造体である。
【0035】
最も好ましくは、無機ナノ粒子コアは、MhxFeyz(Mh=Ba, Mn, Fe, Co, NiまたはZnからなる群から1種以上選択されることを特徴とする金属、0≦x≦16、0<y≦16、0<z≦8)またはZnwixFeyz(0<w≦16、0≦x≦16、0<y≦16、0<z≦8であり、Mbは、1族元素、2族元素、13族元素、遷移金属元素、ランタン族元素及びアクチニウム族元素からなる群から1種以上選択される元素)である。
【0036】
前記多成分混成構造体は、上述の金属ナノ粒子、合金ナノ粒子、金属カルコゲンナノ粒子、または金属プニコゲンナノ粒子からなる群から選択される2種以上のナノ粒子を含むか、上述の金属ナノ粒子、合金ナノ粒子、金属カルコゲンナノ粒子、または金属プニコゲンナノ粒子で構成された群から選択されるナノ粒子と、また他の金属(例えば、Au, Pt, Pd, Ag, Rh, Ru, Os, Ir)、金属カルコゲン、金属プニコゲン物質で構成された群から選択される少なくとも1種を同時に含むナノ粒子であって、これらの形態は、コア−シェル(core-shell)、多重コア−シェル、ヘテロダイマー (heterodimer)、トライマー(trimer)、マルチマー(multimer)、バーコードまたは共軸形棒(co-axial rod)である。
【0037】
信号発生コアは、磁気的性質(磁化度、magnetism)に優れているほど、MRIで優れた造影効果を示す(S. H. Koeniget al. Magn. Reson. Med. 34:227(1995))。
【0038】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の造影剤の磁性信号発生コアは、飽和磁化度(Ms)が20emu/g(磁性元素)以上であり、より好ましくは、50〜1000emu/g(磁性元素)である。本発明の好ましい具現例によると、本発明の造影剤の信号発生コアは、スピン弛緩係数(relaxivity coefficient, r2)が50mM-1sec-1以上であり、より好ましくは、100〜3000mM-1sec-1、最も好ましくは、150〜1000mM-1sec-1である。
【0039】
本発明の造影剤は、最終的に動物、好ましくは、人体内に投与されるものであるため、水溶液に安定的に分散されなければならない。造影剤の水溶性のために、本発明の造影剤は、磁性信号発生コアの表面に水溶性多作用基リガンドがコーティングされている。水溶性を付与するための多作用基リガンドは、当業界で通常的に利用されるいかなるものでも可能である。
【0040】
本発明の好ましい具現例によると、前記水溶性多作用基リガンドは、(i)磁性信号発生コアに結合する付着領域(LI)を含み、より好ましくは、(ii)活性成分を結合させるための活性成分結合領域(LII)、または(iii)水溶性多作用基リガンド間のクロス連結のためのクロス連結領域(LIII)、または(iv)前記活性成分結合領域(LII)とクロス連結領域(LIII)とを同時に含む。
【0041】
前記‘付着領域(LI)’は、磁性信号発生コアと付着できる作用基(functional group)を含む水溶性多作用基リガンドの一部分であって、好ましくは、これの末端を意味する。したがって、付着領域は、磁性信号発生コアをなす物質と親和性が高い作用基を含むことが好ましい。磁性信号発生コアと付着領域との結合は、イオン結合、共有結合、水素結合、疎水性結合または金属-リガンド配位結合により付着することができる。水溶性多作用基リガンドの付着領域は、磁性信号発生コアをなす物質によって多様に選択できる。例えば、イオン結合、共有結合、水素結合、金属-リガンド配位結合を利用した付着領域(LI)は、-COOH, -NH2, -SH, -CONH2, -PO3H, -OPO3H2, -SO3H, -OSO3H,-N3, -NR3OH (R=CnH2n+1, 0≦n≦16), -OH, -SS-, -NO2, -CHO, -COX (X = F, Cl, BrまたはI), -COOCO-, -CONH-または-CNを含むことができ、疎水性結合を利用した付着領域は、炭素数2個以上からなる炭化水素鎖を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
前記‘活性成分結合領域(LII)’は、化学または生体機能性物質と結合できる作用基を含む水溶性多作用基リガンドの一部分であって、好ましくは、前記付着領域の反対側に位置した末端を意味する。前記活性成分結合領域の作用基は、活性成分の種類及びこれの化学式によって選択できる(表1参照)。本発明において、活性成分結合領域は、-SH, -COOH, -CHO, -NH2, -OH, -PO3H, -OPO3H2, -SO3H, -OSO3H, -NR3+X- (R= CnHm, 0≦n≦16, 0≦m≦34, X = OH, ClまたはBr), NR4+X- (R= CnHm, 0≦n≦16, 0≦m≦34, X = OH, ClまたはBr), -N3, -SCOCH3, -SCN, -NCS, -NCO, -CN, -F, -Cl, -Br, -I, エポキシ基, -ONO2, -PO(OH)2, -C=NNH2, -HC=CH-及び-C≡C-を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
【表1】

【0044】
前記‘クロス連結領域(LIII)’は、近接した水溶性多作用基リガンドとクロス連結できる作用基を含む多作用基リガンドの一部分、好ましくは、中心部に付着された側鎖を意味する。‘クロス連結’とは、一つの多作用基リガンドが、近接して位置した他の多作用基リガンドと分子間引力(intermolecular interaction)で結合されるか、分子連結子を利用して多作用基リガンドを連結することを意味する。前記分子間引力は、水素結合、共有結合(例えば、ジスルフィド結合)、イオン結合などがあるが、特にこれらに限定されるものではない。したがって、クロス連結できる作用基は、目的とする分子間引力の種類によって多様に選択できる。クロス連結領域は、例えば、-SH, -COOH, -CHO, -NH2, -OH, -PO3H, -OPO3H2, -SO3H, -OSO3H, Si-OH, Si(MeO)3, -NR3+X- (R= CnHm, 0≦n≦16, 0≦m≦34, X = OH, ClまたはBr), NR4+X- (R= CnHm, 0≦n≦16, 0≦m≦34, X = OH, ClまたはBr), -N3, -SCOCH3, -SCN, -NCS, -NCO, -CN, -F, -Cl, -Br, -I, エポキシ基, -ONO2, -PO(OH)2, -C=NNH2, -HC=CH-または-C≡C-を作用基として含むことができて、化学的または熱的反応を全て含むことができる。
【0045】
本発明の好ましい多作用基リガンドは、単分子、高分子、炭水化物、蛋白質、ペプチド、核酸、脂質あるいは両親性リガンドを含む。
【0046】
本発明の造影剤において、好ましい水溶性多作用基リガンドの他の例は、単分子であって、上述の作用基を含む単分子であり、好ましくは、ジメルカプトコハク酸(dimercaptosuccinic acid)である。ジメルカプトコハク酸は、もともと付着領域、クロス連結領域及び活性成分結合領域を含んでいるからである。即ち、ジメルカプトコハク酸の一方の-COOHは、磁性信号発生コアに結合されて、末端部のCOOH及びSHは、活性成分と結合する役割をする。また、-SHの場合、周辺の他の-SHとジスルフィド結合をなすことにより、クロス連結領域として作用が可能である。前記ジメルカプトコハク酸の他にも、付着領域の作用基として、-COOH、活性成分、結合領域の作用基として、-COOH、-HN2または-SHを含む化合物は、いずれも好ましい多作用基リガンドとして利用可能である。
【0047】
本発明の造影剤において、好ましい水溶性多作用基リガンドの他の例は、ポリホスファゲン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸、ポリマレイン酸の誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リジン、ポリグリコリド、ポリメチルメタクリレート及びポリビニールピロリドンからなる群から選択される1種以上の高分子であるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
本発明の水溶性ナノ粒子において、好ましい水溶性多作用基リガンドの他の例は、ペプチドである。ペプチドは、数個のアミノ酸からなるオリゴマー/ポリマーであって、アミノ酸の両末端に-COOHと-NH2作用基を保有しているため、ペプチドは、自然的に付着領域と活性成分結合領域を備えるようになる。また、特に側鎖としてSH、-COOH、-NH2及び-OHのいずれか一つ以上を含むアミノ酸を一つ以上含むペプチドは、好ましい水溶性多作用基リガンドとして使用できる。特に、チロシンを含むペプチドの場合、別途の分子連結子無しに磁性信号発生コアと陽電子放出物質の結合に使用できる。
【0049】
本発明による水溶性ナノ粒子において、好ましい多作用基リガンドの他の例は、蛋白質である。蛋白質は、ペプチドよりさらに多いアミノ酸、即ち、数百乃至数十万個のアミノ酸からなるポリマーであって、両末端に-COOHと-NH2作用基を保有しているだけではなく、数十個の-COOH、-NH2、-SH、-OH、-CONH2などを含んでいる。これにより、蛋白質は、ペプチドのようにその構造によって自然的に付着領域、クロス連結領域及び活性成分結合領域を備えることができ、水溶性多作用基リガンドとして利用できる。また、チロシンを多数含んでいるため、効果的な磁性信号発生コアと陽電子放出物質の連結に使用が可能である。水溶性多作用基リガンドとしての好ましい蛋白質は、単純蛋白質、複合蛋白質、誘導蛋白質やその類似体を含む。水溶性多作用基リガンドのより好ましい例は、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、信号伝達蛋白質またはその一部分、抗体またはその一部分、単鎖抗体、結合蛋白質またはその結合ドメイン、抗原、付着蛋白質、構造蛋白質、調節蛋白質、毒素蛋白質、サイトカイン、転写調節因子、血液凝固因子及び植物生体防衛誘導蛋白質などを含むが、これらに限定されるものではない。最も好ましくは、アルブミン、ヒストン、プロタミン、プロラミン、グルデニン、抗体(imunoglobulin)、抗原、アビジン、シトクロム、カゼイン、ミオシン、グリシニン、ケロチン、ヘモグロビン、ミオグロビン、フラビン、コラーゲン、球状蛋白質類、軽蛋白質、ストレプタビジン、プロテインA、プロテインG、プロテインS、免疫グロブリン、レクチン、セレクチン、血管蛋白(angioprotein)、抗癌蛋白質、抗生蛋白質、ホルモン拮抗蛋白質、インターロイキン、インターフェロン、成長因子蛋白質、腫瘍壊死因子蛋白質、エンドトキシン蛋白質、リンフォトキシン蛋白質、組織プラスミノゲン活性剤、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、プロテアーゼ阻害剤、アルキルホスホコリン、界面活性剤、心血管係薬物蛋白質、神経系薬物蛋白質、胃腸管系薬物蛋白質などが本発明では水溶性多作用基リガンドとして利用できる。
【0050】
本発明で好ましい水溶性多作用基リガンドのまた他の様態は、核酸である。核酸は、多数のヌクレオチドからなるオリゴマーであって、両末端にPO4-と-OH作用基を保有しているため、自然的に付着領域及び活性成分結合領域(LI-LIII)を備えるか、付着領域及びクロス連結領域(LI-LII)を備えるため、本発明の相転移リガンドとして有用に利用できる。核酸は、場合によって3’末端または5'末端に-SH、-NH2、-COOH、-OHの作用基を有するように変形されることが好ましい。
【0051】
本発明の造影剤において、好ましい水溶性多作用基リガンドの他の例は、疎水性作用基と親水性作用基を同時に有している両親性リガンドである。有機溶媒上で合成されたナノ粒子の場合、その表面には、疎水性の長い炭素鎖からなるリガンドが存在する。この時、付加される両親性リガンドに存在する疎水性作用基とナノ粒子表面の疎水性リガンドが分子間引力により結合されてナノ粒子を安定化させて、ナノ粒子の最外側には、親水性作用基が露出し、結果的に水溶性ナノ粒子を製造することができる。ここで、分子間引力は、疎水性結合、水素結合、ファンデルワールス結合などを含む。この際、ナノ粒子と疎水性引力により結合される部分が付着領域(LI)であり、これと共に有機化学的な方法によって両親性クロス連結領域(LII)及び活性成分結合領域(LIII)を導入することができる。また、水溶液上における安定度の増加のために、数個の疎水性作用基と親水性作用基を有している高分子多重両親性リガンドを利用するか、あるいは連結分子を利用して両親性リガンドを互いにクロス連結させることができる。このようなリガンドとして好ましい両親性リガンドの例として、まず疎水性作用基に含まれるものは、炭素数2個以上の鎖からなり、線形や分岐鎖(branched)構造を有している疎水性分子であって、好ましくは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、イコシル、テトラコシル、ドデシル及びシクロペンチル、シクロヘキシルなどのアルキル作用基と、エチニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、オレイルなどの炭素−炭素2重結合、及びプロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、オクテニル、デセニルなどの炭素−炭素3重結合を有する不飽和された炭素鎖を有する作用基などが挙げられる。また、親水性作用基に含まれるものは、-SH, -COOH, -NH2, -OH, -PO3H, -PO4H2, -SO3H, -SO4H,-NR4+X-などのように、特定pHでは中性を表すが、さらに高いか低いpHでは陽電荷または陰電荷を帯びる作用基を意味する。また、親水性グループとして高分子及びブロックコポリマーなどが使用可能であり、ここで使用されるモノマーは、エチルグリコール、アクリル酸、アルキルアクリル酸、アタコニン酸、マレイン酸、フマリン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニールスルホン酸、ビニールリン酸、ビニール乳酸、スチレンスルホン酸、アリールアンモニウム、アクリロニトリル、N−ビニールピロリドン、N−ビニールホルムアミドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本発明の造影剤において好ましい水溶性多作用基リガンドの他の例は、炭水化物を含む。さらに好ましい例は、グルコース、マンノース、フコース、N−アセチルグルコミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、果糖、キシロース、ソルビトール、スクロース、マルトース、グリコアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリスロース、エリトルロース、アラビノース、キシルロース、乳糖、トレハロース、メリボース、セロビオース、ラフィノース、メレジトース、マルトリオース、スターチオース、エストロドース、キシラン、アラバン、ヘキソサン、フルクタン、ガラクタン、マンナン、アガロペクチン、アルギン酸、カラギーナン、ヘミセルロース、ヒプロメロース、アミロース、デオキシアセトン、グリセリンアルデヒド、キチン、アガロース、デキストリン、リボース、リブロース、ガラクトース、カルボキシメチルセルロース及びグリコゲンデキストラン、カルボデキストラン、ポリサッカロイド、シクロデキストラン、プルラン、セルロース、デンプン、グリコゲンなどを含むが、こられに限定されるものではない。
【0053】
本発明では、上記のような作用基をもともと保有している化合物を水溶性多作用基リガンドとして利用することもできるが、当業界に公知された化学反応を通じて上記の作用基を備えるように変形または製造された化合物を水溶性多作用基リガンドとして利用することもできる。
【0054】
本発明の好ましい具現例によると、水溶性多作用基リガンドは、クロス連結領域(LIII)同士あるいは追加的な分子連結子(molecular linker)を利用してクロス結合されている。このようなクロス結合は、信号発生コアに水溶性多作用基リガンドコーティングをさらに堅固にして、このような特性は、本発明の造影剤が生体内に投入される場合、特に有利である。例えば、水溶性多作用基リガンドとして蛋白質を利用する場合、蛋白質のカルボキシル基及びアミン基を、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDC)及びN−ヒドロキシスルホスクシニミド(sulfo-NHS)を利用してクロス結合させて、蛋白質コーティングをさらに安定化させることができる。また、追加的な分子連結子2,2−エチレンジオキシビスエチレンアミンを、蛋白質表面のカルボキシル基とEDC及びsulfo-NHSを利用して蛋白質のカルボキシル基とクロス結合させて、蛋白質コーティングさらに安定化させることができる。
【0055】
本発明において、‘陽電子放出因子’は、陽電子(β+)を放出してPETイメージが得られる、当業界で使用されるあらゆる同位元素を含む。
【0056】
本発明の好ましい具現例によると、水溶性多作用基リガンドに共有結合されている陽電子放出同位元素は、10C, 11C, 13O, 14O, 15O, 12N, 13N, 15F, 17F, 18F, 32Cl, 33Cl, 34Cl, 43Sc, 44Sc, 45Ti, 51Mn, 52Mn, 52Fe, 53Fe, 55Co, 56Co, 58Co, 61Cu, 62Cu, 62Zn, 63Zn, 64Cu,65Zn, 66Ga, 66Ge, 67Ge, 68Ga, 69Ge, 69As, 70As, 70Se, 71Se, 71As, 72As 73Se, 74Kr, 74Br, 75Br, 76Br, 77Br, 77Kr, 78Br, 78Rb, 79Rb, 79Kr ,81Rb, 82Rb, 84Rb, 84Zr, 85Y, 86Y, 87Y, 87Zr, 88Y, 89Zr, 92Tc, 93Tc, 94Tc, 95Tc, 95Ru, 95Rh, 96Rh, 97Rh, 98Rh, 99Rh, 100Rh, 101Ag, 102Ag, 102Rh, 103Ag, 104Ag, 105Ag, 106Ag, 108In, 109In, 110In, 115Sb, 116Sb, 117Sb, 115Te, 116Te, 117Te, 117I, 118I, 118Xe, 119Xe, 119I, 119Te, 120I, 120Xe, 121Xe, 121I, 122I, 123Xe, 124I, 126I, 128I, 129La, 130La, 131La, 132La, 133La, 135La, 136La, 140Sm, 141Sm, 142Sm, 144Gd, 145Gd, 145Eu, 146Gd, 146Eu, 147Eu, 147Gd, 148Eu, 150Eu, 190Au, 191Au, 192Au, 193Au, 193Tl, 194Tl, 194Au, 195Tl, 196Tl, 197Tl, 198Tl, 200Tl, 200Bi, 202Bi, 203Bi, 205Biまたは206Bi及びその誘導体を含む。
【0057】
陽電子放出同位元素は、水溶性多作用基リガンドの活性成分結合領域に直接的に、またはリンカーを利用して間接的に結合できる。例えば、陽電子放出同位元素として124Iが利用されて、水溶性多作用基リガンドとして蛋白質が利用される場合、蛋白質に存在するチロシン残基の側鎖にあるベンゼン環に124Iを直接結合させることができる。
【0058】
また、水溶性多作用基リガンドに追加的なキレート化合物を付着することにより、多様な陽電子放出同位元素を配位結合することができる。最も好ましい例としては、DOTA(1,4,7,10-Tetraazacyclododecane-N,N',N",N"'-tetraacetic acid)及びDOTA誘導体、そして、TETA(1,4,8,11-Tetraazacyclotetradecane-14,8,11-tetraacetic acid)及びTETA誘導体、EDTA(Ethylene Di-amine Tetra-acetic Acid)及びEDTA誘導体、DTPA(Diethylene triamine pentaacetic acid)及びDTPA誘導体などを末端部に有しているキレート化合物を付着させた後、陽電子放出同位元素を配位結合させる。
【0059】
本発明の造影剤は、造影以外の他の機能(例えば、癌治療)をさらに付与するために、二重方式PET/MR造影剤に生物活性物質(例えば、抗体、蛋白質、抗原、ペプチド、核酸、酵素、細胞など)または化学活性物質(例えば、単分子、高分子、無機支持体、蛍光体、薬物など)がリガンドの活性成分と共有結合、イオン結合、または疎水性結合を通じて結合されているナノ粒子を意味する。
【0060】
追加的な生物活性物質(biomolecules)の例は、抗体、蛋白質、抗原、ペプチド、核酸、酵素、酵素、細胞などであり、好ましくは、蛋白質、ペプチド、DNA、RNA、抗原、ハプテン(hapten)、アビジン(avidin)、ストレプタビジン(streptavidin)、ニュートラビジン(neutravidin)、プロテインA、プロテインG、レクチン(lectin)、セレクチン(selectin)、ホルモン、インターロイキン、インターフェロン、成長因子、腫瘍壊死因子、エンドトキシン、リンフォトキシン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性剤、加水分解酵素、酸化-還元酵素、分解酵素、異性化酵素と合成酵素などの生体活性酵素、酵素共因子及び酵素抑制剤などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0061】
前記化学活性物質は、多様な機能性単分子、高分子、無機物質、蛍光有機物質あるいは薬物などを含む。
【0062】
前記単分子の例は、抗癌剤、抗生剤、ビタミン、葉酸を含む薬物、脂肪酸、ステロイド、ホルモン、プリン、ピリミジン、単糖類及び二糖類などを含むが、これらに限定されるものではない。前記単分子は、側鎖に-COOH, -NH2, -SH, -SS-, -CONH2, -PO3H, -OPO4H2, -PO2(OR1)(OR2) (R1, R2 = CsHtNuOwSxPyXz, X = -F, -Cl, -Brまたは-I, 0≦s≦20, 0≦t≦2(s+u)+1, 0≦u≦2s, 0≦w≦2s, 0≦x≦2s, 0≦y≦2s, 0≦z≦2s), -SO3H, -OSO3H, -NO2, -CHO, -COSH, -COX, -COOCO-, -CORCO- (R = ClHm, 0≦l≦3, 0≦m≦2l+1), -COOR, -CN, -N3, -N2, -NROH (R = CsHtNuOwSxPyXz, X = -F, -Cl, -Brまたは-I, 0≦s≦20, 0≦t≦2(s+u)+1, 0≦u≦2s, 0≦w≦2s, 0≦x≦2s, 0≦y≦2s, 0≦z≦2s), -NR1NR2R3 (R1,R2,R3 = CsHtNuOwSxPyXz, X = -F, -Cl, -Brまたは-I, 0≦s≦20, 0≦t≦2(s+u)+1, 0≦u≦2s, 0≦w≦2s, 0≦x≦2s, 0≦y≦2s, 0≦z≦2s), -CONHNR1R2 (R1, R2 = CsHtNuOwSxPyXz, X = -F, -Cl, -Brまたは-I, 0≦s≦20, 0≦t≦2(s+u)+1, 0≦u≦2s, 0≦w≦2s, 0≦x≦2s, 0≦y≦2s, 0≦z≦2s), -NR1R2R3X' (R1, R2, R3 = CsHtNuOwSxPyXz, X = -F, -Cl, -Brまたは-I, X' = F-, Cl-, Br-またはI-, 0≦s≦20, 0≦t≦2(s+u)+1, 0≦u≦2s, 0≦w≦2s, 0≦x≦2s, 0≦y≦2s, 0≦z≦2s), -OH, -SCOCH3, -F, -Cl, -Br, -I, -SCN, -NCO, -OCN, -エポキシ、-ヒドラゾン, -アルケン及びアルキン群から選択される一つ以上の作用基を含むことを特徴とする。
【0063】
前記化学活性化学高分子の例は、デキストラン、カルボデキストラン、ポリサッカロイド、シクロデキストラン、プルラン、セルロース、デンプン、グリコゲン、カルボヒドレート、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類、ポリホスファゲン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸及びポリマレイン酸の誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リジン、ポリグリコリド、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルエーテルメタクリレート及びポリビニールピロリドンなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0064】
前記化学活性無機物質の例は、金属酸化物、金属カルコゲン化合物、無機セラミック物質、炭素物質、II/VI族、III/V族、及びIV族半導体基板、金属基板、またはこれの複合体などである。好ましくは、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、インジウムチンオキシド(ITO)、ナノチューブ、黒鉛、フラーレン、CdS, CdSe, CdTe, ZnO, ZnS, ZnSe, ZnTe, Si,GaAs, AlAs, Au, Pt, Ag, Cuなどがある。
【0065】
前記化学活性蛍光物質の例は、フルオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、ルシファーイエロー、B-フィトエリトリン、9-アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエロー VS、4-アセトアミド-4'-イソチオ-シアネートスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、7-ジエチルアミノ-3-(4'-イソチオシアトフェニル)-4-メチルクマリン、スクシニミジル-ピレンブチレート、4-アセトアミド-4'-イソチオ-シアネートスチルベン-2,2'-ジスルホン酸誘導体、LCTM-Red 640、LCTM-Red 705、Cy5、Cy5.5、レサミン、イソチオシアネート、ジエチルトリアミンペンタアセテート、1-ジメチルアミノナフチル-5-スルホネート、1-アニリノ-8-ナフタレン、2-p-トルイジニル-6-ナフタレン、3-フェニル-7-イソシアネートクマリン、9-イソチオシアネートアクリジン、アクリジンオレンジ、N-(p-(2-ベンゾオキサゾリル)フェニル)メレイミド、ベンゾオキサジアゾール、スチルベン及びピレンなど、蛍光有機物質を含むが、これらに限定されるものではない。
【0066】
本発明の造影剤を利用してPET及びMRイメージを同時に得ることができる。このような特徴は、PET及びMRイメージングの長所が全て得られ、結局、PETの優れた敏感度及び高い一時的解像度と、MRの高い空間解像度とが反映されたイメージを同時に得ることができる。
【0067】
本発明の二重方式PET/MRI造影剤は、非常に高い安定性を示す。本明細書において、用語‘安定性’は、造影剤粒子が分散媒に長期間均一に分散されている特性を意味する。好ましくは、〜10mM以上の濃度で安定性を示す。また好ましくは、本発明の造影剤は、〜0.25M塩水溶液において、pH5〜10で安定性を示す。このような優れた安定性は、本発明の造影剤の生体利用性(bioavailability)を向上させるだけではなく、製品開発及び保全にも非常に有利な特性である。
【0068】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の造影剤は、2nm-500μmの水力学的大きさ(hydrodynamic size)、より好ましくは、10nm-50μmの水力学的大きさを有する。
【0069】
本発明の二重方式PET/MRI造影剤は、人体の内部部位(internal region)に対するイメージングに非常に有用である。イメージング過程は、人間に造影剤の診断学的有効量を投与した後、人体の内部部位(組織)の可視的イメージを得るために、PETイメージング及びMRIイメージングを利用して人体をスキャニングすることによりなされる。
【0070】
特に、本発明の二重方式PET/MRI造影剤は、癌イメージングに有用である。
【0071】
本発明の二重方式PET/MRI造影剤は、薬剤学的に許容される単体と共に投与できる。薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。適した薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0072】
本発明の造影剤は、非経口方式で投与されることが好ましい。非経口投与をする場合、静脈内注入、筋肉内注入、関節内(intra-articular)注入、 滑膜内(intra-synovial)注入、 髄腔内注入、肝内(intrahepatic)注入、 病巣内(intralesional)注入または頭蓋内(intracranial)注入などで投与できる。
【0073】
本発明の造影剤の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因により様々に処方できる。用語‘診断学的有効量’は、人体のPET及びMRイメージを得るに十分な量を意味する。
【0074】
本発明の造影剤を利用してPETイメージ及びMRイメージを得る方法は、従来の方法によって行うことができる。例えば、PETイメージング方法及び装置は、米国特許第6,151,377号、第6,072,177号、第5,900,636号、第5,608,221号、第5,532,489号、第5,272,343号及び第5,103,098号に記載されており、前記特許文献は、本明細書に参照として取り込まれる。MRイメージング方法及び装置は、D. M. Kean and M. A.Smith, Magnetic Resonance Imaging: Principles and Applications(William and Wilkins, Baltimore 1986)、米国特許第6,151,377号、第6,144,202号、第6,128,522号、第6,127,825号、第6,121,775号、第6,119,032号、第6,115,446号、第6,111,410号及び第602,891号に開示されており、前記特許文献は、本明細書に参照として取り込まれる。
【0075】
本発明の二重方式PET/MRI造影剤は、多様な生体内器官または組織に適用できるが、好ましくは、リンパ系の造影に適用される。より好ましくは、本発明の二重方式PET/MRI造影剤は、センチネル・リンパ節(SLN:sentinel lymph node)の造影に利用される。
【0076】
下記の実施例で立証したように、本発明の造影剤は、イメージングが難しいと知られているセンチネル・リンパ節の二重イメージングを成功的に行うようにする。リンパ系は、感染に対する主要な防衛メカニズムであり、なお悪性腫瘍の転移において通路役割をする。したがって、SLNsの正確な局所位置化及び特性究明は、癌進行段階の決定及び手術切除及び治療部位の決定において重要である。
【0077】
本発明は、二重方式PET/MRイメージング機能をするための、ナノ粒子に基づいたプローブを成功的に提供して、前記プローブは、優れたコロイド安定性及び容易な結合能力を有する。本発明の二重造影剤を利用すると、生体内多様な組織及び/または器官に対するPET/MR融合イメージを明確に得ることができ、これは、PET及びMRイメージング技術の優れた相補的特性のためである。本発明のハイブリッドプローブは、細胞移動、各種疾病診断(例えば、癌診断)及び薬物運搬のような多様な生物学的イベントの非浸透高敏感性実時間イメージングに非常に有用である。
【発明の効果】
【0078】
本発明の二重方式造影剤は、磁性信号発生コアと陽電子放出同位元素が効果的に結合されて、安定的・高感度・高精密な二重方式PET/MRイメージング情報を高い正確度で提供して、水溶液内安定度が高く、細胞移動、各種疾病診断(例えば、癌診断)及び薬物運搬のような多様な生物学的イベントの非浸透高敏感性実時間イメージングに非常に有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】合成された磁性ナノ粒子の透過電子顕微鏡イメージである。aは、15nm Fe3O4、bは、15nm MnFe2O4であり、cは、6nm FePt、dは、15nm Gd2O3であって、全て均一な大きさ分布を有する(s<10%)。
【図2】多様な水溶性多作用基リガンドでコーティングされたMnFe2O4ナノ粒子である。
【図3】クロス結合された血清アルブミンコーティングされたMnFe2O4の水力学的大きさを測定したもので、図3の動的光散乱(dynamic light scattering)を測定した時、32nmの平均水力学的大きさが32nmであることを示す。図2のbは、大きさ排除カラム(size exclusion column) Sephacryl S-500(流速: 1ml/min)における停滞時間を多様な標準物質(サイログロブリン、フェリチン)と比較したもので、動的光散乱測定で得た水力学的大きさとほぼ等しい結果を示す。図2のcは、クロス結合された血清アルブミンコーティングされたMnFe2O4の多様なpHと多様な濃度におけるNaCl溶液における安定度を確認した写真である。ナノ粒子は、pH1〜11と〜1M NaCl溶液で安定していることを確認することができる。
【図4】MnFe2O4の磁気的性質を示した図である。MnFe2O4は、超常磁性を示し、飽和磁化が124emu/g(Mn+Fe)であることが分かる。
【図5】血清アルブミンでコーティングされたMnFe2O4の濃度(0.025, 0.050, 0.100, 0.200mM(Mn+Fe))に対するT2弛緩率を示すグラフであって、T2弛緩係数(r2)は、321.6mM-1s-1である。
【図6】124Iと結合されたMnFe2O4の標識収率を測定したradio TLC図である。region 1は、124Iと結合されたMnFe2O4であり、region 2は、不純物であって、その標識効率が90%であることが分かる。
【図7】124Iと結合されたMnFe2O4を多様な濃度(200, 100, 50, 25, 12,5mg/ml(Mn+Fe), 60, 30, 15, 7.5, 3.8 mCi/ml (124I))で稀釈した後に得たPET, MR映像である。124Iと結合されなかったMnFe2O4124Iイオンを同一濃度、同一放射能で稀釈した溶液と比較し、MRI、PET信号に変化がないことが分かる。
【図8】124Iと結合されたMnFe2O4を多様な放射能(20, 4, 0.8, 0.16, 0.032 mCi/ml(124I))で稀釈した後に得たPET映像であって、本発明で得た造影剤のPET信号敏感度が4mCi/ml(124I)で0.8mCi/ml(124I)であることが分かる。
【図9】MnFe2O4のMRI空間解像度を確認するために、外径が1.6mmに一定で、内径がそれぞれ、1、500、250、180、100mmである多様なチュービングを1%のアガロースを利用して固定したファントムに50mg/ml(Mn+Fe)濃度のSA-MnFe2O4溶液を満たした後(チュービング内)に得たMR映像である。対照群として、内径1mmチュービングに3次蒸留水を満たして、0.25mmの内径まで確実に区分されることを確認することができる。その以下のチューブは、MR機器の限界により、信号は検出されるが、チューブ内径の大きさよりさらに大きい大きさとして映像が得られた。
【図10】124Iと結合されたMnFe2O4、FePtとFe3O4を入れた模型をPETとMRで測定した図面である。合成された二重モードプローブは、PETとMR信号増加を示す。水(a)と比較し、PET映像において124Iと結合されたMnFe2O4(b)、FePt(c)、Fe3O4(d)が、強い癌信号を増加させて、MR映像でも、水(e)と比較し、124Iと結合されたMnFe2O4 (f), FePt (g), Fe3O4 (h)の入った溶液の癌信号が増加することが分かる。
【図11】124Iと結合されたMnFe2O4をマウスの右側前脚に注入して、1時間が経過した後、SLNに対するPET/MRイメージを示す。頭頂MR(a)及びPET(b)イメージにおいて、上腕リンパ節(brachial lymph node: LN, 白い円)が観察される。図cにおいて、LNの位置がPET/MR融合イメージにおいてよくマッチされることが分かる。MRI(d)及びPET(e)の横断イメージにおいて、二つのリンパ節、axillary LN(赤い円)及び上腕リンパ節(白い円)が検出されて、統合イメージ(f)で完全にオーバーラッピングされた。
【図12】図11において、実験したラットの上腕リンパ節を取り出した後、1%アガロースゲルに固定させた後、PET及びMRを測定した図である。124Iと結合されたMnFe2O4が注射された右側のリンパ節のみが強いPET及びMRシグナルを示し、図11に示したインビボイメージと一致する結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【0081】
実施例1:磁性ナノ粒子の合成
本実験で利用されたFe3O4とMnFe2O4ナノ粒子は、本発明者らの大韓民国特許第0604975号及びPCT/KR2004/003088に記載の方法によって合成した。ナノ粒子の前駆物質であるMCl2(M = Mn2+, Fe2+, Gd2+)(Aldrich, USA)とFe(acac)3(Aldrich, USA)を、オレイン酸(Aldrich, USA)及びオレイルアミン(Aldrich, USA)がキャッピング分子としてそれぞれ4mmol含有されたトリオクチルアミン(Aldrich, USA)溶媒に全て添加した。次いで、アルゴン下で200℃で反応して、再び300℃で反応した。このような方法で合成されたナノ粒子を過量のエタノールで沈殿させて、分離されたナノ粒子を再びトルエンで再分散させてコロイド溶液を得た。合成されたナノ粒子は、全て均一な大きさ分布を示した(s<10%)(図1a及びb、d)。
【0082】
本実験で利用されたFePtナノ粒子は、当業界に公知された方法で合成した(Shouheng Sun et al. Journal of the American Chemical Society, 126: 8394 (2004))。ナノ粒子の前駆物質である1mmolのFe(CO)5(Aldrich, USA)と0.5mmolのPt(acac)2(Aldrich, USA)を、オレイン酸(Aldrich, USA)及びオレイルアミン(Aldrich, USA)がキャッピング分子としてそれぞれ2mmol含有されたジオクチルエーテル(Aldrich, USA)溶媒に全て添加した。次いで、アルゴン下で200℃で反応して、再び300℃で反応した。このような方法で合成されたナノ粒子を過量のエタノールで沈殿させて、分離されたナノ粒子を再びトルエンで再分散させてコロイド溶液を得た。合成されたナノ粒子は、6nmの大きさを有して、均一な大きさ分布を示した(s<10%)(図1c)。
【0083】
実施例2:血清アルブミンコーティングされたナノ粒子の製造
血清アルブミン(serum albumin, SA)でコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造した。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000 rpm, 室温,5分間)で分離した。血清アルブミン(Aldrich, USA)10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、ラットのSAでコーティングされたナノ粒子を合成した。その後、Sephacryl S-300カラム(GE healthcare, USA)を利用して、反応しなかったSAを除去することにより、SAでコーティングされた純粋な水溶性ナノ粒子を得た。
【0084】
実施例3:免疫グロブリンGコーティングされたナノ粒子の製造
免疫グロブリンGでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。hIgG 10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、hIgGでコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかったhIgGを除去することにより、純粋なhIgGでコーティングされたナノ粒子を得ることができた。
【0085】
実施例4:ニュートラビジン(Ntv)でコーティングされたナノ粒子の製造
Ntvでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。Ntv 10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、Ntvでコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかったNtvを除去することにより、純粋なNtvでコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0086】
実施例5:血色素でコーティングされたナノ粒子の製造
血色素でコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。血色素 10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、血色素がコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかった血色素を除去することにより、純粋な血色素でコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0087】
実施例6:ヘパリンコーティングされたナノ粒子の製造
ヘパリンでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。ヘパリン 10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、ヘパリンがコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかったヘパリンを除去することにより、純粋なヘパリンでコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0088】
実施例7:デキストランコーティングされたナノ粒子の製造
デキストランでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。分子量10,000のデキストラン10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、デキストランがコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかったデキストランを除去することにより、純粋なデキストランでコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0089】
実施例8:ヒプロメロースコーティングされたナノ粒子の製造
ヒプロメロースでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。分子量80,000のヒプロメロース10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、ヒプロメロースでコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかったヒプロメロースを除去することにより、純粋なヒプロメロースでコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0090】
実施例9:カルボキシメチルセルロースコーティングされたナノ粒子の製造
カルボキシメチルセルロースでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。分子量90,000のカルボキシメチルセルロース10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、カルボキシメチルセルロースでコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかったカルボキシメチルセルロースを除去することにより、純粋なカルボキシメチルセルロースでコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0091】
実施例10:ポリビニールアルコール(polyvinyl alcohol)コーティングされたナノ粒子の製造
ポリビニールアルコールでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。得られた水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mLの1M NMe4OHブタノール溶液に分散させて5分間くらい均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。分子量10,000のPVA 10mgを1mL脱イオン水に溶解した後、前記沈殿物に混合し、PVAでコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかったPVAを除去することにより、純粋なPVAでコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0092】
実施例11:ポリエチレングリコール-ポリアクリル酸(PAA-PEG)コーティングされたナノ粒子の製造
PAA-PEGでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。
【0093】
まず、PAA-PEG高分子は、以下のような方法により製造された。分子量2,000のPAA 0.72gを10mlのジクロロメタン溶液に溶かした後、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)0.8gを添加した。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)1.1gを添加した後、24時間反応した。このように得られたNHSで修飾されたPAAをカラムクロマトグラフィーを通じて分離した後、溶媒を除去して白色固体を得た。前記白色固体0.8gをDMF溶液に溶かした後、2g NH2-PEG-OHを入れて、24時間反応し、50% PEGが置換されたPEG-PAAを得ることができた。
【0094】
水不溶性ナノ粒子(5mg)を1mlのPAA-PEGが溶解されているエタノール溶液(5mg/ml)に分散させて、10時間程度均一に混合した。その後、黒褐色の沈殿物が形成された。この沈殿物を遠心分離(2000rpm, 室温,5分間)で分離した。前記沈殿物を1mL脱イオン水に溶かして、PAA-PEGでコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephacryl S-300カラムを利用して、反応しなかったPAA-PEGを除去することにより、純粋なPAA-PEGでコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0095】
実施例12:ジメルカプトコハク酸(DMSA)コーティングされたナノ粒子の製造
DMSAでコーティングされたナノ粒子は、大韓民国特許第10-0604975号、第10-0652251号、第10-0713745号、PCT/KR2004/002509、PCT/KR2007/001001に記載の方法によって製造された。水不溶性ナノ粒子5mgを1mlのトルエンに溶解した後、前記トルエン溶液に20mgの2,3-メルカプトコハク酸(DMSA)が溶解された0.5mlのメタノールを添加した。約24時間が経過すると、黒褐色の沈殿物が形成されるが、この沈殿物を室温で5分間2000rpmで遠心分離して分離した後、1ml脱イオン水に再分散して、1M NaOHでpH 7〜8になるように滴定して、DMSAでコーティングされたナノ粒子を合成した。次いで、Sephadex G-25カラムを利用して、反応しなかったジメルカプトコハク酸を除去することにより、純粋なDMSAでコーティングされた水溶性ナノ粒子を得ることができた。
【0096】
実施例13:クロス結合血清アルブミンコーティングされたナノ粒子の製造
ナノ粒子を0.01mol PBS緩衝液(pH 7.2)1mLに分散させた後、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミドヒドロクロライド(50μmol)及びN-ヒドロキシスルホスクシニミド(5μmol)を前記溶液に添加して、室温で2時間反応を進行した。クロス結合されたナノ粒子は、DeSaltingカラム(GE healthcare, USA)で精製した。
【0097】
クロス連結された血清アルブミン(SA)でコーティングされたMnFe2O4ナノ粒子(SA-MnFe2O4)は、SAコーティングを含んで32nmの水力学的大きさ(hydrodynamic size)を有する(図3a、b)。SAでコーティングされたナノ粒子は、1M塩溶液でも安定性を示して、pH 1-11の範囲でも安定性を示した(図3c)。
【0098】
実施例14:クロス結合血清アルブミンコーティングされたナノ粒子の製造2
ナノ粒子を0.01mol PBS緩衝液(pH 7.2)1mLに分散させた後、2,2-エチレンジオキシビスエチレンアミンとN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミドヒドロクロライド(50μmol)及びN-ヒドロキシスルホスクシニミド(5μmol)を前記溶液に添加して、室温で2時間反応を進行した。クロス結合されたSA-MnFe2O4は、DeSaltingカラム(GE healthcare, USA)で精製した。
【0099】
実施例15:MnFe2O4の飽和磁化測定
合成されたMnFe2O4、Gd2O3を乾燥してパウダーにした後、SQUID (Superconducting Quantum Interference Devices)を通じて飽和磁化を測定した。MnFe2O4は、超常磁性を示して、飽和磁化124emu/g(Mn+Fe)を有する(図4)。
【0100】
実施例16:SA-MnFe2O4のT2弛緩率(r2)測定
クロス結合されたSA-MnFe2O4溶液を0.1, 1, 10及び100μg(Mn+Fe)/mlの濃度にして用意した。T2弛緩率(r2)を高速スピンエコーシーケンスで相異なるエコー時間を利用して測定した(MRI装置、繰り返し時間(TR) = 4000, エコー時間(TE) = 10, 30, 60, 90, 120, 150, 180, 210, 240, 270, 300, 350, 400, 450, 500, 550, 600, 650, 700, 750, 800, 850, 900, 950, 1400, 1500, 1800, and 1900 ms, FOV(field of view) = 9, マトリックス= 320 x 160, スライス厚 = 5 mm)。
【0101】
SA-MnFe2O4の測定されたr2は、321.6mM-1s-1であって(参照:図5)、この値は、MR造影強化効果を直接的に示すもので、従来の鉄酸化物に基づいた(superparamagnetic iron oxide)プローブより2〜3倍大きい値である(G. P. Krestinet al. Eur. Radiol. 11:2319(2001))。
【0102】
実施例17:124IによるSA-MnFe2O4のラベリング
IODO-BEADS(Pierce Biochemical Co., USA)を利用してクロス結合されたSA-MnFe2O4124I(t1/2 = 4.2日, β+ 23%)で放射能標識した。80μg MnFe2O4溶液及び1mCi 124Iを、活性化されたIODO-BEADと混合して15分間反応した。反応結果物を遠心分離(Microcon YM-50, AMICON, USA)して、非結合124Iを除去することにより、124I-SA-MnFe2O4を精製した。標識収率は、radio-TLCで決定した。精製後の放射能化学精製度は、92%以上であった(図6)。
【0103】
実施例18:124Iと結合されたMnFe2O4(124I-SA-MnFe2O4)のPET及びMRイメージング
124I-SA-MnFe2O4を多様な濃度(200, 100, 50, 25, 12,5mM(Mn+Fe)、放射能(activity): 60, 30, 15, 7.5, 3.8mCi/ml)で希釈させた溶液を用意して、同一濃度のSA-MnFe2O4と同一放射能の124Iを用意する。用意した溶液は、下記の条件でMRとPET映像を獲得する。
【0104】
3D fast Gradient Echo MRIシーケンスを利用してMRイメージングを行った(TR= 18.8 s, TE = 5.3ms, FOV = 5 x 5cm, マトリックス = 256 x 256, 厚さ= 3.0mm、実験回数 = 16)。小動物用microPET (R4げっ歯類モデル, Concorde MicrosystemsInc., USA)を利用して、30分間ダイナミックPETイメージングを得た。
【0105】
得られた映像から124I-SA-MnFe2O4は、SA-MnFe2O4124Iを比較し、二つの造影因子の結合によるMR信号とPET信号には変化がないことを確認することができた(図7)。
【0106】
実施例19:124I-SA-MnFe2O4のPET敏感度
124I-SA-MnFe2O4のPET敏感度を確認するために、20, 4, 0,8, 0,16, 0,032mCi/mlの放射能を有するように薄めた溶液を用意した後、実施例18と同様な条件でPET映像を獲得した。PET映像で4mCi/mlの溶液までは信号が確認されたが、0.8mCi/mlの溶液では信号が表れず、124I-SA-MnFe2O4のPET検出限界は、4mCi/mlから0.8mCi/mlの間の放射線活性度であることを確認した(図8)。
【0107】
実施例20:SA-MnFe2O4のMR空間解像度
SA-MnFe2O4のMR空間解像度を確認するために、外径が1.6mmに一定で、内径がそれぞれ1mm, 500, 250, 180, 100mmである多様なチュービングを配列して、1%のアガロースを利用して固定した。チュービングには、50mg/ml(Mn+Fe)濃度のSA-MnFe2O4溶液を満たし、対照群として内径1mmチュービングに3次蒸留水を満たした。MR映像は、1.5Tで実施例18と同一な条件で得られた。0.25mmの内径まで確実に区分されることを確認することができる。その以下のチューブは、MR機器の限界で、信号は検出されるが、0.25mmの内径まで確実に区分されることを確認することができる(図9)。
【0108】
実施例21:124Iと結合された磁性ナノ粒子のPET及びMRイメージング
SAでコーティングされたナノ粒子であるMnFe2O4、FePtそしてFe3O4にIODO-BEADSを利用して124Iを標識した。126μg、153μg、156μgのMnFe2O4、FePt及びFe3O4 溶液に214、103、212μCi 124Iをそれぞれ混合して、IODO-BEADSが添加された状況で振りながら15分間反応した。
【0109】
ラベリングされたSA-MnFe2O4とSA-Fe3O4、SA-FePtはPETスキャン後、MRイメージを得た。PETイメージは、OSEM方法で30分間信号を得た映像であり、MRの場合は、1.5Tで3D fast Gradient Echoシーケンスを利用してイメージングを行った(TR=8.0ms、TE=3.2ms、フリップ角(FA)=20、FOV=10、locs per slab=34、マトリックス =256x256、実験回数=8)。
【0110】
124Iで標識されたナノ粒子は、全て強いPET、MR信号を示して、その結果は図10に明示した。
【0111】
実施例22:124Iと結合されたSA-MnFe2O4を注射したマウスのPET及びMRイメージング
塩水(70μl)内の再構築された124I-SA-MnFe2O4(80μg, 110μCi)をSprague-Dawleyラット((株)中央実験動物、韓国、雄性、320g、12週齢)の右側前脚に皮下注入した。小動物用microPET(R4げっ歯類モデル、Concorde Microsystems Inc., USA)を利用して1時間ダイナミックPETイメージングを得た。microPET及びMRイメージングの間、イソフルランと酸素混合物を吸入させてラットを麻酔させた。PETスキャン直後、3D fast Gradient Echo MRIシーケンスを利用して、MRイメージングを行った(TR=8.0ms, TE=3.2 ms,フリップ角(FA)=20、バンド幅=31.25、FOV = 10 x 10 cm、locs per slab = 34、マトリックス= 256 x 256、フェーズ FOV = 1、実験回数=8)。
【0112】
124I-SA-MnFe2O4ナノプローブを注入して1時間後、ラットの解剖学的上部胴体が明確に観察されて、MRイメージの頭頂ビュー(coronal view)から幾つかの黒点が観察された(図11a)。PETイメージにおいて、二つの強い赤色点の中、上のものは前脚注入位置からのもので、他の赤色点は、上腕リンパ節(brachial lymph node: LN, 白い円)からのものである(図11b)。
【0113】
PETは、非常に敏感なイメージング技術であるが、解剖学的情報は提供しない。PETとMRイメージがオーバーラップされた場合にのみ、上腕リンパ節の正確な位置(白い円、図11c)及びラットの解剖学的形態を明確に得ることができる。本発明の二重PET/MRプローブは、横イメージからも見ることができて、上腕リンパ節の外にも、axillary LNが他のLNsと明確に区別された(図11d〜f)。MRイメージにおいて、上腕リンパ節は、下部右側で強い黒点として観察されたが(白い円、図11d)、axillary LNとしての薄い黒点の明確な指定は難しかった(赤い円、図11d)。
【0114】
相補的方式技術として、PETイメージから二つの点を観察することは非常に重要である(図11e)。二つの方式から得たイメージを共にオーバーラッピングすると、PETイメージの青色点はMR検出位置と正確に一致して、これは、青色点がaxillary LNであるということを示し、その反面、より強い赤/青色点は、上腕リンパ節由来のMR指定位置と一致した(図11f)。興味深くは、PETイメージの非常に低いバックグラウンドは、124I-SA-MnFe2O4二重プローブが生理学的条件で非常に安定して、124Iが124I-SA-MnFe2O4プローブから離隔されず、完全な124I-SA-MnFe2O4がリンパ管に沿って移動することを示すものである。
【0115】
実施例23:リンパ節の切除
上述のイメージング結果を検証するために、右側及び左側脇から上腕リンパ節を分離して、これをPETとMRIで再検査した。ナノ粒子を注入したラットのPET及びMRイメージを得た後、メチレンブルーダイを注入して、40分が経過した後、両側側面の上腕リンパ節(brachial lymph node)を切除した。切除したリンパ節を1%アガロースゲルで固定化した。PET及びMRイメージを上述の条件と同一にして得た。
【0116】
切除したリンパ節のPET-MRイメージは、上述したインビボイメージング結果と一致し、反対側上腕リンパ節と比較して、右側のリンパ節のみが強いPET及びMR信号を示した(図12)。
【0117】
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)磁性信号発生コア(signal generating core)と、(b)前記磁性信号発生コアの表面にコーティングされた水溶性多作用基リガンドと、(c)前記水溶性多作用基リガンドに結合された陽電子放出因子(positron emitting factor)とを含むハイブリッドなナノ粒子を含む二重方式(dual-modality)PET(positron emission tomography)/MRI(magnetic resonance imaging)造影剤。
【請求項2】
前記磁性信号発生コアは、金属、金属カルコゲン、金属プニコゲン、合金またはこれらを含有する多成分混成構造体であることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項3】
前記磁性信号発生コアは、常磁性あるいは超常磁性であることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項4】
前記超常磁性の磁性信号発生コアは、飽和磁化が20〜1000emu/gであることを特徴とする、請求項3に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項5】
前記超常磁性の磁性信号発生コアは、T2スピン弛緩係数(r2)が50〜3000mM-1sec-1であることを特徴とする、請求項3に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項6】
前記磁性信号発生コアは、スピン弛緩係数が300〜1000mM-1sec-1であることを特徴とする、請求項5に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項7】
前記金属のナノ粒子は、遷移金属、ランタン族またはアクチニウム族金属からなることを特徴とする、請求項2に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項8】
前記金属カルコゲンのナノ粒子のコアは、Maxy、Maxbyzナノ粒子(Ma及びMbは、それぞれ独立して、1族金属元素、2族金属元素、遷移金属元素、13族−15族元素の中の金属及び半金属元素、ランタン族及びアクチニウム族金属元素から1種以上選択される元素、Aは、O、S、Se、Te及びPoから選択される元素;0≦x≦32、0≦y≦32、0<z≦8)からなることを特徴とする、請求項2に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項9】
前記金属プニコゲンのナノ粒子のコアは、
cxy、Mcxdyzナノ粒子(Mc及びMdは、それぞれ独立して、1族金属元素、2族金属元素、遷移金属元素、13族−14族元素の中の金属及び半金属元素、ランタン族及びアクチニウム族金属元素から1種以上選択される元素、Aは、N、P、As、Sb及びBiから選択される元素;0≦x≦40、0≦y≦40、0<z≦8)からなることを特徴とする、請求項2に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項10】
前記合金のナノ粒子は、Mexfy(Me=Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuからなる群から選択される遷移金属元素、そしてGd、Tb、Dy、Ho、Sm、Nd及びErからなる群から選択されるランタン族及びアクチニウム族元素から1種以上選択される元素;Mf=1族金属元素、2族金属元素、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、ランタン族及びアクチニウム族元素からなる群から1種以上選択される金属;0<x≦20、0<y≦20)であることを特徴とする、請求項2に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項11】
前記磁性信号発生コアは、
(i)金属のナノ粒子M(M=Ba、Cr、Mn、Fe、Co、Zn、Nb、Mo、Zr、Te、W、Pd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、SmまたはNd)、
(ii)合金のナノ粒子Mexfy(Me及びMfは、それぞれ独立して、Co、Fe、Mn、Ni、Mo、Si、Al、Cu、Pt、Sm、B、Bi、Cu、Sn、Sb、Ga、Ge、Pd、In、Au、Ag、Yからなる群から1種以上選択される金属;0<x≦20、0≦y≦20)、
(iii)金属カルコゲンのナノ粒子の中、金属酸化物のナノ粒子Maxy(Ma=Ba、Cr、Co、Fe、Mn、Ni、Cu、Zn、Nb、Pd、Ag、Au、Mo、Si、Al、Pt、Sm、B、Bi、Sn、Sb、Ga、Ge、Pd、In、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Sm及びNdから1種以上選択される元素0<x≦16、0<y≦8)、または
(iv)その多成分混成構造体からなっていることを特徴とする、請求項2に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項12】
前記多成分混成構造体は、コア−シェル(core-shell)、多重コア−シェル、ヘテロダイマー (heterodimer)、トライマー(trimer)、マルチマー(multimer)、バーコードまたは共軸形棒(co-axial rod)の形態を有することを特徴とする、請求項2乃至11のいずれかに記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項13】
前記水溶性多作用基リガンドは、信号発生コアに結合する付着領域(LI)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項14】
前記付着領域は、信号発生コアの表面にイオン結合、共有結合、水素結合、疎水性結合、ファンデルワールス結合及び配位結合の一つ以上の結合により結合されることを特徴とする、請求項13に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項15】
前記水溶性多作用基リガンドは、活性成分を結合させるための活性成分結合領域(LII)、または水溶性多作用基リガンド間のクロス連結のためのクロス連結領域(LIII)、または前記活性成分結合領域(LII)とクロス連結領域(LIII)とを同時に含むことを特徴とする、請求項13に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項16】
前記付着領域(LI)は、-COOH, -NH2, -SH, -CONH2, -PO3H, -OPO3H2, -SO3H, -OSO3H,, -N3, -NR3OH (R=CnH2n+1, 0≦n≦16), -OH, -SS-, -NO2, -CHO, -COX (X = F, Cl, BrまたはI), -COOCO-, -CONH-, -CN及び炭素数2個以上の炭化水素からなる群から選択される作用基を含むことを特徴とする、請求項13に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項17】
前記活性成分結合領域(LII)は、-SH, -COOH, -CHO, -NH2, -OH, -PO3H, -OPO3H2, -SO3H, -OSO3H, -NR3+X- (R= CnHm, 0≦n≦16, 0≦m≦34, X = OH, ClまたはBr), NR4+X- (R= CnHm, 0≦n≦16, 0≦m≦34, X = OH, ClまたはBr), -N3, -SCOCH3, -SCN, -NCS, -NCO, -CN, -F, -Cl, -Br, -I, エポキシ基, -ONO2, -PO(OH)2, -C=NNH2, -HC=CH-及び-C≡C-からなる群から1種以上選択される作用基を含むことを特徴とする、請求項15に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項18】
前記クロス連結領域(LIII)は、-SH, -COOH, -CHO, -NH2, -OH, -PO3H, -OPO3H2, -SO3H, -OSO3H, Si-OH, Si(MeO)3, -NR3+X- (R= CnHm, 0≦n≦16, 0≦m≦34, X = OH, ClまたはBr), NR4+X- (R= CnHm, 0≦n≦16, 0≦m≦34, X = OH, ClまたはBr), -N3, -SCOCH3, -SCN, -NCS, -NCO, -CN, -F, -Cl, -Br, -I, エポキシ基, -ONO2, -PO(OH)2, -C=NNH2, -HC=CH-及び-C≡C-からなる群から選択される作用基を含むもので、化学的または熱的反応を通じてなされることを特徴とする、請求項15に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項19】
前記水溶性多作用基リガンドは、化学単分子、高分子、蛋白質、炭水化物、ペプチド、核酸、脂質または両親性リガンドであることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項20】
前記水溶性多作用基リガンドは、セルロース、デンプン、グリコゲン、カルボヒドレート、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、ポリホスファゲン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリマレイン酸、ポリマレイン酸の誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリエチレングリコール、ポリ−L−リジン、ポリグリコリド、ポリメチルメタクリレート及びポリビニールピロリドンからなる群から1種以上選択される高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項21】
前記水溶性多作用基有機リガンドは、グルコース、マンノース、フコース、N−アセチルグルコミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、果糖、キシロース、ソルビトール、スクロース、マルトース、グリコアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリスロース、エリトルロース、アラビノース、キシルロース、乳糖、トレハロース、メリボース、セロビオース、ラフィノース、メレジトース、マルトリオース、スターチオース、エストロドース、キシラン、アラバン、ヘキソサン、フルクタン、ガラクタン、マンナン、アガロペクチン、アルギン酸、カラギーナン、ヘミセルロース、ヒプロメロース、アミロース、デオキシアセトン、グリセリンアルデヒド、キチン、アガロース、デキストリン、リボース、リブロース、ガラクトース、カルボキシメチルセルロース及びグリコゲンデキストラン、カルボデキストラン、ポリサッカロイド、シクロデキストラン、プルラン、セルロース、デンプン及びグリコゲンからなる群から1種以上選択される炭水化物であることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項22】
前記水溶性多作用基リガンドは、-SH, -COOH, -NH2及び-OHからなる群から選択される作用基を側鎖(side chain)として含むアミノ酸残基を含むペプチドであることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項23】
前記水溶性多作用基リガンドは、アルブミン類、アビジン類、抗体類、二次抗体類、シトクロム、カゼイン、ミオシン、グリシニン、ケロチン、コラーゲン、球状蛋白質類及び軽蛋白質類からなる群から選択される蛋白質からなることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項24】
前記陽電子放出同位元素は、10C, 11C, 13O, 14O, 15O, 12N, 13N, 15F, 17F, 18F, 32Cl, 33Cl, 34Cl, 43Sc, 44Sc, 45Ti, 51Mn, 52Mn, 52Fe, 53Fe, 55Co, 56Co, 58Co, 61Cu, 62Cu, 62Zn, 63Zn, 64Cu,65Zn, 66Ga, 66Ge, 67Ge, 68Ga, 69Ge, 69As, 70As, 70Se, 71Se, 71As, 72As 73Se, 74Kr, 74Br, 75Br, 76Br, 77Br, 77Kr, 78Br, 78Rb, 79Rb, 79Kr ,81Rb, 82Rb, 84Rb, 84Zr, 85Y, 86Y, 87Y, 87Zr, 88Y, 89Zr, 92Tc, 93Tc, 94Tc, 95Tc, 95Ru, 95Rh, 96Rh, 97Rh, 98Rh, 99Rh, 100Rh, 101Ag, 102Ag, 102Rh, 103Ag, 104Ag, 105Ag, 106Ag, 108In, 109In, 110In, 115Sb, 116Sb, 117Sb, 115Te, 116Te, 117Te, 117I, 118I, 118Xe, 119Xe, 119I, 119Te, 120I, 120Xe, 121Xe, 121I, 122I, 123Xe, 124I, 126I, 128I, 129La, 130La, 131La, 132La, 133La, 135La, 136La, 140Sm, 141Sm, 142Sm, 144Gd, 145Gd, 145Eu, 146Gd, 146Eu, 147Eu, 147Gd, 148Eu, 150Eu, 190Au, 191Au, 192Au, 193Au, 193Tl, 194Tl, 194Au, 195Tl, 196Tl, 197Tl, 198Tl, 200Tl, 200Bi, 202Bi, 203Bi, 205Biまたは206Bi及びその誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項25】
前記二重方式PET/MRI造影剤は、癌の造影に利用されることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項26】
前記二重方式PET/MRI造影剤は、リンパ系の造影に利用されることを特徴とする、請求項1に記載の二重方式PET/MRI造影剤。
【請求項27】
前記二重方式PET/MRI造影剤は、センチネル・リンパ節(SLN:sentinel lymph node)の造影に利用されることを特徴とする、請求項26に記載の二重方式PET/MRI造影剤。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−519918(P2011−519918A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508426(P2011−508426)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002441
【国際公開番号】WO2009/136764
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(506263491)インダストリー−アカデミック コーペレイション ファウンデイション, ヨンセイ ユニバーシティ (18)
【出願人】(510295952)キョンプク ナショナル ユニバーシティ インダストリー−アカデミック コーオペレイション ファウンデイション (1)
【氏名又は名称原語表記】KYUNGPOOK NATIONAL UNIVERSITY INDUSTRY−ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】Kyungpook National University,Sangyeok3−Dong,Buk−gu,Daegu 702−701,Republic of Korea
【Fターム(参考)】