説明

二重突出解錠機構を有するスライド式ドアの錠

スライド式ドアパネルの左側及び右側からスライド式ドアパネルを解錠するように構成された解錠組立体を含む装置及びシステムである。スライド式ドアパネルの左側及び右側は、摺動方向において対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解錠機構(release mechanism)に関し、より具体的にはスライド式ドアなどのドアを解錠するように構成された解錠機構に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド式ドアは、商業ビル、空港等で一般的に用いられている。このようなスライド式ドアは、典型的には、軌道又はレール上を往復摺動運動するように適合された周囲フレーム(例えば金属又は木製)内に支持された1つ又はそれ以上のドアを有する。これらのスライド式ドアは、出入りに対して便利なアクセスを提供する。いくつかの用途では、無許可の立ち入りを防止するために、これらのスライド式ドアを錠により固定することが望ましい。他の用途においては、ドアが閉鎖され、施錠されたかどうかを判断するセンサをスライド式ドアに取り付け、ドアが閉鎖されていない及び/又は施錠されていない場合に警告信号を発することが望ましい。
【0003】
商業ビル、空港等で使用されるスライド式ドアは、典型的には、通常は電気モータによるモータ駆動式である。停電した場合、スライド式ドアは、閉鎖位置で施錠される。停電の場合に外に出るのを可能にするために、従来のスライド式ドアは、錠を外してスライド式ドアを開放できるようにする機械的解錠組立体を含む場合がある。
【0004】
しかしながら、従来の解錠機構は、ユーザがアクセスできない場合がある。例えば、ターミナル間を移動するエアポートシャトル列車は、列車のドアがターミナルのスライド式ドアと位置が合うように、本質的に、ターミナルの同じ位置に停車しなければならない。しかしながら、列車が、所望の位置の手前又はそこを通り過ぎて停車する場合がある。この状況では、解錠機構にアクセスできない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、スライド式パネルの第1の側及び第2の側からスライド式パネルを解錠するように構成された解錠組立体を含み、スライド式パネルの第1の側及び第2の側は摺動方向において対向している、装置に関連する。1つの態様において、解錠組立体は、第1のハンドルと、第1のハンドルに動作可能に取り付けられた第1の垂直リンク装置と、第2のハンドルと、第2のハンドルに動作可能に取り付けられた第2の垂直リンク装置と、第1及び第2のリンク装置に動作可能に取り付けられた水平リンク装置とを含む。別の態様において、第1の垂直リンク装置は、第1のハンドルカムにより第1のハンドルに動作可能に取り付けられ、第2の垂直リンク装置は、第2のハンドルカムにより第2のハンドルに動作可能に取り付けられ、第1の垂直リンク装置は、第1のリンク装置カムにより水平リンク装置に動作可能に取り付けられ、第2の垂直リンク装置は、第2のリンク装置カムにより水平リンク装置に動作可能に取り付けられる。
【0006】
別の態様において、解錠組立体は、パネルの第1の側及び第2の側から独立して動作するように構成される。別の態様において、解錠組立体は、パネルの第1の側に隣接する第1のスイッチと、パネルの第2の側に隣接する第2のスイッチと、第1及び第2のスイッチに動作可能に接続され、かつ、錠を解錠するようにさらに構成されたソレノイドとを含む。
【0007】
本発明の別の実施形態は、スライド式パネルと、スライド式パネルを施錠するように構成された、解錠機構を有する錠と、錠を、スライド式パネルの第1の側及び第2の側から解錠するように構成された解錠組立体とを含み、スライド式パネルの第1の側及び第2の側は摺動方向において対向している、システムに関連する。1つの態様において、システムは、複数のパネルを含む。別の態様において、各々のパネルは、解錠機構を有するように構成される。別の態様において、解錠組立体は、第1のハンドルと、第1のハンドルに動作可能に取り付けられた第1の垂直リンク装置と、第2のハンドルと、第2のハンドルに動作可能に取り付けられた第2の垂直リンク装置と、第1及び第2の垂直リンク装置に動作可能に取り付けられた水平リンク装置とを含む。
【0008】
別の態様において、第1の垂直リンク装置は、第1のハンドルカムにより第1のハンドルに動作可能に取り付けられ、第2の垂直リンク装置は第2のハンドルカムにより第2のハンドルに動作可能に取り付けられ、第1の垂直リンク装置は、第1のリンク装置カムにより水平リンク装置に動作可能に取り付けられ、第2の垂直リンク装置は、第2のリンク装置カムにより水平リンク装置に動作可能に取り付けられる。別の態様において、解錠組立体は、パネルの第1の側及び第2の側から独立して動作するように構成される。別の態様において、システムは、パネルが解錠されたかどうかを判断するための少なくとも1つのセンサを含む。別の態様において、システムは、パネルが開放位置にあるかどうかを判断するためのセンサをさらに含む。別の態様において、解錠組立体は、パネルの第1の側に隣接する第1のスイッチと、パネルの第2の側に隣接する第2のスイッチと、第1及び第2のスイッチに接続され、かつ、錠を解錠するようにさらに構成されたソレノイドとを含む。
【0009】
本発明の別の実施形態は、解錠機構を動作させることを含むスライド式パネルを手動で解錠する方法に関連し、この解錠組立体は、スライド式パネルの第1の側及び第2の側からスライド式パネルを解錠するよう構成され、スライド式パネルの第1の側及び第2の側は、摺動方向において対向している。1つの態様において、解錠機構を動作させることは、ハンドルの移動させることを含む。別の態様において、解錠機構を動作させることは、スイッチを作動させることを含む。別の態様において、解錠組立体は、パネルの第1の側に隣接する第1のハンドルと、パネルの第2の側に隣接する第2のハンドルと、独立して動作する第1及び第2のハンドルとを含む。別の態様において、方法は、錠が施錠位置又は解錠位置にある場合に警告信号を提供することをさらに含む。
【0010】
別の実施形態は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能な摺動可能パネルを含むドアパネル組立体に関連し、このパネルは、パネルの両側上に配置された第1及び第2の縁を有するフレームと、パネルを開放位置と閉鎖位置との間で動かすように配置された駆動モータと、パネルを閉鎖位置で施錠するように配置された錠と、錠を解錠するように構成され、第1の縁上の第1の手動係合可能な解錠アクチュエータと、第2の縁上の第2の手動係合可能解錠アクチュエータとを含む解錠組立体と、を含む。
【0011】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴及び特性、並びに動作の方法、構造体の関連要素の機能、部品の組み合わせ及び製造の経済性は、その全てが本明細書の部分を形成し、類似の参照番号が種々の図面における対応する部品を示す、添付図面を参照しながら以下の説明及び添付の特許請求の範囲を検討することで、より明らかになるであろう。随意的な実施形態において、本明細書での図面は、縮尺通りに描かれていると考えることができる。しかしながら、図面は、例証及び説明目的のためだけのものであり、本発明の限界を定めることを意図するものではないことが明確に理解される。明細書及び特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈により特に明記されていない限り、複数の指示対象も含む。
【0012】
本発明の特性と考えられる新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。しかしながら、本発明自体は、その構造及び動作の両方に関して、その付加的な目的及び利点と共に、添付図面と併せて読む場合に、本発明の好ましい実施形態の以下の説明により最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】プラットフォーム側から見た本発明の実施形態の側立面図である。
【図2】列車側から見た本発明の実施形態の側立面図である。
【図3】図1に示す実施形態のAと表記された部分の詳細図である。
【図4】より多くの詳細を示す図2の拡大図である。
【図5】図4に示す実施形態の概略図である。
【図6】図4のAと表記された部分の詳細図である。
【図7】図6を90度回転させた図である。
【図8】図6を180度回転させた図である。
【図9】図4のBと表記された部分の詳細図である。
【図10】図6に示した実施形態の部分のクローズアップを示す部分図である。
【図11】図8に示した実施形態の部分のクローズアップを示す部分図である。
【図12】図6に示した実施形態の部分のクローズアップを示す部分図である。
【図13】図7に示した実施形態の部分のクローズアップを示す部分図である。
【図14】本発明の実施形態によるハンドル組立体の斜視図である。
【図15】本発明の実施形態によるハンドル組立体の部分の斜視図である。
【図16】本発明の実施形態によるハンドル組立体の裏側の斜視図である。
【図17】本発明の実施形態の第1の側のリンク装置及びカムの斜視図である。
【図18】本発明の実施形態の第2の側のリンク装置及びカムの裏面からの概略図である。
【図19】図18に示す第2の側のリンク装置及びカムの前面からの斜視図である。
【図20】図4の左半分の詳細図である。
【図21】本発明の別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は、スライド式ドアを解錠するために用いることができる二重解錠装置を含む。代替的に、この二重解錠装置は、2つ又はそれ以上のスライド式ドアを解錠するために用いることができる。いくつかの実施形態において、二重解錠装置は、スライド式ドアを手動で解錠するように構成された2つのハンドルを含む。2つのハンドルは、スライド式ドアの対向する側の縁(stile)上に取り付け、スライド式ドアをドアの両側からの解錠を可能にすることができる。いくつかの実施形態において、二重解錠装置は、パネルが解錠されたかどうかを判断するように構成されたセンサを含む。二重解錠装置はまた、パネルが開放位置にあるかどうかを判断するためのセンサも含むこともできる。
【0015】
図1−図20は、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態による、二重解錠システム100及び二重解錠装置104(a)、104(b)を示す。図1は、プラットフォーム側から見た本発明の実施形態の側立面図であり、図2は、列車側から見た本発明の実施形態の側立面図である。図4は、図2に示した実施形態の拡大図であり、図5は、図2及び図4に示した実施形態の概略図である。図20は、図2及び図4に示した実施形態の左半分の詳細図である。「左」及び「右」という方向は、観察者が立っている場所及び/又は観察者が見ている方向によって決まるため(例えば、列車に乗って列車の外を見ているのに対して、プラットフォームにいて列車の中を見ている)、本出願においては、「左」及び「右」ではなく、無指向性の「第1」及び「第2」が用いられる。
【0016】
図4及び図5に示すように、システム100は、2つのスライド式ドアパネル102(a)、102(b)を含む。本実施形態において、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)は、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)が閉鎖位置にあるとき、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)の第2の側が実質的に互いに面一になるように構成される。各々のスライド式ドアパネル102(a)、102(b)の第2の側の反対側は、第1の側である。図4の矢印によって示されるように、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)は、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)を反対方向に、すなわち、互いから離れるように動かすことによって、開放位置に動かされる。図5の矢印によって示されるように、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)は、該スライド式ドアパネル102(a)、102(b)を互いに向けて動かすことによって、閉鎖位置に動かされる。
【0017】
図示したシステム100は、第1のスライド式ドアパネル102(a)及び第2のスライド式ドアパネル102(b)を含むことができる。代替的に、システム100は、1つのスライド式ドアパネル102(a)だけを含むこともできる。各々のスライド式ドアパネル102(a)、102(b)は、二重解錠装置104(a)、104(b)を含むことができる。典型的には、各々のスライド式ドアパネル102(a)、102(b)は、第1の縁103(a)及び第2の縁103(b)を含み、これらの縁103(a)、103(b)は、摺動方向において、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)の両側上に配置される。
【0018】
図示される二重解錠装置104(a)、102(b)の各々は、第1のハンドル組立体106(a)と第2のハンドル組立体106(b)を含む(図4、図5、図20)。第1及び第2のハンドル組立体106(a)、106(b)は、典型的には、対向する縁103(a)、103(b)上に取り付けられる(図2、図4及び図14)。第1及び第2のハンドル組立体106(a)、106(b)は、ねじ又はボルト、或いは接着剤、溶接又はろう付けのような他の好適な取り付け方法により、縁103(a)、103(b)に取り付けることができる。各々のハンドル組立体106(a)、106(b)は、ハウジング107(a)、107(b)(図14−図16)、ハンドル108(a)、108(b)、ハンドルカム110(a)、110(b)、及び戻りばね組立体116(a)、116(b)を含む。図示した実施形態において、ハンドル108(a)、108(b)は、ハウジング107(a)、107(b)のスロット109(a)、109(b)内に摺動可能に取り付けられる。さらに、ハウジング107(a)、107(b)は、2つの弧状スロット、上部弧状スロット112(u)及び下部弧状スロット112(l)を含む。ハンドルカム110(a)、110(b)は、円形であり、ハンドルカム110(a)、110(b)と関連したハウジング107(a)、107(b)との間に接続された中央ピン111(a)、(b)の周りに回転可能である。
【0019】
接続ロッド114(a)、114(b)が、ハンドルカム110(a)、110(b)に接続され、下部弧状スロット112(l)を通って突出する(図15)。接続ロッド114(a)、114(b)は、ハンドル108(a)、108(b)をハンドルカム110(a)、110(b)に接続する。接続ロッド114(a)、114(b)は、ハンドル108(a)、108(b)の後ろの細長いスロット113(a)、113(b)を介してハンドル108(a)、108(b)に接続される。接続ロッド114(a)、114(b)は、ハンドルカム110(a)、110(b)の回転軸の中心を外れて取り付けられる。接続ロッド114(a)、114(b)は、中心を外れて取り付けられるため、ハンドル108(a)、108(b)の摺動運動により、ハンドルカム110(a)、110(b)が回転する。接続ロッド114(a)、114(b)の運動は、下部弧状スロット112(l)の端部により制限され、それによりハンドルカム110(a)、110(b)の過回転が防止される。
【0020】
戻りばね組立体116(a)、116(b)は、戻りばね118(a)、118(b)、ばねアンカー119(a)、119(b)(図15)、案内ピン120(a)、120(b)、及びばねハウジング117(a)、117(b)を含む。戻りばね118(a)、118(b)、ばねアンカー119(a)、119(b)、及び案内ピン120(a)、120(b)は、ばねハウジング117(a)、117(b)内に収容される。ばねアンカー119(a)、119(b)は、ばねハウジング117(a)、117(b)の内面に固定することができる。ばねアンカー119(a)、119(b)は、ねじ又はボルト、或いは接着剤、溶接又はろう付け等の他の好適な取り付け手段により、ばねハウジング117(a)、117(b)に固定される。戻りばね118(a)、118(b)の1方の端部は、ばねアンカー119(a)、119(b)に固定され、一方、戻りばね118(a)、118(b)の他方の端部は、案内ピン120(a)、120(b)の第1の端部に固定される。図13及び図15に示すように、案内ピン120(a)、120(b)は、ハウジング107(a)、107(b)を通ってハンドル108(a)、108(b)内に延びる。戻りばね118(a)、118(b)の端部上に固定するのに加えて、案内ピン120(a)、120(b)は、ハンドル108(a)、108(b)が静止位置から動作位置へ摺動可能に動くときに、ハンドル108(a)、108(b)を案内するのを助ける。
【0021】
1つの実施形態において、戻りばね118(a)、118(b)は、ハンドル108(a)、108(b)が第1の静止位置にあるときに、戻りばね118(a)、118(b)が弛緩した状態にあるように構成される。ユーザがハンドルを第1の静止位置から離れるように第2の動作位置に摺動させると(図14−図16)、戻りばね118(a)、118(b)が伸ばされ、戻りばね118(a)、118(b)にエネルギーを加える。操作者によりハンドル108(a)、108(b)が解放されると、伸びた戻りばね118(a)、118(b)のエネルギーが、ハンドル108(a)、108(b)を元の静止位置に引き戻す。代替的に、ばね118(a)、118(b)は、圧縮状態で動作するように構成してもよい。つまり、静止位置から動作位置へハンドル108(a)、108(b)を摺動させるで、戻りばね118(a)、118(b)が押し潰され、戻りばね118(a)、118(b)に圧縮エネルギーを加える。ハンドル108(a)、108(b)が解放されると、戻りばね118(a)、118(b)の圧縮エネルギーにより、ハンドル108(a)、108(b)が静止位置に戻る。
【0022】
図4及び図5に示すように、各々の二重解錠装置104(a)、104(b)は、第1のハンドル組立体106(a)と第2のハンドル組立体106(b)とを含む。第1のハンドル組立体106(a)及び第2のハンドル組立体106(b)の各々は、それぞれ第1の垂直リンク装置122(a)及び第2の垂直リンク装置122(b)に動作可能に接続される(図6、図12、図16)。このように、第1のハンドル組立体106(a)又は第2のハンドル組立体106(b)のいずれかを操作して、以下により詳細に説明するようにスライド式ドアパネルを手動で解錠することができる。第1及び第2の垂直リンク装置122(a)、122(b)は、下部接続ロッド115(a)、115(b)(図16)を介して第1のハンドルカム110(a)及び第2のハンドルカム110(b)に接続される。図16に示すように、ハンドルカム110(a)、110(b)から後方に延びる下部接続ロッド115(a)、115(b)(ハンドルカム110(a)、110(b)から前方に延びる接続ロッド114(a)、114(b)とは対照的に)、細長いスロット121(a)、121(b)内に受け入れられることにより、垂直リンク装置122(a)、122(b)に接続される。具体的には、下部接続ロッド115(a)、115(b)は、カム110(a)、110(b)が回転すると、スロット121(a)、121(b)の下縁部125(a)、125(b)に係合し、リンク装置122(a)、122(b)を下方に引く。代替的に、下部接続ロッド115(a)、115(b)は、ボルト又はピンなどで置き換えてもよい。
【0023】
図4、図5、図10及び図11に示すように、第1及び第2の垂直リンク装置122(a)、122(b)の両端部は、第1のリンクカム124(a)及び第2のリンクカム124(b)に取り付けられる。接続ロッド、ボルト又はピン126(a)、126(b)を用いて、垂直リンク装置122(a)、122(b)をリンクカム124(a)、124(b)と接続する。ロッド、ボルト又はピン126(a)、126(b)は、回転するためリンクカム124(a)、124(b)に固定されるが、第1及び第2のリンク装置122(a)、122(b)の線形スロット123(a)、123(b)を通って延びる。また、プッシュロッド130も、第2のリンクカム124(b)に取り付けられる(図3、図4、図18)。プッシュロッド130は、第2のリンクカム124(b)の上方に突出するよう構成される。さらに、プッシュロッド130は、第2のリンクカム124(b)が回転すると、垂直方向に動くように構成される。つまり、プッシュロッド130は、第2のリンクカム124(b)の中央から所定の距離で、第2のリンクカム124(b)に固定される。以下に説明するように、この所定距離は、第2のリンクカム124(b)の回転度、及び、プッシュロッド130を持ち上げて錠組立体132を動作させるのに必要な距離の関数である。
【0024】
第1及び第2のリンクカム124(a)、124(b)は、水平リンク装置128を介して互いに動作可能に接続される(図4、図5、図17−図20)。水平リンク装置128への接続は、ロッド、ピン、ボルト又は他の好適なコネクタにより行うことができる。接続は、リンクカム124(a)、124(b)のいずれかを、関連したハンドル108(a)、108(b)を作動させることにより回転させた場合に、水平リンク装置128が往復運動するという意味で、動作可能である。このように、(ハンドル108(a)、108(b)のいずれかの作動から結果としてもたらされる)リンクカム124(a)、124(b)のいずれかの回転により、最終的にプッシュロッド130が垂直方向に動かされる。例えば、第1のリンクカム124(a)が反時計回りに回転させられると(「左回り」の実施形態の場合)、水平リンク装置128は、該水平リンク装置128が第1のリンクカム124(a)の上部に固定されているので、左に引かれる(図18を参照されたい)。水平リンク装置128は、第2のリンクカム124(b)の上部にも固定されているので(図19を参照されたい)、第2のリンクカム124(b)もまた、反時計回りに回転する。第2のリンクカム124(b)の反時計回りの回転により、第2のリンクカム124(b)の右下に取り付けられたプッシュロッド130が上向きに動く。
【0025】
錠組立体132は、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)の上方のフレーム136に取り付けられる(図3)。錠組立体132は、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)が閉鎖位置にあるときに、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)を施錠するように構成される。錠組立体132は、典型的には、作動時に錠組立体132を解錠し、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)が開放するのを可能にする、解錠ブロック134を含む。1つの実施形態において、解錠ブロック134は、プッシュロッド130によって移動させる(押す)ことにより作動される。解錠ブロック134の移動によりソレノイドが作動され、それにより錠組立体が分離され得る。1つの実施形態においては、錠組立体132は、その全体が引用により本明細書に組み入れられる米国特許出願第12/467,154号に開示され、示される装置の形態をとることができる。
【0026】
ここで二重解錠装置104(a)、102(b)の動作をより詳細に説明する。錠組立体132を手動で動作させ、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)を解錠するために、第1又は第2のハンドル組立体106(a)、106(b)のいずれかを独立して動作させることができる。つまり、第1又は第2のハンドル組立体106(a)、106(b)のいずれの動作も、他方のハンドル組立体106(a)、106(b)に影響を及ぼさない。
【0027】
図示した実施形態において、ハンドル組立体106(a)、106(b)は、ハンドル108(a)、108(b)を第1の静止位置から第2の解錠へ直線状に摺動させることにより操作される。ハンドル108(a)、108(b)をばね118(a)、118(b)のバイアスに対抗して(例えば、図15の左に)摺動させると、接続ロッド114(a)、114(b)が下部弧状スロット112(l)の円弧の周りで動く(図15)。接続ロッド114(a)、114(b)が下部弧状スロット112(l)の円弧の周りで動くとき、ハンドル108(a)、108(b)の裏面の細長いスロット113(a)、113(b)が、接続ロッド114(a)、114(b)の垂直方向の動きを収容できる。接続ロッド114(a)、114(b)は、ハンドルカム110(a)、110(b)の中心を外れて取り付け接続されているので、ハンドルカム110(a)、110(b)は、強制的に回転させられる。図示した実施形態において、第1及び第2のハンドルカム110(a)、110(b)の回転(図15に見られるような時計回り、図16に見られるような反時計回りの)は、第1又は第2の垂直リンク装置122(a)、122(b)を下向きに引き、第1又は第2のリンクカム124(a)、124(b)を反時計回りに回転させる。図示した実施形態は、「左回り」の構成である。つまり、図1の例(プラットフォーム側から見た図)に示すように、左側のスライド式ドアパネルに対して構成される。しかしながら、図2及び図4のように列車側から見た図では、回転方向は逆であり、時計回りが反時計回りとなり、その逆も同様であることに留意されたい。右側のスライド式ドアパネル102(a)については、第2の二重解錠装置104(b)の部品は第1の二重解錠装置104(a)と同じであるが、構成は左右逆である。つまり、カム110(a)、110(b)、124(a)、124(b)は、時計回りの方向に回転するよう構成される(図1、プラットフォーム側からの図)。しかしながら、回転方向は、リンク装置がカムのどちら側に接続されるかの関数であるため、回転方向を変更することができることに留意されたい。
【0028】
第1又は第2のリンクカム124(a)、124(b)いずれかの回転により、水平リンク装置が水平方向に動く。垂直リンク装置122(a)、122(b)は、線形スロット123(a)、123(b)を介してリンクカム124(a)、124(b)に接続されているので、第1又は第2のハンドル組立体106(a)、106(b)いずれの操作も、他のハンドル組立体106(a)、106(b)に影響を及ぼさない。例えば、第1のハンドル組立体106(a)が作動された場合、第1のリンクカム124(a)が反時計回りに回転させられ、(図17、図19及び図20に示すように)水平リンク装置128を左に引き、水平リンク装置は、第2のリンクカム124(b)を回転させるが、第2のリンクカム124(b)を水平リンク装置128に接続しているロッドは、単に、第2の垂直リンク装置122(b)の線形スロット123(b)内を下向きに摺動するだけである。従って、第2のハンドル組立体106(b)は作動されない。同様に、第2のハンドル組立体106(b)が作動された場合、水平リンク装置128の動きにより、第1のリンクカム124(a)を水平リンク装置128に接続しているロッドは、単に、第2の垂直リンク装置122(b)の線形スロット123(a)内を下向きに摺動するだけである。
【0029】
第1又は第2のハンドル108(a)、108(b)が作動されるか否かに関わらず、第2のリンクカム124(b)は回転し、プッシュロッド130を垂直方向に動かす。プッシュロッド130は、錠組立体132の解錠ブロック134と接触してこれを動かすように構成される。解錠ブロック134の動きにより、錠組立体132の解錠機構が作動され、錠組立体を解錠する。
【0030】
図9は、図6−図8及び図17−図19に示した実施形態と類似する別の実施形態を示す。しかしながら、図8に示す実施形態は、図5−図7に示した実施形態と左右逆である。すなわち、図5−図7に示す実施形態を、任意に「左回り」(右から左に摺動するハンドルを有する)として示す場合、図8に示す実施形態は「右回り」(左から右に摺動するハンドルを有する)として示すことができる。しかしながら、上述のように、「右回り」及び「左回り」は任意の呼び方であることに留意されたい。さらに、リンク装置がどのようにカムに接続されるかによって、カムは、時計回り又は反時計回りのいずれに回転するようにされ得る。加えて、上述のように、「時計回り」及び「反時計回り」もまた、見る者の立場、すなわちプラットフォーム側からか又は列車側からかによって決まる。
【0031】
図21は、本発明の代替的な実施形態を示す。この実施形態においては、ハンドル組立体106(a)、106(b)は、スイッチ142(a)、142(b)と置き換えられ、リンク装置122(a)、122(b)、128、及びカム110(a)、110(b)、124(a)、124(b)は、ソレノイド144と置き換えられている。スイッチを投入すると、信号がソレノイド144に送信される。通電されているソレノイド144は、プッシュロッド130を錠組立体132の解錠ブロック134内に駆動し、これにより、錠組立体がスライド式ドアパネル102(a)、102(b)を解錠する。スイッチ142とソレノイドは、バッテリにより通電することが好ましい。このように、停電の場合であっても、スライド式ドアパネル102(a)、102(b)を解錠することができる。
【0032】
本発明のいくつかの態様において、システムは、錠組立体が解錠位置又は施錠位置のどちらにあるかを判断するように構成された錠センサ138を含む。他の態様において、システムは、1つ又はそれ以上のスライド式ドアパネル102(a)、102(b)が開放位置にあるか又は閉鎖位置にあるかを判断するよう構成されたドア開放センサを含む。
【0033】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに基づいて、例示目的のために詳細に説明されたが、こうした詳細はその目的のためだけのものであること、及び、本発明は、開示した実施形態のみに限定されるものはなく、対照的に、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲内にある修正及び同等の構成を網羅することを意図することを理解すべきである。例えば、本発明は、可能な限り、いずれかの実施形態の1つ又はそれ以上の特徴を、いずれかの他の実施形態の1つ又はそれ以上の特徴と組み合わせ得ると考えることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0034】
100:二重解錠システム
102(a)、102(b):スライド式ドアパネル
103(a)、103(b):縁
104(a)、104(b):二重解錠装置
106(a)、106(b):ハンドル組立体
107(a)、107(b):ハウジング
108(a)、108(b):ハンドル
109(a)、109(b):スロット
110(a)、110(b):ハンドルカム
111(a)、(b):中央ピン
112(l):下部弧状スロット
112(u):上部弧状スロット
113(a)、113(b):細長いスロット
114(a)、114(b):接続ロッド
115(a)、115(b):下部接続ロッド
116(a)、116(b):戻りばね組立体
117(a)、117(b):ばねハウジング
118(a)、118(b):戻りばね
119(a)、119(b):ばねアンカー
120(a)、120(b):案内ピン
121(a)、121(b):スロット
122(a)、122(b):垂直リンク装置
123(a)、123(b):線形スロット
124(a)、124(b):リンクカム
125(a)、125(b):下縁部
126(a)、126(b):ロッド、ボルト又はピン
128:水平リンク装置
130:プッシュロッド
132:錠組立体
134:解錠ブロック
142(a)、142(b):スイッチ
144:ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド式ドアパネル用のロックを解錠するための装置であって、
前記スライド式ドアパネルを、それぞれ前記スライド式ドアパネルの左側及び右側から解錠するように構成され配置された第1及び第2の解錠アクチュエータを含む解錠組立体を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1の解錠アクチュエータは、第1のハンドルと、前記第1のハンドルに動作可能に取り付けられた第1の垂直リンク装置とを備え、前記第2の解錠アクチュエータは、第2のハンドルと、前記第2のハンドルに動作可能に取り付けられた第2の垂直リンク装置とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の垂直リンク装置は、第1のハンドルカムにより前記第1のハンドルに動作可能に取り付けられ、前記第2の垂直リンク装置は、第2のハンドルカムにより前記第2のハンドルに動作可能に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記解錠組立体は、前記パネルの前記左側又は前記右側から独立して動作されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記解錠組立体は、前記スライド式ドアパネルの前記第1の側に隣接する第1のスイッチと、前記スライド式ドアパネルの前記第2の側に隣接する第2のスイッチと、前記第1及び第2のスイッチに動作可能に接続され、かつ、錠を解錠するようにさらに構成されたソレノイドとを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1及び第2のリンク装置に動作可能に取り付けられた水平リンク装置をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の垂直リンク装置は、第1のリンクカムにより前記水平リンク装置に動作可能に取り付けられ、前記第2の垂直リンク装置は、第2のリンクカムにより前記水平リンク装置に動作可能に取り付けられることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
スライド式ドアパネルと、
前記スライド式ドアパネルを施錠するように構成された、解錠機構を有する錠と、
前記錠を、それぞれ前記スライド式ドアパネルの左側及び右側から解錠するように構成され配置された、第1及び第2の解錠アクチュエータを含む解錠組立体と、
と備えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記システムは、複数のスライド式ドアパネルを備えることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記スライド式ドアパネルの各々は、解錠機構を有するように構成されることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の解錠アクチュエータは、第1のハンドルと、前記第1のハンドルに動作可能に取り付けられた第1の垂直リンク装置とを備え、前記第2の解錠アクチュエータは、第2のハンドルと、前記第2のハンドルに動作可能に取り付けられた第2の垂直リンク装置とを備えることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の垂直リンク装置は、第1のハンドルカムにより前記第1のハンドルに動作可能に取り付けられ、前記第2の垂直リンク装置は、第2のハンドルカムにより前記第2のハンドルに動作可能に取り付けられることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記解錠組立体は、前記スライド式ドアパネルの前記左側及び前記右側とは独立して操作されるよう構成されることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記パネルが解錠されているかどうかを判断するよう構成された少なくとも1つのセンサをさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記パネルが開放位置にあるかどうかを判断するためのセンサをさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
前記解錠組立体は、前記パネルの前記左側に隣接する第1のスイッチと、前記パネルの前記右側に隣接する第2のスイッチと、前記第1及び第2のスイッチに動作可能に接続され、かつ、錠を解錠するようにさらに構成されたソレノイドとを備えることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1及び第2のリンク装置に動作可能に取り付けられた水平リンク装置をさらに備えることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の垂直リンク装置は、第1のリンクカムにより前記水平リンク装置に動作可能に取り付けられ、前記第2の垂直リンク装置は、第2のリンクカムにより前記水平リンク装置に動作可能に取り付けられることを特徴とする、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
閉鎖位置と開放位置との間を移動可能であり、パネルの両側上に配置された第1及び第2の縁を有するフレームを含む摺動可能パネルと、
前記パネルを前記開放位置と前記閉鎖位置との間で動かすように配置された駆動モータと、
前記パネルを前記閉鎖位置において施錠するように配置された錠と、
前記錠を解錠するように構成され、前記第1の縁上の第1の手動係合可能な解錠アクチュエータと、前記第2の縁上の第2の手動係合可能な解錠アクチュエータとを含む解錠組立体と、
を備えることを特徴とするドアパネルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2013−518193(P2013−518193A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550079(P2012−550079)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2011/021667
【国際公開番号】WO2011/090998
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512016021)スタンリー ブラック アンド デッカー インコーポレイテッド (1)