二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法
【課題】二重管構造輸送管における出口弁の開閉動作におけるアッシュカットを可及的に抑制しながら、出口弁に対する保守作業の著しい軽減、気流搬送システムの頻繁な操業停止の回避が図られるようする。
【解決手段】輸送管3は、プラグ状に内在する粉体を流動させながら目的地に向けて導く外管3Qと、プラグ状粉体を崩壊させる乱流を外管下半部に吹き出す噴出口を有して外管内部上方に配置された内管3Rと、からなる二重管構造である。圧縮機5から送られる加圧用気体でもって粉体1が装入された圧送用ベッセル2を加圧することにより、出口弁4の上流側圧力が大気圧から上昇して下流側圧力に到達した時点で出口弁4が開かれ、圧送用ベッセル2内の粉体を圧縮機5から引き続き送られる搬送用気体とともにこの出口弁4を介して輸送管3に送る。
【解決手段】輸送管3は、プラグ状に内在する粉体を流動させながら目的地に向けて導く外管3Qと、プラグ状粉体を崩壊させる乱流を外管下半部に吹き出す噴出口を有して外管内部上方に配置された内管3Rと、からなる二重管構造である。圧縮機5から送られる加圧用気体でもって粉体1が装入された圧送用ベッセル2を加圧することにより、出口弁4の上流側圧力が大気圧から上昇して下流側圧力に到達した時点で出口弁4が開かれ、圧送用ベッセル2内の粉体を圧縮機5から引き続き送られる搬送用気体とともにこの出口弁4を介して輸送管3に送る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法に係り、詳しくは、粉体を加圧するとともに流動化を図る圧送用ベッセルと固気混合状態で気流搬送する二重管構造の輸送管との間に設けられた出口弁を開閉制御する際、出口弁でのアッシュカットの発生を回避して弁体や弁座の損耗を軽減できるようにした弁開閉制御法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体を気流搬送する場合、粉体を加圧するベッセルには目的地まで延びる輸送管が接続される。ベッセルと輸送管との間には、ベッセルに粉体を装入しているときやベッセル加圧中は閉止されるが、気流搬送するときは開かれる出口弁が設けられる。例えば特許文献1には、その出口弁において気流摩擦によるアッシュカットが発生するのを防止できるようにした粉体の圧送装置が記載されている。
【0003】
アッシュカットとは、例えば図12の(b)に示すように、加圧により所定圧力に達した圧送用ベッセル71から出口弁72を介して輸送管73に粉体74を送る際、開弁動作初期の開きの小さい時点で高速通過する気流75が粉体を伴って弁体や弁座に摺り疵をつけることをいう。この現象は、後に図12の(d)で説明するように、搬送圧力を受けている固気混合体の搬送を停止させる際、出口弁72の閉弁終了間近の狭められた通路から粉体を伴った気流76が高速で通過するときも発生する。出口弁におけるアッシュカットは弁体72aや弁座72b等の取替えまでの期間の長期化を阻み、粉体気流搬送システムの頻繁な操業停止を余儀なくさせる。なお、図12は輸送管73として二重管構造が採用されている場合であり、その全図は弁体と弁座における摺り疵の発生メカニズムを、加圧中、所定圧力下、搬送圧力下、搬送停止直前の順で表している。
【0004】
このようにしてできる摺り疵は、弁体と弁座の摺動面にすでに生じた表面疵をたどる気流によって助長されることもある。図13の(b)に示すごとく、圧送用ベッセル71の加圧中に弁体摺動面には粉体74aが付着する。同図の(c)のように、弁体72aが回転すると弁座との間に粉体を噛みこませて摺動面に疵を生じさせる。この表面疵が成長すると、同図の(B)のように、ベッセル加圧中の段階であるにもかかわらず粉体を伴う気流77が疵をたどって噴出する。この気流摩擦により摺り疵が成長したり、甚だしくは噴出粉体が弁箱に穴を明ける事態に到る。なお、この図13の全図は、輸送管として単管78が採用されている場合での弁体と弁座における表面疵の発生メカニズム(左側)と、表面疵のある弁体と弁座における漏出空気の発生メカニズム(右側)を加圧開始、加圧中、所定圧力下、搬送圧力下の順で示している。(A),(B),(C)の(D)に相当するものは(a),(b),(c),(d)のうちの(d)と同じ形態となるので省かれている。
【0005】
図13における漏出空気による気流摩擦現象を抑える手立てが、上記の特許文献1に記載されている。それは、図14に示すように、出口弁72の輸送管側に補助弁79を追加したものとなっている。図13の(c)のように粉体74aを付着させた弁体72aが回転すれば、弁体や弁座に表面疵80,81(図14の(a)を参照)がつくことは避けられないが、そのような状態にある出口弁72から圧送用ベッセル加圧時に図14の(c)のように輸送管側に漏れるエア82を、同図の(d)のように補助弁79で遮断しておこうとする。遮断により加圧中に出口弁前後の圧力差を少なくしておくことができ、加圧中に表面疵をたどる気流はなくなり、大きな摺り疵に成長させることは抑えられるという。なお、図14の全図は、補助弁79を加えて図13における問題解決を図っている操業順を表している。
【0006】
ちなみに、輸送を開始するとき出口弁が開かれるが、補助弁を閉じたままでは輸送管に粉体を送ることができないので、図14の(e)のように、出口弁72を開く少し前に補助弁79が開かれる。出口弁と補助弁との間に閉じ込められている大部分はエア82であって補助弁79の弁体に粉体が付着することはないから、補助弁では疵を発生させることがない。補助弁が開けば出口弁との間の圧力は低下しようとするが、同図の(f)のように出口弁72が直後に開かれるので、粉体は疑似等圧域を穏やかに通過する。
【0007】
図14の(g)の次の段階としての輸送後は図示されていないが、圧送用ベッセルも弁通路も輸送管も空になるから、いずれの弁の閉止操作にも粉体が絡むことはない。したがって、図12の(d)のような現象も生じるはずがない。ちなみに、図14の(h)のごとく出口弁72を開いてから補助弁79を開くというようにしていないのは、補助弁を図13の(b)の状態に置いてしまうのを避けるためである。
【0008】
ところで、図13や図14では、粉体を送り出す間に輸送管内の搬送圧力は徐々に低下して、輸送管の長さにもよるが数分後、早ければ数十秒後に大気圧となる。もちろん、圧送用ベッセルから粉体の全てが排出されれば圧縮エアを送出していた圧縮機(図13の(a)中の符号83を参照)は停止され、圧送用ベッセルも次回の粉体装入時もしくはそれに先だって大気圧となる。ところが、輸送管が特許文献2に記載されたような二重管構造である場合、後で詳しく述べるように、圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送は停止されるが、輸送管内では粉体がプラグ状をなして幾つもの粉体の小山となっているため数分程度で大気圧に落ちることはない。
【0009】
図12の(b)に示す開弁当初の気流摩擦を回避するためのみならず、同図の(d)に示すごとく搬送圧力を受けて流れる固気混合体を停止させようとする閉弁間際の気流摩擦を回避する意味で、図14に倣って図12のシステムの出口弁の下流に、出口弁前後の等圧化を図るための補助弁を導入したとする。図示しないが、図12の(d)に補助弁を付加した場合を想定すると、以下の事態が生じる。圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく圧縮機を止めると、圧送用ベッセルでは気流搬送停止時点の圧力が保たれるために、補助弁を出口弁より先に閉めると、気流摩擦が補助弁において発生してしまう。
【0010】
一方、出口弁を補助弁より先に閉めると、補助弁通路とその前後に残留する粉体が、搬送用空気の遮断状態にある補助弁の以後の弁体回転を妨げる。その結果、補助弁の導入は設備費の高騰を招くだけでなく、輸送管が二重管構造であり、圧送用ベッセル内に粉体を残して気流搬送を停止させるという操業形態において、出口弁前後の等圧化を図ろうとする補助弁の導入は意義のないものであることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−171752号公報
【特許文献2】実公平7−48577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、粉体を輸送するにあたり単管構造の輸送管を採用する場合の補助弁の導入思想では解決し得ない二重管構造輸送管における出口弁の開閉動作を、気流摩擦を可及的に抑制しながら可能にして、出口弁に対する保守作業の著しい軽減、気流搬送システムの頻繁な操業停止の回避が図られるようにした二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、粉体を加圧するとともに流動化を図る圧送用ベッセルと固気混合状態で気流搬送する輸送管との間に出口弁を配し、その出口弁を開閉制御する方法に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、輸送管3は、プラグ状に内在する粉体を流動させながら目的地に向けて導く外管3Qと、プラグ状粉体1(図2を参照)を崩壊させる乱流を外管下半部に吹き出す噴出口52を有して外管内部上方に配置された内管3Rと、からなる二重管構造である。圧縮機5から送られる加圧用気体でもって粉体1が装入された圧送用ベッセル2を加圧することにより、出口弁4の上流側圧力が大気圧から上昇し始めても、二重管構造の輸送管3に連なっているゆえに大気圧より高い状態にある下流側圧力に到達するまでは出口弁4を閉じたままにしておく(図3のt=t1 におけるベッセル2Aとその周りの装置を参照)。上流側圧力が下流側圧力に到達した時点もしくは予め設定された許容幅の圧力を加えた圧力を超えた時点で出口弁4が開かれ(図4のt=t2 におけるベッセル2Aを参照)、圧送用ベッセル2内の粉体1を圧縮機5から異なる経路をたどり引き続き送られる搬送用気体とともにこの出口弁4を介して輸送管3に送る(図4のt=t3 におけるベッセル2Aを参照)。その継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル2内の粉体1が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセル2に搬送用気体を送るのを停止し(図5のt=t10におけるベッセル2Aを参照)、それと同時もしくはその直後に出口弁4を閉じるようにする(図5のt=t11におけるベッセル2Aを参照)ことである。
【0014】
加圧用気体は圧縮機5からの経路のうち絞り弁8が介在されている経路をたどって圧送用ベッセル2に送られ、搬送用気体は絞り弁が介在されない経路をたどって圧送用ベッセル2に送られるものであり、加圧用気体による圧送用ベッセル2の加圧は出口弁4が開かれた時点で停止され、その後は風量の大きい搬送用気体が圧送用ベッセル2に送られるようにしておく。
【0015】
出口弁4が開かれるのを、出口弁上流側圧力が下流側圧力に到達した時点とすることに代えてベッセル加圧終了時とし、この加圧終了時の圧力を気流搬送停止のための搬送終了時輸送管内圧に等しくするとしてもよい。
【0016】
出口弁4と輸送管3との間にミキシングチャンバ6を介装させ、出口弁4を通過した固気混合体にミキシングチャンバ6でさらに気体を混入させるとよい。
【0017】
ミキシングチャンバ6へは、輸送管3において気流搬送されているとき、圧送用ベッセル2内で昇圧した搬送用気体が粉体とともに供給され、この固気混合体に、搬送用気体を送っている圧縮機5の下流側で分岐されて圧送用ベッセル2を迂回する通路を介したバイパス流40も、そのミキシングチャンバ6で混入させるようにする。
【0018】
ミキシングチャンバ6へは、輸送管3において気流搬送が開始されるまで、圧送用ベッセル2に搬送用気体を送っていた圧縮機5の下流側で分岐されて圧送用ベッセル2を迂回する通路を介したバイパス流40が、圧送用ベッセル2における前回の気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしておく。
【0019】
圧送用ベッセルは2基が並列に設けられて輸送管3にはそれぞれが直列に接続され、出口弁4は各圧送用ベッセル2と輸送管3との間に配され、両出口弁4A,4Bが同時に開かれることはないようにしておく。
【0020】
2基の圧送用ベッセル2A,2Bに送られる加圧用気体ならびに粉体の搬送用気体は、圧縮機下流の分岐管を介して両圧送用ベッセル2A,2Bへ交互に送られるようにしておくこともできる。
【0021】
各出口弁4A,4Bと輸送管3との間にミキシングチャンバ6A,6Bを介装させ、出口弁4A,4Bを通過した固気混合体にさらにミキシングチャンバ6A,6Bで気体を混入させるようにしておくとよい。
【0022】
輸送管3において気流搬送されているとき、開いている出口弁4Aに接続されているミキシングチャンバ6Aに圧送用ベッセル2A内で昇圧した搬送用気体が粉体とともに供給され、この固気混合体に、搬送用気体を送る圧縮機5からその圧送用ベッセル2Aを迂回する通路を介したバイパス流40がミキシングチャンバ6Aで混入されるようにもしておく。
【0023】
一方の圧送用ベッセル2Aにおいて気流搬送を終了した時点では、その圧送用ベッセル2Aに接続されたミキシングチャンバ6Aへのバイパス流40は止められ、直後に、加圧が開始された他方の圧送用ベッセル2Bに接続されたミキシングチャンバ6Bに、輸送管3において気流搬送が開始されるまで、すなわち、圧送用ベッセルが排気中、粉体装入中およびその後の加圧中にあって、輸送管において気流搬送されていないとき、一方の圧送用ベッセル2Aに搬送用気体を送っていた圧縮機5から他方の圧送用ベッセル2Bを迂回する通路を介したバイパス流40bが、一方の圧送用ベッセル2Bにおける気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしておく。
【0024】
図9に示すように、上流側圧力は圧送用ベッセルに気体を送る管路に介装された圧力ゲージ7Uにより、下流側圧力はミキシングチャンバ6に気体を混入する管路に介装された圧力ゲージ7Dにより検出されるようにしておくとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、輸送管はプラグ状粉体を崩壊させながら搬送する二重管構造とし、圧送用ベッセルの加圧により出口弁の上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で、もしくは少し超えた時点で出口弁を開くようにしているので、出口弁の前後はほぼ等圧状態におかれ、その開弁動作初期の開きの小さい時点でも粉体を伴う気流が高速で通過することはなくなる。これによって、気流摩擦による出口弁の弁体や弁座におけるアッシュカットの発生は可及的に排除される。
【0026】
また、継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセルに搬送用気体を送るのを停止し、それと同時もしくはその直後に出口弁を閉じるようにしているから、このときも出口弁の前後はほぼ等圧状態におかれ、閉弁終了間近の狭められた通路から粉体を伴った気流が高速で通過することもなくなる。したがって、出口弁の損耗は著しく軽減され、長期の操業に備えた耐久性を持たせることができ、粉体搬送設備の定期点検間隔も長くして、メンテナンス性の高い輸送システムを実現する。
【0027】
絞り弁が介在されている経路をたどって送られる気体による圧送用ベッセルの加圧は出口弁が開かれた時点で停止され、その後は絞り弁が介在されない経路をたどって送られる大きい風量で気流搬送するようにしておけば、出口弁を開くと直ちに固気混合体の状態にある粉体を輸送管に速やかに送り出すことができる。出口弁を開けたにもかかわらず気流搬送が開始するまで加圧用空気によるベッセル加圧が続くというエネルギや時間の浪費は回避される。
【0028】
出口弁は圧送用ベッセル加圧終了時に開くものとし、この加圧終了時の圧力を気流搬送停止のための搬送終了時輸送管内圧としておくなら、搬送終了時のベッセル内圧にほとんど等しい輸送管内圧が出口弁下流側圧力となることから、輸送管内圧の低下が進んでいないうちは出口弁を開くのをベッセル加圧終了時としても、結局は出口弁上流側圧力が搬送終了時のベッセル内圧となったときと等価となる。アッシュカットは免れ、出口弁の交換頻度も減らすことができる。
【0029】
出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバを介装させれば、出口弁を通過した固気混合体にさらに気体を混入させることができ、輸送管に送られる粉体の流動性をより一層高めることができ、気流搬送の円滑化がなされる。
【0030】
輸送管において気流搬送されているとき、ミキシングチャンバに供給される気体を、圧送用ベッセル内へ昇圧した搬送用気体を送出している圧縮機の下流側で分岐されて圧送用ベッセルを迂回したバイパス流としておけば、ミキシングチャンバへは同圧気体が混入されることになり、粉体の浮遊性を高めて流動化を一層助長する。
【0031】
輸送管において気流搬送が開始されるまでは、ミキシングチャンバに、圧送用ベッセル内へ昇圧した搬送用気体を送出していた圧縮機の下流側で分岐されて圧送用ベッセルを迂回したバイパス流が、圧送用ベッセルにおける前回の気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしておくと、輸送管内圧に等しいかそれに近い圧力の気体によりミキシングチャンバ内で粉体の流動化を果たさせることができる。それのみならず、出口弁の下流側圧力を前回の気流搬送終了時圧もしくはそれに近い圧力に保っておくことができる。この圧力は輸送管内に及ぶから、滞留するプラグに刺激を与えて、搬送再開時の気流順応性を高めておくことができる。
【0032】
圧送用ベッセルは2基が並列に設けられて輸送管にはそれぞれが直列に接続され、出口弁は各圧送用ベッセルと輸送管との間に配され、両出口弁が同時に開かれることのないようにしておけば、一方の圧送用ベッセルからの粉体を気流搬送している間に、他方の圧送用ベッセルでの排気と粉体装入をしておくことができる。したがって、いずれの圧送用ベッセルからの気流搬送も、加圧時間帯を除き間断なく行われ、準連続的な操業による効率よい搬送が可能となる。
【0033】
2基の圧送用ベッセルに送られる加圧用気体ならびに粉体の搬送用気体は、圧縮機下流の分岐管を介して両圧送用ベッセルへ交互に送られるようになっているなら、一方の圧送用ベッセルへの加圧と気流搬送に引き続いて他方の圧送用ベッセルでの加圧と気流搬送が可能となり、1基の圧縮機による効率よい連続運転をすることができる。
【0034】
各出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバを介装させれば、出口弁を通過した固気混合体ごとにさらなる気体を混入させることができ、それぞれの圧送用ベッセルから輸送管に送られる粉体の流動性が一層高まり、気流搬送の円滑化が図られる。
【0035】
輸送管において気流搬送されているとき、ミキシングチャンバに供給される気体を、そのミキシングチャンバが接続されている圧送用ベッセル内へ昇圧した搬送用気体を送出している圧縮機の下流側で分岐されてその圧送用ベッセルを迂回したバイパス流としておけば、ミキシングチャンバでは同圧気体の混入となり、粉体の浮遊性を高めた流動が実現される。
【0036】
一方の圧送用ベッセルにおいて気流搬送を終了した時点では、その圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバへのバイパス流が止められ、直後に、加圧が開始された他方の圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバには、輸送管において気流搬送が開始されるまで、一方の圧送用ベッセルに搬送用気体を送っていた圧縮機から他方の圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流を、一方の圧送用ベッセルにおける気流搬送終了時圧でもって供給するなら、一方の圧送用ベッセルにおける気流搬送終了時圧となっている輸送管に、他方の圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバを介して引続き同圧の気流を供給し、輸送管における圧力降下を抑制しておくことができる。
【0037】
圧送用ベッセルの基数にかかわらずミキシングチャンバが設けられている場合、出口弁の上流側圧力は圧送用ベッセルに気体を送る管路に介装された圧力ゲージにより、下流側圧力はミキシングチャンバに気体を混入する管路に介装された圧力ゲージにより検出できるようにしておくなら、出口弁の上流側圧力と下流側圧力とを粉体の存在しない部位で検出することになり、圧力の検出精度が高められる。したがって、出口弁を開くタイミングを上流側圧力が下流側圧力に到達した時点に合わせやすくなり、気流摩擦の発生防止を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法を実施する搬送システム図。
【図2】二重管式気流搬送用の輸送管の構造模式図。
【図3】2基の圧送用ベッセルが並列に設置され、いずれもの時刻t=t0 =0における操業および時刻t=t1 における操業の運転図。
【図4】2基いずれもの時刻t=t2 における操業および時刻t=t3 における操業の運転図。
【図5】2基いずれもの時刻t=t10における操業および時刻t=t11における操業の運転図。
【図6】2基の圧送用ベッセルならびに輸送管における圧力の変遷と処理過程を表したタイムチャート。
【図7】ミキシングチャンバを備えない場合の搬送システム図。
【図8】ミキシングチャンバを備えない場合の2基の圧送用ベッセルならびに輸送管における圧力の変遷と処理過程を表したタイムチャート。
【図9】圧力センサの代替設置箇所を示す搬送システム図。
【図10】圧送用ベッセルが1基の場合であって、(a)はミキシングチャンバが設けられているシステム図、(b)はミキシングチャンバが備えられない場合の搬送システム図。
【図11】圧送用ベッセルが1基の場合の圧力の変遷と処理過程を表したタイムチャート。
【図12】輸送管として二重管構造が採用されている場合での弁体と弁座における摺り疵の発生メカニズムを、加圧中、所定圧力下、搬送圧力下、搬送停止直前の順で表した工程図。
【図13】輸送管として単管が採用されている場合での弁体と弁座における表面疵の発生メカニズムと、表面疵のある弁体と弁座における気体の漏出メカニズムを、加圧開始およびその後の加圧中、所定圧力下、搬送圧力下の順で示した工程図。
【図14】補助弁を加えて図13における工程で発生する問題の解決を図る操業手順を表した工程図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明に係る二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法を、その実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。これは、粉体を加圧するとともに流動化を図る圧送用ベッセルと固気混合状態で気流搬送する輸送管との間に出口弁を配し、その出口弁を開閉するときの制御に関するものであるが、この制御が適用される二重管式気流搬送システムの構成から述べる。なお、気流をなす気体は通常空気であるが、窒素等の不活性ガスを使用することもある。以下では、気体が空気であるとして表記する。
【0040】
図1に示す搬送システムは、粉体1を加圧するとともに流動化を図る2基の圧送用ベッセル2、固気混合状態で気流搬送するため目的地まで延びる一本の輸送管3、圧送用ベッセル2と輸送管3との間にあってベッセルに粉体を装入するときやベッセルを加圧するときは閉じられるが、気流搬送するときは開かれる出口弁4が主たる構成をなす。圧送用ベッセルの2基2A,2Bは並列に設けられ、輸送管3に対してはそれぞれが直列に接続されている。その輸送管3は後で詳しく述べる二重管構造をなし、輸送管の上流側に配置される2つの出口弁4A,4Bは同時に開かれることがないように作動される。
【0041】
圧送用ベッセル2を加圧するための加圧用空気を送りこんだり、気流搬送を開始したベッセルに搬送用空気を送るため、2基の圧送用ベッセル2A,2Bの上流側には一基の圧縮機5が設置される。これは圧送用ベッセルごとに設けられてもよいが、本システムにおいては一基としている。そして、それを容積型としておけば、吐出容量は一定であるもののシステムの圧力変化に追従した作動をさせやすく、二重管に圧縮空気を送り出すうえで都合がよい。なお、各出口弁4A,4Bと輸送管3との間には、それぞれの圧送用ベッセルに対応してミキシングチャンバ6が介装される。
【0042】
このように、各出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバを介装させると、出口弁4を通過した固気混合体ごとにさらなる空気を混入させることができ、それぞれの圧送用ベッセルから輸送管に送られる粉体の流動性がより一層高まり、気流搬送の円滑化が図られる。
【0043】
配管系について述べると、まず、圧縮機5の下流には第1分岐管11が配置される。これは、圧縮機5からの管路21を、両圧送用ベッセル2A,2Bに空気をそれぞれ送る管路22と、ベッセルを迂回してそれぞれのミキシングチャンバ6A,6Bに流動助成用空気を送る管路23とに分岐する。いま、圧送用ベッセル2Aの系統に着目すれば、ベッセルに向かう管路22は第2分岐管12によって、ベッセルに搬送用空気を送る管路24と加圧用空気を送る管路25とに分岐されている。なお、管路25は後で述べるように、他の圧送用ベッセル2Bに空気を送る通路としても機能する。搬送用空気を送る管路24には第3分岐管13が設けられ、ベッセル内へ搬送用空気を送る管路26と、粉体払出箱37に搬送用空気を送る管路27とに分岐させている。
【0044】
上記した第2分岐管12で分岐された管路25には、第4分岐管14を介して加圧用空気を圧送用ベッセル2Aに送る管路28と後で述べるオンオフ弁43bが介在される管路29が設けられる。管路28の下流側に設けられた第5分岐管15から延びる一方の管路29にはシリンダ弁などのオンオフ弁42が介在されており、第2分岐管12を通過した圧縮空気は、管路29か、オンオフ弁43が介在された前記した管路24のいずれか一方に流されるように、オンオフ弁42,43が同時に開弁されることはない。オンオフ弁42の下流側がオンオフ弁43の下流側に接続されているが、搬送用空気も加圧用空気も、ベッセル頂のノズル10mおよびベッセル底のノズル10nに空気を送る管路30の重複を避けるべく、第1合流管18が設けられる。第1分岐管11を出た後の管路23には第6分岐管16があり、オンオフ弁44を経てミキシングチャンバ6Aに到る管路31が形成される。粉体払出箱37とミキシングチャンバ6Aとをつなぐ管路32には出口弁4Aが配置され、それを挟んで出口弁上流側圧力センサ7u、出口弁下流側圧力センサ7dが設置される。ミキシングチャンバ6Aから下流の管路33は第2合流管19を経て輸送管3に接続される。
【0045】
一方、圧送用ベッセル2Bに着目すれば、第4分岐管14に連なる管路28には第5分岐管15を介した管路34が枝設され、前記したオンオフ弁42と同趣旨のオンオフ弁42bが介在される。第4分岐管14から下流の管路29には前記したオンオフ弁43と同趣旨のオンオフ弁43bが配置される。したがって、第4分岐管14を通過した空気は、管路34か管路29のいずれか一方に流されるように、オンオフ弁42b,43bが同時に開弁されることはない。圧送用ベッセル2Bにおけるその他については同じ符号に「b」なる文字を付して説明を略す。なお、第4分岐管14と第5分岐管15の間に設けられた弁8はベッセル加圧中の急激な圧力上昇を抑えるための絞り弁である。これは加圧中の蓄圧の脈動も軽減する。
【0046】
上記したオンオフ弁42はオンオフ弁42bと同時に開かれることはない。オンオフ弁43はオンオフ弁43bと同時に開かれることはない。また、オンオフ弁44もオンオフ弁44bと同時に開かれることはない。一方の圧送用ベッセルに加圧用空気や搬送用空気を送っている間は他方の圧送用ベッセルに加圧用空気や搬送用空気を送ることはなく、一方のミキシングチャンバに流動助成用空気を送るときは、他方のミキシングチャンバに流動助成用空気を送ることはない。このような弁操作によって一方の圧送用ベッセルがとる操業形態と他方の圧送用ベッセルがとる操業形態とは重複しないように調整される。
【0047】
すなわち、2基の圧送用ベッセル2A,2Bへの搬送用空気は、圧縮機下流の第2分岐管12の下流のオンオフ弁43またはオンオフ弁43bを介して交互に送られるようになっている。また、第5分岐管15の下流のオンオフ弁42,42bを介して両圧送用ベッセルへ加圧用空気を交互に送ることができるようにしている。ちなみに、管路23に配置された弁9は、圧縮機5から送り出された圧縮空気の圧送用ベッセル2に送る量とミキシングチャンバ6へ送る量の比率を決める蝶弁である。ミキシングチャンバ6へは、輸送管3において気流搬送されているとき、圧送用ベッセル2内で昇圧した搬送用空気が粉体とともに出口弁4を介して供給され、この固気混合体に、搬送用空気を送る圧縮機からその圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流40がミキシングチャンバで混入されるようにしている。バイパス流は搬送用空気と同圧であり、ミキシングチャンバでは粉体の浮遊性を高めた流動が実現される。
【0048】
圧送用ベッセルは2基が並列に設けられて輸送管にはそれぞれが直列に接続され、出口弁4は各圧送用ベッセルと輸送管との間に配され、両出口弁4が同時に開かれることのないようにしているから、後述するように、一方の圧送用ベッセルからの粉体を気流搬送している間に、他方の圧送用ベッセルの排気と粉体装入とをしておくことができる。したがって、一方の圧送用ベッセルからの気流搬送も他方のベッセルからも、それぞれの加圧時間帯を除き間断なく行われ、準連続的な操業による効率よい搬送が可能となる。
【0049】
2基の圧送用ベッセルに送られる加圧用空気ならびに粉体の搬送用空気は、圧縮機下流の分岐管12,14を介して両ベッセルへ交互に送られるので、一方の圧送用ベッセルへの加圧と気流搬送に引き続いて他方の圧送用ベッセルでの加圧と気流搬送が可能となり、1基の圧縮機による効率よい連続運転が可能となる。
【0050】
上で触れた輸送管3について述べる。輸送管は、図2に拡大して示すが、プラグ状に内在する粉体1を流動させながら目的地に向けて導く外管3Qと、プラグ状粉体を崩壊させる激しい乱流51を外管下半部に吹き出す噴出口52を有して外管内部上方に配置された内管3Rとからなる二重管構造である。噴出口52は目的地に至るまで数多くが一定間隔で配置されており、内管3Rから外管3Qに噴出する乱気流によって外管内の粉体は噴出口ごとに流動化が高められる。このような輸送形態によれば、粉体の嵩密度は高くしておくことができるので大量輸送が可能である一方、速度が低くて済むから管摩耗を可及的に抑えて、すなわちエネルギの節約を図りながら長距離搬送が可能となる。この点では、単管による気流搬送システムとは原理的にも発現効果もおおいに異なるものである。
【0051】
これはすでに述べた特許文献2に紹介されているので詳細は割愛するが、内管の噴出口52を上流側と下流側に分けるようにディスク53が配置され、それにはオリフィスをなす筒状孔54が設けられている。そのために、外管で閉塞が起こると空気はせき止められる結果内管に流れ込んで流速が上がる。内管圧力も上昇することになり、ディスク53に衝突したところで高速の乱気流を発生させ、これが次に遭遇する閉塞を崩してしまう。長い管内ではこれが随所で起こるので、至る所でプラグの生成と崩壊を繰り返して結局は例えば3,000メートルに及ぶ輸送管であっても、粉体を連続して搬送することができる。なお、輸送管内に粉体を残したまま搬送を停止しても、輸送再開時に供給された搬送用空気は停止前と同じように挙動できるので、輸送管内の滞留物除去工程が必要でなくなる利点がある。この滞留物の残存は管内圧力の大きな低下を抑制することにも寄与するので、却って本発明の適用を可能にする環境を醸成していると言える。
【0052】
ここで、二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法を述べる前に、圧送用ベッセルの加圧、搬送、搬送停止、排気、粉体受入れの一連の操業過程を述べる。圧送用ベッセル2Aでは既に粉体1が所定量装入されており、図3の時刻t=t0 =0の状態にあって、まさに加圧を開始しようとする時点にある(この時点を、以後の時間経過の原点と扱う)。図1を参照して、圧縮機5からの圧縮空気は管路21,22,25,28,29,30をたどり、蝶弁56を介した圧縮空気はベッセル底の攪拌用ノズル10nに空気を送って粉体を流動化させ、蝶弁57を介した圧縮空気はベッセル頂の圧気供給用ノズル10mに空気を送って粉体を加圧する(図3のt=t1 の状態)。いずれのノズルからの圧縮空気によっても、ベッセル内は大気圧から例えば0.3MPaに向けて昇圧される。この時点ではオンオフ弁43が閉じられ、オンオフ弁42が開かれている。そして、図4のt=t2 の状態のときに、上流側圧力が下流側圧力に到達したとの検出があると、出口弁4Aは開かれる。
【0053】
圧送用ベッセル2Aはミキシングチャンバ6Aを経て輸送管3に通じることになり、図1のオンオフ弁43からの圧縮空気すなわち搬送用空気によってベッセル内の粉体は粉体払出箱37から管路32に押し出される。管路27からも搬送用空気が供給されれば、粉体払出箱37での粉体流動化は強められる。固気混合体は出口弁4Aを経てミキシングチャンバ6Aに到り、気流搬送が始まる。管路21,23,31を経たバイパス流40がミキシングチャンバ6Aで固気混合体の流動助成用空気となってさらなる流動化が図られる。輸送管3に至った固気混合体の挙動は図2に表したとおりで、図4のt=t3 の状態で目的地まで輸送される。
【0054】
搬送が進むと圧送用ベッセル2の粉体1は少なくなるが、ベッセルが空になるまで搬送用空気が送られるのでなく、圧送用ベッセル2Aの粉体が所定残存量となった図5のt=t10の時点で図1のオンオフ弁43が閉止され、図5のt=t11の状態にされる。図はすでに粉体を装入しているが、それに先立ち、出口弁4Aは閉じられる。ちなみに、t=t10やt=t11の状態は、他方の圧送用ベッセル2Bにおいては一方の圧送用ベッセル2Aの図3におけるt=t0 およびt=t1 に対応した状態にある。それゆえ、圧送用ベッセル2Bの動作は図4のt=t2 やt=t3 のときの図においてベッセルを交換して眺めれば、その挙動は理解される。
【0055】
図5のt=t11の状態以後の圧送用ベッセル2Aにおける動作を、念のため記載する。まず、図示しない排気弁を開くなどして残存圧を消失させてベッセル内を大気圧としておき、ベッセル頂の受入弁59を開いて粉体を図示しないサイロから投入する。例えば1分程度で粉体は図3のt=t0 における左のベッセル2Aのように納められる。気流搬送の所要時間は粉体装入時間より長いので、気流搬送終了時点から他の圧送用ベッセル2Bの加圧を始めることができる。図1に示したオンオフ弁43が閉められた時点でオンオフ弁43bを直ちに開くことができるから、圧縮機5の運転も途切れさせることがない。
【0056】
言うまでもないが、気流搬送は連続しているわけでない。圧送用ベッセル2Aが粉体装入もしくはその後の待機状態にあるとき、圧送用ベッセル2Bではまだ加圧中ということはありうるからである。気流搬送を停止させたときはミキシングチャンバ6Aに圧縮空気を供給する理由がないから、オンオフ弁44は閉止される。しかし、直ちにオンオフ弁44bが開かれ、一方の圧送用ベッセルが加圧中にあるとき粉体が停滞しがちな輸送管3に圧縮空気がミキシングチャンバ6Bを介して供給され、粉体に刺激を与え、少しではあるが移動させることにも寄与する。
【0057】
ここで、搬送終了間近のベッセルとミキシングチャンバにおける風量について簡単に触れる。圧送用ベッセルで所定量近くまで粉体が減れば、出口弁上流側圧力センサ7uが指す圧力は出口弁下流側圧力センサ7dが指す圧力に近づく。なお、実際には後述するセンサ7U,7D(図9を参照)が代用されるとしても、ここでの説明では出口弁4を挟む2つの圧力センサ7u,7dで説明する。
【0058】
ベッセル2からの粉体1の搬送を始めたときには、粉体払出箱37での圧損が大きいゆえに搬送開始に高い圧力が掛かり、粉体の減少とスムーズな流出によって粉体払出箱37での圧損も減少するので、ベッセル内圧は輸送管内圧と連動するよう徐々に低下する。このことからして、ベッセル内粉体残存量は、出口弁下流側圧が輸送管での気流搬送中の定常圧に極めて近づいたときと決めておけばよいことが分かる。逆に言えば、ベッセル内圧が輸送管内で立つ圧力と等しくなったときには、ベッセル内の粉体は所定残存量となっていることになる。なお、出口弁からの搬送用空気が途絶えてもミキシングチャンバから輸送管へはこの圧力が作用するので、輸送管内圧を大気圧に急落させることはない。輸送管の中に従前の気流搬送によって搬送しきれなかった粉体がプラグ状をなすなどして残存していることも急激な圧力低下を抑えている。
【0059】
以上を念頭におけば、図6の圧力変遷チャートが理解しやすくなる。上段は圧送用ベッセル2A内の圧力変動、中段に圧送用ベッセル2Bの圧力変動、下段は輸送管3における圧力変動を表す。t0 からt10を経てt20までが1サイクルである。t0 からt1 まで大気圧であったベッセル2Aに圧縮空気が送られ、t=t2 までは、例えば0.3MPaまでの加圧工程となっている。t=t3 までには、気流搬送させるに十分な内圧例えば0.5MPaまでに高められるが(粉体払出箱37で閉塞ぎみとなるのを解消するため)、t=t2 の時点で出口弁4Aが開かれ、輸送はすでに始まっている。なお、t10までが気流搬送している輸送工程である。圧送用ベッセル2Aがこのような挙動をとっている間、圧送用ベッセル2Bは、排気、粉体受入れ状態にあって、中段のごとく同時間帯において大気圧である。
【0060】
ベッセルの圧力は粉体払出箱37での圧損増大による上昇と、輸送管3の内圧に追従する降下が起こる。t10からは上で述べたようにミキシングチャンバ6を介した混入があるから、圧力がほぼそのままに保たれる。輸送管3は運転当初は当然に大気圧であるが(図の左下部を参照)、ベッセル2A,2Bでの挙動が繰り返されるかぎり、大気圧に落ちることはない。なお、t10からt20まではベッセルでの操業形態が逆になっているだけである。ちなみに、t0 からt1 まで僅かであるが時間帯を設けている。搬送用空気を停止させてから少し時間をおいて排気するとともに他の圧送用ベッセルの加圧を開始させるとしているからである。しかし、搬送用空気を停止してから直ちに排気するとともに他の圧送用ベッセルの加圧を開始しても差し支えはなく、したがって、t1 −t0 =0(時間0の意)やt11−t10=0とすることに問題はない。図6には表れていないが出口弁を閉めるタイミングも、t10でもt11でもよい。図3、図4、図5の下半部には、図6の変遷をその都度のタイミングで表し、圧力変動の把握を容易にしている。
【0061】
ここで、出口弁開閉制御について述べる。圧縮機5から管路29等を経て送られる加圧用空気でもって、粉体の装入された圧送用ベッセル2Aが加圧される。これによって出口弁4Aの上流側圧力が大気圧から上昇し始めても、二重管構造の輸送管3に連なっているゆえに大気圧より高い状態にある下流側圧力に到達するまでは出口弁4Aを閉じたままにしておく。上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で出口弁4Aは開かれる。圧送用ベッセル内の粉体は、圧縮機から異なる経路26等をたどって引き続き送られる搬送用空気とともに出口弁4Aを介して輸送管3に送られる。その継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル2A内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセル2Aに送っていた搬送用空気を停止する。それと同時もしくはその直後に出口弁4Aを閉める。
【0062】
以上が、出口弁の一連の動作である。なお、上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で出口弁4Aを開くようにしているが、これは既に述べたアッシュカットの発生を回避しようとするものであるから、上流側圧力が下流側圧力に予め設定された許容幅の圧力を加えた圧力を超えないうちならば、例えば上流側圧力pu が輸送管内圧pd +設定許容幅圧力α(0<α≪pd )に到達したときもしくはその以前に出口弁4を開くようにしておいてもよい。設定許容幅圧力αはアッシュカットの発生のない程度の差幅として見込まれた圧力であるからである。
【0063】
今述べたことの少々の繰り返しとなるが、図6に基づいてさらに述べる。圧縮機からは加圧用空気が送り出され、粉体が装入された圧送用ベッセル2Aが加圧される。これは図6の上段の符号A01の領域に相当する。この加圧により、出口弁の上流側圧力が大気圧から上昇し始めても、二重管構造の輸送管に連なっているゆえに大気圧より高い状態にある下流側圧力に到達するまでは出口弁が閉じたままにされる。このとき、輸送管においては図6の下段の符号AT の領域にあって後述するように例えば0.3MPaを保っている。その加圧により、出口弁の上流側の圧力センサが検出した圧力が下流側の圧力センサが検出した圧力に到達すれば、すなわち、上流側の圧力センサが0.3MPaを検出すれば、出口弁が開かれる。
【0064】
この出口弁4を介しては、圧送用ベッセル2内の粉体1が圧縮機5から異なる経路26等をたどり引き続き圧送用ベッセルに送られる搬送用空気とともに輸送管に送られる。このときは図6の上段はB01の領域、下段はBT の領域にある。搬送用空気が圧送用ベッセルに入り始めると粉体は送り出されるが、そのときミキシングチャンバ6Aで混入されるバイパス流40の風量が減らされるなどして、圧送用ベッセル内では圧力が高められる。送り出される粉体の量はベッセル内圧に応じて自ずと制御される。
【0065】
一方、粉体の残存量が少なくなれば、輸送管内圧と連動するようにベッセル内圧も低下する。B01の領域では圧力が0.3MPaから例えば0.5MPaまで上昇した後に下降している。この圧力の変動は輸送管3と同じであり、結果的にはBT の領域でもベッセル内圧と同じ圧力の上昇および下降を呈している。継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル2A内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセルに搬送用空気を送るのが停止される。それと同時もしくはその直後に出口弁4が閉じられる。
【0066】
この動作の後の圧送用ベッセル2Aは排気・粉体受入れ状態に入るので、大気圧に落ちる。その間の圧送用ベッセル2Bは領域A11やB11の操業となっている(t11〜t20)。なお、t0 〜t10の時間帯にミキシングチャンバ6Aへ供給されていたバイパス流は、時刻t10からミキシングチャンバ6Bへの供給となるようにオンオフ弁44,44bによって切り替えられ、時刻t10のときのベッセル内圧(粉体が所定残存量となった時点でのベッセル内圧)に等しい圧力のバイパス流40bが供給され、輸送管内圧は減圧の進行が早くないかぎりほぼ0.3MPaに保たれる。
【0067】
このようにしているのは、一方の圧送用ベッセル2Aにおいて気流搬送を終了した時点では、その圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバ6Aへのバイパス流40が止められ、直後に、加圧が開始された他方の圧送用ベッセル2Bに接続されたミキシングチャンバ6Bに、輸送管3において気流搬送が開始されるまで、一方の圧送用ベッセル2Aに搬送用空気を送っていた圧縮機5から他方の圧送用ベッセル2Bを迂回する管路31bを介したバイパス流40bが、一方の圧送用ベッセル2Aにおける気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしているからである。これによれば、一方の圧送用ベッセル2Aにおける気流搬送終了時圧となっている輸送管3に、他方の圧送用ベッセル2Bに接続されたミキシングチャンバ6Bを介して引続き同圧の気流を供給して、輸送管3における圧力降下が抑制される。
【0068】
このような操業形態にあって、加圧用空気は圧縮機5からの経路のうち絞り弁8が介在されている管路28をたどって圧送用ベッセル2Aに送られる。一方、搬送用空気は絞り弁が介在されない管路24等をたどって圧送用ベッセル2Aに送られる。そして、加圧用空気による圧送用ベッセルの加圧は出口弁4が開かれた時点で停止され、その後は風量の大きい搬送用空気が圧送用ベッセルに送られるようにしている。出口弁4を開くと直ちに気流搬送が開始される。出口弁を開いたにもかかわらず気流搬送を開始するまで加圧用空気によるベッセルの加圧が続くという事態を排除しており、エネルギ消費量や操業時間の節減が図られる。なお、ベッセルの加圧を停止するのは、すなわち出口弁を開くのは次のようにしてもよい。
【0069】
出口弁4はベッセル加圧終了時に開くこととし、この加圧終了時の圧力を気流搬送停止のための搬送終了時ベッセル内圧、例えば0.3MPaに等しくしておけばよい。搬送終了時のベッセル内圧にほとんど等しい輸送管内圧が出口弁下流側圧力となるから、すなわち、輸送管内圧の低下が進んでいないうちは、輸送管内圧は搬送用空気供給停止時の圧送用ベッセル内圧に等しく保たれるから、出口弁を開くのをベッセル加圧終了時としても、出口弁上流側圧力が搬送終了時のベッセル内圧となったときと等価となる。なお、上流側圧力と搬送終了時圧とに差があるとしても、出口弁でアッシュカットが発生しないまでの違いにとどめられていればよい。加圧終了時圧と気流搬送を停止するための搬送終了時ベッセル内圧とが微差(前述した設定許容幅圧力αの意)でないなら、出口弁が開かれるときの下流側圧力が輸送管内圧とは異なることを意味する。輸送管内圧より高いときはアッシュカットが発生しかねなく、受け容れられない事態を招くことになるからである。ちなみに、この場合、搬送終了時ベッセル内圧をコントローラなどに予め記憶させておけばよく、下流側圧力センサは使用するに及ばなくなる。
【0070】
以上の詳細な説明から分かるように、輸送管はプラグ状粉体を崩壊させながら搬送する二重管構造であり、圧送用ベッセルの加圧により出口弁4の上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で出口弁を開くようにしている。したがって、出口弁前後はほぼ等圧状態におかれ、その開弁動作初期の開きの小さい時点でも粉体を伴う気流が高速で通過することはなくなる。これによって、気流摩擦による出口弁の弁体や弁座におけるアッシュカットの発生は可及的に排除され、弁体や弁座における耐磨耗性に対する配慮は軽減できることにもなる。
【0071】
また、継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセルに搬送用空気を送るのを停止し、それと同時もしくはその直後に出口弁を閉じるようにしているから、このときも出口弁の前後はほぼ等圧状態におかれ、閉弁終了間近の狭められた通路から粉体を伴った気流が高速で通過することもない。したがって、出口弁の損耗は著しく軽減され、長期の操業に備えた耐久性を持たせることができ、粉体搬送設備の定期点検間隔も長くして、メンテナンス性の高い輸送システムを実現する。
【0072】
ところで、図7のようにミキシングチャンバを備えない搬送システムとしておくこともできる。輸送管3に送られるのは、圧送用ベッセル内で昇圧した搬送用空気と粉体だけとなる。設備の簡略化を図っても差し支えない例えば300メートルといった短い輸送管の場合に適用することができる。ミキシングチャンバがないから固気混合体の流動は、あくまでも圧送用ベッセルからの搬送用空気だけに頼る。ところで、上記したが、気流搬送を終えた圧送用ベッセルは排気や粉体受入れ態勢に入るが、他方の圧送用ベッセルが気流搬送態勢にまで進んでいない間は、輸送管3に空気が供給されることはなくなる。
【0073】
ということは、輸送管中の粉体は停滞するか、残留圧で粉体が極めて緩慢に動くかの状態となる。空気の供給がない時間が数分なら圧力低下の進行はほとんどないが、多少はともかくも圧力低下は否定できない。図8にAT と表示した時間帯では、水平に描いた二点鎖線65に比べれると圧力は実線66で表したように漸減する。出口弁上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で出口弁を開くとしている場合に、下流側圧力が輸送管内圧に等しいことから、実線66のように輸送管内圧が例えば0.27MPaに落ちていれば、出口弁が開かれるのは上流側圧力が大気圧から0.27MPaに上昇した時点となる。
【0074】
したがって、加圧用空気によりベッセルを0.3MPaまでとする必要はなく、0.27MPaまで加圧するだけで済む。上流側圧力が0.3MPaになってから出口弁を開いたならば、却ってアッシュカットの発生は避けられないが、出口弁の上流側も加圧用空気により0.27MPaとなっているなら、本発明の目的であるアッシュカットの発生防止は図られることが分かる。
【0075】
ちなみに、輸送管が単管であったなら、気流搬送を停止した時点で輸送管内圧は図8中のAT 領域に破線67で示したように急降圧するわけであるから、この場合の下流側圧力は大気圧となる。出口弁の上流側圧力が下流側圧力に等しいときに出口弁を開くことにするといっても、それが大気圧なら粉体の搬送はできるわけがないから、本搬送は二重管構造の輸送管が採用されている場合に限られることが分かる。ちなみに、0.27MPaといった圧力は経験値として知ることもできるが、上流側圧力が下流側圧力に等しいときに出口弁を開くのだから、理屈上は大気圧でないかぎり、輸送管側の圧力を人為的にコントロールしなくても、圧力バランスで自動的に出口弁の開くタイミングが与えられることになる。
【0076】
出口弁を開くときの上流側圧力に、圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となって気流搬送を停止したときの圧力を適用する例も上で述べたが、輸送管内圧が例えば0.27MPaにまで落ちるというような場合には、出口弁を開くときの上流側圧力に気流搬送を停止したときの圧力を適用することはあり得ない。出口弁が開かれるのをベッセル加圧終了時とするといった制御をするごとく、出口弁を開くときの上流側圧力を予め決めておく場合には、試運転等で排気・粉体受入れ・加圧に要する時間帯で降下する輸送管内圧値を見い出しておき、ベッセル加圧終了時の圧力に代えて、上記した0.27MPaといった圧力をコントローラに記憶させるなどしておけばよい。
【0077】
図9は、上流側圧力が圧送用ベッセルに空気を送る管路30に介装された圧力ゲージ7U(図中の左上部参照)により、下流側圧力がミキシングチャンバ6に空気を混入する管路23に介装された圧力ゲージ7D(図中の下部やや左寄り参照)により、検出されるようにした搬送システムである。出口弁4の上流側圧力と下流側圧力とを粉体の存在しない部位で検出することになって、圧力の検出精度が圧力ゲージ7u,7d(図1を参照)の場合よりは高められる。したがって、出口弁を開くタイミングを上流側圧力が下流側圧力に到達した時点に合わせる精度が上がり、気流摩擦の発生防止を格段に向上させることができる。下流側圧力の検出については、ミキシングチャンバ6が存在するからこそ可能となっていることが分かる。
【0078】
以上は、2ベッセル方式の搬送システムで説明した。そのシステムでは次で述べる1ベッセル方式に比べて輸送管に滞留する粉体は多くまた長くなる。これは輸送気流の圧力損失を大きくさせるから、搬送圧力は高く要求される。搬送圧力が高くなればベッセルでの加圧力を高く設定することができ、ひいては高濃度輸送運転、すなわち大量輸送となる利点が生じる。なお、輸送量(トン/時)や輸送距離(メートル)によって固気比やベッセル加圧力が異なることは言うまでもなく、上で表した数字は或る搬送プラントでの一例に過ぎない。
【0079】
図10は、圧送用ベッセルを1基とした搬送システムである。(a)は圧送用ベッセル2Bの系統を除去した構成であり、かつ、図9と同じ趣旨の箇所で圧力検出するようにした例である。この図では出口弁上流側圧力センサと下流側圧力センサは消去されている。出口弁4と輸送管3との間にミキシングチャンバ6を介装させ、出口弁4を通過した固気混合体にミキシングチャンバ6でさらに空気を混入させるようにしている。ミキシングチャンバ6へは同圧空気が混入されることになり、輸送管3に送られる粉体の浮遊性を高めて流動化を助長し、気流搬送の円滑化が図られるのは図1の場合と異ならない。
【0080】
図10の(b)はミキシングチャンバを設けていないシステムである。この場合、圧送用ベッセル2に空気を送る管路に介装された圧力ゲージ(本図(a)中の符号7U)やミキシングチャンバに空気を混入する管路に介装された圧力ゲージ(本図(a)中の符号7D)は存在しない例として描かれている。(a)の場合の圧送用ベッセル2における圧力変動チャートは図6の場合などと原理的に変わりがない。ただ、図11から分かるように、圧送用ベッセル2が排気・粉体受入れ態勢にある時間帯を他のベッセルからの搬送によりカバーしておくということはあり得ないから、その時間帯での輸送停滞の時間幅は図6に比べれば大きくなる。しかし、ミキシングチャンバ6でバイパス流40が混入されるかぎりは、輸送管3において積極的でないが気流搬送は継続され、輸送管内圧の低下は極めて鈍い状態においておくことができる。
【0081】
図10の(b)の場合は圧送用ベッセル2の排気・粉体受入れ・加圧態勢にあるときは輸送管3に空気が供給されないから、圧力の減少は進みやすい。図11の領域CT 中の実線68のように漸減する。しかし、図8の領域AT のところで述べた実線66の場合と同様な制御や挙動を呈させることができるのは述べるまでもない。
【0082】
ちなみに、図10の(a)の場合、輸送管3において気流搬送が開始されるまで、ミキシングチャンバ6へは、圧送用ベッセル2に搬送用空気を送っていた圧縮機5の下流側で分岐されて圧送用ベッセル2を迂回する通路を介して流れるバイパス流40が、圧送用ベッセル2における前回の気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしておくことができる。輸送管内圧に等しいかそれに近い圧力の空気がミキシングチャンバ6内で粉体の流動化を果たさせることができる。それのみならず、出口弁4の下流側圧力を前回の気流搬送終了時圧もしくはそれに近い圧力に保っておくことができる。この圧力は輸送管内に及ぶから、滞留するプラグに刺激を与えて、搬送再開時の気流順応性を高めておくことができる。
【符号の説明】
【0083】
1…粉体、2,2A,2B…圧送用ベッセル、3…輸送管、3Q…外管、3R…内管、4,4A,4B…出口弁、5…圧縮機、6,6A,6B…ミキシングチャンバ、7u,7ub ,7U,7Ub …出口弁上流側圧力センサ、7d,7db ,7D…出口弁下流側圧力センサ、8…絞り弁、9…蝶弁、40,40b…バイパス流、52…噴出口、pu …上流側圧力、pd …下流側圧力(輸送管内圧)、α…設定許容幅圧力。
【技術分野】
【0001】
本発明は二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法に係り、詳しくは、粉体を加圧するとともに流動化を図る圧送用ベッセルと固気混合状態で気流搬送する二重管構造の輸送管との間に設けられた出口弁を開閉制御する際、出口弁でのアッシュカットの発生を回避して弁体や弁座の損耗を軽減できるようにした弁開閉制御法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体を気流搬送する場合、粉体を加圧するベッセルには目的地まで延びる輸送管が接続される。ベッセルと輸送管との間には、ベッセルに粉体を装入しているときやベッセル加圧中は閉止されるが、気流搬送するときは開かれる出口弁が設けられる。例えば特許文献1には、その出口弁において気流摩擦によるアッシュカットが発生するのを防止できるようにした粉体の圧送装置が記載されている。
【0003】
アッシュカットとは、例えば図12の(b)に示すように、加圧により所定圧力に達した圧送用ベッセル71から出口弁72を介して輸送管73に粉体74を送る際、開弁動作初期の開きの小さい時点で高速通過する気流75が粉体を伴って弁体や弁座に摺り疵をつけることをいう。この現象は、後に図12の(d)で説明するように、搬送圧力を受けている固気混合体の搬送を停止させる際、出口弁72の閉弁終了間近の狭められた通路から粉体を伴った気流76が高速で通過するときも発生する。出口弁におけるアッシュカットは弁体72aや弁座72b等の取替えまでの期間の長期化を阻み、粉体気流搬送システムの頻繁な操業停止を余儀なくさせる。なお、図12は輸送管73として二重管構造が採用されている場合であり、その全図は弁体と弁座における摺り疵の発生メカニズムを、加圧中、所定圧力下、搬送圧力下、搬送停止直前の順で表している。
【0004】
このようにしてできる摺り疵は、弁体と弁座の摺動面にすでに生じた表面疵をたどる気流によって助長されることもある。図13の(b)に示すごとく、圧送用ベッセル71の加圧中に弁体摺動面には粉体74aが付着する。同図の(c)のように、弁体72aが回転すると弁座との間に粉体を噛みこませて摺動面に疵を生じさせる。この表面疵が成長すると、同図の(B)のように、ベッセル加圧中の段階であるにもかかわらず粉体を伴う気流77が疵をたどって噴出する。この気流摩擦により摺り疵が成長したり、甚だしくは噴出粉体が弁箱に穴を明ける事態に到る。なお、この図13の全図は、輸送管として単管78が採用されている場合での弁体と弁座における表面疵の発生メカニズム(左側)と、表面疵のある弁体と弁座における漏出空気の発生メカニズム(右側)を加圧開始、加圧中、所定圧力下、搬送圧力下の順で示している。(A),(B),(C)の(D)に相当するものは(a),(b),(c),(d)のうちの(d)と同じ形態となるので省かれている。
【0005】
図13における漏出空気による気流摩擦現象を抑える手立てが、上記の特許文献1に記載されている。それは、図14に示すように、出口弁72の輸送管側に補助弁79を追加したものとなっている。図13の(c)のように粉体74aを付着させた弁体72aが回転すれば、弁体や弁座に表面疵80,81(図14の(a)を参照)がつくことは避けられないが、そのような状態にある出口弁72から圧送用ベッセル加圧時に図14の(c)のように輸送管側に漏れるエア82を、同図の(d)のように補助弁79で遮断しておこうとする。遮断により加圧中に出口弁前後の圧力差を少なくしておくことができ、加圧中に表面疵をたどる気流はなくなり、大きな摺り疵に成長させることは抑えられるという。なお、図14の全図は、補助弁79を加えて図13における問題解決を図っている操業順を表している。
【0006】
ちなみに、輸送を開始するとき出口弁が開かれるが、補助弁を閉じたままでは輸送管に粉体を送ることができないので、図14の(e)のように、出口弁72を開く少し前に補助弁79が開かれる。出口弁と補助弁との間に閉じ込められている大部分はエア82であって補助弁79の弁体に粉体が付着することはないから、補助弁では疵を発生させることがない。補助弁が開けば出口弁との間の圧力は低下しようとするが、同図の(f)のように出口弁72が直後に開かれるので、粉体は疑似等圧域を穏やかに通過する。
【0007】
図14の(g)の次の段階としての輸送後は図示されていないが、圧送用ベッセルも弁通路も輸送管も空になるから、いずれの弁の閉止操作にも粉体が絡むことはない。したがって、図12の(d)のような現象も生じるはずがない。ちなみに、図14の(h)のごとく出口弁72を開いてから補助弁79を開くというようにしていないのは、補助弁を図13の(b)の状態に置いてしまうのを避けるためである。
【0008】
ところで、図13や図14では、粉体を送り出す間に輸送管内の搬送圧力は徐々に低下して、輸送管の長さにもよるが数分後、早ければ数十秒後に大気圧となる。もちろん、圧送用ベッセルから粉体の全てが排出されれば圧縮エアを送出していた圧縮機(図13の(a)中の符号83を参照)は停止され、圧送用ベッセルも次回の粉体装入時もしくはそれに先だって大気圧となる。ところが、輸送管が特許文献2に記載されたような二重管構造である場合、後で詳しく述べるように、圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送は停止されるが、輸送管内では粉体がプラグ状をなして幾つもの粉体の小山となっているため数分程度で大気圧に落ちることはない。
【0009】
図12の(b)に示す開弁当初の気流摩擦を回避するためのみならず、同図の(d)に示すごとく搬送圧力を受けて流れる固気混合体を停止させようとする閉弁間際の気流摩擦を回避する意味で、図14に倣って図12のシステムの出口弁の下流に、出口弁前後の等圧化を図るための補助弁を導入したとする。図示しないが、図12の(d)に補助弁を付加した場合を想定すると、以下の事態が生じる。圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく圧縮機を止めると、圧送用ベッセルでは気流搬送停止時点の圧力が保たれるために、補助弁を出口弁より先に閉めると、気流摩擦が補助弁において発生してしまう。
【0010】
一方、出口弁を補助弁より先に閉めると、補助弁通路とその前後に残留する粉体が、搬送用空気の遮断状態にある補助弁の以後の弁体回転を妨げる。その結果、補助弁の導入は設備費の高騰を招くだけでなく、輸送管が二重管構造であり、圧送用ベッセル内に粉体を残して気流搬送を停止させるという操業形態において、出口弁前後の等圧化を図ろうとする補助弁の導入は意義のないものであることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−171752号公報
【特許文献2】実公平7−48577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、粉体を輸送するにあたり単管構造の輸送管を採用する場合の補助弁の導入思想では解決し得ない二重管構造輸送管における出口弁の開閉動作を、気流摩擦を可及的に抑制しながら可能にして、出口弁に対する保守作業の著しい軽減、気流搬送システムの頻繁な操業停止の回避が図られるようにした二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、粉体を加圧するとともに流動化を図る圧送用ベッセルと固気混合状態で気流搬送する輸送管との間に出口弁を配し、その出口弁を開閉制御する方法に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、輸送管3は、プラグ状に内在する粉体を流動させながら目的地に向けて導く外管3Qと、プラグ状粉体1(図2を参照)を崩壊させる乱流を外管下半部に吹き出す噴出口52を有して外管内部上方に配置された内管3Rと、からなる二重管構造である。圧縮機5から送られる加圧用気体でもって粉体1が装入された圧送用ベッセル2を加圧することにより、出口弁4の上流側圧力が大気圧から上昇し始めても、二重管構造の輸送管3に連なっているゆえに大気圧より高い状態にある下流側圧力に到達するまでは出口弁4を閉じたままにしておく(図3のt=t1 におけるベッセル2Aとその周りの装置を参照)。上流側圧力が下流側圧力に到達した時点もしくは予め設定された許容幅の圧力を加えた圧力を超えた時点で出口弁4が開かれ(図4のt=t2 におけるベッセル2Aを参照)、圧送用ベッセル2内の粉体1を圧縮機5から異なる経路をたどり引き続き送られる搬送用気体とともにこの出口弁4を介して輸送管3に送る(図4のt=t3 におけるベッセル2Aを参照)。その継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル2内の粉体1が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセル2に搬送用気体を送るのを停止し(図5のt=t10におけるベッセル2Aを参照)、それと同時もしくはその直後に出口弁4を閉じるようにする(図5のt=t11におけるベッセル2Aを参照)ことである。
【0014】
加圧用気体は圧縮機5からの経路のうち絞り弁8が介在されている経路をたどって圧送用ベッセル2に送られ、搬送用気体は絞り弁が介在されない経路をたどって圧送用ベッセル2に送られるものであり、加圧用気体による圧送用ベッセル2の加圧は出口弁4が開かれた時点で停止され、その後は風量の大きい搬送用気体が圧送用ベッセル2に送られるようにしておく。
【0015】
出口弁4が開かれるのを、出口弁上流側圧力が下流側圧力に到達した時点とすることに代えてベッセル加圧終了時とし、この加圧終了時の圧力を気流搬送停止のための搬送終了時輸送管内圧に等しくするとしてもよい。
【0016】
出口弁4と輸送管3との間にミキシングチャンバ6を介装させ、出口弁4を通過した固気混合体にミキシングチャンバ6でさらに気体を混入させるとよい。
【0017】
ミキシングチャンバ6へは、輸送管3において気流搬送されているとき、圧送用ベッセル2内で昇圧した搬送用気体が粉体とともに供給され、この固気混合体に、搬送用気体を送っている圧縮機5の下流側で分岐されて圧送用ベッセル2を迂回する通路を介したバイパス流40も、そのミキシングチャンバ6で混入させるようにする。
【0018】
ミキシングチャンバ6へは、輸送管3において気流搬送が開始されるまで、圧送用ベッセル2に搬送用気体を送っていた圧縮機5の下流側で分岐されて圧送用ベッセル2を迂回する通路を介したバイパス流40が、圧送用ベッセル2における前回の気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしておく。
【0019】
圧送用ベッセルは2基が並列に設けられて輸送管3にはそれぞれが直列に接続され、出口弁4は各圧送用ベッセル2と輸送管3との間に配され、両出口弁4A,4Bが同時に開かれることはないようにしておく。
【0020】
2基の圧送用ベッセル2A,2Bに送られる加圧用気体ならびに粉体の搬送用気体は、圧縮機下流の分岐管を介して両圧送用ベッセル2A,2Bへ交互に送られるようにしておくこともできる。
【0021】
各出口弁4A,4Bと輸送管3との間にミキシングチャンバ6A,6Bを介装させ、出口弁4A,4Bを通過した固気混合体にさらにミキシングチャンバ6A,6Bで気体を混入させるようにしておくとよい。
【0022】
輸送管3において気流搬送されているとき、開いている出口弁4Aに接続されているミキシングチャンバ6Aに圧送用ベッセル2A内で昇圧した搬送用気体が粉体とともに供給され、この固気混合体に、搬送用気体を送る圧縮機5からその圧送用ベッセル2Aを迂回する通路を介したバイパス流40がミキシングチャンバ6Aで混入されるようにもしておく。
【0023】
一方の圧送用ベッセル2Aにおいて気流搬送を終了した時点では、その圧送用ベッセル2Aに接続されたミキシングチャンバ6Aへのバイパス流40は止められ、直後に、加圧が開始された他方の圧送用ベッセル2Bに接続されたミキシングチャンバ6Bに、輸送管3において気流搬送が開始されるまで、すなわち、圧送用ベッセルが排気中、粉体装入中およびその後の加圧中にあって、輸送管において気流搬送されていないとき、一方の圧送用ベッセル2Aに搬送用気体を送っていた圧縮機5から他方の圧送用ベッセル2Bを迂回する通路を介したバイパス流40bが、一方の圧送用ベッセル2Bにおける気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしておく。
【0024】
図9に示すように、上流側圧力は圧送用ベッセルに気体を送る管路に介装された圧力ゲージ7Uにより、下流側圧力はミキシングチャンバ6に気体を混入する管路に介装された圧力ゲージ7Dにより検出されるようにしておくとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、輸送管はプラグ状粉体を崩壊させながら搬送する二重管構造とし、圧送用ベッセルの加圧により出口弁の上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で、もしくは少し超えた時点で出口弁を開くようにしているので、出口弁の前後はほぼ等圧状態におかれ、その開弁動作初期の開きの小さい時点でも粉体を伴う気流が高速で通過することはなくなる。これによって、気流摩擦による出口弁の弁体や弁座におけるアッシュカットの発生は可及的に排除される。
【0026】
また、継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセルに搬送用気体を送るのを停止し、それと同時もしくはその直後に出口弁を閉じるようにしているから、このときも出口弁の前後はほぼ等圧状態におかれ、閉弁終了間近の狭められた通路から粉体を伴った気流が高速で通過することもなくなる。したがって、出口弁の損耗は著しく軽減され、長期の操業に備えた耐久性を持たせることができ、粉体搬送設備の定期点検間隔も長くして、メンテナンス性の高い輸送システムを実現する。
【0027】
絞り弁が介在されている経路をたどって送られる気体による圧送用ベッセルの加圧は出口弁が開かれた時点で停止され、その後は絞り弁が介在されない経路をたどって送られる大きい風量で気流搬送するようにしておけば、出口弁を開くと直ちに固気混合体の状態にある粉体を輸送管に速やかに送り出すことができる。出口弁を開けたにもかかわらず気流搬送が開始するまで加圧用空気によるベッセル加圧が続くというエネルギや時間の浪費は回避される。
【0028】
出口弁は圧送用ベッセル加圧終了時に開くものとし、この加圧終了時の圧力を気流搬送停止のための搬送終了時輸送管内圧としておくなら、搬送終了時のベッセル内圧にほとんど等しい輸送管内圧が出口弁下流側圧力となることから、輸送管内圧の低下が進んでいないうちは出口弁を開くのをベッセル加圧終了時としても、結局は出口弁上流側圧力が搬送終了時のベッセル内圧となったときと等価となる。アッシュカットは免れ、出口弁の交換頻度も減らすことができる。
【0029】
出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバを介装させれば、出口弁を通過した固気混合体にさらに気体を混入させることができ、輸送管に送られる粉体の流動性をより一層高めることができ、気流搬送の円滑化がなされる。
【0030】
輸送管において気流搬送されているとき、ミキシングチャンバに供給される気体を、圧送用ベッセル内へ昇圧した搬送用気体を送出している圧縮機の下流側で分岐されて圧送用ベッセルを迂回したバイパス流としておけば、ミキシングチャンバへは同圧気体が混入されることになり、粉体の浮遊性を高めて流動化を一層助長する。
【0031】
輸送管において気流搬送が開始されるまでは、ミキシングチャンバに、圧送用ベッセル内へ昇圧した搬送用気体を送出していた圧縮機の下流側で分岐されて圧送用ベッセルを迂回したバイパス流が、圧送用ベッセルにおける前回の気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしておくと、輸送管内圧に等しいかそれに近い圧力の気体によりミキシングチャンバ内で粉体の流動化を果たさせることができる。それのみならず、出口弁の下流側圧力を前回の気流搬送終了時圧もしくはそれに近い圧力に保っておくことができる。この圧力は輸送管内に及ぶから、滞留するプラグに刺激を与えて、搬送再開時の気流順応性を高めておくことができる。
【0032】
圧送用ベッセルは2基が並列に設けられて輸送管にはそれぞれが直列に接続され、出口弁は各圧送用ベッセルと輸送管との間に配され、両出口弁が同時に開かれることのないようにしておけば、一方の圧送用ベッセルからの粉体を気流搬送している間に、他方の圧送用ベッセルでの排気と粉体装入をしておくことができる。したがって、いずれの圧送用ベッセルからの気流搬送も、加圧時間帯を除き間断なく行われ、準連続的な操業による効率よい搬送が可能となる。
【0033】
2基の圧送用ベッセルに送られる加圧用気体ならびに粉体の搬送用気体は、圧縮機下流の分岐管を介して両圧送用ベッセルへ交互に送られるようになっているなら、一方の圧送用ベッセルへの加圧と気流搬送に引き続いて他方の圧送用ベッセルでの加圧と気流搬送が可能となり、1基の圧縮機による効率よい連続運転をすることができる。
【0034】
各出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバを介装させれば、出口弁を通過した固気混合体ごとにさらなる気体を混入させることができ、それぞれの圧送用ベッセルから輸送管に送られる粉体の流動性が一層高まり、気流搬送の円滑化が図られる。
【0035】
輸送管において気流搬送されているとき、ミキシングチャンバに供給される気体を、そのミキシングチャンバが接続されている圧送用ベッセル内へ昇圧した搬送用気体を送出している圧縮機の下流側で分岐されてその圧送用ベッセルを迂回したバイパス流としておけば、ミキシングチャンバでは同圧気体の混入となり、粉体の浮遊性を高めた流動が実現される。
【0036】
一方の圧送用ベッセルにおいて気流搬送を終了した時点では、その圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバへのバイパス流が止められ、直後に、加圧が開始された他方の圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバには、輸送管において気流搬送が開始されるまで、一方の圧送用ベッセルに搬送用気体を送っていた圧縮機から他方の圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流を、一方の圧送用ベッセルにおける気流搬送終了時圧でもって供給するなら、一方の圧送用ベッセルにおける気流搬送終了時圧となっている輸送管に、他方の圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバを介して引続き同圧の気流を供給し、輸送管における圧力降下を抑制しておくことができる。
【0037】
圧送用ベッセルの基数にかかわらずミキシングチャンバが設けられている場合、出口弁の上流側圧力は圧送用ベッセルに気体を送る管路に介装された圧力ゲージにより、下流側圧力はミキシングチャンバに気体を混入する管路に介装された圧力ゲージにより検出できるようにしておくなら、出口弁の上流側圧力と下流側圧力とを粉体の存在しない部位で検出することになり、圧力の検出精度が高められる。したがって、出口弁を開くタイミングを上流側圧力が下流側圧力に到達した時点に合わせやすくなり、気流摩擦の発生防止を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法を実施する搬送システム図。
【図2】二重管式気流搬送用の輸送管の構造模式図。
【図3】2基の圧送用ベッセルが並列に設置され、いずれもの時刻t=t0 =0における操業および時刻t=t1 における操業の運転図。
【図4】2基いずれもの時刻t=t2 における操業および時刻t=t3 における操業の運転図。
【図5】2基いずれもの時刻t=t10における操業および時刻t=t11における操業の運転図。
【図6】2基の圧送用ベッセルならびに輸送管における圧力の変遷と処理過程を表したタイムチャート。
【図7】ミキシングチャンバを備えない場合の搬送システム図。
【図8】ミキシングチャンバを備えない場合の2基の圧送用ベッセルならびに輸送管における圧力の変遷と処理過程を表したタイムチャート。
【図9】圧力センサの代替設置箇所を示す搬送システム図。
【図10】圧送用ベッセルが1基の場合であって、(a)はミキシングチャンバが設けられているシステム図、(b)はミキシングチャンバが備えられない場合の搬送システム図。
【図11】圧送用ベッセルが1基の場合の圧力の変遷と処理過程を表したタイムチャート。
【図12】輸送管として二重管構造が採用されている場合での弁体と弁座における摺り疵の発生メカニズムを、加圧中、所定圧力下、搬送圧力下、搬送停止直前の順で表した工程図。
【図13】輸送管として単管が採用されている場合での弁体と弁座における表面疵の発生メカニズムと、表面疵のある弁体と弁座における気体の漏出メカニズムを、加圧開始およびその後の加圧中、所定圧力下、搬送圧力下の順で示した工程図。
【図14】補助弁を加えて図13における工程で発生する問題の解決を図る操業手順を表した工程図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明に係る二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法を、その実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。これは、粉体を加圧するとともに流動化を図る圧送用ベッセルと固気混合状態で気流搬送する輸送管との間に出口弁を配し、その出口弁を開閉するときの制御に関するものであるが、この制御が適用される二重管式気流搬送システムの構成から述べる。なお、気流をなす気体は通常空気であるが、窒素等の不活性ガスを使用することもある。以下では、気体が空気であるとして表記する。
【0040】
図1に示す搬送システムは、粉体1を加圧するとともに流動化を図る2基の圧送用ベッセル2、固気混合状態で気流搬送するため目的地まで延びる一本の輸送管3、圧送用ベッセル2と輸送管3との間にあってベッセルに粉体を装入するときやベッセルを加圧するときは閉じられるが、気流搬送するときは開かれる出口弁4が主たる構成をなす。圧送用ベッセルの2基2A,2Bは並列に設けられ、輸送管3に対してはそれぞれが直列に接続されている。その輸送管3は後で詳しく述べる二重管構造をなし、輸送管の上流側に配置される2つの出口弁4A,4Bは同時に開かれることがないように作動される。
【0041】
圧送用ベッセル2を加圧するための加圧用空気を送りこんだり、気流搬送を開始したベッセルに搬送用空気を送るため、2基の圧送用ベッセル2A,2Bの上流側には一基の圧縮機5が設置される。これは圧送用ベッセルごとに設けられてもよいが、本システムにおいては一基としている。そして、それを容積型としておけば、吐出容量は一定であるもののシステムの圧力変化に追従した作動をさせやすく、二重管に圧縮空気を送り出すうえで都合がよい。なお、各出口弁4A,4Bと輸送管3との間には、それぞれの圧送用ベッセルに対応してミキシングチャンバ6が介装される。
【0042】
このように、各出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバを介装させると、出口弁4を通過した固気混合体ごとにさらなる空気を混入させることができ、それぞれの圧送用ベッセルから輸送管に送られる粉体の流動性がより一層高まり、気流搬送の円滑化が図られる。
【0043】
配管系について述べると、まず、圧縮機5の下流には第1分岐管11が配置される。これは、圧縮機5からの管路21を、両圧送用ベッセル2A,2Bに空気をそれぞれ送る管路22と、ベッセルを迂回してそれぞれのミキシングチャンバ6A,6Bに流動助成用空気を送る管路23とに分岐する。いま、圧送用ベッセル2Aの系統に着目すれば、ベッセルに向かう管路22は第2分岐管12によって、ベッセルに搬送用空気を送る管路24と加圧用空気を送る管路25とに分岐されている。なお、管路25は後で述べるように、他の圧送用ベッセル2Bに空気を送る通路としても機能する。搬送用空気を送る管路24には第3分岐管13が設けられ、ベッセル内へ搬送用空気を送る管路26と、粉体払出箱37に搬送用空気を送る管路27とに分岐させている。
【0044】
上記した第2分岐管12で分岐された管路25には、第4分岐管14を介して加圧用空気を圧送用ベッセル2Aに送る管路28と後で述べるオンオフ弁43bが介在される管路29が設けられる。管路28の下流側に設けられた第5分岐管15から延びる一方の管路29にはシリンダ弁などのオンオフ弁42が介在されており、第2分岐管12を通過した圧縮空気は、管路29か、オンオフ弁43が介在された前記した管路24のいずれか一方に流されるように、オンオフ弁42,43が同時に開弁されることはない。オンオフ弁42の下流側がオンオフ弁43の下流側に接続されているが、搬送用空気も加圧用空気も、ベッセル頂のノズル10mおよびベッセル底のノズル10nに空気を送る管路30の重複を避けるべく、第1合流管18が設けられる。第1分岐管11を出た後の管路23には第6分岐管16があり、オンオフ弁44を経てミキシングチャンバ6Aに到る管路31が形成される。粉体払出箱37とミキシングチャンバ6Aとをつなぐ管路32には出口弁4Aが配置され、それを挟んで出口弁上流側圧力センサ7u、出口弁下流側圧力センサ7dが設置される。ミキシングチャンバ6Aから下流の管路33は第2合流管19を経て輸送管3に接続される。
【0045】
一方、圧送用ベッセル2Bに着目すれば、第4分岐管14に連なる管路28には第5分岐管15を介した管路34が枝設され、前記したオンオフ弁42と同趣旨のオンオフ弁42bが介在される。第4分岐管14から下流の管路29には前記したオンオフ弁43と同趣旨のオンオフ弁43bが配置される。したがって、第4分岐管14を通過した空気は、管路34か管路29のいずれか一方に流されるように、オンオフ弁42b,43bが同時に開弁されることはない。圧送用ベッセル2Bにおけるその他については同じ符号に「b」なる文字を付して説明を略す。なお、第4分岐管14と第5分岐管15の間に設けられた弁8はベッセル加圧中の急激な圧力上昇を抑えるための絞り弁である。これは加圧中の蓄圧の脈動も軽減する。
【0046】
上記したオンオフ弁42はオンオフ弁42bと同時に開かれることはない。オンオフ弁43はオンオフ弁43bと同時に開かれることはない。また、オンオフ弁44もオンオフ弁44bと同時に開かれることはない。一方の圧送用ベッセルに加圧用空気や搬送用空気を送っている間は他方の圧送用ベッセルに加圧用空気や搬送用空気を送ることはなく、一方のミキシングチャンバに流動助成用空気を送るときは、他方のミキシングチャンバに流動助成用空気を送ることはない。このような弁操作によって一方の圧送用ベッセルがとる操業形態と他方の圧送用ベッセルがとる操業形態とは重複しないように調整される。
【0047】
すなわち、2基の圧送用ベッセル2A,2Bへの搬送用空気は、圧縮機下流の第2分岐管12の下流のオンオフ弁43またはオンオフ弁43bを介して交互に送られるようになっている。また、第5分岐管15の下流のオンオフ弁42,42bを介して両圧送用ベッセルへ加圧用空気を交互に送ることができるようにしている。ちなみに、管路23に配置された弁9は、圧縮機5から送り出された圧縮空気の圧送用ベッセル2に送る量とミキシングチャンバ6へ送る量の比率を決める蝶弁である。ミキシングチャンバ6へは、輸送管3において気流搬送されているとき、圧送用ベッセル2内で昇圧した搬送用空気が粉体とともに出口弁4を介して供給され、この固気混合体に、搬送用空気を送る圧縮機からその圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流40がミキシングチャンバで混入されるようにしている。バイパス流は搬送用空気と同圧であり、ミキシングチャンバでは粉体の浮遊性を高めた流動が実現される。
【0048】
圧送用ベッセルは2基が並列に設けられて輸送管にはそれぞれが直列に接続され、出口弁4は各圧送用ベッセルと輸送管との間に配され、両出口弁4が同時に開かれることのないようにしているから、後述するように、一方の圧送用ベッセルからの粉体を気流搬送している間に、他方の圧送用ベッセルの排気と粉体装入とをしておくことができる。したがって、一方の圧送用ベッセルからの気流搬送も他方のベッセルからも、それぞれの加圧時間帯を除き間断なく行われ、準連続的な操業による効率よい搬送が可能となる。
【0049】
2基の圧送用ベッセルに送られる加圧用空気ならびに粉体の搬送用空気は、圧縮機下流の分岐管12,14を介して両ベッセルへ交互に送られるので、一方の圧送用ベッセルへの加圧と気流搬送に引き続いて他方の圧送用ベッセルでの加圧と気流搬送が可能となり、1基の圧縮機による効率よい連続運転が可能となる。
【0050】
上で触れた輸送管3について述べる。輸送管は、図2に拡大して示すが、プラグ状に内在する粉体1を流動させながら目的地に向けて導く外管3Qと、プラグ状粉体を崩壊させる激しい乱流51を外管下半部に吹き出す噴出口52を有して外管内部上方に配置された内管3Rとからなる二重管構造である。噴出口52は目的地に至るまで数多くが一定間隔で配置されており、内管3Rから外管3Qに噴出する乱気流によって外管内の粉体は噴出口ごとに流動化が高められる。このような輸送形態によれば、粉体の嵩密度は高くしておくことができるので大量輸送が可能である一方、速度が低くて済むから管摩耗を可及的に抑えて、すなわちエネルギの節約を図りながら長距離搬送が可能となる。この点では、単管による気流搬送システムとは原理的にも発現効果もおおいに異なるものである。
【0051】
これはすでに述べた特許文献2に紹介されているので詳細は割愛するが、内管の噴出口52を上流側と下流側に分けるようにディスク53が配置され、それにはオリフィスをなす筒状孔54が設けられている。そのために、外管で閉塞が起こると空気はせき止められる結果内管に流れ込んで流速が上がる。内管圧力も上昇することになり、ディスク53に衝突したところで高速の乱気流を発生させ、これが次に遭遇する閉塞を崩してしまう。長い管内ではこれが随所で起こるので、至る所でプラグの生成と崩壊を繰り返して結局は例えば3,000メートルに及ぶ輸送管であっても、粉体を連続して搬送することができる。なお、輸送管内に粉体を残したまま搬送を停止しても、輸送再開時に供給された搬送用空気は停止前と同じように挙動できるので、輸送管内の滞留物除去工程が必要でなくなる利点がある。この滞留物の残存は管内圧力の大きな低下を抑制することにも寄与するので、却って本発明の適用を可能にする環境を醸成していると言える。
【0052】
ここで、二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法を述べる前に、圧送用ベッセルの加圧、搬送、搬送停止、排気、粉体受入れの一連の操業過程を述べる。圧送用ベッセル2Aでは既に粉体1が所定量装入されており、図3の時刻t=t0 =0の状態にあって、まさに加圧を開始しようとする時点にある(この時点を、以後の時間経過の原点と扱う)。図1を参照して、圧縮機5からの圧縮空気は管路21,22,25,28,29,30をたどり、蝶弁56を介した圧縮空気はベッセル底の攪拌用ノズル10nに空気を送って粉体を流動化させ、蝶弁57を介した圧縮空気はベッセル頂の圧気供給用ノズル10mに空気を送って粉体を加圧する(図3のt=t1 の状態)。いずれのノズルからの圧縮空気によっても、ベッセル内は大気圧から例えば0.3MPaに向けて昇圧される。この時点ではオンオフ弁43が閉じられ、オンオフ弁42が開かれている。そして、図4のt=t2 の状態のときに、上流側圧力が下流側圧力に到達したとの検出があると、出口弁4Aは開かれる。
【0053】
圧送用ベッセル2Aはミキシングチャンバ6Aを経て輸送管3に通じることになり、図1のオンオフ弁43からの圧縮空気すなわち搬送用空気によってベッセル内の粉体は粉体払出箱37から管路32に押し出される。管路27からも搬送用空気が供給されれば、粉体払出箱37での粉体流動化は強められる。固気混合体は出口弁4Aを経てミキシングチャンバ6Aに到り、気流搬送が始まる。管路21,23,31を経たバイパス流40がミキシングチャンバ6Aで固気混合体の流動助成用空気となってさらなる流動化が図られる。輸送管3に至った固気混合体の挙動は図2に表したとおりで、図4のt=t3 の状態で目的地まで輸送される。
【0054】
搬送が進むと圧送用ベッセル2の粉体1は少なくなるが、ベッセルが空になるまで搬送用空気が送られるのでなく、圧送用ベッセル2Aの粉体が所定残存量となった図5のt=t10の時点で図1のオンオフ弁43が閉止され、図5のt=t11の状態にされる。図はすでに粉体を装入しているが、それに先立ち、出口弁4Aは閉じられる。ちなみに、t=t10やt=t11の状態は、他方の圧送用ベッセル2Bにおいては一方の圧送用ベッセル2Aの図3におけるt=t0 およびt=t1 に対応した状態にある。それゆえ、圧送用ベッセル2Bの動作は図4のt=t2 やt=t3 のときの図においてベッセルを交換して眺めれば、その挙動は理解される。
【0055】
図5のt=t11の状態以後の圧送用ベッセル2Aにおける動作を、念のため記載する。まず、図示しない排気弁を開くなどして残存圧を消失させてベッセル内を大気圧としておき、ベッセル頂の受入弁59を開いて粉体を図示しないサイロから投入する。例えば1分程度で粉体は図3のt=t0 における左のベッセル2Aのように納められる。気流搬送の所要時間は粉体装入時間より長いので、気流搬送終了時点から他の圧送用ベッセル2Bの加圧を始めることができる。図1に示したオンオフ弁43が閉められた時点でオンオフ弁43bを直ちに開くことができるから、圧縮機5の運転も途切れさせることがない。
【0056】
言うまでもないが、気流搬送は連続しているわけでない。圧送用ベッセル2Aが粉体装入もしくはその後の待機状態にあるとき、圧送用ベッセル2Bではまだ加圧中ということはありうるからである。気流搬送を停止させたときはミキシングチャンバ6Aに圧縮空気を供給する理由がないから、オンオフ弁44は閉止される。しかし、直ちにオンオフ弁44bが開かれ、一方の圧送用ベッセルが加圧中にあるとき粉体が停滞しがちな輸送管3に圧縮空気がミキシングチャンバ6Bを介して供給され、粉体に刺激を与え、少しではあるが移動させることにも寄与する。
【0057】
ここで、搬送終了間近のベッセルとミキシングチャンバにおける風量について簡単に触れる。圧送用ベッセルで所定量近くまで粉体が減れば、出口弁上流側圧力センサ7uが指す圧力は出口弁下流側圧力センサ7dが指す圧力に近づく。なお、実際には後述するセンサ7U,7D(図9を参照)が代用されるとしても、ここでの説明では出口弁4を挟む2つの圧力センサ7u,7dで説明する。
【0058】
ベッセル2からの粉体1の搬送を始めたときには、粉体払出箱37での圧損が大きいゆえに搬送開始に高い圧力が掛かり、粉体の減少とスムーズな流出によって粉体払出箱37での圧損も減少するので、ベッセル内圧は輸送管内圧と連動するよう徐々に低下する。このことからして、ベッセル内粉体残存量は、出口弁下流側圧が輸送管での気流搬送中の定常圧に極めて近づいたときと決めておけばよいことが分かる。逆に言えば、ベッセル内圧が輸送管内で立つ圧力と等しくなったときには、ベッセル内の粉体は所定残存量となっていることになる。なお、出口弁からの搬送用空気が途絶えてもミキシングチャンバから輸送管へはこの圧力が作用するので、輸送管内圧を大気圧に急落させることはない。輸送管の中に従前の気流搬送によって搬送しきれなかった粉体がプラグ状をなすなどして残存していることも急激な圧力低下を抑えている。
【0059】
以上を念頭におけば、図6の圧力変遷チャートが理解しやすくなる。上段は圧送用ベッセル2A内の圧力変動、中段に圧送用ベッセル2Bの圧力変動、下段は輸送管3における圧力変動を表す。t0 からt10を経てt20までが1サイクルである。t0 からt1 まで大気圧であったベッセル2Aに圧縮空気が送られ、t=t2 までは、例えば0.3MPaまでの加圧工程となっている。t=t3 までには、気流搬送させるに十分な内圧例えば0.5MPaまでに高められるが(粉体払出箱37で閉塞ぎみとなるのを解消するため)、t=t2 の時点で出口弁4Aが開かれ、輸送はすでに始まっている。なお、t10までが気流搬送している輸送工程である。圧送用ベッセル2Aがこのような挙動をとっている間、圧送用ベッセル2Bは、排気、粉体受入れ状態にあって、中段のごとく同時間帯において大気圧である。
【0060】
ベッセルの圧力は粉体払出箱37での圧損増大による上昇と、輸送管3の内圧に追従する降下が起こる。t10からは上で述べたようにミキシングチャンバ6を介した混入があるから、圧力がほぼそのままに保たれる。輸送管3は運転当初は当然に大気圧であるが(図の左下部を参照)、ベッセル2A,2Bでの挙動が繰り返されるかぎり、大気圧に落ちることはない。なお、t10からt20まではベッセルでの操業形態が逆になっているだけである。ちなみに、t0 からt1 まで僅かであるが時間帯を設けている。搬送用空気を停止させてから少し時間をおいて排気するとともに他の圧送用ベッセルの加圧を開始させるとしているからである。しかし、搬送用空気を停止してから直ちに排気するとともに他の圧送用ベッセルの加圧を開始しても差し支えはなく、したがって、t1 −t0 =0(時間0の意)やt11−t10=0とすることに問題はない。図6には表れていないが出口弁を閉めるタイミングも、t10でもt11でもよい。図3、図4、図5の下半部には、図6の変遷をその都度のタイミングで表し、圧力変動の把握を容易にしている。
【0061】
ここで、出口弁開閉制御について述べる。圧縮機5から管路29等を経て送られる加圧用空気でもって、粉体の装入された圧送用ベッセル2Aが加圧される。これによって出口弁4Aの上流側圧力が大気圧から上昇し始めても、二重管構造の輸送管3に連なっているゆえに大気圧より高い状態にある下流側圧力に到達するまでは出口弁4Aを閉じたままにしておく。上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で出口弁4Aは開かれる。圧送用ベッセル内の粉体は、圧縮機から異なる経路26等をたどって引き続き送られる搬送用空気とともに出口弁4Aを介して輸送管3に送られる。その継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル2A内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセル2Aに送っていた搬送用空気を停止する。それと同時もしくはその直後に出口弁4Aを閉める。
【0062】
以上が、出口弁の一連の動作である。なお、上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で出口弁4Aを開くようにしているが、これは既に述べたアッシュカットの発生を回避しようとするものであるから、上流側圧力が下流側圧力に予め設定された許容幅の圧力を加えた圧力を超えないうちならば、例えば上流側圧力pu が輸送管内圧pd +設定許容幅圧力α(0<α≪pd )に到達したときもしくはその以前に出口弁4を開くようにしておいてもよい。設定許容幅圧力αはアッシュカットの発生のない程度の差幅として見込まれた圧力であるからである。
【0063】
今述べたことの少々の繰り返しとなるが、図6に基づいてさらに述べる。圧縮機からは加圧用空気が送り出され、粉体が装入された圧送用ベッセル2Aが加圧される。これは図6の上段の符号A01の領域に相当する。この加圧により、出口弁の上流側圧力が大気圧から上昇し始めても、二重管構造の輸送管に連なっているゆえに大気圧より高い状態にある下流側圧力に到達するまでは出口弁が閉じたままにされる。このとき、輸送管においては図6の下段の符号AT の領域にあって後述するように例えば0.3MPaを保っている。その加圧により、出口弁の上流側の圧力センサが検出した圧力が下流側の圧力センサが検出した圧力に到達すれば、すなわち、上流側の圧力センサが0.3MPaを検出すれば、出口弁が開かれる。
【0064】
この出口弁4を介しては、圧送用ベッセル2内の粉体1が圧縮機5から異なる経路26等をたどり引き続き圧送用ベッセルに送られる搬送用空気とともに輸送管に送られる。このときは図6の上段はB01の領域、下段はBT の領域にある。搬送用空気が圧送用ベッセルに入り始めると粉体は送り出されるが、そのときミキシングチャンバ6Aで混入されるバイパス流40の風量が減らされるなどして、圧送用ベッセル内では圧力が高められる。送り出される粉体の量はベッセル内圧に応じて自ずと制御される。
【0065】
一方、粉体の残存量が少なくなれば、輸送管内圧と連動するようにベッセル内圧も低下する。B01の領域では圧力が0.3MPaから例えば0.5MPaまで上昇した後に下降している。この圧力の変動は輸送管3と同じであり、結果的にはBT の領域でもベッセル内圧と同じ圧力の上昇および下降を呈している。継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル2A内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセルに搬送用空気を送るのが停止される。それと同時もしくはその直後に出口弁4が閉じられる。
【0066】
この動作の後の圧送用ベッセル2Aは排気・粉体受入れ状態に入るので、大気圧に落ちる。その間の圧送用ベッセル2Bは領域A11やB11の操業となっている(t11〜t20)。なお、t0 〜t10の時間帯にミキシングチャンバ6Aへ供給されていたバイパス流は、時刻t10からミキシングチャンバ6Bへの供給となるようにオンオフ弁44,44bによって切り替えられ、時刻t10のときのベッセル内圧(粉体が所定残存量となった時点でのベッセル内圧)に等しい圧力のバイパス流40bが供給され、輸送管内圧は減圧の進行が早くないかぎりほぼ0.3MPaに保たれる。
【0067】
このようにしているのは、一方の圧送用ベッセル2Aにおいて気流搬送を終了した時点では、その圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバ6Aへのバイパス流40が止められ、直後に、加圧が開始された他方の圧送用ベッセル2Bに接続されたミキシングチャンバ6Bに、輸送管3において気流搬送が開始されるまで、一方の圧送用ベッセル2Aに搬送用空気を送っていた圧縮機5から他方の圧送用ベッセル2Bを迂回する管路31bを介したバイパス流40bが、一方の圧送用ベッセル2Aにおける気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしているからである。これによれば、一方の圧送用ベッセル2Aにおける気流搬送終了時圧となっている輸送管3に、他方の圧送用ベッセル2Bに接続されたミキシングチャンバ6Bを介して引続き同圧の気流を供給して、輸送管3における圧力降下が抑制される。
【0068】
このような操業形態にあって、加圧用空気は圧縮機5からの経路のうち絞り弁8が介在されている管路28をたどって圧送用ベッセル2Aに送られる。一方、搬送用空気は絞り弁が介在されない管路24等をたどって圧送用ベッセル2Aに送られる。そして、加圧用空気による圧送用ベッセルの加圧は出口弁4が開かれた時点で停止され、その後は風量の大きい搬送用空気が圧送用ベッセルに送られるようにしている。出口弁4を開くと直ちに気流搬送が開始される。出口弁を開いたにもかかわらず気流搬送を開始するまで加圧用空気によるベッセルの加圧が続くという事態を排除しており、エネルギ消費量や操業時間の節減が図られる。なお、ベッセルの加圧を停止するのは、すなわち出口弁を開くのは次のようにしてもよい。
【0069】
出口弁4はベッセル加圧終了時に開くこととし、この加圧終了時の圧力を気流搬送停止のための搬送終了時ベッセル内圧、例えば0.3MPaに等しくしておけばよい。搬送終了時のベッセル内圧にほとんど等しい輸送管内圧が出口弁下流側圧力となるから、すなわち、輸送管内圧の低下が進んでいないうちは、輸送管内圧は搬送用空気供給停止時の圧送用ベッセル内圧に等しく保たれるから、出口弁を開くのをベッセル加圧終了時としても、出口弁上流側圧力が搬送終了時のベッセル内圧となったときと等価となる。なお、上流側圧力と搬送終了時圧とに差があるとしても、出口弁でアッシュカットが発生しないまでの違いにとどめられていればよい。加圧終了時圧と気流搬送を停止するための搬送終了時ベッセル内圧とが微差(前述した設定許容幅圧力αの意)でないなら、出口弁が開かれるときの下流側圧力が輸送管内圧とは異なることを意味する。輸送管内圧より高いときはアッシュカットが発生しかねなく、受け容れられない事態を招くことになるからである。ちなみに、この場合、搬送終了時ベッセル内圧をコントローラなどに予め記憶させておけばよく、下流側圧力センサは使用するに及ばなくなる。
【0070】
以上の詳細な説明から分かるように、輸送管はプラグ状粉体を崩壊させながら搬送する二重管構造であり、圧送用ベッセルの加圧により出口弁4の上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で出口弁を開くようにしている。したがって、出口弁前後はほぼ等圧状態におかれ、その開弁動作初期の開きの小さい時点でも粉体を伴う気流が高速で通過することはなくなる。これによって、気流摩擦による出口弁の弁体や弁座におけるアッシュカットの発生は可及的に排除され、弁体や弁座における耐磨耗性に対する配慮は軽減できることにもなる。
【0071】
また、継続した気流搬送の後に圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセルに搬送用空気を送るのを停止し、それと同時もしくはその直後に出口弁を閉じるようにしているから、このときも出口弁の前後はほぼ等圧状態におかれ、閉弁終了間近の狭められた通路から粉体を伴った気流が高速で通過することもない。したがって、出口弁の損耗は著しく軽減され、長期の操業に備えた耐久性を持たせることができ、粉体搬送設備の定期点検間隔も長くして、メンテナンス性の高い輸送システムを実現する。
【0072】
ところで、図7のようにミキシングチャンバを備えない搬送システムとしておくこともできる。輸送管3に送られるのは、圧送用ベッセル内で昇圧した搬送用空気と粉体だけとなる。設備の簡略化を図っても差し支えない例えば300メートルといった短い輸送管の場合に適用することができる。ミキシングチャンバがないから固気混合体の流動は、あくまでも圧送用ベッセルからの搬送用空気だけに頼る。ところで、上記したが、気流搬送を終えた圧送用ベッセルは排気や粉体受入れ態勢に入るが、他方の圧送用ベッセルが気流搬送態勢にまで進んでいない間は、輸送管3に空気が供給されることはなくなる。
【0073】
ということは、輸送管中の粉体は停滞するか、残留圧で粉体が極めて緩慢に動くかの状態となる。空気の供給がない時間が数分なら圧力低下の進行はほとんどないが、多少はともかくも圧力低下は否定できない。図8にAT と表示した時間帯では、水平に描いた二点鎖線65に比べれると圧力は実線66で表したように漸減する。出口弁上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で出口弁を開くとしている場合に、下流側圧力が輸送管内圧に等しいことから、実線66のように輸送管内圧が例えば0.27MPaに落ちていれば、出口弁が開かれるのは上流側圧力が大気圧から0.27MPaに上昇した時点となる。
【0074】
したがって、加圧用空気によりベッセルを0.3MPaまでとする必要はなく、0.27MPaまで加圧するだけで済む。上流側圧力が0.3MPaになってから出口弁を開いたならば、却ってアッシュカットの発生は避けられないが、出口弁の上流側も加圧用空気により0.27MPaとなっているなら、本発明の目的であるアッシュカットの発生防止は図られることが分かる。
【0075】
ちなみに、輸送管が単管であったなら、気流搬送を停止した時点で輸送管内圧は図8中のAT 領域に破線67で示したように急降圧するわけであるから、この場合の下流側圧力は大気圧となる。出口弁の上流側圧力が下流側圧力に等しいときに出口弁を開くことにするといっても、それが大気圧なら粉体の搬送はできるわけがないから、本搬送は二重管構造の輸送管が採用されている場合に限られることが分かる。ちなみに、0.27MPaといった圧力は経験値として知ることもできるが、上流側圧力が下流側圧力に等しいときに出口弁を開くのだから、理屈上は大気圧でないかぎり、輸送管側の圧力を人為的にコントロールしなくても、圧力バランスで自動的に出口弁の開くタイミングが与えられることになる。
【0076】
出口弁を開くときの上流側圧力に、圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となって気流搬送を停止したときの圧力を適用する例も上で述べたが、輸送管内圧が例えば0.27MPaにまで落ちるというような場合には、出口弁を開くときの上流側圧力に気流搬送を停止したときの圧力を適用することはあり得ない。出口弁が開かれるのをベッセル加圧終了時とするといった制御をするごとく、出口弁を開くときの上流側圧力を予め決めておく場合には、試運転等で排気・粉体受入れ・加圧に要する時間帯で降下する輸送管内圧値を見い出しておき、ベッセル加圧終了時の圧力に代えて、上記した0.27MPaといった圧力をコントローラに記憶させるなどしておけばよい。
【0077】
図9は、上流側圧力が圧送用ベッセルに空気を送る管路30に介装された圧力ゲージ7U(図中の左上部参照)により、下流側圧力がミキシングチャンバ6に空気を混入する管路23に介装された圧力ゲージ7D(図中の下部やや左寄り参照)により、検出されるようにした搬送システムである。出口弁4の上流側圧力と下流側圧力とを粉体の存在しない部位で検出することになって、圧力の検出精度が圧力ゲージ7u,7d(図1を参照)の場合よりは高められる。したがって、出口弁を開くタイミングを上流側圧力が下流側圧力に到達した時点に合わせる精度が上がり、気流摩擦の発生防止を格段に向上させることができる。下流側圧力の検出については、ミキシングチャンバ6が存在するからこそ可能となっていることが分かる。
【0078】
以上は、2ベッセル方式の搬送システムで説明した。そのシステムでは次で述べる1ベッセル方式に比べて輸送管に滞留する粉体は多くまた長くなる。これは輸送気流の圧力損失を大きくさせるから、搬送圧力は高く要求される。搬送圧力が高くなればベッセルでの加圧力を高く設定することができ、ひいては高濃度輸送運転、すなわち大量輸送となる利点が生じる。なお、輸送量(トン/時)や輸送距離(メートル)によって固気比やベッセル加圧力が異なることは言うまでもなく、上で表した数字は或る搬送プラントでの一例に過ぎない。
【0079】
図10は、圧送用ベッセルを1基とした搬送システムである。(a)は圧送用ベッセル2Bの系統を除去した構成であり、かつ、図9と同じ趣旨の箇所で圧力検出するようにした例である。この図では出口弁上流側圧力センサと下流側圧力センサは消去されている。出口弁4と輸送管3との間にミキシングチャンバ6を介装させ、出口弁4を通過した固気混合体にミキシングチャンバ6でさらに空気を混入させるようにしている。ミキシングチャンバ6へは同圧空気が混入されることになり、輸送管3に送られる粉体の浮遊性を高めて流動化を助長し、気流搬送の円滑化が図られるのは図1の場合と異ならない。
【0080】
図10の(b)はミキシングチャンバを設けていないシステムである。この場合、圧送用ベッセル2に空気を送る管路に介装された圧力ゲージ(本図(a)中の符号7U)やミキシングチャンバに空気を混入する管路に介装された圧力ゲージ(本図(a)中の符号7D)は存在しない例として描かれている。(a)の場合の圧送用ベッセル2における圧力変動チャートは図6の場合などと原理的に変わりがない。ただ、図11から分かるように、圧送用ベッセル2が排気・粉体受入れ態勢にある時間帯を他のベッセルからの搬送によりカバーしておくということはあり得ないから、その時間帯での輸送停滞の時間幅は図6に比べれば大きくなる。しかし、ミキシングチャンバ6でバイパス流40が混入されるかぎりは、輸送管3において積極的でないが気流搬送は継続され、輸送管内圧の低下は極めて鈍い状態においておくことができる。
【0081】
図10の(b)の場合は圧送用ベッセル2の排気・粉体受入れ・加圧態勢にあるときは輸送管3に空気が供給されないから、圧力の減少は進みやすい。図11の領域CT 中の実線68のように漸減する。しかし、図8の領域AT のところで述べた実線66の場合と同様な制御や挙動を呈させることができるのは述べるまでもない。
【0082】
ちなみに、図10の(a)の場合、輸送管3において気流搬送が開始されるまで、ミキシングチャンバ6へは、圧送用ベッセル2に搬送用空気を送っていた圧縮機5の下流側で分岐されて圧送用ベッセル2を迂回する通路を介して流れるバイパス流40が、圧送用ベッセル2における前回の気流搬送終了時圧でもって供給されるようにしておくことができる。輸送管内圧に等しいかそれに近い圧力の空気がミキシングチャンバ6内で粉体の流動化を果たさせることができる。それのみならず、出口弁4の下流側圧力を前回の気流搬送終了時圧もしくはそれに近い圧力に保っておくことができる。この圧力は輸送管内に及ぶから、滞留するプラグに刺激を与えて、搬送再開時の気流順応性を高めておくことができる。
【符号の説明】
【0083】
1…粉体、2,2A,2B…圧送用ベッセル、3…輸送管、3Q…外管、3R…内管、4,4A,4B…出口弁、5…圧縮機、6,6A,6B…ミキシングチャンバ、7u,7ub ,7U,7Ub …出口弁上流側圧力センサ、7d,7db ,7D…出口弁下流側圧力センサ、8…絞り弁、9…蝶弁、40,40b…バイパス流、52…噴出口、pu …上流側圧力、pd …下流側圧力(輸送管内圧)、α…設定許容幅圧力。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を加圧するとともに流動化を図る圧送用ベッセルと固気混合状態で気流搬送する輸送管との間に出口弁を配し、その出口弁を開閉制御する方法において、
前記輸送管は、プラグ状に内在する粉体を流動させながら目的地に向けて導く外管と、プラグ状粉体を崩壊させる激しい乱流を外管下半部に吹き出す噴出口を有して外管内部上方に配置された内管と、からなる二重管構造であり、
圧縮機から送られる加圧用気体でもって粉体が装入された圧送用ベッセルを加圧することにより、前記出口弁の上流側圧力が大気圧から上昇し始めても、前記二重管構造の輸送管に連なっているゆえに大気圧より高い状態にある下流側圧力に到達するまでは該出口弁を閉じたままにしておき、前記上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で前記出口弁が開かれ、前記圧送用ベッセル内の粉体を前記圧縮機から異なる経路をたどり引き続き送られる搬送用気体とともに出口弁を介して前記輸送管に送り、その継続した気流搬送の後に前記圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセルに搬送用気体を送るのを停止し、それと同時もしくはその直後に前記出口弁が閉じられるようにすることを特徴とする二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項2】
前記加圧用気体は圧縮機からの経路のうち絞り弁が介在されている経路をたどって圧送用ベッセルに送られ、前記搬送用気体は絞り弁が介在されない経路をたどって圧送用ベッセルに送られるものであり、加圧用気体による圧送用ベッセルの加圧は前記出口弁が開かれた時点で停止され、その後は搬送用気体が圧送用ベッセルに送られるようにすることを特徴とする請求項1に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項3】
前記出口弁が開かれるのを、出口弁上流側圧力が下流側圧力に到達した時点することに代えてベッセル加圧終了時とし、この加圧終了時の圧力を気流搬送停止のための搬送終了時輸送管内圧に等しくしておくことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項4】
前記出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバが介装され、前記出口弁を通過した固気混合体に前記ミキシングチャンバでさらに気体を混入させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項5】
前記ミキシングチャンバへは、輸送管において気流搬送されているとき、圧送用ベッセル内で昇圧した搬送用気体が粉体とともに供給され、この固気混合体に、前記搬送用気体を送っている圧縮機の下流側で分岐されて圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流が前記ミキシングチャンバで混入されることを特徴とする請求項4に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項6】
前記ミキシングチャンバへは、輸送管において気流搬送が開始されるまで、前記圧送用ベッセルに搬送用気体を送っていた圧縮機の下流側で分岐されて圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流が、圧送用ベッセルにおける前回の気流搬送終了時圧でもって供給されることを特徴とする請求項4に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項7】
前記圧送用ベッセルは2基が並列に設けられて輸送管にはそれぞれが直列に接続され、前記出口弁は各圧送用ベッセルと輸送管との間に配され、両出口弁が同時に開かれることはないようにしていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項8】
前記2基の圧送用ベッセルに送られる加圧用気体ならびに粉体の搬送用気体は、圧縮機下流の分岐管を介して両圧送用ベッセルへ交互に送られることを特徴とする請求項7に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項9】
各出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバが介装され、前記出口弁を通過した固気混合体に前記ミキシングチャンバでさらに気体を混入させることを特徴とする請求項6に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項10】
開いている出口弁に接続されているミキシングチャンバへは、輸送管において気流搬送されているとき、圧送用ベッセル内で昇圧した搬送用気体が粉体とともに供給され、この固気混合体に、前記搬送用気体を送る圧縮機から当該圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流が前記ミキシングチャンバで混入されることを特徴とする請求項9に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項11】
一方の圧送用ベッセルにおいて気流搬送を終了した時点では、その圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバへの前記バイパス流が止められ、直後に、加圧が開始された他方の圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバへは、輸送管において気流搬送が開始されるまで、前記一方の圧送用ベッセルに搬送用気体を送っていた圧縮機から前記他方の圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流が、前記一方の圧送用ベッセルにおける気流搬送終了時圧でもって供給されることを特徴とする請求項8に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項12】
前記上流側圧力は圧送用ベッセルに気体を送る管路に介装された圧力ゲージにより、下流側圧力は前記ミキシングチャンバに気体を混入する管路に介装された圧力ゲージにより検出されるようにしたことを特徴とする請求項4または請求項9に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項1】
粉体を加圧するとともに流動化を図る圧送用ベッセルと固気混合状態で気流搬送する輸送管との間に出口弁を配し、その出口弁を開閉制御する方法において、
前記輸送管は、プラグ状に内在する粉体を流動させながら目的地に向けて導く外管と、プラグ状粉体を崩壊させる激しい乱流を外管下半部に吹き出す噴出口を有して外管内部上方に配置された内管と、からなる二重管構造であり、
圧縮機から送られる加圧用気体でもって粉体が装入された圧送用ベッセルを加圧することにより、前記出口弁の上流側圧力が大気圧から上昇し始めても、前記二重管構造の輸送管に連なっているゆえに大気圧より高い状態にある下流側圧力に到達するまでは該出口弁を閉じたままにしておき、前記上流側圧力が下流側圧力に到達した時点で前記出口弁が開かれ、前記圧送用ベッセル内の粉体を前記圧縮機から異なる経路をたどり引き続き送られる搬送用気体とともに出口弁を介して前記輸送管に送り、その継続した気流搬送の後に前記圧送用ベッセル内の粉体が所定残存量となった時点で気流搬送を停止すべく、圧送用ベッセルに搬送用気体を送るのを停止し、それと同時もしくはその直後に前記出口弁が閉じられるようにすることを特徴とする二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項2】
前記加圧用気体は圧縮機からの経路のうち絞り弁が介在されている経路をたどって圧送用ベッセルに送られ、前記搬送用気体は絞り弁が介在されない経路をたどって圧送用ベッセルに送られるものであり、加圧用気体による圧送用ベッセルの加圧は前記出口弁が開かれた時点で停止され、その後は搬送用気体が圧送用ベッセルに送られるようにすることを特徴とする請求項1に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項3】
前記出口弁が開かれるのを、出口弁上流側圧力が下流側圧力に到達した時点することに代えてベッセル加圧終了時とし、この加圧終了時の圧力を気流搬送停止のための搬送終了時輸送管内圧に等しくしておくことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項4】
前記出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバが介装され、前記出口弁を通過した固気混合体に前記ミキシングチャンバでさらに気体を混入させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項5】
前記ミキシングチャンバへは、輸送管において気流搬送されているとき、圧送用ベッセル内で昇圧した搬送用気体が粉体とともに供給され、この固気混合体に、前記搬送用気体を送っている圧縮機の下流側で分岐されて圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流が前記ミキシングチャンバで混入されることを特徴とする請求項4に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項6】
前記ミキシングチャンバへは、輸送管において気流搬送が開始されるまで、前記圧送用ベッセルに搬送用気体を送っていた圧縮機の下流側で分岐されて圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流が、圧送用ベッセルにおける前回の気流搬送終了時圧でもって供給されることを特徴とする請求項4に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項7】
前記圧送用ベッセルは2基が並列に設けられて輸送管にはそれぞれが直列に接続され、前記出口弁は各圧送用ベッセルと輸送管との間に配され、両出口弁が同時に開かれることはないようにしていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項8】
前記2基の圧送用ベッセルに送られる加圧用気体ならびに粉体の搬送用気体は、圧縮機下流の分岐管を介して両圧送用ベッセルへ交互に送られることを特徴とする請求項7に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項9】
各出口弁と輸送管との間にミキシングチャンバが介装され、前記出口弁を通過した固気混合体に前記ミキシングチャンバでさらに気体を混入させることを特徴とする請求項6に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項10】
開いている出口弁に接続されているミキシングチャンバへは、輸送管において気流搬送されているとき、圧送用ベッセル内で昇圧した搬送用気体が粉体とともに供給され、この固気混合体に、前記搬送用気体を送る圧縮機から当該圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流が前記ミキシングチャンバで混入されることを特徴とする請求項9に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項11】
一方の圧送用ベッセルにおいて気流搬送を終了した時点では、その圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバへの前記バイパス流が止められ、直後に、加圧が開始された他方の圧送用ベッセルに接続されたミキシングチャンバへは、輸送管において気流搬送が開始されるまで、前記一方の圧送用ベッセルに搬送用気体を送っていた圧縮機から前記他方の圧送用ベッセルを迂回する通路を介したバイパス流が、前記一方の圧送用ベッセルにおける気流搬送終了時圧でもって供給されることを特徴とする請求項8に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【請求項12】
前記上流側圧力は圧送用ベッセルに気体を送る管路に介装された圧力ゲージにより、下流側圧力は前記ミキシングチャンバに気体を混入する管路に介装された圧力ゲージにより検出されるようにしたことを特徴とする請求項4または請求項9に記載された二重管式気流搬送システムにおける出口弁開閉制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−79117(P2013−79117A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218732(P2011−218732)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(310025188)プラント技研株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(310025188)プラント技研株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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