説明

二重膜膨らみ調整開閉農業用フイルム

【課題】輸送保管及び農業施設使用時コンパクトに収納でき、不要時短時間で膜内空気を膜外放出し、慣行の手動開閉器具や自動開閉装置を用いて開閉できる二重膜フイルムを提供する。
【解決手段】両幅全開又は長さ方向適当な位置に二分の一以上の適当な有孔開口部を有し、二枚重ねフイルムの中間に適当な送風チューブダクト6を設け、二重膜フイルム内面中央の外には適当な長さのT字形状ベロ付フイルム18が設けてある農業用二重膜フイルムの開口部の下周辺に適当に固定張り農業フイルム又は適当な下面チューブダクト3と両端固定した二重膜押さえチューブダクトで挟み、二重膜押さえチューブダクト3に送風する送風機11を設け、各々の送風機11より送風し二重膜押さえチューブダクト4の膨らみ圧と下面フイルム又は下面チューブダクト3の接触圧で、二重膜フイルム幅又は長さ方向の空気蓋形成をする二重膜膨らみ調整開閉フイルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農業ハウスに使用する農業用フイルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年暖房用燃料の高騰で、冬季に栽培する農産物の原価が高騰し、収入が半分以下になる等、農業経営に行き詰まりが起きている。このような条件下で、できるだけ現行設備を変更することなくできる対策として、農業用フイルムの多重被覆対策が採られているが、暖房消費の節約効果としては20から30パーセント程度の節約で、暖房燃料費の高騰を解決するまで至っていない。
特許第4012036号のハウス被覆用空気膜形成フイルムを用いて農業用ハウスを全面被覆すれば、慣行ハウスの40パーセント強の暖房燃料使用量節約も可能だが、特に冬季の厳寒期を除いてハウス栽培に適した室温管理を行うために、側面や肩上換気を行なうことが重要で、特許フイルムでは空気膜内の空気が阻害要因となって、開閉換気ができない課題があり一般普及していない。特開2005−333932の内張りカーテンを二重被覆して空気膜を形成し、開閉できる技術も開発されているが、制限されたハウス室内での空気膜の一定厚維持と膜内空気のタイムリーな空気抜きができていないことと膜厚を調整するために膜内空気を少量抜いて管理しているために、高密封の空気膜フイルムに比べて無加温条件では夜間平均温度が0.5から1℃低く、トマト栽培使用では5から10パーセント暖房燃料節約率が低くなる課題があった。
又特開2007−20492の農業用ハウスの複数エアーマット取付け方法も考案されているが、空気送風して膨らますのは容易だが、入れた空気が24時間以上だとか長時間かからないと膜外排出しない欠陥があり、一般普及に至っていない。現在開発されている空気膜はすべて空気膜内の空気抜きがタイムリーに行われていないため、空気膜の効用が生かしきれていない課題が存在し、一般普及に至っていない。空気層を有すフイルムは昭和40年代より開発されており、光が透って保温性が高いことは認められているが、輸送保管時のかさばりが大きく、既存の開閉装置を用いると収納が大きくなりすぎてハウス内の光線透過に支障をきたす等の課題があり、現場普及していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、二重被覆した農業用フイルムを必要とする時、設定した膨らみ厚の空気膜形成をし、不要な時、膜内空気を短時間で元の二重被覆に戻し、慣行一重被覆フイルム並の開閉換気が繰り返しおこなえ、輸送保管及び農業用施設での収納がコンパクトになる農業用二重膜フイルムを提供し、そのフイルム構成を用いてハウス内の内張り場面に使用し、空気膜単用使用より暖房燃料節約効果が高くなる手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
農業用二重膜フイルムの構成として、空気膜形成した膨らみ空気を膜外へ素早く排出し、膨らみを最大限大きく確保する手段として、排風開口部をフイルム両幅端全面又は長さ方向中央付近の二分の一以上又は長さ方向端辺の二分の一以上とした。開口部は広い程膜内空気の膜外排風が速く、全幅又は全長さが好ましく、特に排風に関しては、二重膜フイルムの長さ方向の位置に全長開口部を設けると、膜外へ出る空気の動く距離が短く、広くなるので膜内滞留空気が溜まりにくく、自然強制排風いずれにも適しており、開口部は広ければ広いほど自然排風時間が短く好ましい。
【0005】
二重膜フイルムの内面中央外に適当な長さのT字形ベロ付フイルムを設けると、内張りカーテン被覆時、二重膜フイルム中央を上から固定する作業が不要になる。この作業を行なうには、被覆したフイルムを再度中央までたくし上げて、固定し、固定後再度被覆しなおす作業が中央のベロを被覆したまま内側より固定するだけですみ、作業工程が2回省略できる利点があり、二重膜フイルムの上面フイルムの中央固定が不要になり、空気膜形成の膨らみが二重膜フイルム全面で構成できるようになる。
【0006】
二重膜フイルムの開口部より中央より位置の下面に、二重膜フイルムより長く適当な面を有す農業用フイルム又は適当な下面チューブダクトを固定して設けた上に両端を固定した二重膜押さえチューブダクトを設け、二重膜フイルムを挟んで被覆し、二重膜フイルムと二重膜押さえチューブダクトに空気を送風し、二重膜フイルム膨らみ内圧より二重膜押さえチューブダクト内圧が高くなる送風をおこなうと、二重膜フイルム内の空気は開口部より中央よりに設けた二重膜押さえチューブダクトを設けるので、開口部より中央よりの位置で二重膜フイルムの空気漏れのない蓋を構成することができる。二重膜押さえチューブダクトの両端を適当に固定しているので、二重膜フイルムを挟む下面フイルムとの圧着が強くなり、密着度が高くなる。下面固定農業用フイルムに適度に伸縮する農POフイルムを用いるとその密着がより強くなり、二重膜の蓋としての機能は高まり好ましく、傾斜や曲面に使用してもその柔軟性により、蓋機能が低下することがない。下面に下面チューブダクトを用いると上下の空気圧で圧着強度がより強化され、蓋としての圧着強度は高くなる。更にチューブダクトの空気圧が高くなるとゆがんで被覆していたチューブダクトが直線になって密着するので、二重膜フイルムの長さ方向に使用するのが適しており、特に内張りカーテン使用場面ではスライド開閉方式の使用に適している。二重膜押さえチューブダクトの送風を停止すると、チューブダクト内の空気が送風機に逆流し、内圧が下がり、蓋が外れ、二重膜内の空気が膜外に流出する。この結果慣行の開閉器具を用いた開閉ができるようになる。特に開口部の長さが長く、二重膜の膨らみ迄の距離が短い程、膜内空気の自然排風が早く、既存の開閉器具や装置を用いての開閉には膜内残存空気の負荷増が小さくなりより好ましい。
【0007】
二重膜フイルムの上面に送風機に直結した近接センサーを設けると、空気膜内の膨らみ厚上限を決めることができ、ハウス内の内張りカーテンやトンネルに使用して好ましいものになる。しかも近接センサーにより二重膜内に送風する空気量を二重膜フイルムの上面フイルムを浮かび揚がらすだけの最少の空気量で空気膜構成をするので、膜内圧は非常に低くなる。このために二重膜押さえチューブダクト送風機と二重膜フイルム送風機を同性能のものを使用しても二重膜押さえチューブダクト内圧が送風機の性能をほぼ100パーセント発揮するので、二重膜押さえチューブダクト内圧が二重膜フイルム内圧より常に高い状態になるので、空気膜蓋機能を発揮し、空気膜形成が完成する。二重膜フイルムの中間層にフイルムの長さの中間位置に排気口のある送風チューブダクト又は送風機から送風管を設けて直接二重膜に送風すると二重膜の膨らみが中央から膨らみを開始し、二重膜両端末に同じスピードで同じ膨らみをもって膨らみ、二重膜前後の膨らみ形状が同じになる。さらに送風チューブダクトを設けて送風すると、送風機から二重膜フイルムの中央まで送風配管が不要になり便利である。二重膜フイルムの中央からでなく、長さ方向端末から送風すると送風する周辺のみ早く膨らみを開始し、奥行きまで同じ厚さの膨らみにならず、横から見ると鯨の背形状になり、不均一な膨らみ形成をなし、保温性、美観に劣る空気膜形成をするようになるので特に内張りカーテンやトンネルに使用する場面には適していない。
【0008】
内張りカーテンに二重膜フイルムを使用する場合、農業用ハウス内の湿度の高い空気を日々送風するので、空気膜内が高湿度になり、結露水が溜まる。この対策として二重膜フイルムの両側辺端に適当な幅の不織布を膜内に挟み、適当にシールをすると結露水が不織布に吸着され、不織布の毛管水現象で膜外に排出し、不織布吸着量を越える量になることはなく、二重膜フイルム内に結露水が溜まることは回避できる。この場合、二重膜フイルムの被覆は適度に傾斜していることと不織布は防曇処理が施してあることが好ましい。
【0009】
暖房機を使用する場面で、内張りカーテンとして二重膜フイルムを使用する場合、二重膜フイルム内送風の送風機吸入口を暖房機の煙突周辺や暖房機の近く或いは暖房機のダクトより直接分岐した暖風を吸入する位置に設置し、二重膜フイルム被覆内平均室温より高い空気温度の空気を二重膜フイルム内に送風すると、膜内温度が二重膜フイルム被覆内平均室温より高くなるので、二重膜フイルム被覆内室温の室外放射が少なくなり、暖房機の稼動時間が減少し、二重膜フイルム空気膜構成による暖房消費量節約にプラスの効果が発揮できる。慣行の暖房機によるダクト配管による暖かい空気の拡散と異なり、ハウス内面全体を暖かい空気膜層で覆うので、ハウス全体の温度ムラが少なくなり、作物の生育も均平化し、温風ダクト配管による温度ムラの補完をする。
【発明の効果】
【0010】
課題解決手段を行うと、以下の効果が発生する。
農業用二重膜フイルムの膨らみがフイルム長さ中央を中心に緩い曲線状に前後均一に、設定した厚み以下で膨らみ、制限された施設内に設置し、施設の天井やトラスその他農業ハウスに必要な付帯備品等に接触することなく空気膜にすることができる。農業用二重膜フイルムの側面には適当な不織布を設けておくと、ハウス内より送風した空気による湿度の蓄積による結露水を不織布が吸着し、空気膜内に結露水を溜らなくする効果があり、更に結露水の溜りによる開閉装置が均一に動かなくなる不具合課題が解決する効果がある。近接センサーで二重膜フイルム膨らみ厚を制御すると、膜内に送風する空気容量が決まり、送風機の性能の影響は膨らみの早さだけで、空気膜内圧は送風機の送風性能より常に低いため、送風機の送風性能を100パーセント受入する二重膜押さえチューブダクトと比べると、同じ性能の送風機を用いて送風した場合、二重膜押さえチューブダクト内圧は二重膜フイルム内圧より常に高く、二重膜フイルムの閉蓋を構成することができる。合成樹脂フイルムのチューブダクトを使用するので、曲面や傾斜にも対応できる蓋になり、長さの長い場面での使用は空気厚でチューブダクトの前後が適当に固定してあれば直線になり蓋になる。下面に下面チューブダクトを用いると二重膜押さえチューブダクトとの密着性はその空気圧で高まり、蓋機能は強固になり、二重膜フイルム内の空気漏れはなくなり、空気漏れのない空気膜になり、空気漏れによる保温性低下のない高保温性の空気膜になる。又、二重膜押さえチューブダクトへの送風を停止するとチューブ内に押し込んだ空気が逆流して蓋機能が停止し、二重膜フイルム内の空気が全幅又は長さ方向二分の一以上の広い開口部を通って膜外に流出する。この結果二重膜両側端面に二重膜押さえチューブダクトを配した場合、慣行の巻上げ器具を用いて膜内の残存空気を押し出すので慣行一重被覆同様送風チューブダクト位置まで巻き上げ開閉できる。
外張り空気膜フイルムの側面フイルムを二重被覆し、両妻面に二重膜押さえチューブダクトを設けると、側面空気膜ができ、外張り空気膜フイルムの側面からの冷え込みが少なくなり、側面フイルムとの重ね代からの隙間風侵入がなくなり、ハウスの密閉性が高くなり、保温性低下を最小にする効果を発揮する。ハウス内が高温になった時は、慣行同様の巻上げ管理ができるので、慣行ハウスより保温性が高く、高温対策管理が容易に行える環境条件を備えた農業用ハウスを作り出す効果がある。
内張り空気膜として被覆し、送風機の送風吸入口に暖房機周辺の余熱の生じる位置又は暖房機の温風をダクトより直接分岐して引いて、二重膜フイルム内に送風し、膜内空気温度高くすると、適当にハウス内設置した送風機による送風で構成した空気膜形成による保温性強化よりも被覆室内温の室外放射が少なくなり、この結果暖房機の稼動時間が減少し、暖房消費量も減少する。このため暖房の節約効果が空気膜形成よる節油効果より高くなり、より高効率の暖房節約効果がはかれるようになる。しかも乾燥した暖かい空気を空気膜内に送るので膜内結露が発生しなくなる効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明を実施するための最良の形態を、以下図−1を用いて説明する。
農業用ハウス8内に設けた両妻面に設けた内張り支柱25の両妻面に適当な農業用フイルム28を固定張りし、支柱峰のフイルム開口部28より下がった両側に下面チューブダクト3を支柱の長さ固定被覆しておく、その上にT字形ベロ付フイルム18と内面フイルム2の中央を挟んで両側に楕円形の
長さ方向連続有孔を有す内面フイルム2と外面1内面2フイルムの中間にフイルムの長さの中間に排気口を有す送風チューブダクトを設け、両幅面は適当に熱シールしてある農業用二重膜フイルムを被覆し、中央内張り支柱26にT字形ベロ付フイルム18を固定具19で二重膜フイルムの被覆内側より固定する。この二重膜フイルムの上には二重膜押さえチューブダクトを内張り支柱の峰を挟んで両側に固定した下面チューブダクト3の上に設け、すべてのチューブダクトを送風管5で繋ぎ、送風機12で送風するように取り付けておく。この時二重膜押さえチューブダクト4の両端は適当に固定しておく。二重膜フイルムの上には、膨らみ調整盤10に直結した磁気近接センサー9が設けてあり、その下には、近接センサー感知板14を上面フイルム1に適当に貼り付け、膨らみ調整盤10は送風機11に直結し、その送風機11の空気吸入口21は暖房機17の煙突15周辺に設けておく。膨らみ調整盤10には二重膜押さえチューブダクト送風機とも直結し、電源スイッチのみ共有しておき、電源入れ2台の送風機を動かし送風を開始し、二重膜フイルム送風管16から送風チューブダクト6を経由し、二重膜フイルム内に送風を開始すると二重膜フイルムの長さ方向中央位置に設けた送風チューブ排気口7より、膨らみを開始し、二重膜フイルムの両幅面に向かって同じスピードで膨らみ、二重膜押さえチューブダクト4と下面チューブダクト3との膨らみ圧着で二重膜フイルム長さ方向蓋をし、空気膜を形成する。膨らみ調整盤10の電源を切ると、二重膜チューブダクトの空気が送風機に向かって逆流し、二重膜の押さえ蓋が開き、二重膜フイルムの膨らみ空気が膜外に流出し、慣行一重並の開閉ができるようになる。
【発明の効果】
【0012】
この最良の発明形態を用いると、両幅開口部を設けた二重膜と異なり、送風配管が電源周辺のみでよく、コストと作業性が向上し、開口部が長さ方広くて、有孔なので大きく、膜外排風時の排出量が多く、幕ない空気の移動が幅方向と短いので、自然排風で、短時間で空気抜けができ、巻き上げて強制
排風する時も空気抜けが良いので低い負荷で開閉できる。膨らみ形成では上下にチューブダクトの膨らみ圧を利用するので接触圧は高くなり、空気漏れは少なくなる。又、直線上を接触するので、空気圧が骨となり長い長さであっても接触ずれが起こる可能性は低い。近接センサーは磁気センサーを用いるので、外面フイルムに負荷をかけることなく膨らみ形成ができるようになる。感知板に薄肉のワッシャーを用いれば、感知板の重みでフイルムのへこみが最低になり、膨らみ形成に異常をきたすことはない。T字形ベロ付フイルムで内面よりフイルム固定をするので、フイルム被覆に当たっての作業効率がよくなる。近接センサーを使用するので空気膜厚が施設の形状に合わせて膨らみ調節ができるようになる。
近接センサーと送風機が膨らみ調整盤を通して直結しているので膜内送風量が限定され、同じ能力の送風機を使用すると二重膜送風の空気圧が低く常に送風機のフル能力をして膨らむチューブダクト送風の空気圧より常に低くなる。このため、二重膜の膨らみ空気が膜外流出することはなく、膨らみ形成ができる。又暖房機の煙突周辺の暖かく乾燥した空気を送風するので二重膜内の温度が高く推移し、高い保温性を維持し、暖房稼動時間が少なくなり、ハウス内の温度ムラが小さくなる。しかも乾燥した空気を送風するので、膜内結露水の発生は減少する。
【実施例1】
【0013】
福島県いわき市にて間口3m奥行き8mの大きさのハウスを設け、フレームアーチ長4.2m奥行き6mの内張りフレームに、両妻面幅1mの75ミクロン厚農POフイルムを固定張りし、その上に外面50ミクロン厚の農POフイルム内面に75ミクロン厚の農POフイルム配し、両幅無シールで両側面を熱シールし、内面フイルム中央外に幅15センチのT字形ベロ付フイルムを設け、両端より1.2m中央よりの位置より外内面の中間に折径10cmフイルム中央3m位置に排気口を有す農POフイルム製チューブダクトを設けた幅4.2m長さ6mの二重膜フイルムを被覆し、地際に設けた巻き上げ機具付パイプに両側辺端をバッカーで固定した。下面固定張りした農POフイルムと二重膜フイルムの上に農POフイルム製折径30cm長さ4.4mの二重膜押さえチューブダクトを設け、両端をスプリングで固定し、ハウスの側面に40ミリ径の塩ビ管を設け、前後に配した二重膜押さえチューブダクトを繋ぎ、二重巻く押さえチューブダクト専用送風機にジョイントした。二重膜フイルムはフレームの中央パイプに内側よりT字形ベロ付フイルムをパッカーで固定した。二重膜フイルムの上面には膨らみ厚が最大30センチになる位置に、磁気に反応する近接センサーを配し、その下に薄肉厚のワッシャーを補修テープで外面農POフイルムに貼り付けた。近接センサーは膨らみ調整盤に直結し、二重膜送風機はこの膨らみ調整盤に直結し、折径10センチの送風チューブダクトに二重膜送風機に固着した送風管で繋ぎ、二重膜送風とチューブダクト送風を同じ電源から送風を開始して空気膜にした。40ワットの送風機を用いた結果、チューブダクトの膨らみ内圧は250パスカルで、二重膜空気膜内の膨らみ内圧は最大10パスカルで空気膜形成がされていた。
空気の漏れは二重膜フイルムを折って補修テープで密封し、その膨らみ具合で空気漏れの確認をした結果、膨らまなかったので空気漏れはないものと判断した。又、[参考資料−2]の条件下で空気漏れを起こした内張り二重膜フイルムと空気漏れのない内張り二重膜とを比べた結果、空気漏れを起こしても二重膜の膨らみが維持できていれば、慣行一重被覆よりも被覆内夜間室温は1℃程度高くなる傾向はあるが、空気漏れのない二重膜フイルムと比べると1℃夜間室温が低くなり、暖房燃料消費量
削減効果は空気漏れ度合いで異なるが5から10バーセント低くなる結果であった。
また北海道蘭越町にてフイルム幅9.2m長さ70mのフイルムを用いて現場実証した場合も同様の結果であり、送風停止と同時に巻き上げ開始を行うと慣行一重巻き上げの1.2倍の負荷増で巻き上げ開閉できた。また膜内圧が3から5パスカルの時は1.1倍程度であり、膨らみ厚が小さい程巻上げ負荷増が小さく慣行一重巻き上げに近い負荷の結果であり、日々の開閉管理には支障ない結果であった。
【実施例2】
【0014】
福島県いわき市にて間口3m奥行き8mの大きさのハウスに、フレームアーチ長4.2m奥行き6mの内張りフレームに、送風配管の取り付けを少なくし、自然排風で空気膜外へ短時間で放出する対策として、フレーム中央支柱を挟んで10センチ下の位置に折径30センチのポリエチレン製下面チューブダクトをフレームの長さ方向固定して設け、外面50ミクロン厚内面75ミクロン厚の幅方向熱シールし、フイルム中央内面フイルムの外側には幅10センチのT字形ベロ付フイルムを設け、内面フイルムの中央付近には長さ方向幅2センチ長さ3センチの楕円形の有孔穴が連続して長さ方向50パーセント設けてあり、内面フイルムと外面フイルムの中間にはポリエチレン製の折径15センチのチューブダクトがフレームの中央の長さ設けてあり、その中央より排気する排気口が設けてある二重膜フイルムを内張りフレームに被覆し、T字形ベロ付フイルムをフイルム被覆した内側より、中央フレームにパッカーにて中央固定し、フイルムの両側面は慣行使用の巻上げパイプを取り付け、1から2回巻した状態にし、二重膜の上から下面チューブダクトの上にポリエチレン製の二重膜押さえチューブダクトを被覆した。被覆したチューブダクト上には、け、膨らみ厚が最大30センチになる位置に磁気センサーを設け、その近接センサーの下には外面フイルムの上に10センチ四方の薄肉鉄のワッシャーで構成する感知板を補修テープで貼り付ける。送風機は二重膜送風用とチューブダクト送風用の各々専用送風機を2台準備し、特に二重膜送風用送風機は暖房設備の余熱取入れ可能な場所に設置した。
以上の条件下で、二重膜送風用送風機は二重膜の送風ダクトに、チューブダクト送風用送風機は各々のチューブダクトに送風管を通して直結し、送風を開始すると近接センサー接触位置まで二重膜が膨らみ、送風を停止直後に側面に取つけた巻上げパイプで巻き上げると慣行一重並の低い負荷で巻き上げができ、広い開口部の排風効果実証とフイルムの長さの配管省略ができ、フイルム幅排風よりも自然排風時間が20分以上短縮できる結果が確認できた。
【実施例3】
【0015】
福島県いわき市にて間口3m奥行き8mの大きさのハウスを2棟設け、[0013]記述と同被覆をし、その中で送風機を同じ高さで同じ位置に設け、二重膜送風機の真下にオイルヒーターを設けたハウスとオイルヒーターをハウス中心より等距離離した位置に設け、室温をハウス内の中心地上50センチ位置、送風温度を送風機吸入口位置で、空気膜内温度を膜内2m位置で調査すると[参考資料−1]の結果であり、17時から翌朝5時までの平均温度がオイルヒーターの真下送風で室温が1.2から1.4度高く、空気膜内温度も2.1度高く、送風口温度は5.9度高い結果であり、空気膜送風温度がハウス内の室温高保持影響があり、暖房効率を上げる可能性が示唆できる結果であった。また、送風温度は測っていないが、暖房機の煙突横から送風した島根県のブドウハウスでは暖房消費量が慣行ハウスと比較した結果49パーセント削減した実証例があり、外張り空気膜と比較して、9から10パーセント高い結果もでている。この活用手段は、外張り一重被覆がしてある内張りカーテン又はトンネルの二重膜に有効で、外張り空気膜では、開閉による暖かい空気の入れ替えがなく更に外気の影響を強く受け膜内温度の低下が早いので適していない結果を確認した。
【その他の利用分野の可能性】
【0016】
農業用空気膜ハウスの肩上巻き上げ換気フイルム及び側面巻上げ開閉フイルムを二重被覆し、その両妻面に二重膜押さえチューブダクトを設け、二重被覆した巻上げフイルムを膨らませた膜内圧より高い送風圧となる送風機で二重膜押さえチューブダクトを膨らませ、慣行ハウスのように巻き上げ開閉して農業用ハウスを適温調節し、高い保温性を保持した隙間風の侵入しない農業用ハウスにする。この結果農業用空気膜ハウスの欠点を解決し、全面を二重被覆して周年活用できる農業用ハウスにすることができる。
【0017】
このフイルムは二重でなく三重以上でも構成でき、どんな農業用フイルムでも可能である。一例を挙げれば、低ガス透過性フイルムを二重被覆し、空気膜を構成すると、送風一回で翌朝まで膨らみを保持することが可能になり、膜内を静止空気層にすることができ保温性能をより高める可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】中央付近長さ方向連続有孔開口部付農業用二重膜フイルムを内張りカーテン被覆し、二重膜フイルムの上下をチューブダクトで挟み膨らみ形成をした状態
【図2】両全幅開口部の農業用二重膜フイルムを内張りカーテン被覆し、二重膜フイルムの下面に農業用フイルムを設け、上面にチューブダクトを設けて上下で挟み、膨らみ形成をした状態
【図3】中央付近長さ方向連続有孔開口部付農業用二重膜フイルム断面斜視図
【図4】全幅面開口部の農業用二重膜フイルム断面斜視図
【符号の説明】
1 二重膜外面フイルム
2 二重膜内面フイルム
3 下面チューブダクト
4 二重膜押さえチューブダクト
5 二重膜押さえチューブダクト送風管
6 二重膜送風チューブダクト
7 送風チューブダクト排気口
8 農業用ハウスフレーム
9 近接センサー
10 二重膜膨らみ調整盤
11 二重膜送風機
12 二重膜押さえチューブダクト送風機
13 巻き上げ開閉器具
14 近接センサー感知板
15 暖房機煙突
16 二重膜フイルム送風管
17 暖房機
18 T字形ベロ付フイルム
19 T字形ベロ付フイルム固定具
20 近接センサーコード
21 送風機空気吸入口
22 巻き上げパイプ
23 不織布
24 農業用二重膜フイルム全幅面排気開口部
25 アーチ内張り支柱
26 中央内張り支柱
27 送風機コード
28 下面固定農業用フイルム
29 農業用二重膜フイルム長さ方向連続有孔排気開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適当に二重被覆した適当な農業用フイルムの両全端又は長さ方向中央付近あるいは一端辺が二分の一以上の長さ無シール或いは適当形状有孔の排気開口部を設けたものであって、二重被覆内面農業用フイルムの中央外面にT字形に突きでたベロ付フイルムを設けているものもあり、二重被覆フイルムの中間層にはフイルムの長さ半分の位置に送風排気口を有した適当な合成樹脂フイルム送風チューブダクト或いは適当な送風口が設けてあり、送風チューブダクトは適当な長さ内面フイルム外側を経由して中間層に入り適当に内面フイルムに固着しているものもあり、二重被覆フイルムの長さ方向端辺には適当な不織布が固着してあるものもある農業用二重膜フイルム。
【請求項2】
〔請求項1〕記載の二重膜フイルムの排気開口部より適当に中央よりの下面位置に、妻面または長さ方向より適当に長く適当な大きさの農業用フイルム又は適当な形状の適当な合成樹脂フイルムの下面チューブダクトを適当に固定して設け、その上面に両端末を適当に固定した適当な形状の適当な合成樹脂フイルムの二重膜押さえチューブダクトを重ねて被覆し、二重膜フイルムをサンドイッチし、その二重膜フイルム上面には二重膜フイルムに送風する送風機に直結した近接センサーが適当な高さで設けてあるものもあり、少なくとも二重膜押さえチューブダクトの膨らみ圧が二重膜フイルム空気膜形成膨らみ内圧より高圧であり、二重膜チューブダクトの膨らみが二重膜フイルム開口部の閉蓋になり、送風停止で開蓋になっていることを特徴とした農業用二重膜フイルム膨らみ調整装置。
【請求項3】
農業用ハウス内の平均室温より高い温度を有す暖房機周辺の空気又は暖房機より出る温風を直接適当なチューブダクトを介して適当に設置した送風機より二重膜内に暖風を送風し、〔請求項1〕〔請求項2〕記載の農業用二重膜フイルムの空気膜形成を行なった内張りカーテン及びトンネルフイルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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