説明

交差2面開閉横引シャッター

【課題】 横引シャッターの交差2面の直線部を結ぶ方向転換湾曲部の曲率半径を縮小する。
【解決手段】 脱出ヒンジ15の振止水平ローラー3を案内する上枠41内の振止ガイド62を、方向転換湾曲部43のみにおいて不存在として脱出ヒンジ変位許容部44を配置し、該湾曲部43を通過する脱出ヒンジ15を上枠41の見込方向中心から変位し、その円弧に対して弦をなす、脱出ヒンジ15連結の隣接する縦長パネル13の接点を円弧中心側に移動し、該接点を通る円弧によって方向転換湾曲部43を形成し、同一構成の横引シャッターSのままその曲率半径を縮小する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばショッピングセンター、地下街等の店舗や公共施設の開口部に設置使用する横引シャッターに関し、特に開口部が交差2面に及ぶ箇所に設置することによって該交差2面に亘って開閉するようにした交差2面開閉横引シャッターに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の横引シャッターとして、本出願人の下記特許文献1が知られており、これによれば、該横引シャッターは、開閉方向に交互に配置した走行ヒンジと脱出ヒンジによって縦長パネルを蛇腹状折畳自在に連結したシャッター本体と、上記走行ヒンジに設置したハンガーローラーをガイドレールに走行自在に配置し且つ上記脱出ヒンジに設置した振止水平ローラーを該ガイドレール下位に該振止水平ローラーに対接するように見込方向に突出配置した振止ガイドによって案内するシャッター枠を備えたものとされ、上記振止ガイドは、例えば、振止水平ローラーを見込方向前後で挟持するようにガイドレール下位に対向方向に突出配置した対向一対のものとされている。この場合、シャッター本体を単一面で開閉するものとされるが、ガイドレールの開閉方向中間に方向転換湾曲部を介設することによって、シャッター本体の開閉を交差2面で行うようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−33660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、交差2面に亘るものとすれば、交差2面の開口部に設置して、シャッター本体を開閉自在に配置して、例えば交差一方をフルオープンとし、交差他方に蛇腹状折畳みのための戸袋スペースを配置する如くに用いることができるが、上記構造のものとすることによって、走行ヒンジと脱出ヒンジは、シャッター枠の直線部、方向転換湾曲部を問わずに、常にその見込方向中央線上に位置した状態で走行するために、その開閉方向中間の方向転換湾曲部の曲率半径が比較的大きいものとなり、このために、該方向転換湾曲部を設置するコーナーに上記曲率半径に応じた半径スペースを必要とするところ、例えば店舗のように、設置場所によっては、開口部付近のコーナーに、商品の展示や保管をなし得ない利用不可能のデッドスペースをなす如くに開口部の面積活用を妨げられるという傾向を招き易い。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、上記走行ヒンジと脱出ヒンジを有する同一構成の横引シャッターを用いながら、交差2面間の方向転換湾曲部の曲率半径を適宜に縮小し開口部の面積活用を可及的有効になし得るようにした交差2面開閉横引シャッターを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は、上記縦長パネルを蛇腹状折畳自在に連結した走行ヒンジのハンガーローラーは該走行ヒンジに回転自在であるため、該走行ヒンジは方向転換湾曲部の曲率半径の如何を問わずに該方向転換湾曲部を通過し得る一方で、脱出ヒンジの振止用水平ローラーは該脱出ヒンジに水平に軸支したものであり、その方向転換湾曲部の通過時には、該脱出ヒンジによって連結した隣接する縦長パネルが伸張状態に拘束され、該連結パネルと隣接する縦長パネルの合計横幅が方向転換湾曲部における曲線の円弧に対して所定の弦長さをなしており、方向転換湾曲部の曲率半径は、該弦長さを通過し、その方向転換し得るものとする必要があること、このとき、該隣接する縦長パネル間の脱出ヒンジのシャッター枠内の移動軌跡の位置を、方向転換湾曲部においてその見込方向中心線、即ち、円弧の中心線より見込方向に向けて変位すれば、上記所定の弦長さを有する上記脱出ヒンジによって連結した隣接する縦長パネルをそのまま用いても、方向転換湾曲部の曲線に対する上記弦長さを短寸化した如くに、方向転換湾曲部の円弧に対する弦両端の接点、即ち、走行ヒンジと隣接する各縦長パネルの軸支点が中心側に移動するために、該接点を通る円弧の方向転換湾曲部とすれば、該円弧、即ち方向転換湾曲部の曲率半径を縮小可能となる上記脱出ヒンジで連結して伸張状態に拘束した隣接する縦長パネルの通過に支障は生じないことから、上記方向転換湾曲部に該脱出ヒンジを変位する脱出ヒンジ変位許容部を配置して、該方向転換湾曲部における脱出ヒンジを、上記円弧の中心線より見込方向に向けて変位可能として、脱出ヒンジで連結して伸張状態に拘束した隣接する縦長パネルの弦両端の接点を中心側に移動することによって、該変位量に応じて該方向転換湾曲部の曲率半径を縮小し得るようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、開閉方向に交互に配置した走行ヒンジと脱出ヒンジによって縦長パネルを蛇腹状折畳自在に連結したシャッター本体と、上記走行ヒンジに設置したハンガーローラーをガイドレールに走行自在に配置し且つ上記脱出ヒンジに設置した振止水平ローラーを該ガイドレール下位に該振止水平ローラーに対接するように見込方向に突出配置した振止ガイドによって案内して開閉方向中間の方向転換湾曲部を介して上記シャッター本体を交差2面に対して開閉自在に吊り支持したシャッター枠を備えた横引シャッターであって、上記シャッター枠の脱出ヒンジに設置した振止水平ローラーに対接する振止ガイドを上記方向転換湾曲部において短寸化又は不存在とすることにより、隣接して伸張拘束した縦長パネル間の上記脱出ヒンジをシャッター枠の見込方向片側一方に変位通過自在とする脱出ヒンジ変位許容部を配置することによって、同一構成の横引シャッターを用いつつその上記方向転換湾曲部の曲率半径を縮小変更してなることを特徴とする交差2面開閉横引シャッターとしたものである。
【0007】
請求項2及び3に記載の発明は、上記に加えて、横引シャッターの折畳みを内側、例えば店舗の店内側に行う如き内側折畳み形態のものとし、また、外側、例えば店舗の廊下側に行う如き外側折畳み形態のものとするに際して、それぞれ上記脱出ヒンジ変位許容部の配置を好適なものとするように、請求項2に記載の発明を、上記横引シャッターをシャッター枠の内側に蛇腹状に折畳自在の内側折畳み形態とし且つ上記脱出ヒンジ変位許容部を、方向転換湾曲部の内側配置の振止ガイドの短寸化又は不存在とすることによって形成してなることを特徴とする請求項1に記載の交差2面開閉横引シャッターとし、請求項3に記載の発明を、上記横引シャッターをシャッター枠の外側に蛇腹状に折畳自在の外畳み形態とし且つ上記脱出ヒンジ変位許容部を、方向転換湾曲部の外側配置の振止ガイドを短寸化又は不存在とすることによって形成してなることを特徴とする請求項1に記載の交差2面開閉横引シャッターとしたものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、曲率半径の縮小変更を、好ましい範囲のものとして、横引シャッター設置の対象を拡大し得るものとするように、これを、上記曲率半径の縮小変更を、800〜300mmの範囲としてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の交差2面開閉横引シャッターとしたものである。
【0009】
なお、本発明においてシャッター本体を開閉自在とする交差2面とは、直線と直線のガイドレールが交差する形態の他、例えば、店舗の正面部位が湾曲し、これに交差する戸袋部位が直線である場合のように、曲線と直線のガイドレールが交差する交差する形態の双方を含む意味に用いる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、方向転換湾曲部に該脱出ヒンジを変位する脱出ヒンジ変位許容部を配置して、該方向転換湾曲部における脱出ヒンジを、上記円弧の中心線より見込方向に向けて変位可能として、脱出ヒンジで連結して伸張状態に拘束した隣接する縦長パネルの弦両端の接点を中心側に移動することによって、該変位量に応じて該方向転換湾曲部の曲率半径を縮小し得るようにして、上記走行ヒンジと脱出ヒンジを有する同一構成の横引シャッターを用いながら、交差2面間の方向転換湾曲部の曲率半径を適宜に縮小し開口部の面積活用を可及的有効になし得るようにした交差2面開閉横引シャッターを提供することができる。
【0011】
請求項2及び3に記載の発明は、上記に加えて、横引シャッターの折畳みを内側、例えば店舗の店内側に行う如き内側折畳み形態のものとし、また、外側、例えば店舗の廊下側に行う如き外側折畳み形態のものとするに際して、それぞれ上記脱出ヒンジ変位許容部の配置を好適なものとすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、曲率半径の縮小変更を、好ましい範囲のものとして、横引シャッター設置の対象を拡大し得るものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】横引シャッターの正面図である。
【図2】横引シャッターの中間を省略した横断面図である。
【図3】図1のA‐A線縦断面図である。
【図4】図2のB‐B線縦断面図である。
【図5】方向転換湾曲部とシャッター本体の関係を示す横断面図である。
【図6】方向転換湾曲部と脱出ヒンジの関係を示す縦断面図である。
【図7】方向転換湾曲部と縦長パネルの関係を示す縦断面図である。
【図8】方向転換湾曲部と走行ヒンジの関係を示す縦断面図である。
【図9】外側折畳み形態の方向転換湾曲部とシャッター本体の関係を示す横断面図である。
【図10】方向転換湾曲部と脱出ヒンジの関係を示す縦断面図である。
【図11】方向転換湾曲部と縦長パネルの関係を示す縦断面図である。
【図12】方向転換湾曲部と走行ヒンジの関係を示す縦断面図である。
【図13】脱出ヒンジの横断面図である。
【図14】脱出ヒンジ変位許容部の非配置の方向転換湾曲部とシャッター本体の関係を示す横断面図である。
【図15】方向転換湾曲部と脱出ヒンジの関係を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図中Sは交差2面開閉横引シャッターであり、該横引シャッターSは、開閉方向に交互に配置した走行ヒンジ14と脱出ヒンジ15によって縦長パネル13を蛇腹状折畳自在に連結したシャッター本体1と、上記走行ヒンジ14に設置したハンガーローラー2をガイドレール61に走行自在に配置し且つ上記脱出ヒンジ15に設置した振止水平ローラー3を該ガイドレール61下位に該振止水平ローラー3に対接するように見込方向に突出配置した振止ガイド62によって案内して開閉方向中間の方向転換湾曲部43を介して上記シャッター本体1を交差2面に対して開閉自在に吊り支持したシャッター枠4を備えたものとしてあり、本例にあって該横引シャッターSは、シャッター枠4を上枠41と開閉方向両端の吊元側及び戸当り側の縦枠45によるものとし、シャッター本体1を該上枠41のガイドレール61に吊り支持することによって、その開閉を行うようにした、下枠省略のノンレールのものとし、横引シャッターS設置開口部の床面をフラット面としたものとしてある。
【0015】
本例にあって該横引シャッターSは、そのシャッター本体1、シャッター枠4を、いずれもアルミ押出材に切断、穴あけ、曲げ等の所定の加工を施して構成したアルミ製のものとしてあり、本例のシャッター本体1は、上下左右の框材を框組みして、その中框の上下にガラス、樹脂、金属等適宜のパネルを配置して形成した縦長パネル13を、開閉方向交互配置の走行ヒンジ14と脱出ヒンジ15によって連結し、その開閉方向両端に吊元框11及び走行框12を配置することによって、上記ヒンジ14、15によって内外に蛇腹状の折畳みを行うようにしたものとしてある。
【0016】
本例の走行ヒンジ14及び脱出ヒンジ15は、開閉用引手兼用の中空基部の両側にヒンジ一方の支軸17を突出した縦長パネル13の連結枠をなすヒンジ本体16と、該縦長パネル13の縦框の側面に一体に突出して上記支軸17に回動自在に嵌合した軸受18によって、これを形成した所謂アルミ全面ヒンジによるものとしてあり、本例にあって該走行ヒンジは、その最大拡開時の外角、即ち、縦長パネル13が最大限反ったときの該縦長パネル間の角度を150〜180°、例えば170°としてある。
【0017】
走行ヒンジ14には、一対のローラーを前後に軸支し且つその支軸の長手方向中央位置に鉛直軸を配置したハンガーローラー2を、該鉛直軸を回転自在に連結することによって、該ハンガーローラー2を上方に向けて突出してあり、また、脱出ヒンジ15には、鉛直軸の上端に単一のローラーを回転自在に水平に軸支した振止水平ローラー3を、該鉛直軸を連結することによって、該振止水平ローラー3を同じく上方に向けて突出してあり、このとき、ハンガーローラー2は、これを上位に、振止水平ローラー3は、これを下位に位置するように上下に段差を介して配置することによって、後述の上枠41のガイドレール61の高さにハンガーローラー2が、振止ガイド62の高さに振止水平ローラー3がそれぞれ位置するようにしてある。このとき、上記吊元框11及び走行框12にもハンガーローラー2を設置し、これらを走行ヒンジ14と同様にガイドレール61に吊支持するものとしてある。
【0018】
シャッター枠4の上枠41は、上記ガイドレール61と振止ガイド62を有する交差2面の直線部42と、その間の方向転換湾曲部43を備えたものとしてあり、このとき、上記ガイドレール61は、見込方向中央位置にハンガーローラー2の上記連結軸を通過する空間を配置して水平に突出した離隔一対のフィン状のものとし、振止ガイド62は、該ガイドレール61下位の見込方向片側に突出配置した同じくフィン状のものとしてある。
【0019】
本例にあって上枠41は、上枠本体5と、該上枠本体5にガイドレール61と振止ガイド62を形成するレール部材6によって形成してあり、このとき、上枠本体5は、上枠41の直線部42において断面下向きC字状にして天板から垂下した対向壁の内側上下に、例えば断面L字状の係合条をそれぞれ配置した一体成形のものとしてあり、また、上枠41の方向転換湾曲部43において、同様に係合条を配置した対向壁を上端で連結する連結用の天板を配置し、曲げ加工に適するように同じく断面C字状とした2部材構成のものとしてあり、上記レール部材6は、該上枠本体5の対向壁内側に、その上記係合条にそれぞれ引掛け係合することによって該上枠本体5に設置し、上記ガイドレール61と振止ガイド62を上枠41に形成配置するものとしてある。
【0020】
本例にあってレール部材6は、上記ガイドレール61と振止ガイド62を配置したものと、上記ガイドレール61を備えるも振止ガイドを備えないものとの2種構成とし、該レール部材6は、見込方向片側、例えば、後述のシャッター本体1の内側折畳み形態のものにあっては、その折畳み側と同じく内側に、また、同じく後述の外側折畳み形態のものにあってはその折畳み側と同じく外側にそれぞれ振止ガイド62を有するように、その配置を行うものとしてあり、このとき、これら2種構成の各レール部材6は、いずれも水平方向に反転配置することによって内側折畳みと外側折畳み形態に共通使用可能のものとしてある。一方、吊元側及び戸当り側の縦枠45は、それぞれ吊元框11、戸当框12を受け入れる開口を備えた断面C字状乃至H字状のものとしてある。
【0021】
上記シャッター枠4は、その交差2面をなす直線部42の間に方向転換湾曲部43を一連に配置した上枠41を、吊元側及び戸当側の縦枠45間に配置し、その上枠41のガイドレール61に、シャッター本体1の走行ヒンジ14、上記吊元框11、走行框12の各ハンガーローラー2をブリッジ状に載置し且つ振止ガイド62に、脱出ヒンジ15の各振止水平ローラー3を対接するように、シャッター本体1を吊り込んで上記横引シャッターSとして、店舗等の開口部に設置使用するものとしてある。
【0022】
このとき、該横引シャッターSは、その上記シャッター枠4の、脱出ヒンジ15に設置した振止水平ローラー3に対接する振止ガイド62を上記方向転換湾曲部43において短寸化又は不存在とすることにより、隣接して伸張拘束した縦長パネル13間の上記脱出ヒンジ15をシャッター枠4の見込方向片側一方に変位通過自在とする脱出ヒンジ変位許容部44を配置することによって、同一構成の横引シャッターSを用いつつその上記方向転換湾曲部44の曲率半径を縮小変更したものとしてある。
【0023】
即ち、例えば、上記縦長パネル13の横幅を、150〜300mm、例えば220mm、脱出ヒンジ15の外角の拡開角度を150〜180°、例えば170°としたときの方向転換湾曲部43の曲率を変更した図示例を示すと、図1乃至図8の例は、シャッター本体1を内側折畳み形態、即ち、店舗の面積内にシャッター本体1を蛇腹状に折畳むように、方向転換湾曲部43を内側に向けて湾曲形成し、その曲率半径を可及的に縮小、本例にあっては、例えば500mmとした例、図9乃至図12は、上記と逆に、シャッター本体1を外側折畳み形態、即ち、例えば廊下側にシャッター本体1を蛇腹状に折畳むように、方向転換湾曲部43を外側に向けて湾曲形成し、同じく、その曲率半径を可及的に縮小、本例にあっては、同じく500mmとした例であり、これに対して図14及び図15は、デッドスペースの発生を許容可能とする公共施設等において、同じくシャッター本体1を内側折畳み形態として、その曲率半径を径大化、例えば1000mmとしたときの例である。
【0024】
図1乃至図8及び図9乃至図12の例は、脱出ヒンジ変位許容部44を方向転換湾曲部43に配置するとともに該脱出ヒンジ変位許容部44の振止ガイド62を不存在として、脱出ヒンジ15を、シャッター枠4内で最大限に変位した状態で方向転換湾曲部43を通過するようにしたものであり、一方、図14及び図15は、振止ガイド62をそのまま方向転換湾曲部43に残し、脱出ヒンジ変位許容部を配置することなく、脱出ヒンジ15を、シャッター枠4の上枠41における直線部42と同様に、方向転換湾曲部43の見込方向中心線、即ち曲率半径中心線を脱出ヒンジ15が通過するようにしたものである。
【0025】
このように上記振止ガイド62の不存在又は短寸化による脱出ヒンジ変位許容部44の配置により脱出ヒンジ15の変位通過を可能とすることによって、該変位量に応じて方向転換湾曲部43の曲率半径を変化することが可能となる。
【0026】
振止ガイド62の不存在又は短寸化による脱出ヒンジ変位許容部44は、本例にあって上記上枠41を上枠本体5とともに構成するレール部材6の設置に際して、該内側又は外側に、上記2種のレール部材6のうち振止ガイドを備えないレール部材6を配置するようにし、また、該2種のレール部材6のうち振止ガイド62を備えるものを用いるも、その突出長さを短寸化するように見込方向部分的に切欠き除去することによって、これを配置するようにしてある。なお、このとき、方向転換湾曲部43に連続する直線部42にあっては、その振止ガイド62の端部を切欠き傾斜することによって、振止水平ローラー3の該直線部42の振止ガイド62への対接とこれによる案内をスムーズに誘導し得るものとしてある。
【0027】
方向転換湾曲部43に脱出ヒンジ15を変位する脱出ヒンジ変位許容部44を配置することによって、直線部42において振止ガイド62の振止水平ローラー3の案内により上枠41の見込方向中央位置を通過して方向転換湾曲部43に至った脱出ヒンジ15は、振止ガイド62が不存在となることによって、該振止水平ローラー3が上枠41の垂下片、本例にあってはレール部材6の垂下片に対接する結果、方向転換湾曲部43の円弧の中心線より見込方向の該円弧の中心側に向けて変位し、該脱出ヒンジ15で連結して伸張状態に拘束した隣接する縦長パネル13の両端の接点、即ち、走行ヒンジ14と隣接する各縦長パネル13の軸支点が該円弧の中心側に移動する結果、該隣接する縦長パネル13による、方向転換湾曲部43の円弧に対する弦が短寸化する結果、該隣接する縦長パネル13の上記両端の接点を結ぶ円弧、即ち、曲率半径を縮小した円弧によって、該隣接する縦長パネル13の通過とこれによる方向転換が可能となる。該方向転換した隣接する縦長パネル13は、再度振止ガイド62に対接して、その案内により該方向転換湾曲部43に続く直線部42に至った進行する。従って、シャッター本体1を開放する場合、該方向転換湾曲部43を通過した後の交差一方の直線部42においてその内側又は外側に向けて蛇腹状の折畳みを行うようにすればよく、シャッター本体1を閉鎖する場合、逆に方向転換湾曲部43の通過後の交差他方の直線部において伸張進行するようにすればよい。
【0028】
上記図1乃至図8及び図9乃至図12の例にあって、上記振止ガイド62を不存在とすることによって、脱出ヒンジ15は、直線部42の見込方向中心線から、例えば21乃至22mm程度円弧中心側に移動し、該移動の結果、方向転換湾曲部43の曲率半径は、これをそれぞれ上記500mmとしたが、曲率半径は、縦長パネル13の横幅、脱出ヒンジ15の拡開角度等によって規制されるところ、内側折畳み形態、外側折畳み形態の折畳みの形態を問わずに上記1000mmを下回り、上記500mmに至る間の縮小変更がもとより可能であるが、半径スペースの有効利用の観点から、これを検討するに、該曲率半径をは、これを800mm程度とすることによってその有意な縮小を可能とし得る一方、曲率半径極小化の極限は300mmとすることができるから、該観点から曲率半径の縮小は、これを、800〜300mmの範囲とすることが好ましい。
【0029】
従って、上記曲率半径を1000mmとするように上記走行ヒンジ14と脱出ヒンジ15を配置した横引シャッターと同一構成の横引シャッターを用いて、上記振止ガイド62の不存在又は短寸化によって、該曲率半径を適宜に縮小することができ、従って、コーナーに生じるデッドスペースを可及的に小さくして、店舗等の開口部の面積活用を可及的有効に行い得る交差2面開閉横引シャッターSとすることができ、このとき、曲率半径を縮小しても、上記上枠の振止ガイド62に対する措置以外に、シャッター本体1及びシャッター枠4を変更する必要を生じることなく、シャッター本体1の開閉をスムーズに行う縮小した方向転換湾曲部を有するものとすることができる。
【0030】
図中7は、脱出ヒンジ15に連結した一方の、即ち、開放時に折畳み側に位置する各縦長パネル13の上框に設置し、上枠41の方向転換湾曲部43に連続する直線部42における折畳み位置に設置した図示省略のガイドブロックに衝接することによって該縦長パネル13を折畳み側に脱出案内する蹴り出しブロック、8は、上記走行框12と開閉方向中間の走行ヒンジ14の可動部位に配置した、本例にあって床面に配置した受孔又は床面に設置した受具9の受孔に落し込んで、シャッター本体1を2個所で固定することによって施錠を行い、また、蛇腹状折畳時に、これら走行框12、走行ヒンジ14の位置に同じく床面又は受具9の受孔を配置してシャッター本体1の揺動を防止する落し錠をそれぞれ示す。
【0031】
図示した例は以上のとおりとしたが、上枠をガイドレール及び振止ガイドを一体成形のアルミ押出材によるものとし、上記振止ガイドの不存在乃至短寸化を、該押出材に切欠き加工を施すことによって行うようにすることを含めて、本発明の実施に当って、横引シャッター、シャッター本体、走行ヒンジ、脱出ヒンジ、縦長パネル、ハンガーローラー、振止水平ローラー、シャッター枠、上枠、直線部、方向転換湾曲部、ガイドレール、振止ガイド等の各具体的構造、形状、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0032】
S 横引シャッター
1 シャッター本体
11 吊元框
12 走行框
13 縦長パネル
14 走行ヒンジ
15 脱出ヒンジ
16 ヒンジ本体
17 支軸
18 軸受
2 ハンガーローラー
3 振止水平ローラー
4 シャッター枠
41 上枠
42 直線部
43 方向転換湾曲部
44 脱出ヒンジ変位許容部
45 縦枠
5 上枠本体
6 レール部材
61 ガイドレール
62 振止ガイド
7 蹴り出しブロック
8 落し錠
9 受具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉方向に交互に配置した走行ヒンジと脱出ヒンジによって縦長パネルを蛇腹状折畳自在に連結したシャッター本体と、上記走行ヒンジに設置したハンガーローラーをガイドレールに走行自在に配置し且つ上記脱出ヒンジに設置した振止水平ローラーを該ガイドレール下位に該振止水平ローラーに対接するように見込方向に突出配置した振止ガイドによって案内して開閉方向中間の方向転換湾曲部を介して上記シャッター本体を交差2面に対して開閉自在に吊り支持したシャッター枠を備えた横引シャッターであって、上記シャッター枠の脱出ヒンジに設置した振止水平ローラーに対接する振止ガイドを上記方向転換湾曲部において短寸化又は不存在とすることにより、隣接して伸張拘束した縦長パネル間の上記脱出ヒンジをシャッター枠の見込方向片側一方に変位通過自在とする脱出ヒンジ変位許容部を配置することによって、同一構成の横引シャッターを用いつつその上記方向転換湾曲部の曲率半径を縮小変更してなることを特徴とする交差2面開閉横引シャッター。
【請求項2】
上記横引シャッターをシャッター枠の内側に蛇腹状に折畳自在の内側折畳み形態とし且つ上記脱出ヒンジ変位許容部を、方向転換湾曲部の内側配置の振止ガイドの短寸化又は不存在とすることによって形成してなることを特徴とする請求項1に記載の交差2面開閉横引シャッター。
【請求項3】
上記横引シャッターをシャッター枠の外側に蛇腹状折畳自在の外側折畳み形態とし且つ上記脱出ヒンジ変位許容部を、方向転換湾曲部の外側配置の振止ガイドを短寸化又は不存在とすることによって形成してなることを特徴とする請求項1に記載の交差2面開閉横引シャッター。
【請求項4】
上記曲率半径の縮小変更を、800〜300mmの範囲としてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の交差2面開閉横引シャッター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−154136(P2012−154136A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16197(P2011−16197)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000107882)スワン商事株式会社 (6)