説明

交通案内情報生成装置、交通案内情報生成方法および交通案内情報生成プログラム

【課題】第1検知器の種類に依存することなく高い精度で交通案内情報を生成する。
【解決手段】第1検知器による車両検知に応じて生成され、当該第1検知器が備えられた区間が対応付けられた第1交通情報と、前記交通情報に対応付けられた区間を走行する車両において第2検知器が検知した第2交通情報とを取得する交通情報取得手段と、前記第1交通情報に基づいて当該第1交通情報のための車両検知を行った前記第1検知器の種類を特定し、当該第1検知器の種類に対応付けられた精度を前記第1交通情報の精度とする精度特定手段と、前記第1交通情報の精度が所定の基準精度より高い場合に、前記第1交通情報の寄与度を前記第2交通情報の寄与度よりも大きくした交通案内情報を生成する交通案内情報生成手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通案内情報生成装置、交通案内情報生成方法および交通案内情報生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
VICS(Vehicle Information and Communication System(財団法人 道路交通情報通信システムセンターの登録商標))に代表されるように、道路に備えられた検知器による車両検知に基づくVICS情報を取得し、当該VICS情報に基づいて生成した交通案内情報を提供することが行われている(例えば、特許文献1)。また、特許文献1では、車両に備えられた検知器が検知したプローブ情報と、VICS情報とを取得し、道路を走行する車両が検知器を備える割合であるプローブ搭載率が一定の基準よりも低い場合には、VICS情報のみに基づいて交通案内情報を生成することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−244265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、道路に備えられた検知器の種類は様々であり、検知器の種類に依存してVICS情報の精度が低下するという問題があった。すなわち、特許文献1の手法では、VICS情報の精度が低くてもプローブ搭載率が一定の基準よりも低ければ、VICS情報に基づいて交通案内情報が生成されるため、交通案内情報の精度が低下するという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたものであり、第1検知器の種類に依存して交通案内情報の精度が低下することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明において、交通情報取得手段は、同一の区間における道路状況を示す第1交通情報と第2交通情報とを取得する。第1交通情報は、区間に備えられた第1検知器による車両検知に応じて生成される。一方、第2交通情報は、車両に備えられた第2検知器による車両検知に応じて生成される。精度特定手段は、第1交通情報に基づいて当該第1交通情報のための車両検知を行った第1検知器の種類を特定する。そして、精度特定手段は、第1検知器の種類に対応付けられた精度を、第1交通情報の精度と特定する。交通案内情報生成手段は、第1交通情報の精度が所定の基準精度よりも低い場合に、第1交通情報の寄与度を第2交通情報の寄与度よりも小さくした交通案内情報を生成する。すなわち、同一の区間について第1交通情報と第2交通情報が得られた場合に、第1検知器の種類に対応付けられた第1交通情報の精度に基づいて、第1交通情報の寄与度を第2交通情報の寄与度よりも小さくするか否かを決定する。すなわち、第1検知器の種類に依存して第1交通情報の精度が基準精度よりも低くなる場合に、第1交通情報の寄与度を第2交通情報の寄与度よりも小さくすることができるため、交通案内情報の精度の低下が防止できる。
【0006】
ここで、第1検知器は道路に備えられるものであればよく、道路の上方や側方や路面上や路面内部に備えられてもよい。第1検知器の種類とは、第1検知器が備えるハードウェアやソフトウェアの仕様等に応じて区分されてもよいし、第1交通情報の精度の高さに応じて区分されてもよい。例えば、第1検知器が車両を遠隔検知するために検出する物理媒体に応じて第1検知器の種類を区分してもよい。より具体的には、第1検知器が光や電波や音波や電界や磁界等のいずれを検出するかによって第1検知器の種類を区分してもよい。さらに、第1検知器が検出した情報を情報処理するための演算能力や演算アルゴリズム等に応じて第1検知器の種類を区分してもよい。
【0007】
精度特定手段は、情報取得手段が第1交通情報を取得するごとに第1交通情報の精度を特定し、精度を第1交通情報に対応付けて記録媒体に記録しておいてもよい。これにより、交通案内情報生成手段は、交通案内情報を生成する際に、第1交通情報に対応付けられた精度に基づいて当該第1交通情報の寄与度を決定できる。また、交通案内情報生成手段が交通案内情報を生成する際に、交通案内情報の生成に使用する第1交通情報について精度を特定してもよい。第1交通情報と第2交通情報とが示す道路状況とは、渋滞度等の道路そのものについての状況を示すものであってもよいし、道路を走行する車両についての状況を示すものであってもよい。
【0008】
交通案内情報生成手段は、第1交通情報の精度が所定の基準精度よりも低い場合に第1交通情報の寄与度を第2交通情報の寄与度よりも小さくすればよく、第1交通情報の精度が所定の基準精度よりも低い場合に第2交通情報のみに基づいて交通案内情報を生成してもよい。すなわち、第1交通情報の精度が所定の基準精度よりも低い場合に、第1交通情報の寄与度を0%とし、第2交通情報の寄与度を100%としてもよい。また、第1交通情報の寄与度を第1交通情報の精度の関数としてもよい。すなわち、第1交通情報の精度が基準精度と等しくなる場合に、第1交通情報の寄与度を第2交通情報の寄与度とを等しくさせる単調増加関数によって第1交通情報の寄与度を得るようにしてもよい。さらに、寄与度に応じて第1交通情報と第2交通情報とを重み付けして統計を行うことにより交通案内情報を生成してもよい。また、交通案内情報生成手段は、第1交通情報と第2交通情報とに基づいて経路探索を行い、当該経路探索の結果を示す交通案内情報を生成してもよい。
【0009】
また、基準精度は、一定値であってもよいし、可変値であってもよい。さらに、基準精度は、第2交通情報の精度に応じた値であってもよい。例えば、第1交通情報の精度が相対的に第2交通情報の精度よりも低い場合に、第1交通情報の寄与度を第2交通情報の寄与度よりも小さくした交通案内情報を生成してもよい。これにより、第1交通情報と第2交通情報のうち精度の高い方を重視した交通案内情報が生成できる。この場合、第2交通情報の精度を、区間を走行した車両のうち第2検知器が備えられた車両の台数や、区間を走行した車両のうち第2検知器が備えられた車両の割合に応じた値としてもよい。より多くの車両から第2交通情報を得る方が、特異な挙動を示す車両の影響を低減でき、第2交通情報の精度が高くなるからである。
【0010】
また、精度特定手段は、第1交通情報のための車両検知を行った第1検知器の種類が特定できなかった場合、当該第1交通情報の精度を、他の区間に備えられた第1検知器の種類に対応付けられた精度に基づいて特定してもよい。これにより、第1検知器の種類が特定できなかった第1交通情報についても精度を特定することができる。さらに、精度特定手段は、第1検知器の種類が特定できなかった第1交通情報の精度を、当該第1検知器が備えられた区間から所定距離以内、かつ、当該区間と道なりに走行可能な他の区間に備えられた第1検知器の種類に基づく精度としてもよい。種類が特定できなかった第1検知器が備えられた区間から所定距離以内、かつ、当該区間と道なりに走行可能な他の区間は、種類が特定できなかった第1検知器が備えられた区間と同一路線上であり同一の道路管理者によって管理されている可能性が高いため、当該区間と同一種類の第1検知器が備えられている可能性が高い。従って、当該区間についての第1交通情報の精度は、当該他の区間に備えられた第1検知器に対応付けられた精度と同等であると推定できる。
【0011】
また、精度特定手段は、第1検知器の種類が特定できなかった第1交通情報の精度を、当該区間から所定距離以内、かつ、当該区間と同一の道路種別の他の区間に備えられた第1検知器の種類に対応する精度としてもよい。種類が特定できなかった第1検知器が備えられた区間から所定距離以内、かつ、当該区間と同一の道路種別の他の区間は、当該区間と同一の道路管理者によって管理されている可能性が高いため、同一種類の第1検知器が備えられている可能性が高い。従って、当該区間についての第1交通情報の精度は、当該他の区間に備えられた第1検知器に対応付けられた精度と同等であると推定できる。
【0012】
ところで、第1交通情報の精度は、第1検知器の種類だけでなく、他の要因にも依存する。例えば、光を用いて車両検知を行う第1検知器においては、夜間の方が昼間よりも太陽光の影響を受けにくく精度が向上する。従って、第1交通情報の精度を、第1検知器の種類と車両検知が行われた時刻とに基づいて特定してもよい。
また、第1交通情報の精度に影響を与える他の要因として車両検知が行われた環境が挙げられる。すなわち、第1検知器の感度は、車両検知を行う際の温度や湿度や気圧や明るさや大気の清浄度等の環境要素に大きく依存する。これらの環境要素は天候に大きく依存するため、第1交通情報の精度を、第1検知器の種類と天候とに基づいて特定してもよい。
【0013】
なお、本発明のように、第1交通情報の精度に基づいて交通案内情報における第1交通情報の寄与度を決定する手法は、この処理を行う方法やプログラムとしても適用可能である。また、本発明の手法を適用した交通案内情報生成装置、方法、プログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置として実現される場合もある。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、交通案内情報生成装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】交通案内情報提供システムを示すブロック図である。
【図2】交通情報記録処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)交通案内情報提供システムの構成:
(1−1)第1検知器と第2検知器とVICS情報管理サーバの構成:
(1−2)サーバの構成:
(1−3)交通情報記録処理:
(1−4)交通案内情報生成処理:
(2)他の実施形態:
【0016】
(1)交通案内情報提供システムの構成:
図1は、交通案内情報生成装置としてのサーバ10を含む交通案内情報提供システム1の構成、および、各種データの流れを示すブロック図である。交通案内情報提供システム1は、サーバ10の他にVICS情報管理サーバ20と第1検知器30と第2検知器40とを含む。VICS情報管理サーバ20は、サーバ10と第1検知器30と所定の通信回線を介して通信可能である。第1検知器30は、道路を区分した区間であるVICSリンクごとに備えられ、VICSリンクを走行する車両Cの車両検知に基づく道路状況を示す検知情報DIを生成し、当該検知情報DIをVICS情報管理サーバ20に送信する。VICS情報管理サーバ20は、第1検知器30から検知情報DIを取得し、当該検知情報DIに基づいてVICS情報TI(第1交通情報)を生成する。VICS情報管理サーバ20は、生成したVICS情報TIをサーバ10に送信する。一方、車両Cは第2検知器40による車両検知に基づく道路状況を示すプローブ情報PIをサーバ10へ送信する。サーバ10は、第1検知器30の車両検知により得られた検知情報DIに基づくVICS情報TIと、車両Cに備えられた第2検知器40の車両検知により得られたプローブ情報PI(第2交通情報)とを取得し、VICS情報TIとプローブ情報PIとに基づいて交通案内情報GIを生成し、当該交通案内情報GIを車両Cに送信する。
【0017】
(1−1)第1検知器と第2検知器とVICS情報管理サーバの構成:
車両Cは第2検知器40備え、第2検知器40は図示しないGPS受信部と地図情報を記録する記録媒体とを含む。地図情報には、道路を区分した区間であるプローブリンクを特定するリンクデータが含まれる。第2検知器40は、GPS受信部からの出力信号等に基づいて車両Cの現在位置を検知(車両検知)するとともに、当該現在位置の推移に基づいてプローブリンクに対する車両Cの進入時刻Tiと退出時刻Toとを特定する。なお、現在位置は車速センサの出力信号やマップマッチング等に基づいて特定されてもよい。第2検知器40は、車両Cがプローブリンクを退出すると、当該退出したプローブリンクについての進入時刻Tiと退出時刻Toとを示すプローブ情報PIを生成し、当該プローブ情報PIに当該退出したプローブリンクを対応付けてサーバ10に送信する。なお、プローブ情報PIは車両Cに備えられたカーナビゲーション装置によって生成・送信されてもよいし、カーナビゲーション装置と通信可能に接続された携帯電話等によって送信されてもよい。
【0018】
第1検知器30は、道路を構成するVICSリンクに備えられ、VICSリンクを走行する車両Cを車両検知する。1つのVICSリンクに1つの第1検知器30が備えられる。なお、本実施形態において、VICSリンクよりもプローブリンクの方が道路を細かく区分するものであり、単一のVICSリンクが複数のプローブリンクによって構成される。表1は、第1検知器30の種類と取得可能な検知情報DIの情報項目との組み合わせの例を示す。なお、表1において取得可能な検知情報DIの情報項目を丸または二重丸で示す。
【表1】

【0019】
各種類の第1検知器30は、VICSリンクの所定の検知位置に存在する車両Cの車両検知が可能である。光ビーコン方式を除く各種類の第1検知器30は、VICSリンクの検知位置にて車両検知したすべての車両Cの台数を交通量として取得可能であり、VICSリンクの検知位置にていずれかの車両Cが車両検知されている時間を占有時間として取得可能である。光ビーコン方式を除く第1検知器30は、所定の検知期間ごとに当該検知期間内における車両検知の結果を集計することにより、交通量と占有時間とを取得する。そして、光ビーコン方式を除く第1検知器30は、検知期間ごとに交通量と占有時間とを少なくとも示す検知情報DIをVICS情報管理サーバ20に送信する。
【0020】
また、表1の車速の欄に二重丸を付した超音波方式(タイプ2)と電波方式と近赤外線方式とループコイル方式の第1検知器30は、一地点の検知位置における車両検知により車両Cの車速を取得できる。一方、表1の車速の欄に丸を付した画像認識方式と光ビーコン方式の第1検知器30は、同一の車両Cが二地点の検知位置にて車両検知されると、検知位置間の距離を検知した時刻の差で除算して車速を取得する。画像認識方式と光ビーコン方式の第1検知器30は、それぞれ検知位置に存在する車両Cの車両ナンバーと、光ビーコンに含まれる車両Cの車両IDとを取得可能であり、二地点の検知位置にて車両検知された車両Cが同一であるか否かが特定できる。なお、各種類の第1検知器30は、単一の検知期間内に複数の車両Cについての車速が得られた場合に、その平均を検知情報DIが示す車速とする。各種類の第1検知器30は、当該第1検知器30が備えられたVICSリンクを検知情報DIに対応付ける。
【0021】
VICS情報管理サーバ20は、各第1検知器30から検知情報DIを取得すると、検知情報DIに基づいてVICS情報TIを生成し、当該VICS情報TIをサーバ10に送信する。このVICS情報TIは、VICSリンクと道路状況としての旅行時間と渋滞度とを対応付けて示す情報である。
【0022】
VICS情報管理サーバ20は、VICSリンクの旅行時間を以下のようにして取得する。VICS情報管理サーバ20は、検知情報DIに車速を示す情報が含まれる場合、図示しない地図情報を参照して検知情報DIの送信元の第1検知器30が備えられたVICSリンクの長さを取得し、検知情報DIが示す車速でVICSリンクの長さを除算することによりVICSリンクの旅行時間を取得する。VICS情報管理サーバ20は、検知情報DIに車速を示す情報が含まれない場合(超音波方式(タイプ1)と遠赤外線方式の第1検知器30から検知情報DIを取得した場合)、検知情報DIの送信元の第1検知器30が備えられたVICSリンクの長さと、検知情報DIが示す交通量と占有時間とに基づいて、旅行時間を推定する。例えば、VICSリンクの長さと交通量と占有時間との組み合わせごとに旅行時間を予め調査した結果を格納したマップを用意しておき、VICS情報管理サーバ20が当該マップを参照することにより旅行時間を取得する。
【0023】
VICS情報管理サーバ20は、VICSリンクの渋滞度を以下のようにして取得する。VICS情報管理サーバ20は、検知情報DIが示す交通量と占有時間と車速との組み合わせに基づいて渋滞度を判定する。例えば、VICS情報管理サーバ20は、交通量と占有時間と車速との組み合わせごとに、渋滞度が"渋滞"であるか"混雑"であるか"空き"であるかを規定したマップを参照することにより、交通量と占有時間と車速との組み合わせに対応する渋滞度を特定する。なお、VICS情報管理サーバ20は、検知情報DIに車速を示す情報が含まれない場合(超音波方式(タイプ1)と遠赤外線方式の第1検知器30から検知情報DIを取得した場合)、交通量と占有時間との組み合わせに基づいて渋滞度を特定する。また、VICS情報管理サーバ20は、検知情報DIに車速のみが含まれる場合(光ビーコン方式の第1検知器30から検知情報DIを取得した場合)、車速に基づいて渋滞度を特定する。
【0024】
(1−2)サーバの構成:
図1に示すようにサーバ10は、CPUとRAMとROM等を備える制御部11と通信部12と記録媒体13とを備えており、当該記録媒体13やROMに記録されたプログラムを制御部11が実行する。制御部11は、このプログラムの一つとして交通案内情報生成プログラム110を実行する。通信部12は、車両CおよびVICS情報管理サーバ20と通信するための回路によって構成される。
【0025】
記録媒体13は、地図情報13aと精度情報13bとを記録するとともに、車両CとVICS情報管理サーバ20とから送信されたプローブ情報PIとVICS情報TIとを蓄積する。地図情報13aには、道路を区分するVICSリンクおよびプローブリンクに関する情報を含むリンクデータ等が含まれている。リンクデータには、各VICSリンクおよび各プローブリンクのリンクの長さを示す情報と、各VICSリンクに備えられた第1検知器30の種類を示す情報とが含まれる。なお、リンクデータにおいて、第1検知器30が備えられたすべてのVICSリンクについて第1検知器30の種類が特定されているとは限らず、新たに第1検知器30が備えられたり、第1検知器30を交換した直後のVICSリンク等については第1検知器30の種類が特定されていない。精度情報13bは、第1検知器30の種類ごとにVICS情報の精度を対応付けたデータである。VICS情報の精度の詳細については後述する。
【0026】
交通案内情報生成プログラム110は、交通情報取得部110aと精度特定部110bと交通案内情報生成部110cとを含む。
交通情報取得部110aは、同一の区間における道路状況を示す交通情報であって、当該区間に備えられた第1検知器30による車両検知に応じて生成されたVICS情報TIと、車両に備えられた第2検知器40による車両検知に応じて生成されたプローブ情報PIとを取得する機能を制御部11に実行させるためのモジュールである。本実施形態において、VICS情報TIと、当該VICS情報TIに対応付けられたVICSリンクを構成するプローブリンクが対応付けられたプローブ情報PIとが、同一の区間における道路状況を示す交通情報に相当する。交通情報取得部110aの機能により制御部11は、通信部12を介して、VICS情報管理サーバ20からVICS情報TIを取得して記録媒体13に蓄積する。交通案内情報生成プログラム110の機能により制御部11は、VICS情報TIを受信した時刻を取得時刻Taとし、取得時刻Taと対応付けてVICS情報TIを記録媒体13に蓄積する。さらに、交通情報取得部110aの機能により制御部11は、通信部12を介して、車両Cからプローブ情報PIを取得し、プローブ情報PIを受信した時刻を取得時刻Taとし、取得時刻Taと対応付けてプローブ情報PIを記録媒体13に蓄積する。
【0027】
精度特定部110bは、VICS情報TIに基づいて当該VICS情報TIのための車両検知を行った第1検知器30の種類を特定し、当該第1検知器30の種類に対応付けられた精度をVICS情報TIの精度とする機能を制御部11に実行させるためのモジュールである。すなわち、精度特定部110bの機能により制御部11は、VICS情報TIに対応付けられたVICSリンクを取得し、当該VICSリンクに備えられた第1検知器30の種類を地図情報13aのリンクデータを参照して特定する。なお、精度特定部110bの機能により制御部11は、VICS情報TIに対応するVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類が地図情報13aのリンクデータに記録されていない場合には、VICS情報TIに対応付けられたVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類が特定できないとする。
【0028】
精度特定部110bの機能により制御部11は、VICS情報TIのための車両検知を行った第1検知器30の種類に対応する精度を精度情報13bを参照して特定する。表2は、精度情報13bの例を示す。
【表2】

表2に示すように、第1検知器30の種類ごとに旅行時間および渋滞度の精度が対応付けられている。例えば、精度は以下のようにして調査することができる。あるVICSリンクについて複数のVICS情報TIを取得するとともに、これらのVICS情報TIが取得された時刻のそれぞれと同時期において当該VICSリンクにおける旅行時間を第1検知器30とは別の手段により調査しておく。例えば、VICSリンクにて調査用の車両Cを走行させ、当該車両CがVICSリンクに進入してから退出するまでの期間を計測することにより旅行時間を調査してもよい。このような調査を複数回行い、各回についてVICS情報TIが示す旅行時間と別の手段により調査した旅行時間との誤差を算出し、当該誤差の絶対値をすべての回について平均した誤差平均に関して単調減少する値をVICS情報TIの精度としてもよい。この精度は、VICS情報TIが示す旅行時間と別の手段により調査された旅行時間との誤差が小さいほど大きい値となる。渋滞度についても同様にVICS情報TIが示す渋滞度と、別の手段により調査した渋滞度との差に基づいて精度情報を調査すればよい。以上のようなVICS情報TIの精度の調査を各種類の第1検知器30について行い、第1検知器30の種類にVICS情報TIの精度を付けた精度情報13bを用意する。なお、本実施形態において、誤差平均が0となる場合にVICS情報TIの精度が100となるようにVICS情報TIの精度は正規化されている。
【0029】
ここで、表2に示すように電波や電磁界を用いた種類の第1検知器30に対応するVICS情報TIの精度が高い傾向にあり、周辺光の影響を受けやすい光を用いた種類の第1検知器30に対応するVICS情報TIの精度が低い傾向にある。また、画像認識方式と光ビーコン方式のように二地点の検知位置における車両検知に基づいて車速を取得する第1検知器30においては旅行時間の精度が高くなる傾向にある。一地点のみの車両検知により車両Cの車速を取得するよりも、急なブレーキ操作やアクセル操作等によって特異な挙動を示す車両Cの影響を受けにくいからである。また、表1に示すように超音波方式(タイプ1)と遠赤外線方式の第1検知器30では車速を取得することができず、第1検知器30が備えられたリンクの長さと検知情報DIが示す交通量と占有時間とに基づいて旅行時間が推定されるため、超音波方式(タイプ1)と遠赤外線方式の第1検知器30については旅行時間の精度が低くなる傾向にある。
【0030】
交通案内情報生成部110cは、VICS情報TIの精度が所定の基準精度よりも低い場合に、VICS情報TIの寄与度をプローブ情報PIの寄与度よりも小さくした交通案内情報GIを生成する機能を制御部11に実行させるためのモジュールである。交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象の区間を構成するVICSリンクとプローブリンクが対応付けられ、かつ、統計対象の期間に属する取得時刻Taが対応付けられたVICS情報TIとプローブ情報PIとを、統計対象のVICS情報TIとプローブ情報PIとして抽出する。そして、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のプローブ情報PIの個数に応じた値を基準精度の値として設定する。統計対象のプローブ情報PIの個数は統計対象の区間を統計対象の期間において走行した車両Cのうち第2検知器40を備える車両Cの台数(以下、プローブ搭載台数と表記)に対応する値である。
【0031】
交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のVICS情報TIに対応付けられた精度の平均値が基準精度の値よりも小さい場合に、VICS情報TIの寄与度をプローブ情報PIよりも小さくした交通案内情報GIを生成する。すなわち、統計対象のVICS情報TIの精度が基準精度よりも低い場合に、統計対象のプローブ情報PIのみを統計することにより、交通案内情報GIを生成する。この場合、交通案内情報GIにおけるVICS情報TIの寄与度は0%であり、プローブ情報PIの寄与度は100%となる。一方、統計対象のVICS情報TIの精度が基準精度以上である場合に、統計対象のVICS情報TIのみを統計することにより、交通案内情報GIを生成する。この場合、交通案内情報GIにおけるVICS情報TIの寄与度は100%であり、プローブ情報PIの寄与度は0%となる。そして、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計の結果を示す交通案内情報GIを生成し、車両Cに送信する。
【0032】
以上説明したように本実施形態において、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、VICS情報TIの精度が基準精度より低い場合に、VICS情報TIの寄与度をプローブ情報PIよりも小さくした交通案内情報GIを生成する。すなわち、第1検知器30の種類に依存してVICS情報TIの精度が基準精度よりも低くなる場合には、VICS情報TIの寄与度をプローブ情報PIの寄与度よりも小さくすることができるため、交通案内情報GIの精度低下が防止できる。
【0033】
さらに、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、VICS情報TIの精度についての基準精度をプローブ搭載台数に応じた可変値としている。ここで、プローブ情報PIの精度は、プローブ搭載台数が大きいほど高くなる。プローブ搭載台数が大きいほど、多くの車両Cからプローブ情報PIを得ることができ、特異な挙動を示す車両Cの影響を低減できるからである。従って、プローブ搭載台数に応じた基準精度とすることにより、VICS情報TIの精度がプローブ情報PIの精度に対して相対的に低くなる場合に、VICS情報TIの寄与度をプローブ情報PIの寄与度よりも小さくすることができる。これにより、第1交通情報と第2交通情報のうち精度の高い方を重視した交通案内情報が生成できる。
【0034】
(1−3)交通情報記録処理:
図2はサーバ10が実行する交通情報記録処理のフローチャートである。ステップS100において、通信部12は、VICS情報管理サーバ20からVICS情報TIを取得(受信)する。通信部12がVICS情報TIを取得すると、制御部11は、記録媒体13においてVICS情報TIを蓄積するとともに、VICS情報TIの取得時刻Taを当該VICS情報TIに対応付けて記録する。
【0035】
ステップS105において、精度特定部110bの機能により制御部11は、VICS情報TIのための車両検知を行った第1検知器30の種類を特定する。すなわち、VICS情報TIに対応付けられたVICSリンクを取得し、当該VICSリンクに備えられた第1検知器30の種類を地図情報13aのリンクデータを参照して特定する。ここで、制御部11は、VICS情報TIに対応付けられたVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類が地図情報13aのリンクデータに記録されていない場合には、当該VICS情報TIに対応付けられたVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類が特定できないとする。ステップS110において、精度特定部110bの機能により制御部11は、VICS情報TIのための車両検知を行った第1検知器30の種類が特定できたか否かを判定する。
【0036】
VICS情報TIのための車両検知を行った第1検知器30の種類が特定できた場合、ステップS115において、ステップS105にて特定された第1検知器30の種類に対応するVICS情報TIの精度を精度情報13bを参照して特定し、当該精度をVICS情報TIに対応付けて記録媒体13に記録する。
【0037】
一方、ステップS110にて第1検知器30の種類が特定できなかったと判定された場合、精度特定部110bの機能により制御部11は、ステップS120において、種類が特定できなかった第1検知器30が備えられたVICSリンクから所定距離(例えば20km)以内であり、かつ、当該VICSリンクと道なりに走行可能なVICSリンクを抽出し、当該抽出したVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類を特定する。ステップS125において精度特定部110bの機能により制御部11は、ステップS120にて第1検知器30の種類が特定できたか否かを判定する。なお、第1検知器30の種類が特定できない場合には、他のVICSリンクが1つも抽出できなかった場合と、他のVICSリンクが抽出できたが当該他のVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類が地図情報13aのリンクデータに記録されていない場合とが含まれる。第1検知器30の種類が特定できたと判定された場合には、ステップS115において当該特定された第1検知器30の種類に対応付けられた精度を精度情報13bを参照して特定し、当該精度をVICS情報TIに対応付けて記録媒体13に記録する。なお、ステップS120にて複数の第1検知器30の種類が特定された場合には、これらのうち種類が特定できなかった第1検知器30が備えられたVICSリンクから最も近いVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類に対応付けられた精度をVICS情報TIに対応付けて記録する。
【0038】
ここで、ステップS120にて抽出した他のVICSリンクは、種類が特定できなかった第1検知器30が備えられたVICSリンクと同一路線上であり同一の道路管理者によって管理されている可能性が高い。従って、種類が特定できなかった第1検知器30と、ステップS120にて抽出した他のVICSリンクに備えられた第1検知器30とは、同一種類である可能性が高い。従って、VICS情報TIの精度は、ステップS120にて抽出した他のVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類に対応付けられた精度と同等であると考えることができる。
【0039】
一方、ステップS125にて第1検知器30の種類が特定できなかったと判定された場合、精度特定部110bの機能により制御部11は、ステップS130において、種類が特定できなかった第1検知器30が備えられたVICSリンクから所定距離(例えば10km)以内であり、かつ、当該VICSリンクと同一の道路種別である他のVICSリンクを抽出し、当該抽出したVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類を特定する。ステップS135において精度特定部110bの機能により制御部11は、ステップS130にて第1検知器30の種類が特定できたか否かを判定する。そして、第1検知器30の種類が特定できたと判定された場合には、ステップS115において当該特定された第1検知器30の種類に対応付けられた精度を精度情報13bを参照して特定し、当該精度をVICS情報TIに対応付けて記録媒体13に記録する。
【0040】
ここで、ステップS130にて抽出した他のVICSリンクは、種類が特定できなかった第1検知器30が備えられたVICSリンクと同一の道路管理者によって管理されている可能性が高い。従って、種類が特定できなかった第1検知器30と、ステップS130にて抽出した他のVICSリンクに備えられた第1検知器30とは、同一種類である可能性が高い。従って、VICS情報TIの精度は、ステップS130にて抽出した他のVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類に対応付けられた精度と同等であると考えることができる。
【0041】
一方、ステップS135にて第1検知器30の種類が特定できなかったと判定された場合、ステップS140において、種類が特定できなかった第1検知器30が備えられたVICSリンクが属する地域(例えば、当該VICSリンクを管理する道路管理者の管轄区域)において最も多く備えられている第1検知器30の種類を特定し、当該第1検知器30の種類に対応するVICS情報TIの精度を精度情報13bを参照して特定し、当該精度をVICS情報TIに対応付けて記録媒体13に記録する。すなわち、精度特定部110bの機能により制御部11は、種類が特定できなかった第1検知器30が備えられたリンクに対応付けられたVICS情報TIの精度を、当該リンクが属する地域において最も備えられている可能性の高い第1検知器30の種類に対応するVICS情報TIの精度と特定する。なお、種類が特定できなかった第1検知器30が備えられたリンクに対応付けられたVICS情報TIの精度を、リンクが属する地域に備えられ得る第1検知器30の種類に対応付けられた精度のうち最も低い精度と特定してもよい。
【0042】
以上説明した交通情報記録処理をVICS情報TIが取得されるごとに実行することにより、記録媒体13おいてVICS情報TIに精度を対応付けて蓄積していくことができる。次に、VICS情報TIに基づいて交通案内情報GIを生成する処理について説明する。
【0043】
(1−4)交通案内情報生成処理:
まず、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象の区間と統計対象の期間とを設定する。次に、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象の区間を構成するVICSリンクとプローブリンクとを地図情報13aのリンクデータを参照して特定し、当該特定したVICSリンクとプローブリンクとが対応付けられたVICS情報TIとプローブ情報PIとを抽出する。さらに、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象の期間に属する時刻が取得時刻Taとして対応付けられたVICS情報TIとプローブ情報PIとを、統計対象のVICS情報TIとプローブ情報PIとして抽出する。
【0044】
次に、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象の区間および統計対象の期間における車両Cのプローブ搭載台数に応じた基準精度を設定する。すなわち、制御部11は、統計対象として抽出したプローブ情報PIの個数に関して単調増加する値を基準精度の値とする。次に、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のVICS情報TIに対応付けられた精度を平均した値をVICS精度として特定する。
【0045】
交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、VICS精度が基準精度よりも低いか否かを判定する。VICS精度が基準精度よりも低い場合、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のプローブ情報PIのみを統計することにより、交通案内情報GIを生成する。すなわち、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のプローブ情報PIが示す旅行時間の平均値を統計対象の区間を構成するプローブリンクごとに算出し、当該平均値を統計対象の区間を構成する全プローブリンクについて合計することにより、プローブ情報PIに基づく統計対象の区間全体の旅行時間を取得する。さらに、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のプローブ情報PIが示す渋滞度のうち最頻の渋滞度を取得する。そして、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、プローブ情報PIに基づく統計対象の区間全体の旅行時間および最頻の渋滞度を示す交通案内情報GIを生成し、車両Cに送信する。
【0046】
一方、VICS精度が基準精度以上である場合、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のVICS情報TIのみを統計することにより、交通案内情報GIを生成する。例えば、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のVICS情報TIが示す旅行時間の平均値を統計対象の区間を構成するVICSリンクごとに算出し、当該平均値を統計対象の区間を構成する全VICSリンクについて合計することにより、VICS情報TIに基づく統計対象の区間全体の旅行時間を取得する。さらに、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、統計対象のVICS情報TIが示す渋滞度のうち最頻の渋滞度を取得する。そして、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、VICS情報TIに基づく統計対象の区間全体の旅行時間および最頻の渋滞度を示す交通案内情報GIを生成し、車両Cに送信する。
【0047】
(2)他の実施形態:
VICS情報TIの精度は、第1検知器30の種類だけでなく、他の要因にも依存する。本実施形態において、精度特定部110bの機能により制御部11は、車両検知が行われた環境と時刻も考慮してVICS情報TIの精度を特定することとする。まず、精度特定部110bの機能により制御部11は、VICS情報TIに対応付けられたVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類に対応するVICS情報TIの精度を精度情報13b(表2)を参照して特定する。さらに、精度特定部110bの機能により制御部11は、例えば通信部12が外部の気象情報サーバと通信を行うことにより、VICS情報TIに対応付けられた取得時刻TaおよびVICSリンクを含む地域における天候を取得する。そして、精度特定部110bの機能により制御部11は、記録媒体13に予め記録された精度補正情報を参照することにより、VICS情報TIの取得時刻Taが属する時間帯(昼間または夜間)と天候との組み合わせに対応付けられた補正値によって、第1検知器30の種類に基づいて特定したVICS情報TIの精度を補正する。
【0048】
表3は、精度補正情報の例を示す。
【表3】

表3に示すように、精度補正情報は、時間帯と天候との組み合わせごと、第1検知器30の種類ごとに、VICS情報TIの精度の補正値を規定する情報である。補正値は、昼間の晴れにおけるVICS情報TIの精度を基準として、時間帯と天候との組み合わせが変化した場合に変化する精度を示す。なお、表3では、旅行時間の精度についてのみ補正値を示したが、渋滞度についても時間帯と天候との組み合わせごと、第1検知器30の種類ごとに、VICS情報TIの精度の補正値が規定される。表3に示すように、光や音波や電波や電界が雨により干渉を受けるため、光ビーコン方式を除く種類の第1検知器30による車両検知に基づく旅行時間の精度は低くなる。また、太陽光や妨害電波や妨害音波の影響が少ない夜間においては画像認識方式と光ビーコン方式を除く種類の第1検知器30による車両検知に基づく旅行時間の精度は高くなる。画像認識方式の第1検知器30においては、撮影光の光量が不足するため夜間の方が旅行時間の精度は低くなる。また、光ビーコン方式の第1検知器30は、二地点での車両検知により特定した車両IDが一致する場合のみ車速を特定するため、天候等に応じて旅行時間が特定できる可能性が減少するものの、旅行時間が特定できた場合の精度は大きく変化しない。以上説明した精度補正情報に基づいて、時間帯と天候との組み合わせに応じて精度を補正することにより、正確にVICS情報TIの精度を特定できる。
【0049】
なお、本実施形態の精度補正情報においてはVICS情報TIの取得時刻Taが属する時間帯と天候との組み合わせにごとに補正値が規定することとしたが、必ずしも時間帯と天候との組み合わせなくてもよい。すなわち、精度補正情報において時間帯ごとまたは天候ごとに補正値を規定すれば、時間帯または天候に応じて精度が特定できる。また、天候以外に温度や湿度や気圧や明るさや大気の清浄度等の環境ごとに補正値を規定してもよい。さらに、記録媒体13において精度情報13b(表2)と精度補正情報(表3)とを個別に記録してもよいし、時間帯等に応じた補正値を加味した精度を規定した精度情報13bを記録してもよい。
【0050】
ところで、第1検知器30の種類は、第1検知器30が備えるハードウェアやソフトウェアの仕様等に応じて区分されもよいし、第1検知器30が検出した情報を情報処理するための演算能力や演算アルゴリズム等に応じて区分されてもよい。
また、精度特定部110bの機能により制御部11は、VICS情報TIに基づいて当該VICS情報TIのための車両検知を行った第1検知器30の種類を特定することができればよく、第1検知器30の種類を特定する種類特定情報がVICS情報TIに含まれている場合には、当該種類特定情報に基づいて第1検知器30の種類を特定してもよい。
【0051】
なお、通信部12がVICS情報TIを取得するごとにVICS情報TIの精度を特定してもよいし、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11が交通案内情報GIを生成する際に、交通案内情報GIの生成に使用するVICS情報TIについて精度を特定してもよい。これにより、交通案内情報GIの生成に使用しないVICS情報TIについて精度を特定する処理の負荷が軽減できる。
【0052】
交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、VICS情報TIの精度が基準精度より高い場合にVICS情報TIの寄与度をプローブ情報PIの寄与度よりも大きくすればよく、VICS情報TIの寄与度を精度の関数としてもよい。すなわち、VICS情報TIの精度が所定の基準精度と等しくなる場合に、VICS情報TIの寄与度をプローブ情報の寄与度とを等しくさせる単調増加関数によってVICS情報TIの寄与度を得るようにしてもよい。例えば、前記実施形態におけるVICS精度と基準精度との関数によりVICS情報TIの寄与度とプローブ情報PIの寄与度とを設定してもよい。すなわち、VICS情報TIの寄与度をαとし、プローブ情報PIの寄与度をβとし、VICS精度をXとし、基準精度をYとした場合に、
α=X(X+Y), β=Y(X+Y)=1−α
と設定してもよい。VICS精度Xと基準精度Yとが等しい場合には、VICS情報TIの寄与度αとプローブ情報PIの寄与度βとが等しくなる。さらに、VICS情報TIに基づく統計対象の区間全体の旅行時間と、プローブ情報PIに基づく統計対象の区間全体の旅行時間とを双方とも算出しておき、これらをVICS情報TIの寄与度αとプローブ情報PIの寄与度βによって重み付けて結合した値を示す交通案内情報GIを生成してもよい。すなわち、VICS情報TIに基づく統計対象の区間全体の旅行時間をTvとし、プローブ情報PIに基づく統計対象の区間全体の旅行時間をTpとし、交通案内情報GIが示す旅行時間をTtとした場合に、
t=αTv+βTp
としてもよい。
また、交通案内情報生成部110cの機能により制御部11は、VICS情報TIとプローブ情報PIとに基づいて経路探索を行い、当該経路探索の結果を示す交通案内情報GIを生成してもよい。
【0053】
また、前記実施形態(図2)におけるステップS120〜S125の処理、ステップS130〜S135の処理、および、ステップS140の処理のいずれも実行しないようにしてもよい。例えば、VICS情報TIに対応付けられたVICSリンクに備えられた第1検知器30の種類が特定できない場合には、VICS情報TIの精度が特定できないとしてプローブ情報PIのみに基づいて交通案内情報GIを生成してもよい。むろん、前記実施形態(図2)におけるステップS120〜S125の処理、ステップS130〜S135の処理、および、ステップS140の処理のいずれか1つまたは2つを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…サーバ,11…制御部,12…通信部,13…記録媒体,13a…地図情報,13b…精度情報,20…VICS情報管理サーバ,30…第1検知器,40…第2検知器,110…交通案内情報生成プログラム,110…交通情報取得部、110b…精度特定部,110c…交通案内情報生成部,C…車両,DI…検知情報,GI…交通案内情報,PI…プローブ情報,TI…VICS情報。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の区間における道路状況を示す交通情報であって、当該区間に備えられた第1検知器による車両検知に応じて生成された第1交通情報と、車両に備えられた第2検知器による車両検知に応じて生成された第2交通情報とを取得する交通情報取得手段と、
前記第1交通情報に基づいて当該第1交通情報のための車両検知を行った前記第1検知器の種類を特定し、当該第1検知器の種類に対応付けられた精度を当該第1交通情報の精度とする精度特定手段と、
前記第1交通情報の精度が所定の基準精度よりも低い場合に、前記第1交通情報の寄与度を前記第2交通情報の寄与度よりも小さくした交通案内情報を生成する交通案内情報生成手段と、
を備える交通案内情報生成装置。
【請求項2】
前記精度特定手段は、前記第1交通情報のための車両検知を行った前記第1検知器の種類が特定できなかった場合、当該第1交通情報の精度を、当該第1交通情報のための車両検知を行った前記第1検知器が備えられた区間から所定距離以内、かつ、当該区間と道なりに走行可能な他の区間に備えられた前記第1検知器の種類に対応付けられた精度とする、
請求項1に記載の交通案内情報生成装置。
【請求項3】
前記精度特定手段は、前記第1交通情報のための車両検知を行った前記第1検知器の種類が特定できなかった場合、当該第1交通情報の精度を、当該第1交通情報のための車両検知を行った前記第1検知器が備えられた区間から所定距離以内、かつ、当該区間と同一の道路種別の他の区間に備えられた前記第1検知器の種類に対応付けられた精度とする、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の交通案内情報生成装置。
【請求項4】
前記精度特定手段は、前記第1検知器の種類および当該第1検知器による車両検知が行われた時刻に基づいて前記交通情報の精度を特定する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の交通案内情報生成装置。
【請求項5】
前記精度特定手段は、前記第1検知器の種類および当該第1検知器による車両検知が行われた環境に基づいて前記交通情報の精度を特定する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の交通案内情報生成装置。
【請求項6】
前記精度特定手段は、前記第1検知器の種類および前記環境としての天候に基づいて前記交通情報の精度を特定する、
請求項5に記載の交通案内情報生成装置。
【請求項7】
同一の区間における道路状況を示す交通情報であって、当該区間に備えられた第1検知器による車両検知に応じて生成された第1交通情報と、車両に備えられた第2検知器による車両検知に応じて生成された第2交通情報とを取得する交通情報取得工程と、
前記第1交通情報に基づいて当該第1交通情報のための車両検知を行った前記第1検知器の種類を特定し、当該第1検知器の種類に対応付けられた精度を前記第1交通情報の精度とする精度特定工程と、
前記第1交通情報の精度が所定の基準精度よりも低い場合に、前記第1交通情報の寄与度を前記第2交通情報の寄与度よりも小さくした交通案内情報を生成する交通案内情報生成工程と、
を含む交通案内情報生成方法。
【請求項8】
同一の区間における道路状況を示す交通情報であって、当該区間に備えられた第1検知器による車両検知に応じて生成された第1交通情報と、車両に備えられた第2検知器による車両検知に応じて生成された第2交通情報とを取得する交通情報取得機能と、
前記第1交通情報に基づいて当該第1交通情報のための車両検知を行った前記第1検知器の種類を特定し、当該第1検知器の種類に対応付けられた精度を前記第1交通情報の精度とする精度特定機能と、
前記第1交通情報の精度が所定の基準精度よりも低い場合に、前記第1交通情報の寄与度を前記第2交通情報の寄与度よりも小さくした交通案内情報を生成する交通案内情報生成機能と、
をコンピュータに実行させる交通案内情報生成プログラム。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−194761(P2012−194761A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58049(P2011−58049)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】