説明

交通量予測装置、交通量予測方法およびプログラム

【課題】 計算量を低減するとともに、時々刻々と変化するトレンドに追従可能な交通量予測装置を提供する。
【解決手段】 交通量予測装置10は、平均速度データ記憶部12と、交通量の遷移を所定時点から遡った時間と遡った時点の交通量とからなるマトリクスによって表した遷移パターンマップを記憶した遷移パターンマップ記憶部14と、遷移パターンマップを遷移パターンマップ記憶部14から読み出し、取得した平均速度の遷移データに対応するマトリクス要素の値を更新する遷移パターンマップ更新部19と、直近の交通量の遷移データを平均速度データ記憶部12から読み出し、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて複数の遷移パターンマップの評価値を求め、評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を予測交通量として求める予測交通量算出部20と、予測交通量を出力するディスプレイ16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通量を予測する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通量を予測する方法には、長期的な予測を行う方法と、短期的な予測を行う方法がある。長期的な予測には、日や時間帯等の属性ごとの平均値を統計的に求める方法が多く用いられ、実用化されている。短期的な予測には、過去の時系列データを用いて予測を行う方法や、パターンベースの機械学習を行う方法が知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−307278号公報
【特許文献2】特開2002−298281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長期的な予測は、長いスパン(例えば1時間以上)での予測には適応可能であるが、それより短期での予測は、日々の動的な傾向に左右されるため、困難である。
【0005】
過去の時系列データを用いて予想する方法やパターンベースの方法は、計算量が大きいので、大規模なネットワークに対する予測には不向きである。例えば、最近隣法では、パターンが増えるほど、パターン間の比較の計算量が多くなる。また、上記した従来技術では、動的なトレンドの変化については考慮されておらず、時々刻々と変化するトレンドに追従するには、データのアップデートを頻繁に行う必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記背景に鑑み、計算量を低減するとともに、時々刻々と変化するトレンドに追従可能な交通量予測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の交通量予測装置は、所定区間の道路の交通量のデータを取得する交通量データ取得部と、取得した交通量データを記憶する交通量データ記憶部と、所定時点の交通量ごとに生成された複数の遷移パターンマップであって、前記各交通量に至る交通量の遷移を所定時点から遡った時間と遡った時点の交通量とからなるマトリクスによって表した遷移パターンマップを記憶した遷移パターンマップ記憶部と、前記交通量データを取得したときに、取得した交通量データに対応する遷移パターンマップを前記遷移パターンマップ記憶部から読み出すと共に、前記交通量データ記憶部から前記交通量の遷移データを読み出し、読み出した遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新する遷移パターンマップ更新部と、直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を予測交通量として求める予測交通量算出部と、前記予測交通量を出力する出力部とを備える。前記交通量データ取得部は、プローブカーから送信される車両に関するデータを受信し、当該データから求めた車両の平均速度のデータを前記交通量データとして用いてもよい。
【0008】
このように所定時点での交通量ごとに、当該交通量に至る交通量の遷移パターンを表したマトリクス状の複数の遷移パターンマップを生成しておき、直近の遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて各遷移パターンマップの評価値を求めることにより、直近の遷移データがどの遷移パターンマップに近いかを計算する計算処理負担を軽減でき、迅速に交通量を予測することができる。また、交通量データを取得したときに遷移パターンマップを更新する構成により、時々刻々と変化するトレンドに追従することができる。
【0009】
本発明の交通量予測装置において、前記遷移パターンマップ更新部は、前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新する前に、前記遷移パターンマップの全マトリクス要素に対して定数E(0<E<1)を乗算してもよい。このように、遷移パターンマップの全マトリクス要素の値に定数Eを乗算することで、古いデータの遷移パターンマップへの影響を低減できる。
【0010】
本発明の交通量予測装置において、前記遷移パターンマップ更新部は、前記遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新すると共に、前記対応するマトリクス要素に対して交通量が隣接するマトリクス要素の値も更新してもよい。このように交通量が隣接するマトリクス要素の値をも更新することにより、多くのマトリクス要素に値が入るので、適切に予測を行うことができる。なお、交通量が隣接するマトリクス要素については、交通量が合致するマトリクス要素よりも小さい割合で値を更新してもよい。
【0011】
本発明の交通量予測装置において、前記予測交通量算出部は、所定時点から遡った時間が小さいマトリクス要素の方が、遡った時間が大きいマトリクス要素より、重みが重くなるような重み係数を乗じて前記評価値を求めてもよい。この構成により、直近の交通量データに重みをおくことにより、より適切な交通量予測を行える。
【0012】
本発明の交通量予測装置において、前記遷移パターンマップは、前記所定区間とは異なる別の区間の前記所定時点における交通量データをマトリクス要素として含んでおり、前記遷移パターンマップ更新部は、前記所定区間および前記別の区間の交通量データを取得したときに、前記所定区間の交通量データに対応する遷移パターンマップを前記遷移パターンマップ記憶部から読み出すと共に、前記交通量データ記憶部から前記所定区間の交通量の遷移データを読み出し、読み出した遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新し、かつ、前記別の区間の交通量データに対応するマトリクス要素の値を更新し、前記予測交通量算出部は、前記別の区間の直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、前記別の区間の複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を前記別の区間の予測交通量として求め、前記所定区間の直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、前記所定区間の複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値と、前記別の区間について求めた前記予測交通量データに対応するマトリクス要素の値とに基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を前記所定区間の予測交通量として求めてもよい。ここで、別の区間は、前記所定区間に隣接する区間であってもよいし、前記所定区間の遷移パターンマップとの類似度が所定の閾値より大きい遷移パターンマップを有する区間であってもよい。なお、類似度は、平均速度の遷移パターン相互の時系列間の距離(差分の二乗和など)で求めることができる。
【0013】
道路の交通量は互いに影響し合っているので、所定区間とは異なる別の区間の交通量データをも用いることにより、所定区間の交通量の予測精度を高めることができる。
【0014】
本発明の交通量予測方法は、交通量予測装置によって交通量を予測する方法であって、前記交通量予測装置が、所定区間の道路の交通量のデータを取得するステップと、前記交通量予測装置が、取得した交通量データを交通量データ記憶部に記憶するステップと、前記交通量予測装置が、所定時点の交通量ごとに生成された複数の遷移パターンマップであって、前記各交通量に至る交通量の遷移を所定時点から遡った時間と遡った時点の交通量とからなるマトリクスによって表した遷移パターンマップを記憶した遷移パターンマップ記憶部を準備するステップと、前記交通量予測装置が、前記交通量データを取得したときに、取得した交通量データに対応する遷移パターンマップを前記遷移パターンマップ記憶部から読み出すと共に、前記交通量データ記憶部から前記交通量の遷移データを読み出し、読み出した遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新するステップと、前記交通量予測装置が、直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を予測交通量として求めるステップと、前記交通量予測装置が、前記予測交通量を出力するステップとを備える。
【0015】
本発明のプログラムは、交通量を予測するためのプログラムであって、コンピュータに、所定区間の道路の交通量のデータを取得するステップと、取得した交通量データを交通量データ記憶部に記憶するステップと、所定時点の交通量ごとに生成された複数の遷移パターンマップであって、前記各交通量に至る交通量の遷移を所定時点から遡った時間と遡った時点の交通量とからなるマトリクスによって表した遷移パターンマップを記憶する領域を確保して遷移パターンマップ記憶部を準備するステップと、前記交通量データを取得したときに、取得した交通量データに対応する遷移パターンマップを前記遷移パターンマップ記憶部から読み出すと共に、前記交通量データ記憶部から前記交通量の遷移データを読み出し、読み出した遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新するステップと、直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を予測交通量として求めるステップと、前記予測交通量を出力するステップとを実行させる。
【0016】
本発明の交通量予測方法およびプログラムは、本発明の交通量予測装置と同様に、計算処理負担を軽減して、迅速に交通量を予測することができる。また、本発明の交通量予測装置の各種の構成を本発明の交通量予測方法およびプログラムに適用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、所定時点での交通量ごとに、当該交通量に至る交通量の遷移データのパターンを表したマトリクス状の複数の遷移パターンマップを用いることで、直近の遷移データがどの遷移パターンマップに近いかを計算する計算処理負担を軽減でき、迅速に交通量を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態の交通量予測装置の構成を示す図である。
【図2】遷移パターンマップ記憶部に記憶されたデータの例を示す図である。
【図3】過去の平均速度の遷移データを示す図である。
【図4】(a)更新前の遷移パターンマップの例を示す図である。(b)遷移パターンマップの更新について説明するための図である。
【図5】遷移パターンマップの更新について説明するための図である。
【図6】平均速度の直近の遷移データの例を示す図である。
【図7】複数の遷移パターンマップのうちで、遷移データとの一致度が最も高い遷移パターンマップを求める計算例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態の交通量予測装置のハードウェア構成を示す図である。
【図9】第1の実施の形態の交通量予測装置による遷移パターンマップ更新の動作を示す図である。
【図10】第1の実施の形態の交通量予測装置による交通量予測の動作を示す図である。
【図11】第2の実施の形態における遷移パターンマップ更新について説明するための図である。
【図12】第2の実施の形態の交通量予測装置による交通量予測の動作を示す図である。
【図13】第3の実施の形態の交通量予測装置による交通量の予測方法について説明するための図である。
【図14】(a)遷移パターンマップ記憶部に記憶された遷移パターンマップの例を示す図である。(b)道路構造を示す図である。
【図15】第4の実施の形態における遷移パターンマップ更新について説明するための図である。
【図16】第4の実施の形態の交通量予測装置による交通量予測の動作を示す図である。
【図17】(a)自区間に対する隣接区間を示す図である。(b)遷移パターンマップの例を示す図である。
【図18】第6の実施の形態の交通量予測装置10aの構成を示す図である。
【図19】第6の実施の形態における隣接区間の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の交通量予測装置について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の交通量予測装置10の構成を示す図である。交通量予測装置10は、例えば、交通情報センターに設置され、全国各地を走行するプローブカーPから車両の各種データを受信する。本実施の形態では、プローブカーPから受信した位置データおよび速度データを用いて、交通量を予測する。
【0020】
所定区間における交通量は、その所定区間を走行する車両の平均速度によって把握できる。例えば、車両の平均速度が法廷速度より遅くなればなるほど、道路が混雑しており、交通量が多いことが分かる。従って、本実施の形態では、車両速度のデータを、交通量を示すデータとして扱う。なお、本実施の形態では、プローブカーPから取得したデータにより交通量を予測する例を挙げて説明するが、他の方法により交通量のデータを取得してもよい。例えば、道路に設置した車両感知器によって収集した交通量データを利用してもよい。
【0021】
交通量予測装置10は、プローブカーPから送信される各種データを受信する車両データ受信部11と、所定区間における車両の平均速度データを記憶する平均速度データ記憶部12と、道路地図を記憶した道路地図記憶部13と、過去の平均速度データの遷移を表す遷移パターンマップを記憶した遷移パターンマップ記憶部14と、遷移パターンマップを生成すると共に将来の平均速度データを予測する制御部15と、制御部15にて求めた予測交通量を表示するディスプレイ16と、例えば、交通量を予測すべき区間を指定する情報等の各種情報を入力する入力部17とを有している。
【0022】
制御部15は、プローブカーPから受信した車両データ(例えば、位置データ、速度データ)に基づいて所定区間における車両の平均速度を求める平均速度算出部18と、遷移パターンマップ記憶部14に記憶された遷移パターンマップを更新する遷移パターンマップ更新部19と、遷移パターンマップと直近の平均速度データの遷移とに基づいて予測交通量を算出する予測交通量算出部20と、予測交通量をディスプレイ16に表示させる表示部21とを有している。
【0023】
図2は、遷移パターンマップ記憶部14に記憶された遷移パターンマップの例を示す図である。図2に示す遷移パターンマップは、所定区間における平均速度データの遷移パターンを示すデータである。遷移パターンマップ記憶部14は、図2に示すような遷移パターンマップのセットを、交通量を予測すべき区間と同じ数だけ記憶している。
【0024】
図2に示すように、遷移パターンマップ記憶部14は、一つの区間につき、複数の遷移パターンマップ22a〜22eを記憶している。それぞれの遷移パターンマップ22a〜22eは、所定時点において所定の平均速度に至る遷移パターンを示している。所定時点とは、データを取得した最新の時点であり、図2では「現在」と記載している。例えば、遷移パターンマップ22aは、所定時点において平均速度が「40km/h〜」となる遷移パターンを示しており、遷移パターンマップ22eは、所定時点において平均速度が「0〜10km/h」となる遷移パターンを示している。遷移パターンマップは、時間に関しては10分刻み、平均速度に関しては10km/h刻みというように、所定の数値範囲で区切られて規定された要素が集合したマトリクスによって構成されている。この遷移パターンマップにより、遷移パターンを表現するデータ量を大幅に削減することができる。
【0025】
遷移パターンマップ更新部19は、平均速度算出部18にて算出した平均速度データと平均速度データ記憶部12に記憶されたデータとに基づいて、遷移パターンマップ記憶部14に記憶された遷移パターンマップを更新する。ここで、具体例を用いて、遷移パターンマップ更新部19の処理について説明する。平均速度算出部18がプローブカーPからの車両データに基づいて、所定区間における平均速度データを算出すると、遷移パターンマップ更新部19は、その平均速度データに対応する遷移パターンマップを読み出す。この例において、平均速度データが「40km/h〜」であったとすると、「現在」の平均速度データが「40km/h〜」となっている遷移パターンマップ22aを読み出す。また、遷移パターンマップ更新部19は、その区間における過去の平均速度データを平均速度データ記憶部12から読み出す。
【0026】
図3は、読み出した過去の平均速度の遷移データを示す図である。図4(a)は、更新前の遷移パターンマップ22aを示す図であり、図2に示す遷移パターンマップ22aを再掲した図である。図4(b)及び図5は、遷移パターンマップ22aの更新について説明するための図である。遷移パターンマップ更新部19は、読み出した遷移データ(図3参照)を用いて遷移パターンマップ(図4(a))を更新する。遷移パターンマップ更新部19は、まず、遷移パターンマップ全体に1未満の定数E(0<E<1)を乗算する。図4(b)は、遷移パターンマップ全体に0.9を乗じた例を示している。このように、遷移パターンマップ全体に定数Eを乗じることにより、古いデータの遷移パターンマップへの影響を低減させる。
【0027】
図3に示す例では、「40km/h〜」の平均速度に至るまでの過程を、遷移パターンマップと同様に表すと、10分前は「30〜40km/h」、20分前は「20〜30km/h」、30分前は「20〜30km/h」、40分前は「10〜20km/h」である。このような過程を経て「40km/h〜」の平均速度になったことを、遷移パターンマップの対応するマトリクス要素に加算する。具体的には、図5に示すように、各マトリクス要素を辿った回数(1回)を、遷移パターンマトリックスに追加する。
【0028】
次に、予測交通量算出部20について説明する。予測交通量算出部20は、直近の平均速度の遷移データを平均速度データ記憶部12から読み出し、読み出した平均速度の直近の遷移データと遷移パターンマップとに基づいて、所定区間の予測平均速度、すなわち、予測交通量を計算する。
【0029】
図6は、直近の平均速度の遷移データの例を示す図である。図6に示す遷移データを、遷移パターンマップと同様に表すと、現在は「20〜30km/h」、10分前は「20〜30km/h」、20分前は「10〜20km/h」、30分前は「20〜30km/h」、40分前は「10〜20km/h」である。複数の遷移パターンマップの中から、図6に示す過去の遷移データとの一致度が最も高い遷移パターンマップを求め、その遷移パターンマップに対応する平均速度データを予測交通量として求める。
【0030】
図7は、複数の遷移パターンマップのうちで、図6に示す遷移データとの一致度が最も高い遷移パターンマップを求める計算例を示す図である。図7に示すように、予測交通量算出部20は、図6に示す直近の遷移データと一致するマトリクス要素の値を合計して、一致度を表す評価値を求める。なお、予測交通量算出部20は、将来の平均速度を求めるので、直近の遷移データの「現在」の平均速度「20〜30km/h」を遷移パターンマップの「10分前」の「20〜30km/h」のマトリクス要素に対応させ、直近の遷移データの「10分前」の平均速度「20〜30km/h」を遷移パターンマップの「20分前」の「20〜30km/h」のマトリクス要素に対応させ、以下同様に、1つずつ前にシフトしたマトリクス要素に対応させていく。
【0031】
図7に示す例では、遷移パターンマップ22aの評価値は「90」、・・・遷移パターンマップ22eの評価値は「66」となる。この例において、例えば、遷移パターンマップ22aの評価値が最大であったとすると、予測交通量算出部20は、遷移パターンマップ22aに対応する平均速度「40km/h〜」を予測交通量として求める。
【0032】
図8は、本実施の形態の交通量予測装置10のハードウェア構成を示す図である。交通量予測装置10は、CPU30と、メモリ31と、入力部32と、ハードディスク33と、ディスプレイ34と、通信インターフェース35とを有しており、これらの構成要素がバス36によって接続されている。メモリ31には、本実施の形態の交通量予測装置10の機能を実現するプログラム37が記憶されている。CPU30がプログラム37を読み出して実行することにより、交通量予測装置10が実現され、以下に説明する処理が行われる。ハードディスク33には、平均速度データ、道路地図および遷移パターンマップが記憶される。すなわち、ハードディスク33は、平均速度データ記憶部12、道路地図記憶部13および遷移パターンマップ記憶部14を構成する。
【0033】
図9は、第1の実施の形態の交通量予測装置10の遷移パターンマップの更新の動作を示す図である。交通量予測装置10は、まず、プローブカーPから車両データを受信し(S10)、受信した車両データから道路の所定区間における車両の平均速度を算出し、記憶する(S12)。所定区間を走行する複数のプローブカーPから車両データを受信した場合には、複数の車両データを用いて平均速度を算出する。平均速度の計算方法としては、所定区間の長さを、所定区間を通過するのに要した時間で割ってもよいし、所定区間内に多数のプローブカーPがあるときには、多数のプローブカーPから受信した走行速度のデータを平均してもよい。
【0034】
次に、交通量予測装置10は、算出した平均速度データに対応する遷移パターンマップを選択し、遷移パターンマップ記憶部14から読み出す(S14)。例えば、算出された平均速度データが「40km/h〜」の場合には、遷移パターンマップ22a(図2参照)を読み出す。ここで、読み出された遷移パターンマップが更新対象となる。交通量予測装置10は、読み出した遷移パターンマップの全データに対し、定数E(0<E<1)を乗じる(S16)。本実施の形態では、定数Eとして0.9を用いる。
【0035】
交通量予測装置10は、平均速度データ記憶部12から、平均速度の遷移データを読み出す(S18)。更新対象の遷移パターンマップにおいて、読み出した平均速度データに対応するマトリクス要素に「1」を加算し、遷移パターンマップを更新する(S20)。
【0036】
図10は、第1の実施の形態の交通量予測装置10による交通量予測の動作を示す図である。まず、交通量予測装置10は、交通量を予測すべき区間の直近の平均速度の遷移データを、平均速度データ記憶部12から読み出す(S30)。続いて、交通量予測装置10は、予測すべき区間の複数の遷移パターンマップのそれぞれと遷移データとの一致度を求める。具体的には、交通量予測装置10は、複数の遷移パターンマップのそれぞれにおいて、直近の遷移データに対応するマトリクス要素の値を読み取り、読み取った値を合計して、直近の遷移データとの一致度を示す評価値を計算する(S32)。交通量予測装置10は、評価値の最も高い遷移パターンマップを決定し(S34)、決定された遷移パターンマップに対応する平均速度データを予測交通量として求める(S36)。交通量予測装置10は、求めた予測交通量のデータをディスプレイ16から出力する(S38)。ここでは予測交通量のデータをディスプレイ16から出力する例を挙げたが、求めた予測交通量のデータを要求に応じて送信したり、当該所定区間近辺に向けて放送したりしてもよい。以上、第1の実施の形態の交通量予測装置10の構成および動作について説明した。
【0037】
第1の実施の形態の交通量予測装置10は、所定時点での平均速度データごとに、当該平均速度に至るまでの平均速度の遷移データのパターンを表したマトリクス状の複数の遷移パターンマップを生成しておく。そして、直近の遷移データに対応するマトリクス要素の値を合計してそれぞれの遷移パターンマップの評価値を求めることにより、直近の遷移データがどの遷移パターンマップに近いかを計算する計算処理負担を軽減でき、交通量を表す平均速度を迅速に予測することができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の交通量予測装置10について説明する。第2の実施の形態の交通量予測装置10の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じであるが(図1参照)、第2の実施の形態の交通量予測装置10は、遷移パターンマップの更新の仕方が第1の実施の形態とは異なる。
【0039】
図11は、第2の実施の形態における遷移パターンマップ更新について説明するための図である。第2の実施の形態では、平均速度の過去の遷移データに対応するマトリクス要素を更新する処理に加えて、過去の遷移データに対応するマトリクス要素に対して、平均速度が隣接するマトリクス要素も更新する処理を行う。具体的には、交通量予測装置10は、対応するマトリクス要素に「1」を加算するとともに、隣接するマトリクス要素に「0.5」を加算する。
【0040】
図12は、第2の実施の形態の交通量予測装置10の遷移パターンマップの更新の動作を示す図である。交通量予測装置10が、プローブカーPから車両データを受信してから、遷移パターンマップにおいて、過去の平均速度データに対応するマトリクス要素に「1」を加算し、遷移パターンマップを更新するまでの動作(S10〜S20)は、第1の実施の形態と同じである。第2の実施の形態の交通量予測装置10では、さらに、対応するマトリクス要素と平均速度が隣接するマトリクス要素に「0.5」を加算して、遷移パターンマップを更新する(S22)。以上、第2の実施の形態の交通量予測装置10について説明した。
【0041】
第2の実施の形態の交通量予測装置10は、平均速度が隣接するマトリクス要素の値をも更新することにより、マトリクスの多くの要素に値が入る。従って、過去のデータが少なく、欠損値や飛び値がある場合にも、隣接するデータによりそれらの欠損値や飛び値が更新されるので、適切に平均速度の予測を行うことができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態の交通量予測装置10について説明する。第3の実施の形態の交通量予測装置10の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じであるが(図1参照)、第3の実施の形態の交通量予測装置10は、遷移パターンマップを用いた交通量の予測の仕方が第1の実施の形態とは異なる。
【0043】
図13は、第3の実施の形態の交通量予測装置10による交通量の予測方法について説明するための図である。第3の実施の形態の交通量予測装置10では、過去の遷移データとの一致度を示す評価値を求める際に、現在に近いマトリクス要素の方が重みが重くなるような重み係数を乗じる。具体的には、10分前のマトリクス要素の値には重み係数「1.0」、20分前のマトリクス要素の値には重み係数「0.9」、30分前のマトリクス要素の値には重み係数「0.8」、40分前のマトリクス要素の値には重み係数「0.7」を乗じ、得られた値を合計して評価値を求める。
【0044】
一般に、将来の交通量は現在に近い時間帯における交通量との相関が強いので、現在に近いマトリクス要素の方が重みが重くなるように、マトリクス要素の値に重み付けを行うことにより、適切な予測を行うことができる。
【0045】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態の交通量予測装置10について説明する。第4の実施の形態の交通量予測装置10の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じであるが(図1参照)、第4の実施の形態の交通量予測装置10は、所定区間の平均速度を予測する際に、所定区間に隣接する区間の平均速度データも用いる点が第1の実施の形態とは異なる。なお、説明の便宜上、平均速度を予測すべき所定区間を「自区間」という。
【0046】
また、上記の第4の実施の形態の交通量予測装置10では、遷移パターンマップ記憶部14に記憶された遷移パターンマップには、自区間における平均速度の遷移データに加え、隣接区間の平均速度データを有している。隣接区間の平均速度データも、自区間の平均速度データと同様に、10km/h刻みの数値範囲で表されている。本実施の形態では、遷移パターンマップは、隣接区間については現在の平均速度データのみ含み、現在の平均速度に至るまでの遷移データを含んでいない。
【0047】
図14(a)は、遷移パターンマップ記憶部14に記憶された遷移パターンマップ23aの例を示す図である。図14(a)では、自区間の複数の遷移パターンマップのうち、平均速度が「40km/h〜」になる遷移パターンマップ23aのみを示している。図14(a)に示す遷移パターンマップ23aは、図14(b)に示すように、自区間の両端に隣接区間1、2がそれぞれ接続された道路構造において、自区間の平均速度データを予測するための遷移パターンマップである。
【0048】
図14(a)に示すように、本実施の形態の遷移パターンマップ23aには、上記した実施の形態と同様の自区間の平均速度の遷移パターンに加え、自区間に隣接する2つの隣接区間1,2の平均速度データを有する。このデータは、自区間の平均速度が「40km/h〜」となったときの隣接区間の平均速度のデータである。例えば、自区間が「40km/h〜」となったときに、隣接区間1において「40km/h〜」であった場合が「47」、「30〜40km/h」となった場合が「26」、「20〜30km/h」となった場合が「2」である。このことから、隣接区間の平均速度が「40km/h〜」であるときには、自区間の平均速度も「40km/h〜」であることが多いことが分かる。
【0049】
図15は、第4の実施の形態の交通量予測装置10の遷移パターンマップの更新の動作を示す図である。交通量予測装置10は、まず、プローブカーPから車両データを受信し(S40)、受信した車両データから道路の自区間および隣接区間における車両の平均速度を算出し、記憶する(S42)。所定区間を走行する複数のプローブカーPから車両データを受信した場合には、複数の車両データを用いて平均速度を算出してもよい。
【0050】
次に、交通量予測装置10は、算出した平均速度データに対応する遷移パターンマップを選択し、遷移パターンマップ記憶部14から読み出す(S44)。例えば、算出された平均速度データが「40km/h〜」の場合には、遷移パターンマップ23a(図14参照)を読み出す。読み出された遷移パターンマップ23aが更新対象となる。交通量予測装置10は、読み出した遷移パターンマップ23aの全データに対し、定数E(0<E<1)を乗じる(S46)。本実施の形態では、定数Eとして0.9を用いる。
【0051】
交通量予測装置10は、平均速度データ記憶部12から、自区間の平均速度の遷移データを読み出す(S48)。読み出した遷移パターンマップ23aにおいて、過去の平均速度データに対応するマトリクス要素に「1」を加算し、遷移パターンマップ23aを更新する(S50)。また、交通量予測装置10は、算出した隣接区間の平均速度データに対応するマトリクス要素に「1」を加算し、遷移パターンマップ23aを更新する(S52)。
【0052】
図16は、第4の実施の形態の交通量予測装置10による交通量予測の動作を示す図である。まず、交通量予測装置10は、交通量を予測すべき自区間の直近の平均速度の遷移データと、その隣接区間の平均速度データの遷移データを、平均速度データ記憶部12から読み出す(S60)。続いて、交通量予測装置10は、隣接区間の複数の遷移パターンマップのそれぞれと遷移データとの一致度を求める。具体的には、交通量予測装置10は、隣接区間の複数の遷移パターンマップのそれぞれにおいて、隣接区間の遷移データに対応するマトリクス要素の値を読み取り、読み取った値を合計して、一致度を示す評価値を計算する(S62)。交通量予測装置10は、評価値の最も高い遷移パターンマップを決定し(S64)、決定された遷移パターンマップに対応する平均速度データを隣接区間の予測平均速度データとして求める(S66)。
【0053】
続いて、交通量予測装置10は、自区間の複数の遷移パターンマップと遷移データとの一致度を求める。具体的には、交通量予測装置10は、自区間の複数の遷移パターンマップのそれぞれにおいて、自区間の遷移データおよび隣接区間の予測平均速度データに対応するマトリクス要素の値を読み取り、読み取った値を合計して、一致度を示す評価値を計算する(S68)。交通量予測装置10は、評価値の最も高い遷移パターンマップを決定し(S70)、決定された遷移パターンマップに対応する平均速度データを自区間の予測平均速度データとして求める(S72)。交通量予測装置10は、求めた予測平均速度データを出力する(S74)。なお、ここでの説明は、自区間の平均速度を予測する例について説明している。上記の隣接区間の平均速度を予測する場合には、隣接区間を自区間に置き換えて上記と同様の動作を行えばよい。以上、第4の実施の形態の交通量予測装置10の構成および動作について説明した。
【0054】
第4の実施の形態の交通量予測装置10は、自区間における平均速度の遷移データに加えて、道路ネットワークにおいて互いに影響を及ぼし合っている隣接区間の平均速度データを用いることにより、自区間の交通量の予測精度を高めることができる。また、第4の実施の形態では、隣接区間については、遷移データではなく、予測データ(現時点での平均速度データ)のみを用いているので、計算負荷を抑制することができる。
【0055】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態の交通量予測装置10について説明する。第5の実施の形態の交通量予測装置10の基本的な構成は、第4の実施の形態と同じであるが、第5の実施の形態の交通量予測装置10は、自区間に直接接続されている区間のみならず、その1つ先の区間の平均速度データを用いて自区間の将来の平均速度データを求める点が異なる。
【0056】
図17(a)は、自区間に対する隣接区間を示す図、図17(b)は、遷移パターンマップの例を示す図である。図17(b)に示すように、自区間に直接接続している区間は、隣接区間1〜5および隣接区間8であるが、本実施の形態では、隣接区間3を介して接続されている隣接区間6と、隣接区間5を介して接続されている隣接区間7も、自区間の平均速度を予測するための隣接区間として用い、これらの平均速度データを記録している。この遷移パターンマップの更新の方法および遷移パターンマップを用いて自区間の平均速度を予測する方法は、第4の実施の形態と同じである。
【0057】
第5の実施の形態では、自区間と直接接続されている区間のみならず、その1つ先の区間をも隣接区間として、当該区間の平均速度データをも考慮することにより、自区間の平均速度データをより適切に予測することができる。なお、本実施の形態では、直接接続された区間とその1つ先の区間を隣接区間としたが、隣接区間として用いる範囲は、必ずしも1つ先までとは限らない。例えば、2つ先でもよいし、それ以上でもよい。また、自区間から所定の範囲内にある道路区間を隣接区間としてもよい。
【0058】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態の交通量予測装置10について説明する。第6の実施の形態の交通量予測装置10の基本的な構成は、第5の実施の形態と同じであるが、第6の実施の形態では、各区間における平均速度データの遷移の傾向に基づいて、類似の傾向を有する道路区間を隣接区間として求める機能を有する点が異なる。なお、遷移データの類似する区間が必ずしも自区間に隣接しているとは限らないが、一般的には、隣接する区間である場合が多いので、本明細書では「隣接区間」という。
【0059】
図18は、第6の実施の形態の交通量予測装置10aの構成を示す図である。第6の実施の形態の交通量予測装置10aは、第5の実施の形態の構成に加え、隣接区間決定部24を有している。隣接区間決定部24は、平均速度の遷移データをパラメータとしてクラスタリングを行い、同じクラスタに分類された区間を隣接区間として扱う。クラスタリングには、公知の方法を用いることができ、例えば、K−means法を用いることができる。
【0060】
図19は、第6の実施の形態における隣接区間の例を示す図である。図19に示す例では、区間1、区間2及び区間7が自区間の隣接区間である。つまり、これらの隣接区間1,2,7と自区間の合計4区間が同じクラスタに分類された。なお、区間1に対しても、区間2、区間7及び自区間が隣接区間となる。なお、隣接区間決定部24によるクラスタリング処理は、毎回行う必要はなく、所定の期間(例えば1か月)をおいて行えばよい。
【0061】
第6の実施の形態では、自区間と遷移データが類似する区間を隣接区間として扱うことにより、自区間の平均速度データを精度良く予測することができる。なお、本実施の形態では、自区間と遷移データが類似する区間を見つけるために、クラスタリングを行ったが、類似する区間を見つける方法はクラスタリングに限らず、別の方法を採用してもよい。
【0062】
以上、本発明の交通量予測装置について、実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0063】
上記した実施の形態では、直近の遷移データを遷移パターンマップの10分前までのマトリクス要素に当てはめて、平均速度データを予測する例について説明したが、予測した平均速度データまでの遷移データをさらに遷移パターンマップに当てはめて、多段階の予測を行うこととしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、計算処理負担を軽減でき、迅速に予測交通量を求めることができるという効果を有し、例えば、交通渋滞センター、交通管理システム、カーナビゲーションシステム、Web地図サービス等に有用である。
【符号の説明】
【0065】
10 交通量予測装置
11 車両データ受信部
12 平均速度データ記憶部
13 道路地図記憶部
14 遷移パターンマップ記憶部
15 制御部
16 ディスプレイ
17 入力部
18 平均速度算出部
19 遷移パターンマップ更新部
20 予測交通量算出部
21 表示部
22a,22e,23a 遷移パターンマップ
24 隣接区間決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定区間の道路の交通量のデータを取得する交通量データ取得部と、
取得した交通量データを記憶する交通量データ記憶部と、
所定時点の交通量ごとに生成された複数の遷移パターンマップであって、前記各交通量に至る交通量の遷移を所定時点から遡った時間と遡った時点の交通量とからなるマトリクスによって表した遷移パターンマップを記憶した遷移パターンマップ記憶部と、
前記交通量データを取得したときに、取得した交通量データに対応する遷移パターンマップを前記遷移パターンマップ記憶部から読み出すと共に、前記交通量データ記憶部から前記交通量の遷移データを読み出し、読み出した遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新する遷移パターンマップ更新部と、
直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を予測交通量として求める予測交通量算出部と、
前記予測交通量を出力する出力部と、
を備える交通量予測装置。
【請求項2】
前記交通量データ取得部は、プローブカーから送信される車両に関するデータを受信し、当該データから求めた車両の平均速度のデータを前記交通量データとして用いる請求項1に記載の交通量予測装置。
【請求項3】
前記遷移パターンマップ更新部は、前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新する前に、前記遷移パターンマップの全マトリクス要素の値に対して定数E(0<E<1)を乗算する請求項1または2に記載の交通量予測装置。
【請求項4】
前記遷移パターンマップ更新部は、前記遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新すると共に、前記対応するマトリクス要素に対して交通量が隣接するマトリクス要素の値も更新する請求項1〜3のいずれかに記載の交通量予測装置。
【請求項5】
前記予測交通量算出部は、所定時点から遡った時間が小さいマトリクス要素の方が、遡った時間が大きいマトリクス要素より、重みが重くなるような重み係数を乗じて前記評価値を求める請求項1〜4のいずれかに記載の交通量予測装置。
【請求項6】
前記遷移パターンマップは、前記所定区間とは異なる別の区間の前記所定時点における交通量データをマトリクス要素として含んでおり、
前記遷移パターンマップ更新部は、前記所定区間および前記別の区間の交通量データを取得したときに、前記所定区間の交通量データに対応する遷移パターンマップを前記遷移パターンマップ記憶部から読み出すと共に、前記交通量データ記憶部から前記所定区間の交通量の遷移データを読み出し、読み出した遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新し、かつ、前記別の区間の交通量データに対応するマトリクス要素の値を更新し、
前記予測交通量算出部は、前記別の区間の直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、前記別の区間の複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を前記別の区間の予測交通量として求め、前記所定区間の直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、前記所定区間の複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値と、前記別の区間について求めた前記予測交通量データに対応するマトリクス要素の値とに基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を前記所定区間の予測交通量として求める請求項1〜5のいずれかに記載の交通量予測装置。
【請求項7】
前記所定区間に隣接する区間を前記別の区間として用いる請求項6に記載の交通量予測装置。
【請求項8】
前記所定区間の遷移パターンマップとの類似度が所定の閾値より大きい遷移パターンマップを有する区間を前記別の区間として用いる請求項6に記載の交通量予測装置。
【請求項9】
交通量予測装置によって交通量を予測する方法であって、
前記交通量予測装置が、所定区間の道路の交通量のデータを取得するステップと、
前記交通量予測装置が、取得した交通量データを交通量データ記憶部に記憶するステップと、
前記交通量予測装置が、所定時点の交通量ごとに生成された複数の遷移パターンマップであって、前記各交通量に至る交通量の遷移を所定時点から遡った時間と遡った時点の交通量とからなるマトリクスによって表した遷移パターンマップを記憶した遷移パターンマップ記憶部を準備するステップと、
前記交通量予測装置が、前記交通量データを取得したときに、取得した交通量データに対応する遷移パターンマップを前記遷移パターンマップ記憶部から読み出すと共に、前記交通量データ記憶部から前記交通量の遷移データを読み出し、読み出した遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新するステップと、
前記交通量予測装置が、直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を予測交通量として求めるステップと、
前記交通量予測装置が、前記予測交通量を出力するステップと、
を備える交通量予測方法。
【請求項10】
交通量を予測するためのプログラムであって、コンピュータに、
所定区間の道路の交通量のデータを取得するステップと、
取得した交通量データを交通量データ記憶部に記憶するステップと、
所定時点の交通量ごとに生成された複数の遷移パターンマップであって、前記各交通量に至る交通量の遷移を所定時点から遡った時間と遡った時点の交通量とからなるマトリクスによって表した遷移パターンマップを記憶する領域を確保して遷移パターンマップ記憶部を準備するステップと、
前記交通量データを取得したときに、取得した交通量データに対応する遷移パターンマップを前記遷移パターンマップ記憶部から読み出すと共に、前記交通量データ記憶部から前記交通量の遷移データを読み出し、読み出した遷移データに対応する前記遷移パターンマップのマトリクス要素の値を更新するステップと、
直近の交通量の遷移データを前記交通量データ記憶部から読み出し、複数の遷移パターンマップについて、読み出した遷移データに対応するマトリクス要素の値に基づいて評価値を求め、前記評価値の最も高い遷移パターンマップに対応する交通量を予測交通量として求めるステップと、
前記予測交通量を出力するステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−209818(P2011−209818A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74591(P2010−74591)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】