説明

人体の植物性機能を最適化する方法、およびそのための装置

人体の植物性機能を最適化する方法、およびそのための装置である。本発明は、一般的には、生物学、ヒトおよび動物の生理学、ならびに医学の技術に関係する。より詳細には、本発明は、非薬物的な非電離性電磁放射線フローへの人体の非侵襲的暴露を通じて人の機能的条件を最適化する方法に関係している。本発明は、各標的ゾーンを、線形寸法の観点において同等なそれぞれの個別的な標的ゾーンに対してまたは一群のゾーンに対して予め定められた周波数で、セッション全体を通じて一定の平均エネルギーフロー密度で、20Hzから50kHzまでの範囲にわたって準ランダムに変化する信号による振幅変調を用いて、放射線の円形分極を用いて、ならびに、標的領域であることが意図されていない組織領域の電磁暴露を排除する仕方で、暴露することによって、人体の生物学的に活性なゾーンをセンチメートル波帯域の電磁場に暴露することによる治療効果を増強する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、生物学、ヒトおよび動物の生理学、ならびに医学の技術に関係する。より詳細には、本発明は、非薬物的な非電離性電磁放射線フラックスへの人体の非侵襲的暴露を通じて人の機能的条件を最適化する方法に関係している。
【背景技術】
【0002】
医学における電磁エネルギーの使用は一世紀以上にわたって公知である。その技術の歴史は、S. Licht、C. SusskindおよびA.W. Guyにより詳細に与えられている。これらの著者により証明されるように、1970年代まで、その目的に利用可能な全範囲にわたり、電磁場および電磁波を治療に応用することにおける関心は人体の深部に存在する生体組織の体積加熱効果に集中していた。
【0003】
初期の段階においては、温血動物およびヒトの非罹患組織の細胞に比べて癌細胞は温度の上昇に対する抵抗性が劣っているという前提のもとに、局所的な過熱によりその場で癌細胞を殺すことが可能であると信じられていた。この理由から、初期の医療用マイクロ波装置は、その組織の血流による熱の除去を充分に上回って標的組織に確実に放熱することができる放射線パワーを持たせるべく設計されていた。この傾向は、電磁体積加熱効果の使用が生物体の別の生理学的応答に適用され、それらの組織の人工的な局所過熱をもたらすために用いられるようになった後にも依然として続けられた。
【0004】
これらの応答についての大部分の知識は、マイクロ波源およびマイクロ波受信機を操作する上での安全性に関する衛生的必要条件を開発することを目的として行われた広域的な世界的規模での研究の結果として得られたものである。これらの研究は、生体組織の限られた体積に誘発される高体温を、局所炎症に関連したものと同様な防御反応効果を得ることを可能にする治療法として利用できることを明らかにした。
【0005】
内部温度は温血動物での生体恒常性維持パラメーターの1つであるため、局所的な高体温は、その生物体により、病原性病巣であり、その病巣を越えて病原性物質が伝播するのを防止する一連の応答を誘発する根拠であると「認識」される。
【0006】
内部組織に局所的な高体温を誘発し、これにより、その生物体の防御反応を刺激するためのマイクロ波エネルギーの適用は半世紀以上にわたって行われている。しかし、この探究されている効果は制御するのが困難であることが判明している。その理由は、局所的な炎症に対抗するために生物体により選択される一連の一般的な防御反応が、主に、その炎症がどの程度識別可能であるのか、その炎症がどこに所在しているのか、およびその炎症が発現し始めたときにその生物体にどのような免疫性予備力を利用することができるのかに依存していることである。その上、アプリケーターからの電磁束と患者の身体との間での相互作用の状態を含め、炎症イミテーションの物理学を適切にモニタリングするのは難しく、高体温の程度および高体温罹患組織の体積を定量化するのは困難である。これはすべて、人体の組織内における電磁波の伝播および人体の組織による電磁波の吸収に関する電気力学、幾何学および他の条件がこれまでに研究され、理解されてきたが、それらが非常に大雑把なものであったという事実に端を発している。
【0007】
高体温適用分野における大きな進歩が、最近、ある装置の発明者らによって達成され、その装置は、人体の標的体積内にかなりの正確度を持って電磁放射線を集中させることを可能にするものである(米国特許第6,208,903号 特許文献1)。そのような装置は、単一のアンテナではなく複数のアンテナエレメントを含んでおり、それらのアンテナエレメントの振幅および位相は、電磁波の適切な重なりによって身体内部の標的組織の暴露パラメーターを最適化すべく、ソフトウェアパッケージにより制御されている。同時に、上述の同じ装置は、その焦点周囲のスペースでの放射線レベルを比較的低く維持した状態に保っている。そのアンテナアレイ平面と人体の表面組織との間のスペースの波動インピーダンスを調節するため、このスペースは、皮膚脂肪層と同じ受動的電気力学パラメーターを特徴づける多層誘電体パッドで満たされている。生体組織を電磁波に暴露するすべてのこれらの特殊な特徴が、熱エネルギーを人体の内部において集中させるための上述の装置を、電磁ホーンまたは別の方向型アンテナから空気を介してやって来る電磁波に皮膚を暴露することによる内部組織のマイクロ波加熱の従来方法とは実質的に異なるものに成している。
【0008】
焦点スペースの内部における組織の高体温は約2.45GHzの動作周波数における電磁波の吸収を通じて起こり、この方法は、1940年代以来、生体組織への医療用途で使用されている。より詳細には、Raytheon CompanyによるUS製のアプリケーターおよびSoviet Luch装置でこの周波数が使用された。この周波数の電磁波の独特な特徴は、それらの電磁波が水分子によって共鳴吸収されることであり、これにより、空間的な熱の放出に関する探究されている効果が生物学的組織などの水を豊富に含んだ媒体中において最大化されることとなる。また、それは、マイクロ波エネルギーのフラックスがどんなに大きかろうとも、すべての吸収された分が水分子の確率的振動運動に変換されるため、熱の発生以外のどのような現象をも除外することとなる。
【0009】
電磁波を治療に応用することにおける別の取り組みは、組織の局所的な高体温を全く引き起こさないようなエネルギーの流れの使用、または高体温ゾーンにおける細胞エレメントを殺すように設計されたレベルもしくはその生物体の非特異的防御力を刺激するように設計されたレベルよりもずっと低い高体温をもたらすようなエネルギーの流れの使用に基づくものである。そのような適用形態または暴露形態は一般的に「非熱的」と記述されるが、幾人かの著者らは、数多くの任意の用語(「情報」、「情報波」または「共鳴」)を使用している。
【0010】
USSRにおいては、非熱的電磁波療法の実用的導入は、ミリ波帯域の電波と生物学的対象物との間での相互作用の分野におけるすべてのSovietの実験的研究および理論的研究を20年間近くにわたってコーディネートしてきたアカデミー会員のN.D. Devyatkovの指導の下で1980年代の半ばに始まった。この研究努力の主要段階における結果は最初にUSSR Academy of Sciencesの特別部会で報告された。臨床的実践により得られた知見は別カバーで15年後に公開された
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
医療を目的として非熱的強度のミリ波帯域の電磁波を適用することの裏にある考えは、それらの電磁波は、特定の情報機能により、インビボにおける組織、器官、生理学的な系および生物体の調節プロセスに直接的に、即ち、熱に変換されることなく関わり合うことができるという確信であった。
【0012】
この考えは、本質的に、A.S. Presmanにより1960年代の遅くに提唱され、彼は、生体組織によるそのようなマイクロ波の吸収の物理的に検出可能な証拠を記録することができないような低強度のマイクロ波への暴露後における動物の典型的な行動の観測可能な変化の裏にある仮想上のメカニズムの存在を示唆した。
【0013】
Presmanは、「非熱的作用」の同義語として彼が導入した「情報伝達作用」という用語が極めて弱い電磁波と生きている生物体との間にある種の特異的な相互作用があったという意味に解釈されるべきではないことを強調した。尚も、そのような放射線の医学的適用の熱心な支持者らは、非熱的効果を、その外部要因、即ち、その放射線の流れが構造的徴候の信号担持キャリヤーであるという意味において、厳密に特異的と見なすことを強く主張した。
【0014】
このミリ波帯の電磁波と生体組織との間での生物物理学的相互作用の1つの典型的な例は、「リフレクソセラピーの方法」を特許請求しているロシア特許第2212911号(特許文献2)である。その特許の著者らの注目点は、彼らが適用するミリメートル帯域の波のパラメーター特性に集中しており、「胃における酵素形成」の詳細な制御に至るまでずっと、何らかの存在する治療効果を確実にすることができるのは電磁波のパラメーターであるという彼らの推定に集中している。その作動要因の広く分散したパラメーターを確保するため、ミリメートル帯域の波にとって広大な40GHzから70GHzまでの範囲にわたる離散周波数調整および少なくとも3階数の大きさ(10μW・cm−2から5mW・cm−2まで)にわたるエネルギー束密度の変動に加え、この特許の著者らは、電磁波の多段階式振幅変調、更には、場の回転という意味の手動式の制御を用いるそれらの円形分極をも示唆した。電波振幅におけるあらゆる特異的な変化は同時に少なくとも5つのパラメーターにより設定されなければならない。例えば、上述の範囲内におけるあらゆる周波数の適切な調和振動は、振幅および持続時間が可変の不等辺四辺形パルスを満たし、このプロセスにおいて、不等辺四辺形パルスの振幅は、ゼロから任意に選択されたエネルギーフロー密度の値によって決定される最大値まで変化し、一方、パルスの間隔および持続時間は、一義的に、また同時に特別なパラメーターおよびT−モード値を利用して設定される。後者は、上述のT−モードが時間の次元を有しており、一方、上述の特別なパラメーターが無次元値であって、この無次元値がT−モードを作り上げる等しい微小時間間隔の数を決定する(ここで、それぞれの微小間隔は、その順番において、不等辺四辺形パルスの持続時間と、それに続き、且つ、ゼロの放射線振幅を示す休止の持続期間との間で準ランダムに分配される)という事実により可能に成される。T−モードの時間間隔を超えると、不等辺四辺形パルスの振幅はゼロから最大値へ変化し、指数関数的にその最大値からゼロへ戻る。従って、結果として生じるこのパターンのエンベロープは、X軸上にある底辺を伴った正極性の三角形に似た形状になる。この不等辺四辺形パルスパターンの立ち上がりエッジ指数および立ち下がりエッジ指数の特性は、ランダムに設定されるこのパターンの立ち上がり部分および立ち下がり部分の持続時間の比から決定される変数である。
【0015】
この取り組みは、場の時計方向(CW)回転または反時計方向(CCW)回転の間でのランダムな選択を顧慮せずとも、人体の幾つかのまたは他の組織、器官もしくは系の状態を正常にすることができる特異的情報伝達原理のキャリヤーであると言われているエネルギー流動構造に対するあらゆる種類の意味合いを設計するための限りない創造的機会に隣接していることを約束しているように思われた。しかし、この特許が特定の健康状態に対する特定の放射線パラメーターの組み合わせを選択するために使用されるべき判断基準について何ら明瞭な詳細な説明を提示していないという単純な理由から、誰もそれらの機会を実行することに成功していない。その代わりに、「自然なプロセスの一貫した指数関数的規則性」について、アミノ酸および糖の光学異性体の生きている生物体の選択的取り込みにより確保されると言われているCW−およびCCW−分極放射線の「バイオトロピシティー」(特許文献2のp.2参照)について、ならびに「病変を被っている器官の特徴である本質的な有機体固有のバイオリズム」(特許文献2のp.5)などについての一般的な推測が提示されている。例証として、特許文献2の著者らにより、恰も広く知られ且つ一般的に受け入れられている表形式データへの参照がなされたかの如く、T−モードの値が「病変を伴った器官の特徴であるその生物体のバイオリズムのそれらの本質的な周波数に比例して」選択されることが示唆されている。そのようなプロジェクトの特別な方法論的特徴は暴露相互作用の位相幾何学的側面を完全に無視することであり、別な言葉で表現すれば、生物体の自然な応答が、その身体のどの部分が電磁波に暴露されるのかにどのように依存するのかについての現実的な検討がなされていない。この探究されている治療効果は、内部組織の加熱とそっくりの、特に優れた暴露パラメーターの関数であると目されるプリオリであるということが仮定されているようである。例えば、ミリ波帯の電磁波と「胃管」との間での相互作用がどのように組織されるのかを述べた言葉でではなく、この種の放射線が水を豊富に含んだ媒体中に1mm未満の深さにまで浸透したことで、特許文献2の著者らは、「CW−回転電磁波への胃管の暴露はペプシン酵素の発生を刺激し」、一方、「CCW回転の場合には、ペプシンの発生が遅速化される」と主張している(op.cit.,p.5)。
【0016】
非熱的電磁波が生きている対象物に及ぼす「情報伝達効果」の1つの代替的な解釈は、放射線の周波数と生きている対象物にもたらされる結果的な応答の内容との間にはっきりと識別可能な共鳴依存関係が存在するという仮定に基づいており、別な言葉で表現すれば、特定の周波数の放射線は、ある種の「その生物体の内部コミュニケーションおよび制御信号(情報信号)」を模倣することができるという信念に基づいている
【0017】
使用されるべきこの示唆された治療要因は、Presmanの「情報伝達性暴露」の定義の下に正当に納まり得る何らかの高周波電磁波ではなく、ミリメートル帯域の波のみであった。それらの波は、そのスペクトルのその部分が、地上に到達する宇宙線中には事実上存在しないが、周波数の観点において、生物学的組織中に豊富に含まれている水分子の回転運動の固有周波数と調和するため、治療用として識別された。特定の周波数、例えば42.254GHzおよび53.604GHzなどのミリ波は、「すべての生きている実体に共通」の内部コミュニケーション信号の普遍的キャリヤーであると断言された。この仮説は、「Yav」および「Electronika KVCh」を含め、それらの普遍的な周波数を用いる治療用放射線源の発達の基礎をもたらした。
【0018】
実際には、非熱的なミリメートル帯域の波の適用に対する近−共鳴応答態は、ヘモグロビン分子などの基本的な生物学的モデルで完全な脱水の後にのみ充分な精度を持って観測することができる。ミリメートル帯域の波は、目の光受容体による光量子の吸収と同様な波のエネルギーの吸収によって予め定められるアプリオリであった生体組織における何らかの特異的事象を開始させることができず、それらは常に一連の幾つかのまたは他の相互依存的な生体機能の変化と関連している。これは、モデルである生物学的対象の状態の生体電気的指標、代謝的指標および生体力学的指標における並行した変化の観測により証明される10
【0019】
臨床的実践の結果により示されているように、非熱的なミリメートル帯域の波を治療に応用することにおける成功は、暴露の系統的詳細から生じるよりも、それらの波の周波数からの方が生じにくい。重要な主要要因は次のとおりである。身体上の標的ポイント(または複数のポイントからなる系)の選択、暴露セッションの時刻の選択、選定された標的ポイントに対する暴露持続時間の選択(1つより多くのポイントがある場合には、各標的ポイントに対する暴露のシーケンスおよび持続時間の選択)。例えば、2つの標的領域−後胸腹板先端の直下または恥骨関節頂端の上部−における腹部正中線上の複数のポイントへの物理的に同一なミリメートル帯域の波の適用は、それぞれ、胃潰瘍の治癒を加速することまたは子宮膣部糜爛を排除することにおいて好ましい結果を与えることができる。どちらのケースにおいても、成功は、選定された皮膚領域が生物学的に活性なポイント(BAP)、即ち、それぞれの障害を治療する目的で皮膚内に針の先端を挿入する際に推奨される刺鍼位置にどれだけ近在しているかに大いに依存する。
【0020】
それ故、胃または子宮頚の粘膜層の再生プロセスなどの生物体における特定のプロセスを制御する外部効果であると信じられていることは、実際には、大部分が標的対象物の内部特性によって予め決定されている。1990年代までに、ミリ波帯域の電磁波の治療を目的とした応用は、伝統的な東洋医学の原理、特にchen-tzu療法の原理と系統的に重複するという考えがかなり広く知られることとなった。まさしく、マイクロ波とBAP構造との間の相互作用のメカニズムは、尚も、ミリメートル帯域の波の場合と重なる周波数範囲で起こると言われている共鳴プロセスの用語で説明されている
【0021】
実際的な言い方をするならば、伝統的な刺鍼法によるBAP作動と非熱的なミリメートル帯域の波の適用によるBAP作動との間の類似点を引き出すことは、非薬物的治療法の発展における大きな進歩である。後者の取り組みの疑う余地のない利点は、身体を穿刺する針によってもたらされ得る感染のリスクを排除する非侵襲的な特性である。
【0022】
遺憾なことに、プラクティショナーによる新たな薬剤不使用の治療技術の習得は、ミリメートル帯域の電磁波と生体との間、特にBAP構造との間の本質的に「情報伝達性」の相互作用を確かなものにすると言われている仮説的共鳴プロセスを執拗に重要視することにより妨げられている。このミリ波の「独特」な特性の強調は、治療効果の内容が、波動パラメーターの設定を通じて得ることが可能などのような結果よりも、あれこれのBAPに本気で取り組むことから予想される結果の方がずっと優れているという事実の理解をぼやかし、且つ、希薄化する。この取り組みの避けることのできない1つのシーケンスは、あれこれのBAPに適用される正確な用量の外部インパクトからなる基本的な鍼治療の伝統の危険な過度の単純化である。例えば、電磁波へのBAPの暴露についての今日の提言は、これまでのところ、それがまさにchen-tzu療法の治療方策を決定する、異なるポイントでの興奮および鎮静のバランスであったとしても、暴露された活性ポイントが暴露時間のみにより制限されるセッションの終わりに興奮状態にあるのかまたは鎮静状態にあるのかどうかを示すことができていない。
【0023】
同様に非常に重要なことは、利用可能な電磁アプリケーターを一般的には1つしか持っていない医師は、一度に1つのポイントしか治療することができず、治療シーケンスの決定におけるその医師自身の能力に頼らざるを得ないという事実である。
【0024】
ミリメートル帯域の波が生物学的対象物に対する「メッセンジャー」としての独特な能力を有していると言われている仮説を過度に強調することに対する別の負のシーケンスは、研究努力が、異なる周波数帯の電磁波ではあるが、BAPsより大きな人体の領域(例えばヘッドのラインまたはゾーン)の治療上の処置にとってかなり有益であり得る電磁波からそれてしまうということである。
【0025】
BAPの小さな線形寸法および面積(数平方センチメートル以内)を斟酌すると、ミリメートル帯域の電磁波は技術的に最も適切な暴露周波数範囲であり、そのような波のビームは、その開放導波路に何ら技術的な付加物を伴うことなく、非標的組織と重ならずに隣接した状態であらゆるBAPに容易に集中させることができる。正確な集束がアンテナの出射セクションを標的皮膚領域から特定の距離に保つことにより簡単に確実化される。もっと長い電波は、暴露要因として使用される場合、追加のアプライアンスを必要とするであろう。「情報伝達性波動療法用」の1つの一般的な装置がロシア特許RU第2156626号13に記載されている。BAPsをかなり広い周波数スペクトルの電波に暴露するためにそのエミッターを適用することができるようにするため、それを「広帯域フィルターの形態」の誘電体で作ることが示唆されており、従って、その放射誘電体ロッドの自由端は円錐形に成されている。標的皮膚領域に到達するビームの断面積とこの発明の著者が鍼治療のつぼと呼んでいるような「活性ゾーン」の天然の線形寸法との間の幾何学的な一致にとってこの設計が不可欠であると主張されている。しかし、標的皮膚領域が数十平方センチメートルほどの小さなものであって、且つ、波長がその標的領域の線形寸法と釣り合いが取れている場合には、もっと長い波の放射を使用することが賢明であろう。
【0026】
非熱的または「情報伝達性」電磁治療法の適用領域を拡張するため、1991年に、生物学的に活性な領域、特にヘッドのラインを暴露するのに、低強度のセンチメートル帯域の波を使用することが示唆された。同じく1991年に、低強度のセンチメートル帯域の波のフラックスにより生物学的対象物の機能状態を最適化する1つの実施形態に対して特許が発行された(特許文献4)。特許が付与されたその方法およびその実施形態がこの出願で示唆されているものに最も近い。
【0027】
上述の特許文献4においては、広帯域スパイラルアンテナを使用した状態で、マイクロ波の周波数が、アンテナ面からその波ゾーンの始点までの距離において、そのビームの中央ローブの面積が標的身体表面の80%乃至100%となるように、標的ゾーン(電磁波に暴露されるべきポイント)の線形寸法を斟酌して選択されることが提案されている。同時に、その選択された適用周波数が、その中央値の数パーセントの範囲内におけるミリメートル帯域のキャリヤー周波数のスイープと非常に類似して、20Hzから50kHzまで変動する準確率論的信号によって0%乃至10%揺動されることも示唆されている。スパイラルアンテナの選択は、比較的容易なマイクロ波周波数の制御およびかなり狭い電磁波の方向パターンを確実化する。
【0028】
その治療手順の本質は、生物学的に活性な標的ゾーン内における開放皮膚領域をスパイラルアンテナの面から直角にやって来る非熱的強度のセンチメートル帯域の波のフラックスに暴露することにあった。上述のアンテナの面セクションと暴露表面との間の距離は波面を形成するのに充分な大きさでなければならず、また、この距離は、アンテナおよび患者の身体を相互に関して移動させることにより、治療セッションの前に設定された。アンテナと暴露表面との間の距離が充分であることをチェックするために特殊なスケールバーが使用された。このセッションの持続時間は電子タイマーによって設定された。
【0029】
非熱的なセンチメートル帯域の波の実際の使用は、そのような波のゾーン状の適用が、重症疾患、集学的体重低減治療、慢性非特異性肺疾患、心臓血管疾患および幾つかの他の疾患の治療後の無力状態の治療においてかなり良好な治療効果を有していることを実証した。
【0030】
しかし、数多くの欠点も明らかになり、そのうち最も重要なものは、医師によるキャリヤー周波数の誤った選択の可能性が存在することおよびスパイラルアンテナの電磁波を標的領域に狙いを定めるのが難しいことであった。周波数選択の誤りは適用結果の比較分析における困難性を導き、これが、順に、結果としてあれこれの疾患の治療に対する取り組みについての論争をもたらした。この状況は、スパイラルアンテナの使用が、そのセッションの間中ずっと、アンテナ面と標的領域との予め設定された相互の配列を不変に保つことを必要としているという事実により一層悪化した。必要とされる位置に固定されていない場合、患者の身体の無意識的な動きがアンテナと身体との間の距離を変化させ、これがエネルギー束密度の変化をもたらした(エネルギー束密度は、そのソースから暴露表面までの距離の二乗に反比例して変動することが知られている)。スパイラルアンテナの別の不都合性は、その全電磁放射線のうちの数パーセントがそのスパイラルの軸に沿った主要な縦方向のビームに直角に横方向に差し向けられ、これが、そのセッションの間、患者の近くに居る人々に対する被曝ハザードになり得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
ここで示唆されている本方法の目的は、人体の生物学的に活性なゾーンに適用されるセンチメートル帯域の電磁波の治療効果を増強することである。
【0032】
人体の生物学的に活性なゾーンを:
−暴露ゾーン(標的領域)と線形的に等価な波長において;
−そのセッション全体を通じ、一定の平均エネルギー束密度で;
−20Hzから50kHzまでの範囲にわたって準ランダムに変動する信号による暴露信号の振幅修飾により;
−放射の円形分極により;
−ならびに、標的領域以外の身体部分の電磁場への暴露を防止することにより;
センチメートル帯域の電磁波に暴露することによって治療効果を高める方法が提供される。
【0033】
実践により、あらゆる疾患は治療されるべきゾーンまたは領域の独特な特性に対するゆとりを持って設計および製造された特殊な装置により最良に治療されることが実証されている。あらゆる暴露領域における全体の疾患の治療で単一の装置が使用されるときには、何人かの異なる医師が異なる放射線周波数を選ぶ可能性があり、この場合、治療結果の比較が複雑になり、分析がゆがめられる。従って、あらゆる目的にかなう周波数調節可能型電磁波アプリケーターの放棄は、本ゾーン暴露法のより良好な効率に寄与する。適用効率は、治療セッションの間中ずっとエネルギー束密度を不変に維持し、この極めて重要なパラメーターを偶然の及ぶ範囲を超えたものにすることにより更に改善される。
【0034】
更に、20Hzから50kHzまでの範囲にわたって準ランダムに変動する交番信号による暴露信号の振幅変調を通じて、また、その電磁場の時計方向回転または反時計方向回転の手動式の制御を特徴とする円形分極により、電磁療法の能力を広げることも提案されている。先行技術による装置は放射線の準ランダムな周波数変調を利用する。ここで提案されている装置においては、放射の振幅が時間とともに準ランダムに変動し、これに加え、線形分極が円形分極で置き換えられており、場の回転の方向が思いのままに設定される。円形分極はアプリケーターを標的表面の一層近くにもたらして、そのセッションの間中ずっとそれらの相互の位置を不変に維持することを可能にし、これにより、アプリケーターと標的対象との間の距離のチェックが不必要になり、従って、以下で述べられている如く、その治療手順が簡単になる。
【0035】
アプリケーターが、センチメートル帯域の電磁波を通すパッドを介して身体の標的領域に接触させられる。フロントパネル上の適切なキーを押すことにより、治療のための放射が開始される。このセッションの予め設定された持続時間が自動的にモニタリングされる。予め設定された時間が終了すると、放射の発生が自動的に停止され、そのセッションが終わったことが可聴信号により知らせられる。
【0036】
本明細書で提案されている方法は、以下で説明されている装置で具体化することができる。
【0037】
ここで開示されているものに最も近いプロトタイプはロシア特許文献5でカバーされているものである。そのプロトタイプは、ヒト皮膚の生物学的に活性なゾーンをセンチメートル波帯の非熱的な電磁場に暴露する方法を具体化する。そのプロトタイプは、マイクロ波発振器、疑似ランダムノイズインパルス発生器の形態における変調器、およびアンテナ平面と標的表面との間の最適な距離を決定するためのビーム装置を伴った平面アンテナを含み、すべてのこれらのユニットが直列に接続されている。このプロトタイプのビームインジケーター装置は、本質的に、標的領域にとって最適なゾーンでそれらの可視ビームが交差する仕方で相互に角度をもってアンテナ本体に取り付けられた2つの指向性光源から構成されている。
【0038】
このプロトタイプは、特許文献4で使用された円形アンテナではなく、プリント回路位相アレイ平面アンテナを使用している。特許文献1に記載されている装置も「アンテナアレイ」の適用を提供している。しかしながらそこでは、ここで開示されている位相アレイのコンポーネントとは異なり、それぞれのエレメントがそれ自身の波の振幅および位相を制御するためのチャンネルを備えた独立したアンテナである。各アレイエレメントが、交番電磁場ではなく波を発射するという事実は、ある与えられたポイントにおけるそれらの重ね合わせの探究をされている効果の計算にとって、また、そのような効果の提供にとって必須である。各波源の一定した空間的座標を確実化するため、すべてのアンテナエレメントは、変動性の全指向性ダイアグラムを持って複数の波を発射するための多重セルアレイの形態に剛性的に配列されている。特許文献4で開示されている装置に関して言えば、その装置は、厳密に一定のままである指向性ダイアグラムを持って、複数ではなく単一の電磁波を発射する。その平面アンテナは、そのアンテナ平面に対する垂線に沿った方向以外のあらゆる方向における放射を排除し、別な言葉で言えば、アンテナから標的領域への方向以外のすべての方向における放射を排除する。しかし、全体的に見ると、特許文献4に開示されている装置は、上で説明されている欠点が克服されていない。
【0039】
この装置の発振器からの高周波信号は、1つのポイントにおいてのみ、その平面アンテナの各放射エレメントに到達する。これが、結果として生じる放射線が平面分極されている理由である。この理由から、幾分かの波を反射する可能性が高い標的表面は、マイクロ波発振器の機能に及ぼすそれらの反射波の有害な影響を回避するため、少なくとも約30cmの間隔をあけて配列されるべきである。従って、電磁波への暴露の治療効果を決定する物理的条件の標準化の問題は、この装置では最適には解決されていない。数ある中でもとりわけ、標的領域までの距離は固定されて不変の状態に保たれているのではなく、その身体の標的領域と可視インジケータービームの交差ポイントとの重なりに対する患者の主観的な評価に導かれるその患者により維持されている。この不一致が効率性に劣る治療効果を招き得る。その上、セッション前の位置から離れる方向の患者の身体の無意識な動きが、そのセッションの間に生じるエネルギー束密度の望ましくない変化をもたらす可能性がある。
【0040】
本明細書で開示されている装置は、暴露パラメーターの適切な制御を確実化することを通じて、電磁治療法の効率を増強するという問題を解決する。
【0041】
この問題の解決は、マイクロ波発振器、疑似ランダム信号発生器の形態における変調器、その表面に直角なビームを送る平面同位相化アレイの形態におけるアンテナ、およびこれらのそれぞれのユニットに接続された制御ユニットを含めた数多くの直列接続されたユニットを含む本開示装置の場合には、そのアンテナが、先行技術による装置のアンテナとは異なり、円形分極を確実化し、センチメートル波帯域の場を発生し、且つ、動作周波数範囲の場を通す材料でできた固定厚みの平面パッドを備えているという事実により確実化される。
【0042】
このアンテナはストリップ線路型のものであり、アンテナ分配器のストリップ線路が場の円形分極を確実化し、且つ、その回転方向を変えることができるように配列されている。
【0043】
このアンテナの円形分極のおかげで、マイクロ波発振器の動作は暴露表面から反射される波による影響を実質的に受けにくくなり、これは、治療波の発生またはそれらの治療効果に何ら害を及ぼすことなく、アンテナ平面と身体の標的表面との間の距離を数センチメートルにまで減らすことを可能にする。アンテナから身体の暴露表面までの距離は、コットンまたはアニマルウールなどのセンチメートル帯域の波を通す材料で製作されるべき誘電体パッドの厚みによって設定される。
【0044】
本開示装置を例証する図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】装置のブロックダイアグラム。
【図2】アンテナの放射エレメント。
【図3】アンテナの放射エレメント。
【図4】場の回転の方向を変動させるケースでのアンテナの放射エレメントを供給するストリップ線路のレイアウト。
【図5】場の回転の方向を変化させないケースでのアンテナの放射エレメントを供給するストリップ線路のレイアウト。
【図6】ストリップ線路および放射エレメントを伴うプリント回路基板の相互配列を示すアンテナの側面図。
【図7】放射の質をモニタリングする電子システムのルートストリップ線路とアンテナエレメントストリップ線路との相互配列を示すダイアグラム。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示装置(図1)は、直列に接続されたキャリヤー周波数発振器1、疑似ランダム信号発生器の形態における変調器2、平面アンテナ3、および上述の各ユニットに接続された制御ユニット4を含む。キャリヤー周波数発生器からの一定のエネルギー束レベルを保証するアンテナの平面と暴露表面との間の距離は、誘電体パッド5の予め設定された厚みによって維持されている。この誘電体パッド5は、動作周波数範囲の電磁場を通すコットンウールなどの材料でできている。
【0047】
放射アンテナ3(図2および3)は、ストリップ線路プリント回路基板型のものである。アンテナ3は数個(例えば4個または5個)の放射エレメントを含んでおり、これらのエレメントは、6から10までの番号が付けられて図2および3に示されている如くに配列され、連帯して同位相化アレイを構成しており、出射ビームはアンテナの表面にダイレクトなある角度で送られる。このストリップ線路分配器は、アンテナの複数の放射エレメントの間で電磁場の振幅分布を有し、それらのエレメントをアンテナのメインビームから離れる方向の側方放射を最小化するような励起レベルに確保することができるように設計されている。この分配器のストリップ線路の基本配置構成は、放射の基本周波数を考慮に入れて、通常見られるものである。
【0048】
アンテナ3の各放射エレメント6から10までは、マイクロ波発振器からそれぞれペアー11、12;13、14;...;19、20へ高周波信号をもたらすストリップ線路に接続されている(図3)。この電磁場のCW円形分極およびCCW円形分極のどちらも、アンテナエレメントの配置構成により、およびストリップ線路分配器のプリント回路レイアウトにより可能に成されている。この装置設計は、場の回転および分極の方向が切り替え可能であるかまたは固定式であるかのいずれかを特徴とするデバイスの代替的な実施形態を可能にする。
【0049】
回転方向が切り替え可能である特徴は、図4(ここで、HF信号の供給ポイント21および22は、それぞれ、場のCW回転およびCCW回転に対応している)に概略的に示されているように、アンテナ3の個々の放射エレメント6から9までのペアー11、1213、14等の各ポイントへ別々にHF励起をもたらすことにより与えられる。回転方向が固定式である特徴は、個々の分岐ポイント23から26までからアンテナ3の個々の放射ポイント6から10までのペアー11、12;13、14等へHF信号を供給するストリップ線路のアームを各ペアーのポイントが予め設定された位相シフトを持って励起されるようにして長さを異ならせた状態で、HF信号をアンテナの個々の放射エレメントにもたらす単一のストリップ線路を分岐することにより与えることができる(図5)。
【0050】
ストリップ線路配列の選択肢にかかわりなく、アンテナ3は、放射エレメントを伴ったp.c.基板28、発振器からアンテナの放射エレメントへマイクロ波信号を供給するストリップ線路分配器のコンポーネントを伴ったp.c.基板29および誘電体パッド(このパッドの厚みは、動作波長の少なくとも1/20でなければならない)から成っている(図6)。
【0051】
放射の質の仕様への準拠を連続的にモニタリングするため、マイクロ波発振器からアンテナの放射エレメントへやって来る信号のエネルギーの一部がマイクロ波発振機に直接的に接続されているルートストリップ線路31でピックアップされ(図7参照)、ストリップ線路p.c.基板上の別の実体である(図4および5には図示されていない)ストリップ線路アンテナエレメント32を介して制御ユニットへ送られる。ストリップ線路31に沿った矢印およびアンテナエレメント32からのストリップ線路分岐に沿った矢印は、それぞれ、マイクロ波発振器からの信号の流れおよび制御ユニットへの信号の流れを示している。
【0052】
非熱的なセンチメートル帯域の電磁場を治療用に使用する本開示方法の1つの実施形態は、喘息の症状および他の病的な状態の要因、例えば、アレルギー性反応、気管支および上気道の感染性疾患の予後などによって悪影響を及ぼされているときに、呼吸器の胸部側皮膚突起を定められた線量でセンチメートル帯域の電波に暴露することによって呼吸器系を最適化する実施例により例証することができる。
【0053】
より詳細には、身体の適用部分は、剣状軟骨における、鎖骨の中央部にある2つの頂点と底部の頂点を伴った、皮膚被膜の三角形の領域である。その三角形の中心部の平均面積を考慮に入れ、上述の治療手段を適用するために使用される装置は、波長が約7.3cmで約4.1GHzの周波数の波を発生する。キャリヤー周波数の放射は、20Hzから50kHzまでの準確率論的変動信号によりゼロから最大値まで振幅修飾される。また、このキャリヤー周波数の振幅変調は、それの基本値の0.1%以内に設定することもできる。放射の円形分極が用いられる。この装置は平面アンテナを使用する。エネルギー束の密度は80μW・cm−2から100μW・cm−2までである。アンテナと身体の暴露表面との間に設けられる誘電体パッドは、コットン製の枕カバーに入った6.5cmから7cmまでの厚みの枕の形態における、混じりけのないコットンウールでできている。
【0054】
治療セッションの各段階は以下のとおりである。コントロールパネル上の適切なキーを押すことによって本装置を待機状態にするステップ、適切なキーを押して、セッションの持続時間を設定するステップ、枕状のパッドを暴露されるべき身体領域に設置するステップ、放射線側を下向きにして、そのパッド上に本装置を載せ、その装置をパッドにわずかに押しつけるステップ、適切なキーを押すことによって、このセッションを開始させるステップ。そのセッションの終了は可聴信号によって知らせられる。同様に、可聴信号が、デジタル式のセッション時間表示器上での告知とともに、その装置のあらゆる種類の故障状態を信号で伝える。患者は、暴露の有益な影響の徴候である標的領域におけるわずかなぬくもりを感じ取ることにより誘導される場の回転の方向を制御する。この場の回転の方向は、患者が悪寒、チクリとする痛みまたは別のほとんど言い表せない感覚を感じたときに、彼女/彼により逆転される。
【0055】
ここで開示されている方法および装置の臨床試験が3つのクリニック(2つはSt. Petersburgにあるクリニックであり、1つはMoscowにあるクリニック)で実施された。これらの試験は、成人患者(23歳から67歳までの年齢のグループ)および2.5歳から17歳までの子供たちを対象として行われた。両方のグループで研究されたことは、ここで開示されている方法および装置の、慢性気管支喘息の悪化期間中における喘息症状の治療への適用可能性であった。すべてのケースの研究が、「疾患の経過が重度および中等度−重度」という診断がなされた状態で、薬物療法のバックグラウンドに対して実施された。
【0056】
本開示装置の助けを借りてセンチメートル帯域の非熱的な電磁波を適用する本開示方法は、成人および小児のどちらの治療にも何ら制限を伴わずに使用することができる、気管支喘息を治療するためのかなり効果的な非薬物療法であることがこれらの研究により示された。
【0057】
指示事項を厳密に順守すれば、本開示装置の適用は、何ら有害な影響をもたらさないので、不快感を引き起こすことは決してなく、この治療手段は、大人も子供もどちらにも、喜んで受け入れられる。
【0058】
入院患者の場合にも外来患者の場合にも同様に、気管支喘息の悪化を治療するための本開示装置の使用は、より迅速な肺機能の回復に寄与し、従って、基本的な薬物療法を低減させることが可能であり、数ある中でもとりわけ、全身性グルココルチコイド系薬物の用量を少なくし得ることが判明した。詳細には、昼夜を問わない喘息発作の起こる頻度がずっと少なくなり、本装置を適用してから5日目または6日目には消散していることも多く、大多数の成人患者は、必要とする即効性β2−作動薬が2倍少なくて済む。本開示装置の助けを借りた治療に対する全体の患者の前向きな姿勢は、咳の発作の軽減、喘息発作の頻度の低減、去痰の容易化、および呼吸がスムーズになったという主観的感覚から生じている。2週間およびそれ以上のもっと長い治療の後、本装置の使用者は、もっと小さなスケールでの薬物療法について、特にステロイド系物質の使用を低減することについての前向きな感情を表明した。臨床試験中に実施された客観的な研究は、3日間までの本開示装置の適用が、顕著に激しさの低い乾性ラ音、一層スムーズな呼吸、および気道の開存度に関する機能的指標の改善をもたらすことを実証した。本開示装置の助けを借りた治療の5日目から始まり、特別な気管支拡張試験が陰性になった。
【0059】
本装置の治療作用に対する子供達の応答は、成人の場合よりもずっと目覚ましい。治療セッションは「喜んで」彼らに受け入れられる。「スムーズな呼吸」であるという主観的な感覚が、全く初めてのセッションで、事例のうちの約70%で報告される。小児における中等度から重度および更には重度の気管支喘息の悪化の治療は、まさに第1日目に喘息の発作を止めることが非常に多く、3日目以降には必ずそのような良い結果をもたらす。若年患者のうちの約60%が、本開示装置による治療の第2日目または第3日目に即効性β2作動薬の使用を中止し、この状況は、薬物療法を単独で適用した場合には決して記録されなかった。去痰の容易化は、気管支から痰を取り除くことが子供達に通常の身体活動を行うための一層の自由度を与えるため、最も歓迎される応答である。
【0060】
客観的な機器援用試験の知見によれば、本開示装置の適用は、略2倍速い乾性ラ音の消散および気道の開存の一般的な改善に貢献する。後者の回復期は、薬物療法単独で得られる場合よりも顕著に良好であり、機器を使用した呼吸機能のモニタリングにより信頼性を持って確証される。全体的に見ると、本開示装置を用いた治療手段は、長期的な観察で記録された時間に比べ、治療時間を2倍以上短縮する。例えば、気管支喘息の通常の治療は、7日間乃至10日間以内に悪化を短縮するが、本開示装置の適用は、治療を開始してから第3日目または第4日目に寛解効果をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】米国特許No. 6,208,903
【特許文献2】ロシア特許No. 2212911.
【特許文献3】ロシア特許No. 2156626.
【特許文献4】ロシア特許No. 1831343
【特許文献5】ロシア実用新案 No. 340871
【非特許文献】
【0062】
【非特許文献1】S. Licht, Editor. History of therapeutic heat, in Therapeutic Heat and Cold. New Haven, CT, 1965, pp. 196-231.
【非特許文献2】C. Susskind. The ‘story’ of nonionizing radiation research. Bull. N.Y. Acad. Med., Vol. 55, No. 11, pp. 1152-1163, 1979
【非特許文献3】A. W. Guy. History of biological effects and medical applications of mickrowave energy. IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol. MTT-32, No. 9, pp. 1182-1200, September 1984.
【非特許文献4】Zlata Jovanovic-Ignjatic, Dejan Rakovic. Microwave resonant therapy: Novel opportunities in medical treatment. Acup. & Electro-Therap. Res., The Int.J. , 1999, Vol. 24, No. 2, pp. 105-125.
【非特許文献5】Uspekhi fizicheskikh nauk, 1973, Vol. 110, No. 3, pp. 452-469. [ロシア語].
【非特許文献6】Millimetric Waves in Medicine and Biology. Moscow, 1989. Edited by N. D. Devyatkov, 307 p. [ロシア語]
【非特許文献7】A. S. Presman. Electromagnetic Fields and Wildlife. Moscow, Nauka Publishers, 1968, 285 p. [ロシア語].
【非特許文献8】N. D. Devyatkov, M. B. Golant. On the mechanism of the effect of non-thermal millimetric electromagnetic waves on vital functions of organisms. In: Effects of Application of Non-thermal Millimetric Waves to Biological Objects. Edited by N. D. Devyatkov. Moscow, 1983, pp. 18-33 [ロシア語].
【非特許文献9】N. P. Didenko, V. I. Zelentsov, M. V. Falkovich, N. P. Fedorov. On resonance response of hemoglobin molecules versus millimetric radiation power. In: Millimetric Waves in Medicine and Biology. Moscow, 1989. Edited by N. D. Devyatkov, pp. 227-235 [ロシア語].
【非特許文献10】G. M. Chernyakov, V. L. Korochkin, A. P. Babenko, E. V. Bigday. Responses of complex biological systems to application of low-intensity millimetric waves. In: Millimetric Waves in Medicine and Biology. Moscow, 1989. Edited by N. D. Devyatkov (Editor), pp. 140-167 [ロシア語].

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の生物学的に活性なゾーンをセンチメートル波帯域の電磁場に暴露することを含む、ヒト生物体の植物性システムの機能的条件を最適化する方法において、それぞれの生物学的に活性なゾーンが、暴露セッション全体を通じて一定の平均エネルギーフロー密度において、線形寸法が該標的領域と同等である波長で暴露され、前記暴露信号が、電磁放射線の円形分極を伴って、準ランダムに変化する20Hzから50kHzまでの信号によって振幅修飾されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
一組の直列に接続されたマイクロ波発振器、準ランダムインパルス信号発生器の形態における変調器、平面型の同位相性アレイの形態における放射アンテナ、および上記それぞれのユニットに接続された制御ユニットを含む、請求項1記載の方法を実行するための装置において、上記アンテナが、動作周波数範囲の場を通す材料の平面様固定厚みの誘電体パッドを伴った、センチメートル帯域の円形分極型のアンテナであることを特徴とする装置。
【請求項3】
上記パッドがセンチメートル波帯域の電磁場を通す天然材料のパッドであることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
上記アンテナがストリップ線路型のアンテナであることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項5】
上記アンテナ分配器のストリップ線路が、該場の円形分極を確実化し、且つ、該場の回転方向を変えることができるように配列されていることを特徴とする、請求項2記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−511475(P2010−511475A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540194(P2009−540194)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/RU2007/000569
【国際公開番号】WO2008/069692
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509158428)“ティーエスティ−グループ”・エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】‘TST−GROUP’LLC
【Fターム(参考)】