説明

人体より排出された液体を除去するための吸引システム、および吸引システム用のセンサ

人体から尿を除去するための吸引システムは、液体回収室を有する使い捨て可能な身体インターフェースデバイスを備える。液体回収室の外部に配置される取り外し可能なまたは永久的に取り付けられる非接触型液体センサは、室内における尿の存在を検出する。非接触型センサは、静電容量センサ、超音波センサ、圧力共振センサ、および温度センサから選択される。一実施形態において、身体インターフェースデバイスは、使い捨て可能なデバイスである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体より排出された液体を除去するための吸引システムにおいて使用するための吸引システムに関する。本発明の局面は、尿除去の問題に関する。
【背景技術】
【0002】
尿管理は、救急治療環境および長期治療環境において非常に必要とされている。尿に関する問題は、概して、排出不全および収容不全の2つの主要なカテゴリに分類される。排出不全の場合、患者は、膀胱から尿を自発的に排出することができない。この問題に対する一般的な解決策として、患者にカテーテルを挿入することが挙げられる。収容不全の場合、患者は、都合の良い時間および便宜的な時間まで体内に尿を収容することができない。患者の意識または認識が無い場合、典型的には、カテーテルが患者に挿入される。意識があるが歩行不能である患者は、病人用便器、男性用尿器、または大人用おむつ等の補助のための手動式回収器をしばしば利用する。これらは、使用しにくく、場合により、患者や患者の周囲にこぼれる場合がある。また、このような手動式回収器は、頻繁な交換を必要とし得るため、ケア提供者にさらなる負担となる。尿量を監視したい場合、多くの場合、カテーテル挿入を必要としない場合であっても医療スタッフが患者にカテーテルを挿入する。カテーテル挿入によって、手動式回収器よりも簡単に尿を監視可能である手段が提供される。
【0003】
院内感染や、カテーテルに関連する尿路感染症(UTI)の高発症率に関する問題が増加している。カテーテルに関連するUTIは、病院および介護施設における最も一般的な院内感染であり、施設内で発症した全感染のうち、つまり米国の病院において毎年100万件を超える感染のうちの最大40%を占めている。このような感染を減少させるために医療関係職および介護職に相当な圧力が加えられている。
【0004】
特許文献1、特許文献2、および特許文献3は、人尿吸引システムについて記載している。尿吸引システムは、吸引力を尿器に印加するための電気ポンプを含む。尿器は、液体尿の存在の検出時にポンプを自動的に作動させるための液体センサを含む。3つの特許の全ては、通常は、センサが液体に接触する際に液体を介する電気伝導により閉鎖される開回路を形成する電極の形式である液体接触センサについて説明する。しかしながら、伝導性の尿を介して電極から皮膚に電流が漏れる可能性に関する明らかな懸念がある。さらに、センサは、必然的に、敏感な生殖器部に近接して使用されるため、電極が印加する電流の漏れに関する懸念が増大する。
【0005】
最後に記載した特許文献3は、液体を検知するために、尿器または回収管の液体通路に一体型である対向する光ファイバにより形成される少なくとも1つの対の光学素子を使用する可能性についても提案する。これによって、尿器に印加される電流が回避されると考えられる。しかしながら、その設計は非常に高価であり、商業的に実用的ではない。その設計は、液体の存在を検知するために、対の光学素子の間に通過する光線とパッドにおいて光学的に整列される少なくとも1つの対の光学素子を必要とする。また、その設計は、光線が通過可能になるように光学的に透明である窓も必要とする。任意の残滓または水分凝縮によって、窓が容易に曇り、誤ってポンプが作動してしまう。光ファイバは高価な物であり、光ファイバを尿器または管に一体化することによって、衛生上の理由から使い捨てであることが好ましい尿器または管の費用が増加する。さらに、電気光学部は、尿器から遠くにあり、繊細かつ高価な光ファイバによって連結されなければならず、システムが全体的に繊細かつ高価になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,002,541号明細書
【特許文献2】米国特許第4,747,166号明細書
【特許文献3】米国特許第4,631,061号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
商業的必要性を満たすために、吸引型液体除去システムの従来技術の設計を、特に、尿検出の観点から改善すること、ならびに顧客による受け入れを改善することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、人体により排出された液体を回収および除去するための吸引システムの第1の実施形態の略ブロック図である。
【図2】図2は、オーバーガーメントとしてのブリーフの略平面図である。
【図3】図3は、容量、超音波、または圧電非接触型の液体センサの実装を示す第2の実施形態の略側面図である。
【図4】図4は、電気光学非接触型液体センサの実装を示す第3の実施形態の略側面図である。
【図5】図5は、温度非接触型液体センサの実装を示す第4の実施形態の略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。各実施形態において同一または同等の特徴を示すために同一の参照数字が使用される。
【0010】
図1を参照すると、人体により排出された体液を除去するための吸引システム10は、概して、吸引ユニット12と、可撓性導管16により吸引ユニット12に連結される身体インターフェースデバイス14とを備える。可撓性導管16は、吸引ユニット12の一部として、および/または身体インターフェースデバイス14の一部として見なされ得る。身体インターフェースデバイス14は、回収したい体液の排出部位における、またはその部位の周辺の身体に装着するように構成される。身体インターフェースデバイス14は、好ましくは、排出部位を囲む接着パッド15によって身体に取り付け可能である。
【0011】
尿の除去の場合、身体インターフェースデバイス14は、男性もしくは女性の着用者の性器部または外科的人工膀胱に装着するように構成される。女性では、身体インターフェースデバイス14は、体にぴったり合った尿器の形式である(本明細書において図示する)。男性では、身体インターフェースデバイス14は、男性用尿器またはコンドームの形式である(図示せず)。人工膀胱保有患者では、身体インターフェースデバイス14は、ストーマ装具の形式である(図示せず)。尿の除去は、除去する液体体積および液体排出の速度の観点から最も困難であることから、本実施形態は、尿の除去に特に適切である。このことが、尿の除去の分野を他の液体回収システムから遠いものにし得る。液体を検出および除去するための吸引システム10の応答速度は、尿排出を管理する吸引システム10の能力において重要な要因である。また、吸引システム10の衛生に対する費用の観点からも、重要な課題が存在する。
【0012】
吸引システム10は、身体から排出され、かつ身体インターフェースデバイス14に回収された液体の存在を検出するための液体センサ18を含む。液体センサ18は、好ましくは、液体と接触せずに液体の存在または近接性を検出可能である非接触型センサである。液体センサ18は、検出された液体の近接性に応答して電気出力信号を生成する。電気信号は、電気コネクタ20によって吸引ユニット12に通信される。電気コネクタ20は、可撓性導管16と一体型でもよく、または可撓性導管16から分離し得る。また、電気コネクタ20は、液体センサ18に電力供給するために、吸引ユニット12から電力を供給する。
【0013】
非接触型センサである液体センサ18の特徴は、(i)非接触型手法によって、皮膚に接触する液体への電流の通過に関する懸念が自動的に回避されることから、有意な利点を提供する。代わりに、液体センサ18と液体との間の直接接触が存在せず、(ii)非接触型手法は、液体に触れることによって液体センサ18が汚染されないことを意味する。これによって、液体センサ18を異なる身体インターフェースデバイス14とともに容易に再利用することが可能になり、(iii)非接触型手法は、液体センサ18自体が使用前に無菌状態である必要がないことを意味するため、身体と密接してインターフェースする吸引システム10の殺菌の困難さ、または殺菌の際の損傷のリスクが回避される。電気コネクタ20により吸引ユニット12に連結されるという液体センサ18の特徴によって、光ファイバ接続の使用に関連する費用および脆弱性が回避される。
【0014】
本発明の好適な特徴は、液体センサ18が身体インターフェースデバイス14から分離しているか、または少なくとも分離可能であることにある。身体インターフェースデバイス14は、安価に製造され、かつ特定の身体インターフェースデバイス14に従って単回使用または限定使用数の後に廃棄され得る使い捨て可能な物である。液体センサ18は、より高価であるが、好ましくは、一連の異なる身体インターフェースデバイス14とともに複数回使用するように意図される。これにより、使い捨て可能な構成要素が概して低コストであることから、吸引システム10を極めて費用効率良く生産および使用することが可能になる。コストの高い構成要素は、複数回使用し得、必要とされる交換の頻度は低くてもよい。一形式では、液体センサ18は、女性用尿器、男性用コンドーム、人工膀胱身体装具、またはカテーテル等の複数の異なる種類の身体インターフェースデバイス14のいずれかとともに使用され得る汎用デバイスである。任意により、液体センサ18は、身体インターフェースデバイス14に永久的に取り付け可能である。
【0015】
液体センサ18は、多種多様の異なる形式をとることが可能である。
【0016】
図3に示す実施形態では、液体センサ18は、静電容量センサ、超音波センサ、および圧電(または、圧力共振)センサから選択される。静電容量センサは、空気近接性と比較して、液体近接性の誘電効果における変化に従って液体の近接性を検出する。誘電効果は、センサ周辺の活性ゾーンにおける電場、ひいてはセンサにおける実効静電容量に影響を及ぼす。静電容量は、RC発振器等の任意の適切な静電容量検知回路(図示せず)によって監視され、その発振周波数および/または発振が発生するか否かは、センサの実効静電容量と組み合わせた抵抗器に依存する。次いで、発振は、出力増幅器に連結される出力段をトリガし、液体の存在を示す出力信号を生成する。静電容量検知回路は、好ましくは、液体センサ18の近傍または液体センサ18において(例えば、液体センサ18自体の一部として)配置されるか、または静電容量検知回路は、吸引ユニット12において、もしくは電気コネクタ20沿いの点において配置可能である。適切な静電容量センサおよび静電容量検知回路は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,576,619号に記載されている。
【0017】
SIE Sensors社からの静電容量 「スマート」センサを使用して、本発明について試験を行なった。35mm(長さ)x22mm(幅)x10mm(高さ)の寸法のセンサを、身体インターフェースデバイス14の外壁に取り付けた。センサは、液体の導入後すぐに2つの試験液体、水および食塩水の存在を検出し、ミリ秒以内に吸引ユニット12に作動信号を提供した。センサからの電場は、透明または不透明で感度が高い幅広い種類のプラスチック構成要素(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびアクリル)を貫通することが可能である。
【0018】
超音波センサは、超音波周波数域においてソーナーの原理を使用して機能する。変換器は、設定周波数において共振されて、電気エネルギーを超音波周波数域音響エネルギーに変換する。超音波は、液体回収領域に発せられる。エネルギーは、その領域に液体が無い場合は壁から反射され、その領域に存在する場合は液体から反射される。反射波が到達する時間遅延を測定し、これを液体回収領域が空である場合に得られた1つ以上の事前較正時間遅延と比較することによって、液体の存在を確実かつ迅速に検出することが可能である。超音波液体センサの例は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,960,007号に記載されている。市販の超音波センサは、ZEVEX Inc.により入手可能である。
【0019】
また、圧電センサまたは圧力共振センサは、上述の超音波センサと同様に、高周波数、例えば、超音波エネルギーまたは音響信号を使用する。超音波信号または音響信号は、透明または不透明なプラスチック壁を貫通し得る。圧電センサの例については、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,948,098号に記載されている。
【0020】
GEMS Sensors社から入手した圧力共振センサによって本発明について試験を行なった。直径40mmのセンサが、身体インターフェースデバイス14の外壁に取り付けられ、導入後すぐに液体の存在を検出した。
【0021】
図3に示す配置では、液体センサ18は、身体インターフェースデバイス14の外部または身体インターフェースデバイス14の液体回収領域14aの少なくとも外部に配置される。身体インターフェースデバイス14は、典型的には、プラスチックから作製され、静電容量センサの場合、検知電場がそのプラスチックを通過することが可能であるか、あるいは超音波および/または圧電センサの場合、超音波振動がそのプラスチックを通過することが可能である。身体インターフェースデバイス14の壁は、身体インターフェースデバイス内の液体に対する所望の感度をセンサに提供するために適切に薄く作製される。代替として、身体インターフェースデバイス14は、身体インターフェースデバイス14全体がこのような材料から作製されない場合、電場または超音波振動が通過可能である材料から作製される窓部分を含み得る。図5に示す代替実施形態では、身体インターフェースデバイス14の筐体は、容量、超音波、または圧電非接触型液体センサ18を受け入れおよび保持するために、膜24を含むまたは含まないポケット26に形作られ得る。また、このような設計は、センサ18と身体インターフェースデバイス14の液体回収領域14aとの間のインターフェース範囲を増加させる。
【0022】
図4に示す代替実施形態では、身体インターフェースデバイス14は、電気光学センサとの使用のために構成される。身体インターフェースデバイス14は、電気光学センサにより使用される光学的放射に透明である材料から作製される窓領域22を備える。例えば、光学的放射は、赤外線領域、および/または可視領域、および/または紫外線領域にあり得る。本明細書において使用する際、用語の「光学的」は、光学の法則に実質的に従う周波数領域に放射があることを意味する。
【0023】
電気光学センサは、電気光学エミッタと、電気光学受信機と、電気光学受信機の電気出力に従って液体の存在を検出するための検知回路とを備える。検知回路は、好ましくは、液体センサ18において(例えば、液体センサ18の一部として)配置されるか、または検知回路は、吸引ユニット12において、または電気コネクタ20沿いの点において配置される。電気光学液体センサの例については、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,354,180号に記載されている。
【0024】
図5に示すさらなる代替実施形態では、身体インターフェースデバイス14は、液体センサ18としての温度センサとの使用のために構成される。身体インターフェースデバイス14は、身体から排出された液体(この場合、尿)が膜24に接触した場合に、温度センサ18を温度の増加に曝されることを可能にするための液体不透過性膜24を備える。同時に、膜24は、センサ18の液体との物理的接触を防止する。膜24は、熱伝導性材料から作製され得るか、または実質的に断熱しないように十分に薄い他の材料(例えば、フィルム)から作製され得る。温度センサ18の使用によって、広い範囲にセンサを分散することを必要とせずに、身体から出る体液の確実かつ迅速な表示を提供することが可能になる。尿等の液体は、約37°Cの温度で身体から出て、この温度は、室温(典型的には、約23°C)よりも顕著に高く、また、ヒトの皮膚に近接して配置されるセンサの大気温度(典型的には、約32°C)よりも高い。
【0025】
液体の存在は、(i)2秒以内で1°C増加等の温度の急激な変化、および/または(ii)36°Cを超える等の閾値を超える温度上昇を検出することによって検出され得る。
【0026】
本実施形態では、膜24は、センサ18を受け入れおよび保持するためのポケット26を画定する靴下のような形状である。また、このような設計は、センサ18と身体インターフェースデバイス14の液体回収領域14aとの間のインターフェース範囲を増加させる。しかしながら、膜24は、必要に応じて、窓22と同様に、身体インターフェースデバイス14の壁における単純な壁であり得る。
【0027】
図3〜図5に示す異なる構成を必要に応じて混合し得、または異なる液体センサとともに使用し得ることを理解されたい。
【0028】
先行する実施形態の全てでは、液体センサ18は、身体インターフェースデバイス14から分離しているか、または身体インターフェースデバイス14から少なくとも分離可能である。液体センサ18は、多種多様の可能な配置によって、身体インターフェースデバイス14に対して動作位置に保持され得る。
【0029】
(a)一形式では、取り外し可能な取り付けデバイス(図示せず)を使用して、液体センサ18を身体インターフェースデバイス14に解放可能に取り付けてもよい。例えば、取り外し可能な取り付けデバイスは、剥離可能な接着剤、またはVelcro、もしくは締まり嵌めに基づく機械的連結具、もしくは他の機械的手段等の剥離可能な機械的締め具を備え得る。
【0030】
(b)別の形式では、センサは、接着剤または機械的連結具を使用して永久的に適所に保持され得る。
【0031】
(c)別の形式では、液体センサ18は、ブリーフ30等のオーバーガーメント(図2)によって動作位置に保持され得る。図示する形式では、ブリーフ30は、液体センサ18を適所に保持するための保持部32を含む。保持部32は、例えば、液体センサ18をブリーフ30に取り付けるための取り外し可能な取り付けデバイス、または液体センサ18を受け入れるためのポケットもしくはスリングを備える。代替形式では、ブリーフ30は、専用の保持部を含まなくてもよいが、代わりに、身体インターフェースデバイス14の凹部26に液体センサ18を保持するように、身体インターフェースデバイス14を包囲し得る(図5)。
【0032】
吸引ユニット12は、電源40、電子制御ユニット42、および吸引力源44を備える。電源40は、交換可能式電池、充電式電池、放射回収パネル、および幹線電源のうちの1つ以上として選択される。好ましくは、電源40は、充電式電池と幹線電源との組み合わせを含み、このような組み合わせによって、吸引システム10が幹線電源に連結されていない場合の移動可能な動作、ならびに吸引システム10が幹線電源に連結される場合の電池の自動再充電が可能になる。付加的または代替的に、電源40は、周辺光から電気を生成して、動作の自律性を改善可能にするために、または充電式電池を充電するために、光起電性パネルまたは太陽電池等の放射回収パネルを含む。電源40は、電子制御ユニット42、液体センサ18(必要に応じて)、および吸引力源44により必要とされる任意の動力に電力を提供する。電子制御ユニット42および液体センサ18は、吸引力源44とは別の電源を有し得る。本実施形態では、吸引力源44は、液体センサ18による液体の検出に応答して、電子制御ユニット42の制御の下で動作する電気ポンプ44aである。ポンプ44aは、ダイヤフラム、蠕動、容積変位、バネ、重力、サイフォン、熱回収金属駆動に基づく吸引デバイス、またはインラインポンプであり得る。可撓性導管16は、ポンプ44aを介して液体回収室46に連結される。液体回収室46は、吸引ユニット12から分離して適切なコネクタでそこに連結され得るか、あるいは液体回収室46は、吸引ユニット12に一体型であり得、および/または吸引ユニット12に収納され得る。
【0033】
液体が検出されないことを液体センサ18が示す場合、制御ユニット42は、ポンプ44aを休止状態に制御する。ポンプ44aは、吸引を生成しないように停止するか、またはポンプ44aは、低吸引を生成するように、定期的にまたは低速度で動作する(これにより、身体インターフェースデバイス14が皮膚を抱込み、皮膚に対する封止が向上する)。
【0034】
液体センサ18が、排出された液体の存在を検出する場合、制御ユニット42は、ポンプ44aを作動させて、身体インターフェースデバイス14から液体回収室46に液体を引き込むように、可撓性導管16を通る吸引力を生成する。制御ユニット42は、液体センサ18により液体が検出され続ける限り、または液体検出の完了後の所定の時間、ポンプ44aを動作させ得る。液体回収室46により回収されると、液体出力の体積を測定し得、あるいは液体を視覚的に点検するか、または生化学的試験もしくは分析のために送付し得る。
【0035】
代替形式では、可撓性導管16に吸引力を直接印加するポンプ44aの代わりに、吸引力源44は、真空低圧で充満される真空室と、真空室から可撓性導管16への吸引力の印加を制御するための電子制御式弁とを備え得る。ポンプは、真空室に真空を充満させるために設けられ得る。
【0036】
同一の患者のために、または新しい患者に装着するために身体インターフェースデバイス14を交換したい場合、液体センサ18は、現在の身体インターフェースデバイス14および/またはブリーフ30から分離される。現在の身体インターフェースデバイス14および/またはブリーフ30は廃棄され、交換した身体インターフェースデバイス14および/または交換したブリーフ30と使用するために同一の液体センサ18を利用することが可能である。非接触型液体センサが身体インターフェースデバイス14に永久的に取り付けられる場合、電気コネクタ20および可撓性導管16沿いにクイックコネクタを装備して、身体インターフェースデバイス14の交換を可能にする。
【0037】
本明細書に説明する吸引システム10が、特に体液と電気接触せずに液体を効率的に検出するという観点から、従来技術に比べて有意な利点を提供し、従来技術の欠点の多くに対処するか、または欠点を軽減することが可能であることを理解されたい。身体インターフェースデバイスの廃棄可能性と、排出された液体と接触しない液体センサ18の再利用可能性とによって、吸引システム10は、非常に衛生的で費用効率が良くなる。また、吸引システム10は、極めて万能であり、単一の吸引システム10または異なる実施形態は、幅広い種類の用途を有することが可能である。例えば、本発明は、救急治療、在宅治療、および長期治療の状況または施設において使用可能である。本発明は、車椅子の患者または寝たきりの患者に使用可能であり、また、完全に持ち運び可能なデバイスとして実装可能である。本発明によって、吸引システム10を個別にすることが可能であり、これによって、患者の尊厳およびプライバシーが保護される。また、本発明をカテーテルとともに使用して、カテーテルにおける液体(尿)の存在を検出し得、または身体から身体インターフェースデバイス14への短距離を突出する短いカテーテルから尿を回収し得る。上述の本発明は、尿の除去に特に適切であるが、本発明は、他の体液および分泌液の除去のための使用を見出し得る。
【0038】
本発明に対する多くの修正、改善、およびその同等物を、請求される本発明の精神および/または範囲から逸脱することなく加え得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体により排出された尿を除去するための吸引システムであって、
a.該人体により排出された尿を回収するための液体回収領域を有する身体インターフェースデバイスと、
b.該尿に接触せずに、該液体回収領域において排出された尿の存在を検出するための、該液体回収領域に隣接するがその外部に配置されるか、または配置可能である液体センサであって、検出された尿を示す電気出力を生成するセンサと
を備える、吸引システム。
【請求項2】
前記身体インターフェースデバイスは、使い捨て可能なデバイスである、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項3】
前記液体センサは、前記身体インターフェースデバイスから分離しているか、または分離可能である、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項4】
前記液体センサは、前記身体インターフェースデバイスに永久的に取り付けられる、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項5】
前記液体センサは、異なる身体インターフェースデバイスとともに複数回使用されるように構成される、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項6】
前記液体センサを前記身体インターフェースデバイスに取り外し可能に取り付けるための取り付け部をさらに備える、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項7】
前記身体インターフェースデバイスの上に着用可能であるガーメントさらに備え、該ガーメントは、該身体インターフェースデバイスに隣接する動作検知位置に前記液体センサを係留するように構成される、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項8】
前記身体インターフェースデバイスは、男性用または女性用尿器を含み、前記ガーメントは、ブリーフを含む、請求項7に記載の吸引システム。
【請求項9】
前記ガーメントおよび前記液体センサのうちの少なくとも1つは、該ガーメントに該液体センサを係留するための保持部を備える、請求項7に記載の吸引システム。
【請求項10】
前記液体センサは、静電容量センサ、超音波センサ、圧電センサ、電気光学センサ、および温度センサから選択される、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項11】
前記身体インターフェースデバイスは、前記液体回収領域に隣接する前記液体センサを受け入れるためのポケットまたは凹部を備える、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項12】
前記液体センサは、静電容量センサであり、前記身体インターフェースデバイスは、該静電容量センサが電場を投射可能である材料から作製される壁または壁部分を備える、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項13】
前記液体センサは、超音波センサであり、前記身体インターフェースデバイスは、超音波が通過可能である材料から作製される壁または壁部分を備える、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項14】
前記液体センサは、電気光学センサであり、前記身体インターフェースデバイスは、光学的放射が通過可能である材料から作製される壁または壁部分を備える、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項15】
前記液体センサは、温度センサであり、前記身体インターフェースデバイスは、膜に接触する前記液体回収領域における尿の温度に該温度センサが曝されることを可能にするための膜を備える、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項16】
前記身体インターフェースデバイスを前記身体に解放可能に取り付けるための皮膚接着剤をさらに備える、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項17】
前記身体インターフェースデバイスは、女性用尿器、男性用尿器、男性用コンドーム、人工膀胱身体装具、およびカテーテルから選択される、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項18】
人体により排出された尿を除去するための吸引システムであって、
a.該人体により排出された尿を回収するための液体回収領域を有する身体インターフェースデバイスと、
b.該尿に接触せずに、該液体回収領域において排出された尿の存在を検出するための、該液体回収領域に隣接するがその外部に配置されるか、または配置可能である液体センサであって、該身体インターフェースデバイスから分離しているか、または分離可能であるセンサと
を備える、吸引システム。
【請求項19】
人体により排出された尿を除去するための吸引システムであって、
a.液体センサであって、該液体センサは、該尿に接触せずに、該センサに近接する該身体から排出された尿を検出するように構成され、検出された尿を示す電気出力を生成し、かつ静電容量センサ、超音波センサ、圧電センサ、光学センサ、温度センサから選択される、液体センサと、
b.該身体上に着用されるように、かつ該身体により排出された尿を検知するために、生殖器部における動作可能位置に該液体センサを保持するように構成されるブリーフと
を備える、吸引システム。
【請求項20】
前記尿を受け入れるための液体回収領域を有する身体インターフェースデバイスをさらに備え、前記液体センサは、該液体回収領域の外部に配置され、該液体回収領域内における尿を検出するように構成される、請求項18に記載の吸引システム。
【請求項21】
前記ブリーフは、前記身体に対する動作位置に前記身体インターフェースデバイスを保持するようにさらに構成される、請求項19に記載の吸引システム。
【請求項22】
前記液体センサからの前記出力に応答し、かつ該液体センサにより液体が検出される場合に、前記身体インターフェースデバイスから液体を吸引するための吸引力を生成するように構成される吸引ユニットをさらに備える、請求項19に記載の吸引システム。
【請求項23】
前記液体センサは、前記液体に接触せずに、該センサに近接する前記身体から排出された液体を検出するように構成され、該センサは、静電容量センサ、超音波センサ、圧電センサ、および光学センサから選択される、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項24】
前記液体センサは、前記身体から排出された液体を回収するための身体インターフェースデバイスの液体回収領域に隣接するがその外部に配置されたとき、該液体回収領域の液体の存在を検出するように構成される、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項25】
前記液体センサを身体インターフェースデバイスまたはオーバーガーメントに取り外し可能に取り付けるための取り付け部をさらに備える、請求項1に記載の吸引システム。
【請求項26】
人体により排出された液体を除去するための吸引システムを用意する方法であって、
a.該人体により排出された液体を回収するための液体回収領域を有する身体インターフェースデバイスを提供するステップと、
b.該液体に接触せずに、該液体回収領域において排出された液体の存在を検出するための液体センサであって、検出された液体を示す電気出力を生成する液体センサを提供するステップと、
c.該身体インターフェースデバイスおよび該液体センサに連結可能である吸引ユニットであって、該液体センサによる液体の検出に応答して、該身体インターフェースデバイスから液体を吸引するための吸引力を生成するように動作可能である吸引ユニットを提供するステップと
を含む、方法。
【請求項27】
前記液体センサは、前記身体インターフェースデバイスから分離しているか、または分離可能である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記液体センサは、前記身体インターフェースデバイスに永久的に取り付けられる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記身体インターフェースデバイスは、女性用尿器、男性用尿器、男性用コンドーム、人工膀胱身体装具、およびカテーテルから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記液体センサは、静電容量センサ、超音波センサ、圧電センサ、電気光学センサ、および温度センサから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
人体により排出された液体を除去するための吸引システムを用意する方法であって、
a.該人体により排出された尿を収容するための液体回収領域を有する身体インターフェースデバイスを提供するステップと、
b.該液体に接触せずに、該液体回収領域において排出された液体の存在を検出するための液体センサであって、身体インターフェースデバイスから分離しているか、または分離可能である液体センサを提供するステップと、
該身体インターフェースデバイスおよび該液体センサに連結可能である吸引ユニットであって、該液体センサによる液体の検出に応答して、該身体インターフェースデバイスから液体を吸引するための吸引力を生成するように動作可能である吸引ユニットを提供するステップと
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−500223(P2011−500223A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530174(P2010−530174)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/080503
【国際公開番号】WO2009/052496
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
【出願人】(509342795)コンバテック テクノロジーズ インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】