説明

人体を振動により刺激する装置

本発明の1つの局面は、第1の弾性部材(2)によって中間部材(3)に連結した振動板(1)を含む、振動により人体を刺激する装置である。実質的に円盤形で振動板と基本的に同じ投影形状で有り得る中間部材は、第2の弾性部材(4)によって装置の使用時に支持体の上に置かれるように企図されたベース板(5)に連結されている。振動発生器は、駆動装置により回転させられ、回転軸に対して偏芯して配設された錘(50)を含む。錘を保持するシャフトは、回転可能に取り付けられ、好ましくは振動板(1)に直接、つまり、弾性のある振動減衰部材なしに連結される。本発明の他の局面では、錘(50)を駆動する電気モータ(26)は、振動板(1)でなく、例えばベース板(5)に配設され、例えば間接のあるシャフト(31)により、錘が配設されたシャフトに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉トレーニングまたは非常に一般的に人体を刺激するのに使用できるような、人体を振動により刺激する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、ユーザがその上に立ち、座り、または、体の一部を載せる振動台を有するフィットネス装置で有り得る。また、台に固定したベルトの輪をユーザが手に取り、それらを引き延ばすことができる。振動は、トレーニング効果はもちろん、人体の反作用および刺激効果をもたらす。
【0003】
そのような装置の一例が、国際公開第WO02/053078号明細書に記載されている。振動台(振動板(oscillating plate)と記載されている)は、バイブレータによって動作するように設置されている。バイブレータは、板の下に取り付けられ、偏芯荷重を移動させるモータを含む。慣性により、台は荷重の回転の通りに振動する。振動板は、床に直接立脚する振動減衰ブロックの上に置かれたフレームに取り付けられている。この原則から外れて、可能な限り重く、振動減衰部材によりその一部が床に接するベース板の上に置かれた振動台を有する装置が公知である。
【0004】
いずれの場合も、振動は床に伝えられ、場所によっては、望まざるノイズを発し、建物にダメージを与えるという点で、相当に迷惑な結果をもたらす。さらに、装置全体は、振動から分離された構成要素を有しておらず、装置が稼働している状態で、装置に属する電子部品を継続的に振動し、長期的なダメージを与え得るという結果をもたらす。これは、土台に伝わり得る振動を少なくするために、装置の操作性に当然不利益な、ベース板を非常に重くする必要があることを意味する。
【0005】
振動板に直接取り付けられたモータは、その場合それに応じて高価になる、非常に頑丈に設計されるか、振動による長期的なダメージという欠点を甘受する必要がある。
【0006】
特に、目的の動作に制御された(ロック動作の様式の)3次元振動のために、振動板を強制的に案内する解決策が公知である。これらの解決策は、摩耗の点で問題があり、ユーザの体重が異なる場合には、モータの過負荷を引き起こし、さらに、これらの解決策では、構成要素の望まざる共振と騒音の観点での迷惑とを解決できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、現存する装置の短所を克服した、特に、土台および/または駆動装置に伝わる振動が可能な限り少ない、振動板を有する装置を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面によれば、前記課題は、振動板が第1の弾性部材を介して中間部材に連結され、この中間部材が第2の弾性部材を介して基礎部材(つまり、ベース板、基礎レームまたは基礎ハウジング)に連結され、基礎部材が装置の動作状態で土台の上に置かれるように設計されているという事実によって達成される。振動発生器は、駆動装置によって回転移動されるように配設され、回転の軸に対して偏芯して取り付けられた錘を有する。この場合、錘を案内するシャフトが、好ましくは直接、つまり、弾性振動減衰部材を介さずに、振動板に連結されており、回転できるように取り付けられている。中間部材並びに第1および第2の弾性部材を介しての連結からの分離により、基礎部材は、振動について、振動板から分離される。
【0009】
中間部材は、好ましくは、振動板に対して逆位相に振動する共振釣り合い錘を形成する。理想的には、力の振幅を同じくする。第1および第2の弾性部材と振動板および中間部材の質量との関数として力の振幅をおおよそ算出可能な数値シミュレーションは、それ自体が公知である。もし中間部材の質量が、ユーザの平均の体重およびトレーニングのための装置における最低質量、つまり、例えば、少なくとも20kg、好ましくは少なくとも35kg、特に好ましくは少なくとも40kgを超えていれば、ベース板または基礎フレームの振動板からの特に効果的な分離が達成されることが示されている。
【0010】
中間部材は、基本的に板状に、例えば、振動板と基本的に同じ概略形状に形成されてもよい。それは、前記振動板に平行に配され、振動板の上または基礎部材の上の対応する横位置の振動発生器の電気モータが置かれる位置に開口を有する(以下参照)。これは、基礎部材と振動板との間の距離が限定されたコンパクトな設計を可能にする。
【0011】
本発明の第2の局面によれば、電気駆動装置を形成する少なくとも1つの電気モータが、例えば、ベース板、基礎フレームまたは基礎ハウジングのような、振動板ではない構成要素に、振動の点については可能な限り遠くにそれらから取り外されて分離されて配設されている。第1の局面と同様に、振動は、駆動装置により回転移動するように配設され、回転の軸に対して偏芯して取り付けられた錘によって引き起こされる。錘を案内するシャフトが、直接、つまり、弾性振動減衰部材を介さずに、振動板に連結されており、回転できるように取り付けられている。少なくとも1つの電気モータとシャフトとの間のトルク伝達は、例えば、プロペラシャフト或いはベルトまたはチェイン駆動を含む、好ましい伝達機構を介して行われる。
【0012】
大抵、振動発生器は、少なくとも2つの反対方向に回転する偏芯錘または錘群(例えば錘の対)を有する。これにより、振動板を、1つの方向に、例えば垂直に、他の方向に係る偏芯錘の作用を補償して、好ましい振動をさせられる。1つの好ましい実施形態によれば、2つの錘または錘群は、同一の電気モータによって駆動され、ベルト、チェインまたは歯車駆動手段を介して2つの錘/錘群のシャフトにトルクが伝達される。1つのモータが2つのモータより安価であるという自明なコスト削減に加えて、これは、2つの駆動装置の同期が問題とならない、つまり、このような駆動機構により逆相の回転を容易に達成できるという効果も有する。
【0013】
特に望ましいのは、本発明の2つの局面の組み合わせである。この場合。ベース板、基礎フレームまたは基礎ハウジングと振動板との間に配設され得る中間部材の形状は、それらに合致する。もし、中間部材が、例えば、中央に開口または切欠きのある板状であれば、その開口または切欠きを通して、伝達機構の構成要素を通過させられる。具体的には、中間部材は、少なくとも1つの開口を有する円板、または、馬蹄形またはリング形の形状を有する他のものであってもよく、W字型、または、望ましい2次元寸法を有する好ましい他の形状であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態は、図面を参照する以下の記載により説明される。
【0015】
図1の装置は、ユーザを振動させる結果をもたらし得る振動板1を有する。振動板1は、第1の弾性部材、すなわち、第1ばね2を介して、中間部材3に連結している。この中間部材3は、その部分が、第2の弾性部材、すなわち、第2ばね4を介して、ベース板5に連結している。ベース板5は、例えば、フィットネスルームのマットなどの土台6の上に置かれ、それ自体が公知のさらなる減衰部材7が提供され得る。少なくとも電気的に駆動されるシャフトを含む振動発生器8が簡略化して図示されている。振動発生器8は、正確に言うと、シャフトのベアリングに作用する慣性力が減衰せずに振動板に伝達されるように、振動板1に直接連結している。
【0016】
中間部材3は、例えば、板状体のような、実質的、本質的に剛体である。しかしながら、それは、中間部材に対してある限定された範囲で移動可能な、少なくとも1つの錘を含む。この実施形態では、それ故、中間部材は、中間部材本体と、それに対して移動可能な構成要素とを有する。移動可能な構成要素は、本質的にルーズ(ゆるゆるに連結)、つまり、変形不能であってもよい。例えば、中間部材本体は、横断部材を有することができる本質的に密閉された水タンクであり、移動可能な構成要素は、充填された水であってもよい。第2の例では、移動可能な構成要素は、例えば、粉末、砂または砂利などの、微粒子である。そして、例えば、中間部材本体は、板状の構成材に加え、粒子状物のためのプラスチックハウジング、或いは、ルーズな構成要素が入れられた袋または同様のものを有する。一方、移動可能な構成要素は、ばねによって中間部材本体に連結する1つ以上の本質的剛体であってもよい。中間部材が移動可能な構成要素を含んでいれば、振動板とベース板または基礎ハウジングの間の振動についての中間部材による切り離しが特に効果的に作用することが示されている。
【0017】
第1の弾性部材および好ましくは第2の弾性部材は、中間部材の本体に連結される。
【0018】
図2は、図1に示した原則に従う実施形態の分解図を示す。ベース板5は、ユーザのためのハンドル12および制御パネル13を含む構造体11に実質的に堅固に接続されている。構造体の内部または構造体に取り付けた制御電子機器が存在し、スイッチモード電源または同様のものが存在し得る。随意にベース板に接続した移送ローラ15を有する車輪軸14によって、装置は短距離の移動ができる。振動板1は、堅固なグラスファイバ複合材料または他の望ましい好適な材料(強化プラスチック、合金など)から製造され、例えば、滑り止め被覆または滑り止めマットにより、ユーザにとって心地よい感触の立脚領域を有する。振動板1は、電気モータおよび弾性部材ため(この場合円形に図示)の、並びに、ベルト環のため(この場合角のある形状に図示)の固定穴を有する。この場合、中間部材3は、本質的に剛体であり、実質的に板状であり、開口3.1,3.2を有する。図示する実施形態において、これらの開口は、ともに振動板に固定され、シャフトを介してそれぞれに1つの偏芯体(不図示)または1群の偏芯体を回転移動させるように設けられた2つの電気モータ16に空間を提供する目的に役立つ。電気モータは、好ましくは、少なくとも1つの動作モードで、偏芯体/偏芯体の群を互いに逆向きに移動させ、例えば、慣性力の垂直方向成分だけが振動動作に変換され、慣性力の他の成分が相殺されるように設計されている。この目的のために、複数の電気モータが、電気または電子制御手段を介して互いに同期されてもよい。しかしながら、これは、特定の状況では不要である。つまり、複数の電気モータが同じ回転速度を有し、振動板が十分に堅固であれば、互いの電気モータの振動的連結により同期がなされる。
【0019】
例示として示した実施形態において、第1の弾性部材2は、ハニカム型の弾性体であるが、第2の弾性部材4は、板面において対称である。減衰脚17が同様に図示されている。これらの減衰脚は、随意的であり、省略、或いは、フェルトや同様のものに置換してもよい。
【0020】
以下のパラメータを、ばねの剛性と板の質量の第1実施例に使用した。
4つの第1の弾性部材の剛性:C=40N/mm、C=11.5N/mm、C=33N/mm(xおよびyは板面に沿った方向を示し、yは垂直方向を示す)。
4つの第2の弾性部材の剛性:C=C=402N/mm、C=120N/mm
使用される構成要素の質量:振動発生器を含む振動板24kg、中間板40kg、電子部品および構造体を含むベース板23kg。
【0021】
この構成の基点における算出された反力の振幅は、約50Hzの振動周波数で、15Nを超えない。それ故、ベース板の振動からの大幅な分離が達成された。
【0022】
第2実施例では、弾性部材の剛性は変更されていないが、中間板は60kgの質量を有する。このとき、基点における反力の振幅は、50Hzで10N未満になる。
【0023】
さらに、中間部材や振動板の質量を変更し、弾性部材の剛性および剛性の比を変更することで、反力にさらなる影響を与えられる。板面に沿った第2弾性部材の剛性CおよびCの剛性の減少は、例えば、さらなる分離を達成するが、静的特性が(特に、振動板に重い人が載ったときに)損なわれる。
【0024】
本発明の第2の局面の基本構成を図3に示す。システムは、弾性部材22によって振動板1を取り付けた、比較的大きい(質量が、例えば、少なくとも60kg、好ましくは少なくとも100kg)ベース板5を有する。本発明の第2の局面によれば、振動発生器は、少なくとも2つの構成要素、つまり、振動板から分離され、それにより、それに沿って相当程度に振動しない少なくとも1つの電気モータ26と、シャフトの回転により回転移動させられ、回転の軸に対して偏芯して配設された少なくとも1つの錘を有する偏芯モジュール27とを含む。偏芯モジュール27は、シャフトの軸受けに作用する慣性力が振動板に実質的に減衰されずに伝達されるという意味では、直接振動板1に連結されている。電気モータ26と偏芯モジュール27との間のトルク伝達は、例えば、プロペラシャフト(カーボンシャフトなど)、弾性ベルトによる駆動装置、または、チェイン駆動装置などの伝達部材28を介して行われる。伝達機構は、電気モータと偏芯モジュールとが振動に関して互いに分離されていれば、つまり、伝達機構が(振動の伝動という意味では)分離が確実であれば、公知の伝達機構の中から選択できる。
【0025】
第2の局面によれば、本発明は、それ自身、偏芯モジュールおよび慣性力を介して振動の駆動を提供する振動台を有するいかなるフィットネス装置にも使用でき、電気モータだけが、振動板と異なり、振動については前記振動板から可能な限り分離された構成要素に取り付ける必要がある。しかしながら、この場合、ベース板または基礎フレームが特に効果的に振動台から分離されているので、本発明の第1の局面との組み合わせに大きな利点がある。対応する基本構成を図4に示す。この図において参照番号1から7は、図1におけるのと同じ構成要素を示す。しかしながら、振動駆動装置は、図3のように2つの構成要素、すなわち、伝達部材28によって結合した電気モータ26と偏芯モジュール27とに分離されている。同様に、図1の構成と対照的に、板状の中間部材3は、それにより、電気モータ26と偏芯モジュール27との間の接続を可能にする、切欠きまたは開口3.3を有する。本発明の2つの局面の組み合わせの場合、当然に、中間部材が中間部材本体と、中間部材本体に対して移動可能な構成要素、例えば本質的にルーズなものとを有することができる
【0026】
図5は、図4の原則に従う実施形態を分解図に示す。参照番号1−5、11−15および17は、図2におけるのと同じ構成要素を示す。図2と対照的に、フィットネス装置は、例えばねじで、ベース板の上に固定された、単一の電気モータ26を有する。電気モータを、振動については振動板から切り離した、分離した構成要素に設置することもできる。例えば、切欠きまたは開口はベース板に設けられ、ベース板の切欠きまたは開口を通して電気モータが下向きに突出し、電気モータがベース板に固定した金属板にねじ止めされてもよい。これにより、スペースを得ることができる。
【0027】
一方、偏芯モジュール27は、例えばねじなどで、振動板に固定接続されている。板状の中間部材3は、図示する実施形態ではTの字形の開口3.3を有し、開口を通して電気モータが下に突出でき、偏芯モジュールが上に突出できる。プロペラシャフト31は、伝達部材として働き、電気モータから偏芯モジュールにトルクを伝達する。
【0028】
偏芯モジュール27は、より明確に図6に示される。図示した実施形態において、モジュールは、設置板41と設置板41に堅固に接続された2つの腹板42とを有している。3つの歯車43,44と、両面に歯のあるタイミングベルト47と、テンションローラ46とが腹板42の間に配置されている。歯車43,44は、ベアリング45により測板の中に保持され、それぞれ回転軸48の周りに回転できる。中央の歯車43(入力歯車)がプロペラシャフト31によって回転動作を開始させられると、すぐに、タイミングベルト47の作用により、2つの外側の歯車44(出力歯車)もまた、正確には、図示したタイミングベルトの統制の下に逆の回転方向に回転を始める。いずれにも、一対の偏芯体50が、外側の歯車のシャフト19により保持されている(図6では、後側の偏芯体はいずれも不図示)。一対の偏芯体が逆方向に回転するので、偏芯モジュールおよび偏芯モジュールに堅固に連結した振動板は、主として垂直方向に振動する。
【0029】
図示する実施形態は、さらなる特別な特徴を有する。つまり、前記偏芯体50に加えて、2対の補償偏芯体51も設けられている。これらは、回転軸に対して、例えば、偏芯体50より薄いために、偏芯体50より小さい度合いで不均衡である。偏芯体50と対照的に、それらは回転するようにシャフトに固定されておらず、シャフトに対して回動可能である。それらは、ままた、歯車に直接隣接して配設されている。歯車はいずれも2つの駆動ピン52を有し、それにより、歯車が回転したとき、補償偏芯体もまた回転させられる。一方向に回転するとき、図示するように、この場合、補償偏芯体51は、その偏芯が偏芯体50の不均衡を弱めるように配設されている。このとき、固定された振動周波数により定められる回転速度の場合に、全体的な偏芯は低減され、それ故、慣性力も低減される。異なる方向に回転する場合には、自動的に駆動ピン52の反対側に位置した(駆動ピンの両側は、補償偏芯体を制止する)補償偏芯体は、偏芯体50と同じ回転位置になり、不均衡を増加させ、慣性力を増加させる。この簡単な方法により、振動の大きさは駆動装置の回転方向の選択により2つの値の間で変更できる。
【0030】
タイミングベルトなどによる電気モータから(少なくとも)2つの、好ましくは逆方向に回転する偏芯体または偏芯体の群への駆動トルクの伝達の原理と、補償偏芯体による回転方向の選択での振動の大きさの調整とは、電気モータ(複数の電気モータ)が振動板に固定された実施形態にも使用できる。偏芯体が電気モータのシャフトに設けられておらず、駆動トルクの伝達がトルク伝達手段(タイミングベルト、歯車、プロペラシャフトなど)を介して行われる実施形態では、偏芯体の相互位置は、これらの伝達手段によって決定することができる。このことは、偏芯体の「強制的な位置取り」をもたらす。
【0031】
上記実施形態は、本発明の実施の単なる例にすぎない。それらは、いくつかの方法で変更してもよい。中間部材は、実際的な理由で好ましくは平坦であり、つまり、振動台の面に対して直角な方向に比較的小さい範囲だけを有し、例えば、図示した実施形態と相当に異なる形状を有してもよい。弾性部材を理想的に位置決め可能にするために、中間部材は、優位に、複数の周辺領域の上に延伸する。例えば、それは、振動板のエッジの形状に略倣う環状部材として設けられる。複数の接続されていない中間部材を備えてもよい。
【0032】
第2の局面によれば、本発明は、1つ以上の電気モータにより機能する。例えば、二つの電気モータをベース板、基礎フレームまたは基礎ハウジングに配設でき、各偏芯モジュールへの伝達手段をそれぞれ備えることができる。全ての実施形態は、2つの偏芯体または偏芯体の群に逆の回転方向を与えたことを基礎として説明したが、本発明は、1つの偏芯体または偏芯体の群、或いは、複数の偏芯体/偏芯体の群を有してもよい。この場合、ある状況では、より複雑な二次元または三次元の振動が、実質的に垂直な振動に代えて実行される。多くの変形が、電気モータと偏芯モジュールとの間の伝達機構について考えられ、その機能的原則については当業者には公知である。
【0033】
シャフトから偏芯錘/錘50へのトルク伝達は、説明した実施形態のように、供回りするようにシャフトに固定した錘などにより、例えば補償偏芯部体などの駆動要素を介して、行うことができる。プロペラシャフトと錘が固定されたシャフトとの間の連結は、さらに、プロペラシャフト自身の一端に固定した錘をも含み、つまり、プロペラシャフトは偏芯錘のシャフトと同質である。
【0034】
上記の例示的な本発明の実施形態については、それぞれ、例えば、慣性力の垂直成分だけが振動動作に変換される結果となるように、偏芯錘が他の偏芯錘と反対に回転することを基礎としている。この特徴は必須ではない。同じ方向または全く統制されずに回転するものを偏芯錘として使用でき、或いは、1つの偏芯錘だけを使用してもよい。反対に回転する偏芯体のない特に好ましい変形例は、図7に、非常に簡略化して図示される。図7は、シャフト61を駆動する電気モータ66(固定子66.1、回転子66.2、ハウジング66.3、ベアリング66.4)を図示する。1つの偏芯体60が、供回りするように、シャフトの両側にそれぞれ固定されている。2つの偏芯体は、角度位置については、互いに並んでおり、それは、剪断力を発生させないことを意味する。図示した実施形態において、当然に、各偏芯体に少なくとも1つの補償偏芯体をあてがうようにすることができる。2つの停止位置の間でシャフトの周りに回動可能に取り付けた補償偏芯体は、1つの回転方向のシャフトの回転の場合に、第1の停止位置に位置してそこで回転でき、逆の回転方向の回転の場合に、他の停止位置に位置してそこで回転できる。結果として、補償偏芯体は、第1の停止位置において第2の停止位置とは、全体の不均衡について異なる寄与をする。それ故、2つの動作モード(高/低)は(振動周波数を固定する)固定速度により与えられる。偏芯体自体も、供回りするように取り付けられる必要はなく、停止位置の間で回動可能であり、この実施形態では、単に、回転の両方向で、偏芯体と補償偏芯体との角度位置が同じでないことを本質とする。
【0035】
図7の実施形態では、慣性力は全体として二次元的に働く、つまり、水平方向の慣性力は、反対方向に回転する偏芯体によって相殺されず、水平方向の振動力をもたらす。振動の際の水平方向の動きが望ましくないときは、少なくとも1つの以下の手段によって水平方向の動きを低減できる。
垂直方向の振動よりも水平方向の振動により大きな抵抗力を与える(適切であれば、第1だけでなく第2の)弾性部材の異方性のばね力。例えば、図2に図示した弾性部材のようなもの。
水平方向の移動を防ぐ、例えば、基礎部材または中間部材に固定され、振動板の対応する開口の中に突出する垂直な棒であり、スライド軸受けの一種として働く案内手段。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の局面による本発明の1つの実施形態の基本的概略を示す断面図。
【図2】本発明の第1の局面の実施形態の分解図。
【図3】第2の局面による本発明の1つの実施形態の基本的概略を示す断面図。
【図4】2つの局面を組み合わせた本発明の実施形態の基本的概略を示す断面図。
【図5】2つの局面を組み合わせた本発明の実施形態の本質的構成要素を示す分解図。
【図6】電気モータによって生成されたトルクを反対方向に回転する偏芯体の2つの群に伝達する機構の構成要素を示す図。
【図7】1つだけの電気モータを備え、2つの偏芯体(または偏芯体の群)が連結された振動発生装置を有する解決策の概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を引き起こすことができ、立脚領域を備える振動板(1)、および、
回転可能であり、回転軸に対して偏芯した少なくとも1つの錘(50)と、前記偏芯した錘(50)を回転させることができ、回転軸(48)の位置が前記振動板(1)に対して固定された駆動手段とを備える振動発生器を有し、
前記振動板は、第1の弾性部材(2)を介して中間部材(3)に連結され、前記中間部材(3)は、第2の弾性部材を介してベース板(5)、基礎フレームまたは基礎ハウジングに連結されていることを特徴とする、振動により人体を刺激する装置。
【請求項2】
前記第1および第2の弾性部材の剛性および前記中間部材の質量は、前記中間部材が、前記振動板に対して逆位相に振動する共振釣り合い錘を形成するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中間部材(3)の質量、または、複数の前記中間部材の質量の合計は、少なくとも20kg、好ましくは35kgであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記中間部材(3)は、実質的に板状であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記中間部材(3)および前記振動板(1)は、互いに平行に配置され、前記中間部材は、電気モータ、または、駆動手段の電気モータの側部に位置する少なくとも1つの開口(3.1,3.2,3.3)を有することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記中間部材(3)は、中間部材本体に対して移動可能な構成要素を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記移動可能な構成要素は、ルーズであることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記振動発生器の前記駆動手段は、単一の電気モータを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記電気モータの両側からシャフトが突出し、前記シャフトの両側にそれぞれ少なくとも1つの偏芯錘が結合することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記振動発生器の前記駆動手段は、2つの電気モータを含み、該電気モータのシャフトにそれぞれ少なくとも1つの偏芯錘を有し、前記シャフトは好ましくは互いに平行に延伸し、互いに反対方向に駆動されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
振動を引き起こすことができる振動板(1)、および、
回転可能であり、回転軸に対して偏芯した少なくとも1つの錘(50)と、前記偏芯した錘(50)を回転させることができ、回転軸(48)の位置が前記振動板(1)に対して固定された駆動手段とを備える振動発生器を有し、
前記駆動手段は、前記振動板と異なる構成要素に固定され、前記振動板に弾性部材(2,4,22)を介して連結された、少なくとも1つの電気モータ(26)を有することを特徴とする、特に請求項1から8または10のいずれかに記載したような、振動により人体を刺激する装置。
【請求項12】
前記電気モータ(26)が固定された構成要素は、土台の上に置かれるために設けられた、減衰部材(17)によって土台に保持され得る、ベース板、基礎フレームまたは基礎ハウジングに固定されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの電気モータから、前記振動板に対して固定位置に設置されたシャフト(49)に、プロペラシャフト(31)を介して伝達が実行されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記振動発生器は、2つの偏芯錘または偏芯錘の群(50)を有し、動作状態において、それぞれの回転軸(48)周りに回転し、両方の前記偏芯錘または偏芯錘の群(50)が単一の電気モータにより駆動され得ることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記回転軸(48)は、実質的に互いに平行であり、前記2つの偏芯錘または偏芯錘の群(50)の回転動作の回転方向は、互いに反対であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
補償偏芯体(51)が少なくとも1つの前記偏芯錘(50)に与えられ、前記補償偏芯体は、シャフトに対して回動可能に取り付けられ、前記シャフトが1つの回転方向に回転するとき、前記補償偏芯体が第1の停止位置に位置し、前記シャフトが逆の回転方向に回転するとき、前記補償偏芯体が前記シャフトの周りに回動して、第2の停止位置に位置し、前記補償偏芯体は、全体的な不均衡に対して、前記第1の停止位置にあるときに、前記第2の停止位置にあるときと異なる寄与をすることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの前記偏芯錘(50)が、供回りするように前記シャフトに結合され、前記補償偏芯体(51)が前記第1の停止位置にあるとき、前記補償偏芯体(51)によって引き起こされた不均衡が全体的な不均衡を増加させ、前記補償偏芯体(51)が前記第2の停止位置にあるとき、前記補償偏芯体によって引き起こされる不均衡により、前記少なくとも1つの偏芯錘(50)の不均衡が少なくとも部分的に相殺されることを特徴とする請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−517679(P2008−517679A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538237(P2007−538237)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000626
【国際公開番号】WO2006/045213
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507137450)パワー・プレイト・インターナショナル・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】POWER PLATE INTERNATIONAL LTD.