説明

人体冷却装着具

【課題】従来から、夏場における熱中症対策として様々な冷却具が考案されてきた。しかし、重量の嵩むものも多く、人体への装着時に仰々しくなるものも多かった。コスト的にも幅があり、価格の高いものは冷却効率もそれなりに効果が高いようであるが、装置がどうしても仰々しくなる傾向がある。また、逆に安価なものは冷却効率やその持続性についても十分な満足を得られるものは少ない。
【解決手段】熱伝導率が高く、放熱性に優れた軽金属製のパイプ1,2を格子状に接着し、その格子状に組んだパイプの一部に保冷材を挟み込んで固定できるようにし、その塑性変形の性質を利用して簡単に人体へと脱着可能な人体冷却装着具を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に夏場における熱中症対策として人体を冷却するための装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、夏場における熱中症対策として様々な冷却具が考案されてきた。
【特許文献1】特開2002−317325
【特許文献2】特開2008−104694
【特許文献3】特開2008−000197
【特許文献4】特開2004−041253
【特許文献5】特開平09−253119
【特許文献6】特開平10−130933
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から、夏場における熱中症対策として様々な冷却具が考案されてきた。しかし、重量の嵩むものなども多く、人体への装着時に仰々しくなるものも多かった。
コスト的にも幅があり、価格の高いものは冷却効率もそれなりに効果が高いようであるが、装置がどうしても仰々しくなる傾向がある。また、逆に安価なものは冷却効率やその持続性についても十分な満足を得られるものは少ない。本発明は以上の問題点を解決するためになされたものである。

【課題を解決するための手段】
【0004】
格子状に組んだ軽合金製の中空パイプに向かい合った中空パイプとの隙間に保冷材を挟み込み、その中空パイプ全体の塑性変形の性質を利用して保冷材の固定及び、人体に装着できるようにした人体冷却装着具を提供する。

【発明の効果】
【0005】
熱中症への対策として極めて有効な皮膚からの体温冷却性に優れる熱伝導性と放熱性に優れた、使いやすく、軽量で安価な人体冷却装着具を提供できる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に示すように、軽金属製の中空パイプを格子状に接着する。軽金属の中空パイプは、人体に装着する際に直接肌に接触する皮膚接触部(1)と保冷材(3)を押さえて固定するための保冷材押さえ(2)から構成されている。説明の便宜上、皮膚接触部(1)と保冷材押さえ(2)は合わせて「フレーム」と呼称する。フレームに使用する軽金属製のパイプは、一般に普及しているアルミニウムやジュラルミンなどをここでは主に使用するが、原子配合的に比較的柔らかい種類のものを利用する。保冷材(3)を取り付ける際には、保冷材押さえ(2)を手で広げてから保冷材(3)を挟み込んで押さえるようにすれば固定できる。つまり、図2と図3に示すように、金属の塑性変形で簡単に脱着できるようになっている。また、皮膚接触部(1)についても、手で簡単に塑性変形させることができる。図5に示すように、本発明を使用する際には、自分が装着したいと思う自分の身体の部位に合わせてフレームの形状を簡単に変えることができる。図6に示すのは、頭などを冷やしたい場合の事例であるが、バンド(4)などをフレームの一部に取り付けて利用すれば簡単に応用することができる。
軽金属製の中空パイプによってフレーム、つまり、皮膚接触部(1)と保冷材押さえ(2)を構成しているのは、人体の装着時に塑性変形させることが容易であるという点と、極めて軽量に作ることができる点である。この他の特徴として、その構成している軽金属全体の質量に対し、表面積の比率が大きく取れるので、放熱性に優れるという点が挙げられる。つまり、言い換えれば、保冷材(3)を例え使用しなくてもフレームを人体の皮膚に接触させておくだけで、そこから体熱が中空パイプを伝導して伝わってゆき、大気へと放射されてゆく効果が高いのである。フレーム全体を格子状に構成しているのは、体温の熱伝導と放熱効果の効率を高める目的であるので、中空パイプの効果とも相まってさらに人体の冷却効率を高めている。
アルミニウムの場合は、熱伝導率が極めて高く、鉄の3倍、水の400倍もの高効率で伝わる。逆に中空パイプ内部の空気は、熱伝導率が低いので、フレーム自体は熱伝導率の極めて高い材質と低い材質の相反する性質の物質から構成されていることになる。このことは、つまり、パイプ表面の熱伝導率は高いが、パイプ内部では逆に蓄冷しやすい構造になっている。これにより保冷材(3)の低温持続性を高めている。フレームを構成しているパイプ内部の空気は、フレーム接着時に自然に密閉されてしまった大気であるが、意図的にパイプ内部に蓄冷性に優れた素材からなる液体や、気体などを封入してさらに人体冷却装着具としての性能をさらに高くすることも十分に可能である。一般に普及している保冷材を利用するのが最も低価格かつ、安全と思われる。一般に普及している保冷材の成分としては、水、高吸水性ポリマー、高吸水性樹脂、ポリアクリル酸ナトリウム、防腐剤、形状安定剤、ベルオアシスなどがある。フレームを構成する中空パイプは、外形φ3〜8ミリ程度が熱伝導効率も良いようであり、塑性変形の按配も良くて保冷材、及び人体への固定の際にも使い勝手が良い。
図3に示すのは、皮膚接触部(1)と保冷材押さえ(2)との隙間に保冷材(3)を挟み込んだ部分の状態を示したものである。軽合金製の中空パイプの塑性変形によって保冷材(3)は固定される仕組みである。しかし、さらに、図4に示すように、中空パイプの保冷材(3)に接触する面を平面状になるように中空パイプに予め加工を施しておけば、ちょうど凹型のポケット状となり、保冷材(3)の固定性はさらに増すことができるし、保冷材との接触部に中空部が無くなるのでフレーム外周部への冷却の伝導効率をさらに高めることが可能である。また、さらにはフレーム全体が薄くなるので装着時にもさらに使いやすくできる。






【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の正面図
【図2】本発明に保冷材を取り付けた状態の正面図
【図3】本発明の中空パイプに保冷材を挟み込んだ側面図
【図4】本発明の中空パイプに保冷材を挟み込んだ側面図
【図5】本発明を人体に装着した斜視図
【図6】本発明を頭部に装着した斜視図
【符号の説明】
【0008】
1.
皮膚接触部
2.
保冷材押さえ
3.
保冷材
4. バンド





【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に組んだ軽合金製の中空パイプに向かい合った中空パイプとの隙間に保冷材を挟み込み、その中空パイプ全体の塑性変形の性質を利用して保冷材の固定及び、人体に装着できるようにした人体冷却装着具。
【請求項2】
中空パイプの保冷材と接触している部分に凹部を設けた請求項1の人体冷却装着具。
【請求項3】
軽金属製の中空パイプの内部に保冷材を封入した請求項1、または請求項2の人体冷却装着具。
【請求項4】
中空パイプの一部にバンドを設けた請求項1,2,3の人体冷却装着具。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−17519(P2013−17519A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151099(P2011−151099)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505343480)
【Fターム(参考)】