説明

人体局部洗浄装置

【課題】 洗浄に用いる温水の確保が容易な環境または温暖な地域において、これらに必要な構成部品及びその機能を省略し、使用者に対して操作性がよく、かつ、安価なこと。
【解決手段】 回転ダイヤル21のみの回転及び移動を行うことにより、洗浄ノズル76の先端部の噴射口77から噴出方向77aまたは噴出方向77bに添って洗浄水が噴出し、お尻洗浄位置Aまたはビデ洗浄位置Bに洗浄水を噴射するものであり、回転ダイヤル21のみの回転及び移動制御を行うものである。したがって、給水制御ボックス20と給水制御弁30は一体になっているから、回転ダイヤル21のみの回転及び移動で制御が可能となり、操作が簡単であり、かつ、洗浄制御に使用する備品点数を少なくすることができる。更に、複雑な制御弁や電気回路を使用する必要がないので、人体局部洗浄装置としての部品点数も少なく製品の故障確立が小さくなり、信頼性も高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体局部を洗浄して、衛生的、かつ、快適とする人体局部洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は従来の人体局部洗浄装置を用いたトイレを示す斜視図である。
【0003】
図9において、人体局部洗浄装置2は所定の便鉢1aのサイズからなる便器1の上に配置されている。便蓋3と便座4は、洗浄水タンク8付近の後部で回動自在に取付けられている。また、洗浄水タンク8付近の後部には、洗浄ノズルユニット6の取り付けによって、お尻洗浄ノズル6aとビデ洗浄ノズル6bが配設されている。
【0004】
コントローラ5は、人体局部洗浄装置2のお尻洗浄ノズル6aとビデ洗浄ノズル6bに供給する洗浄水の水路開閉電磁弁を制御し、お尻洗浄ノズル6aとビデ洗浄ノズル6bを切り替える操作スイッチ5a,5b、洗浄水の噴射水流を決定する調整器7、他にヒータ及び温度調節器等を有するもので、人体局部洗浄装置2の側部後方に配設されている。
【0005】
このように、従来の人体局部洗浄装置2は、水路開閉電磁弁、操作スイッチ5a,5b、他にヒータ及び温度調節器等の電気制御回路を使用していたことから、部品点数が多く、構成部品のコストが高価になっていた。また、操作性においても、部品点数が多いことが原因となって制御が複雑になってしまうこともあった。
【0006】
そして、従来の人体局部洗浄装置2は、特許文献1に示すように、お尻洗浄とビデ洗浄において各々異なった専用のお尻洗浄ノズル6aとビデ洗浄ノズル6bを装備しているものが多く、簡単に局部洗浄を行うだけで充分な場合でも、不必要な構成部品が加わった洗浄機能を有しているために、本来であれば不必要な操作が必要となり、取り扱い難く、製品が高価になる要因となっている。
【特許文献1】特開平4−213636
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の人体局部洗浄装置2は、特に、ホテルや浴室、シャワールーム等の施設内のトイレに人体局部洗浄装置2を施設する場合でも、一般の民家のトイレに人体局部洗浄装置2を設置する場合でも、人体局部洗浄装置2の構成上の変化はなかった。
【0008】
即ち、従来の人体局部洗浄装置2は、例えば、ホテルの浴室内のトイレにおいては、温水が室内まで来ているにもかかわらず、人体局部洗浄装置2自体に湯沸かし器の機能を有しているという不必要な構成部品による無駄な機能を具備し、それによって、取り扱い難くし、かつ、製品が高価になるという要因になっていた。
【0009】
そこで、本発明はこれらの問題点を解消すべく、洗浄に用いる温水の確保が容易な環境または温暖な地域において、これらに必要な構成部品及びその機能を省略し、使用者に対して操作性がよく、かつ、安価な人体局部洗浄装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1にかかる人体局部洗浄装置の人体局部洗浄装置は、少なくとも、便器の上面後部に取り付けられ人体局部洗浄に要する機器収容部となるベース部材及びその上部カバーと、前記ベース部材に対して所定範囲に移動可能に取り付けられ、前記ベース部材に対して所定範囲に移動可能に取り付けられ、洗浄水の噴射方向が略お尻洗浄位置と略ビデ洗浄位置に設定自在とした人体局部を洗浄する洗浄ノズルを有する洗浄ノズルユニットと、前記洗浄ノズルユニットに供給する洗浄水を供給制御すると共に、前記ベース部材に対して所定範囲の移動を自在に取り付けた給水制御弁と、前記給水制御弁の前記所定範囲の移動に連動して、前記洗浄ノズルを前記所定範囲に移動させる連結部材を具備するものである。
【0011】
ここで、前記機器収容部は、少なくともベース部材及びその上部カバーからなり、便器の上面後部に取り付けられるベース部材を有するものであり、上部カバーはその上面を覆うものであればよい。
【0012】
また、前記洗浄ノズルユニットは、人体局部を洗浄する洗浄ノズルを有し、また、前記ベース部材に対して所定範囲に移動可能に取り付けられておればよい。
【0013】
そして、前記給水制御弁は、記洗浄ノズルユニットに供給する洗浄水を機械的に供給制御すると共に、前記ベース部材に対して所定範囲の移動を自在とする取り付けを行っているものであればよい。
【0014】
更に、前記洗浄ノズルを前記所定範囲に移動させる連結部材は、前記給水制御弁の前記所定範囲の移動に連動して、直接または間接的に前記洗浄ノズルを移動させるものであればよい。
【0015】
請求項2にかかる人体局部洗浄装置の前記給水制御弁及び/または前記洗浄ノズルの前記所定範囲の移動は、回転運動、円弧運動、直線運動の何れかとしたものであればよい。
【0016】
請求項3にかかる人体局部洗浄装置の前記給水制御弁の前記所定範囲の移動は、弾性に抗してなされるものであればよい。
【発明の効果】
【0017】
請求項1にかかる人体局部洗浄装置は、便器の上面に取り付けられたベース部材及びその上部カバーからなる機器収容部と、前記ベース部材に対して所定範囲に移動可能に取り付けられた人体局部を洗浄する洗浄ノズルと、先端付近が略お尻洗浄位置と略ビデ洗浄位置に設定し、前記ベース部材に対して所定範囲に移動可能に取り付けられた人体局部を洗浄する洗浄ノズルを有する洗浄ノズルユニットと、前記洗浄ノズルユニットに供給する洗浄水を供給制御すると共に、前記ベース部材に対して所定範囲の移動を自在に取り付けた給水制御弁と、前記給水制御弁の前記所定範囲の移動に連動して、前記洗浄ノズルを前記所定範囲に移動させる連結部材を具備し、前記洗浄ノズルの移動する前記所定範囲の先端付近が略お尻洗浄位置と略ビデ洗浄位置に設定したものである。
【0018】
したがって、従来使用されていた電気的な給水制御弁や電気的操作スイッチ等が不要となり、そのため関連する電気制御回路や電源回路等も不要になり安価な人体局部洗浄装置を提供することができる。また、複雑な制御弁や電気回路を使用する必要がないので、人体局部洗浄装置としての部品点数も少なく製品の故障確立が小さくなり、信頼性も高くなる。そして、お尻洗浄とビデ洗浄の選択を、洗浄操作に必要な給水制御弁に連動させて、前記洗浄ノズルに供給する洗浄水を制御するものであるから、待機動作や待機時間がほとんどなく確実に選択操作することができる。
【0019】
請求項2にかかる人体局部洗浄装置の前記給水制御弁及び/または前記洗浄ノズルの前記所定範囲の移動は、回転運動、円弧運動、直線運動の何れかとしたものである。したがって、請求項1の効果に加えて、前記洗浄ノズルは、回転運動、円弧運動、直線運動の何れかによって、使用状態の位置と格納状態の位置を確保することができ、それだけ設計自由度が高くなる。
【0020】
請求項3にかかる人体局部洗浄装置の前記給水制御弁の前記所定範囲の移動は、弾性に抗してなされるものであるから、請求項1または請求項2の効果に加えて、弾性の復元力によって給水制御弁の初期位置への復帰が容易になり、かつ、初めての使用であっても、間違いなく初期位置に設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態の人体局部洗浄装置について、図を用いて説明する。なお、本実施の形態2以降において、実施の形態1と同一記号または同一符号は、上記実施の形態1と同一または相当する構成部分を示すものであるから、その詳細な説明を省略し、主に相違点のみ説明する。
【0022】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置を取り付けたトイレ装置の側面図、図2は同じく図1の平面図を示す。図3は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置の側面図であり、図4は同じく図3の平面図である。図5は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置のお尻洗浄状態を示す説明図、図6は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置のビデ洗浄状態を示す説明図である。図7は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置で使用する給水制御弁の内部構造を示した説明図である。
【0023】
図1乃至図4において、便器1は公知または専用のもので人体局部洗浄装置2は便器1の上に配置されている。人体局部洗浄に要する機器を収容する機器収容部10は、上部カバー12及びベース部材11からなり、ベース部材11は直接便器1の上面に載置され、上部カバー12はそのベース部材11の上面を覆うように配置されている。また、便蓋3と便座4は、機器収容部10付近に回動自在に取付けられている。
【0024】
また、機器収容部10のベース部材11には、給水制御ボックス20、回転ダイヤル21、洗浄ノズルユニット70が設けられ、給水制御ボックス20と洗浄ノズルユニット70との間には連結部材80が配設されている。また、ベース部材11の上方は上部カバー12で覆われている。
【0025】
図5乃至図7において、下部にベース部材11に固着した案内レール22と嵌合する溝を有し、その案内レール22の長さ方向に摺動自在な略直方体形状の箱体からなる給水制御ボックス20は、給水制御弁30を内蔵し、給水制御弁30を内部に一体に固着し、給水制御ボックス20と給水制御弁30とが摺動移動するように構成されている。なお、本実施の形態では、給水制御弁30の移動を給水制御ボックス20に委ねているが、本発明を実施する場合には、給水制御ボックス20を排除し、直接給水制御弁30が案内レール22方向に移動するようにしてもよい。
【0026】
給水制御弁30は、図7に示すように、洗浄水の供給を受ける給水口31、全体を形成するボディ32、給水を制御して洗浄水を出力する給水出口39、後述する戻しバネ41の中心軸に位置して戻しバネ41の弾性方向を特定するバネ案内棒33、また、連結部材80の一部として機能する給水制御弁側クランク81をガイドするクランク案内溝34を有している。そして、給水圧の上昇に対応して流量を制限する流量安定装置35が給水口31側に配設されている。回転ダイヤル21によって回転する二一ドル36、その二一ドル36に対応する弁座37が給水出口39側に配設されている。なお、回転ダイヤル21は給水制御弁30の回転軸38の端部に固着されている。この回転ダイヤル21は、左回転により、二一ドル36と弁座37との間が開口し、給水出口39から洗浄水が出力される。
【0027】
給水制御弁30と一体となった給水制御ボックス20は、2本の案内レール22に沿って移動可能に取り付けられ、ベース部材11に固着されたバネ受け43との間に配設した戻しバネ41の弾性力によって、後方に付勢され、通常状態で略コ字状、略L字状に形成した位置決め板44に当接している。また、案内レール22の前方の位置決め突起23は、ビデ洗浄時に給水制御ボックス20の前面移動を拘束すべく当接するストッパとして機能する。
【0028】
したがって、回転ダイヤル21によって給水制御ボックス20を戻しバネ41の弾性に抗して前方に移動することができ、また、回転ダイヤル21の外力を解くと戻しバネ41の弾性によって後方に移動し、位置決め板44に当接して停止する。通常状態では、給水制御ボックス20が位置決め板44に当接した状態となる。
【0029】
即ち、給水制御弁30は、洗浄ノズルユニット70に供給する洗浄水を供給制御すると共に、ベース部材11に対して所定範囲の移動を自在に取り付けたものである。戻しバネ41の弾性の復元力によって給水制御弁30の初期位置への復帰が容易になり、かつ、初めての使用であっても、間違いなく初期位置に戻すことができる。
【0030】
なお、戻しバネ41の弾性方向を特定するバネ案内棒33は、バネ受け43を貫通することで、給水制御ボックス20が2本の案内レール22から浮上したり、離脱したりするのを防止している。
【0031】
洗浄ノズルユニット70は、最大径のシリンダ72に収容したピストン74が洗浄ノズル76に連結されており、ピストン74が洗浄ノズル76と共に給水口71から供給される水圧によって前進し、シリンダ72の先端に位置するシリンダ円錐部72aがピストン円錐部74aに当接することにより移動が停止される。このとき、シリンダピストン74の先端に位置するシリンダ円錐部72aがピストン円錐部74aに当接した洗浄ノズル76の突出した噴射口77の位置が、お尻洗浄時の位置となる。
【0032】
給水口71から供給される水圧が断たれると、水圧の低減によって戻しバネ75の弾性力が当該水圧に勝り、シリンダ円錐部72aがピストン円錐部74aから離れ、戻しバネ75の弾性力によって収納位置に戻る。これによって、ピストン74が洗浄ノズル76を引き込む。
【0033】
なお、可撓性に富む材料からなる接続ホース69は、給水出口39と給水口71に連結されており、給水口71から供給される水圧の制御は、回転ダイヤル21によってなされる。
【0034】
また、シリンダ72の中央付近は、ベース部材11に堅固に固着された支持枠68に配設された回転軸79によって軸支され、シリンダ72は回動自在になっている。また、シリンダ72の軸支された回転軸79の上部側には、シリンダ72の長さ方向に所定の幅だけ均一間隔を設けた上部フック部73が配設されており、給水制御ボックス20の直線運動をシリンダ72の上部フック部73を介して、洗浄ノズル76の角度を2位置間で選択可能となっている。
【0035】
連結部材80は、端部がクランク案内溝34を上下往復動する給水制御弁側クランク81と、直線部分からなる直線支持部82と、端部が上部フック部73の間隔に嵌まり込む洗浄ノズル側クランク83及び直線支持部82を軸支するベース部材11に堅固に取り付けられた軸支持部材84,85で構成されている。
【0036】
したがって、クランク案内溝34が前後方向に移動すると、給水制御弁側クランク81が直線支持部82を中心に所定の角度回動し、その回動は洗浄ノズル側クランク83の回動角度となる。洗浄ノズル側クランク83の回動は、シリンダ72の上部フック部73を介して、洗浄ノズル76の角度の変位となる。即ち、給水制御ボックス20の直線運動は、シリンダ72の上部フック部73を介して、洗浄ノズル76の角度を変位となっている。
【0037】
即ち、連結部材80は、給水制御弁30の所定範囲の移動に連動して、洗浄ノズル76を前記所定範囲に移動させるものである。
【0038】
更に、ベース部材11には、シリンダ受け部16が堅固に配設されており、その上面は、洗浄ノズルユニット70のシリンダ72の下部側に当接し、お尻洗浄時のシリンダ72の角度を保持するようになっている。洗浄水の噴射方向77aを示す洗浄位置は、使用者のお尻洗浄位置Aを、同様に、洗浄水の噴射方向77bはビデ洗浄位置Bを示している。
【0039】
このように、シリンダ72、ピストン74、戻しバネ75、洗浄ノズル76等は、ベース部材11に対して所定範囲に移動可能に取り付けられ、洗浄水の噴出方向77a,77bが略お尻洗浄位置Aと略ビデ洗浄位置Bに設定自在とした人体局部を洗浄する洗浄ノズル76を有する洗浄ノズルユニット70を構成する。
【0040】
次に、本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置2の動作について説明する。
【0041】
図1乃至図6において、使用者が便座4に着座し、回転ダイヤル21を前方に移動させない状態で、左回転させると、図7にあるように二一ドル36が開き、給水口31からの供給水が内部水路を経て流量安定装置35を経由して弁座37との間隙を通過して給水出口39に至る。
【0042】
次に、接続ホース69を通過して給水口71を経由して、シリンダ72内に流れ込み、シリンダ72の内圧でピストン74を前方に移動し、ピストン円錐部74aがシリンダ円錐部72aに当接して、洗浄ノズル76の先端部の噴射口77から噴出方向77aに添って洗浄水が噴出し、お尻洗浄位置Aに到達する。
【0043】
次に、ビデ洗浄の場合は、図6に示すように、使用者が回転ダイヤル21を握った状態で前方に移動すると、給水制御弁30の給水制御ボックス20が戻しバネ41に抗しながら移動し、案内レール22の前方の位置決め突起23に当接する。このとき、クランク案内溝34が給水制御弁側クランク81を前方に回動させるので、洗浄ノズル側クランク83が上部フック部73を回動し、洗浄ノズルユニット70全体が回転軸79を軸心として所定の前傾状態となる。この場合、使用者は回転ダイヤル21の回転及び前方への移動を止める押圧力はビデ洗浄を行っている間、手で保持し続けることになる。
【0044】
しかし、本発明を実施する場合には、回転ダイヤル21を前方の所定位置に移動したとき、ラッチ機構によって一時的に固定し、回転ダイヤル21の回転軸38方向の押圧等によって、そのラッチが外れるように構成することもできる。
【0045】
[実施の形態2]
図8は本発明の実施の形態2の人体局部洗浄装置のお尻洗浄状態及びビデ洗浄状態を示す説明図である。
【0046】
図8において、給水制御ボックス20、給水制御弁30、回転ダイヤル21、洗浄ノズルユニット70等の構成は、上記実施の形態1と基本的に同一である。
【0047】
給水制御ボックス20の側面には、下部にギアが形成された給水制御ボックス20に沿ってラック101が取り付けられている。ラック101は給水制御ボックス20の移動方向に平行する配置となっている。
【0048】
ラック101は直線軸103の端部に設けられたピニオン102と噛み合っている。直線軸103はベース部材11に堅固に固着された2個の軸支持部材105,106で軸支されている。直線軸103の反対側には同様にピニオン104が取り付けられている。ピニオン102は、洗浄ノズルユニット70のシリンダ72に一体に取り付けられた案内板122の裏面にあるラック220と噛み合うように配設されている。
【0049】
この案内板122は、ベース部材11に堅固に固着された支持部材124に設けられた4個のスライド部材123によって、シリンダ72の軸方向に移動自在に保持されている。また、お尻洗浄位置Aの洗浄ノズル76からは、洗浄水が図8に示す実線のように噴射口77から噴出方向77aに噴射される。同様に、ビデ洗浄位置Bでの洗浄ノズル76では、洗浄水が図8に示す二点差線のように噴射口77-1から噴出方向77-1aに沿って噴射される。
【0050】
次に、本発明の実施の形態2の人体局部洗浄装置の動作について説明する。
【0051】
図8において、お尻洗浄の場合、使用者は回転ダイヤル21をその位置で左方向に回転させると、実施の形態1のお尻洗浄時と同様の作用で洗浄が開始される。
【0052】
次に、ビデ洗浄時の場合は、使用者が回転ダイヤル21を回動して握った状態で前方に移動させると、前述の実施の形態1のビデ洗浄と同様に給水制御弁30は、所定の位置に前進移動する。このとき給水制御ボックス20の側面に設けられたラック101が直線運動し、連結部材80の直線軸103に設けられたピニオン102を回転させ、更に、直線軸102の反対側にあるピニオン104も同量だけ回転することになる。このために、ピニオン104と噛み合っているラック220が前進移動し、シリンダ72は所定距離だけ前進することになる。このようにして使用者は、回転ダイヤル21を所定距離だけ前方に移動することで、容易にお尻洗浄とビデ洗浄を選択して用いることができる。
【0053】
上記実施の形態1及び2では、便器1に取り付けられて人体局部の洗浄に使用する人体局部洗浄装置2において、便器1の上面後部に取り付けられ人体局部洗浄に要する機器収容部10の一部となるベース部材11と、ベース部材11と共に機器収容部10を構成するベース部材11の上方を囲う上部カバー12と、機器収容部10近傍で軸支され、機器収容部10の前方で回動自在に開閉される便座4及び便蓋3と、ベース部材11に対して所定範囲に移動可能に取り付けられ、洗浄水の噴射方向が略お尻洗浄位置Aと略ビデ洗浄位置Bに設定自在とした人体局部を洗浄する洗浄ノズル76を有する洗浄ノズルユニット70と、洗浄ノズルユニット70に供給する洗浄水を供給制御すると共に、ベース部材11に対して所定範囲の移動を自在に取り付けた給水制御弁30と、給水制御弁30の所定範囲の移動に連動して、洗浄ノズル76を所定範囲に移動させる連結部材80を具備するものである。
【0054】
したがって、従来使用されていた操作スイッチ5a,5b等の電気的な給水制御弁や電気的操作スイッチ等が不要となり、そのため関連する電気制御回路や電源回路等も不要になり安価な人体局部洗浄装置2を提供できる。また、複雑な制御弁や電気回路を使用する必要がないので、人体局部洗浄装置2としての部品点数も少なく製品の故障確立が小さくなり、信頼性も高くなる。そして、お尻洗浄とビデ洗浄の選択を、洗浄操作に必要な給水制御弁に連動させて、洗浄ノズル76に供給する洗浄水を制御するものであるから、待機動作や待機時間がほとんどなく確実に選択操作することができる。即ち、お尻洗浄とビデ洗浄の選択を、洗浄操作に必要な給水制御弁30の二一ドル36を回転させる回転ダイヤル21を移動させる動きで直接的に行っているので、待機動作や待機時間がほとんどなく確実に選択操作することができる。
【0055】
このように、上記実施の形態1及び2では、回転ダイヤル21のみの回転及び移動を行うことにより、洗浄ノズル76の先端部の噴射口77から噴出方向77aまたは噴出方向77bに添って洗浄水が噴出し、お尻洗浄位置Aまたはビデ洗浄位置Bに洗浄水を噴射するものであり、回転ダイヤル21のみの回転及び移動制御を行うものである。したがって、給水制御ボックス20と給水制御弁30は一体になっているから、回転ダイヤル21のみの回転及び移動で制御が可能となり、操作が簡単であり、かつ、洗浄制御に使用する備品点数を少なくすることができる。更に、複雑な制御弁や電気回路を使用する必要がないので、人体局部洗浄装置としての部品点数も少なく製品の故障確立が小さくなり、信頼性も高くなる。
【0056】
また、上記実施の形態1及び2の人体局部洗浄装置2は、ホテルや浴室、シャワールーム等の施設内のトイレに施設する場合、ホテルの浴室内のトイレに、温水が室内まで来ているときには、人体局部洗浄装置自体に湯沸かし器の機能を付与することなく使用できる。それによって、取り扱い難くし、かつ、製品が高価になるという要因を排除できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
上記実施の形態1及び2の給水制御ボックス20と給水制御弁30は、一体になって、回転ダイヤル21の回転及び移動で制御が可能となるものであるが、両者の動きを分離させ、回転ダイヤル21のみの回転、給水制御ボックス20の前後方向の制御を分離することができる。
【0058】
この人体局部洗浄装置は、便器1の上面後部に取り付けられ人体局部洗浄に要する機器収容部10の一部となるベース部材11と、ベース部材11と共に機器収容部10を構成するベース部材11の上方を囲う上部カバー12と、機器収容部10の前方に装着された便座4及び便蓋3と、先端付近が略お尻洗浄位置Aと略ビデ洗浄位置Bに設定し、ベース部材11に対して所定範囲に移動可能に取り付けられた人体局部を洗浄する洗浄ノズル76を有する洗浄ノズルユニット70と、ベース部材11に対して取り付けられた洗浄ノズルユニット70に供給する洗浄水を供給制御する給水制御弁30と、洗浄ノズル76を所定範囲に移動させる手段とを具備する構成とすることができる。
【0059】
したがって、従来使用されていた電気的な給水制御弁や電気的操作スイッチ等が不要となり、そのため関連する電気制御回路や電源回路等も不要になり安価な人体局部洗浄装置を提供することができる。また、複雑な制御弁や電気回路を使用する必要がないので、人体局部洗浄装置としての部品点数も少なく製品の故障確立が小さくなり、信頼性も高くなる。そして、お尻洗浄とビデ洗浄の選択を、洗浄操作に必要な給水制御弁に連動させて、前記洗浄ノズルに供給する洗浄水を制御するものであるから、待機動作や待機時間がほとんどなく確実に選択操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置を取り付けたトイレ装置の側面図である。
【図2】図2は同じく図1の平面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置の側面図である。
【図4】図4は同じく図3の平面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置のお尻洗浄状態を示す説明図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置のビデ洗浄状態を示す説明図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1の人体局部洗浄装置で使用する給水制御弁の内部構造を示した説明図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態2の人体局部洗浄装置のお尻洗浄状態及びビデ洗浄状態を示す説明図である。
【図9】図9は従来の人体局部洗浄装置を用いたトイレを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 便器
2 人体局部洗浄装置
10 機器収容部
11 ベース部材
20 給水制御ボックス
21 回転ダイヤル
30 給水制御弁
70 洗浄ノズルユニット
76 洗浄ノズル
77 噴射口
80 連結部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に取り付けられて人体局部の洗浄に使用する人体局部洗浄装置において、
前記便器の上面後部に取り付けられ、人体局部洗浄に要する機器収容部の一部となるベース部材と、
前記ベース部材と共に前記機器収容部を構成する前記ベース部材の上方を囲う上部カバーと、
前記機器収容部の前方に装着された便座及び便蓋と、
前記ベース部材に対して所定範囲に移動可能に取り付けられ、洗浄水の噴射方向が略お尻洗浄位置と略ビデ洗浄位置に設定自在とした人体局部を洗浄する洗浄ノズルを有する洗浄ノズルユニットと、
前記洗浄ノズルユニットに供給する洗浄水を供給制御すると共に、前記ベース部材に対して所定範囲の移動を自在に取り付けた給水制御弁と、
前記給水制御弁の前記所定範囲の移動に連動して、前記洗浄ノズルを前記所定範囲に移動させる連結部材と
を具備してなることを特徴とする人体局部洗浄装置。
【請求項2】
前記給水制御弁及び/または前記洗浄ノズルの前記所定範囲の移動は、回転運動、円弧運動、直線運動の何れかとしたことを特徴とする請求項1に記載の人体局部洗浄装置。
【請求項3】
前記給水制御弁の前記所定範囲の移動は、弾性に抗してなされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の人体局部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−249671(P2006−249671A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63650(P2005−63650)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】