説明

人体局部洗浄装置

【課題】 温水持続時間を従来よりも長くして快適に使用できる整流手段を有する温水タンクを備える人体局部洗浄装置を提供すること。
【解決手段】 人体局部洗浄装置1は、給水源60から水が供給され、温水を生成する温水タンクユニット2と、人体局部に温水タンクユニット2で生成された温水を噴射する洗浄ノズル3と、を備え、温水タンクユニット2は、給水源60から供給された水を蓄え、水の流入口21を下部に、温水の流出口22を上部に、形成する温水タンク20と、温水タンク20内の流入口21から流入した水を加熱するシーズヒータ30と、前記温水タンク内で加熱された温水の温度を調節するサーミスタ40と、温水タンク20内の下部に設けられ、流入口21からタンク20内へ流入する水の速度および方向を調整するためのボトムプレート50と、を有し、ボトムプレート50は、水と温水との境界を温水タンク20の流出口22に向けて押し上げるための上方向開口部51と水平方向開口部52とを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水タンク内で温水を生成して人体局部に温水を噴射する人体局部洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の人体局部洗浄装置では、洗浄ノズル(洗浄手段)と、貯湯タンク(温水タンク)と、を備え、温水タンク下部の流入口から取り込まれた水が温水タンクの底部に沿って水平方向に広がり、温水タンクの下層側の水が上層側の温水を押し上げ可能にする整流ユニット(整流手段)を温水タンク内に配置しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の人体局部洗浄装置では、貯留した温水を外部へ吐出する温水タンク(温水タンクユニット)において、温水を貯留するタンク本体(温水タンク)と、温水タンク内の下部に配置された電熱ヒータ(温水ヒータ)と、温水タンク内の上部に配置されたサーミスタ(温度調節手段)と、を備え、温水の一部を撹拌することなく押し上げて出水管(流出口)から吐出させるために、温水タンクの一隅部の下方に配置した入水管に、温水タンク底面に向けた入水口と下端側方に温水タンク他隅部に向けて形成された入水口(水平方向開口部)を有する入水管(整流手段)を温水タンクユニット内に配置しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−294804号公報
【特許文献2】特開平9−279661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザーまたは販売者からは、洗浄手段から適温の温水を人体局部へ噴射させる時間(温水持続時間)を長くして快適に使用できるようにする温水タンクユニットを備える人体局部洗浄装置が求められている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の整流手段では、温水タンク底面の一隅に設置された箱状の整流手段から温水タンクの底面に平行な方向に水が流入する。これにより、整流手段の上方向に溜まっている温水は温水タンク内に流入した水の流れの死角となり、流入した水を以ってしても流出口へ押し出されることが阻害されその場に滞留し、洗浄手段から噴射され難いと云う問題がある。また、整流手段から温水タンク内に水が流入する方向が1方向なため、温水タンク内面に形成された水の流入口と流出口の間で、最も抵抗が少なく短い距離の領域を通ろうとする水の流路(流束)が形成され易い。これにより、流束以外の領域の温水も同様に滞留し、洗浄手段から噴射され難いため、適温な温水を人体局部へ噴射できる時間が短くなる、と云う問題がある。
【0007】
特許文献2の整流手段では、水の流入口がタンク底面に直角に向けた方向とタンク底面に沿った2つの方向に向けて設けられている。これにより、流入した水が流入口と相対する壁面に当てられ、底壁面に沿った流れを形成し、流出口に向けて押し上げられるが、水が壁面に反射されるため充分に減速されず、流束が形成され易い。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、温水持続時間を長くして快適に使用できる整流手段を有する温水タンクを備える人体局部洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の課題解決手段は、給水源から水が供給され、温水を生成する温水タンクユニットと、人体局部に前記温水タンクユニットで生成された温水を噴射する洗浄手段と、を備えた人体局部洗浄装置であって、前記温水タンクユニットは、前記給水源から供給された水を蓄え、水の流入口を下部に、温水の流出口を上部に、形成する温水タンクと、前記温水タンク内の前記流入口から流入した水を加熱する温水ヒータと、前記温水タンク内で加熱された温水の温度を調節する温度調節手段と、前記温水タンク内の下部に設けられ前記流入口から前記温水タンク内へ流入する水の速度および方向を調整するための整流手段と、を有し、前記整流手段は、水と温水との境界を前記温水タンクの前記流出口に向けて押し上げるための上方向開口部と、水平方向開口部と、から構成される。
【0010】
また、本発明の第2の課題解決手段は、前記上方向開口部と、前記水平方向開口部と、が各々複数の孔から構成される。
【0011】
また、本発明の第3の課題解決手段は、前記開口部の前記上方向開口部の総面積と前記水平方向開口部の総面積と、の開口面積比を1:1.2〜1:4.3とした構成である。
【0012】
また、本発明の第4の課題解決手段は、前記流入口と前記温水ヒータとの間に前記整流手段を配置した構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の人体局部洗浄装置では、整流手段の上方向開口部と水平方向開口部とによって流入口から温水タンクに流入する水の流速を落とし、整流手段の上方向と水平方向の2方向から温水タンク内で生成された温水の層の下部に向かって水が流入する。水を2方向に流入させたことによって整流手段の上方向と水平方向のどちらにも温水が滞留する死角が形成されないため、両死角の温水を無駄なく押し上げて活用することが出来る。更に、2方向に流入させたことによって、温水と水とで形成される上下の層の境界を崩さない程度に均一に温水タンクの流出口に向けて温水を押し上げるため、温水が滞留する死角が形成され難い。これにより、人体局部洗浄装置は、温水タンク内の温水を従来よりも無駄なく活用することが出来、水と温水との境界を維持しつつ均一に、整流手段の上方向と水平方向の全方向で、温水タンクの流出口に向けて温水タンク内の温水を押し上げ、洗浄手段から噴射させて活用することが出来る。したがって、人体局部洗浄装置は、温水タンク内の温水の滞留を抑制することで、従来と比べ洗浄手段から適温の温水を人体局部へ噴射させる時間が長くなるため、使用者が快適に使用できる。
【0014】
また、本発明の人体局部洗浄装置では、整流手段の上方向開口部と水平方向開口部を各々複数の孔から構成することで、押し上げる水を分散化させて水と温水との境界をより均一に押し上げることが出来る。これにより、流束の形成と、流束以外の領域に滞留する温水の死角の形成を、更に低減することが出来る。更に、温水と水とで形成される上下の層の境界を崩さない程度に均一に温水タンク内の温水を流出口に向けて押し上げることが出来る。
【0015】
また、本発明の人体局部洗浄装置では、整流手段の上方向開口部の総面積と水平方向開口部の総面積と、の開口面積比を1:1.2〜1:4.3にすることで、上方向の水の流量よりも水平方向の水の流量を多くすることが出来る。これにより、水平方向開口部から温水タンク内に流入した水と温水との境界が上方向開口部から温水タンク内に流入した水と温水との境界に追い付きつつ、温水と水とで形成される上下の層の境界を崩さない程度に、水平方向と上方向の境界を流出口に向けて均一に押し上げることが出来、温水を無駄なく活用することが出来る。
【0016】
また、本発明の人体局部洗浄装置では、整流手段を流入口と温水ヒータの間に配置することで、整流手段から温水ヒータに向けて水を流すことが出来る。これにより、温水ヒータによって生成された温水の層の最下面から温水を無駄なく活用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の人体局部洗浄装置の内部の斜視図である。
【図2】本発明の人体局部洗浄装置の温水ヒータと、温度調節手段と、整流手段と、を示した温水タンクユニットの、I−I断面図である。
【図3】水の流入口と、温水の流出口と、を示した温水タンクの、正面図である。
【図4】上方向開口部と、水平方向開口部と、を有する整流手段の、流入口側から見たIII矢視図である。
【図5】上方向開口部と、水平方向開口部と、を有する整流手段の、流入口と温水ヒータの中間側から見たIII矢視図である。
【図6】整流手段を示した、温水タンクのIV−IV断面図である。
【図7】上方向の総面積と水平方向の総面積との開口面積比と、温水持続時間と、の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明による実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
まず、人体局部洗浄装置1の構成について、説明する。
【0020】
図1は、温水タンクユニット2と、洗浄ノズル3(洗浄手段)と、を有する人体局部洗浄装置1の内部の斜視図である。人体局部洗浄装置1の内部の、図面に向かって中央奥に容量5.5×10mmの温水タンクユニット2が設置され、人体局部洗浄装置1の内部の図面中央部に洗浄ノズル3が設置されている。なお、図1では洗浄ノズル3は水道60(給水源)の水圧で伸縮可能なノズルである。なお、洗浄ノズル3は、温水を噴射する孔と云った別の手段で代用することも可能である。また、水道60は、加圧ポンプと云った別の手段で代用することも可能である。
【0021】
図2は、温水タンクユニット2のI−I断面図である。温水タンクユニット2は、安価で量産可能なポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で成形された温水タンク20と、温水タンク20の下部に、水との間で漏電を発生させないための外筒を有するシーズヒータ30(温水ヒータ)と、を有する。更に、温水タンクユニット2は、シーズヒータ30と温水タンク20内側の上部に形成された温水の流出口22との間で、図面の右中央部に示すようにシーズヒータ30の鉛直上方から外れた温水タンク20の側壁部に、サーミスタ40(温度調節手段)と、を有する。サーミスタ40は、銅系合金等で成形された熱伝導性が高く温水タンク20内の水との間で漏電を発生させないための外筒を有する。更に、サーミスタ40はその検出温度に応じてシーズヒータ30の出力を制御する制御回路41(図1参照)と組み合わせて、温水タンク20内で生成される温水の温度調節手段を構成する。更に、温水タンクユニット2は、温水タンク20内側の下部に形成された水の流入口21とシーズヒータ30との間に、安価で量産可能なポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で成形されたボトムプレート50(整流手段)と、を有する。ボトムプレート50は、流入口21の10mm上にボトムプレート50の天井の下面が位置するように温水タンク20の下部に取り付けられる。この際、ボトムプレート50は、ボトムプレート50の天井に形成されたφ5mmの固定用孔53に温水タンク20の底面に形成されたφ3〜4.5mm高さ27mmのボス23を挿入する。この際、ボス23には流入口21の10mm上にボトムプレート50の天井の下面が位置するように、ボトムプレート50の天井の下面を支える受け面が段差として設けられている。更に、ボトムプレート50をボス23に挿入した後に、ボス23の頭部を熱カシメで潰してネジ頭状に変形させるための潰し代として、ボス23がボトムプレート50の天井の上面から4mm出るようにボス23に段差を設けている。なお、シーズヒータ30は、釉薬等の漏電防止手段を有するセラミックヒータや融点の高いステンレス鋼をプレス成形した外筒を有するシーズヒータ30と云った別の手段で代用することも可能である。また、サーミスタ40は、銅系合金等でプレス成形された熱伝導性が高く温水タンク20内の水との間で漏電を発生させないための外筒を有するバイメタルから成る温度制御手段と云った別の手段で代用することも可能である。
【0022】
図3は、水の給水口24と、温水の吐出口25と、を外側から示した温水タンク20の、正面図である。温水タンク20の下部には水道60から供給された水を温水タンク20に流入するためにφ5.2mmの給水口24を形成している。温水タンク20の上部には温水タンク20から洗浄ノズル3へ温水を流出するためにφ4mmの流出口22を通してφ4mmの吐出口25を、形成している。なお、給水口24と、流出口22と、吐出口25の大きさは、洗浄ノズル3から人体局部へ噴射させる温水の流量の増減要望に応じて適宜定まる。
【0023】
図4は、上方向開口部51と、水平方向開口部52と、を有するボトムプレート50の、流入口21側から見たII矢視(図6参照)図である。ボトムプレート50の天井には上方向開口部51を、ボトムプレート50の側面には水平方向開口部52を、形成している。上方向開口部51は、φ4mmの孔を9個並べた複数の貫通孔から成り、ボトムプレート50と一体化している。なお、上方向開口部51を、φ3〜5mmの孔とすることも可能である。更に、上方向開口部51は、スリット状の切欠き代用することも可能である。更に、上方向開口部51を切欠き形状とし、温水タンク20の側壁面と挟むことで孔を形成することも可能である。また、ボトムプレート50の水平方向開口部52を幅4mm高さ5mmのスリット状の切欠き5本で形成した形状としている。更に、図4では見えない面にスリット状の切欠きを6本形成し、合計11本形成している。これにより、ボトムプレート50を射出成形する際には、水平方向開口部52をアンダーカット形状にする必要が無くなり、成形型を複雑で高価且つ壊れ易いスライド型にする必要が無くなる。また、温水タンク20にボトムプレート50を固定するために、温水タンク20に形成されたボス23を挿入可能なφ5mmの固定用孔53をボトムプレート50の天井に形成している。
【0024】
図5は、上方向開口部51と、水平方向開口部52と、を有するボトムプレート50のIII矢視(図6参照)図である。ボトムプレート50の天井には上方向開口部51を、ボトムプレート50の側面には水平方向開口部52を形成している。シーズヒータ30に面する方向にも水平方向開口部52が幅4mm高さ5mmのスリット状の切欠き
6本で、形成されている。なお、図4および図5において、上方向開口部51と、水平方向開口部52と、にはボトムプレート50の内側あるいは外側あるいはその両方にC面形状あるいはR面形状の面取りを設けることも可能である。これにより、両開口部51、25での圧力損失を低減出来る。
【0025】
図6は、温水タンク20のIV−IV断面図である。ボトムプレート50を温水タンク20の流入口21とシーズヒータ30の間に配置する。更に、ボトムプレート50から
4mm突き出たボス23の頭部を熱カシメすることで、ボス23の頭部を変形させて、ボトムプレート50をボス23に固定させる。この際、ボトムプレート50の取り付け位置と高さを決められるようにボス23の途中にあらかじめボトムプレート50の受け部となる段差を有するように、温水タンク20を成形する。同様にボス23の頭部を潰すことで固定で出来るように、温水タンク20をボトムプレート50に挿入した際にボス23の一部がボトムプレート50よりも潰し代として4mm上に出るように、温水タンク20を成形する。また、ボトムプレート50を、シーズヒータ30の下面から温水を押し上げられるようにシーズヒータ30と重ならないようにシーズヒータ30の横に配置する。
【0026】
図7は、ボトムプレート50の上方向開口部51の総面積と水平方向開口部52の総面積との間の開口面積比と、温水持続時間と、の関係を試験確認した結果のグラフである。このグラフでは、縦軸を温水持続時間、横軸を開口面積比、として示している。但し、横軸の開口面積比は、上方向開口部51の総面積Aと水平方向開口部52の総面積Bとの開口面積比を、両者を合わせた全開口面積比に占める水平方向開口部52の総面積Bの割合(B/(A+B))で示している。
【0027】
以下に、本発明の人体局部洗浄装置1の、温水タンク20の中での水の流れと温水タンクユニット2に内蔵される各部品の動作について、説明する。
【0028】
本発明の実施例の人体局部洗浄装置1では、水道60から供給された水が流速約1×10mm/s流量約8.3×10mm/sで流入口21から温水タンクユニット2の中に流入し、温水タンクユニット2の中で適温に加熱された後に水道60の水圧によって洗浄ノズル3へ押し出される。これにより、洗浄ノズル3から適温の温水が人体局部に噴射され、人体局部を快適に洗浄することができる。
【0029】
以下に、温水タンク20内での水の流れについて詳述する。
【0030】
水道60から供給された水は、温水タンク20の下部に形成された流入口21を通過し、温水タンク20の下部に設けられたボトムプレート50に形成された上方向開口部51と、水平方向開口部52と、を約2.5×10mm/sの流速で通過する。ここで、上方向開口部51と、水平方向開口部52と、は各々の総面積比が1:1.2〜1:4.3となるように形成されている。その後、通過した水は、シーズヒータ30によって温水タンク20内に生成された温水の層の下面に至る。その後、通過した水は、温水タンク20内に生成された温水の層と流入した水の層の境界を崩さない程度の約1mm/sの流速で均一に温水タンク20の流出口22に向けて温水の層を押し上げる。その後、通過した水は温水タンク20の吐出口25を通って洗浄ノズル3から人体局部に温水を噴射させる。
【0031】
以下に、本発明の人体局部洗浄装置1の効果について、説明する。
【0032】
本発明の人体局部洗浄装置1の温水タンク20では、上方向開口部51と水平方向開口部52によって水を温水タンク20内へ流入させるため、ボトムプレート50の上方向と水平方向のどちらにも温水の滞留となる死角が従来よりも形成され難い。これにより、両領域の温水を従来よりも無駄なく押し上げて活用することが出来る。更に、ボトムプレート50の上方向開口部51と水平方向開口部52によって2方向に水を温水タンク20内へ流入させるため、従来よりも流束を形成し難く出来る。更に、給水口24の開口面積に対して、上方向開口部51と水平方向開口部52の総開口面積は約4倍と広く、このことからも温水と水とで形成される上下の層の境界を崩さない程度に水の流速を均一に落とすことが出来る。これらの作用により、温水と水とで形成される上下の層の境界を従来よりも崩さない程度に均一に温水タンク20の流出口22に向けて温水を押し上げる。更に、温水タンク20内の温水を従来よりも無駄なく洗浄ノズル3から噴射させ、温水持続時間を長くして快適に使用することが可能になる。なお、上方向開口部51と、水平方向開口部52と、にC面形状あるいはR面形状の面取りを設けることで両開口部51、52での圧力損失を低減することも出来る。
【0033】
また、ボトムプレート50の上方向開口部51の総面積と水平方向開口部52の総面積との開口面積比を0.55(1:1.2)〜0.81(1:4.3)とすることで温水持続時間を50秒以上にすることが出来る。特に、開口面積比を0.67(1:2)に設定することで最良の温水持続時間54sを得ることが出来る。通常、人体局部の汚れを洗い落とすために必要な温水の噴射時間は2〜5秒程度である。臀部を前後左右に動かしながら念入りに洗浄すると15秒程度になる。一方、標準的な4人家族で人体局部洗浄装置1を使用した場合、50sと云う温水持続時間は、前の使用者のすぐ後に次の使用者が使用して、4人が快適に人体局部洗浄装置1を使用出来るぎりぎりの時間である。そこで、温水持続時間を、50sから1sでも長くすることが望まれる。但し、次の使用者がすぐに入ってきても前の使用者との入れ替わり時間および用便時間に約60秒以上の時間を要するため、その間に、前の使用者が使用して温水に置き換わった流入水を加熱することは可能である。
【0034】
また、人体局部洗浄装置1は、ボトムプレート50と、上方向開口部51と、水平方向開口部52と、を一体化することで、ボトムプレート50と、上方向開口部51と、水平方向開口部52と、を一体成形することが可能になる。これにより、温水タンク20の形状やサイズの変更要望が発生した場合には、各温水タンク20形状に合わせたボトムプレート50形状と、上方向開口部51と水平方向開口部52の開口部形状と、を有するボトムプレート50を用意することが出来る。これにより、いろいろな温水タンク20の形状変更要望に対応が可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 人体局部洗浄装置
2 温水タンクユニット
3 洗浄ノズル(洗浄手段)
20 温水タンク
21 流入口
22 流出口
30 シーズヒータ(温水ヒータ)
40 サーミスタ(温度調節手段)
50 ボトムプレート(整流手段)
51 上方向開口部
52 水平方向開口部
53 固定用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源から水が供給され、温水を生成する温水タンクユニットと、
人体局部に前記温水タンクユニットで生成された温水を噴射する洗浄手段と、
を備えた人体局部洗浄装置であって、
前記温水タンクユニットは、
前記給水源から供給された水を蓄え、水の流入口を下部に、温水の流出口を上部に、形成する温水タンクと、
前記温水タンク内の前記流入口から流入した水を加熱する温水ヒータと、
前記温水タンク内で加熱された温水の温度を調節する温度調節手段と、
前記温水タンク内の下部に設けられ、前記流入口から前記タンク内へ流入する水の速度および方向を調整するための整流手段と、を有し、
前記整流手段は、水と温水との境界を前記温水タンクの前記流出口に向けて押し上げるための上方向開口部と水平方向開口部とを形成する、
人体局部洗浄装置。
【請求項2】
前記上方向開口部と前記水平方向開口部とは、各々複数の孔から成ることを特徴とする、請求項1に記載の人体局部洗浄装置。
【請求項3】
前記上方向開口部の総面積と、前記水平方向開口部の総面積と、の開口面積比が1:2であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の人体局部洗浄装置。
【請求項4】
前記整流手段を前記流入口と前記ヒータの間に配置したことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人体局部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−202169(P2012−202169A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69813(P2011−69813)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】