説明

人体局部洗浄装置

【課題】 従来と比べて部品点数と操作部の組み立て工数とが少なく、ベースカバーの操作部の有り/無しに係わらずベースカバーの袖部裏をベースプレートで蓋をする必要がなく、ベースプレートは袖部無しの1種類で対応が可能な人体局部洗浄装置を提供すること。
【解決手段】
人体局部洗浄装置1は、人体局部を洗浄する洗浄ノズル11が設けられるベースプレート10と、ベースプレート10と組み合わされて洗浄ノズルを覆い、袖部21を有するベースカバー20と、ベースカバー20の袖部21の表面の貼付け面23に貼付けられ、操作部31を有するメンブレンスイッチ30とを備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体局部の洗浄、乾燥、脱臭等の機能を操作する操作部をベースカバーの袖部に備える人体局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、図5の人体局部洗浄装置40がある。人体局部洗浄装置40は、ベースカバー41と、ベースプレート42と、操作部43と、を備える。ベースカバー41は、袖部44を備え、袖部44には操作部43が設けられる。操作部43は、袖部44の内部に設けられスイッチを有する操作基板45と、袖部44の表面に貼り付けられる操作銘板46と、を備える構成である。操作基板45は、ネジ47によりベースカバー41の袖部44の内部に取り付けられる。人体局部洗浄装置40は、ベースカバー41の袖部44の内部に操作基板45を備えるため、操作基板45への水、洗剤、ゴミの浸入防止、使用者等の操作基板45への接触防止、を目的に、ベースカバー41の袖部44の裏側をベースプレート42の袖部48で蓋をする構成である。
【0003】
また、便器と、便器上に載置される便座と、人体局部を洗浄する洗浄手段と、洗浄手段を備えたベースカバーとベースプレートとを有する本体と、本体の操作部近傍に開口された開口部と、開口部に係合可能なスイッチカバーと、操作部下方にはスイッチが配設された操作基板と、本体と一体成形されたキートップと、を備え、キートップの押圧によりスイッチが切換可能とする人体局部洗浄装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−129750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来技術の人体局部洗浄装置では、人体局部洗浄装置の操作部を組み立てるのに、ベースカバーの袖部内部に操作基板を取り付けて、ベースカバーの袖部表面に操作銘板であるフィルムを貼り、ベースプレートでベースカバーの袖部裏を蓋をする必要があり、部品点数が多く組み立て工数がかかる問題がある。また、ベースカバーの操作部の有り/無しに応じて、ベースプレートも袖部有り/無しの2種類を用意する必要がある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、従来と比べて部品点数と操作部の組み立て工数とが少なく、ベースカバーの操作部の有り/無しに係わらずベースカバーの袖部裏をベースプレートで蓋をする必要がなく、ベースプレートは袖部無しの1種類で対応が可能な人体局部洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の課題解決手段は、人体局部を洗浄する洗浄手段が設けられるベースプレートと、前記ベースプレートと組み合わされて前記洗浄手段を覆い、袖部を有するベースカバーと、前記ベースカバーの前記袖部の表面に貼付けられ、操作部を有するメンブレンスイッチとを備える構成である。
【0008】
また、本発明の第2の課題解決手段は、前記ベースカバーは、前記メンブレンスイッチからの配線を前記ベースカバーの内部に通す配線通し穴を有する構成である。
【0009】
また、本発明の第3の課題解決手段は、前記ベースカバーは、前記袖部の内部に補強リブを有する構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の人体局部洗浄装置では、操作部を有するメンブレンスイッチは、ベースカバーの袖部の表面に貼付けられる構成で、ベースカバーの袖部内部にはスイッチが配設された操作基板等が無く、ベースカバーの外側から取り付けることが可能である。また、操作基板への水等の浸入防止、使用者等の接触防止を目的に、ベースカバーの袖部裏をベースプレートで蓋をする必要がない。また、ベースプレートは、袖部無しの1種類でよい。これにより部品点数の削減と部品の共通化により、組み立て工数と型費とを削減でき、従来と比べてコスト低減効果が得られる。さらに、ベースカバーの袖部内部には、操作基板等が無いので、袖部を薄くすることが可能で、袖部形状のデザインの自由度が高まり、意匠性が向上する。
【0011】
また、ベースカバーは、メンブレンスイッチからの配線をベースカバーの内部に通すための配線通し穴を有するため、ベースカバーの外側にあるメンブレンスイッチの洗浄、乾燥、脱臭等の操作を、ベースカバーの内部の制御基板に伝えることができる。
【0012】
また、ベースカバーの袖部内部は、補強リブを有する構成のため、ベースカバーの袖部裏をベースプレートで蓋をしなくても、ベースカバーの袖部強度を維持でき、使用者が操作部を操作する際のベースカバー袖部の撓み、捩れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の人体局部洗浄装置の組立図である。
【図2】本発明のベースカバーの袖部表側からの斜視図である。
【図3】本発明のベースカバーの袖部裏側からの斜視図である。
【図4】本発明のメンブレンスイッチの操作部の構成を示す断面図である。
【図5】従来の人体局部洗浄装置の組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の人体局部洗浄装置1の組立図である。人体局部洗浄装置1は、図示しない便器本体に載置されるベースプレート10と、ベースプレート10と組み合わされ袖部を有するベースカバー20と、ベースカバー20の袖部21の表面に貼付けられるメンブレンスイッチ30とから構成される。
【0016】
ベースプレート10には、人体局部を洗浄する洗浄ノズル11(洗浄手段)や、洗浄、乾燥、脱臭等を制御する図示しない制御基板が設けられる。ベースカバー20は、洗浄ノズル11と制御基板を覆うようにベースプレート10と一体に組み合わされる。メンブレンスイッチ30は、洗浄、乾燥、脱臭等の操作部31が設けられ、ベースカバー20の袖部21の貼付け面23にベースカバー20の外側から貼付けられる。メンブレンスイッチ30は、ベースカバー20の内部の制御基板と接続する配線32を備える。
【0017】
図2は、本発明のベースカバー20の袖部21の表側からの斜視図である。ベースカバー20は、ベースカバー20の袖部21の表側に貼付け面23を有し、貼付け面23の袖部21の付け根付近には、メンブレンスイッチ30からの配線32をベースカバーの内部の制御基板が設けられる空間と連通する配線通し穴22が形成される。配線通し穴22は、メンブレンスイッチ30が貼付け面23に張付いた状態では、使用者から視認できない位置に設けられる。配線通し穴22と配線32との間は、接着剤24で封止される構造である。
【0018】
図3は、本発明のベースカバー20の袖部21の裏側からの斜視図である。ベースカバー20の袖部21の内部は、格子状の補強リブ25を備える。ベースカバー20は樹脂製で、配線通し穴22と補強リブ25はベースカバー20が樹脂成形される際に一体で設けられる。袖部21の内部は、スイッチが配設された操作基板等を備えない構成である。ベースカバー20の裏側は常に開放された状態で、袖部21の裏側からは補強リブ25が視認可能であるが、通常使用の袖部21の表側からは補強リブ25は視認不可である。また、配線通し穴22は、貼付け面23とベースカバー20の内部の制御基板が設けられる空間とをダクト状に繋ぐ形状のため、袖部21の裏側から配線32は視認不可である。
【0019】
図4は、本発明のメンブレンスイッチ30の構成を示す断面図である。メンブレンスイッチ30は、上部接点シート33と下部接点シート34との間にスペーサー35を挟んで貼合わせた構成である。上部接点シート33の全面は、ポリエステル製でエボンス加工され、使用者が洗浄、乾燥、脱臭等の操作を行う操作銘板シート36が貼合わされる。また、下部接点シート34の全面は、粘着シート37が貼合わされる。メンブレンスイッチ30は、表面全体を操作銘板シート36で覆われるため、防水性、防塵性に優れる。
【0020】
使用者がエボンス加工された洗浄、乾燥、脱臭が表示された操作銘板シート36を押圧すると、操作銘板シート36は弾性変形して上部接点シート33を下部接点シート34方向に変位する。そして上部接点シート33の接点38と下部接点シート34の接点39が接触して導通状態になる。使用者が操作銘板シート36から手を離すと、操作銘板シート36は押圧前の形状に戻り、上部接点シート33の接点38と下部接点シート34の接点39が離れて絶縁状態になる。このときの導通/絶縁状態の信号が配線32により制御基板に送られる。
【0021】
次に人体局部洗浄装置1の操作部31の組み立て手順について説明する。メンブレンスイッチ30に設けられた配線32は、配線通し穴22を通り、ベースカバー20の内部でベースプレート10に設けられた制御基板に接続される。配線通し穴22と配線32の間は接着剤24で封止される。メンブレンスイッチ30は、粘着のシート37によりベースカバー20の貼付け面23に外側から貼付けられる。そしてベースカバー20は、洗浄ノズル11を覆うようにベースプレート10に一体に組み付けられる。
【0022】
本発明の人体局部洗浄装置1では、操作部31を有するメンブレンスイッチ30は、ベースカバー20の袖部21の表面の貼付け面23に貼付けられる構成で、ベースカバー20の外側から取り付けることができる。袖部21の内部には、スイッチが配設された操作基板等が無いため、操作基板への水等の浸入防止、使用者等の接触防止を目的に、ベースカバー20の袖部21の裏側をベースプレート10で蓋をする必要がない。よってベースプレート10は、袖部無しの1種類でよい。これにより部品点数の削減と部品の共通化により、組み立て工数と型費とを削減でき、従来と比べてコスト低減効果が得られる。さらに、ベースカバー20の袖部21の内部に操作基板等が無いため、袖部21を薄くすることが可能となり、袖部21のデザインの自由度が高く、意匠性が向上する。
【0023】
また、ベースカバー20は、メンブレンスイッチ30からの配線32をベースカバー20の内部に通すための配線通し穴22を有するため、ベースカバー20の外側にあるメンブレンスイッチ30の操作部31の洗浄、乾燥、脱臭等の操作を、ベースカバー20の内部の制御基板に伝えることができる。配線通し穴22の配線32との間を接着剤24で封止することで、配線通し穴22を通じてベースカバー20の内部のベースプレート10に設けられた制御基板に水等が浸入することを防止できる。
【0024】
また、ベースカバー20の袖部21の内部には、補強リブ25が一体で形成されるため、ベースカバー20の袖部21の裏をベースプレート10で蓋をしなくても、ベースカバー20の袖部21の強度を維持でき、使用者が操作部31を操作する際の袖部21の撓み、捩れを防止できる。
【符号の説明】
【0025】
1 人体局部洗浄装置
10 ベースプレート
11 洗浄ノズル(洗浄手段)
20 ベースカバー
21 袖部
22 配線通し穴
25 補強リブ
30 メンブレンスイッチ
31 操作部
32 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部を洗浄する洗浄手段が設けられるベースプレートと、
前記ベースプレートと組み合わされて前記洗浄手段を覆い、袖部を有するベースカバーと、
前記ベースカバーの前記袖部の表面に貼付けられ、操作部を有するメンブレンスイッチと
を備える人体局部洗浄装置。
【請求項2】
前記ベースカバーは、前記メンブレンスイッチからの配線を前記ベースカバーの内部に通す配線通し穴を有することを特徴とする請求項1に記載の人体局部洗浄装置。
【請求項3】
前記ベースカバーは、前記袖部の内部に補強リブを有することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の人体局部洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−46982(P2012−46982A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190777(P2010−190777)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】