人体洗浄装置
【課題】ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる人体洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、を有する収納部と、を備え、前記ハンドノズルは、前記収納孔に収納された状態において、前記ハンドノズルの先端と、前記収納孔の底面と、が当接しないように支持する支持部を有することを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【解決手段】洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、を有する収納部と、を備え、前記ハンドノズルは、前記収納孔に収納された状態において、前記ハンドノズルの先端と、前記収納孔の底面と、が当接しないように支持する支持部を有することを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明の態様は、一般的に、人体洗浄装置に関し、具体的には被介護者の「おしり」などを水で洗浄する人体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば、洋式腰掛便器に腰掛けた被介護者の「おしり」などを水で洗浄する場合には、温水洗浄便座装置の吐水ノズルを便器内に進出させ、便座に座った被介護者の「おしり」などに向けて水を噴射させる。そうすると、被介護者の局部を洗浄することができる。
【０００３】
しかしながら、排泄の際に、汚物が広い範囲に亘って付着すると、人体局部の洗浄を主な目的とした温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。これは、例えば、臀部（肛門周辺）の筋肉が弱く、その部分の肉が垂れ下がっている高齢者などが排泄を行った場合、あるいは被介護者が、失禁などのように、おむつを含む衣類を着衣した状態で排泄行為を行った場合などが挙げられる。あるいは、被介護者の着座位置がずれている場合にも、温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。
【０００４】
そこで、臀部や陰部の広い範囲を洗浄するために、例えば介護者などが容器を押すことにより洗浄水を任意の位置に吐水できるボトル式の洗浄容器がある。また、臀部や陰部の広い範囲を洗浄可能な携帯型の局部洗浄装置やロータンク一体型あるいは温水洗浄便座一体型の手持ち（ハンド）ノズルなどが提案されている（特許文献１）。
【０００５】
しかしながら、ハンドノズルは、便器の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、ハンドノズルには汚水や汚物が付着するおそれがある。特許文献１に記載された人体洗浄装置では、この点において改善の余地がある。そこで、洗浄ノズルの外周面に洗浄水の一部を流出させ、その洗浄ノズルの外周面を洗浄可能な局部水洗具がある（特許文献２）。
【０００６】
しかしながら、特許文献２に記載された局部水洗具では、洗浄水の一部を洗浄ノズルの外周面に流出させているだけであるため、洗浄ノズルに付着した汚水や汚物を洗い落とすことができないおそれがある。また、汚水や汚物を含んだ洗浄水が、洗浄ノズルの外周面に付着したままとなり、清潔な状態を確保できないおそれがある。なお、ハンドノズルの収納部には、使用開始時にはハンドノズルを容易に取り出すことができ、使用後にはハンドノズルを容易に収納できるといった性能が要求される。
【特許文献１】特開２００３−９３２６３号公報
【特許文献２】特開平７−１９４４９７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる人体洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の一態様によれば、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、を有する収納部と、を備え、前記ハンドノズルは、前記収納孔に収納された状態において、前記ハンドノズルの先端と、前記収納孔の底面と、が当接しないように支持する支持部を有することを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【０００９】
また、本発明の他の一態様によれば、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、前記ハンドノズルが前記収納孔に収納された状態において前記ハンドノズルの先端を支持する突起部と、を有する収納部と、を備えたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の態様によれば、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる人体洗浄装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
第１の発明は、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースの一端に接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、を有する収納部と、を備え、前記ハンドノズルは、前記収納孔に収納された状態において、前記ハンドノズルの先端と、前記収納孔の底面と、が当接しないように支持される支持部を有することを特徴とする人体洗浄装置である。 この人体洗浄装置によれば、ハンドノズルの先端は、収納孔の底面には当接していないため、収納孔に一時貯留された洗浄水は、滞留することなく排水路から排出される。これにより、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる。
【００１２】
また、第２の発明は、第１の発明において、前記支持部は、前記ハンドノズルの外周の少なくとも一部に設けられた鍔部であることを特徴とする人体洗浄装置である。
この人体洗浄装置によれば、ハンドノズルの鍔部は、収納孔への挿入口としての開口部に引っ掛かる。つまり、鍔部は、収納孔への挿入口としての開口部において支持される。そのため、ハンドノズルの先端と、収納孔の底面と、を離間させることができるため、収納孔に一時貯留された洗浄水は、滞留することなく排水路から排出される。これにより、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる。
【００１３】
また、第３の発明は、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、前記ハンドノズルが前記収納孔に収納された状態において前記ハンドノズルの先端を支持する突起部と、を有する収納部と、を備えたことを特徴とする人体洗浄装置である。
この人体洗浄装置によれば、ハンドノズルの先端と、収納部の突起部と、は当接するが、その接触面積は、ハンドノズルの先端が収納孔の底面に接触した場合と比較すると極小である。そのため、収納孔に一時貯留された洗浄水は、滞留することなく排水路から排出される。これにより、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる。
【００１４】
また、第４の発明は、第１〜第３の発明において、前記収納部は、前記収納孔に洗浄水を供給する給水路をさらに有することを特徴とする人体洗浄装置である。
この人体洗浄装置によれば、ハンドノズルではなく別に設けた給水路から洗浄水を収納孔に供給できるため、例えば、ハンドノズル内に設けられた開閉弁を開閉させることなく、人体洗浄装置のケーシング内に設けられた給水弁などを開閉させるだけで洗浄水を収納孔に供給できる。
【００１５】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、本発明の実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
また、図２は、本実施形態のハンドノズルを表す斜視模式図である。
【００１６】
図１に表したトイレ装置は、洋式腰掛け便器（以下、説明の便宜上、単に「便器」と称する）５００と、その上に設けられた人体洗浄装置１００と、便蓋３００と、便座４００と、を備える。便蓋３００および便座４００は、例えば人体洗浄装置１００に対して開閉自在に軸支されている。また、便器５００の洗浄機構としては、いわゆる「ロータンク式」でもよく、あるいはロータンクを用いない「水道直圧式」であってもよい。
【００１７】
本実施形態にかかる人体洗浄装置１００は、水を加熱する熱交換器１１０と、熱交換器１１０からの水を導水するホース１２０と、ホース１２０の一端に取り付けられたハンドノズル１３０と、ハンドノズル１３０を収納する収納部１６０と、を有する。熱交換器１１０は、人体洗浄装置１００のケーシング１０１内に設けられたタンクと、その中に貯留された水を加熱する図示しないヒータと、を有する。そして、熱交換器１１０により加熱された洗浄水は、ホース１２０を介してハンドノズル１３０に供給される。
【００１８】
なお、本発明は、タンクに貯留された水をヒータで加熱する、いわゆる「貯湯式」の熱交換器１１０を有するものには限定されない。例えば、供給された水を瞬間的に温めて送出する、いわゆる「瞬間式」の熱交換器１１０を有するものも、本発明の範囲に包含される。また、本願明細書において「水」という場合には、加熱されたお湯も含むものとする。
【００１９】
また、本実施形態にかかる人体洗浄装置１００は、便座４００への被介護者の着座を検知する着座センサ１７０と、トイレ室への被介護者の入室を検知する入室検知センサ１８０と、制御部１５０と、をさらに有する。着座センサ１７０および入室検知センサ１８０としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。なお、焦電センサは、被介護者の接近を迅速に検知できる点で入室検知センサ１８０により適している。そして、着座センサ１７０は、便座４００への被介護者の着座を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。これと同様に、入室検知センサ１８０は、トイレ室への被介護者の入室を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。
【００２０】
ハンドノズル１３０は、洗浄水の吐水および止水を切り替える開閉弁１３９（図３参照）と、開閉弁１３９を開閉させる操作部１３１と、先端部に設けられた吐水部１３６と、有する。吐水部１３６には、洗浄水を吐水可能な吐水口１３５が設けられている。操作部１３１は、軸１３２において回動自在に軸支されており、その裏面側には開閉スイッチ１３３が設けられている。開閉スイッチ１３３は、図示しないばね等により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。これと同様に、操作部１３１は開閉スイッチ１３３により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。
【００２１】
例えば、介護者などが操作部１３１を矢印Ａの方向に押すと、開閉スイッチ１３３は操作部１３１により矢印Ａの方向に押される。そうすると、ハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９が開放され、洗浄水が吐水口１３５から噴射される。
一方、介護者などが操作部１３１から手を離すと、操作部１３１および開閉スイッチ１３３は、矢印Ａとは反対方向に付勢されているため、矢印Ａとは反対方向に押し上げられる。そうすると、開閉弁１３９は閉止され、吐水口１３５からの洗浄水の噴射は停止される。
あるいは、開閉弁１３９は、制御部１５０からの制御信号により適宜開閉することも可能である。
【００２２】
収納部１６０は、その上面に設けられた開口部１６１と、その内部に設けられた収納孔１６３と、ハンドノズル１３０の吐水口１３５からの水を外部へ排出する排水路１６５と、を有する。ハンドノズル１３０は、使用されていないときには、その収納部１６０に収納されている。より具体的には、ハンドノズル１３０の少なくとも一部は、開口部１６１から挿入され、収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３に収納されている。なお、収納部１６０は、図１に表したように、便器５００に付設されていてもよいし、あるいは便器５００に付設されていなくともよい。
【００２３】
ホース１２０は、その一端においてハンドノズル１３０に接続され、その他端においてケーシング１０１に接続されている。また、ホース１２０は、図１に表したように、所定の長さを有するため、介護者などはハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ちつつ、少なくとも吐水口１３５の部分を便座４００に座った被介護者の臀部や陰部近傍に移動させることができる。そして、介護者などは、ハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ち、操作部１３１を矢印Ａの方向に押しつつ、便座４００に座った被介護者の臀部や陰部の任意の位置にハンドノズル１３０を移動させて吐水させることにより、臀部や陰部の広い範囲を洗浄できる。また、前述したように、熱交換器１１０はヒータを有するため、本実施形態にかかる人体洗浄装置１００は、加熱された洗浄水を吐水できる。
【００２４】
ここで、ハンドノズル１３０の吐水口１３５は、便器５００の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、吐水部１３６あるいはその近傍には汚水や汚物が付着するおそれがある。ハンドノズル１３０に汚水や汚物が付着したまま収納部１６０に収納され放置されると、汚水や汚物が固着するため衛生上好ましくない。これに対して、本実施形態にかかる人体洗浄装置は、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０の少なくとも吐水部１３６を洗浄できる。ハンドノズル１３０の使用後には、そのハンドノズル１３０は、ほぼ必ず収納部１６０に収納される。そのため、本実施形態にかかる人体洗浄装置は、収納部１６０においてハンドノズル１３０を洗浄することにより、そのハンドノズル１３０を清潔な状態に確保することができる。以下、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０を洗浄する動作について、図面を参照しつつ説明する。
【００２５】
図３は、本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本実施形態のハンドノズル１３０は、図２および図３に表したように、吐水部１３６よりも幅が大きい太幅部（支持部）１３４を有する。太幅部１３４は、吐水口１３５よりもホース１２０側に設けられ、吐水口１３５側からホース１２０側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されている。
【００２６】
一方、収納部１６０の開口部１６１の開口面積は、ハンドノズル１３０の吐水部１３６の最外形よりも大きく、太幅部１３４の少なくとも一部の外形よりも小さい。そのため、ハンドノズル１３０をその先端１３８側から開口部１６１に挿入し、収納部１６０に収納すると、図３に表したように、太幅部１３４の少なくとも一部は収納部１６０の開口部１６１に引っ掛かる。その結果、ハンドノズル１３０は、これよりも収納部１６０の内部には進入できない。
【００２７】
収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３の高さＨは、ハンドノズル１３０が収納された状態、すなわち太幅部１３４が開口部１６１に引っ掛かった状態において、収納部１６０の内部に進入したハンドノズル１３０の部分の長さよりも大きい。つまり、収納部１６０の収納孔１６３の高さＨは、太幅部１３４が開口部１６１に支持された状態において、ハンドノズル１３０の先端１３８が収納孔１６３の底面１６２に当接しないように適宜設定されている。
【００２８】
そして、収納部１６０に設けられた図示しない赤外線投光式センサやリミットスイッチなどと呼ばれる開閉式スイッチが、収納部１６０に収納されたハンドノズル１３０を検知すると、制御部１５０はハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９を開放し吐水口１３５から洗浄水を吐水させる。そうすると、吐水口１３５から吐水された洗浄水６１０は、図３に表したように、収納孔１６３に一時貯留される。つまり、吐水口１３５から吐水された洗浄水６１０が、収納孔１６３に一時貯留されるように、排水路１６５の形状が適宜設定されている。
【００２９】
洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されると、図３に表したように、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０に浸される。そうすると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０により洗浄される。
【００３０】
このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から便器５００内に排出される。なお、排水路１６５から流出した洗浄水６１０は、必ずしも便器５００内に排出されなくともよく、例えば排水路１６５の先端あるいは先端近傍に設けられた図示しない受け皿などの容器に排出されてもよい。
【００３１】
そのため、洗浄水６１０により洗い落とされた汚水や汚物が、ハンドノズル１３０の吐水部１３６あるいはその近傍により進路を遮られるおそれは少なく、再び吐水口１３５の部分に付着するおそれは少ない。また、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、ハンドノズル１３０の先端１３８と、収納孔１６３の底面１６２と、の間を円滑に流れるため、洗浄性を向上させることができる。これにより、本実施形態にかかる人体洗浄装置１００は、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００３２】
なお、赤外線投光式センサや開閉式スイッチの検知結果に基づいて、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。例えば、介護者などがハンドノズル１３０を収納した後に、介護者自身が操作部１３１を操作して吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水させてもよい。あるいは、介護者などが、図示しないリモコンに設けられた洗浄スイッチを操作することにより、制御部１５０が開閉弁１３９を開放し、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水させてもよい。
【００３３】
一方、吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水する場合には、制御部１５０のタイマ制御機能を利用できる。制御部１５０は、タイマ制御機能を有し、開閉弁１３９を開放させてから所定時間が経過すると、開閉弁１３９を閉止できる。そうすると、開閉弁１３９を開放させてから所定時間が経過した後に、吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水することができる。
【００３４】
あるいは、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０の透明度を検知する濁度センサなどの検知結果に基づいて、吐水口１３５から洗浄水６１０を止水させてもよい。ハンドノズル１３０に付着した汚水や汚物が洗浄水６１０により洗い落とされると、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０の透明度は低下するが、洗浄水６１０が排水路１６５から排出されるにつれて上昇する。そして、図示しない濁度センサが、洗浄水６１０の透明度が所定値以上に達したことを検知すると、制御部１５０は開閉弁１３９を閉止して吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水することができる。
【００３５】
また、ハンドノズル１３０の太幅部１３４は、吐水口１３５側からホース１２０側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されているが、これだけに限定されるわけではない。たとえば、太幅部１３４は、段差部として形成されていてもよい。これによっても、その段差部が開口部１６１に引っ掛かることで、ハンドノズル１３０の先端１３８は収納孔１６３の底面１６２から離間できる。つまり、ハンドノズル１３０は、その先端１３８が収納孔１６３の底面１６２から離間できるように、収納部１６０に支持され得る形状を有していればよい。
【００３６】
次に、本実施形態の変形例について図面を参照しつつ説明する。
図４は、本実施形態の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本変形例のハンドノズル１３０ａは、図４に表したように、鍔部（支持部）１３４ａを外周に有する。鍔部１３４ａは、吐水口１３５よりもホース１２０側に設けられている。
【００３７】
一方、本変形例の収納部１６０ａの開口部１６１ａの開口面積は、ハンドノズル１３０の吐水部１３６の最外形よりも大きく、鍔部１３４ａの最外形よりも小さい。そのため、ハンドノズル１３０ａをその先端１３８側から開口部１６１ａに挿入し、収納部１６０ａに収納すると、鍔部１３４ａの少なくとも一部は収納部１６０ａの開口部１６１ａに引っ掛かる。その結果、ハンドノズル１３０は、これよりも収納部１６０ａの内部には進入できない。
【００３８】
収納部１６０ａの内部、すなわち収納孔１６３の高さＨは、ハンドノズル１３０が収納された状態、すなわち鍔部１３４ａが開口部１６１ａに引っ掛かった状態において、収納部１６０ａの内部に進入したハンドノズル１３０の部分の長さよりも大きい。すなわち、収納部１６０ａの収納孔１６３の高さＨは、鍔部１３４ａが開口部１６１ａに支持された状態において、ハンドノズル１３０の先端１３８が収納孔１６３の底面１６２に当接しないように適宜設定されている。その他の構造については、図３に関して前述した人体洗浄装置と同様の構造を有する。
【００３９】
本変形例によれば、ハンドノズル１３０ａは、図２および図３に表したような太幅部１３４を有していなくとも、鍔部１３４ａにおいて開口部１６１ａに支持され得る。つまり、ハンドノズル１３０ａは、把持部１３７から吐水部１３６にかけて略同じ幅であっても、鍔部１３４ａを有しているため収納部１６０ａに支持され得る。
【００４０】
そして、図３に関して前述した動作と同様にして、洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０に浸される。そうすると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０により洗浄される。このとき、ハンドノズル１３０ａの先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、本変形例にかかる人体洗浄装置は、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００４１】
なお、鍔部１３４ａは、ハンドノズル１３０ａの全周に亘って設けられていなくともよく、開口部１６１ａに支持され得るようにハンドノズル１３０ａの外周の一部に設けられていればよい。これによれば、ハンドノズル１３０ａの先端１３８を収納孔１６３の底面１６２から離間させることができるため、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００４２】
図５は、本実施形態の他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本変形例の収納部１６０ｂの収納孔１６３の底面１６２には、突起部１６７が設けられている。この突起部１６７は円錐形状を有している。そのため、突起部１６７の断面形状は、図５に表したように三角形となる。そして、突起部１６７は、円錐の頂点が開口部１６１ｂ側を向くように底面１６２に設置されている。
【００４３】
開口部１６１ｂの開口面積は、ハンドノズル１３０ｂの最外形の幅よりも大きい。そのため、ハンドノズル１３０ｂは、開口部１６１ｂによっては支持されない。本変形例のハンドノズル１３０ｂは、収納部１６０ｂに収納されると、図５に表したように、突起部１６７により支持される。つまり、ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｂに収納されると、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８は突起部１６７の頂点に当接する。その他の構造については、図３に関して前述した人体洗浄装置と同様の構造を有する。
【００４４】
本変形例によれば、ハンドノズル１３０ｂは、図３および図４に表したような太幅部１３４や鍔部１３４ａを有していなくとも、底面１６２に設けられた突起部１６７により支持される。このとき、ハンドノズル１３０ｂと開口部１６１ｂとの間には隙間があり、ハンドノズル１３０ｂの収納状態の姿勢が不安定となるおそれがあるため、収納部１６０ｂは、例えば把持部１３７を支持してハンドノズル１３０ｂの姿勢を安定化させる保持部を有することが好ましい。
【００４５】
そして、図３に関して前述した動作と同様にして、洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０に浸される。そうすると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０により洗浄される。このとき、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８は、突起部１６７の頂点には当接しているが、その当接状態は略点接触である。そのため、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８と、突起部１６７と、の接触面積は、先端１３８が底面１６２に接触した場合と比較すると極小である。
【００４６】
これによれば、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、突起部１６７に極小面積でしか接触していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から排出される。そのため、本変形例にかかる人体洗浄装置は、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００４７】
図６は、本実施形態のさらに他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す模式図である。
なお、図６（ａ）は、本変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図であり、図６（ｂ）は、本変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す斜視模式図である。
【００４８】
本変形例の収納部１６０ｃは、収納孔１６３に洗浄水６１０を供給する給水路１６４を有する。また、収納孔１６３の底面１６２には、突起部１６８が設けられている。この突起部１６８は、図６（ｂ）に表したように、三角柱形状を有している。そして、突起部１６８は、その長手方向が給水路１６４から排水路１６５に向かう洗浄水６１０の流れに略並行するように配設されている。つまり、突起部１６８の長手方向は、洗浄水６１０が流れる方向、すなわち図６（ｂ）に表した矢印Ｂに略並行するように配設されている。その他の構造については、図３に関して前述した人体洗浄装置と同様の構造を有する。また、本変形例のハンドノズル１３０ｂは、図５に表したハンドノズル１３０ｂと同様である。
【００４９】
本変形例によれば、ハンドノズル１３０ｂは、収納部１６０ｃに収納されると、底面１６２に設けられた突起部１６８により支持される。つまり、ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｃに収納されると、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８は突起部１６８に当接する。このときの当接状態は、略線接触である。そのため、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８と、突起部１６７と、の接触面積は、先端１３８が底面１６２に接触した場合と比較すると極小である。また、その線接触した線方向は、洗浄水６１０が流れる方向（矢印Ｂ）と略並行している。
【００５０】
そして、収納部１６０に設けられた図示しない赤外線投光式センサや開閉式スイッチが、収納部１６０ｃに収納されたハンドノズル１３０ｂを検知すると、制御部１５０は給水路１６４から洗浄水６１０を収納孔１６３内に供給する。そうすると、給水路１６４から供給された洗浄水６１０は、図６に表したように、収納孔１６３に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８と突起部１６８との当接状態は、略線接触であり、その線接触した線方向は、洗浄水６１０が流れる方向と略並行している。そのため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から排出される。
【００５１】
また、ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｃに収納された状態において、給水路１６４が吐水口１３５の近傍に設けられている場合には、給水路１６４から供給される洗浄水６１０の水勢により、吐水口１３５および吐水部１３６近傍における洗浄性を向上させることができる。これらによれば、本変形例にかかる人体洗浄装置は、ハンドノズル１３０ｂの清潔な状態を確保することができる。また、その他の効果についても、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００５２】
なお、本変形例では、給水路１６４から洗浄水６１０を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、図３〜図５に関して前述した人体洗浄装置と同様に、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水してもよい。一方、図３〜図５に関して前述した人体洗浄装置では、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、本変形例と同様に給水路１６４を設け、その給水路１６４から洗浄水６１０を供給してもよい。
【００５３】
このように、給水路１６４から洗浄水６１０を供給する場合には、制御部１５０は、ハンドノズル１３０、１３０ａ、１３０ｂ内に設けられた開閉弁１３９を開閉させることなく、例えばケーシング１０１内に設けられた給水弁１９０（図９参照）などを開閉させるだけで洗浄水６１０を収納孔１６３内に供給できる。なお、本変形例においても、ハンドノズル１３０ｂと開口部１６１ｃとの間には隙間があり、ハンドノズル１３０ｂの収納状態の姿勢が不安定となるおそれがあるため、収納部１６０ｃは、例えば把持部１３７を支持してハンドノズル１３０ｂの姿勢を安定化させる保持部を有することが好ましい。
【００５４】
図７は、本実施形態のさらに他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本変形例の収納部１６０は、図７に表したように斜めに傾斜した状態で設置されている。すなわち、収納部１６０の開口部１６１は、上方に向かっては開口しておらず、斜め上方に向かって開口している。そのため、ハンドノズル１３０を収納部１６０に挿入し、太幅部１３４が開口部１６１に支持された状態では、ハンドノズル１３０は斜めに傾斜した状態で収納される。その他の構造については、図３に関して前述した人体洗浄装置と同様の構造を有する。
【００５５】
本変形例においても、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から排出される。そのため、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００５６】
また、収納部１６０を斜めに傾斜した状態で設置することができるため、その収納部１６０は、人体洗浄装置のケーシング１０１内に設けられていてもよい。この場合には、介護者などは、ハンドノズル１３０を使用した後に、ケーシング１０１に適宜設けられた挿入口から開口部１６１を通して収納孔１６３にハンドノズル１３０を斜めに挿入できる。この場合であっても、前述したように、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から排出される。
【００５７】
このとき、収納部１６０は、ケーシング１０１内に設けられているため、洗浄水６１０を排水路１６５から便器５００内に排出しやすい。すなわち、収納部１６０が便器５００の外部に設けられている場合には、排水路１６５からの洗浄水６１０を便器５００内に排出するために、便器５００の外部と内部とを連通する水路を設ける必要がある。これに対して、収納部１６０がケーシング１０１内に設けられている場合には、そのような水路を設ける必要はない。そのため、本変形例にかかる人体洗浄装置は、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０を容易に便器５００内に排出できる。なお、本変形例においても、図６に表した給水路１６４を設け、その給水路１６４から洗浄水６１０を供給してもよい。
【００５８】
図８は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる収納部を例示する断面模式図である。 なお、図８（ａ）は、収納部を上方から眺めた断面模式図であり、図８（ｂ）に表したＣ−Ｃ断面図に相当する。また、図８（ｂ）は、収納部の内部を眺めた断面模式図である。
【００５９】
本変形例にかかる収納部１６０ｄは、図８（ａ）および図８（ｂ）に表したように、収納孔１６３ｄの底面１６２ｄ近傍であって、ハンドノズル１３０ｂが収納された状態の吐水口１３５の近傍に湾曲部１６８ｄが設けられている。また、収納孔１６３ｄの内壁面には、溝部１６９ｄが設けられている。なお、ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｄに挿入された際には、吐水口１３５が湾曲部１６８ｄの方向を向くように、ハンドノズル１３０ｂおよび収納部１６０ｄの形状は適宜設定されている。その他の構造については、図３に関して前述した構造と同様である。
【００６０】
ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｄに収納された状態で、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水されると、その洗浄水６１０は、図８（ａ）に表したように、湾曲部１６８ｄに沿うように進路を曲げられる。そして、進路を曲げられた洗浄水６１０は、図８（ｂ）に表したように、溝部１６９ｄに沿うように流れて旋回する。つまり、吐水口１３５から収納孔１６３ｄ内に吐水された洗浄水６１０は、旋回流となり、吐水口１３５および吐水部１３６の周囲を旋回する。
【００６１】
そうすると、ハンドノズル１３０ｂの吐水口１３５および吐水部１３６近傍は、洗浄水６１０の旋回流により洗浄される。これによれば、吐水口１３５および吐水部１３６近傍が洗浄水６１０に浸された場合よりも、洗浄性を向上させることができる。そのため、ハンドノズル１３０のより清潔な状態を確保することができる。なお、本変形例においても、図６に表した給水路１６４を設け、その給水路１６４から洗浄水６１０を供給してもよい。
【００６２】
次に、本実施形態にかかる人体洗浄装置１００の構成の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図９は、本実施形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【００６３】
本実施形態にかかる人体洗浄装置１００では、まず、給水源としての水道から継手１０３を介して、水が給水弁１９０に供給される。給水弁１９０は、熱交換器１１０よりも上流側に設けられ、制御部１５０からの制御信号に応じて開閉できる。給水弁１９０が開放されている場合には、熱交換器のタンクに水が供給され、給水弁１９０が閉止されている場合には、熱交換器のタンクへの水の供給は停止される。
【００６４】
続いて、水道からの水が給水弁１９０を介して熱交換器１１０に供給されると、熱交換器１１０に貯留され加熱されていた洗浄水は、継手１０５を介してホース１２０に供給される。続いて、ホース１２０に供給された水は、ハンドノズル１３０内の開閉弁１３９に供給される。開閉弁１３９が開放されている場合には、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水され、開閉弁１３９が閉止されている場合には、吐水口１３５からの洗浄水６１０は止水される。
【００６５】
そして、開閉弁１３９が開放され、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水されると、その洗浄水６１０は、収納孔１６３に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００６６】
なお、図６に表した給水路１６４を設ける場合には、その給水路１６４と継手１０５とを接続するホース１２５が設けられる。これによれば、制御部１５０が給水弁１９０を開放させることにより、ホース１２５および給水路１６４を介して収納孔１６３に洗浄水６１０を供給することができる。そのため、ハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９を開放させることなく、給水弁１９０を開放させるだけで、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００６７】
なお、本具体例では、水道の圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、ポンプを設けてもよい。これによれば、水道の圧力だけではなく、ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給することができる。
【００６８】
図１０は、本実施形態の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
本変形例にかかる人体洗浄装置１００ａは、図９に表した人体洗浄装置１００に対して、洗浄ノズル２１０と、三方弁１４０と、をさらに備えている。
【００６９】
洗浄ノズル２１０は、図示しない駆動部から伝達される駆動力により、洗浄ノズル２１０の軸方向に直進移動することができる。そして、洗浄ノズル２１０は、本変形例の人体洗浄装置１００ａのケーシング１０１から進退自在に移動できる。洗浄ノズル２１０の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口２１１が設けられている。洗浄ノズル２１０は、便座４００に座った被介護者の「おしり」などに向けて、三方弁１４０を介して供給された水を吐水口２１１から噴射可能とされている。
【００７０】
一方、三方弁１４０は、制御部１５０からの制御信号に応じて、熱交換器１１０から供給された洗浄水の通水方向を切り替えることができる。つまり、三方弁１４０は、熱交換器１１０から供給された洗浄水をハンドノズル１３０側および洗浄ノズル２１０側のいずれか一方に供給できる。ハンドノズル１３０側への洗浄水の供給と、洗浄ノズル２１０側への洗浄水の供給と、は択一的に切り替えられ、洗浄水が同時に両方へ供給されることはない。なお、その他の構成については、図９に表した構成と同様である。
【００７１】
ここで、三方弁１４０は、通常の状態では、熱交換器１１０からの洗浄水をハンドノズル１３０側へ通水するように切り替えられている。つまり、ハンドノズル１３０が収納部１６０に収納された待機状態では、三方弁１４０は、熱交換器１１０からの洗浄水をハンドノズル１３０側へ通水する方向に開放されている。
【００７２】
そのため、この状態において、図３に関して前述したように、開閉弁１３９が開放され、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水されると、その洗浄水６１０は、収納孔１６３に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００７３】
一方、便座４００に座った被介護者や介護者などが、図示しないリモコンに設けられた「おしり洗浄」などのスイッチを押すと、制御部１５０は、三方弁１４０の通水方向を制御し、熱交換器１１０から供給された洗浄水を洗浄ノズル２１０側へ通水させる。そうすると、ハンドノズル１３０からの洗浄水は止水され、洗浄ノズル２１０から洗浄水が噴射される。
【００７４】
本変形例によれば、ハンドノズル１３０だけではなく、洗浄ノズル２１０が設けられた場合であっても、洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されることにより、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。なお、本変形例においても、図９に関して前述したように、ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給してもよい。
【００７５】
図１１は、本実施形態の他の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｂは、図９に表した人体洗浄装置１００に対して、給水タンク２２０と、給水ポンプ２３０と、をさらに備える。
【００７６】
給水ポンプ２３０は、給水タンク２２０に貯留された水を吸い込み、吐出することで、給水弁１９０にその水を供給できる。つまり、図９および図１０に表した人体洗浄装置１００、１００ａは、予め水圧がかかった水道からの水を給水弁１９０に供給していたが、本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｂは、給水ポンプ２３０が駆動することにより、水を給水弁１９０に供給できる。その他の構成については、図９に表した人体洗浄装置１００の構成と同様である。
【００７７】
制御部１５０は、例えば着座センサ１７０あるいは入室検知センサ１８０から検知信号を受信すると、給水ポンプ２３０を駆動させる。そうすると、給水タンク２２０の水は、給水ポンプ２３０により、継手１０３を介して給水弁１９０に供給される。また、このとき、制御部１５０は、例えば着座センサ１７０あるいは入室検知センサ１８０から検知信号を受信して、給水弁１９０を開放させているため、給水タンク２２０からの水は、熱交換器１１０に供給される。
【００７８】
この後の動作については、図９に関して前述した動作と同様である。したがって、本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｂにおいても、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００７９】
また、本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｂの給水源は、水道ではなく給水タンク２２０であるため、介護者などは人体洗浄装置１００ｂを便器５００から取り外して携帯型の人体洗浄装置として使用することもできる。これによれば、１つのトイレ室だけに限定されず、他のトイレ室などにおいても、人体洗浄装置１００ｂを使用することができる。
【００８０】
図１２は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｃは、図１１に表した人体洗浄装置１００ｂに対して、洗浄ノズル２１０と、三方弁１４０と、をさらに備えている。その他の構造については、図１１に表した人体洗浄装置１００ｂの構造と同様である。
【００８１】
本変形例の人体洗浄装置１００ｃによれば、給水源が水道ではなく給水タンク２２０であっても、ハンドノズル１３０だけではなく、洗浄ノズル２１０を設けることができる。そして、介護者などは、人体洗浄装置１００ｃを便器５００から取り外して携帯型の人体洗浄装置として使用することもできる。
【００８２】
また、図９に関して前述したように、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００８３】
なお、図９〜図１２に表した人体洗浄装置１００、１００ａ、１００ｂ、１００ｃでは、ハンドノズル１３０および収納部１６０が設けられた場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。図４〜図６および図８に表したハンドノズル１３０ａ、１３０ｂおよび収納部１６０ａ、１６０ｂ、１６０ｃ、１６０ｄが、それぞれ設けられていてもよい。
【００８４】
以上説明したように、本実施形態によれば、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していない。あるいは、当接した場合であっても、その当接状態は略点接触または略線接触であるため、先端１３８と突起部１６７、１６８との接触面積は、先端１３８が底面１６２に接触した場合と比較するとそれぞれ極小である。そのため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。これにより、本実施形態にかかる人体洗浄装置は、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる。
【００８５】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ハンドノズル１３０、１３０ａ、１３０ｂなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや収納部１６０、１６０ａ、１６０ｂ、１６０ｃ、１６０ｄの設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、ハンドノズル１３０を収納部１６０に収納すると、操作部１３１は、開閉弁１３９を閉止させる状態から開放させる状態へと遷移されてもよい。これによれば、ハンドノズル１３０が収納部１６０に収納された状態では、開閉弁１３９は常に開放されることになるため、制御部１５０は、開閉弁１３９を制御しなくとも、給水弁１９０を制御するだけで、吐水口１３５から洗浄水６１０を収納孔１６３内に供給できる。
また、図１１および図１２に表した人体洗浄装置のように、給水ポンプ２３０が設けられている場合には、必ずしも給水弁１９０を設けなくともよい。この場合であっても、人体洗浄装置は、給水ポンプ２３０により、ハンドノズル１３０からの吐止水を切り替えることができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【００８６】
【図１】本発明の実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図２】本実施形態のハンドノズルを表す斜視模式図である。
【図３】本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図４】本実施形態の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図５】本実施形態の他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図６】本実施形態のさらに他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す模式図である。
【図７】本実施形態のさらに他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図８】本実施形態のさらに他の変形例にかかる収納部を例示する断面模式図である。
【図９】本実施形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図１０】本実施形態の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図１１】本実施形態の他の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図１２】本実施形態のさらに他の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【符号の説明】
【００８７】
１００、１００ａ、１００ｂ、１００ｃ 人体洗浄装置、 １０１ ケーシング、 １０３、１０５ 継手、 １１０ 熱交換器、 １２０、１２５ ホース、 １３０、１３０ａ、１３０ｂ ハンドノズル、 １３１ 操作部、 １３２ 軸、 １３３ 開閉スイッチ、 １３４ 太幅部、 １３４ａ 鍔部、 １３５ 吐水口、 １３６ 吐水部、 １３７ 把持部、 １３８ 先端、 １３９ 開閉弁、 １４０ 三方弁、 １５０ 制御部、 １６０、１６０ａ、１６０ｂ、１６０ｃ、１６０ｄ 収納部、 １６１、１６１ａ、１６１ｂ、１６１ｃ 開口部、 １６２、１６２ｄ 底面、 １６３、１６３ｄ 収納孔、 １６４ 給水路、 １６５ 排水路、 １６７、１６８ 突起部、 １６８ｄ 湾曲部、 １６９ｄ 溝部、 １７０ 着座センサ、 １８０ 入室検知センサ、 １９０ 給水弁、 ２１０ 洗浄ノズル、 ２１１ 吐水口、 ２２０ 給水タンク、 ２３０ 給水ポンプ、 ３００ 便蓋、 ４００ 便座、 ５００ 便器、 ６１０ 洗浄水
【技術分野】
【０００１】
本発明の態様は、一般的に、人体洗浄装置に関し、具体的には被介護者の「おしり」などを水で洗浄する人体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
例えば、洋式腰掛便器に腰掛けた被介護者の「おしり」などを水で洗浄する場合には、温水洗浄便座装置の吐水ノズルを便器内に進出させ、便座に座った被介護者の「おしり」などに向けて水を噴射させる。そうすると、被介護者の局部を洗浄することができる。
【０００３】
しかしながら、排泄の際に、汚物が広い範囲に亘って付着すると、人体局部の洗浄を主な目的とした温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。これは、例えば、臀部（肛門周辺）の筋肉が弱く、その部分の肉が垂れ下がっている高齢者などが排泄を行った場合、あるいは被介護者が、失禁などのように、おむつを含む衣類を着衣した状態で排泄行為を行った場合などが挙げられる。あるいは、被介護者の着座位置がずれている場合にも、温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。
【０００４】
そこで、臀部や陰部の広い範囲を洗浄するために、例えば介護者などが容器を押すことにより洗浄水を任意の位置に吐水できるボトル式の洗浄容器がある。また、臀部や陰部の広い範囲を洗浄可能な携帯型の局部洗浄装置やロータンク一体型あるいは温水洗浄便座一体型の手持ち（ハンド）ノズルなどが提案されている（特許文献１）。
【０００５】
しかしながら、ハンドノズルは、便器の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、ハンドノズルには汚水や汚物が付着するおそれがある。特許文献１に記載された人体洗浄装置では、この点において改善の余地がある。そこで、洗浄ノズルの外周面に洗浄水の一部を流出させ、その洗浄ノズルの外周面を洗浄可能な局部水洗具がある（特許文献２）。
【０００６】
しかしながら、特許文献２に記載された局部水洗具では、洗浄水の一部を洗浄ノズルの外周面に流出させているだけであるため、洗浄ノズルに付着した汚水や汚物を洗い落とすことができないおそれがある。また、汚水や汚物を含んだ洗浄水が、洗浄ノズルの外周面に付着したままとなり、清潔な状態を確保できないおそれがある。なお、ハンドノズルの収納部には、使用開始時にはハンドノズルを容易に取り出すことができ、使用後にはハンドノズルを容易に収納できるといった性能が要求される。
【特許文献１】特開２００３−９３２６３号公報
【特許文献２】特開平７−１９４４９７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる人体洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の一態様によれば、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、を有する収納部と、を備え、前記ハンドノズルは、前記収納孔に収納された状態において、前記ハンドノズルの先端と、前記収納孔の底面と、が当接しないように支持する支持部を有することを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【０００９】
また、本発明の他の一態様によれば、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、前記ハンドノズルが前記収納孔に収納された状態において前記ハンドノズルの先端を支持する突起部と、を有する収納部と、を備えたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の態様によれば、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる人体洗浄装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
第１の発明は、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースの一端に接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、を有する収納部と、を備え、前記ハンドノズルは、前記収納孔に収納された状態において、前記ハンドノズルの先端と、前記収納孔の底面と、が当接しないように支持される支持部を有することを特徴とする人体洗浄装置である。 この人体洗浄装置によれば、ハンドノズルの先端は、収納孔の底面には当接していないため、収納孔に一時貯留された洗浄水は、滞留することなく排水路から排出される。これにより、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる。
【００１２】
また、第２の発明は、第１の発明において、前記支持部は、前記ハンドノズルの外周の少なくとも一部に設けられた鍔部であることを特徴とする人体洗浄装置である。
この人体洗浄装置によれば、ハンドノズルの鍔部は、収納孔への挿入口としての開口部に引っ掛かる。つまり、鍔部は、収納孔への挿入口としての開口部において支持される。そのため、ハンドノズルの先端と、収納孔の底面と、を離間させることができるため、収納孔に一時貯留された洗浄水は、滞留することなく排水路から排出される。これにより、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる。
【００１３】
また、第３の発明は、洗浄水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、前記ハンドノズルが前記収納孔に収納された状態において前記ハンドノズルの先端を支持する突起部と、を有する収納部と、を備えたことを特徴とする人体洗浄装置である。
この人体洗浄装置によれば、ハンドノズルの先端と、収納部の突起部と、は当接するが、その接触面積は、ハンドノズルの先端が収納孔の底面に接触した場合と比較すると極小である。そのため、収納孔に一時貯留された洗浄水は、滞留することなく排水路から排出される。これにより、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる。
【００１４】
また、第４の発明は、第１〜第３の発明において、前記収納部は、前記収納孔に洗浄水を供給する給水路をさらに有することを特徴とする人体洗浄装置である。
この人体洗浄装置によれば、ハンドノズルではなく別に設けた給水路から洗浄水を収納孔に供給できるため、例えば、ハンドノズル内に設けられた開閉弁を開閉させることなく、人体洗浄装置のケーシング内に設けられた給水弁などを開閉させるだけで洗浄水を収納孔に供給できる。
【００１５】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、本発明の実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
また、図２は、本実施形態のハンドノズルを表す斜視模式図である。
【００１６】
図１に表したトイレ装置は、洋式腰掛け便器（以下、説明の便宜上、単に「便器」と称する）５００と、その上に設けられた人体洗浄装置１００と、便蓋３００と、便座４００と、を備える。便蓋３００および便座４００は、例えば人体洗浄装置１００に対して開閉自在に軸支されている。また、便器５００の洗浄機構としては、いわゆる「ロータンク式」でもよく、あるいはロータンクを用いない「水道直圧式」であってもよい。
【００１７】
本実施形態にかかる人体洗浄装置１００は、水を加熱する熱交換器１１０と、熱交換器１１０からの水を導水するホース１２０と、ホース１２０の一端に取り付けられたハンドノズル１３０と、ハンドノズル１３０を収納する収納部１６０と、を有する。熱交換器１１０は、人体洗浄装置１００のケーシング１０１内に設けられたタンクと、その中に貯留された水を加熱する図示しないヒータと、を有する。そして、熱交換器１１０により加熱された洗浄水は、ホース１２０を介してハンドノズル１３０に供給される。
【００１８】
なお、本発明は、タンクに貯留された水をヒータで加熱する、いわゆる「貯湯式」の熱交換器１１０を有するものには限定されない。例えば、供給された水を瞬間的に温めて送出する、いわゆる「瞬間式」の熱交換器１１０を有するものも、本発明の範囲に包含される。また、本願明細書において「水」という場合には、加熱されたお湯も含むものとする。
【００１９】
また、本実施形態にかかる人体洗浄装置１００は、便座４００への被介護者の着座を検知する着座センサ１７０と、トイレ室への被介護者の入室を検知する入室検知センサ１８０と、制御部１５０と、をさらに有する。着座センサ１７０および入室検知センサ１８０としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。なお、焦電センサは、被介護者の接近を迅速に検知できる点で入室検知センサ１８０により適している。そして、着座センサ１７０は、便座４００への被介護者の着座を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。これと同様に、入室検知センサ１８０は、トイレ室への被介護者の入室を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。
【００２０】
ハンドノズル１３０は、洗浄水の吐水および止水を切り替える開閉弁１３９（図３参照）と、開閉弁１３９を開閉させる操作部１３１と、先端部に設けられた吐水部１３６と、有する。吐水部１３６には、洗浄水を吐水可能な吐水口１３５が設けられている。操作部１３１は、軸１３２において回動自在に軸支されており、その裏面側には開閉スイッチ１３３が設けられている。開閉スイッチ１３３は、図示しないばね等により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。これと同様に、操作部１３１は開閉スイッチ１３３により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。
【００２１】
例えば、介護者などが操作部１３１を矢印Ａの方向に押すと、開閉スイッチ１３３は操作部１３１により矢印Ａの方向に押される。そうすると、ハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９が開放され、洗浄水が吐水口１３５から噴射される。
一方、介護者などが操作部１３１から手を離すと、操作部１３１および開閉スイッチ１３３は、矢印Ａとは反対方向に付勢されているため、矢印Ａとは反対方向に押し上げられる。そうすると、開閉弁１３９は閉止され、吐水口１３５からの洗浄水の噴射は停止される。
あるいは、開閉弁１３９は、制御部１５０からの制御信号により適宜開閉することも可能である。
【００２２】
収納部１６０は、その上面に設けられた開口部１６１と、その内部に設けられた収納孔１６３と、ハンドノズル１３０の吐水口１３５からの水を外部へ排出する排水路１６５と、を有する。ハンドノズル１３０は、使用されていないときには、その収納部１６０に収納されている。より具体的には、ハンドノズル１３０の少なくとも一部は、開口部１６１から挿入され、収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３に収納されている。なお、収納部１６０は、図１に表したように、便器５００に付設されていてもよいし、あるいは便器５００に付設されていなくともよい。
【００２３】
ホース１２０は、その一端においてハンドノズル１３０に接続され、その他端においてケーシング１０１に接続されている。また、ホース１２０は、図１に表したように、所定の長さを有するため、介護者などはハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ちつつ、少なくとも吐水口１３５の部分を便座４００に座った被介護者の臀部や陰部近傍に移動させることができる。そして、介護者などは、ハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ち、操作部１３１を矢印Ａの方向に押しつつ、便座４００に座った被介護者の臀部や陰部の任意の位置にハンドノズル１３０を移動させて吐水させることにより、臀部や陰部の広い範囲を洗浄できる。また、前述したように、熱交換器１１０はヒータを有するため、本実施形態にかかる人体洗浄装置１００は、加熱された洗浄水を吐水できる。
【００２４】
ここで、ハンドノズル１３０の吐水口１３５は、便器５００の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、吐水部１３６あるいはその近傍には汚水や汚物が付着するおそれがある。ハンドノズル１３０に汚水や汚物が付着したまま収納部１６０に収納され放置されると、汚水や汚物が固着するため衛生上好ましくない。これに対して、本実施形態にかかる人体洗浄装置は、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０の少なくとも吐水部１３６を洗浄できる。ハンドノズル１３０の使用後には、そのハンドノズル１３０は、ほぼ必ず収納部１６０に収納される。そのため、本実施形態にかかる人体洗浄装置は、収納部１６０においてハンドノズル１３０を洗浄することにより、そのハンドノズル１３０を清潔な状態に確保することができる。以下、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０を洗浄する動作について、図面を参照しつつ説明する。
【００２５】
図３は、本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本実施形態のハンドノズル１３０は、図２および図３に表したように、吐水部１３６よりも幅が大きい太幅部（支持部）１３４を有する。太幅部１３４は、吐水口１３５よりもホース１２０側に設けられ、吐水口１３５側からホース１２０側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されている。
【００２６】
一方、収納部１６０の開口部１６１の開口面積は、ハンドノズル１３０の吐水部１３６の最外形よりも大きく、太幅部１３４の少なくとも一部の外形よりも小さい。そのため、ハンドノズル１３０をその先端１３８側から開口部１６１に挿入し、収納部１６０に収納すると、図３に表したように、太幅部１３４の少なくとも一部は収納部１６０の開口部１６１に引っ掛かる。その結果、ハンドノズル１３０は、これよりも収納部１６０の内部には進入できない。
【００２７】
収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３の高さＨは、ハンドノズル１３０が収納された状態、すなわち太幅部１３４が開口部１６１に引っ掛かった状態において、収納部１６０の内部に進入したハンドノズル１３０の部分の長さよりも大きい。つまり、収納部１６０の収納孔１６３の高さＨは、太幅部１３４が開口部１６１に支持された状態において、ハンドノズル１３０の先端１３８が収納孔１６３の底面１６２に当接しないように適宜設定されている。
【００２８】
そして、収納部１６０に設けられた図示しない赤外線投光式センサやリミットスイッチなどと呼ばれる開閉式スイッチが、収納部１６０に収納されたハンドノズル１３０を検知すると、制御部１５０はハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９を開放し吐水口１３５から洗浄水を吐水させる。そうすると、吐水口１３５から吐水された洗浄水６１０は、図３に表したように、収納孔１６３に一時貯留される。つまり、吐水口１３５から吐水された洗浄水６１０が、収納孔１６３に一時貯留されるように、排水路１６５の形状が適宜設定されている。
【００２９】
洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されると、図３に表したように、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０に浸される。そうすると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０により洗浄される。
【００３０】
このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から便器５００内に排出される。なお、排水路１６５から流出した洗浄水６１０は、必ずしも便器５００内に排出されなくともよく、例えば排水路１６５の先端あるいは先端近傍に設けられた図示しない受け皿などの容器に排出されてもよい。
【００３１】
そのため、洗浄水６１０により洗い落とされた汚水や汚物が、ハンドノズル１３０の吐水部１３６あるいはその近傍により進路を遮られるおそれは少なく、再び吐水口１３５の部分に付着するおそれは少ない。また、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、ハンドノズル１３０の先端１３８と、収納孔１６３の底面１６２と、の間を円滑に流れるため、洗浄性を向上させることができる。これにより、本実施形態にかかる人体洗浄装置１００は、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００３２】
なお、赤外線投光式センサや開閉式スイッチの検知結果に基づいて、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。例えば、介護者などがハンドノズル１３０を収納した後に、介護者自身が操作部１３１を操作して吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水させてもよい。あるいは、介護者などが、図示しないリモコンに設けられた洗浄スイッチを操作することにより、制御部１５０が開閉弁１３９を開放し、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水させてもよい。
【００３３】
一方、吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水する場合には、制御部１５０のタイマ制御機能を利用できる。制御部１５０は、タイマ制御機能を有し、開閉弁１３９を開放させてから所定時間が経過すると、開閉弁１３９を閉止できる。そうすると、開閉弁１３９を開放させてから所定時間が経過した後に、吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水することができる。
【００３４】
あるいは、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０の透明度を検知する濁度センサなどの検知結果に基づいて、吐水口１３５から洗浄水６１０を止水させてもよい。ハンドノズル１３０に付着した汚水や汚物が洗浄水６１０により洗い落とされると、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０の透明度は低下するが、洗浄水６１０が排水路１６５から排出されるにつれて上昇する。そして、図示しない濁度センサが、洗浄水６１０の透明度が所定値以上に達したことを検知すると、制御部１５０は開閉弁１３９を閉止して吐水口１３５からの洗浄水６１０を止水することができる。
【００３５】
また、ハンドノズル１３０の太幅部１３４は、吐水口１３５側からホース１２０側に向かうにつれて幅が大きくなるように形成されているが、これだけに限定されるわけではない。たとえば、太幅部１３４は、段差部として形成されていてもよい。これによっても、その段差部が開口部１６１に引っ掛かることで、ハンドノズル１３０の先端１３８は収納孔１６３の底面１６２から離間できる。つまり、ハンドノズル１３０は、その先端１３８が収納孔１６３の底面１６２から離間できるように、収納部１６０に支持され得る形状を有していればよい。
【００３６】
次に、本実施形態の変形例について図面を参照しつつ説明する。
図４は、本実施形態の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本変形例のハンドノズル１３０ａは、図４に表したように、鍔部（支持部）１３４ａを外周に有する。鍔部１３４ａは、吐水口１３５よりもホース１２０側に設けられている。
【００３７】
一方、本変形例の収納部１６０ａの開口部１６１ａの開口面積は、ハンドノズル１３０の吐水部１３６の最外形よりも大きく、鍔部１３４ａの最外形よりも小さい。そのため、ハンドノズル１３０ａをその先端１３８側から開口部１６１ａに挿入し、収納部１６０ａに収納すると、鍔部１３４ａの少なくとも一部は収納部１６０ａの開口部１６１ａに引っ掛かる。その結果、ハンドノズル１３０は、これよりも収納部１６０ａの内部には進入できない。
【００３８】
収納部１６０ａの内部、すなわち収納孔１６３の高さＨは、ハンドノズル１３０が収納された状態、すなわち鍔部１３４ａが開口部１６１ａに引っ掛かった状態において、収納部１６０ａの内部に進入したハンドノズル１３０の部分の長さよりも大きい。すなわち、収納部１６０ａの収納孔１６３の高さＨは、鍔部１３４ａが開口部１６１ａに支持された状態において、ハンドノズル１３０の先端１３８が収納孔１６３の底面１６２に当接しないように適宜設定されている。その他の構造については、図３に関して前述した人体洗浄装置と同様の構造を有する。
【００３９】
本変形例によれば、ハンドノズル１３０ａは、図２および図３に表したような太幅部１３４を有していなくとも、鍔部１３４ａにおいて開口部１６１ａに支持され得る。つまり、ハンドノズル１３０ａは、把持部１３７から吐水部１３６にかけて略同じ幅であっても、鍔部１３４ａを有しているため収納部１６０ａに支持され得る。
【００４０】
そして、図３に関して前述した動作と同様にして、洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０に浸される。そうすると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０により洗浄される。このとき、ハンドノズル１３０ａの先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、本変形例にかかる人体洗浄装置は、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００４１】
なお、鍔部１３４ａは、ハンドノズル１３０ａの全周に亘って設けられていなくともよく、開口部１６１ａに支持され得るようにハンドノズル１３０ａの外周の一部に設けられていればよい。これによれば、ハンドノズル１３０ａの先端１３８を収納孔１６３の底面１６２から離間させることができるため、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００４２】
図５は、本実施形態の他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本変形例の収納部１６０ｂの収納孔１６３の底面１６２には、突起部１６７が設けられている。この突起部１６７は円錐形状を有している。そのため、突起部１６７の断面形状は、図５に表したように三角形となる。そして、突起部１６７は、円錐の頂点が開口部１６１ｂ側を向くように底面１６２に設置されている。
【００４３】
開口部１６１ｂの開口面積は、ハンドノズル１３０ｂの最外形の幅よりも大きい。そのため、ハンドノズル１３０ｂは、開口部１６１ｂによっては支持されない。本変形例のハンドノズル１３０ｂは、収納部１６０ｂに収納されると、図５に表したように、突起部１６７により支持される。つまり、ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｂに収納されると、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８は突起部１６７の頂点に当接する。その他の構造については、図３に関して前述した人体洗浄装置と同様の構造を有する。
【００４４】
本変形例によれば、ハンドノズル１３０ｂは、図３および図４に表したような太幅部１３４や鍔部１３４ａを有していなくとも、底面１６２に設けられた突起部１６７により支持される。このとき、ハンドノズル１３０ｂと開口部１６１ｂとの間には隙間があり、ハンドノズル１３０ｂの収納状態の姿勢が不安定となるおそれがあるため、収納部１６０ｂは、例えば把持部１３７を支持してハンドノズル１３０ｂの姿勢を安定化させる保持部を有することが好ましい。
【００４５】
そして、図３に関して前述した動作と同様にして、洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０に浸される。そうすると、ハンドノズル１３０の吐水部１３６は、洗浄水６１０により洗浄される。このとき、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８は、突起部１６７の頂点には当接しているが、その当接状態は略点接触である。そのため、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８と、突起部１６７と、の接触面積は、先端１３８が底面１６２に接触した場合と比較すると極小である。
【００４６】
これによれば、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、突起部１６７に極小面積でしか接触していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から排出される。そのため、本変形例にかかる人体洗浄装置は、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００４７】
図６は、本実施形態のさらに他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す模式図である。
なお、図６（ａ）は、本変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図であり、図６（ｂ）は、本変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す斜視模式図である。
【００４８】
本変形例の収納部１６０ｃは、収納孔１６３に洗浄水６１０を供給する給水路１６４を有する。また、収納孔１６３の底面１６２には、突起部１６８が設けられている。この突起部１６８は、図６（ｂ）に表したように、三角柱形状を有している。そして、突起部１６８は、その長手方向が給水路１６４から排水路１６５に向かう洗浄水６１０の流れに略並行するように配設されている。つまり、突起部１６８の長手方向は、洗浄水６１０が流れる方向、すなわち図６（ｂ）に表した矢印Ｂに略並行するように配設されている。その他の構造については、図３に関して前述した人体洗浄装置と同様の構造を有する。また、本変形例のハンドノズル１３０ｂは、図５に表したハンドノズル１３０ｂと同様である。
【００４９】
本変形例によれば、ハンドノズル１３０ｂは、収納部１６０ｃに収納されると、底面１６２に設けられた突起部１６８により支持される。つまり、ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｃに収納されると、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８は突起部１６８に当接する。このときの当接状態は、略線接触である。そのため、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８と、突起部１６７と、の接触面積は、先端１３８が底面１６２に接触した場合と比較すると極小である。また、その線接触した線方向は、洗浄水６１０が流れる方向（矢印Ｂ）と略並行している。
【００５０】
そして、収納部１６０に設けられた図示しない赤外線投光式センサや開閉式スイッチが、収納部１６０ｃに収納されたハンドノズル１３０ｂを検知すると、制御部１５０は給水路１６４から洗浄水６１０を収納孔１６３内に供給する。そうすると、給水路１６４から供給された洗浄水６１０は、図６に表したように、収納孔１６３に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０ｂの先端１３８と突起部１６８との当接状態は、略線接触であり、その線接触した線方向は、洗浄水６１０が流れる方向と略並行している。そのため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から排出される。
【００５１】
また、ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｃに収納された状態において、給水路１６４が吐水口１３５の近傍に設けられている場合には、給水路１６４から供給される洗浄水６１０の水勢により、吐水口１３５および吐水部１３６近傍における洗浄性を向上させることができる。これらによれば、本変形例にかかる人体洗浄装置は、ハンドノズル１３０ｂの清潔な状態を確保することができる。また、その他の効果についても、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００５２】
なお、本変形例では、給水路１６４から洗浄水６１０を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、図３〜図５に関して前述した人体洗浄装置と同様に、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水してもよい。一方、図３〜図５に関して前述した人体洗浄装置では、吐水口１３５から洗浄水６１０を吐水する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、本変形例と同様に給水路１６４を設け、その給水路１６４から洗浄水６１０を供給してもよい。
【００５３】
このように、給水路１６４から洗浄水６１０を供給する場合には、制御部１５０は、ハンドノズル１３０、１３０ａ、１３０ｂ内に設けられた開閉弁１３９を開閉させることなく、例えばケーシング１０１内に設けられた給水弁１９０（図９参照）などを開閉させるだけで洗浄水６１０を収納孔１６３内に供給できる。なお、本変形例においても、ハンドノズル１３０ｂと開口部１６１ｃとの間には隙間があり、ハンドノズル１３０ｂの収納状態の姿勢が不安定となるおそれがあるため、収納部１６０ｃは、例えば把持部１３７を支持してハンドノズル１３０ｂの姿勢を安定化させる保持部を有することが好ましい。
【００５４】
図７は、本実施形態のさらに他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
本変形例の収納部１６０は、図７に表したように斜めに傾斜した状態で設置されている。すなわち、収納部１６０の開口部１６１は、上方に向かっては開口しておらず、斜め上方に向かって開口している。そのため、ハンドノズル１３０を収納部１６０に挿入し、太幅部１３４が開口部１６１に支持された状態では、ハンドノズル１３０は斜めに傾斜した状態で収納される。その他の構造については、図３に関して前述した人体洗浄装置と同様の構造を有する。
【００５５】
本変形例においても、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から排出される。そのため、図３に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【００５６】
また、収納部１６０を斜めに傾斜した状態で設置することができるため、その収納部１６０は、人体洗浄装置のケーシング１０１内に設けられていてもよい。この場合には、介護者などは、ハンドノズル１３０を使用した後に、ケーシング１０１に適宜設けられた挿入口から開口部１６１を通して収納孔１６３にハンドノズル１３０を斜めに挿入できる。この場合であっても、前述したように、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から排出される。
【００５７】
このとき、収納部１６０は、ケーシング１０１内に設けられているため、洗浄水６１０を排水路１６５から便器５００内に排出しやすい。すなわち、収納部１６０が便器５００の外部に設けられている場合には、排水路１６５からの洗浄水６１０を便器５００内に排出するために、便器５００の外部と内部とを連通する水路を設ける必要がある。これに対して、収納部１６０がケーシング１０１内に設けられている場合には、そのような水路を設ける必要はない。そのため、本変形例にかかる人体洗浄装置は、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０を容易に便器５００内に排出できる。なお、本変形例においても、図６に表した給水路１６４を設け、その給水路１６４から洗浄水６１０を供給してもよい。
【００５８】
図８は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる収納部を例示する断面模式図である。 なお、図８（ａ）は、収納部を上方から眺めた断面模式図であり、図８（ｂ）に表したＣ−Ｃ断面図に相当する。また、図８（ｂ）は、収納部の内部を眺めた断面模式図である。
【００５９】
本変形例にかかる収納部１６０ｄは、図８（ａ）および図８（ｂ）に表したように、収納孔１６３ｄの底面１６２ｄ近傍であって、ハンドノズル１３０ｂが収納された状態の吐水口１３５の近傍に湾曲部１６８ｄが設けられている。また、収納孔１６３ｄの内壁面には、溝部１６９ｄが設けられている。なお、ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｄに挿入された際には、吐水口１３５が湾曲部１６８ｄの方向を向くように、ハンドノズル１３０ｂおよび収納部１６０ｄの形状は適宜設定されている。その他の構造については、図３に関して前述した構造と同様である。
【００６０】
ハンドノズル１３０ｂが収納部１６０ｄに収納された状態で、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水されると、その洗浄水６１０は、図８（ａ）に表したように、湾曲部１６８ｄに沿うように進路を曲げられる。そして、進路を曲げられた洗浄水６１０は、図８（ｂ）に表したように、溝部１６９ｄに沿うように流れて旋回する。つまり、吐水口１３５から収納孔１６３ｄ内に吐水された洗浄水６１０は、旋回流となり、吐水口１３５および吐水部１３６の周囲を旋回する。
【００６１】
そうすると、ハンドノズル１３０ｂの吐水口１３５および吐水部１３６近傍は、洗浄水６１０の旋回流により洗浄される。これによれば、吐水口１３５および吐水部１３６近傍が洗浄水６１０に浸された場合よりも、洗浄性を向上させることができる。そのため、ハンドノズル１３０のより清潔な状態を確保することができる。なお、本変形例においても、図６に表した給水路１６４を設け、その給水路１６４から洗浄水６１０を供給してもよい。
【００６２】
次に、本実施形態にかかる人体洗浄装置１００の構成の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図９は、本実施形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【００６３】
本実施形態にかかる人体洗浄装置１００では、まず、給水源としての水道から継手１０３を介して、水が給水弁１９０に供給される。給水弁１９０は、熱交換器１１０よりも上流側に設けられ、制御部１５０からの制御信号に応じて開閉できる。給水弁１９０が開放されている場合には、熱交換器のタンクに水が供給され、給水弁１９０が閉止されている場合には、熱交換器のタンクへの水の供給は停止される。
【００６４】
続いて、水道からの水が給水弁１９０を介して熱交換器１１０に供給されると、熱交換器１１０に貯留され加熱されていた洗浄水は、継手１０５を介してホース１２０に供給される。続いて、ホース１２０に供給された水は、ハンドノズル１３０内の開閉弁１３９に供給される。開閉弁１３９が開放されている場合には、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水され、開閉弁１３９が閉止されている場合には、吐水口１３５からの洗浄水６１０は止水される。
【００６５】
そして、開閉弁１３９が開放され、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水されると、その洗浄水６１０は、収納孔１６３に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。つまり、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２から離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、円滑に流れ排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００６６】
なお、図６に表した給水路１６４を設ける場合には、その給水路１６４と継手１０５とを接続するホース１２５が設けられる。これによれば、制御部１５０が給水弁１９０を開放させることにより、ホース１２５および給水路１６４を介して収納孔１６３に洗浄水６１０を供給することができる。そのため、ハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁１３９を開放させることなく、給水弁１９０を開放させるだけで、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００６７】
なお、本具体例では、水道の圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、ポンプを設けてもよい。これによれば、水道の圧力だけではなく、ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給することができる。
【００６８】
図１０は、本実施形態の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
本変形例にかかる人体洗浄装置１００ａは、図９に表した人体洗浄装置１００に対して、洗浄ノズル２１０と、三方弁１４０と、をさらに備えている。
【００６９】
洗浄ノズル２１０は、図示しない駆動部から伝達される駆動力により、洗浄ノズル２１０の軸方向に直進移動することができる。そして、洗浄ノズル２１０は、本変形例の人体洗浄装置１００ａのケーシング１０１から進退自在に移動できる。洗浄ノズル２１０の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口２１１が設けられている。洗浄ノズル２１０は、便座４００に座った被介護者の「おしり」などに向けて、三方弁１４０を介して供給された水を吐水口２１１から噴射可能とされている。
【００７０】
一方、三方弁１４０は、制御部１５０からの制御信号に応じて、熱交換器１１０から供給された洗浄水の通水方向を切り替えることができる。つまり、三方弁１４０は、熱交換器１１０から供給された洗浄水をハンドノズル１３０側および洗浄ノズル２１０側のいずれか一方に供給できる。ハンドノズル１３０側への洗浄水の供給と、洗浄ノズル２１０側への洗浄水の供給と、は択一的に切り替えられ、洗浄水が同時に両方へ供給されることはない。なお、その他の構成については、図９に表した構成と同様である。
【００７１】
ここで、三方弁１４０は、通常の状態では、熱交換器１１０からの洗浄水をハンドノズル１３０側へ通水するように切り替えられている。つまり、ハンドノズル１３０が収納部１６０に収納された待機状態では、三方弁１４０は、熱交換器１１０からの洗浄水をハンドノズル１３０側へ通水する方向に開放されている。
【００７２】
そのため、この状態において、図３に関して前述したように、開閉弁１３９が開放され、吐水口１３５から洗浄水６１０が吐水されると、その洗浄水６１０は、収納孔１６３に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００７３】
一方、便座４００に座った被介護者や介護者などが、図示しないリモコンに設けられた「おしり洗浄」などのスイッチを押すと、制御部１５０は、三方弁１４０の通水方向を制御し、熱交換器１１０から供給された洗浄水を洗浄ノズル２１０側へ通水させる。そうすると、ハンドノズル１３０からの洗浄水は止水され、洗浄ノズル２１０から洗浄水が噴射される。
【００７４】
本変形例によれば、ハンドノズル１３０だけではなく、洗浄ノズル２１０が設けられた場合であっても、洗浄水６１０が収納孔１６３に一時貯留されることにより、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。なお、本変形例においても、図９に関して前述したように、ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給してもよい。
【００７５】
図１１は、本実施形態の他の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｂは、図９に表した人体洗浄装置１００に対して、給水タンク２２０と、給水ポンプ２３０と、をさらに備える。
【００７６】
給水ポンプ２３０は、給水タンク２２０に貯留された水を吸い込み、吐出することで、給水弁１９０にその水を供給できる。つまり、図９および図１０に表した人体洗浄装置１００、１００ａは、予め水圧がかかった水道からの水を給水弁１９０に供給していたが、本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｂは、給水ポンプ２３０が駆動することにより、水を給水弁１９０に供給できる。その他の構成については、図９に表した人体洗浄装置１００の構成と同様である。
【００７７】
制御部１５０は、例えば着座センサ１７０あるいは入室検知センサ１８０から検知信号を受信すると、給水ポンプ２３０を駆動させる。そうすると、給水タンク２２０の水は、給水ポンプ２３０により、継手１０３を介して給水弁１９０に供給される。また、このとき、制御部１５０は、例えば着座センサ１７０あるいは入室検知センサ１８０から検知信号を受信して、給水弁１９０を開放させているため、給水タンク２２０からの水は、熱交換器１１０に供給される。
【００７８】
この後の動作については、図９に関して前述した動作と同様である。したがって、本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｂにおいても、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００７９】
また、本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｂの給水源は、水道ではなく給水タンク２２０であるため、介護者などは人体洗浄装置１００ｂを便器５００から取り外して携帯型の人体洗浄装置として使用することもできる。これによれば、１つのトイレ室だけに限定されず、他のトイレ室などにおいても、人体洗浄装置１００ｂを使用することができる。
【００８０】
図１２は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
本変形例にかかる人体洗浄装置１００ｃは、図１１に表した人体洗浄装置１００ｂに対して、洗浄ノズル２１０と、三方弁１４０と、をさらに備えている。その他の構造については、図１１に表した人体洗浄装置１００ｂの構造と同様である。
【００８１】
本変形例の人体洗浄装置１００ｃによれば、給水源が水道ではなく給水タンク２２０であっても、ハンドノズル１３０だけではなく、洗浄ノズル２１０を設けることができる。そして、介護者などは、人体洗浄装置１００ｃを便器５００から取り外して携帯型の人体洗浄装置として使用することもできる。
【００８２】
また、図９に関して前述したように、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していないため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００８３】
なお、図９〜図１２に表した人体洗浄装置１００、１００ａ、１００ｂ、１００ｃでは、ハンドノズル１３０および収納部１６０が設けられた場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。図４〜図６および図８に表したハンドノズル１３０ａ、１３０ｂおよび収納部１６０ａ、１６０ｂ、１６０ｃ、１６０ｄが、それぞれ設けられていてもよい。
【００８４】
以上説明したように、本実施形態によれば、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面１６２には当接していない。あるいは、当接した場合であっても、その当接状態は略点接触または略線接触であるため、先端１３８と突起部１６７、１６８との接触面積は、先端１３８が底面１６２に接触した場合と比較するとそれぞれ極小である。そのため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水６１０は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。これにより、本実施形態にかかる人体洗浄装置は、ハンドノズルの清潔な状態を確保することができる。
【００８５】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ハンドノズル１３０、１３０ａ、１３０ｂなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや収納部１６０、１６０ａ、１６０ｂ、１６０ｃ、１６０ｄの設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、ハンドノズル１３０を収納部１６０に収納すると、操作部１３１は、開閉弁１３９を閉止させる状態から開放させる状態へと遷移されてもよい。これによれば、ハンドノズル１３０が収納部１６０に収納された状態では、開閉弁１３９は常に開放されることになるため、制御部１５０は、開閉弁１３９を制御しなくとも、給水弁１９０を制御するだけで、吐水口１３５から洗浄水６１０を収納孔１６３内に供給できる。
また、図１１および図１２に表した人体洗浄装置のように、給水ポンプ２３０が設けられている場合には、必ずしも給水弁１９０を設けなくともよい。この場合であっても、人体洗浄装置は、給水ポンプ２３０により、ハンドノズル１３０からの吐止水を切り替えることができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【００８６】
【図１】本発明の実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図２】本実施形態のハンドノズルを表す斜視模式図である。
【図３】本実施形態のハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図４】本実施形態の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図５】本実施形態の他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図６】本実施形態のさらに他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す模式図である。
【図７】本実施形態のさらに他の変形例にかかるハンドノズルが収納部に収納された状態を表す断面模式図である。
【図８】本実施形態のさらに他の変形例にかかる収納部を例示する断面模式図である。
【図９】本実施形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図１０】本実施形態の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図１１】本実施形態の他の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図１２】本実施形態のさらに他の変形例にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【符号の説明】
【００８７】
１００、１００ａ、１００ｂ、１００ｃ 人体洗浄装置、 １０１ ケーシング、 １０３、１０５ 継手、 １１０ 熱交換器、 １２０、１２５ ホース、 １３０、１３０ａ、１３０ｂ ハンドノズル、 １３１ 操作部、 １３２ 軸、 １３３ 開閉スイッチ、 １３４ 太幅部、 １３４ａ 鍔部、 １３５ 吐水口、 １３６ 吐水部、 １３７ 把持部、 １３８ 先端、 １３９ 開閉弁、 １４０ 三方弁、 １５０ 制御部、 １６０、１６０ａ、１６０ｂ、１６０ｃ、１６０ｄ 収納部、 １６１、１６１ａ、１６１ｂ、１６１ｃ 開口部、 １６２、１６２ｄ 底面、 １６３、１６３ｄ 収納孔、 １６４ 給水路、 １６５ 排水路、 １６７、１６８ 突起部、 １６８ｄ 湾曲部、 １６９ｄ 溝部、 １７０ 着座センサ、 １８０ 入室検知センサ、 １９０ 給水弁、 ２１０ 洗浄ノズル、 ２１１ 吐水口、 ２２０ 給水タンク、 ２３０ 給水ポンプ、 ３００ 便蓋、 ４００ 便座、 ５００ 便器、 ６１０ 洗浄水
【特許請求の範囲】
【請求項１】
洗浄水を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、
前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、
前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、を有する収納部と、
を備え、
前記ハンドノズルは、前記収納孔に収納された状態において、前記ハンドノズルの先端と、前記収納孔の底面と、が当接しないように支持する支持部を有することを特徴とする人体洗浄装置。
【請求項２】
前記支持部は、前記ハンドノズルの外周の少なくとも一部に設けられた鍔部であることを特徴とする請求項１記載の人体洗浄装置。
【請求項３】
洗浄水を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、
前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、
前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、前記ハンドノズルが前記収納孔に収納された状態において前記ハンドノズルの先端を支持する突起部と、を有する収納部と、
を備えたことを特徴とする人体洗浄装置。
【請求項４】
前記収納部は、前記収納孔に洗浄水を供給する給水路をさらに有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項１】
洗浄水を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、
前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、
前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、を有する収納部と、
を備え、
前記ハンドノズルは、前記収納孔に収納された状態において、前記ハンドノズルの先端と、前記収納孔の底面と、が当接しないように支持する支持部を有することを特徴とする人体洗浄装置。
【請求項２】
前記支持部は、前記ハンドノズルの外周の少なくとも一部に設けられた鍔部であることを特徴とする請求項１記載の人体洗浄装置。
【請求項３】
洗浄水を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器からの洗浄水を導水するホースと、
前記ホースに接続され、前記ホースを導水された前記洗浄水を吐水するハンドノズルと、
前記ハンドノズルの少なくとも一部を収納可能な収納孔と、前記収納孔内の洗浄水を外部へ排出する排水路と、前記ハンドノズルが前記収納孔に収納された状態において前記ハンドノズルの先端を支持する突起部と、を有する収納部と、
を備えたことを特徴とする人体洗浄装置。
【請求項４】
前記収納部は、前記収納孔に洗浄水を供給する給水路をさらに有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【公開番号】特開２０１０−１２１３０３（Ｐ２０１０−１２１３０３Ａ）
【公開日】平成２２年６月３日（２０１０．６．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２９３８８２（Ｐ２００８−２９３８８２）
【出願日】平成２０年１１月１７日（２００８．１１．１７）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年６月３日（２０１０．６．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１１月１７日（２００８．１１．１７）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
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