説明

人孔蓋開閉器用レール

【課題】設置面の表面状態によらずに人孔蓋開閉器を円滑に移動させることができ、人孔蓋の開閉移動の作業性を向上できる人孔蓋開閉器用レールを提供する。
【解決手段】人孔蓋開閉器2を水平方向に移動可能に載置させる人孔蓋開閉器用レール3であって、人孔蓋1を挟む対向位置に平行延設され、人孔蓋開閉器2が上載される一対のレール部材31・31を有するレール本体部30と、レール本体部30と設置面との間の少なくとも一の端部位置に配設される伸縮自在の水平レベル調整部32と、を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人孔蓋開閉器用レールの技術に関し、より詳細には、人孔蓋開閉器を水平方向に移動可能に載置させる人孔蓋開閉器用レールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動力用、通信用等のための各種の配線類を地中に埋設させる方法として、管路式、暗渠式、及び直接埋設式などの方法が採用されている。通常、かかる方法では、配線類を通線させる共同構としての開渠や管渠、配線類を分岐・集約させる地下埋設ボックス(地下ピット)、及び地下埋設ボックス内にて配線類の引入れ・引抜き・接続の作業をするために作業員が地上から出入りするための人孔(マンホール)などの地下構造物が地中に埋設される。
【0003】
上述した人孔には、通常、円盤形状又は矩形形状の人孔蓋が掛けられており、この人孔蓋は、路面荷重に充分耐え、第三者が容易に開閉できないようにコンクリート又は鉄(鋳物を含む)などにより成形された重量物として構成されている。人孔蓋の布設や、地下構造物の点検又は配線類の配設・交換などの作業を行う際には、かかる人孔蓋を開閉移動させる必要がある。そこで、かかる人孔蓋を開閉移動させるための装置として、走行可能な移動台車と人孔蓋の吊上げ・吊下げを行う昇降機構とを備えた人孔蓋開閉器等より構成される人孔蓋開閉移動装置が提案されている。
【0004】
従来の人孔蓋開閉移動装置に関し、例えば、特許文献1又は特許文献2に開示されるように、上述した人孔蓋開閉器の他に、かかる人孔蓋開閉器を移動可能に載置させる人孔蓋開閉器用レールが別途設けられた構成が提案されている。このように、人孔蓋開閉器を移動可能に載置させる人孔蓋開閉器用レールが設けられることで、人孔蓋開閉器にて重い人孔蓋の開閉移動がより容易となり、作業者の作業負担や作業効率が改善されるに至っている。
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1又は特許文献2に開示されるように、従来の人孔蓋開閉器用レールは、人孔蓋開閉器が上載される一対のレール部材が地表面(設置面)上に直接設置される構成であったため、例えば、段差部や傾斜面のある箇所や軟弱地盤が露出した未舗装の箇所など、設置面の表面状態によってはレール部材を水平状態に維持して設置できない場合があった。レール部材が水平状態に維持して設置されていないと、人孔蓋開閉器を円滑に移動させることが困難となり、さらには人孔蓋開閉器が自重により暴走したり転倒したりして、人孔蓋の開閉移動の作業効率を悪化させる要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−111792号公報
【特許文献2】特開平6−54369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明では、人孔蓋開閉器用レールに関し、前記従来の課題を解決するもので、設置面の表面状態によらずに人孔蓋開閉器を円滑に移動させることができ、人孔蓋の開閉移動の作業性を向上できる人孔蓋開閉器用レールを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、請求項1においては、人孔蓋開閉器を水平方向に移動可能に載置させる人孔蓋開閉器用レールであって、人孔蓋を挟む対向位置に平行延設され、人孔蓋開閉器が上載される一対のレール部材を有するレール本体部と、前記レール本体部と設置面との間の少なくとも一の端部位置に配設される伸縮自在の水平レベル調整部と、を具備してなるものである。
【0010】
請求項2においては、前記レール本体部は、人孔開口部への墜落防止枠を着脱自在に支持する支持部材を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、設置面の表面状態によらずに人孔蓋開閉器を円滑に移動させることができ、人孔蓋の開閉移動の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る人孔蓋開閉器用レールを用いた人孔蓋開閉移動装置の全体的な構成を示した側面図である。
【図2】本実施例の人孔蓋開閉器用レールの平面図である。
【図3】図2におけるA−A矢視断面図である。
【図4】図2におけるB−B矢視断面図である。
【図5】図2におけるC−C矢視断面図である。
【図6】水平レベル調整部の正面図及び側面図である。
【図7】本実施例の人孔蓋開閉移動装置の操作方法を示した側面図である。
【図8】本実施例の人孔蓋開閉移動装置の操作方法を示した側面図である。
【図9】別実施例の人孔蓋開閉移動装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明を実施するための形態を説明する。
なお、以下の実施例において、図1及び図2の矢印X方向を人孔蓋開閉移動装置100(人孔蓋開閉器用レール3)の長さ方向といい、図2の矢印Y方向を人孔蓋開閉移動装置100(人孔蓋開閉器用レール3)の幅方向という。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施例の人孔蓋開閉移動装置100は、人孔蓋1を保持して移動可能な人孔蓋開閉器2と、人孔蓋開閉器2を水平方向に移動可能に載置させる人孔蓋開閉器用レール3と、人孔10の開口部11への墜落を防止するための墜落防止枠4等とで構成されている。
【0015】
人孔蓋1は、円盤形状に形成されており、地中に埋設された人孔10の開口部11に布設される。また、人孔蓋1は、路面荷重に充分耐え、第三者が容易に開閉できないようにコンクリート又は鉄(鋳物を含む)などにより重量物として形成されている。この人孔蓋1は、人孔10の開口部11に布設される際や、上述した地下構造物の点検又は配線類の配設・交換などの作業を行う際などに、人孔蓋開閉器2により開閉移動される。
【0016】
人孔蓋開閉器2は、後述する人孔蓋開閉器用レール3に載置された状態で移動可能に構成されており、具体的には、人孔蓋開閉器用レール3のレール部材31に沿って移動する移動台車部20と、移動台車部20に設けられ、人孔蓋1の吊上げ・吊下げを行う一対の昇降機構部21・21等とで構成されている。本実施例の人孔蓋開閉器2では、昇降機構部21・21にて人孔蓋1が昇降自在に支持され、また昇降機構部21にて人孔蓋1が垂下支持された状態で移動台車部20により移動自在となるように構成されている(図7及び図8参照)。
【0017】
移動台車部20は、フレーム形状の本体部22と、本体部22の両端部に配設された車輪23等とで構成されている。本体部22は、人孔蓋1の上方を跨ぐようにして人孔蓋開閉移動装置100の幅方向(Y方向)に向けて延設されている。本体部22の両端部には、支持フレーム24・24がそれぞれ溶着されており、各支持フレーム24には、ブラケット24aに回転自在に軸支された一組の車輪23・23が人孔蓋開閉移動装置100の長さ方向(Y方向)に沿って取り付けられている。このようにして、本実施例の移動台車部20は、合計4個の車輪23・23・・・にて人孔蓋開閉器用レール3のレール部材31に沿って走行可能とされている。
【0018】
昇降機構部21は、公知の巻取器具として構成されており、本実施例では移動台車部20の本体部に一対の昇降機構部21・21が設けられている。具体的には、昇降機構部21は、チェーン25の巻上げ・巻下げを行う昇降操作部26と、チェーン25の先端部に設けられた係止鉤27等とで構成されている。昇降操作部26は、本体部22の人孔蓋1の上方位置に配設され、本体部22から設置面に向かう側である下側にチェーン25が垂下されている。係止鉤27は、人孔蓋1に形成された係止部1a(図7及び図8参照)に係止可能な形状とされている。
【0019】
昇降操作部26に設けられたハンドル28が揺動操作されることで、チェーン25の巻上げ・巻下げが行われて係止鉤27の高さ方向位置が変更される。そして、人孔蓋1は、一対の昇降機構部21・21の係止鉤27・27が係止部1a・1aに係止された状態で、昇降操作部26・26がそれぞれ徐々に操作されることで、表面が水平に近くなるように垂下支持された状態のまま吊上げ・吊下げが行われる。
【0020】
図1乃至図5に示すように、本実施例の人孔蓋開閉器用レール3は、設置面として傾斜面のある箇所に設置され、人孔蓋開閉移動装置100の長さ方向(X方向)が傾斜面の傾斜方向に沿うようにして設置される。具体的には、人孔蓋開閉器用レール3は、人孔蓋1を挟む対向位置に平行延設され、人孔蓋開閉器2が上載される一対のレール部材31・31を有するレール本体部30と、レール本体部30と設置面との間の少なくとも一の端部位置に配設される伸縮自在の水平レベル調整部32等とで構成されており、水平レベル調整部32にて人孔蓋開閉器2の移動面の水平状態が調整されて、かかる移動面が水平になるように維持されている。
【0021】
レール本体部30は、略同形に形成された一対のレール部材31・31と、全体として平面視矩形状となるようにレール部材31・31を接続する複数の連結部材33・33・・・(本実施例では3個)等とで構成されている。レール本体部30において、レール部材31は、連結部材33にて接続されて人孔蓋1を挟む対向位置に平行となるように延設される。一対のレール部材31・31の離間は、少なくとも人孔蓋1及び人孔10の開口部11の外径よりも大きくなるように配置されている。
【0022】
レール部材31には、人孔蓋開閉器2の車輪23が当接される水平面状のレール面31aが長手方向に沿って形成され、このレール面31aの短手方向の両縁部にレール面31aより上方に突出する立壁面31bが立設されている。本実施例では、断面略H字型の部材が用いられている。本実施例のレール本体部30は、一対のレール部材31・31においてレール面31a・31aが同一平面状に位置するように配設されており、かかるレール面31a・31aにより人孔蓋開閉器2の移動面が形成されている。人孔蓋開閉器2は、それぞれ一組の車輪23・23がレール面31aに当接した状態でレール部材31に上載され、レール面31a・31aにより形成される移動面を立壁面31bにてガイドされながら移動される。
【0023】
本実施例のレール部材31には、両端部位置に後述する水平レベル調整部32を取り付けるための取付孔31f・31f・・・が穿設され、この取付孔31fに水平レベル調整部32の連結部材32bが螺挿されることで水平レベル調整部32が取り付けられる(図3参照)。取付孔31fは、一対のレール部材31・31の各両端部位置にそれぞれ穿設されており、水平レベル調整部32は、人孔蓋開閉器用レール3の設置面の表面状態に応じて任意の取付孔31fに取り付けられる。
【0024】
連結部材33は、断面略L字型の部材が用いられ、一対のレール部材31・31の間に橋設されている。具体的には、連結部材33は、両端部が一対のレール部材31・31の対向する側面に配設された取付リブ31c・31c・・・にボルト・ナット等よりなる止金具31d・31eにて締結されている(図3及び図4参照)。本実施例のレール本体部30では、連結部材33がレール部材31の長さ方向(X方向)に沿って三カ所に設けられており、具体的には、レール部材31の長さ方向の両端部位置にそれぞれ設けられるとともに、一方の端部位置に設けられた連結部材33に近接する位置に残りの連結部材33が設けられている。
【0025】
本実施例のレール本体部30には、一方の端部位置とこれに近接する位置とに設けられた一組の連結部材33・33によって、人孔10より開閉移動された人孔蓋1を上載支持する支持台部が形成されている(図2参照)。そのため、かかる支持台部を構成する一組の連結部材33・33は、一方の端部位置に設けられる連結部材33に対して、少なくとも人孔蓋1の外径よりも小さい離間となる位置に他方の連結部材33が設けられている。
【0026】
また、レール本体部30には、後述する墜落防止枠4を着脱自在に支持する支持部材34が設けられている。支持部材34は、上部が開口された内部中空の円柱形状に形成され、底部に取付固定用の突出軸部34aが突設されている。支持部材34は、一対のレール部材31・31の対向する側面に配設された取付リブ31c・31c・・・にそれぞれナット等よりなる止金具31eにて突出軸部34aが締結されることで着脱自在に取り付けられている。本実施例では、墜落防止枠4の形状に合わせて4個の支持部材34・34・・・が設けられている。なお、一対のレール部材31・31の一方の端部位置に配設された取付リブ31c・31cには、止金具31eにて支持部材34が締結されることで連結部材33が取り付けられる(図3及び図5参照)。
【0027】
支持部材34・34・・・には、対応する墜落防止枠4の支柱部材40・40・・・がそれぞれ挿脱自在に挿入される。このようにして、レール本体部30に墜落防止枠4が着脱自在に支持されるため、人孔蓋開閉器用レール3の移動時や収納時などに墜落防止枠4を容易に取り外すことができ、かかる作業性や収納性が向上される。
【0028】
また、レール本体部30には、一方のレール部材31に図示せぬ安全帯用のセフティロック等を取り付けるための取付ポール36が設けられている。取付ポール36は、レール部材31のレール面31aに着脱自在に取り付けられる。
【0029】
ここで、水平レベル調整部32の構成について、以下に詳述する。
図2、図3、図5及び図6に示すように、水平レベル調整部32は、レール本体部30と設置面との間に配設され、一対のレール部材31・31により形成される人孔蓋開閉器2の移動面の水平状態を調整可能に伸縮自在に構成されている。具体的には、水平レベル調整部32は、設置面に当接されるベース部材32aと、一端がベース部材32aに連結され、他端がレール本体部30に伸縮自在に連結される連結部材32b等とで構成されている。
【0030】
水平レベル調整部32は、レール本体部30と設置面との間の少なくとも一の端部位置に配設され、本実施例では、計4個の水平レベル調整部32・32・・・がレール本体部30の一対のレール部材31・31の両方の端部位置にそれぞれ配設されている(図2参照)。ただし、水平レベル調整部32の配設位置はこれに限定されない。
【0031】
ベース部材32aは、平面視略矩形の板状部材として形成され、一方の表面に設けられた連結ブラケット32cを介して連結部材32bと接続される。ベース部材32aは、設置面に直接又は間接に当接され、本実施例では、設置面との間にゴム製の板状のスぺーサ部材35が介設されて設置面に間接に当接されている(図1参照)。このように、ベース部材32aと設置面との間にゴム製のスペーサ部材35が介設されることで、例えば、設置面が傾斜面等であってもずれたり滑り落ちたり等することなく安定して人孔蓋開閉器用レール3を設置させることができる。なお、このスぺーサ部材35は、ベース部材32aに一体に取り付けられてもよく、別体として用いられてもよい。
【0032】
連結部材32bは、軸部の周面に雄ねじが螺刻されたねじ部材として形成され、本実施例では、軸部の全周面が螺刻された全ねじが用いられている(図6参照)。連結部材32bの一方の端部には、連結リブ32dが突設され、ベース部材32aの連結ブラケット32cにボルト・ナット等よりなる止金具32eにて連結リブ32dが締結されることで、連結部材32bに対してベース部材32aが揺動自在に連結される。このように、連結部材32bに対してベース部材32aが揺動自在に連結されることで、傾斜面のある箇所であっても人孔蓋開閉器用レール3を安定して設置させることができる。
【0033】
水平レベル調整部32は、上述したレール部材31に穿設された取付孔31fに連結部材32b(の他方の端部)が人孔蓋開閉器用レール3の設置面側から螺挿されることでレール本体部30(のレール部材31)に取り付けられる。本実施例のレール部材31には、レール面31aの設置面側の取付孔31fにナット31gが溶着されており、連結部材32bは、取付孔31f及びナット32gに対して挿脱自在に螺挿され、水平レベル調整部32がレール本体部30(のレール部材31)に対して着脱自在とされている(図3等参照)。
【0034】
連結部材32bが取り付け方向に回転されて取付孔31f及びナット32gに螺挿されるにつれてレール本体部30(のレール部材31)とベース部材32aとの離間が縮小されて小さくなり、一方、連結部材32bが取り外し方向に回転されるにつれてレール本体部30(のレール部材31)とベース部材32aとの離間が伸長されて大きくなる。このように、本実施例の水平レベル調整部32は、レール本体部30に対して連結部材32bが伸縮自在に取り付けられるため、人孔蓋開閉器用レール3が設置された状態でレール本体部30と設置面との離間を変更して、人孔蓋開閉器の移動面の水平状態を調整することができる。
【0035】
すなわち、本実施例のように人孔蓋開閉器用レール3が設置面として傾斜面のある箇所に設置され、長さ方向(X方向)が傾斜面の傾斜方向に沿うようにして設置される場合には、傾斜面の下方位置にある水平レベル調整部32・32において、連結部材32bが取り外し方向に回転されてレール本体部30とベース部材32aとの離間が伸長されて人孔蓋開閉器2の移動面の水平状態が調整され、かかる移動面が水平になるように維持される(図1参照)。このとき、各ベース部材32aは、設置面に沿うように揺動され、スペーサ部材35を介して設置面に間接に当接される。
【0036】
図1及び図2に示したように、墜落防止枠4は、人孔蓋開閉移動装置100により人孔蓋1が取り外された人孔10の周囲を囲繞して、開口部11への墜落を防止するための防止枠として構成され、上述したレール本体部30に設けられた支持部材34に支持されて、人孔蓋開閉器用レール3に取り付けられる。本実施例の墜落防止枠4は、パイプ状の4個の支柱部材40・40・・・を支柱にして複数のパイプ状の部材が矩形状に組み付けられて一の枠体が構成されている。
【0037】
具体的には、墜落防止枠4は、一対の支柱部材40・40が横枠部材41により矩形状に連結されて元枠部4aが構成され、元枠部4aに対して、他の一の支柱部材40と縦枠部材42とが横枠部材41により矩形状に連結されて一組の可動枠部4b・4bが構成されている。元枠部4aの対応する支柱部材40に可動枠部4bの縦枠部材42が固定金具43を介して連結され、元枠部4aに対して各可動枠部4b・4bが固定金具43を中心に揺動自在に取り付けられる。
【0038】
人孔蓋開閉器用レール3に墜落防止枠4を取り付ける際には、元枠部4aに対して可動枠部4b・4bがそれぞれ同一方向に向くように揺動操作され(図2参照)、かかる状態で人孔蓋開閉器用レール3のレール本体部30に設けられた支持部材34に各支柱部材40が挿入される。
【0039】
次に、図7及び図8を参照しながら、本実施例の人孔蓋開閉移動装置100の操作方法について、以下に説明する。
まず、人孔蓋1を跨ぐようにして人孔蓋開閉器用レール3が設置面に設置される。このとき、人孔蓋開閉器用レール3では、各水平レベル調整部32・32・・・が操作されて、人孔蓋開閉器2の移動面が水平になるように調整される。そして、人孔蓋開閉器2の移動面の水平状態が調整された人孔蓋開閉器用レール3のレール本体部30に、人孔蓋開閉器2が上載される(図7(a)参照)。
【0040】
次いで、人孔蓋開閉器2が人孔蓋1の直上位置まで移動されて、昇降機構部21の昇降操作部26に設けられたハンドル28が操作されて係止鉤27が下動される。所定位置まで係止鉤27が下動されると、一対の昇降機構部21・21の係止鉤27・27が人孔蓋1の係止部1a・1aにそれぞれ係止される。かかる状態で、昇降操作部26・26のハンドル28・28が操作されて、人孔蓋1が水平に近くなるようにして徐々に吊り上げられることで、人孔10の開口部11が開口される(図7(b)参照)。
【0041】
人孔10内で作業を行う際には、人孔蓋1が垂下支持された状態で、人孔蓋開閉器2が人孔10の開口部11を露出させる所定の待避位置まで移動され、昇降操作部26・26のハンドル28・28が操作されて人孔蓋1が徐々に吊り下げられて、レール本体部30の連結部材33・33(支持台部)上に一時的に載置支持される(図8(a)参照)。そして、レール本体部30上に載置された人孔蓋1の係止部1a・1aより係止鉤27・27が外されて、人孔蓋開閉器用レール3のレール本体部30より人孔蓋開閉器2が取り外されるとともに、レール本体部30に支持部材34、墜落防止枠4及び取付ポール36が取り付けられる(図8(b)参照)。
【0042】
一方、人孔10内での作業が終了すると、上述した作業手順の逆の操作が行われて人孔蓋1が人孔10の開口部11に布設される。つまり、人孔蓋開閉器用レール3より墜落防止枠4等が取り外され、レール本体部30に人孔蓋開閉器2が載置される。そして、人孔蓋1を吊り上げた人孔蓋開閉器2が人孔蓋1の直上位置まで移動され、昇降操作部26・26のハンドル28・28が操作されて人孔蓋1が徐々に吊り下ろされて人孔10の開口部11に掛けられる。
【0043】
以上のように、本実施例の人孔蓋開閉器用レール3は、人孔蓋開閉器2を水平方向に移動可能に載置させる人孔蓋開閉器用レール3であって、人孔蓋1を挟む対向位置に平行延設され、人孔蓋開閉器2が上載される一対のレール部材31・31を有するレール本体部30と、レール本体部30と設置面との間の少なくとも一の端部位置に配設される伸縮自在の水平レベル調整部32と、を具備してなるため、設置面の表面状態によらずに人孔蓋開閉器2を円滑に移動させることができ、人孔蓋1の開閉移動の作業性を向上できるのである。
【0044】
すなわち、本実施例の人孔蓋開閉器用レール3は、レール本体部30と設置面との間に配設され、一対のレール部材31・31により形成される人孔蓋開閉器2の移動面の水平状態を調整可能に伸縮自在に構成された水平レベル調整部32が設けられるため、例えば、段差部や傾斜面のある箇所や軟弱地盤が露出した未舗装の箇所などであっても、水平レベル調整部32を伸縮させてレール本体部30と設置面との離間を調整することができるため、人孔蓋開閉器用レール3においてレール本体部30を水平状態に維持して設置することができる。そのため、人孔蓋開閉器を円滑に移動させることができ、さらには人孔蓋開閉器2が自重により暴走したり転倒したりするのを防止して、人孔蓋1の開閉移動の作業効率を向上できる。
【0045】
特に、本実施例の人孔蓋開閉器用レール3は、レール本体部30に人孔10の開口部11への墜落防止枠4を着脱自在に支持する支持部材34が設けられているため、人孔蓋1の布設や、地下構造物の点検又は配線類の配設・交換などの作業を行う際などに、人孔蓋開閉器用レール3を設置した状態のままで墜落防止枠4を施設することができ、また再び人孔10に人孔蓋1を布設し直す際に人孔蓋開閉器用レール3の移動・設置の手間を省くことができ、かかる人孔蓋1の開閉移動の作業効率をより向上できる。
【0046】
なお、人孔蓋開閉器用レール3及び人孔蓋開閉移動装置100の構成としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0047】
すなわち、上述した実施例の人孔蓋開閉器用レール3は、設置面として傾斜面のある箇所に設置され、人孔蓋開閉移動装置100の長さ方向(X方向)が傾斜面の傾斜方向に沿うようにして設置される場合の構成について説明したが、かかる人孔蓋開閉器用レール3の設置場所は、これに限定されない。例えば、図9に示す実施例のように段差部のある箇所であってもよい。かかる場合には、段差部の下方位置にある水平レベル調整部32・32において、連結部材32bが取り外し方向に回転されてレール本体部30とベース部材32aとの離間が伸長されて人孔蓋開閉器2の移動面の水平状態が調整され、かかる移動面が水平になるように維持される。その他に、設置面として傾斜面のある箇所であって人孔蓋開閉移動装置100の幅方向(Y方向)が傾斜面の傾斜方向に沿うようにして設置されたり、軟弱地盤が露出した未舗装の箇所に設置されたりしてもよい。
【0048】
また、上述した実施例の人孔蓋開閉器用レール3は、計4個の水平レベル調整部32・32・・・がレール本体部30の一対のレール部材31・31の両方の端部位置にそれぞれ配設されるが、かかる水平レベル調整部32の配置構成はこれに限定されない。すなわち、水平レベル調整部32は、レール本体部30と設置面との間の少なくとも一の端部位置に配設されればよく、例えば、設置面の表面状態に応じて、一対のレール部材31・31の一方の端部位置や、一方のレール部材31・31の両方の端部位置や、一対のレール部材31・31の端部位置の内いずれか一の端部位置などに配設されてもよい。
【0049】
なお、上述した水平レベル調整部32の配置構成に関し、レール部材31の端部位置に水平レベル調整部32が配設されない場合には、人孔蓋開閉器用レール3が設置される際には、かかるレール部材31の端部が設置面に直接又はスペーサ部材35を介して間接に当接される。
【0050】
また、上述した実施例の人孔蓋開閉器用レール3は、水平レベル調整部32が設置面に当接されるベース部材32aと、一端がベース部材32aに連結され、他端がレール本体部30に伸縮自在に連結される連結部材32b等とで構成されるが、かかる水平レベル調整部32の構成はこれに限定されない。特に、連結部材32bの構成としては、軸部の周面に雄ねじが螺刻されたねじ部材だけでなく、例えば、ネジ式・油圧式等のパンタグラフ型ジャッキ部材や油圧型ジャッキ部材などを用いることができる。
【0051】
また、上述した実施例の人孔蓋開閉器用レール3は、墜落防止枠4を着脱自在に支持する支持部材34が設けられるが、その形状や配置構成については特に限定されず、墜落防止枠4の支柱部材40の対応する形状や位置に設けられればよい。
【符号の説明】
【0052】
1 人孔蓋
2 人孔蓋開閉器
3 人孔蓋開閉器用レール
4 墜落防止枠
10 人孔
11 開口部
20 移動台車
30 レール本体部
31 レール部材
31a レール面
31b 立壁面
31c 取付リブ
31d 止金具
31e 止金具
31f 取付孔
32 水平レベル調整部
32a ベース部材
32b 連結部材
32c 連結ブラケット
32d 連結リブ
32e 止金具
33 連結部材
34 支持部材
100 人孔蓋開閉移動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人孔蓋開閉器を水平方向に移動可能に載置させる人孔蓋開閉器用レールであって、
人孔蓋を挟む対向位置に平行延設され、人孔蓋開閉器が上載される一対のレール部材を有するレール本体部と、
前記レール本体部と設置面との間の少なくとも一の端部位置に配設される伸縮自在の水平レベル調整部と、
を具備してなることを特徴とする人孔蓋開閉器用レール。
【請求項2】
前記レール本体部は、人孔開口部への墜落防止枠を着脱自在に支持する支持部材を設けた請求項1に記載の人孔蓋開閉器用レール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−112135(P2012−112135A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260626(P2010−260626)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(598132727)株式会社インテ (4)
【Fターム(参考)】