説明

人工呼吸器回路内の相対湿度を検出するためのデバイス

【課題】人工呼吸器回路内の相対湿度を検出するためのデバイスを提供する。
【解決手段】デバイス(10)は、透明な要素(12)により外側に向かって閉締し、前記デバイス(10)が適用される装置を通過する湿潤ガスに対し透過性の薄膜(14)により内側に向かって閉締する筺体(11)を備える。該筺体(11)は、内側に湿度指示要素(13)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麻酔中および集中治療室の患者の換気に使用される人工呼吸器回路内の相対湿度を検出するためのデバイスに関する。
【0002】
本発明のデバイスは、例えば、HME(熱湿度交換器)またはHME濾過デバイスにうまく適用することができる。
【0003】
HMEの手段による受動型加湿のための装置などの医療装置は、加湿効率を即時に検証することができない。
【0004】
医療装置の使用者は、例えば、HMEにおける湿度の値が到達する値を評価するために自由に使用できる直観的手段を有しない。
【0005】
例えば、既知のように、麻酔中および集中治療室の制御された換気下の患者の加湿は、熱湿度交換器(HME)、能動的加湿器、または併用方法によって、実行される。
【0006】
現在使用されているこれらの方法は、水滴により示される飽和は別として、到達する湿度レベルを即時に可視的に制御することができない。通常、製造業者は、取扱説明書に示される、患者に放出される(または戻らない)湿度に基づき、製品認証中に試験を実施する。
【0007】
いずれにせよ、使用者は、瞬時に、および直観的に、入手可能な様々な製品の該値の正確さを認証し、効率を比較するためのいかなる手段も有しない。
【0008】
従って、本発明は、使用者が例えば熱湿度交換器(HME)、能動的加湿器、または他の併用方法などの加湿装置の加湿効率を速やかに特定でき、一般に、いずれの医療デバイスの内側で到達される湿度レベルの表示を提供し、複雑な測定器具を使用することなく、患者の加湿状態を健康管理者に見えるようにする、デバイスに言及する。
【0009】
本目的のために、銅塩類またはコバルト塩類に基づく、縞模様状の湿度インディケータなどの湿度を示す手段が使用される。
【0010】
銅塩類は、コバルト塩類より毒性が少ないという利点を有し、従って該銅塩類は、通常48時間持続する用途のための医療装置に使用することができる。
【0011】
いずれの場合でも、本発明は、例えば、水蒸気のみが横切ることのできるGoretex(登録商標)などの半透過性薄膜の防護壁を使用することを提供し、銅またはコバルト塩類により、患者が汚染されることを防ぐ。
【0012】
湿度レベルを表示するための手段は、組み立て段階中に本発明のデバイスの内側に挿入される。
【0013】
HMEの場合、例えば、検出デバイスは、湿度レベルが患者に最も近い点で表示されるように、HME自体のケースの内側、特に患者側の半分の外郭の内側に配置される。健康管理者がインディケータを見ることができるようにするために、塩類で披覆されたストリップは、上記に記載の半分の外郭の壁に面する反応性部分を有していなければならない。インディケータのストリップを半分の外郭に挿入し、接着剤などの固定剤を使用すること
を回避すると同時に、ストリップが適所に留まるようにするために適した筺体が提供され、後者は、呼吸ガスと接触状態になり、その結果として湿度含有量に従って色を変化させるために、固着されていない状態でなければならないストリップの表面を披覆する欠点を有する場合がある。
【0014】
同様に、デバイスは、デバイスを離れ、人工呼吸器に向かって流れる呼吸ガスの湿度レベルを表示するために、人工呼吸器側の半分の外郭に収容することができる。
【0015】
この位置での湿度レベルは、HMEが患者側の水分および熱を保持するため、患者側より低い。こちら側にもインディケータが存在することによって、デバイスが正常に機能している、すなわち、適切な加湿レベルが患者に有効であることを使用者が確認できる。
【0016】
同一原理を適用することによって、本発明の主題である、湿度を表示するためのデバイスは、湿度レベルの測定が必要とされるいずれの医療装置の内側の位置、例えば、麻酔中および集中治療室の患者の換気のために使用される人工呼吸器回路の内側のいずれの部分にも取り付けることができる。
【0017】
従って、湿度レベルが測定される装置の外壁の周辺では、筺体は、本発明の主題であるデバイスの取り付けを可能にするために、湿度指示要素が使用者にとって可視であると同時に、呼吸ガスの流れに接触することができ、必要に応じて、患者と表示手段との間に、直接接触することを防ぐための保護手段を提供する位置に提供されなければならない。
【0018】
本発明は、いずれのデバイスの内側で到達される湿度レベルを表示すること、および加湿器デバイスの効率を表示することを可能にする。本発明は、別の方法では入手できない、直接表示するための手段をオペレータに提供し、製造業者が示す性能を検証するだけでなく、湿度パラメータに関する患者の状態を監視することを可能にする。
【0019】
以下の非制限的な実施形態の2つの実施例の添付図面を参照し、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】麻酔中および集中治療室の患者の換気に使用される呼吸回路のいずれの部分の内側に加えられる湿度を検出するための本発明のデバイスを示す。
【図2】HMEを備える装置に適用される図1に図示されるものと類似のデバイスを示す。
【0021】
図1では、10は、例えば、HMEまたはHME濾過装置100(図2、以下参照)で使用される、湿度を検出するための装置を示す。
【0022】
図1を参照すると、デバイス10は、透明なレンズ12により外側に向かって閉締する筺体11を備える。
【0023】
筺体11は、湿度指示要素13によって、2つのチャンバCH1、CH2に分割される。
【0024】
より具体的には、チャンバCH1は、該湿度指示要素13と、デバイス10が適用される装置(図示せず)を通過する湿潤ガスに対して透過的な薄膜14と、の間に位置する。
【0025】
必ずしも必要ではないが、薄膜14は、Goretex(登録商標)から有利に作製される。
【0026】
同様に、チャンバCH2は、湿度指示要素13と、必ずしも必要ではないが、好ましくは、要素13上に存在する可視的情報を拡大するレンズ12と、の間に位置する。
【0027】
さらに、湿度指示要素13は、通過するガスの相対湿度レベルの変化を基準に色を変化させる物質13aの少なくとも1つで含浸される支持体を備える。本発明で使用される特定の物質13aは、湿度レベルが最初に検出された値にリセットされると、それらの元の色に戻る特性を有するという意味では、色の変化は可逆的である。
【0028】
色を変化させる物質13aは、例えば、銅塩類またはコバルト塩類、もしくは該2つの塩類の混合物であってもよい。
【0029】
さらに、湿度指示要素13の支持体は、ガスに対して透過性であってよく、例えば、布地であってもよいが、通過するガスのそれぞれの湿度レベルは、要素13の特定の色と関連し、さらに、この色は、観測者(OBS)からレンズ12を通して外側から可視であるということが重要である。
【0030】
従って、湿度指示要素13の色が変化する際、観測者(OBS)は、通過する呼気/吸気ガスの湿度レベルを確証することができる。
【0031】
前述されるように、湿度レベルの変化に従って表面全体が自由に反応できるように、湿度指示要素13を筺体11に固定するために接着剤を使用することを避けることが望ましい。
【0032】
この理由のために、要素13が挿入されるスリット配置15が筺体11上に提供される。
図1のデバイス10の特定の用途を図2に図示する。
【0033】
図2は、既知の方法で、中間部でフィルター102(HME要素と共に提供される)によって占有される中央容器101を備える、HMEまたはHME濾過装置100を示す。
【0034】
同様に、中央容器101は、2つの意図的な形状の部分を備える。さらに、中央容器は、第1のダクト103によって患者側(PS)に接続され、少なくとも1つの第2のダクト104によって人工呼吸器側(VS)に接続される。
【0035】
図2に示されるように、水蒸気と混合したガスの呼気流FL1は、呼気流FL1から、いかなる微小生物も除去するフィルター102を横切り、フィルター102がHME要素を装備する場合、呼気流FL1は、熱および湿度のHME粒子を内側に放出し、該粒子は、呼気流FL1と逆の吸気流FL2が生じる際に、続く吸気段階中に回収される。
【0036】
図1に示されるものと類似するデバイス10は、患者側(PS)の中央容器101の壁106上に得られるシート105に収納される。レンズ12は、壁106と続くように配置される。
【0037】
デバイス10が患者側(PS)に配置される場合、これは、熱湿度交換器(HME)、能動的加湿器、または他の併用方法などの加湿器デバイスの加湿効率を即時に特定するため、および一般に、いずれの医療デバイスの内側で到達される湿度レベルを表示するために有用である。
【0038】
このようにして、例えば熱湿度交換器(HME)、能動的加湿器、または他の併用方法などの加湿装置の性能に関する製造業者の公表の真実を瞬時に、かつ直観的に検証するこ
とが可能であり、使用者が市場に出回る様々な製品の効率を比較できるようになる。
【0039】
さらに、デバイス10は、HMEまたはHME濾過装置100を離れ、人工呼吸器に向かって流れる呼吸ガスの湿度レベルを表示するために、同一の方法で人工呼吸器側(VS)の半分の外郭に位置することができる。この位置での湿度レベルは、HME要素が患者側(PS)の湿度および熱を保持するため、患者側(PS)より低い。人工呼吸器側(VS)にもデバイスが存在することによって、使用中に、HMEまたはHME濾過装置100が正常に機能している、すなわち、適切な加湿レベルが患者に有効であることを使用者が確認するために役立つ。
【0040】
さらに、デバイス10の人工呼吸器側(VS)での使用により、人工呼吸器を損傷する可能性のある凝結物が形成される可能性を、瞬時に、かつ正確に監視することを提供する。
【0041】
本発明の主題のデバイスの主な利点は、熱湿度交換器(HME)、能動的加湿器、または他の併用方法などの加湿装置の加湿効率を即時に特定し、一般に、複雑な測定機器を使用することなく、患者の加湿状態が健康管理者に可視となるように、いずれの医療デバイスの内側で到達される加湿レベルを表示できるようにするということにある。
【0042】
本デバイスのさらなる利点は、保護薄膜により、湿度指示要素上に存在する塩類の粒子が、患者の人工呼吸器回路に入らないということにある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸回路内の相対湿度を検出するためのデバイス(10)であって、
透明な要素(12)により外側に向かって閉締し、且つ前記デバイス(10)が適用される装置を通過する湿潤ガスに対して透過性の薄膜(14)により内側に向かって閉締する筺体(11)を備え、
前記筺体(11)は、内側に湿度指示要素(13)を含む
ことを特徴とする、デバイス(10)。
【請求項2】
前記筺体(11)は、第1(CH1)および第2のチャンバ(CH2)に分割され、
前記第1のチャンバ(CH1)は、前記湿度指示要素(13)と前記薄膜(14)との間に位置し、
前記第2のチャンバ(CH2)は、同様に、前記湿度指示要素(13)と前記透明な要素(12)との間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記透明な要素(12)は、前記湿度指示要素(13)上に存在する可視的情報を拡大するレンズ(12)である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記湿度指示要素(13)は、前記通過するガスの相対湿度レベルで様々に色が変化する、少なくとも1つの物質で含浸された支持体を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
使用される特定の物質が、前記湿度レベルが最初に検出された値にリセットされると、それらの元の色に戻る特性を有するという意味で、前記色の変化は可逆的である
ことを特徴とする請求項4に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
色が変化する前記物質は、銅塩類またはコバルト塩類、もしくは前記2つの塩類の混合物を含む
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記湿度指示要素(13)の前記支持体は、前記ガスに対して透過性である
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記筺体(11)のスリット配置(15)は、前記湿度指示要素(13)が挿入される場所に提供される
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のデバイス(10)を少なくとも1つ備える
ことを特徴とするHMEまたはHME濾過装置(100)。
【請求項10】
患者側(PS)にデバイス(10)を少なくとも1つ備える
ことを特徴とする請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
人工呼吸器側(VS)にデバイス(10)を少なくとも1つ備える
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の装置(100)。
【請求項12】
集中治療室(ICU)のための換気システムであって、請求項9から請求項11のいず
れか一項に記載のHMEまたはHME濾過装置(100)を少なくとも1つ備える
ことを特徴とする換気システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−189851(P2009−189851A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35220(P2009−35220)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(507253897)コヴィディエン アクチエンゲゼルシャフト (11)