説明

人工呼吸器用圧力調節装置およびこのような圧力調節装置を用いた人工呼吸器

【課題】調整操作部材36の回動操作が全体として簡単であり、調整操作部材36、調整作動部材34、35などが破損するおそれがないにもかかわらず、調整作動部材34、35の不必要な作動を確実に防止することができる人工呼吸器用の圧力調節装置を提供する。
【解決手段】吸気ガス用入口部22と吸気ガス用出口部23との間のガス通路に臨んでいる調節弁31と、調節弁31を弁座部42に弾性的に付勢する弾性附勢手段32とを備えている。調整操作部材36は、その復動時には、空回りするとともに、引っ張り出されたときには、その回動操作によって調整作動部材34、35を作動させるので、弾性附勢手段32の弾性付勢力が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸補助を必要とする患者にガスを送る蘇生装置などの人工呼吸器に用いるための圧力調節装置に関するものである。また、本発明は、このような圧力調節装置を用いた人工呼吸器にも関するものである。
【0002】
呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置は、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されている圧力調節装置(以下、「特許文献1の圧力調節装置」という。)は、吸気ガス用の入口部、吸気ガス用の出口部および第3の通気口部をそれぞれ有するハウジング機構を備えている。また、この特許文献1の圧力調節装置は、吸気ガス用入口部と吸気ガス用出口部との間のガス通路に臨むように、ハウジング機構のほぼ円筒形状の弁ハウジング内に配設された調節弁と、調節弁を弁ハウジング内に設けた弁座部に対して弾性的に付勢するコイルばねと、コイルばねの弾性付勢力を調整するために回転操作される調整操作キャップとをさらに備えている。そして、調整操作キャップは、弁ハウジングの筒状部の外周面に形成されたねじ部にねじ込まれている。また、弁ハウジングの筒状部には、上記第3の通気口としてのガス放出口が形成されている。そして、ガス通路を流れるガスの圧力と、ねじ部に対する調整操作キャップのねじ込みまたはねじ戻しの量とに応じて調整弁が開閉するので、ガス通路を流れるガスがこの開閉状態に応じてガス放出口部から部分的に外部に流出する。さらに、調整操作キャップが不必要に回動するのを防止するために、上記筒状部には、この調整操作キャップを覆うように、回動防止用の係止キャップが着脱自在に嵌め込まれる。
【特許文献1】特開2002−239006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のように構成された特許文献1の圧力調節装置の場合には、操作者などが手で触れたときなどに調整操作キャップが不必要に回動するのを防止するためには、調整操作キャップを回動防止用係止キャップによって覆う必要がある。また、調整操作キャップをねじ込みまたはねじ戻しするためには、回動防止用係止キャップを調整操作キャップから取り外す必要がある。したがって、回動防止用係止キャップが余分に必要なために部品点数が多くなるだけでなく、回動防止用係止キャップを取り外してから調整操作キャップを回動操作する必要があるとともに、この回動操作後には回動防止用係止キャップを再び取り付ける必要があるから、調整操作キャップの回動操作が全体として煩雑である。また、回動防止用係止キャップの取り外しおよび取り付けの際にも調整操作キャップが不必要に回動するおそれがあり、さらに、回動防止用係止キャップを紛失してしまう可能性もあるから、調整操作キャップの不必要な回動を確実に防止する観点からも、問題がある。
【特許文献1】特開2002−239006号公報
【0004】
本発明は、特許文献1の圧力調整装置における上述のような欠点を、比較的簡単な構成でもって、効果的に是正し得るようにしたものである。
【特許文献1】特開2002−239006号公報
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、その第1の観点においては、呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置において、第1の通気口部、第2の通気口部および第3の通気口部をそれぞれ有しかつ上記第1の通気口部および第2の通気口部のうちの一方の通気口部が吸気ガス用の入口部として用いられることができるとともに他方の通気口部が吸気ガス用の出口部として用いられることができるハウジング機構と、上記第1の通気口部と上記第2の通気口部との間のガス通路に臨むように上記ハウジング機構に配設された調節弁と、上記調節弁を上記ハウジング機構に設けた弁座部に弾性的に付勢する弾性付勢手段と、上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動される調整作動部材と、上記調整作動部材を作動させるために回動操作される調整操作部材とをそれぞれ備え、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも低いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を閉塞するとともに、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも高いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を開放して、上記ガス通路のガスが上記第3の通気口部を流れるように構成され、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動しているときには、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して空回りするように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して引っ張り出されたときには、上記調整操作部材の回動操作によって上記調整作動部材が作動して、上記弾性付勢手段の弾性付勢力が調整されるように構成されていることを特徴とする圧力調節装置に係るものである。そして、本発明は、その第2の観点においては、上記第1の観点における圧力調節装置によってガス圧が調節されるように構成されていることを特徴とする人工呼吸器に係るものである。
【0006】
また、本発明の上記第1および第2の観点における第1の態様によれば、上記調整作動部材が、上記ハウジング機構にそれぞれ配設された第1の調整作動部材および第2の調整作動部材を備え、上記第1の調整作動部材が、上記調整操作部材の回動操作によって回動して、上記第2の調整作動部材を回動させるように構成され、上記第2の調整作動部材が、その回動によって、上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動するように構成されている。この場合、上記調整操作部材が調整操作キャップであり、上記調整操作キャップが上記第1の調整作動部材の頭部に被せられているのが好ましい。
【0007】
また、本発明の上記第1および第2の観点における第2の態様によれば、上記調整操作部材が第1の係合部を備え、上記調整作動部材が第2の係合部を備え、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動している復動位置にあるときには、上記調整操作部材の上記第1の係合部と上記調整作動部材の上記第2の係合部との相互の係合が解除されていて、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して空回りするように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して上記復動位置から引っ張り出されたときには、上記第1の係合部と上記第2の係合部とが相互に係合することによって、上記調整操作部材の回動操作が上記調整作動部材に伝達されて、上記調整作動部材が作動するように構成されている。さらに、本発明の上記第1および第2の観点における第3の態様によれば、上記第3の通気口部に連なっている開口が上記調整操作部材の頂面部に形成されている。
【0008】
また、本発明の上記第2の観点における第4の観点によれば、上記圧力調整装置の上記吸気ガス用出口部に連結されることができる第2の吸気ガス用入口部を有するフェイスマスクをさらに備え、上記圧力調節装置の上記第1の通気口部および上記第2の通気口部のいずれもが上記フェイスマスクの上記第2の吸気ガス用入口部を選択的に連結し得るように構成され、上記第1および第2の通気口部のうちの、上記第2の吸気ガス用入口部を連結した通気口部が、上記圧力調節装置の上記吸気ガス用出口部として機能するように構成されるとともに、他方の通気口部が上記圧力調節装置の上記吸気ガス用入口部として機能するように構成されている。この場合、上記圧力調節装置の上記第1の通気口部の軸心が上記第2の通気口部の軸心に対して成す角度が、85°〜95°の範囲であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1および6に係る発明によれば、調整操作部材が不必要に回動するのを防止するために、回動防止用係止キャップによって調整操作部材を覆う必要がないから、調整操作部材の回動操作が全体として簡単である。また、調整作動部材の不必要な作動を確実に防止する観点からも、なんら問題がない。さらに、調整操作部材が調整作動部材に対して復動しているときには、調整操作部材は調整作動部材に対して空回りするから、調整操作部材の回動が強制的に阻止される場合のように、調整操作部材を大きな力で回動させようとするおそれがなく、このために、調整操作部材、調整作動部材などが破損するおそれがない。
【0010】
また、請求項2に係る発明によれば、調整操作部材の回動操作によって、第1の調整作動部材が回動し、この第1の調整作動部材の回動によって、第2の調整作動部材が弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動するようにしたので、弁座部に対する調節弁の圧着状態を調整する動作を確実かつ円滑に行うことができる。
【0011】
また、請求項3に係る発明によれば、第1の調整作動部材に対して調整操作部材を容易かつ確実に回動操作することができるとともに、第1の調整作動部材に対する調整操作部材の回動伝達および空回りを行うための連動・連動解除機構を第1の調整作動部材および調整操作部材の間に簡単かつ確実に構成することが可能である。
【0012】
また、請求項4に係る発明によれば、調整作動部材に対する調整操作部材の回動伝達および空回りを行うための連動・連動解除機構の構成を簡単にかつ動作を確実にすることが可能である。
【0013】
また、請求項5に係る発明によれば、調整操作部材の頂面部に形成されている開口を操作者が指などで断続的に閉塞することによって、患者の呼吸回数を調節することが可能である。それでいて、操作者が指などで開口を閉塞するときに調整操作部材の頂面部を力強く押しても、調整操作部材が調整作動部材に対して空回りするから、調整作動部材が不必要に作動するおそれがない。
【0014】
また、請求項7に係る発明によれば、圧力調節装置の操作者は、この圧力調節装置を2通りの使用状態で使用することができるので、この2通りの使用状態のうちの自分に都合のよい使用状態で、圧力調節装置を使用することができて、好都合である。さらに、請求項8に係る発明によれば、上記2通りの使用状態のうちのいずれの使用状態で使用しても、使用勝手が比較的良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、本発明をTピース蘇生装置の圧力調節装置に適用した第1および第2の実施例を、「A、第1の実施例」および「B、第2の実施例」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
A、第1の実施例
まず、本発明の第1の実施例を、「1、Tピース蘇生装置全体の概略的構成」、「2、圧力調節装置の構成」、「3、圧力調節装置の動作」および「4、Tピース蘇生装置の使用方法」に項分けして、図1〜図7を参照しつつ説明する。
【0017】
1、Tピース蘇生装置全体の概略的構成
Tピース蘇生装置は、図6に示すように、蘇生装置本体1と、この蘇生装置本体1にガス供給チューブ2を介して吸気ガスを供給するガス源(図示せず)と、蘇生装置本体1からガス供給チューブ3を介して吸気ガスを供給される圧力調節装置4と、この圧力調節装置4に取り付けられるフェイスマスク5とを備えている。この場合、圧力調節装置4は、患者Tピースとも称されている。そして、フェイスマスク5のマスク本体5aの下面には、水泳用浮き輪を小さくしたような形状を有するリング状空気袋5bが取り付けられている。また、マスク本体5aの上面には、シリンジ(換言すれば、注射針が付いていない注射器−図示せず)などによってリング状空気袋5bに対して空気を注入したり空気を抜いたりするのに用いられる空気出し入れ用パイプ部5cが設けられている。さらに、マスク本体5aの上面のほぼ中央部には、圧力調節装置4に着脱可能に連結されるほぼ筒状の吸気ガス用入口部5dが設けられている。なお、フェイスマスク5は、気管カニューレ、鼻孔カニューレなどのカニューレであってもよい。そして、符号6は、上記ガス源の流量計であって、この流量計6は、ガス源からガス供給チューブ2を介して蘇生装置本体1に供給される吸気ガスの流量を調節するのに用いられる。また、図6においては、蘇生装置本体1およびその付近は、それ以外の部分に較べて縮小した状態で示されている。
【0018】
蘇生装置本体1には、図6に示すように、回路圧を表示する回路圧力計11と、最大開放圧を調節するのに用いられる最大開放圧調節摘み12と、吸気圧を調節するのに用いられる吸気圧調節摘み13とを備えている。また、蘇生装置本体1には、ガス導入口部14およびガス放出口部15が設けられている。そして、ガス導入口部14には、ガス供給チューブ2の終端部が接続される。また、ガス放出口部15には、ガス供給チューブ3の始端部が接続される。
【0019】
2、圧力調節装置の構成
圧力調節装置4は、図1〜図4に示すように、分岐管部21aを有するほぼT字形状の分岐管21を備えている。そして、分岐管部21aには、少なくともその先端部が円筒状などの筒状の管継手22が回転自在に取り付けられている。また、この管継手22には、図6に示すガス供給チューブ3が接続されているので、管継手22は、吸気ガス用の入口部としての吸気ガス供給口部を構成している。さらに、多岐管21の下端部には、少なくともその先端部が円筒状などの筒状の管継手23が回転自在に取り付けられている。また、この管継手23には、図6に示すフェイスマスク5の円筒状などの筒状の吸気ガス用入口部5dが着脱自在に取り付けられるので、管継手23は、吸気ガス用の出口部としての患者24に対するガス出入口部を構成している。この場合、雄型としての管継手23が雌型としての吸気ガス用入口部5dに嵌合されて取り付けられるように構成されている。したがって、管継手23の外周囲の形状(換言すれば、外径)は、吸気ガス用入口部5ddの内周囲の形状(換言すれば、内径)とほぼ一致している。また、多岐管21の中心線(換言すれば、軸心)Lが分岐管部21aおよび管継手22の中心線(換言すれば、軸心)Lと成す角度θは、図示の実施例においては、約62°である。したがって、吸気ガス用出口部としての管継手23の軸心Lが吸気ガス用入口部としての管継手22の軸心Lと成す角度θは、図示の実施例においては、約118°である。
【0020】
多岐管21の上半部の外周囲には、図1、図3および図4に示すように、外筒部材25の下半部が嵌合されて固定されている。この嵌合は、外筒部材25の下端部側から多岐管21の上端部側へ挿入することによって、行われる。なお、外筒部材25の下端付近には、分岐管部21aに対応した切欠き形状の開口26が形成されている。そして、この開口26は、外筒部材25の下端に連なっていて、この下端において幅狭部26aを有している。したがって、上記嵌合状態においては、外筒部材25は、幅狭部26aの左右両側の部分によって、分岐管部21aの下端部付近を左右両側から抱き抱えるように弾性的に把持しているので、多岐管21からの外筒部材25の抜け止めが施されている。
【0021】
外筒部材25を多岐管21に上述のように嵌合させるに先立って、呼気終末陽圧(換言すれば、PEEP)調節弁31、弾性付勢手段としての反発用のコイルばね32、ストッパ部材33および第2の調整作動部材または昇降型調整作動部材としてのばね圧調節ねじ34ならびに場合によっては第1の調整作動部材としての回動型の調整作動部材35および場合によっては調整操作部材としての調整操作キャップ36は、多岐管21および/または外筒部材25にそれぞれ予め取り付けられる。この取り付けの一例を説明すると、つぎの(a)項〜(f)項に記載のとおりである。なお、図2においては、回動型調整作動部材35および調整操作キャップ36は、斜め上方からの図と斜め下方からの図との2通りで示されている。
(a)回動型調整作動部材35を図4に示すように外筒部材25に取り付ける。この取り付けに際しては、まず、回動型調整作動部材35の作動軸部35aを外筒部材25の内部空間37に挿入する。ついで、回動型調整作動部材35のほぼリング状の突条部35bを外筒部材25の上端部に設けられた複数個の係合爪部38のそれぞれに弾性的に係合させる。
(b)ついで、ばね圧調整ねじ34を外筒部材25の内部空間37に取り付ける。この取り付けに際しては、まず、作動軸部35aの先端部を図5に示すようにばね圧調整ねじ34の係合孔41に相対的に挿入して、両者を互いに係合させる。ついで、外筒部材25に対して回動型調整作動部材35を回転させることによって、ばね圧調整ねじ34の外周面に形成されている雄ねじ部34aを外筒部材25の内周面に形成されている雌ねじ部25aにねじ込ませて、ばね圧調整ねじ34を外筒部材25に対して例えば図4に示す状態を経て図3に示す状態まで上方に移動させる。
(c)ついで、PEEP調節弁31を、図3に示すように、多岐管21の上端部(換言すれば、弁座部)42上に載置する。なお、この調節弁31は、吸気ガス供給口部22と、患者に対するガス出入口部23との間のガス通路50に臨むように、多岐管21に配設される。
(d)ついで、ストッパ部材33を外筒部材25の内部空間37にこの内部空間37の下方から挿入して、図3に示すように外筒部材25に固定する。この固定に際しては、外筒部材25に互いに対向するように形成されている一対の小孔40を通して挿入した止めねじまたは止めピン(いずれも図示せず)をストッパ部材33にねじ込むことまたは圧入すること、もしくは、上記小孔40から接着剤を流し込むことなどによって、達成することができる。
(e)ついで、コイルばね32の両端部が、図3に示すように、ばね圧調整ねじ34の下面側に設けられたばね受け用凹部(換言すれば、ばね受け用下面部)43と、PEEP調整弁31の上面側に設けられたばね受け用凹部(換言すれば、ばね受け用上面部)44とにそれぞれ保持された状態にしてから、前述のようにして、外筒部材25を多岐管21に嵌合させる。
(f)ついで、調整操作キャップ36を、図3に示すように、回動型調整作動部材35の頭部35cに被せる。このように被せる際には、まず、頭部35cは、図4および図5に示す途中まで調整操作キャップ36に相対的に挿入される。この状態においては、頭部35cの径大部45が、調整操作キャップ36の頂面部36aと、多角形状(図示の実施例においては、八角形)などの内周係合部36bとの間に位置保持されることによって、回動型調整作動部材35からの調整操作キャップ36の抜け止めが施される。また、内周係合部36bには、この内周係合部36bとほぼ同形である回動型調整作動部材35の多角形状(図示の実施例においては、八角形)などの外周係合部35dが係合しているので、両者が一体となって回動する。ついで、頭部35cは、図3に示す最上昇位置まで調整操作キャップ36に相対的に挿入される。この状態においては、回動型調整作動部材35の頭部35cは、調整操作キャップ36の頂面部36aの内側面に当接している。また、調整操作キャップ36の内周係合部36bは、図3に示すように、回動型調整作動部材35の外周係合部35dとの係合を解消して、この外周係合部35dの下方に位置している。したがって、調整操作キャップ36は、回動型調整作動部材35に対して空回りする状態になっている。さらに、回動型調整作動部材35の中央開孔46は、調整操作キャップ36の頂面部36aに形成されている中央開孔47と隣接した状態でもって、この中央開孔47に連通している。なお、これら2種類の中央開孔46、47によって、圧力調節装置4の第3の通気口部としての呼気排気口部48が形成されている。そして、この呼気排気口部48の終端部は、調整操作キャップ36の頂面部36aにおいて、開口53を形成している。
【0022】
上記(a)項〜(f)項に記載のようにして構成された圧力調節装置4においては、多岐管21、管継手22、23、外筒部材25および回動型調整作動部材35の上半部によって、ハウジング機構が構成されている。そして、調整操作キャップ36には、図1〜図5に示すように、下端から頂面部36a付近までほぼ上下方向に延在している複数本(図示の実施例においては、8本)のスリット49が形成されている。また、これらのスリット49は、調整操作キャップ36をその内周面からその外周面まで貫通している。したがって、調整操作キャップ36の周側部は、これらのスリット49によって、頂面部36aに対して内周面側および外周面側のいずれに向っても容易に弾性変形し得るようになっている。このために、調整操作キャップ36をプラスチック成形するときに、この調整操作キャップ36からの内側金型の抜き出しが可能になる。また、上記(f)項に記載のように、調整操作キャップ36を回動型調整作動部材35の頭部35cに被せるときに、回動型調整作動部材35の頭部35cが調整操作キャップ36の内周係合部36bを下側から上側へと容易に乗り越えることができる。
【0023】
3、圧力調節装置の動作
前記ガス源からのガスが、図6にそれぞれ示すガス供給チューブ2、蘇生装置本体1およびガス供給チューブ3を経由して、図3に示す管継手(換言すれば、吸気ガス供給口部)22から多岐管21内に導入される。この場合、医師などの操作者51が調整操作キャップ36の開口53を指52などで閉塞していれば、このガスは、PEEP調整弁31が一時的に開くことがあっても指52などで閉塞されている開口53から外部に流出することはできないので、管継手(換言すれば、患者24に対するガス出入口部)23からフェイスマスク5を経由して患者24に供給される。また、操作者51が開口53から指52を離すと、上述のように多岐管21内に導入される上記ガス源からのガスが、PEEP調整弁31の下面を押圧するとともに、患者24からの呼気も、ガス出入口部23および多岐管21の内部(換言すれば、ガス通路50)を経由して、PEEP調整弁31の下面を押圧しているために、上記ガスおよび上記呼気が、PEEP調節弁31と弁座部42との間隙および呼気排気口部48を経由して開口53から外部に流出する可能性が生じる。
【0024】
すなわち、PEEP調整弁31は、図3に示すように、弾性付勢手段としてのコイルばね32によって、弁座部42に弾性的に押圧されている。そして、上記ガス源からのガスおよび患者24からの呼気によるPEEP調整弁31の下面に対するガス押圧力が、コイルばね32によるPEEP調整弁31の上面に対する弾性押圧力よりも大きくなると、この大きくなった値に応じた大きさだけ、PEEP調整弁31が弁座部42から浮き上がる(換言すれば、上方に離間する)。したがって、上記ガスおよび上記呼気は、PEEP調整弁31と弁座部42との間隙、ストッパ部材33の内部、外筒部材25の内部空間37、ばね圧調整ねじ34の開孔39および回動型調整作動部材35の中央開口46を経由して、開口53から外部に流出する。
【0025】
コイルばね32によるPEEP調整弁31の上面に対する弾性押圧力の大きさは、調整キャップ36を操作することによって、調整することができる。この調整に際しては、まず、図3に示す調整操作キャップ36を多岐管21、外筒部材25(換言すれば、回動型調整作動部材35)などに対して上方に持ち上げる。この持ち上げは、図4に示すように、調整操作キャップ36の内周係合部36bが回動型調整作動部材35の頭部35cに引っ掛かるまで、行うことができる。この場合、調整操作キャップ36の内周係合部36bが、図4および図5に示すように、回動型調整作動部材35の外周係合部35dに係合する。したがって、それまでは空回りしていた調整キャップ36を時計方向または反時計方向に回動させることによって、回動型調整作動部材35(ひいては、作動軸部35a)がこれと一体となって回動するので、ばね圧調整ねじ34も同様に回動する。このために、外筒部材25の雌ねじ部25aにねじ込まれているばね調整ねじ34は、この雌ねじ部25aに対してさらにねじ込みまたはねじ戻し(換言すれば、上方または下方にねじ送り)されるので、外筒部材25に対して上昇または下降する。これによって、コイルばね32が、図3に示すように長くなるか、あるいは、図4に示すように短くなるので、コイルばね32によるPEEP調整弁31に対する弁座部42への弾性押圧力が小さくなるか、あるいは、大きくなる。なお、上述のように指52などで開口53を閉塞するときに調整操作キャップ36の頂面部36aを下方に力強く押しても、両方の係合部36b、35dが不必要に係合することはないので、回動型調整作動部材35が誤操作によって回動するおそれがない。
【0026】
4、Tピース蘇生装置の使用方法
図1〜図7に示すTピース蘇生装置の使用方法の一例を説明すると、つぎの(a)項〜(i)項に記載のとおりである。
(a)まず、患者24へのガス出入口部を構成している管継手23にテスト肺(図示せず)を取り付ける。このテスト肺は、膨らむことができる風船であってよい。
(b)ついで、図6に示すガス供給チューブ2を蘇生装置本体1に接続する。
(c)ついで、どれぐらいのガスが上記ガス源からTピース蘇生装置に流入するのかを調整するために、図6に示す流量計6を調整する。
(d)ついで、調整操作キャップ(換言すれば、PEEP調整キャップ)36の頂面に開口している呼気排気口部48の上端開口53を図6に示すように医師などの操作者51の指(図示の実施例においては、親指)52で閉塞(すなわち、閉鎖)した状態において、最大開放圧調節摘み12を選択した値に合わせることによって、最大回路圧を設定する。
(e)ついで、調整操作キャップ36の開口53を指52で閉鎖した状態において、吸気圧調節摘み13を最大吸気圧に合わせることによって、最大吸気圧(換言すれば、PIP)を設定する。
(f)ついで、調整操作キャップ36の開口53から指52を離してから、まず、図3に示す状態にある調整操作キャップ36を外筒部材25(ひいては、回動型調整作動部材35)に対して上方に持ち上げて、調整操作キャップ36の内周係合部36bを回動型調整作動部材35の外周係合部35dに係合させる。この場合、調整操作キャップ36の内周係合部36bが回動型調整作動部材35の頭部35cに引っ掛かって調整操作キャップ36が持ち上げられなくなるまで、調整操作キャップ36を上方に持ち上げればよい。ついで、調整操作キャップ36を必要に応じて時計方向または反時計方向に指52で回動させて、回動型調整作動部材35を必要に応じて時計方向または反時計方向に回動させることによって、PEEP(すなわち、呼気終末陽圧)を望ましい値に設定する。
(g)ついで、患者24に対するガス出入口部(換言すれば、管継手23)から前記テスト肺を取り外して、このガス出入口部23にフェイスマスク5を取り付ける。そして、このフェイスマスク5を図6および図7に示すように患者24の口元に当てる。
(h)ついで、図6に示すように調整操作キャップ36の開口53を指52で断続的に閉塞することによって、患者24の呼吸回数を調節する。
(i)上記(e)項に記載した最大吸気圧を変更したい場合には、吸気圧調節摘み13を再調節する必要がある。そして、これは、患者24を換気している間に行うことができて、上記テスト肺を再装着する必要がない。
【0027】
B、第2の実施例
つぎに、本発明の第2の実施例を図8〜図14を参照しつつ説明する。なお、この第2の実施例における圧力調節装置4およびTピース蘇生装置は、図1〜図7に示す第1の実施例における圧力調節装置4およびTピース蘇生装置と基本的には同一の構成を備えるとともに同一の動作を行うことができる。したがって、以下において、第2の実施例における圧力調節装置4およびTピース蘇生装置が第1の実施例における圧力調整装置4およびTピース蘇生装置と共通な部分には、両者で同一の符号を付して、その説明を必要に応じて省略する。
【0028】
図8〜図14に示す第2の実施例における圧力調節装置4が図1〜図7に示す第1の実施例における圧力調節装置4と実質的に相違している主な相違点は、つぎの(a)項〜(d)項に記載するとおりである。
(a)上記第1の実施例においては、ハウジング機構は、図3に示すように、多岐管21、管継手22、23、外筒部材25および回動型調整作動部材35から構成されている。これに対し、上記第2の実施例においては、図8に示すように、ハウジング部材としての多岐管61と、回動型調整作動部材35とから構成されている。したがって、上記第2の実施例においては、上記第1の実施例における管継手22、23は、省略されている。そして、上記第2の実施例においては、分岐管部61aおよび下端管部61bによって第1および第2の管継手部(換言すれば、第1および第2の通気口部)が構成されている。
(b)上記第1の実施例においては、分岐管21とは別に外筒部材25が設けられている。これに対し、上記第2の実施例においては、ハウジング部材としての分岐管61は、上記第1の実施例における外筒部材25を兼ねているので、この外筒部材25に相当するほぼ円筒状などの筒状部61cを備えている。
(c)上記第2の実施例においては、PEEP調整弁31の形状が変更され、これにともなって、この調整弁31の上面に支持軸部31aが突設されている。このために、回動型調節作動部材35の作動軸部35aは、支持軸部31aを側面から包囲するように、ほぼ筒状に構成されている。そして、この支持軸部31aの先端部は、回動型調節作動部材35によって、軸心方向に摺動自在に支持されている。
(d)上記第1の実施例においては、ばね圧調節ねじ34の最下降位置を規制するために、ストッパ部材33が分岐管21上に配設されている。これに対し、上記第2の実施例においては、ストッパ部材33は省略されていて、上向きの位置規制用段部61dが多岐管61の内周面に設けられている。
【0029】
図8に示す圧力調節装置4の場合には、調節弁31、反撥用コイルばね32、ばね圧調節ねじ34、回動型調整作動部材35および調整操作キャップ36を多岐管61の筒状部61cに上方から順次取り付けることによって、組み立てられることができる。そして、この図8に示す圧力調節装置4は、図1〜図7に示す圧力調節装置4の場合(前記A項における「3、圧力調節装置の動作」参照)と基本的には同様な動作を行うことができる。
【0030】
図8〜図14に示す第2の実施例におけるTピース蘇生装置の場合には、図9〜図13に示すように、図14に示すフェイスマスク5が用いられる。このフェイスマスク5は、図6および図7に示すフェイスマスク5と実質的に同一の構成であるが、マスク本体5a、リング状空気袋5b、空気出し入れ用パイプ部5cおよび筒状吸気ガス用入口部5dのそれぞれの形状が、多少相違している。特に、筒状吸気ガス用入口部5dの内周囲の形状(換言すれば、内径)および外周囲の形状(換言すれば、外径)のそれぞれが、一回り小さくなっている。そして、雄型としての吸気ガス用入口部5dは、圧力調節装置4の雌型としての吸気ガス用出口部61aまたは61bに嵌合されて取り付けられることによって、吸気ガス用出口部61aまたは61bに連結される。なお、図10、図11および図13において、符号62は、リング状空気袋5bに対する空気の出し入れ時に開閉される弁である。
【0031】
図8に示す圧力調節装置4においては、多岐管61の分岐管部61aと下端管部61bとが、少なくとも先端部においては、ほぼ同形状に構成されている。具体的には、分岐管61の分岐管部61aと下端管部61bとは、少なくともその先端部においては、それらの内周囲の形状(換言すれば、内径)および外周囲の形状(換言すれば、外径)がほぼ同一になっている。そして、フェイスマスク5の筒状吸気ガス用入口部5dの外周囲の形状(換言すれば、外径)は、分岐管部61aおよび下端管部61bのそれぞれの内周囲の形状(換言すれば、内径)とほぼ同一になっている。したがって、雄型としての筒状吸気ガス用入口部5dは、雌型としての分岐管部61aと雌型としての下端管部61bとに選択的に嵌合して取り付けられることによって、これらの管部61aまたは61bに選択的に連結されることができる。
【0032】
図9〜図11は、雄型としての筒状吸気ガス用入口部5dを雌型としての分岐管部61aに嵌合して取り付けた状態を示している。そして、図12および図13は、雄型としての筒状吸気ガス用入口部5dを雌型としての下端管部61bに嵌合して取り付けた状態を示している。なお、図8〜図14に示す第2の実施例において、図6および図7に示す第1の実施例の場合と同様に、筒状吸気ガス用入口部5dの形状(換言すれば、内径および外径)を大きくすることによって、雌型としての筒状吸気ガス用入口部5dに雄型としての分岐管部61aおよび下端管部61bを選択的に嵌合して取り付けるようにしてもよい。そして、図8〜図14に示す第2の実施例において、分岐管部61aおよび下端管部61bのうちのいずれか一方の形状(換言すれば、内径および外径)を小さくすることによって、筒状吸気ガス用入口部5dが上記一方の管部に対しては雌型として、また、他方の管部に対しては雄型として、嵌合して取り付けられるようにしてもよい。
【0033】
上述のように、フェイスマスク5の筒状吸気ガス用入口部5dを圧力調節装置4の分岐管部61aおよび下端管部61bに選択的に嵌合して取り付けることができると、操作者51は、図10〜図11に示す横型での使用状態と、図12および図13に示す縦型での使用状態との2通りの使用状態でもって、圧力調節装置4を使用することができる。したがって、操作者51は、この2通りの使用状態のうちの自分に都合のよい使用状態でもって、圧力調節装置4を使用することができる。なお、図10は、図6および図7に示す場合と同様に、雄型としての下端管部61bに雌型としてのガス供給チューブ3の先端部を被せて取り付けた場合を示している。そして、図11は、ガス供給チューブ3の変形例を示すものであって、雌型としての下端管部61bに雄型としてのガス供給チューブ3の先端部を嵌合して取り付けた場合を示している。このために、図11の場合には、ガス供給チューブ3の先端部に接続用パイプ部63が設けられている。
【0034】
図8〜図14に示す第2の実施例の場合には、上述のように、圧力調節装置4を横型および縦型の2通りの使用状態でもって使用することができる。そして、この点を考慮すると、多岐管61の中心線(換言すれば、軸心)Lが分岐管部61aの中心線Lと成す角度θは、大よそ90°であるのが好ましい。このことは、下端管部61bの中心線(換言すれば、軸心)Lが分岐管部61aの中心線と成す角度θについても、同様である。具体的には、図示の実施例においては、角度θおよび角度θのそれぞれは、約90°であるが、実用性の観点から見て一般的に、75°〜105°の範囲であるのが好ましく、80°〜100°の範囲であるのがさらに好ましく、85°〜95°の範囲であるのが最も好ましい。
【0035】
以上において、本発明の第1および第2の実施例について詳細に説明したが、本発明は、上述の第1および第2の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されて発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0036】
例えば、上述の第1および第2の実施例においては、Tピース蘇生装置の圧力調節装置4に本発明を適用したが、Tピース蘇生装置以外の蘇生装置、その他の人工呼吸器の圧力調節装置にも、本発明を適用することができる。
【0037】
また、上述の第1および第2の実施例においては、調整作動部材をばね圧調整ねじ34および回動型調整作動部材35から構成したが、ばね圧調整ねじ34と回動型調整作動部材35とが互いに一体に結合された単一の部材から調整作動部材を構成してもよい。そして、この場合には、調整操作キャップ36の内周係合部36bおよび/または回動型調整作動部材35の外周係合部35dを軸心方向に比較的長く構成すればよい。
【0038】
また、上述の第1および第2の実施例においては、調整操作部材36をほぼキャップ形状に構成したが、ほぼ円板形状などのほぼ板形状に構成してもよい。そして、この場合には、ほぼ板形状の調整操作部材36を、回動型調整作動部材35に設けた筒軸に対して、回動可能で軸心方向に摺動可能に構成すればよい。
【0039】
また、上述の第1および第2の実施例においては、弾性付勢手段としてコイルばね32を用いたが、ほぼS字形状などのほぼ波形形状の板ばねや、ゴムなどの弾性材料から成るほぼ柱状体形状などの弾性柱状体を用いることもできる。そして、この場合には、板ばねまたは弾性柱状体の両端部を調整弁31のばね受け用凹部またはばね受け用上面部44とばね圧調整ねじ34のばね受け用凹部43とにそれぞれ支持させることができる。また、弾性柱状体の一端部に調整弁を兼用させることもできる。
【0040】
さらに、上述の第1および第2の実施例においては、第2の調整作動部材(換言すれば、ばね圧調整ねじ)34を外筒部材25または筒状部61cの内周面に形成した雌ねじ部(換言すれば、送りねじ)25aによってねじ送りするようにした。しかし、外筒部材25または筒状部61cの内周面に形成したカム溝と第2の調整作動部材34に形成したカムフオロワとによってカム送りするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明をTピース蘇生装置の圧力調節装置に適用した第1の実施例における斜視図である。(実施例1)
【図2】図1に示す圧力調節装置の分解斜視図である。(実施例1)
【図3】図1に示す圧力調節装置の縦断面図である。(実施例1)
【図4】図1に示す圧力調節装置の、PEEP設定時における図3と同様の縦断面図である。(実施例1)
【図5】図4のI−I線に沿った断面図である。(実施例1)
【図6】図1に示す圧力調節装置を組み込んだTピース蘇生装置の使用状態における第1の形態の概略的な斜視図である。(実施例1)
【図7】図6に示すTピース蘇生装置の使用状態における第2の形態の、蘇生装置本体を省略した概略的な斜視図である。(実施例1)
【図8】本発明をTピース蘇生装置の圧力調節装置に適用した第2の実施例における縦断面図である。(実施例2)
【図9】図8に示す圧力調節装置を組み込んだTピース蘇生装置の第1の使用状態での、蘇生装置本体を省略した斜視図である(実施例2)
【図10】図9に示すTピース蘇生装置の縦断面図である。(実施例2)
【図11】図9に示すTピース蘇生装置の、ガス供給チューブの変形例を示す図10と同様の縦断面図である。(実施例3)
【図12】図9に示すTピース蘇生装置の第2の使用状態での、図9と同様の斜視図である。(実施例2)
【図13】図12に示すTピース蘇生装置の縦断面図である。(実施例2)
【図14】図9に示すマウスピースの斜視図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0042】
4 圧力調節装置
5 フェイスマスク
5d 第2の吸気ガス用入口部
21 多岐管(ハウジング機構)
22 管継手(吸気ガス用の入口部、第1の通気口部、ハウジング機構)
23 管継手(患者に対するガス出入口部、吸気ガス用の出口部、第2の通気口部、ハウジング機構)
24 患者
25 外筒部材(ハウジング機構)
31 呼気終末陽圧(PEEP)調節弁
32 反撥用コイルばね(弾性付勢手段)
34 ばね圧調整ねじ(第2の調整作動部材、昇降型調整作動部材)
35 回動型調整作動部材(第1の調整作動部材、ハウジング機構)
35c 頭部
35d 外周係合部(第2の係合部)
36 調整操作キャップ(PEEP調整キャップ、調整操作部材)
36a 頂面部
36b 内周係合部(第1の係合部)
42 弁座部
48 呼気排気口部(第3の通気口部)
50 ガス通路
53 開口
61 多岐管(ハウジング部材、ハウジング機構)
第2の通気口部の軸心
第1の通気口部の軸心
θがLに対して成す角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置において、
第1の通気口部、第2の通気口部および第3の通気口部をそれぞれ有しかつ上記第1の通気口部および第2の通気口部のうちの一方の通気口部が吸気ガス用の入口部として用いられることができるとともに他方の通気口部が吸気ガス用の出口部として用いられることができるハウジング機構と、
上記第1の通気口部と上記第2の通気口部との間のガス通路に臨むように上記ハウジング機構に配設された調節弁と、
上記調節弁を上記ハウジング機構に設けた弁座部に弾性的に付勢する弾性付勢手段と、
上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動される調整作動部材と、
上記調整作動部材を作動させるために回動操作される調整操作部材とをそれぞれ備え、
上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも低いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を閉塞するとともに、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも高いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を開放して、上記ガス通路のガスが上記第3の通気口部を流れるように構成され、
上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動しているときには、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して空回りするように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して引っ張り出されたときには、上記調整操作部材の回動操作によって上記調整作動部材が作動して、上記弾性付勢手段の弾性付勢力が調整されるように構成されていることを特徴とする圧力調節装置。
【請求項2】
上記調整作動部材が、上記ハウジング機構にそれぞれ配設された第1の調整作動部材および第2の調整作動部材を備え、
上記第1の調整作動部材が、上記調整操作部材の回動操作によって回動して、上記第2の調整作動部材を回動させるように構成され、
上記第2の調整作動部材が、その回動によって、上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動するように構成されていることとを特徴とする請求項1に記載の圧力調節装置。
【請求項3】
上記調整操作部材が調整操作キャップであり、
上記調整操作キャップが上記第1の調整作動部材の頭部に被せられていることを特徴とする請求項2に記載の圧力調節装置。
【請求項4】
上記調整操作部材が第1の係合部を備え、
上記調整作動部材が第2の係合部を備え、
上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動している復動位置にあるときには、上記調整操作部材の上記第1の係合部と上記調整作動部材の上記第2の係合部との相互の係合が解除されていて、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して空回りするように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して上記復動位置から引っ張り出されたときには、上記第1の係合部と上記第2の係合部とが相互に係合することによって、上記調整操作部材の回動操作が上記調整作動部材に伝達されて、上記調整作動部材が作動するように構成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の圧力調節装置。
【請求項5】
上記第3の通気口部に連なっている開口が上記調整操作部材の頂面部に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の圧力調節装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の圧力調節装置によってガス圧が調節されるように構成されていることを特徴とする人工呼吸器。
【請求項7】
上記圧力調整装置の上記吸気ガス用出口部に連結されることができる第2の吸気ガス用入口部を有するフェイスマスクをさらに備え、
上記圧力調節装置の上記第1の通気口部および上記第2の通気口部のいずれもが上記フェイスマスクの上記第2の吸気ガス用入口部を選択的に連結し得るように構成され、
上記第1および第2の通気口部のうちの、上記第2の吸気ガス用入口部を連結した通気口部が、上記圧力調節装置の上記吸気ガス用出口部として機能するように構成されるとともに、他方の通気口部が上記圧力調節装置の上記吸気ガス用入口部として機能するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の人工呼吸器。
【請求項8】
上記圧力調節装置の上記第1の通気口部の軸心が上記第2の通気口部の軸心に対して成す角度が、85°〜95°の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の人工呼吸器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−291591(P2009−291591A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256546(P2008−256546)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(390022541)アトムメディカル株式会社 (38)