説明

人工呼吸器

【課題】感染症の相互感染の欠点を改良し、被救助者の変化を的確に把握することが出来る人工呼吸処置を提供する。
【解決手段】被救助者Aの口に人工呼吸器のマスク部2を密着して当て、又本体部3の他方には、蛇腹部6が連結され、蛇腹部の他端は、マウスピース7となっている。救助者Bがマウスピース7を咥え、吸気を行うと、吸気開口に設けられた吸気弁が開き、新鮮な外気が、蛇腹部7と本体部3の内部に充填され、次に、救助者Bが送気を行うと、吸気弁は、閉となり、三方弁のスリット部が開き、被救助者Aにマスク部2を介して送気が送られ、被救助者Aの口内に、空気が送られる。この動作を繰り返すことにより、被救助者Aの呼吸を復活することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心肺蘇生術等に用いられる人工呼吸器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仮死状態や窒息状態に陥った被救助者(A)に応急処置として人工呼吸を行う方法は、被救助者(A)と救助者(B)とが、直接口を接触させるマウストゥマウスによる人工呼吸が行われてきた。
しかしながら、マウストゥマウスによる人工呼吸は、技術を要すると共に、直接口移しで行われるため、抵抗があると共に、感染症の相互感染が、あり得るという欠点を有していた。特に最近問題視されている新型カゼウィルス、サーズ、HIV等が猛威をふるうといわれ、その対策が重要視されてきておりそれらを防ぐ機能を有する安全な人工呼吸法が望まれている。
【0003】
又、従来の方法では、人工呼吸時に、顔が近付くため、被救助者(A)の状況を全体的に観察しづらく、救助時最も大切な被救助者(A)の変化を的確に把握することが姿勢上困難である。
又、人工呼吸と同時に行うことが多い心臓マッサージ処置の時も、姿勢を変えてから行わねばならず、救命処置を難しくしていた。更に最近普及されてきたAED(自動体外式除細動器)の必要性が強く認識され、公共施設や新幹線に配置されてきているが、その使用の時も被救助者から少し離れて行う必要があり、必ず行う人工呼吸処置の場合に、距離を置いて、両手を開放して処置が行える人工呼吸器の必要性が、緊喫の課題として、強く望まれている。
引例の特願2005−118203号の人工呼吸器が、知られているが、この場合、被救助者(A)に対し、救助者(B)は真上から操作しなければならないため、姿勢が制限され、救助が非常にやりにくいという前述の欠点を有しており、又ウィルス等の感染防止対策も重要視されておらず、相互感染を発生するものとなっていた。
【0004】
【特許文献1】 特開2005−118203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような従来の問題点を現実的に排除すると共に、人間工学上の構成を加えた極めて実用的な人工呼吸器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
被救助者(A)の口に人工呼吸器のマスク部を密着して当て、マスク部は、人工呼吸器の本体部に密に連結されており、該マスク部は、被救助者(A)の顔に密着するよう、可撓性を有する合成樹脂、天然樹脂等の軟質材料により構成されており、本体部の他方には、蛇腹部が、嵌め合い、ネジ接合等により機密性を確保し連結され、蛇腹部の他端は、マウスピースとなっており、
救助者(B)がマウスピースを咥え、吸気Baを行うと、吸気開口に設けられた吸気弁が開き、新鮮な外気Cが、蛇腹部と本体部の内部に充填され、
次に、救助者(B)が送気Bbを行うと、吸気弁は、閉となり、三方弁のスリット部が開き、被救助者(A)にマスク部を介して送気Bcが送られ、被救助者(A)の口内に、空気が送られ、その時三方弁の縁部は下方に移動しマスク部内部と排気部との連通を閉じ、
被救助者(A)が、呼吸を開始し吐気Aaを行うと、吐気Aaは、排気開口より外気に放出され、
この動作を繰り返すことにより、被救助者(A)の呼吸を復活することが出来ることを特徴とする人工呼吸器を提供する。
【0007】
人工呼吸器の蛇腹部と本体部の合計した内部体積Vは、V=50ml〜1000mlに構成されることを特徴とする請求項1記載の人工呼吸器を提供する。
【0008】
人工呼吸器の蛇腹部の上流側の末広円錐管の傾斜角θ1に対し、その下流に接続された先細り円錐管の傾斜角θ2の寸法関係を、θ2=θ1+(0.1°〜7.0°)に構成することにより、折込固定式蛇腹とすることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の人工呼吸器を提供する。
【0009】
三方弁の上流側のいずれかの位置には、除菌フィルターが設けられ、
該除菌フィルターは、被救助者(A)と、救助者(B)との感染症を防ぐためのもので、不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、ウィルスの侵入防止機能、除菌、殺菌、抗菌、防臭等の機能を有する除菌効果処理材を、含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し構成させた前記除菌フィルターを設けることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3記載の人工呼吸器を提供する。
【0010】
吸気開口の外側には、外気Cより塵埃、水分等が除去される不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、
塵埃、水分、ウィルスの侵入防止機能、除菌、殺菌、抗菌、防臭等の機能を有する防塵・除菌効果処理材を、含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し構成させた前記吸気フィルターを介して、清浄な外気Cとなって充填されることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4記載の人工呼吸器を提供する。
【0011】
前記除菌フィルターは、不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、
3nm(ナノメーター)以上〜3μ(マイクロメーター)以下の開口を設けたナノホールフィルター、
又は超抗菌銅繊維フィルター、
又は銀イオン水含浸フィルター、
又はポピドンヨード重合フィルター
又は笹エキス含浸フィルター
又は殺菌酵素フィルター
又は磁気殺菌フィルター
等により構成された除菌効果処理材を含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し、単独、又は最適な組合わせで構成した前記除菌フィルターを使用することを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4、又は請求項5記載の人工呼吸器を提供する。
【0012】
前記吸気フィルターは、不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、
塵埃、水分の除去できる防塵フィルター、
又は超抗菌銅繊維フィルター、
又は銀イオン水含浸フィルター、
又はポピドンヨード重合フィルター
又は笹エキス含浸フィルター
又は殺菌酵素フィルター
又は磁気殺菌フィルター
等により構成された防塵・除菌効果処理材を含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し、単独、又は最適な組合わせで構成した前記吸気フィルターを使用することを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4、又は請求項5、又は請求項6記載の人工呼吸器を提供する。
【0013】
マスク部の被救助者(A)の顔面に接触する接触部材を、マスク部より、更に軟質な材料で、構成したことを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4、又は請求項5、又は請求項6、又は請求項7記載の人工呼吸器を提供する。
【発明の効果】
【0014】
1.特別の技術を要することなく一般者が、即座に人工呼吸を実行できる。
2.救助者(B)は、最も救助に適した姿勢をとることが出来、両手を開放することが できる。
3.この状態で、救助者(B)は被救助者(A)の呼吸、顔色、反応等の身体状況を、 詳細に観察し救助することができる。
4.特に、心臓マッサージ、又はAED使用時は全体状況を詳細に観察し、人工呼吸器 1と併用して、被救助者(A)に心臓マッサージ、又は電気ショックを与えることが 出来る。
5.蛇腹部6と上流側本体5の内部体積Vは、人間工学上の数値を考慮し、V=50m l〜1000mlに適切に構成される。
6.蛇腹部6は、本発明においては、特に研究したもので、折込固定式蛇腹とすること で、弾力により引っ張られることなく固定して使用できる。
7.三方弁9の上流側のいずれかの位置には、除菌フィルター21が設けられている。 この除菌フィルターは、被救助者(A)と、救助者(B)との感染症を防ぐためのもの で、新型カゼウィルス、サーズ、HIV等のウィルスや、細菌を除去、殺菌、不活 化して排除することが出来る。
8.吸気開口5aの外側には、吸気フィルター20が設けられ、外気Cより、塵埃、水 分、ウィルス、細菌等が除去され、清浄な外気Cとなって充填されるようになって いる。
9.マスク部の被救助者(A)の顔面に接触する接触部材を、マスク部より、更に軟質 な材料で構成し、密着度を向上することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、前述した如く、従来の人工呼吸法の有する多くの欠点を排除し、加えて人間工学上の構成を加味することにより、救助者(B)にとっても、特別の技術を要することなく一般者が、即座に人工呼吸を実行できるという実際上極めて有効な人工呼吸術を可能にしたものである。
【0016】
なお、本発明の前記ならびに、そのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。以下図面に基づいて詳細を説明する。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、人工呼吸器1の全体断面図である。図2は、人工呼吸器1の使用状態を示す概略図である。
【0018】
図2に示す如く、横になった状態の被救助者(A)は、まず気道確保をされ、呼吸出来る姿勢を取らされる。被救助者(A)の口に人工呼吸器1のマスク部2を密着して当てる。
マスク部2は、人工呼吸器1の本体部3に、密に連結されており、又本体部3の他方には、蛇腹部6が、密に連結されており、蛇腹部6の先端は、マウスピース7となっており、マウスピース7を救助者(B)が、咥えて送気出来る状態にする。
以下の説明のため、救助者(B)の側を上流側、被救助者(A)の側を下流側と定義する。
【0019】
蛇腹部6は、図2に示す如く屈曲して使用できるので、救助者(B)は、最も救助に適した姿勢をとることが出来る。この状態で、救助者(B)は被救助者(A)の呼吸、顔色、反応等の身体状況を、詳細に観察し救助を開始する。特に、心臓マッサージ処置や、AED使用時は全体状況を詳細に観察し、人工呼吸器1と併用して、被救助者(A)に心臓マッサージ処置、又は電気ショックを与えることが出来る。
【0020】
次に、本実施例の人工呼吸器1の構造を説明する。
図1、図2に示す如く、マスク部2は、被救助者(A)の顔に密着するよう、可撓性を有する合成樹脂等の材料により構成されている。
マスク部2の接触部2aは、人の顔に適合した形状に、形成される。
本体部3は、下流側本体4と、上流側本体5とにより構成されている。
マスク部2の上端には、下流側本体4が、取付けられ、嵌め合い、ネジ接合等により機密性を確保し連結され、又、取外し可能に、構成されている。
【0021】
上流側本体5は、一端が下流側本体4と嵌め合い、ネジ接合等により機密性を確保し連結され、又、取外し可能に、構成されている。上流側本体5の他端は、蛇腹部6が、同様に嵌め合い、ネジ接合等により機密性を確保し連結され、又、取外し可能に構成されている。蛇腹部6の他端には、マウスピース7が設けられている。
【0022】
図3には、人工呼吸器1の初期状態を示している。
次に使用の手順に従って詳細を説明すると、
救助者(B)がマウスピース7を咥え、吸気Baを行うと、蛇腹部6と上流側本体5の内部は、負圧となり、吸気開口5aに設けられた吸気弁8が開き、新鮮な外気Cが、蛇腹部6と上流側本体5の内部に充填される。この時、上流側本体5のいずれかの位置に設けられた連結部5b内に設けられた三方弁9は、上流側本体5の負圧により送気部9aは、密に閉じられている。
【0023】
次に、図4に示す如く、救助者(B)が送気Bbを行うと、吸気弁8は、蛇腹部6と上流側本体5のプラス圧により、矢印の如く閉となり、三方弁9は、上流側本体5のプラス圧により送気部9aは、中央のスリット部9bが開き、被救助者(A)にマスク部2を介して送気Bcが送られ、被救助者(A)の口内に、空気が送られる。その時三方弁9の縁部9cは矢印の如く下方に移動しマスク部2の内部と排気部10との連通を閉じ、スリット部9bを通過した送気Bbが、排気部10に送りこまれないよう閉の状態となる。
【0024】
図5に示す如く、被救助者(A)が、呼吸を開始し吐気Aaを行うと、マスク部のわずかなプラス圧により三方弁9のスリット部9bは初期状態の閉となり、縁部9cも上流側に移動して初期状態となり、吐気Aaは、排気開口11に設けられた排気弁12を開いて、吐気Aaは、外気に放出される。その時に、嘔吐物があるとそれも同時に排出される。
この動作を繰り返すことにより、被救助者(A)の呼吸を復活することが出来るのである。
【0025】
特に、人工呼吸器1のサイズ構成は、一般の平均的成人から小児までの呼気量(一回換気量)は、一回の呼吸で、成人では、300〜1000ml(ミリリットル)、小児では50〜500mlと言われている。
そのため、救助者(B)の送気量は、50〜1000ml(ミリリットル)が望ましい。
そして、蛇腹部6と上流側本体5の内部に充填される新鮮な外気Cの体積を十分に有することが大切である。したがって、蛇腹部6と上流側本体5の内部体積Vは、図6に示す如く蛇腹部6が、相当直径D1(mmφ)と長さL1(mm)および、上流側本体5が、直径D2(mmφ)とL2(mm)とされ、その内部体積Vは、V=π×(D1/2)×L1+π×(D2/2)×L2となり、V=50ml〜1000mlに構成される。
このことにより、救助者(B)の送気Bbは、一旦吸われることにより酸素濃度が通常16〜18%位に下がるが、内部体積Vの外気Cと混合され、酸素濃度は、通常必要とされる18%以上を確保することが出来るのである。
【0026】
材質等について述べると、マスク部2は、被救助者(A)の口に密着するよう、軟質合成樹脂材であるエラストマー樹脂、シリコン樹脂、又はスポンジ、又はゴム等の天然樹脂、又は布、又は綿等の可撓性のある軟質材料により構成されている。特にエラストマー樹脂では、定形性と、柔軟性のある、例えば樹脂硬度が、20〜70ポイントの材料が選定される。
又、内部の状態が見えるよう透明、又は半透明のものが望ましい。
本体部3は、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂等の硬質合成樹脂、又は金属、又は木材、又は合成紙等の硬質部材でも、また可撓性のある軟質材料でもよい。同様に、内部の状態が見えるよう透明、又は半透明のものが望ましい。
又、本体部3を下流側本体4と、上流側本体5とにより構成することなく一体で構成しても良い。
【0027】
蛇腹部6は、本発明においては、特に研究したものであり、折込固定式蛇腹6Sとすることが出来る。
蛇腹部6の上流側の末広円錐管6aの傾斜角θ1に対し、その下流に接続された先細り円錐管6bの傾斜角θ2の寸法関係を、少なくとも0.3〜最大7、0度大きく構成する。即ちθ2=θ1+(0.5°〜7.0°)に設定する。
【0028】
このように構成すると図7に示す如く、末広円錐管6aは、上部のみ反転させることが出来、先細り円錐管6bの内側に、末広円錐管6aの谷部Dは折込まれて、D´の位置に移動する。
一方反対側の谷部Eは、少し上方に引かれて移動するが、折込まれることなくE´の位置となる。
次の上流側の末広円錐管6aの上部も反転させると、同様に谷部Fが折込まれ、F´の位置に移動する。一方反対側の谷部Gは、少し上方に引かれて移動するが、折込まれることなくG´の位置となる。
この折込を繰り返すと蛇腹部6は屈曲し、しかも折込固定状態となるため、その状態を保持したまま使用できるのである。
又わずかの力で引っ張ると、折込は元に戻り、初期の折込無の状態へ、復帰することが出来る。
【0029】
この折込固定式蛇腹6Sは、救助者(B)の位置に応じ形状が固定され、引っ張られることがないので、安定した姿勢をとることが出来るのである。
通常、大人男子の場合は、初期状態は、折込固定式蛇腹6Sを引き出して、最大体積V で使用する。
【0030】
また、蛇腹部6の体積Vを小さくしたいときは、適度に折込むことにより調節できる 。このことは、小児や、女子の場合、吸込み力が相対的に小さいため、体積Vを小さ くしないと口に到達する送気Bcが弱くなり、被救助者(A)の吸込みが出来ないこ とが起こりうるためで、折込むことにより体積Vを適度にコントロールできる機能を 有しているのである。
又、携帯時は、すべての谷部を折込むことにより、小型化して収納することが出来る 極めて実用的な機能を有している。
蛇腹部6の材質は、可撓性のあるポリプロピレン樹脂、シリコン樹脂、塩化ビニール 樹脂等の合成樹脂で構成される。
【0031】
吸気弁8と、三方弁9と、排気弁12の弁体は、可撓性のある合成樹脂、金属等で構成され、微圧で、開閉動作が出来るように構成されている。特に、柔軟性のあるシリコン樹脂製、又は、エラストマー樹脂が望ましい。
【実施例2】
【0032】
実施例2の拡大断面図を図8に示す。
三方弁9の上部側のいずれかの位置には、除菌フィルター21が設けられている。
図8では、三方弁9の上流側に配置されているが、マウスピース7内、又は蛇腹6内等の位置でもよい。
この除菌フィルターは、被救助者(A)と、救助者(B)との感染症を防ぐためのもので、新型インフルエンザウィルス、SARS、HIV等のウィルスや、細菌を排除するためのものである。その機能・材質は、救助の状況により、最適なものが選定できる。
【0033】
材質は、不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、
3nm(ナノメーター)以上〜3μ(マイクロメーター)以下の開口を設けたナノホールフィルター、
又は超抗菌銅繊維フィルター、
又は銀イオン水含浸フィルター、
又はポピドンヨード重合フィルター
又は笹エキス含浸フィルター
又は殺菌酵素フィルター
又は磁気殺菌フィルター
等により構成された除菌効果処理材を含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し、単独、又は最適な組合せで構成した前記除菌フィルターを使用することができる。
それぞれのフィルターに対してその詳細を述べる。
【0034】
ナノホールフィルターに関して述べると、図11の概略説明図に示す如くウィルスや、細菌の大きさは、通常10nm(ナノメーター)以上であるため、ナノホールフィルターを通すと、ウィルスや細菌をシャットアウトしつつ、空気や、水分を通過させるという機能を持っている。
しかるに、余りにも、開口を小さくすると、通気時の圧力損失が、多大となり、送気が、困難となるため、状況に応じ開口のサイズを選定して使用する。
【0035】
又、超抗菌銅繊維フィルターは、超極細のコデラ銅繊維の綿シートに、口からの湿気により銅繊維から銅イオンが増幅して、インフルエンザウィルスや、花粉、カビを撃破し、又は不活化し、又空気抗菌・除菌を行うことが出来るフィルターである。
【0036】
銀イオン水含浸フィルターは、銀イオン水を前記フィルター基材に含浸させたもので、銀イオンの効果により、インフルエンザウィルスや、花粉、カビを撃破し、又は不活化し、又空気抗菌・除菌を行うことが出来るフィルターである。
【0037】
又、ポピドンヨード重合フィルターは、その一例は、商品名「グラフトシャットフィルター」(登録商標)と呼ばれており、うがいや医療現場の消毒等に使われるポピドンヨードを前記フィルター基材に、結合することにより、インフルエンザウィルスを撃破し、又は不活化すると共に、口内の消毒効果を有するものである。
【0038】
笹エキス含浸フィルターも同様に天然素材である笹エキスの有する殺菌効果により、インフルエンザウィルス、単純ヘルペスウィルス、黄色ブドウ球菌を撃破し、又は不活化すると共に、口内の消毒効果を有するものである
【0039】
殺菌酵素フィルターは、住居、病院等の空気清浄機等に使われており、インフルエンザA型、B型、SARS、コロナウィルス、黄色ブドウ球菌、MRSA、結核菌、カビ等を酵素が殺菌し、不活化する機能を有するものである。
【0040】
磁気殺菌フィルターは、前記フィルター基材に、磁気粉を含有させるか、磁気粉を前記フィルター基材に塗布、噴霧して使用すると、磁気より発生する電流が、細菌、ウィルス、カビ等に通電し、殺菌効果を発生させるものである。
【0041】
上記の夫々のフィルターは、除菌作用と、抗菌作用と、殺菌作用と、防臭作用等があり、これらの選定も救助者の状況、救助環境等により単独、又は最適な組合わせを選定して使用することができる。
又、同様の効果のある他の材料でも、その効果に応じ前記除菌フィルターとして採用が出来ることを含むものである。
【0042】
又、吸気開口の外側には、外気Cより塵埃、水分、細菌等が除去される吸気フィルター20が、設けられ、外気Cより、塵埃、水分等が除去され、清浄な外気Cとなって充填されるようになっている。
その材質・機能は、救助の状況により、最適なものが選定できる。
材質は、不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、
塵埃、水分の除去できる防塵フィルター、
又は超抗菌銅繊維フィルター、
又は銀イオン水含浸フィルター、
又はポピドンヨード重合フィルター
又は笹エキス含浸フィルター
又は殺菌酵素フィルター
又は磁気殺菌フィルター
等により構成された防塵・除菌効果処理材を含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し、単独、又は最適な組合せで構成した前記吸気フィルターを使用することができる。
それぞれのフィルターの機能は前述のとおりである。
又、同様の効果のある他の材料でも、その効果に応じ前記吸気フィルターとして採用が出来ることを含むものである。
【実施例3】
【0043】
実施例3の拡大断面図を図9に示す。
本実施例は、マスク部2の被救助者(A)の顔面に接触する接触部2aを、さらに密着性の良い接触部材22で構成したものである。
該接触部材22の材料は、エラストマー樹脂、シリコン樹脂等の合成樹脂、又はスポンジ、又はゴム等の天然樹脂、又は布、又は綿等の可撓性のある軟質材料が選定されるが、マスク部より、更に軟質な部材で構成する。
例えばエラストマー樹脂、シリコン樹脂、等の合成樹脂では、マスク部は、定形性と、柔軟性のある、例えば樹脂硬度が、20〜70ポイントの材料が選定されるが、接触部材22は、より軟質の、例えば樹脂硬度は、2〜40ポイントの材料が選定されることが望ましい。更に望ましくは、樹脂硬度7〜20ポイントが最適である。
【実施例4】
【0044】
実施例4の拡大概略断面図を図10に示す。
この実施例は、本体部3を、直管式とすることにより、大幅に小型化したもので、携帯しやすく、又製作コストを抑えることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の活用例としては、以上説明したように、一般者でも使いやすい人工呼吸器を提供することにより、早期処置が最も大切な心肺蘇生術において、被救助者の生命を守ることが出来、国民の救急医療対策に貢献することが出来る。
又、現在の世界の脅威となっているウィルス等による感染症も考慮した画期的な人工呼吸器を提供することにより、新規商品として、大きな経済効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】 人工呼吸器1の全体断面図である。
【図2】 人工呼吸器1の使用状態を示す概略図である。
【図3】 人工呼吸器1の初期状態を示す部分断面図である。
【図4】 送気状態を示す部分断面図である。
【図5】 被救助者(A)の吐気状態を示す部分断面図である。
【図6】 人工呼吸器1のサイズを示す部分断面図である。
【図7】 蛇腹部6を、折込固定式蛇腹6Sとした詳細断面図である。
【図8】 実施例2のフィルターを付設した部分断面図である。
【図9】 実施例3の拡大断面図である。
【図10】 実施例4の概略断面図である。
【図11】 ウィルス、細菌のサイズを示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 人工呼吸器
2 マスク部
2a 接触部
3 本体部
4 下流側本体
5 上流側本体
5a 吸気開口
5b 連結部
6 蛇腹部
6a 末広円錐管
6b 先細り円錐管
6S 折込固定式蛇腹
7 マウスピース
8 吸気弁
9 三方弁
9a 送気部
9b スリット部
9c 縁部
10 排気部
11 排気開口
12 排気弁
20 吸気フィルター
21 除菌フィルター
22 接触部材
θ1 の傾斜角
θ2 先細り円錐管の傾斜角
D、E、F、G 谷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被救助者(A)の口に人工呼吸器のマスク部を密着して当て、マスク部は、人工呼吸器の本体部に密に連結されており、該マスク部は、被救助者(A)の顔に密着するよう、可撓性を有する合成樹脂、天然樹脂等の軟質材料により構成されており、本体部の他方には、蛇腹部が、嵌め合い、ネジ接合等により機密性を確保し連結され、蛇腹部の他端は、マウスピースとなっており、
救助者(B)がマウスピースを咥え、吸気Baを行うと、吸気開口に設けられた吸気弁が開き、新鮮な外気Cが、蛇腹部と本体部の内部に充填され、
次に、救助者(B)が送気Bbを行うと、吸気弁は、閉となり、三方弁のスリット部が開き、被救助者(A)にマスク部を介して送気Bcが送られ、被救助者(A)の口内に、空気が送られ、その時三方弁の縁部は下方に移動しマスク部内部と排気部との連通を閉じ、
被救助者(A)が、呼吸を開始し吐気Aaを行うと、吐気Aaは、排気開口より外気に放出され、
この動作を繰り返すことにより、被救助者(A)の呼吸を復活することが出来ることを特徴とする人工呼吸器。
【請求項2】
人工呼吸器の蛇腹部と本体部の合計した内部体積Vは、V=50ml〜1000mlに構成されることを特徴とする請求項1記載の人工呼吸器。
【請求項3】
人工呼吸器の蛇腹部の上流側の末広円錐管の傾斜角θ1に対し、その下流に接続された先細り円錐管の傾斜角θ2の寸法関係を、θ2=θ1+(0.1°〜7.0°)に構成することにより、折込固定式蛇腹とすることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の人工呼吸器。
【請求項4】
三方弁の上流側のいずれかの位置には、除菌フィルターが設けられ、
該除菌フィルターは、被救助者(A)と、救助者(B)との感染症を防ぐためのもので、不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、ウィルスの侵入防止機能、除菌、殺菌、抗菌、防臭等の機能を有する除菌効果処理材を、含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し構成させた前記除菌フィルターを設けることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3記載の人工呼吸器。
【請求項5】
吸気開口の外側には、外気Cより塵埃、水分等が除去される不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、
塵埃、水分、ウィルスの侵入防止機能、除菌、殺菌、抗菌、防臭等の機能を有する防塵・除菌効果処理材を、含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し構成させた前記吸気フィルターを介して、清浄な外気Cとなって充填されることを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4記載の人工呼吸器。
【請求項6】
前記除菌フィルターは、不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、
3nm(ナノメーター)以上〜3μ(マイクロメーター)以下の開口を設けたナノホールフィルター、
又は超抗菌銅繊維フィルター、
又は銀イオン水含浸フィルター、
又はポピドンヨード重合フィルター
又は笹エキス含浸フィルター
又は殺菌酵素フィルター
又は磁気殺菌フィルター
等により構成された除菌効果処理材を含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し、単独、又は最適な組合わせで構成した前記除菌フィルターを使用することを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4、又は請求項5記載の人工呼吸器。
【請求項7】
前記吸気フィルターは、不織布、又はガラス繊維、又は布、又は綿、又はスポンジ、又は合成樹脂製通気材等のフィルター基材に対し、
塵埃、水分の除去できる防塵フィルター、
又は超抗菌銅繊維フィルター、
又は銀イオン水含浸フィルター、
又はポピドンヨード重合フィルター
又は笹エキス含浸フィルター
又は殺菌酵素フィルター
又は磁気殺菌フィルター
等により構成された防塵・除菌効果処理材を含有、含浸、重合、塗布等の結合手段により結合し、単独、又は最適な組合わせで構成した前記吸気フィルターを使用することを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4、又は請求項5、又は請求項6記載の人工呼吸器。
【請求項8】
マスク部の被救助者(A)の顔面に接触する接触部材を、マスク部より、更に軟質な材料で、構成したことを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3、又は請求項4、又は請求項5、又は請求項6、又は請求項7記載の人工呼吸器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−125297(P2010−125297A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321568(P2008−321568)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(508233331)東海部品工業株式会社 (2)