人工染色体、該染色体の使用および人工染色体の製造方法
【課題】新規のサテライト人工染色体を提供する。
【解決手段】選択可能マーカーを含む1つまたは複数のDNAフラグメントを細胞に導入する段階と、前記1つまたは複数のDNAフラグメントをゲノムDNAに取込んだ細胞が産生されるような選択条件下で細胞を増殖させる段階と、サテライト人工染色体を含む細胞を選択する段階とを含んで成る、ここでサテライト人工染色体は真正染色質よりも異質染色質を多く含むものである、人工染色体の製造方法、このような方法によって得られるサテライト人工染色体、並びにサテライト人工染色体を含むトランスジェニック非ヒト動物または植物。
【解決手段】選択可能マーカーを含む1つまたは複数のDNAフラグメントを細胞に導入する段階と、前記1つまたは複数のDNAフラグメントをゲノムDNAに取込んだ細胞が産生されるような選択条件下で細胞を増殖させる段階と、サテライト人工染色体を含む細胞を選択する段階とを含んで成る、ここでサテライト人工染色体は真正染色質よりも異質染色質を多く含むものである、人工染色体の製造方法、このような方法によって得られるサテライト人工染色体、並びにサテライト人工染色体を含むトランスジェニック非ヒト動物または植物。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物細胞の染色体の挟動原体異質染色質に選択可能マーカーをコードするDNAが導入されるよう、選択可能マーカーを含む1つまたは複数のDNAフラグメントを植物細胞に導入する段階と、
前記1つまたは複数のDNAフラグメントをゲノムDNAに取込んだ細胞が産生されるような選択条件下で前記植物細胞を増殖させる段階と、
サテライト人工染色体またはソーセージ型染色体を含む細胞を選択する条件下で細胞を増殖させる段階と
を含んで成る、ここでサテライト人工染色体は真正染色質よりも異質染色質を多く含むものであり、
ここでサテライト人工染色体は真正染色質よりも異質染色質を多く含むものであり、
ソーセージ染色体は(i)増幅された異質染色質部分および(ii)真正染色質部分を含むものである、植物人工染色体または植物ソーセージ型染色体の製造方法。
【請求項2】
選択された細胞が、ソーセージ染色体を含有している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
選択された細胞が、サテライト人工染色体を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
更に、遺伝子産物をコードするDNAを導入する段階を含んでおり、この遺伝子産物をコードするDNAは選択可能マーカーを含むフラグメントに存在するかまたは第二のDNAフラグメントに存在し、得られるサテライト人工染色体またはソーセージ染色体が遺伝子産物をコードする異種DNAを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該細胞がサテライト人工染色体を含有し、
該サテライト人工染色体がメガ染色体であり、
ここでメガ染色体は、2個の反転メガレプリコンを有するアンプリコンを含む、50Mb〜400Mbを含有するサテライト人工染色体であり、
メガレプリコンが反復異質染色質DNA単位を含むものであり、
該方法が、末端切断されたメガ染色体を含む細胞が産生される条件に細胞を置く段階を更に含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記条件が、X線照射と、染色体内部の塩基対合を不安定化する物質の存在下の増殖とから選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物質がブロモデオキシウリジンであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
更に、15〜60Mbからなるサテライト人工染色体を含んでいる細胞を選択する段階を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
細胞からサテライト人工染色体を単離する段階を更に含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
単離が、
中期染色体を単離し、
内因性染色体からサテライト人工染色体を識別し、
内因性染色体からサテライト人工染色体を分離することによって行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
DNA配列特異的染料で染色体を染色することによってサテライト人工染色体を内因性染色体から識別し、フローセルソーターによって分離することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
植物細胞が、植物プロトプラストである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって製造されるサテライト人工染色体。
【請求項14】
実質的に純粋であり、真正染色質よりも異質染色質を多く含む、単離された植物サテライト人工染色体。
【請求項15】
50〜450Mbからなるメガ染色体であることを特徴とする請求項14に記載のサテライト人工染色体。
【請求項16】
選択可能マーカーを含む1つまたは複数のDNAフラグメントを植物細胞に導入する段階と、
前記1つまたは複数のDNAフラグメントをそのゲノムDNAに取込んだ細胞が産生されるような選択条件下で細胞を増殖させる段階と、
増殖した細胞から新規な動原体を含む二動原体型染色体を有する細胞を選択する段階と、
サテライト人工染色体またはソーセージ染色体が産生される条件下で細胞を増殖させる段階と
を含んで成り、ここで
サテライト人工染色体が真正染色質よりも異質染色質を多く含み;および
ソーセージ染色体が(i)増幅された異質染色質部分および(ii)真正染色質部分を含むものである、
植物人工染色体または植物ソーセージ型染色体の製造方法。
【請求項17】
サテライト人工染色体またはソーセージ型染色体を含有する細胞、ここで該サテライト人工染色体は請求項1から12のいずれか一項に記載の方法で調製されたものであり、
ソーセージ型染色体は請求項1から12のいずれか一項に記載の方法で調製されたものである。
【請求項18】
植物プロトプラスト細胞である、請求項17記載の細胞。
【請求項19】
請求項17または18記載の植物細胞を、トランスジェニック植物が産生される条件下で培養する段階を含む、トランスジェニック植物の産生方法。
【請求項20】
サテライト人工染色体を植物細胞に導入する段階と、該植物細胞をトランスジェニック植物が産生される条件下で培養する段階を含むことを特徴とするトランスジェニック植物の産生方法。
【請求項21】
サテライト人工染色体が細胞融合およびミクロセル(微小核体)融合からなる群から選択される方法により得られたものである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
植物細胞がタバコ、イネ、トウモロコシ、ライ麦、小麦、大豆、Brassica napus、綿、レタス、ジャガイモ、トマトまたはシロイヌナズナの細胞であることを特徴とする請求項19から21いずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
DNAフラグメントを植物細胞に導入する段階、ここでDNAフラグメントは植物細胞内の狭動原体領域内へ組み込まれる、
前記植物細胞を増殖させる段階と、
得られた植物細胞から、増幅された領域を染色体内に含む細胞を選択する段階
を含む、増幅された核酸を含む植物染色体の製造方法。
【請求項24】
前記DNAフラグメントが、狭動原体領域を標的とする標的化ヌクレオチド配列を含有する、請求項1または23記載の方法。
【請求項25】
前記標的化配列がrDNAを含有する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記増幅された領域を含む染色体が、ソーセージ染色体である、請求項23から25いずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
植物細胞がタバコ、イネ、トウモロコシ、ライ麦、小麦、大豆、Brassica napus、綿、レタス、ジャガイモ、トマトまたはシロイヌナズナの細胞であることを特徴とする、請求項23から26いずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
増幅された核酸領域が増幅された内因性染色体核酸を含む、請求項23から27いずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記導入されたDNAフラグメントが1つまたは複数の遺伝子をコードする、請求項1または23記載の方法。
【請求項30】
前記導入されたDNAフラグメントが植物へ病気に対する耐性を付与する産物をコードするものである、請求項29記載の方法。
【請求項1】
植物細胞の染色体の挟動原体異質染色質に選択可能マーカーをコードするDNAが導入されるよう、選択可能マーカーを含む1つまたは複数のDNAフラグメントを植物細胞に導入する段階と、
前記1つまたは複数のDNAフラグメントをゲノムDNAに取込んだ細胞が産生されるような選択条件下で前記植物細胞を増殖させる段階と、
サテライト人工染色体またはソーセージ型染色体を含む細胞を選択する条件下で細胞を増殖させる段階と
を含んで成る、ここでサテライト人工染色体は真正染色質よりも異質染色質を多く含むものであり、
ここでサテライト人工染色体は真正染色質よりも異質染色質を多く含むものであり、
ソーセージ染色体は(i)増幅された異質染色質部分および(ii)真正染色質部分を含むものである、植物人工染色体または植物ソーセージ型染色体の製造方法。
【請求項2】
選択された細胞が、ソーセージ染色体を含有している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
選択された細胞が、サテライト人工染色体を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
更に、遺伝子産物をコードするDNAを導入する段階を含んでおり、この遺伝子産物をコードするDNAは選択可能マーカーを含むフラグメントに存在するかまたは第二のDNAフラグメントに存在し、得られるサテライト人工染色体またはソーセージ染色体が遺伝子産物をコードする異種DNAを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該細胞がサテライト人工染色体を含有し、
該サテライト人工染色体がメガ染色体であり、
ここでメガ染色体は、2個の反転メガレプリコンを有するアンプリコンを含む、50Mb〜400Mbを含有するサテライト人工染色体であり、
メガレプリコンが反復異質染色質DNA単位を含むものであり、
該方法が、末端切断されたメガ染色体を含む細胞が産生される条件に細胞を置く段階を更に含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記条件が、X線照射と、染色体内部の塩基対合を不安定化する物質の存在下の増殖とから選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物質がブロモデオキシウリジンであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
更に、15〜60Mbからなるサテライト人工染色体を含んでいる細胞を選択する段階を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
細胞からサテライト人工染色体を単離する段階を更に含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
単離が、
中期染色体を単離し、
内因性染色体からサテライト人工染色体を識別し、
内因性染色体からサテライト人工染色体を分離することによって行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
DNA配列特異的染料で染色体を染色することによってサテライト人工染色体を内因性染色体から識別し、フローセルソーターによって分離することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
植物細胞が、植物プロトプラストである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって製造されるサテライト人工染色体。
【請求項14】
実質的に純粋であり、真正染色質よりも異質染色質を多く含む、単離された植物サテライト人工染色体。
【請求項15】
50〜450Mbからなるメガ染色体であることを特徴とする請求項14に記載のサテライト人工染色体。
【請求項16】
選択可能マーカーを含む1つまたは複数のDNAフラグメントを植物細胞に導入する段階と、
前記1つまたは複数のDNAフラグメントをそのゲノムDNAに取込んだ細胞が産生されるような選択条件下で細胞を増殖させる段階と、
増殖した細胞から新規な動原体を含む二動原体型染色体を有する細胞を選択する段階と、
サテライト人工染色体またはソーセージ染色体が産生される条件下で細胞を増殖させる段階と
を含んで成り、ここで
サテライト人工染色体が真正染色質よりも異質染色質を多く含み;および
ソーセージ染色体が(i)増幅された異質染色質部分および(ii)真正染色質部分を含むものである、
植物人工染色体または植物ソーセージ型染色体の製造方法。
【請求項17】
サテライト人工染色体またはソーセージ型染色体を含有する細胞、ここで該サテライト人工染色体は請求項1から12のいずれか一項に記載の方法で調製されたものであり、
ソーセージ型染色体は請求項1から12のいずれか一項に記載の方法で調製されたものである。
【請求項18】
植物プロトプラスト細胞である、請求項17記載の細胞。
【請求項19】
請求項17または18記載の植物細胞を、トランスジェニック植物が産生される条件下で培養する段階を含む、トランスジェニック植物の産生方法。
【請求項20】
サテライト人工染色体を植物細胞に導入する段階と、該植物細胞をトランスジェニック植物が産生される条件下で培養する段階を含むことを特徴とするトランスジェニック植物の産生方法。
【請求項21】
サテライト人工染色体が細胞融合およびミクロセル(微小核体)融合からなる群から選択される方法により得られたものである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
植物細胞がタバコ、イネ、トウモロコシ、ライ麦、小麦、大豆、Brassica napus、綿、レタス、ジャガイモ、トマトまたはシロイヌナズナの細胞であることを特徴とする請求項19から21いずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
DNAフラグメントを植物細胞に導入する段階、ここでDNAフラグメントは植物細胞内の狭動原体領域内へ組み込まれる、
前記植物細胞を増殖させる段階と、
得られた植物細胞から、増幅された領域を染色体内に含む細胞を選択する段階
を含む、増幅された核酸を含む植物染色体の製造方法。
【請求項24】
前記DNAフラグメントが、狭動原体領域を標的とする標的化ヌクレオチド配列を含有する、請求項1または23記載の方法。
【請求項25】
前記標的化配列がrDNAを含有する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記増幅された領域を含む染色体が、ソーセージ染色体である、請求項23から25いずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
植物細胞がタバコ、イネ、トウモロコシ、ライ麦、小麦、大豆、Brassica napus、綿、レタス、ジャガイモ、トマトまたはシロイヌナズナの細胞であることを特徴とする、請求項23から26いずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
増幅された核酸領域が増幅された内因性染色体核酸を含む、請求項23から27いずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記導入されたDNAフラグメントが1つまたは複数の遺伝子をコードする、請求項1または23記載の方法。
【請求項30】
前記導入されたDNAフラグメントが植物へ病気に対する耐性を付与する産物をコードするものである、請求項29記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−254379(P2009−254379A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175281(P2009−175281)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【分割の表示】特願2008−26608(P2008−26608)の分割
【原出願日】平成9年4月10日(1997.4.10)
【出願人】(591173486)ザ・バイオロジカル・リサーチ・センター・オブ・ザ・ハンガリアン・アカデミー・オブ・サイエンシズ (3)
【氏名又は名称原語表記】THE BIOLOGICAL RESEARCH CENTER OF THE HUNGARIAN ACADEMY OF SCIENCES
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【分割の表示】特願2008−26608(P2008−26608)の分割
【原出願日】平成9年4月10日(1997.4.10)
【出願人】(591173486)ザ・バイオロジカル・リサーチ・センター・オブ・ザ・ハンガリアン・アカデミー・オブ・サイエンシズ (3)
【氏名又は名称原語表記】THE BIOLOGICAL RESEARCH CENTER OF THE HUNGARIAN ACADEMY OF SCIENCES
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】
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