説明

人工皮革基体の製造方法

【課題】繊度が0.01〜0.10dtexの超極細繊維を使って、同繊維を編地基布に交絡一体化させて高品位な人工皮革基体、特に表面に柄グセを発生させない人工皮革用基体の製造方法を提供する。
【解決手段】編物基布と超極細繊維からなるウェッブとが一体に積層された人工皮革基体の製造方法である。、編物基布の表面上に、繊度0.01〜0.1dtex、カット長1.5〜3.5mmである超極細繊維からなる目付10〜25g/m2 の抄造ウェッブを、湿式抄紙法により形成して、積層一体化させて素材シートを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊度が0.01dtex〜0.10dtexの超極細繊維と編物基布とが交絡一体化された人工皮革基体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2004−232126号公報(特許文献1)に開示された人工皮革は、0.1dtex以下の超極細繊維からなる不織布と高分子弾性体から構成されており、起毛、研削、染色をして最終製品になる。この中で人工皮革の基体に用いる不織布は最終製品の風合い、外観を決める重要なファクターである。近年、現行製品よりも緻密感が高く、高級感のあるヌバック調の製品が求められており、不織布を形成する繊維のさらなる超極細化、及び、不織布自体の緻密化を行っている。
【0003】
人工皮革基体である不織布の製造方法として、前記特許文献1に記載しているように、溶解または減量処理により極細繊維が発生する繊維のカードウエッブを調製して、これらをニードルパンチングして不織布を形成した後に高分子弾性体に含浸、溶解または減量処理により極細繊維を発生させる方法がある。また、例えば特開2006−241620号公報(特許文献2)に開示されているように、織編物基布へ繊度が均一な超極細繊維からなる抄造ウエッブを載置し、ウォータージェットパンチングにより交絡一体化する方法がある。さらに、同特許文献2にあるように、ニードルパンチングにより交絡した不織布に、ウォータージェットパンチングを加えて、不織布を緻密化することも行われている。
【0004】
ニードルパンチング法やウォータージェットパンチング法、或いはこれらの組み合わせによる交絡では、ネットなど支持体上に織編物基布を積載した状態で、織編物基布に超極細繊維からなる不織布を載置して、超極細繊維を基布に交絡一体化させるが、用いる超極細繊維の繊度、カット長、繊維径/カット長比、超極細繊維の積載方法、ニードルパンチング条件や、ウォータージェットの圧力条件、基布や支持体の組織などの要因が複雑に絡み合って、内部及び表面構造が形成される。本手法で製造した人工皮革基体として用いる不織布の表面には以上の理由で独特なテクスチュアーが必ず存在する。本発明では、これらを総称して柄グセと定義するが、柄グセは人工皮革基体を加工処理して人工皮革へ加工する工程である起毛処理、研削処理、染色処理などの加工で消失するのが通常である。
【特許文献1】特開2004−232126号公報
【特許文献2】特開2006−241620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、繊度が0.01〜0.10dtexの超極細繊維と編地基布を交絡一体化した場合、緻密な構造が形成されるため、加工工程でこれらを消失させることができず、製品表面に柄グセが強く残ってしまうという課題があった。
本発明は高品位な人工皮革基体、特に表面に柄グセを発生させない人工皮革用基体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基本的構成は、編物基布と超極細繊維からなるウェッブとが一体に積層された人工皮革基体の製造方法であって、編物基布の表面上に、繊度0.01〜0.1dtex、カット長1.5〜3.5mmである超極細繊維からなる目付10〜25g/m2 の抄造ウェッブを、湿式抄紙法により形成して、積層一体化させて素材シートを作成することを含んでいることにある。
【0007】
更に好ましくは、前記素材シートの第1表面と第1表面とは反対側の第2表面とに、それぞれ湿式抄紙法により前記超極細繊維からなる抄造ウェッブを形成し、その抄造ウェッブの第1及び第2表面側から0.5〜5.5MPaの圧力で、それぞれ高圧噴射水流処理を行うことを含んでいる。
【0008】
これらを具体的に述べると、本発明は、繊度0.01〜0.1dtex、カット長1.5〜3.5mmである超極細繊維と編物基布とを、以下に挙げる工程(1) 〜(4) を順次経ることにより、所望の人工皮革基体を製造する方法にある。
【0009】
(1) 100meshの平織ネットよりなる支持体上に編物基布を載置した後、編物基布上に超極細繊維を用いて湿式抄紙法により目付10〜25g/m2 の抄造ウェッブを積層し、抄造ウェッブ側から、0.5〜5.5MPaの圧力で、高圧噴射水流処理を行い、素材シートの第1表面(表面)を形成し、形成した素材シートを支持体から剥離する。
【0010】
(2) 工程(1) で形成された素材シートを100meshの平織ネットよりなる支持体上に載置し直して、工程(1) と同じ処理を施す。これを1回以上繰り返す。
【0011】
(3) 工程(2) で形成された素材シートを表裏反転させ、90〜100meshの平織ネットよりなる支持体上に載置し、編物基布の第1表面とは反対側の第2表面(裏面)上に前記超極細繊維を用いて湿式抄紙法により目付5〜25g/m2 の抄造ウェッブを形成し、その抄造ウェッブ側から、0.5〜5.5MPaの圧力で、高圧噴射水流処理を行い、素材シートの裏面を形成し、シートを支持体より剥離する。
【0012】
(4) 工程(3) で形成されたシートを100meshの平織ネットからなる支持体上に載置し直して、編物基布上に超極細繊維を用いて湿式抄紙法により目付5〜25g/m2 の抄造ウェッブを積層し、抄造シート側から、0.5〜5.5MPaの圧力で、高圧噴射水流処理を行い、シートの裏面を形成し、素材シートを支持体より剥離して、人工皮革用基体を製造する。この工程(4) は少なくとも1回通すことが必要である。
上記工程(1) 〜(4) に引き続き、工程(5) として素材シートを沸水中に投入し、編物基布を収縮させることを含ませることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の人工皮革基体の製造方法の好ましい実施の形態について具体的に説明する。
本発明の人工皮革基体には繊度0.01〜0.1dtex、カット長1.5〜3.5mmの超極細繊維を用いる。本発明に用いる超極細繊維は直接紡糸法により得られる繊維径、カット長が揃い、超極細繊維間は融着することなく、分繊性、分散性に優れたものを用いることが必要である。
【0014】
繊度0.01dtex未満の繊維径の揃った超極細繊維、すなわち、直接紡糸法により得られた0.01dtex未満の超極細繊維は工業的に安価に生産することができず、また、分繊性に大きな課題があり、高品位な表面外観を発生する人工皮革基体である不織布を形成することは困難である。0.1dtexを超える繊度では形成される不織布の風合いが従来の製品と変わらず、より緻密な高級感のある人工皮革基体は得られない。
【0015】
本発明では超極細繊維のカット長を1.5〜3.5mmとすることが必要である。カット長が1.5mm未満では織編物基布へ超極細繊維が交絡せず、製造工程中で脱落してしまう。3.5mmを超えると繊維と基布との交絡が不十分になり、繊維が基布上に積載された状態で繊維が基布から剥離されやすくなる。さらに、表面に柄グセが強く残るので好ましくない。
【0016】
さらに好ましくは、上記の繊度とカット長の範囲で、カット長L(μm)と繊維径D(μm)との比L/Dの値が600〜1000の範囲となる超極細繊維を用いれば、製品表面の柄グセが軽減される。
すなわち、交絡性の観点からはL/Dをある特定範囲に設定したとき、基布に積層交絡一体化が可能であると同時に、柄グセが出現しないことに着目した。L/Dが600以下では超極細繊維が、基布に積層交絡一体化できない条件であり、L/Dが1000以上では表面に柄グセが残る。
【0017】
本発明に用いる超極細繊維の材質は特に限定されるものではないが、アクリルニトリル系繊維であることが好ましい。
超極細繊維はアクリロニトルを50質量%以上含有することで、アクリル繊維の優れた風合い、発色性を目的とする人工皮革に付与することができる。アクリロニトルが50質量%未満ではアクリロニトリル系繊維のもつ風合いや発色性が十分に発現されない。
【0018】
本発明の人工皮革基体を構成する超極細繊維に共重合されるモノマーは、通常のアクリル繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。さらに、染色性改良などの目的で、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩などを共重合してもよい。
【0019】
本発明に用いる超極細繊維は、湿式紡糸を用いて製造することができる。ポリマーは溶剤に溶解して紡糸原液となり、細孔ノズルより、繊維を構成するポリマーの非溶剤を含む凝固浴中へ吐出して凝固し、これを引き取り、湿熱延伸したのち、洗浄、乾燥、焼き潰し、乾熱延伸が施される。用いる溶剤としてはジメチルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドなどの有機溶剤を用いることができる。凝固剤としては、例えば、水、メタノール、エタノールなどを用いることができる。凝固浴には溶剤/非溶剤の混合物を用いることができる。
【0020】
本発明において、アクリロニトリル系ポリマーの分子量は特に限定しないが、分子量5万〜100万が望ましい。分子量5万未満では紡糸性が低下すると同時に繊維の糸質も悪化する傾向にある。分子量100万を越えると紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が低くなり、生産性が低下する。
【0021】
本発明の人工皮革基体は編物からなる基布を有する。本発明の人工皮革基体の物理的性能は基布となっている編物に最も大きく依存している。基布の少なくとも両面が超極細繊維で覆われているので、上述のごとく編地基布と超極細繊維で機能の分担を可能にしている。言い換えれば、人工皮革基体を構成する素材シートの物理的性質はほとんど全て基布として用いている編物で決まるが、外観、色調、風合いは超極細繊維により決まる。
【0022】
本発明で使用する編物からなる基布を構成する繊維は特に限定されるものではない。例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニアルコール系繊維、セルロース系繊維、アセテート系繊維の公知の繊維からなるものが使用可能である。
【0023】
使用する超極細繊維を編物基布に強固に支持するためには、まず編物基布の表面に超極細繊維からなるウェッブを湿式抄紙法に従って直接抄造して一体化したのち、その抄造ウェッブ側から高圧噴射水流処理を行い、超極細繊維と基布とを十分に交絡させることが必要である。また、基布には潜在的収縮性を有する繊維からなる編物を用い、前述のようにして、超極細繊維と基布とを十分に交絡させたのちに、素材シートを収縮させることが好ましい。シートを上記の手順で収縮させることで交絡をより強固にするとともにシート表面を緻密化させてより緻密感の高い外観、風合いが得られる。また、この場合の潜在性収縮繊維としては、例えば60〜100℃の熱水中で処理することより10〜60%、好ましくは20〜50%収縮するような繊維を用いるとよい。
【0024】
超極細繊維と基布とを交絡させるには、例えば超極細繊維からなるウェッブを抄紙法やニードルパンチングにより予め作成しておき、これを編物基布に積層したのち、ウェッブ側から高圧噴射水流処理を行うことが考えられるが、本発明と比較すると、本発明にように編物基布の表面に超極細繊維からなるウェッブを直接抄造して一体化して素材シートを作成したのち、その抄造ウェッブ側から高圧噴射水流処理を行う方が格段に交絡度が高くなる。
【0025】
本発明の編物基布の目付(度目)g/m2 は、通常、製造できる範疇のものは使用可能であるが、衣料用途や自動車用途の人工皮革を想定する場合に、超極細繊維と、基布及び高分子弾性体とを複合した最終製品形態を考慮すると、50g/m2 〜200g/m2 を用いることが好ましい。50g/m2 未満では目的とする実用に耐えられる十分な耐久性が得られるシートを得ることは困難である。200g/m2 を超えると基布として用いることもできるが、シート重量が高くなり軽量性という点では劣る商品となり実用的でない。
【0026】
本発明の人工皮革基体には高分子弾性体をその構成成分の一つとして含浸する。高分子弾性体は、あくまでも基布と繊維の絡み合いをより強固にすること、あるいはシートに腰をもたせ、天然皮革の性状に近くすることが目的であるから、多量の高分子弾性体を用いる必要はなく、シート状物に対して1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%程度で十分な効果を発揮する。高分子弾性体が1質量%以上で天然皮革様の風合いが十分に得られる。また、高分子弾性体が30質量%以上では硬い風合いの人工皮革となるので好ましくない。
【0027】
本発明の人工皮革に用いる高分子弾性体としては、ポリウレタン弾性体、アクリロニトル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレン等の合成ゴム、ポリアクリル酸エステルなどの高分子弾性体がある。
【0028】
この中でポリウレタン弾性体は柔軟性や耐摩耗性に優れており、人工皮革には適している。ポリウレタン弾性体のポリオール成分としてはポリエチレンアジペートグリコール、ポリエチレンアジペートグリコールなどのポリエチレンジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルグリコール類、ポリカーボネートジオール類がある。また、イソシアネート成分としては、芳香族イソシアネート、脂環族イソシアネート、脂肪族ジイソシアレートが使用できる。また、鎖伸長剤としてエチレングリコールなどグリコール類、エチレンジアミン等のジアミン類等を使用できる。
【0029】
更に、前述のポリオール成分とジイソシアナート成分、及び鎖伸長剤から強制乳化重合法によって得られた水分散型ポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。水分散型ポリウレタン弾性体としては、ポリエーテル系の無黄変ポリウレタン弾性体、カーボネート系の無黄変ポリウレタン弾性体、ポリエステル系の弾性体を用いることができる。さらに、前記水分散型弾性体に耐熱性向上剤として酸化防止剤、光安定剤を併用することが好ましい。酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系がある。
【0030】
本発明の人工皮革基体の目付は特に限定されるものではないが、衣料用途、家具、自動車用途で用いる場合、目付50〜400g/m2 が好ましい。50g/m2 未満では目的とする実用に耐えられる十分な耐久性が得られるシートを得ることが困難である。400g/m2 を超えると、シート重量が高くなり軽量性という点では劣る商品となり実用的でない。
【0031】
次に本発明の人工皮革基体の製造方法を具体的に説明する。本発明により得られる人工皮革基体は、編物基布の第1及び第2表面(表裏面)に抄造法による超極細繊維からなるウエッブを調製すると同時に支持させて、ウォータージェットパンチングによりウエッブ繊維を編物基布に十分に交絡させることを特徴として製造する。具体的には、本発明の人工皮革基体は超極細繊維と編物基布を下記(1) 〜(4) の工程を順に経ることにより製造することを基本とする。
【0032】
工程(1) は、100meshの平織ネットよりなる支持体上に編物基布を載置した後、編物基布の第1表面(表面)上に、0.01〜0.1dtex、カット長1.5〜3.5mmの超極細繊維を用いて湿式抄紙法により目付10〜25g/m2 のシートを作製し、抄造シート側から、0.5〜5.5MPaの圧力で、高圧噴射水流処理を行い、シートの表面を形成し、形成したシートを支持体から剥離する。
【0033】
本発明の工程(1) においては100meshの平織ネットを用いることが好ましい。100mesh未満の粗いものを用いると柄グセが強くなる。100meshを超える細いものは水抜け性が悪く、また平織りネットとして強力も弱く、実用上用いることができない。
【0034】
本発明の工程(1) において、編物基布上で抄造される超極細繊維からなる抄造シートの目付が10g/m2 未満であると、超極細繊維が編地基布の積載されず脱落するので好ましくない。また、目付が25g/m2 を超えると柄グセが強くなるので好ましくない。
【0035】
本発明の工程(1) においては高圧噴射水流処理の圧力が0.5MPa未満であると、超極細繊維と編地基布とを一体交絡化させることはできない。また、5.5MPaを超えると柄グセが強くなるので好ましくない。
【0036】
また、高圧噴射水流処理は、複数回繰り返すことにより、より柄グセを弱めることができる。そのため、
本発明の工程(2) では、工程(1) に引き続いて、工程(1) で形成されたシートを100メッシュの平織ネットよりなる支持体上に載置し、工程(1) と同じ高圧噴射水流処理を施す。
【0037】
本発明の工程(3) では、工程(2) に引き続き、工程(2) で得られたシートを表裏反転させ、90〜100meshの平織ネットよりなる支持体上に前記シートの第2表面(裏面)を外側に向けて載置し、編物基布の裏面上に湿式抄紙法により超極細繊維からなる目付5〜25g/m2 のシートを作製したのち、抄造シート側から、0.5〜5.5MPaの圧力で、同じく高圧噴射水流処理を行い、素材シートの裏面を形成し、出来上がった素材シートを支持体より剥離する。
【0038】
本発明の工程(3) においては、90〜100meshの平織ネットを用いることが好ましい。90mesh未満の粗いものを用いると柄グセが強くなり、また、100meshを超える細いものは水抜け性が悪く、また支持体としての強力も弱く、実用上用いることができない。
【0039】
本発明の工程(3) において、超極細繊維からなる抄造シートの目付が5g/m2 未満であると、目標の積載量にするために積層枚数を増やさなければならず、効率的に生産できないので好ましくない。また、目付が25g/m2 を超えると柄グセが強くなるので好ましくない。
【0040】
本発明の工程(3) において、高圧噴射水流処理の圧力が0.5MPa未満であると、超極細繊維と編地基布を一体交絡化させることはできない。また、5.5MPaを超えると柄グセが強くなるので好ましくない。
また、高圧噴射水流処理は、1回以上繰り返すことにより、より柄グセを弱めることができる。
【0041】
本発明の工程(4) では、工程(3) に引き続いて、工程(3) で得られたシートを100meshの平織ネットよりなる支持体上に改めて載置して、編物基布の裏面上に超極細繊維を用いて湿式抄紙法により目付5〜25g/m2 の抄造ウェッブを積層し、その抄造ウェッブ側から、工程(3) と同様に0.5〜5.5MPaの圧力で、高圧噴射水流処理を行い、人工皮革基体シートの裏面を形成し、人工皮革基体シートを支持体より剥離する。
【0042】
本発明の工程(4) においては100meshの平織ネットを用いることが好ましい。100mesh未満の粗いものを用いると柄グセが強くなる。100meshを超える細かいものは水抜け性が悪く、支持体としての強力も弱く、実用上用いることができない。また、本発明の工程(4) において超極細繊維を積載する目付が5g/m2 未満であると、目標の積載量にするために積層枚数が増えるので効率的に生産できないので好ましくない。また、目付が25g/m2 を超えると柄グセが強くなるので好ましくない。
【0043】
本発明の工程(4) において高圧噴射水流処理の圧力が0.5MPa未満であると、超極細繊維と編地基布を十分に交絡一体化させることはできない。また、5.5MPaを超えると柄グセが強くなるので好ましくない。
また、上述のような高圧噴射水流処理は、複数回繰り返すことにより、より柄グセを弱めることができる。
【0044】
本実施の形態では、超極細繊維(A)と編物基布(B)が交絡一体化した素材シートを工程(5) として沸水中に投入して、そのシート内部に存在する潜在熱収縮性を有する編物基布を収縮させ、シートを収縮緻密化させる。
【0045】
本発明の人工皮革基体の製造においては、工程(1) 、(2) 、(4) では100meshのステンレス製平織ネットを支持体として用いる。工程(3) では100又は90meshのステンレス製平織ネットを支持体として用いることが好ましい。その支持体の仕様は以下のとおりである。
「ステンレス製平織ネットからなる支持体」
単線平織ステンレス製#100メッシュの場合、
・Warf100本/2.54cm、Welf90本/2.54cm)
・繊径Φ:0.112mm、
・目開:Warf0.14mm、Welf0.17mm
である。
単線平織ステンレス製#90メッシュの場合、
・Warf1 :90本/2.54cm、Welf:63本/2.54cm
・繊径Φ0.132mm、
・目開:Warf0.15mm、Welf0.27mm
である。
【0046】
本発明の製造方法においては、各処理工程毎に、支持体であるネットと素材シートとの相対位置を適宜変更すること、すなわち、素材シートをネットから剥ぎ取った後に再び素材シートをネット上に載置することが好ましい。各処理工程毎に素材シートをネットから剥ぎ取ると、その載置位置が相対的に変わるため表面緻密感が高くなるとともに、柄グセも抑えられる。
【0047】
本発明では、編物基布に対して、その表面には目付20〜40g/m2 の超極細繊維を交絡一体化させ、裏面には目付20〜40g/m2 の超極細繊維を交絡一体化させることが好ましい。
編物基布に対して表面に目付20g/m2 以上の超極細繊維を交絡させないと、耐摩耗に対する実用性能が得られない。また、編物基布に対して表面に目付40g/m2 以上の超極細繊維を交絡させると柄グセが強くなる。
【0048】
編物基布に対して裏面に目付20g/m2 以上の超極細繊維を交絡させないときは、裏面に基布組織が露出するため、裏面の品位が保てないので好ましくない。また基布の裏面に40g/m2 より小さい目付の超極細繊維を交絡一体化させても裏面の品位が良くならないので好ましくない。
【0049】
工程(5) の処理が完了した人工皮革基体シートは脱水処理した後、ピンテンターなどの乾燥機で乾燥、巻き取って人工皮革基体となる。さらに、染色処理、高分子弾性体含浸、表面研削処理の各加工を施し、製品である人工皮革に仕上げる。
【0050】
「高分子弾性体」
本発明の人工皮革に用いる高分子弾性体としては、ポリウレタン弾性体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレン等の合成ゴム、ポリアクリル酸エステルなどの高分子弾性体がある。
この中でポリウレタン弾性体は柔軟性や耐摩耗性が優れており、人工皮革には適している。ポリウレタン弾性体のポリオール成分としてはポリエチレンアジペートグリコールなどのポリエチレンジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルグリコール類、ポリカーボネートジオール類がある。また、イソシアネート成分としては、芳香族イソシアネート、脂環族イソシアネート、脂肪族ジイソシアネートが使用できる。また、鎖伸長剤としてエチレングリコールなどのグリコール類、エチレンジアミン等のジアミン類を使用できる。
【0051】
さらに、ポリウレタン弾性体は、上述のポリオール成分とジイソシアナート成分及び鎖伸長剤から強制乳化重合法によって得られた水分散型ポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。水分散型ポリウレタン弾性体としては、ポリエーテル系の無黄変ポリウレタン弾性体、カーボネート系の無黄変ポリウレタン弾性体、ポリエステル系の弾性体を用いることができる。さらに、前記水分散型弾性体に耐熱性向上剤として酸化防止剤、光安定剤を併用することが好ましい。酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系がある。
【実施例】
【0052】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例及び比較例における各値を、次のように換算し、判定した。
「目付測定」
単位面積当たりの質量を測定して目付(g/m2 )換算した。
「表面品位の判定」
表面品位の判定は、得られた人工皮革基体を染色処理、高分子弾性体含浸処理、表面研削処理などを加えて、人工皮革表面に仕上げた後に、外観の目視により表面品位を判定した。
その等級は次のとおり、
5級:柄グセ感無く高品位な表面
4級:柄グセ感ほとんどなく高品位な表面
3級:柄グセ感弱く高品位な表面
2級:柄グセ感有り低品位な表面
1級:柄グセ感強く低品位な表面
としている。
【0053】
編物基布へ超極細繊維よりなる抄造ウエッブを抄造し、これらをウォータージェットパンチング法により交絡一体化の処理をした。抄造及び交絡処理を行った装置は以下のとおりである。
【0054】
・ ネット駆動及びシート搬送装置
幅60cm×長さ585cmのステンレス製平織(日本フィルコン製)を無端ベルト状につなぎあわせて連続的に回転させる装置上で抄造(繊維積載)、ウォータージェットパンチングにより交絡処理を実施した。装置には抄紙用スラリー供給装置、ウォータージェットノズル、減圧脱水を配置した。この基本ユニットを用いて、必要な抄紙、交絡を繰り返した。
また、本試験機にはネット上に基布を搬送、張力制御できるようにピンチェーンを配置し、ネットと同じ速度で駆動した。ネット速度、及び、シート搬送速度は5.5m/minに設定した。
【0055】
・ 抄紙
繊維(フロック)の抄造量はスラリー供給量、供給スラリー中の繊維濃度と基布搬送速度、スラリー供給部幅で決まる。スラリー供給部の幅は48cm、供給スラリー量は30L/minで一定として、抄造量はスラリー中の繊維濃度により調整した。
抄紙用スラリーを基布上へ供給後は常圧(自然)脱水する静置部分を通過させながら自然に脱水後にネット下部に配置した減圧脱水装置により脱水をして湿紙状の抄造ウエッブを基布上へと積載した。
【0056】
・ ウォータージェット(WJ)パンチング処理
本装置の抄紙(繊維積載部)を通過した後方にウォータージェットパンチング装置(WJ交絡装置)を配置した。ウォータージェットノズルは以下の2種類、3本を用い、適宜剥ぎ取り、繰り返し処理をした。剥ぎ取りをしない処理に関しては、ネット上に張り付けたまま装置を回して、次工程の処理をした。
ノズル1(WJ1 ):孔径φ0.15mm×501Hole 、幅方向孔間ピッチ1mm 、1 列配置、ノズ ル有効幅500mm 。
ノズル2(WJ2 ):孔径φ0.15mm×501Hole 、幅方向孔間ピッチ1mm 、1 列配置、ノズ ル有効幅500mm 。
ノズル3(WJ3 ):孔径φ0.15mm×1002Hole、幅方向孔間ピッチ1.5mm 、3 列配置、列 間ピッチ5mm 、ノズル有効幅500mm 。
【0057】
・ 減圧脱水装置
WJノズルとネットの下部には減圧脱水装置を配置して、ウォータージェットノズルより噴出した高圧柱状流水が交絡する処理シートを貫通して抜けるようにした。減圧脱水装置では真空ポンプより気体、液体の混合状態で脱水装置内に吸引し、液体と気体を分離して、気体は真空ポンプより排出し、液体は送液ポンプにより系外へ排出した。
【0058】
・ 超極細繊維離解
本実施例で用いる超極細繊維を所定のカット長(2mm、2.5mm、3mm)にカットした。(以下、繊維原料をフロックと称する。)次に、フロックを繊維濃度が1%(10g/L)になるように水中へと分散して、ディスクリファイナー(熊谷理機製)を通して離解処理を行った。
【0059】
・ 抄紙用スラリー調製
離解スラリー繊維希釈水を計量し、スラリー供給タンクに調製した。さらに、ポリアクリルアマイドを添加して粘度22センチポイズの抄紙用スラリーを調製した。
【0060】
『実施例1』
超極細繊維
アクリロニトリル/ アクリル酸メチル/ メタリルオキシベンゼンスルフォン酸ソーダ=91.4/6.9/1.6からなる超極細繊維を紡糸し、2mmにカットした。
【0061】
編地基布
熱収縮性をもつ72dt/36fのポリエチレンテレフタレートフィラメントからなる目付50g/m2 編地(天竺)を幅70cm、長さ11mにカットして用いた。
【0062】
I. 工程(1)
所定のサイズに切り出した編地基布をウォータージェット装置上のステンレス製平織100meshのネット支持体上に載置して、この上2mmにカットした繊度0.06dtexの超極細繊維よりなる抄紙スラリーを流し込み、目付15g/m2 の上記超極細繊維を載置した。次に、装置上に配置したウォータージェットノズルより、順次、(I-1) 1MPa 、(I-2) 2MPa 、(I-3) 4MPaの圧力を加え、超極細繊維と編地基布を交絡一体化した。
【0063】
処理した素材シートはネットより剥ぎ取ることなく、装置をもう1周させて、順次、(I-1')1MPa 、(I-2')2MPa 、(I-3')4MPaの圧力を加えた後、ネットより剥ぎ取った。
【0064】
II. 工程(2)
工程(1) で得られたシートを再びウォータージェット装置上のステンレス製平織#100ネット支持体上に載置して、この上2mmにカットした繊度0.06dtexの超極細繊維よりなる抄紙スラリーを流しこみ、目付15g/m2 の超極細繊維を工程(1) で得られた素材シート上に形成した。次に、装置上に配置したウォータージェットノズルより、順次、(II-1)1MPa 、(II-2)2MPa 、(II-3)4MPaの圧力を加え、超極細繊維と編地基布を交絡一体化した後、ネットより剥ぎ取ることなく、装置をもう1周させて、順次、(II-1') 1MPa 、(II-2') 2MPa 、(II-3') 4MPaの圧力を加えた後、ネットより剥ぎ取った。
【0065】
III. 工程(3)
工程(2) で得られたシートを反転して裏側にして、ウォータージェット装置上のステンレス製平織100meshネット支持体上に載置して、この上2mmにカットした繊度0.06dtexの超極細繊維よりなる抄紙スラリーを流しこみ、目付15g/m2 の超極細繊維を工程(1) で得られた素材シートの裏面上に形成した。次に、装置上に配置したウォータージェットノズルより、順次、(III-1) 1MPa 、(III-2) 3MPa 、(III-3) 4MPaの圧力を加え、超極細繊維と編地基布を交絡一体化した後、ネットより剥ぎ取ることなく、装置をもう1周させて、順次、(III-1')1MPa 、(III-2')3MPa 、(III-3')4MPaの圧力を加えた後、ネットより剥ぎ取った。
【0066】
IV. 工程(4)
工程(3) で得られたシートを反転させずに、裏面を外側に向けてウォータージェット装置上のステンレス製平織#100ネット支持体上に改めて載置し直して、その上面に2mmにカットした繊度0.06dtexの超極細繊維よりなる抄紙スラリーを流し込み、目付15g/m2 の超極細繊維を工程(3) で得られた素材シート上に形成した。次に、装置上に配置したウォータージェットノズルより、順次、(IV-1)1MPa 、(IV-2)3MPa 、(IV-3)4MPaの圧力を加え、超極細繊維と編地基布を交絡一体化した後、ネットより剥ぎ取ることなく、装置をもう1周させて、順次、(IV-1') 1MPa 、(IV-2') 3MPa 、(IV-3') 4MPaの圧力を加えた後、ネットより剥ぎ取った。
【0067】
以上を実施例1として、表1に示した。
【0068】
V. 工程(5)
工程(4) の処理が終了した素材シートを沸水中に投入して、シート内部に存在する潜在熱収縮性を有する編物を幅方向に27%、長さ方向に23%シートを収縮緻密化させて、人工皮革基体を作成した。収縮処理前のシート目付110g/m2 、収縮処理後のシート目付196g/m2 であった。
この工程(5) は後述する実施例2〜6及び比較例1〜8においても共通に実施した。
工程(5) を終了したのち、以下の条件で乾燥処理、染色処理、高分子弾性体含浸、表面研削処理の各加工を施し、製品である人工皮革に仕上げた。
【0069】
・ 乾燥処理
収縮処理したシートはマングルにより水分を絞った後、シート幅30cmにカットした。次にピンテンター試験機(辻井染色機製PT−2A−400)により130℃×3分で乾燥した。
【0070】
・ 染色処理
染色試料は幅方向に3本結反して幅90cmに、長さ方向は合計で30m程度になるように各試料をカット、結反した。これらの結反シートは高圧液流染色機(日本染色機製ユニエース)を用いて、カチオン染料によりアクリロニトリル系ポリマーよりなる繊維部分を染色した。染色レサイプは以下のとおりである。キャメル色に発色するように染色した。
Nichilon Golden Yellow GL(日成化成製):1.0owf%
Nichilon Red RS New (日成化成製):0.26owf%
Nichilon Blue AQN (日成化成製):0.2owf%
染液水量:180L
酢酸(90% ):90g
酢酸Na:45g
染色温度×時間:105 ℃×1 時間
【0071】
・ 乾燥処理
染色したシートは洗浄処理して、マングルで絞った後、結反部分を解反して、ピンテンター試験機(辻井染色機製PT−2A−400)により150℃×3分で乾燥した。
この際、染色前シート幅に対して10%拡幅して乾燥した。
【0072】
・ 高分子弾性体含浸
上記染色処理上がりのシートに水分散型ポリウレタンEvafanol AP-12 (日華化学製 エーテル系ポリウレタン)のエマルジョン(濃度4%dispに調製)を含浸した。含浸率が100%になるようにマングル絞りをした。次にアルギン酸ナトリュウム3% 水溶液を100meshのスクリーンを介して表面にコートして、150 ℃×3分で乾燥させた。本シートへのポリウレタンの理論付着量は4%である。
【0073】
・ 表面研削処理
上記高分子弾性体含浸処理上がりのシートはサンドペーパー(#180)により表面研削をした。さらに、シートは洗浄処理して乾燥した。以上の加工処理を施し、目付175g/m2 のシートを得た。
【0074】
「表面品位評価」
得られたシート表面を実体顕微鏡により観察して、その画像を被験者5名に比較してもらい、表面品位(柄グセ感)を決定した。この結果、表面品位は5級であった。
【0075】
『実施例2〜6及び比較例1〜8』
実施例1と同様な方法で超極細繊維のカット長、ネット支持体(C)の構成、超極細繊維の抄造目付、ウォータージェット圧を変更した実施例2〜6、比較例1〜8を実施し、その表面品位を評価した。これらの実施例2〜6及び比較例1〜8を、上記実施例1と同様に表1に示す。
【0076】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
編物基布と超極細繊維からなるウェッブとが一体に積層された人工皮革基体の製造方法であって、
編物基布の表面上に、繊度0.01〜0.1dtex、カット長1.5〜3.5mmである超極細繊維からなる目付10〜25g/m2 の抄造ウェッブを、湿式抄紙法により形成して、積層一体化させて素材シートを作成することを含んでなる人工皮革基体の製造方法。
【請求項2】
前記素材シートの第1表面と第1表面とは反対側の第2表面とに、それぞれ湿式抄紙法により前記超極細繊維からなる抄造ウェッブを形成し、その抄造ウェッブの第1及び第2表面側から0.5〜5.5MPaの圧力で、それぞれ高圧噴射水流処理を行うことを含んでなる請求項1記載の人工皮革基体の製造方法。
【請求項3】
超極細繊維と編物基布とを以下の工程(1) 〜(4) を順次通すことを含んでなる請求項2記載の人工皮革基体の製造方法。
工程(1) :100meshの平織ネットよりなる支持体上に編物基布を載置した後、
湿式抄紙法により、編物基布の第1表面上に前記超極細繊維からなる前記抄造ウェッブを積層形成したのち、その抄造ウェッブ側から前記高圧噴射水流処理を行い、素材シートの第1表面を形成し、
形成した素材シートを支持体より剥離する。
工程(2) :工程(1) で形成された素材シートを100meshの平織ネットよりなる支持体上に載置し直して、工程(1) と同じ工程を1回以上繰り返す。
工程(3) :工程(2) で形成された素材シートを表裏反転させ、90〜100meshの平織ネットよりなる支持体上に載置して、湿式抄紙法により、編物基布の第1表面とは反対側の第2表面上に上記超極細繊維を用いて抄造ウェッブを積層形成し、
その抄造ウェッブ側から、上記圧力で高圧噴射水流処理を行い、素材シートの第2表面を形成したのち、
素材シートを支持体より剥離する。
工程(4) :工程(3) で形成された素材シートを、その第2表面側を外側として100meshの平織ネットからなる支持体上に載置し直し、
湿式抄紙法により、第2表面側のウェッブ表面に上記超極細繊維を用いて抄造ウェッブを積層し、
積層された抄造ウェッブ側から、上記圧力で高圧噴射水流処理を行い、素材シートの第2表面を形成し、
素材シートを支持体より剥離して、人工皮革基体を製造する。
【請求項4】
前記工程(1) 〜(4) に引き続き、シートを沸水中に投入し、編物基布を収縮させる工程(5) を更に含んでなる請求項3に記載の人工皮革基体の製造方法。

【公開番号】特開2009−185430(P2009−185430A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29379(P2008−29379)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【出願人】(301067416)三菱レイヨン・テキスタイル株式会社 (102)
【Fターム(参考)】