説明

介護ベッドの販売方法

【課題】介護ベッドに要する要介護者側の経済的負担を軽減させる。
【解決手段】介護ベッド製造販売業者が介護保険適用前の要介護者に自立支援ベッドを販売するステップと、要介護者が介護保険適用になったときに介護ベッド製造販売業者が要介護者から自立支援ベッドを買い取るステップと、介護ベッド製造販売業者が要介護者から買い取った自立支援ベッドを介護保険対応機能ベッドに改造するステップと、介護ベッド製造販売業者が介護保険対応機能ベッド福祉用具貸与業者に売却するステップと、福祉用具貸与業者が介護保険対応機能ベッドを介護保険適用になった要介護者に介護保険レンタルサービスによりレンタルするステップとからなり、要介護者の介護保険適用期間中において、福祉用具貸与業者が介護ベッド製造販売業者に所定の金額を月払いで支払い、介護ベッド製造販売業者が要介護者に所定の金額を月払いで支払う販売方法を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護保険を利用した介護ベッドの販売方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護保険制度の改正に伴い、要支援1、要支援2、要介護度1の軽度の要介護者は、平成18年10月から原則として介護保険適用の電動ベッドは使用できなくなる。軽度の要介護者が電動ベッドを使用した場合、起き上がり・立ち上がりに自分の力を全く使わないために筋力の低下が進み、身体の状態が悪化することが医学の見地から指摘されている。今回の電動ベッドの利用制限も、電動ベッドを使うと、身体を動かさなくなって身体の状態が悪化するなどの理由から、利用制限が決まったとされている。しかしながら、軽度の要介護者でも、膝関節の疾患などがある人は、自分の力だけでは立ち上がりができないため、立ち上がり補助力のある介護ベッドが必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
明るく活力のある超高齢化社会を実現するためには、できる限り高齢者が自力で起き上がり、立ち上がって歩き、日常生活の行動範囲を維持して身体の状態を悪化させないようにすることが重要である。すなわち、今後到来する超高齢化社会が暗く沈滞した社会にならないようにし、明るく活力ある超高齢化社会を実現するためには、まず高齢者の生活機能の低下を防ぐことが重要である。
【0004】
そのためには、高齢者が自力を主体として起き上がり・立ち上がりができるように、起き上がり・立ち上がりの補助動作機能のある介護ベッドが必要であるが、介護保険適用外でベッドを求める場合は自費で購入しなければならないし、また自費で購入しても体力が低下してくると、介護ベッドとして自立促進タイプの補助動作機能を有するものから介護タイプの支援動作機能を有するものに交換する必要があるため、購入して使用していたベッドを買い換えるか、捨てるかすることになる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、要介護者の身体状況に合わせ、要介護者が自立促進用ベッドを使用することが適当なときには自立促進用ベッドを使用し、また要介護者の介護度が進行し、要介護者が介護専用ベッドを使用することが適当になったときには介護専用ベッドを使用できるようにすることにより、介護ベッドの使い分けをして要介護者側の経済的負担を軽減させることができる介護ベッドの販売方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、介護ベッド製造販売業者と福祉用具貸与業者とが互いに協調しあって介護ベッドに要する諸費用を節減することにより、介護ベッドを使用する要介護者側の経済的負担を軽減しながら、明るい超高齢化社会を実現できることを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、介護ベッド製造販売業者と福祉用具貸与業者とが協同して行う介護ベッドの販売方法であって、
介護ベッド製造販売業者が介護保険適用前の要介護者に自立支援ベッドを販売するステップと、
前記要介護者が介護保険適用になったときに、介護ベッド製造販売業者が要介護者から前記自立支援ベッドを買い取るステップと、
介護ベッド製造販売業者が、要介護者から買い取った自立支援ベッドを介護保険対応機能ベッドに改造するステップと、
介護ベッド製造販売業者が前記介護保険対応機能ベッド福祉用具貸与業者に売却するステップと、
福祉用具貸与業者が、前記介護保険対応機能ベッドを介護保険適用になった要介護者に介護保険レンタルサービスによりレンタルするステップとからなり、
前記要介護者の介護保険適用期間中において、福祉用具貸与業者が介護ベッド製造販売業者に所定の金額を月払いで支払い、介護ベッド製造販売業者が要介護者に所定の金額を月払いで支払うことを特徴とする介護ベッドの販売方法を提供する。
【0008】
本発明において、要介護者とは、要介護認定者に加え、要介護未認定で身体機能の衰えている者も含むものとする。
【0009】
本発明では、介護保険適用外の要介護者の身体状況に合わせて購入された自立促進ベッドが要介護者の要介護度が進むことにより不要となり、一方で介護保険対応機能ベッドが必要になったときに、要介護者側が購入して使用していた自立促進ベッドを介護ベッド製造販売業者が買い取るとともに、買い取った自立促進ベッドを介護保険対応機能ベッドに改造して福祉用具貸与業者に売却し、この介護保険対応機能ベッドを福祉用具貸与業者が介護保険レンタルサービスにより要介護者にレンタルする。そして、要介護者の介護保険適用期間中、介護ベッド製造販売業者から福祉用具貸与業者への介護保険対応機能ベッドの売却の対価として、福祉用具貸与業者が介護ベッド製造販売業者に所定の金額を月払いで支払うとともに、要介護者から介護ベッド製造販売業者への自立促進ベッドの販売の対価として、介護ベッド製造販売業者が要介護者に所定の金額を月払いで支払う。上記月払いにおいては、介護保険の保険金を利用することができる。したがって、本発明によれば、現行の介護保険適用の範囲内において、介護ベッド製造販売業者と福祉用具貸与業者とが協力して、介護ベッドに要する要介護者側の経済的負担を軽減させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、介護ベッド製造販売業者と福祉用具貸与業者とが協力して、介護ベッドに要する要介護者側の経済的負担を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。本実施形態では、下記ステップにより介護ベッドを要介護者に販売する。
ステップ1:介護ベッド製造販売業者が、自立支援ベッド・マットレス・立ち上がりバーの3点セットを介護保険適用前の要介護者に販売する(販売金額は例えば20万円)。自立支援ベッドとは、要介護者がベッドから起き上がる動作、立ち上がる動作を所定の機構によって補助するものである。
ステップ2:要介護者が例えば数年後に介護保険適用となり、購入して使用していた自立支援ベッドが不要になったときに、介護ベッド製造販売業者が、不要になった自立支援ベッドと立ち上がりバーを買い取る。
ステップ3:介護ベッド製造販売業者が、要介護者から買い取った自立支援ベッドを介護保険対応機能ベッドに改造する。例えば、自立支援ベッドにモータユニット、サイドレール、オーバーテーブルなどを新たに取り付ける。改造費用は、介護ベッド製造販売業者と福祉用具貸与業者の2者が負担する。
ステップ4:介護ベッド製造販売業者が、改造された介護保険対応機能ベッド福祉用具貸与業者に売却する。
ステップ5:福祉用具貸与業者が、上記介護保険対応機能ベッドを介護保険適用になった要介護者に介護保険レンタルサービスによりレンタルする。この場合、要介護者の介護ベッドの使用に空白が生じないようにレンタルを開始する。
【0012】
そして、要介護者の介護保険適用期間中、介護ベッド製造販売業者から福祉用具貸与業者への介護保険対応機能ベッドの売却の対価として、福祉用具貸与業者が介護ベッド製造販売業者に所定の金額を月払い(月々の分割払い、例えば月額5千円)で支払う。また、要介護者から介護ベッド製造販売業者への自立促進ベッドの販売の対価として、介護ベッド製造販売業者が要介護者に所定の金額を月払い(例えば月額5千円)で支払う。上記月払いにおいては、介護保険の保険金を利用することができる。
【0013】
以上のステップによる介護ベッドの販売を行った場合、例えば、前述した自立支援ベッド・マットレス・立ち上がりバーの3点セットを要介護者が購入して数年使用した後、介護保険レンタルサービスにより介護保険対応機能ベッドを継続して所定の年数使用した場合、要介護者が購入した上記3点セットの購入代金は、自立支援ベッドと立ち上がりバーの買い取り金額によって消却する。
【0014】
本実施形態は、要介護者と介護ベッド製造販売業者と福祉用具貸与業者とが信頼し合い、明るい介護生活を実現できるように努力と強調を行うものであり、これにより身体状況に合わせて要介護者が適切な機能を有する介護ベッドを使用すること、要介護者側の経済的負担を軽減することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護ベッド製造販売業者と福祉用具貸与業者とが協同して行う介護ベッドの販売方法であって、
介護ベッド製造販売業者が介護保険適用前の要介護者に自立支援ベッドを販売するステップと、
前記要介護者が介護保険適用になったときに、介護ベッド製造販売業者が要介護者から前記自立支援ベッドを買い取るステップと、
介護ベッド製造販売業者が、要介護者から買い取った自立支援ベッドを介護保険対応機能ベッドに改造するステップと、
介護ベッド製造販売業者が前記介護保険対応機能ベッド福祉用具貸与業者に売却するステップと、
福祉用具貸与業者が、前記介護保険対応機能ベッドを介護保険適用になった要介護者に介護保険レンタルサービスによりレンタルするステップとからなり、
前記要介護者の介護保険適用期間中において、福祉用具貸与業者が介護ベッド製造販売業者に所定の金額を月払いで支払い、介護ベッド製造販売業者が要介護者に所定の金額を月払いで支払うことを特徴とする介護ベッドの販売方法。

【公開番号】特開2008−77570(P2008−77570A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258846(P2006−258846)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(599141869)
【出願人】(504220834)
【Fターム(参考)】