説明

仕分け装置

【課題】 仕分け能力が高く、コストダウンの可能な平行分岐方式のスラット型仕分け装置を提供すること。
【解決手段】 本発明は、無端状に配列された多数のスラット14により搬送される物品Pを、搬送方向に対して直角方向に移動する移動シュー18によって押動して仕分けるスラット型の仕分け装置10において、所定の複数本分のスラット14から画定されるゾーンZ毎に一つの移動シュー18を設け、移動シュー18を、ゾーンZ上に載置された物品Pを平行に移動させる構成としたことを特徴としている。この構成においては、移動シュー18間のピッチが広くなるため、分岐スイッチ32の切替えに時間的余裕が生じ、精密な制御やセンサが不要となり、コストダウンが可能となり、装置の信頼性も向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラット上の物品を移動シューにより搬送方向の側方に押動して仕分けを行うスラット型仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般のスラット型仕分け装置としては、例えば下記の特許文献1に開示されているものが知られている。この特許文献1に記載の仕分け装置は、無端状に配列された多数のスラットと、各スラットに取り付けられた移動シューとから構成されている。また、移動シューは、スラットの長手方向(搬送方向に対して直角方向)に摺動可能に取り付けられている。仕分け位置は、斜めに延びる分岐レールが設けられており、移動シューをこの分岐レールにより案内させることで一方の側から他方の側に移動させることができる。
【0003】
このような仕分け装置においては、多数のスラットを循環駆動することにより、その上に載置された物品を搬送するとともに、物品の長さに応じた数の移動シューを、分岐スイッチにより順次分岐レールに案内することで、物品を搬送方向の側方に押し出して仕分けを行うことが可能となっている。この際、物品の先頭側の移動シューから順次に側方移動を開始するため、物品は搬送面上で回転し、斜め姿勢となって仕分けシュートに送り出される。しかし、物品が搬送面上で斜めになると、物品の最先端から最後尾までの距離が伸びることとなるため、後続の物品との干渉を防止するためには、物品間の距離を十分に確保しておく必要がある。しかも、物品が搬送面上で回転する際、その物品が前方又は後方のいずれかに移動する可能性があるため、物品間の距離をさらに大きくしておく必要がある。これは仕分け能力の低下の原因となる。
【0004】
このため、従来においては、下記の特許文献2に記載されているような平行分岐を可能とするスラット型仕分け装置が開発されている。この仕分け装置は、仕分けエリアにおける分岐レールを複数本、互いに平行に配設し、複数の移動シューを同時に側方に移動させて、物品を回転させることなく仕分けシュートに送り出すものである。よって、物品が斜めとなって仕分けされる仕分け装置に比して、仕分け能力が向上している。
【特許文献1】特開平11−255326号公報
【特許文献2】特許第3445288号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されているようなスラット型仕分け装置においては、複数の分岐レールが必要であり、それぞれに分岐スイッチを取り付け、各分岐スイッチを制御する必要があるため、仕分け装置のコストが高くなるという問題点がある。
【0006】
また、全てのスラットに移動シューが取り付けられているため、移動シュー間のピッチが短く、分岐スイッチの切替えを極めて高速で行う必要があった。具体的には、一つの移動シューが分岐レールに入った後、次の移動シューを直進させるためには、分岐スイッチを数十ミリ秒もの速度で切り替える必要があった。このため、特殊なセンサや制御装置を用いなければならず、これも仕分け装置のコストアップの要因となっていた。分岐スイッチの高速切替えに関する問題点は、特許文献2に記載のものに限られず、特許文献1に記載の仕分け装置も同様である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、仕分け能力が高く、コストダウンの可能な平行分岐方式のスラット型仕分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決すべく、本発明は、互いに平行に配列され且つ無端状に配列された多数のスラットにより搬送される物品を、搬送方向に対して直角方向に移動する移動シューによって押動して仕分けるスラット型の仕分け装置において、所定の複数本分のスラットから画定されるゾーン毎に一つの移動シューを設け、移動シューを、ゾーン上に載置された物品を平行に移動させる構成としたことを特徴としている。物品の平行移動を可能とする構成としては、移動シューがゾーンの搬送方向長さに相当する大きさの幅を有するプッシュプレートを備えるものが有効である。
【0009】
この構成においては、移動シュー間のピッチが広くなるため、分岐スイッチの切替えに時間的余裕が生じ、精密な制御やセンサが不要となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動シューの個数が従来に比して少なく、コストダウンとなる。
【0011】
また、分岐スイッチの切替えに時間的余裕が生じ、精密な制御やセンサが不要となるため、これによってもコストダウンを図ることができる。分岐スイッチの切替えに余裕が生まれることから、搬送速度を高めることもでき、仕分け能力が向上する。さらに、分岐スイッチの故障が少なくなり、装置の信頼性も向上する。
【0012】
また、移動シュー自体が物品の回転を防止するものであるので、上述した特許文献2に記載の仕分け装置のように、複数の分岐レールや分岐スイッチを設ける必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2は、それぞれ、本発明によるスラット型仕分け装置10の平面図及び斜視図である。図示の仕分け装置10は、無端状に張られた1対のチェーン12と、これらのチェーン12間に横架され互いに平行に配置されて無端状に配列された多数のスラット14からなる、いわゆるスラットコンベヤを基本構成としている。各チェーン12は、前後1対のスプロケット(図2に後側のスプロケット16のみ示す)間に巻き掛けられており、前側のスプロケットに設けられた駆動モータ(図示せず)を駆動することで、チェーン12、ひいてはスラット14を循環駆動させることができるようになっている。また、本実施形態では、スラット14はパイプ状のものが用いられており、これにより仕分け装置10の軽量化、低コスト化が図られている。なお、本明細書において、「左」及び「右」なる語は搬送方向を基準としており、「上」及び「下」なる語はスラット14が搬送面側に位置している際の上下に基づいている。
【0015】
また、この仕分け装置10は、物品Pを搬送方向の側方(図示実施形態では左方)に押し出すための移動シュー18を複数備えている。各移動シュー18は、所定の複数本分のスラット14から画定されるゾーンZ毎に設けられている(図1参照)。本実施形態では、一つのゾーンZが12本分のスラット14からなるものとしているが、一つのゾーンZの搬送方向長さはこれに限定されるものではない。移動シュー18は、各ゾーンZの搬送方向中央における1対のスラット14間に、スラット14の長手方向(搬送方向に対して直角方向)に摺動可能に取り付けられている。
【0016】
図3に明示するように、移動シュー18は、スラット14間に配置されるスライダ20と、スライダ20に接続された、物品を押し出すためのプッシュプレート22とを備えている。
【0017】
スライダ20は、上板部分20a、下板部分20b、及び、上板部分20aと下板部分20bとを連結する連結部分20cからなるH型部材であり、上板部分20aと下板部分20bとの間に形成される1対の溝20dのそれぞれにスラット14が摺動可能に嵌合される。
【0018】
プッシュプレート22はスライダ20の上板部分20aに固定されている。このプッシュプレート22は、垂直部分22aと、水平部分22bとからなるL字状プレートであり、水平部分22bがスライダ20の上板部分20aにボルト・ナット24により固定されている。また、プッシュプレート22の垂直部分22aの幅(搬送方向長さ)は、ゾーンZの搬送方向長さに相当する大きさ、好ましくはゾーンZの搬送方向長さよりも若干小さなものとされている。
【0019】
スライダ20の下板部分20bからはガイドピン26が下方に延び、このガイドピン26に回転自在にガイドホイール28が取り付けられている。ガイドホイール28は分岐レール30によって案内されるようになっている。
【0020】
分岐レール30は、仕分け位置毎に設けられており、搬送面側となるスラット14の直下に設けられている。図示実施形態では、分岐レール30は、搬送方向に沿って右側から左側へと斜めに延びている。分岐レール30の左右の各端部は、それぞれ左右のチェーン12から所定の距離だけ離隔されている。これによって、移動シュー18を仕分け装置10の右縁部又は左縁部に寄せた状態では、移動シュー18のガイドホイール28が分岐レール30に接することはない。
【0021】
また、分岐レール30の右側端部の隣接位置には、分岐スイッチ32が配置されている。分岐スイッチ32は周知の構造であり、揺動プレート(図示せず)を有している。分岐スイッチ32が初期状態にある場合には、揺動プレートは、仕分け装置10の右縁部に沿って移動している移動シュー18のガイドホイール28と係合することはなく、移動シュー18はそのまま直進することができる。また、分岐スイッチ32を切り替えて揺動プレートを揺動させると、揺動プレートは、右側を移動している移動シュー18のガイドホイール28と係合し、これを隣接の分岐レール30に導き入れることが可能となっている。ガイドホイール28が分岐レール30に導き入れられた後は、スラット14の循環駆動に伴って移動シュー18が右側から左側に移動されることとなる。
【0022】
なお、図2には、分岐レール30と同様な形態のレール34が示されている。このレール34は、仕分け装置10の左縁部に移動した移動シュー18を、リターン側から搬送面側に戻る際に、右縁部に戻すためのものである。
【0023】
次に、以上のような構成において、本発明の作用について説明する。
【0024】
まず、仕分け装置10の駆動モータを起動し、スラット14を循環駆動して、搬送面上に物品Pを送り込む。この際、各物品Pが上述のゾーンZ、すなわち右側に寄せられた移動シュー18のプッシュプレート22に隣接する領域に置かれるよう、物品Pの仕分け装置10への送込みのタイミングが制御される(図2参照)。
【0025】
続いて、その物品Pが所定の仕分け位置に達したならば、分岐スイッチ32を制御して揺動プレートを初期位置から揺動させる。これにより、上述したように、物品Pに隣接している移動シュー18が右側から左側に移動し、物品Pは移動シュー18のプッシュプレート22により押され、仕分け位置の側部に配置された仕分けシュート36に送り出される。
【0026】
この際、プッシュプレート22の幅がゾーンZの全長とほぼ等しいため、物品Pはプッシュプレート22により安定して押されることとなり、回転することなく側方に平行移動する。従って、物品Pが回転することによる不具合、すなわち物品Pが前方に移動するか或いは後方に移動するかという不確定な状態が解消され、物品Pを確実に仕分けシュート36に送り出すことができる。加えて、前後の物品Pとの干渉を考慮する必要もないので、ゾーンZの長さを必要最小限とすることが可能となる。
【0027】
また、図示実施形態のように、物品Pの長手方向が搬送方向と一致するように物品Pを仕分け装置10で搬送する場合には、物品Pは短手方向で仕分けシュート36に送り出されることになる。これは、仕分けシュート36で物品Pを滞留させるような運用にあっては、長手方向で送り出されるよりも滞留数量を大きくできるという効果がある。
【0028】
さらに、物品Pが仕分け装置10の搬送面上で回転しないため、各ゾーンZの全域にスラット14を設けておく必要性が少なく、図1に示すように、各ゾーンZの前後のスラットを省略することも可能となる。このようにスラット14がない部分を設けることで、コストダウンが可能となることは勿論、その間隙を用いて仕分け装置10の内部メンテナンスを容易に行うことができるという効果も奏する。
【0029】
一つの物品Pの仕分けが終了した後、後続の物品Pを仕分けず直進させる場合には、分岐スイッチ32を切り替えて初期状態に戻す必要がある。分岐スイッチ32の切替えは、次の移動シュー18が分岐スイッチ32に達するまでに行えばよいが、移動シュー18間のピッチはスラット複数本分、本実施形態ではスラット12本分であるため、分岐スイッチ32の切替えまでには十分な時間的余裕がある。これは、直進する物品Pに続く物品Pを仕分ける場合も同様である。このため、精密な制御やセンサを使用しなくとも、分岐スイッチ32の切替えが可能となり、コストダウンにもつながる。また、分岐スイッチ32の機械的動作が減るため、分岐スイッチ32自体の故障も少なく、仕分け装置10の信頼性も向上する。特に、複数の物品Pが続けて同じ仕分けシュート36に送り込まれる場合には、分岐スイッチ32を初期状態に戻すことはなく、そのままの状態に維持することができるので、その効果は大きい。
【0030】
さらに、分岐スイッチ32の切替えに時間的余裕ができることから、仕分け装置10の搬送速度を上げることが可能となり、これにより仕分け能力が向上する。
【0031】
また、移動シュー18が複数本のスラット14について一つだけでよく、また、一つの仕分け位置について分岐レール30及び分岐スイッチ32が1組あればよいことも、コストダウンに大いに寄与することは理解されよう。
【0032】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限られないことは言うまでもない。
【0033】
例えば、上記実施形態ではパイプ状のスラットが用いられているが、平板状スラットを用いることもできる。また、移動シューの形態や移動シューの分岐方式も上記のものに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による仕分け装置の平面図である。
【図2】本発明による仕分け装置を概略的に示す斜視図である。
【図3】移動シューの構成を示す、図1のIII−III線に沿っての断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10…仕分け装置、12…、チェーン、14…スラット、16…スプロケット、18…移動シュー、20…スライダ、22…プッシュプレート、28…ガイドホイール、30…分岐レール、32…分岐スイッチ、36…仕分けシュート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配列され且つ無端状に配列された多数のスラット(14)により搬送される物品(P)を、搬送方向に対して直角方向に移動する移動シュー(18)によって押動して仕分ける仕分け装置(10)において、
所定の複数本分の前記スラット(14)から画定されるゾーン(Z)毎に一つの前記移動シュー(18)を設け、
前記移動シュー(18)を、前記ゾーン(Z)上に載置された物品(P)を平行に移動させる構成としたことを特徴とする仕分け装置。
【請求項2】
前記移動シュー(18)が、前記ゾーン(Z)の搬送方向長さに相当する大きさの幅を有するプッシュプレート(22)を備えることを特徴とする請求項1に記載の仕分け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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