説明

仕切り用のパネル体の躯体への支持構造

【課題】 トイレブースの構成を簡略化するとともに、組み付け性のよい構成とする。
【解決手段】 躯体を構成する左右、前後側壁1と左右側壁2とを備えて構成される空間に、複数のトイレブースBを形成するにあたり、下端が床面により固定された支持柱6、7によりパネル体3、4の側縁部を嵌合支持する構成とし、前記支持柱6、7の上端を、パネル体3、4の上縁部を嵌合支持するべく前後側壁1と左右側壁2とに固定支持される笠木10に固定して、支持柱6、7上端を笠木10を介して側壁1、2に固定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共施設におけるトイレブース等に用いられる仕切り用のパネル体の躯体への支持構造の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院やデパート等の大型施設では、側壁を備えて構成される広いスペースを、躯体を構成する側壁や床面に固定される複数のパネル体により仕切り、複数の小さい空間を形成する一方、これら仕切られた空間に、それぞれドア体を開閉自在に設けることにより、出入り自在な複数のトイレブースに構成することがある。このようなトイレブースに用いられるパネル体を、表裏一対の面板と、これら面板のあいだに介装される例えば紙製のコア材(ペーパーコア材)とにより構成した場合では、パネル体の切断面にコア材が露出して意匠的にも機能的にも問題があるうえ、隣接するパネル体同士のあいだにドア体を開閉揺動自在に取り付けるため、各切断面に金属製のエッジ部材を取り付けている。
【0003】
前記金属製のエッジ部材をパネル体切断面に固定する手法としては、例えば、パネル体の四周を木製の枠材で枠組みし、該枠材に対してエッジ部材を螺子止めにより固定する構成とすることが提唱されている。
【特許文献1】特開平8−35272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記従来のもののように、パネル体の四周に枠組みされた枠材が設けられるものでは重量化するだけでなく、コストアップするという問題がある。さらに、トイレブースの設置箇所に応じて、それぞれパネル体のサイズやエッジ部材の取り付け状態の仕様が異なり、従来では、予め工場において設置現場の仕様に沿って枠材を枠組みし、該枠材に、適宜切断した表裏面板とコア材とを組み込んだ後、枠材に対し設置現場の取り付け仕様に応じたエッジ部材の取り付けの各作業を行い、これらエッジ部材付きのパネル体を設置現場に搬入するようにしている。このため、工場では、仕様に合わせたエッジ部材付きのパネル体を各現場毎にそれぞれ用意することになり、在庫管理が難しくなるため、受注から発送までの時間が長くなってしまうという問題があるうえ、枠材やエッジ部材により重量化したパネル体を搬送する作業がやりにくいという問題もある。
さらに、従来のものでは、設置現場でトイレブースを組み立てる場合に、それぞれの箇所に応じて予め用意されたエッジ部材付きのパネル体を、空間の所定の箇所に位置決めし、各パネル体の下端部を床面に固定支持せしめ、その後、各パネル体の上端部を、躯体側壁に支持される笠木により連結することにより、躯体に一体固定している。このため、各パネル体を予め設定される箇所に選択して配置する作業が面倒なうえ、パネル体を一枚、一枚個別に組み立てる作業が煩雑であるという問題があるばかりでなく、設置現場で生じる寸法誤差等による設計変更に対応しにくく、熟練した作業が必要になる等の問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、躯体に形成される空間をパネル体を用いて仕切るにあたり、前記パネル体の側縁部を、下端が床面に固定された支持柱に形成したパネル体支持部により支持するものとし、前記支持柱を、パネル体上縁部に配される笠木を介して躯体に支持する一方、前記支持柱に、エッジ部材を支持するエッジ部材支持部を形成した仕切り用のパネル体の躯体への支持構造である。
請求項2の発明は、パネル体支持部とエッジ部材支持部とは、同形状に形成され、パネル体とエッジ部材との何れかを支持することができるように構成されている請求項1に記載の仕切り用のパネル体の躯体への支持構造である。
請求項3の発明は、笠木は、連結金具を介して躯体に一体化され、支持柱上縁部を嵌合支持する状態で固定するように構成されている請求項1または2に記載の仕切り用のパネル体の躯体への支持構造である。
請求項4の発明は、パネル体は、一対の面板と、これら面板間に介装されるコア材とにより構成され、パネル体の上縁部は笠木に、側縁部は支持柱にそれぞれ嵌合支持される構成とし、パネル体の下縁部は、隣接する支持柱間に支持され、上方が開口する下枠材に嵌合支持されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の仕切り用のパネル体の躯体への支持構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、組み込み作業の作業性が向上するうえ、在庫管理、工場から設置現場への搬送作業が容易になる。
請求項2の発明とすることにより、部材の共通化が図れて、構造の簡略化、現場での作業性の向上を図れる。
請求項3の発明とすることにより、躯体に対する笠木と支持柱との固定状態における微調整が容易にできる。
請求項4の発明とすることにより、パネル体の軽量化が図れて、作業性が向上するうえ、コストダウンが期待でき、さらには、精度よい組み付けを実現できるとともに、現場での設計変更に容易に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は広い空間を構成する躯体に相当する左右方向に長い左右側壁であり、該左右側壁1に対し、空間を構成する躯体に相当する前後方向を向く前後側壁2が直交状に設けられている。そして、左右側壁1に沿い、所定間隙を存して複数の第一パネル体3が配設され、これら各第一パネル体3と左右側壁1とのあいだを直交状に仕切るべく前後方向を向く第二パネル体4を配設し、さらに、隣接する第一パネル体3の対向する左右端部同士のあいだに形成される間隙に、開閉自在なドア体5を設けることにより、複数のトイレブースBが左右方向に隣接する状態で形成されている。
【0008】
前記各パネル体3、4は、一対の表裏面板3a、4aと、これら表裏面板3a、4aのあいだに介装されるペーパーコア材3b、4bとにより構成されており、設置現場のレイアウトに基づいて設定された寸法に切断された切断面には、ペーパーコア材3b、4bが露出したままの状態となっている。
尚、ドア体5は、前記各パネル体3、4と同様に、一対の表裏面板5a間にペーパーコア材5bが介装されたものを用いて構成されるが、ドア体5は、表裏面板5a同士のあいだの四周に、木製の枠材5cが一体的に設けられており、該枠材5cのうち左右側縁部の枠材5cに対し、左右のドア体用エッジ部材5dが螺子5eを用いて螺着されており、該構成は、従来通りである。
【0009】
そして、前記第一、第二パネル体3、4の上下方向を向く左右あるいは前後の側縁部は、本発明が実施された支持柱6、あるいは、図3において、右端側に配されるコーナー用の支持柱7により嵌合支持されるように構成されており、これによって、第一、第二パネル体3、4側縁部の枠材が不要になるように構成されている。
前記支持柱6は、アルミ押出し型材で構成されており、角形の筒孔を有して(角筒状に)形成されており、第一、第二パネル体3、4のパネル面に平行となる一対の短片6aと、第一、第二パネル体3、4の板厚方向に平行となり第一、第二パネル体3、4側縁部の切断面が突き当てられる一対の長片6bとを備えて構成されている。そして、前記各長片6bには、短片6aから延出される状態で一対の突片6cが一体形成されており、これら一対の突片6cが本発明のパネル体支持部として第一、第二パネル体3、4側縁部を嵌合支持するように構成されている。また、支持柱6の短片6a同士のそれぞれ対向する内側面には、ビスポケット6dが一体形成されている。
【0010】
一方、コーナー用支持柱7は、第一、第二パネル体3、4側縁部の切断面が突き当てられる長片7aが直交状に形成され、これら長片7aのあいだをR状片7bにより連結することにより筒状に形成されている。そして、各長片7aには、第一、第二パネル体3、4側縁部を嵌合支持するための一対の突片7cがそれぞれ形成されている。
そして、第一、第二パネル体3、4側縁部は、切断面を支持柱6またはコーナー用支持柱7の長片6b、7aに突き当て状に組み込むことにより、一対の突片6c、7cにより切断面が覆蓋される状態で支持されるように設定されている。
【0011】
8は、支持柱6の下端を床面に固定支持するためのベース金具であって、該ベース金具8は、第一、第二パネル体3、4側縁部配設位置に対向して、予め床面に固定するように設定されている。前記ベース金具8は、床面に当接するベース部8aを備えて構成されるが、支持柱6のビスポケット6dの対向間に相当する長さに設定されたベース長片8bと、支持柱6の長片6bの対向間隔に相当する長さに設定されたベース短片8cとにより矩形状に形成されている。そして、ベース部8aの対向する一対のベース長片8bには、それぞれ上方に向けて突出する長片側支持片8dが一体形成され、対向する一対のベース短片8c側の端縁部には、それぞれ上方に向けて突出する短片側支持片8eが一体形成されている。
さらに、ベース部8aには、長手方向に二つの貫通孔8fが隣接して形成されており、ベース部8aを床面に突き当て、これら貫通孔8fを介して螺子8gを用いて床面に螺着することにより、ベース金具8が床面に固定されるように設定されている。
そして、ベース金具8の長、短片側支持片8d、8eに、支持柱6の下端部を外嵌させることにより、支持柱6の下端部が床面に対して位置決め状に固定されるように設定されている。そして、ベース金具8に支持柱6を外嵌させたとき、長片側支持片8dの外側面はそれぞれ支持柱6の一対の支持柱長片6bの内側面に近接対向(当接)し、短片側支持片8eの外側面はそれぞれ支持柱6のビスポケット6dの内側面に近接対向(当接)する状態で組み込まれるように設定されており、これによって、支持柱6は、各支持片8d、8eに外嵌することで仮保持状に直立支持されるように設定されている。
【0012】
一方、コーナー用支持柱7の下端を床面に固定支持するためのコーナー用ベース金具9は、ベース金具8とともに床面の予め設定される箇所に固定される部材であって、コーナー用支持柱7に内嵌する形状を有し、床面に当接されるベース部9aは、貫通孔9bを介して螺子9cにより床面に螺着されるように構成されている。さらにベース部9aは、コーナー用支持柱7の長片7aおよびR状片7bの内側面に沿う支持片9dが複数形成されており、コーナー用支持柱7の下端部を外嵌させたとき、支持片9dが長片7a、R状片7bの内側面に近接対向(当接)する状態で組み込まれる用に設定されており、これによって、コーナー用支持柱7は、各支持片9dによる直立支持を受けるように設定されている。
【0013】
また、第一、第二パネル体3、4の上縁部は、笠木10により嵌合支持されるように構成されており、これによって、第一、第二パネル体3、4上縁部の枠材が不要になるように構成されている。
前記笠木10は、一対の側片10aと、これらの側片10aを連結する上片10bとを備えて形成され、側片10a同士のあいだに形成される下方が開口する嵌合凹部10cに、第一、第二パネル体3、4上縁部が外嵌支持されるように構成されている。さらに、笠木上片10bは、上面に長手方向に長い四本の基準用溝部10dが形成され、前記四本の基準用溝部10dのうち側片10a側に位置する二本の基準用溝部10dに対向する下面には、各基準用溝部10dを挟む位置関係でそれぞれ一対の下向きリブ10eが形成されており、これら都合四本の下向きリブ10eは、予め設定される長さで下方に向けて突出形成され、支持柱6に対する位置決め片となるように設定されている。また、各側片10aの対向面には、互いに近接する方向に突出する一対の内側リブ10fが形成されており、これら内側リブ10fは、下向きリブ10eの下端に干渉することがないよう、これよりも下位に位置して形成されている。そして、これら内側リブ10fの対向間隔は、支持柱6の長片6bの長さに設定されており、支持柱6に対して位置決めするように構成され、これによって、笠木10は、支持柱6の上端に対して位置決め状に外嵌し、支持柱6、7に嵌合支持される第一、第二パネル体3、4の上縁部とともに支持柱6を嵌合支持するように構成されている。
そして、笠木10は、連結金具11を用いることにより、左右側壁1、前後側壁2との一体的な連結や、笠木8同士の一体的な連結がなされるとともに、支持柱6、コーナー用支持柱7との一体的な連結がなされるように設定され、これによって、支持柱6とコーナー用支持柱7とは、下端が床面に固定され、上端が笠木10を介して左右、前後側壁1、2に一体的に連結固定されるように構成されている。
【0014】
前記連結金具11は、予め支持柱6、コーナー用支持柱7を組み込んだ状態において、各支持柱6、7の配設位置を基準としてこれらに位置合わせする状態で配設される設定となっている。
前記連結金具11は、第一側片11aと第二側片11bとによりL字形に形成されており、第一側片11aの板幅は、各支持柱長片6b、7aに形成される突片6c、7cの対向間の長さ、即ち、第一、第二パネル体3、4のパネル厚に相当する長さに設定されており、第二側片11bの板幅は、支持柱6に形成される一対のビスポケット6dの対向間隔よりも短い長さに設定されている。
【0015】
つぎに、支持柱6、コーナー用支持柱7の連結金具11を介した躯体(前後側壁2、左右側壁1)への固定支持状態について、各固定支持箇所毎に説明する。
図5、6に、前後側壁2に固定される連結金具11による連結状態を示す。この場合に、連結金具11の第一側片11aを、支持柱6と前後側壁2とのあいだに形成される隙間に差し込み、支持柱6を右方に倒した状態で第一側片11aを前後側壁2に螺子11cを用いて螺着する。このとき、連結金具11は、第二側片11bの下面と、支持柱6の上端面とのあいだに僅かな隙間が形成するように固定されており、これによって、連結金具11を前後側壁2に螺着した後に、支持柱6を直立状に起立させることができるようにしている。
そして、支持柱6を第一側片11aに沿って直立させた状態において、笠木10の左側端部を前後側壁2に突き当て、笠木嵌合凹部10cを、第二側片11bと支持柱6とを内嵌させる状態に組み込むが、笠木10は、下向きリブ10eと内側リブ10fとを支持柱6に突き当て状に組み込むことにより、支持柱6に対して位置決め状に組み込まれるように構成されている。このとき、連結金具第二側片11bは、上片10bに形成された一対の下向きリブ10e同士のあいだに位置するように設定されている。さらに、この組込み状態において、連結金具11の第一側片11aの下端縁は、笠木10の下端縁と同レベル、あるいは、笠木10の下端縁よりも上位となるように設定されている。
【0016】
この組込み状態において、まず、笠木上片10bに形成された四つの基準用溝部10dのうち、側片10a側に位置する一対の基準用溝部10dを基準として、笠木10の上方から、支持柱固定用螺子11dを支持柱6のビスポケット6dに螺入することにより、笠木10と支持柱6との一体的な連結がなされるように構成されている。
続いて、笠木上片10bの側片10a側の一対の基準用溝部10dに挟まれる内側の基準用溝部10dを基準として、笠木10の上方から螺入させた笠木固定用螺子11eを、連結金具第二側片11bに刻設された螺子孔11fに螺合することにより、連結金具11と笠木10との一体的な連結がなされるように構成されており、これによって、笠木10は、前後側壁2の固定支持を受けるように構成され、もって、前後側壁2に固定された笠木10に固定される左端側に位置する支持柱6が、前後側壁2による固定支持を受けることができるように設定されている。
このように、前後側壁2に固定される連結金具11は笠木10に連結され、さらに、笠木10は支持柱6に対して連結される構成となっている。そして、躯体の寸法精度や、施工時における取り付け状態により、連結金具11の取り付け位置(笠木10の躯体への取り付け位置)を調整したいことがあり、その場合には、第一側片11aに形成された長孔11gを介して位置調整することにより、笠木10の躯体(前後側壁2)に対する取り付け位置を変えることにより対応できる。このとき、笠木10は、支持柱6上端を外嵌状に支持する構成であるので、笠木10の位置調整がなされたとしても、前記嵌合深さ以内の調整では支持柱6の上端と笠木10のあいだに隙間ができるような不具合がなく調整できることになり、もって、躯体に対する支持柱6と笠木10との微調整が容易にできるように構成されている。
【0017】
ここで、笠木10は、左右方向を向き、第一パネル体3の上縁部同士を連結するべく取り付けられる笠木10と、前後方向を向き、第二パネル体4の上縁部を第一パネル体3に連結するべく取り付けられる笠木10とがあり、本実施の形態では、左右方向のものは長尺状となるため、複数に分割したものを一体的に連結して用いている。前記笠木10同士の連結は、図7(A)、(B)、(C)に示すように、隣接する上片10b同士の下側面に、螺子孔12aが刻設されたスペーサ部材12を突き当てるとともに、上片10b同士の上側面に補助プレート12bを突き当て、笠木上片10bの側片10a側の一対の基準用溝部10dに挟まれる内側の基準用溝部10dを基準として、補助プレート12bの上方から螺入させた笠木連結用螺子12cをスペーサ部材螺子孔12aに螺合することで連結され、これによって、左右方向に長く連結された笠木10は、左端側の連結金具11を介して前後側壁2からの固定支持を受けるように構成されている。
【0018】
また、左右側壁1に固定される連結金具11を介して、左右側壁に沿い、右端に位置する支持柱6の上端と、第二パネル体4の上縁部を嵌合支持する前後方向を向く笠木10の後側端部とは、それぞれ支持柱固定用螺子11d、笠木固定用螺子11eを用いて連結され、これによって、支持柱6と、笠木10とが、左右側壁1の固定支持を受けるように構成されることは、前後側壁2における連結金具11による固定構成と同様である。
尚、左右側壁1に沿って配される他の支持柱6についても、笠木10との連結において連結金具11を介して連結することにより、支持柱6が左右側壁1の固定支持を受け、かつ、支持柱6と笠木10との組み付け状態を微調整しながらの固定ができるように構成できる。
【0019】
つぎに、左右方向を向く笠木10の右端部位と、左右側壁1による固定支持をうける前後方向を向く笠木10の前側端部と、コーナー用支持柱7との連結を、図7(B)に示す。この場合では、連結金具11の第二側片11bの下端面とコーナー用支持柱7の上端とのあいだに小さな隙間を存する位置関係とした状態で、コーナー用支持柱7の長片7aに第一側片11aを突き当てて螺子11cを用いて固定し、笠木10を嵌合凹部10cが第二側片11bを内嵌するように組み込む。そして、笠木上片10bの内側に位置する一対の基準用溝部10dを基準として、笠木10の上方から螺入させた笠木固定用螺子11eを、連結金具第二側片11bの螺子孔11fに螺合することにより、連結金具11と笠木10との一体的な連結がなされ、これによって、コーナー用支持柱7が、笠木10を介して前後側壁2、左右側壁1による固定支持を受けるように構成されている。
【0020】
さらに、左側端部が前後側壁の固定支持を受ける左右方向を向く笠木10と、左右方向中間部に位置し、第一パネル体3の側縁部を嵌合支持するべく配設される支持柱6との連結は、笠木10を、嵌合凹部10cが第一パネル体3の上縁部を嵌合支持する状態に組み込み、笠木上片10bの外側に位置する一対の基準用溝部10dを基準として、笠木10の上方から螺入させた支持柱固定用螺子10gを、支持柱6のビスポケット6dに螺合することにより一体的な連結がなされるように構成され、これによって、第一パネル体3の側縁部を嵌合支持する全ての支持柱6が、笠木10を介して前後側壁2による固定支持を受けるように構成されている。
【0021】
そして、第二パネル体4の前側縁部は、前後側壁2の固定支持を受ける支持柱6間に配された第一パネル体3の後方に配された支持柱6に嵌合支持されるが、該第一パネル体3後方に配される支持柱6は、図8に示すように、連結金具11を介して第一、第二パネル体3、4の上縁部を嵌合支持する左右方向を向く笠木10と前後方向を向く笠木10との両者に連結され、これによって、前後側壁2、左右側壁1との固定支持を受けることができるように構成されている。尚、6eは、第一パネル体3のパネル面と、該パネル面に対向する支持柱6の長片6bとのあいだに配されるスペーサ部材である。
つまり、前記第二パネル体4用の支持柱6の前方に、連結金具11の第一側片11aを挿し込み、先行して固定された左右方向を向く笠木10の後側の側片10aに固定し、連結金具11の第二側片11bに前後方向を向く笠木10を外嵌せしめた状態で、支持柱固定用螺子11dを支持柱6のビスポケット6dに螺合し、笠木固定用螺子11eを第二側片螺子孔11fに螺合することにより、支持柱6、左右方向を向く笠木10、前後方向を向く笠木10との一体的な連結がなされるように設定されている。
【0022】
尚、第一、第二パネル体3、4の下縁部は、本実施の形態では、ペーパーコア材3b、4bが露出する切断面となっており、このため、各パネル体4、5が配設される隣接する支持柱6、7のあいだに、支持金具13を介して下枠材14が固定され、下枠材14に形成された上方が開口する凹部14aにより各パネル体3、4の下縁部を嵌合支持する構成となっている。これによって、本実施の形態の第一、第二パネル体3、4は、四周の枠材が全て排除されて軽量化されたものとなっているものでありながら、切放し状態の切断面を、支持柱6、7、笠木10、下枠材14により嵌合することによりペーパーコア材3b、4bが露出することがなく、意匠性、機能性に劣ることがないように構成されている。
因みに、本実施の形態では、下枠材14の下方に空間が形成されるが、該空間に幅木を組み込む構成としてもよく、この場合では、幅木を支持柱に嵌合支持させ、該幅木の上部に下枠材を組み込んだ後、パネル体をスライドさせて組み込むように構成することができる。そして、このものでも、パネル体の下縁部を下枠材により嵌合支持する構成とすることができ、パネル体を切放し状態のままとすることができる。
【0023】
つぎに、トイレブースBの設置手順の一例を簡単に説明する。まず、床面にベース金具8、9、支持柱6、7を組み込み、側壁1、2、コーナー用支持柱7に連結金具11を固定する。続いて、第一パネル体3、および、右端側の第二パネル体4が組み込まれる部位の支持柱6、7のあいだに下枠材14を組み込み、前記所定の第一、第二パネル体3、4を上方から落とし込むようにスライド嵌合させて、複数のトイレブースBの外郭となるパネル体3、4を組み込む。
このとき、第一パネル体3は、隣接する第一パネル体3とのあいだにドア体5を組み込むためのスペースを確保するため、隣接対向する一対の支持柱6同士のあいだには、第一パネル体3が組み込まれないように設定されている。
続いて、前記外郭を構成する第一、第二パネル体3、4の上縁部に、左右方向を向く笠木10と、右端側に位置する前後方向を向く笠木10とを連結金具11を介して固定する。
つぎに、第一パネル体3を固定支持する左右方向を向く笠木10後側面の適箇所に連結金具11の第一側片11aを螺子11cを用いて固定し、前後の支持柱6のあいだに下枠材14を組み込んだ状態で第二パネル体4を組み込んで複数の区画に仕切り、その後、笠木10側に配した連結部材11と左右側壁1側に設けた連結部材11の第二側片11bとのあいだに、笠木10を外嵌させ、支持柱6と笠木10とを連結金具11を介して固定する。尚、10hは、第一パネル体3のあいだのスペースの上方に形成される凹部10cを覆蓋するカバーである。
【0024】
ここで、前述したように、第一パネル体3同士のあいだには、ドア体5配設用のスペースが形成されており、該スペースには、支持柱6の長片6b、即ち、支持柱6の第一パネル体3が内嵌する長片6bとは反対側の長片6bが対向しており、該長辺6bに形成された突片6cは、エッジ部材支持部として兼用することができるように構成されている。そして、前記突片6cに、配置箇所に応じたエッジ部材(戸尻対向側エッジ部材、戸先対向側エッジ部材)15、16の何れかを選択して抜け止め状に嵌着することができるように構成されている。そして、ドア体5の一側部を前記各スペースを構成する一方の支持柱6と笠木10とのあいだにそれぞれ枢支することにより複数のトイレブースBが構成される。
尚、支持柱6は、対向する長片6bに、パネル体支持部とエッジ部材支持部とを兼用することができる突片6cを形成することにより、第一、第二パネル体3、4の側縁部を支持する支持柱6を全て共通化できるようにしている。
【0025】
叙述の如く構成された本形態において、広い空間を第一パネル体3と第二パネル体4とにより仕切ることで、ドア体5により開閉自在な複数のトイレブースBが構成されるが、この場合に、第一、第二パネル体3、4は、左右または前後の側縁部を、下端が床面に立設された支持柱6、7に嵌合支持される構成とし、該支持柱6、7の上端部は、左右側壁1、前後側壁2である躯体側に固定支持される笠木10に固定する構成となっている。この結果、設置現場においてパネル体を一枚づつ個別に立設するのではなく、適宜支持柱6、7を立設したものに対してパネル体3、4を組み込むようにすることができて、作業性が向上し、コストダウンを図ることができる。
しかも、従来のもののように、枠材を枠組みしたパネル体を用意し、枠材に予め配設箇所に対応するエッジ部材を組み込んだものを設置現場に持ち込んで組み立てるのではなく、支持柱6、7とパネル体3、4、エッジ部材15、16等必要な部品を分解した状態で現場に搬送して組み込むことができるので、在庫管理が容易になるうえ、搬送作業が容易になる。しかも、支持柱6、7とパネル体3、4とを現場で切断して組み込むようにすれば、一層精度よく組み付けることができるうえ、現場での設計変更にも容易に応じることが可能となり、一層のコストダウンが期待できる。
【0026】
さらに、支持柱6、7は筒形状であり、予め床面に固定されるベース金具8、9に外嵌することで立設する構成としたので、構造が簡略でありながら、支持柱6、7を仮保持状に立設させることが可能なものとなっている。さらに、支持柱6は、互いに対向する面にパネル体支持部とエッジ部材支持部との何れにも機能する突片6cを形成する構成としたので、これら突片6cに、配設箇所に応じたパネル体3、4またはエッジ部材15、16を適宜組み込むことができて、コーナー用支持柱7配設箇所以外の支持柱6を、全て共通化することができ、構造の簡略化を図れるとともに、現場での作業性の向上を図れる。
【0027】
そのうえ、このものでは、連結金具11を介して笠木10を躯体に固定し、該躯体に固定された笠木10により支持柱6、7が固定されるが、笠木10は支持柱6の上縁部を嵌合支持する構成としたので、連結金具11の取り付け位置を調整して笠木10の位置調整をしたとしても、支持柱6と笠木10とのあいだに隙間が形成されるような不具合がなく、支持柱6と笠木10との躯体に対する微調整が容易になる。
【0028】
さらに、各パネル体3、4は、側縁部は支持柱6により外嵌状に嵌合支持され、上縁部は笠木10により外嵌状に嵌合支持され、下縁部は下枠材14により外嵌状に嵌合支持される構成としたので、各パネル体3、4の四周の枠材が全て不要となって一層の軽量化が図れて、作業性が向上するうえ、コスト低下に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】大空間に形成された複数のトイレブースの一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】トイレブースの構成部材の一部を説明する分解斜視図である。
【図3】トイレブースの横断面図である。
【図4】図3におけるX−X断面図である。
【図5】図5(A)、(B)はそれぞれ第一パネル体の取り付け状態を説明する平面図、横断面図である。
【図6】図6(A)、(B)はそれぞれ第一パネル体の取り付け状態を説明する正面図、図6(A)におけるX−X断面図である。
【図7】図7(A)、(B)、(C)はそれぞれ笠木の連結状態を説明する平面図、図7(A)におけるX−X断面図、正面図、図7(D)はコーナー部における連結状態を説明する平面図である。
【図8】図8(A)、(B)、(C)はそれぞれ第一パネル体と第二パネル体との連結部を説明する平面図、図8(A)におけるX−X断面図、図8(B)におけるY−Y断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 左右側壁
2 前後側壁
3 第一パネル体
4 第二パネル体
6 支持柱
7 コーナー用支持柱
8 ベース金具
9 コーナー用ベース金具
10 笠木
11 連結金具
14 下枠材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に形成される空間をパネル体を用いて仕切るにあたり、前記パネル体の側縁部を、下端が床面に固定された支持柱に形成したパネル体支持部により支持するものとし、前記支持柱を、パネル体上縁部に配される笠木を介して躯体に支持する一方、前記支持柱に、エッジ部材を支持するエッジ部材支持部を形成した仕切り用のパネル体の躯体への支持構造。
【請求項2】
パネル体支持部とエッジ部材支持部とは、同形状に形成され、パネル体とエッジ部材との何れかを支持することができるように構成されている請求項1に記載の仕切り用のパネル体の躯体への支持構造。
【請求項3】
笠木は、連結金具を介して躯体に一体化され、支持柱上縁部を嵌合支持する状態で固定するように構成されている請求項1または2に記載の仕切り用のパネル体の躯体への支持構造。
【請求項4】
パネル体は、一対の面板と、これら面板間に介装されるコア材とにより構成され、パネル体の上縁部は笠木に、側縁部は支持柱にそれぞれ嵌合支持される構成とし、パネル体の下縁部は、隣接する支持柱間に支持され、上方が開口する下枠材に嵌合支持されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の仕切り用のパネル体の躯体への支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−321393(P2007−321393A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151260(P2006−151260)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(593022342)ベニックス株式会社 (13)
【出願人】(000177302)三和シヤッター工業株式会社 (173)