説明

付着性微細藻類の培養方法

【課題】アワビ等底生動物の餌料となる付着性微細藻類の培養方法を提供することを目的とする。
【解決手段】培養水槽11に付着性微細藻類の培養株13と海水等の培地12を入れる。この培養水槽11にELシート等の発光板14を介在させ、発光板14から光を照射させる。培養株13は光合成を行うため、発光板14表面上へと移動する。そして、発光板14からの光で培養株13の光合成が促進される。発光板14表面上に付着した培養株13が細胞分裂を繰り返し、増殖していく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アワビ等底生動物の養殖用餌料に用いる付着性微細藻類の培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乱獲や海洋汚染が進む中、アワビ、ウニ、ナマコ等の底生動物の絶対数は減少の一途にある。底生動物は日本人に好まれて食されているが、このまま底生動物が減少すれば、市場における流通量も当然少なくなり、食すことができなくなる。このため、底生動物の絶対数を確保し、海産物資源を安定供給できるよう、盛んに養殖が行われている。
【0003】
底生動物を養殖する場合、受精卵から孵化した幼生が一定の大きさになるまでの間、水槽内にて飼育している。自然界では幼生の生残率が低いためである。そして、幼生が自然界で成長できる大きさまで育った後、海へ放流している。
【0004】
底生動物の幼生を育てる過程において、餌料を適切に与えることが重要となる。現状の養殖方法では以下のようにして餌料を与えている。まず、コレクター(付着基盤)と呼ばれる板を自然海水中に沈め、底生動物の餌料となる付着性微細藻類をコレクターに自然に付着させる。幼生が介在する水槽内に、前述の付着性微細藻類が付着したコレクターを入れることにより、幼生に餌料を与えている。
【0005】
一方、光合成を行う生物を人工的に培養するためには、光照射をする必要があり、その手段の一つとして、EL(Electro Luminescence)シートを用いて植物を栽培する方法が特許文献1に開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−172868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、付着性微細藻類をコレクター表面上に自然に付着させた場合、自然海水には様々な生物が浮遊しているため、底生動物の幼生の餌にならない様々な生物がコレクターに付着してしまう。餌料とならない生物が付着すれば、必要な付着性微細藻類の付着量が少なくなるので、餌料の絶対量が不足してしまう。
【0008】
また、幼生の成長に最も好適な付着性微細藻類以外の生物が付着した場合、幼生が採る栄養価が相対的に低くなることから、幼生の成長率が低くなってしまう。
【0009】
また、特許文献1は陸上の植物を栽培するものであり、付着性微細藻類の培養について何ら記載はない。
【0010】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、アワビ等底生動物の餌料となる付着性微細藻類を効率的に培養することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る付着性微細藻類の培養方法は、付着性微細藻類の培養株を含む培地に発光板を介在させ、前記発光板が照射する光で前記培養株の光合成を促進し、前記発光板表面上にて前記培養株を付着させて増殖させる、ことを特徴とする。
【0012】
また、Nitzschia属、Cocconeis属、Cylindrotheca属、Achnanthes属、Caloneis属、Seminavis属、或いはNavicula属の付着珪藻の培養株、又はUlvella属の付着性の緑藻の培養株から選択される1種又は2種以上の前記付着性微細藻類の培養株を用いることを特徴とする。
【0013】
また、前記発光板としてEL(Electro Luminescence)シートを用いることを特徴とする。
【0014】
また、前記発光板として耐水性素材を被覆したELシートを用いることが好ましい。
【0015】
また、前記発光板として波板状に加工した前記ELシートを用いてもよい。
【0016】
また、前記培養株の増殖を底生動物の幼生が介在する海水中で行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の付着性微細藻類の培養方法によれば、発光板に付着する付着性微細藻類の培養株は、発光板が照射する光で光合成が促進され増殖するので、アワビ等底生動物の餌料となる付着性微細藻類を効率的に培養することができる。
【0018】
また、光合成による付着性微細藻類の増殖と、底生動物による付着性微細藻類の摂食とが同時に行われることにより、効率的な底生動物の養殖が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
付着性微細藻類の培養方法の一実施形態について、図1を参照し説明する。図1は、本実施形態にて、付着性微細藻類を培養している様子を示す模式図である。
【0020】
本実施形態に係る付着性微細藻類の培養方法では、まず、付着性微細藻類の培養株13及び培地12を用意する。そして、図1(A)に示すように、この培養株13と培地12を培養水槽11等に入れ、この培養水槽11に発光板14を介在させる。
【0021】
そして、不図示の電源を入れ、電源線15を介して発光板14を発光させる。培養株13は粘液物質を出して、生息可能な箇所へ付着、移動を行う。培養株13は光合成を行うため、光源である発光板14に自ら移動して付着する。発光板14が照射する光で、培養株13の光合成が促進され、培養株13は分裂を繰り返し、増殖していく。
【0022】
このようにして、図1(B)に示すように、付着性微細藻類の培養株が発光板14全面に付着した状態に増殖させることができる。培養株の種類、初期の培養株の細胞数密度や、発光板14の大きさにもよるが、1〜2週間で発光板14表面全体がうっすらと褐色或いは緑色になる。この状態を目視で確認すれば、培養を終了してよい。
【0023】
付着性微細藻類とは、珪藻等、海底の岩石等の表面に付着して生息する微細な藻類であり、ワカメや昆布等の大型の付着性藻類を対象としない。後述するが、発光板に用いるELシートの光強度は微弱であるため、ワカメ等の大型の付着性藻類の光合成の促進は困難である。
【0024】
アワビ、ナマコ、サザエ、ウニ等の底生動物の養殖用の餌を培養する観点からは、各々の底生動物の餌料に好適な付着性微細藻類の培養株を用意するとよい。例えば、アワビの養殖に用いる餌料として付着性微細藻類を培養する場合について、以下に記す。
【0025】
アワビの幼生は、幼生初期(殻長が凡そ1mmまで)においては、消化器官内で付着性微細藻類の細胞殻を分解することはできない。このような幼生初期の幼生では、付着性微細藻類の細胞殻から浸出した多糖類粘液物質が栄養源となり、これを舐めるように食す。したがって、多糖類の浸出が多い付着性微細藻類の培養株を用意するとよい。一例として、Nitzschia属や、Cylindrotheca属が挙げられる。
【0026】
また、アワビの幼生は、幼生後期(殻長が凡そ1mm〜5mm)においても、消化器官内で付着性微細藻類の細胞殻を分解する能力が低い。幼生後期の幼生は、付着性微細藻類を舐めとる際に細胞殻が破壊されて浸出した細胞内容物を吸収している。したがって、付着力の強い付着性微細藻類が餌として望ましい。このような付着性微細藻類として、Cocconeis属や、Achnanthes属が挙げられる。
【0027】
上述した培養株の他、Caloneis属、Seminavis属、或いはNavicula属の付着珪藻、又はUlvella属の付着性の緑藻も、アワビにとって好適な餌料となるので、これらの培養株を用いてもよい。
【0028】
また、上述した培養株は、1種を単独で培養してもよく、2種以上を混合して培養してもよい。
【0029】
なお、培養した付着性微細藻類を健康食品の原料等に用いる場合には、藍藻類のスピルリナ、緑藻類のクロレラ等の培養株を用いればよい。
【0030】
培地12として、自然海水をそのまま用いてもよいが、濾過した自然海水を用いるとよい。また、この濾過した自然海水に窒素、リン、ケイ素、鉄をはじめとした金属元素やビタミン等の栄養素を添加した培地を用いてもよい。これらの栄養素は元々自然海水に含まれているものであるが、分量が十分でない場合が多く、不足しやすいためである。また、人工海水を用いてもよい。
【0031】
発光板14として、発光板全面が発光するものを用いる。付着性微細藻類の培養株13は増殖に光を必要とするため、発光板表面上に群落を形成する。このため、光ファイバーのように一点から光が照射されるものでは、その一点に培養株が付着するだけである。したがって、大量に培養させるには、広い面積に渡って発光するものでなければならない。
【0032】
また、通常、付着性微細藻類は発光板の表面上に単層の群落を形成し、多層にならない。このため、大量に培養するには、できるだけ面積の大きな発光板を用いるとよい。
【0033】
このような観点から、発光板14として、EL(Electro Luminescence)シートを用いることが好ましい。更に、製造コストの観点から有機ELシートよりも、無機ELシートがより好ましい。
【0034】
ELシートは、透明電極膜と背面電極膜との間に発光層と誘電体層が積層された概略4層構造の薄いシートである。無機ELシートでは、発光層は硫化亜鉛等の蛍光体にマンガンや銅のような発光中心を含んでおり、発光層に電圧が印可されると発光中心が安定した低エネルギー状態から、不安定な高エネルギー状態に励起される。そして再び安定な低いエネルギー状態に戻ろうとするときに、余分なエネルギーを光として放出する。発光層は透明電極膜のほぼ全域に渡って配置されている。このため、ELシート表面全体が発光層によって自発光し、ELシート全体からムラのない光を照射できる利点がある。更に、白熱灯等他の発光器具に比べて低消費電力であるため、ランニングコストを安くできる。
【0035】
一方で、ELシートの光強度は白熱灯他の発光器具に比べて弱い。しかしながら、本実施形態にて培養を行う付着性微細藻類は海底の岩等に付着して生息し、海底に届くわずかな太陽光を受けて光合成を行う藻類である。このため、光強度の強い発光器具を用いる必要はない。更に、ELシート上に付着性微細藻類の培養株を付着させて培養するので、付着性微細藻類の培養株にはELシートから照射される光が直接当たる。このため、光量が不足することもない。
【0036】
したがって、白熱灯等に比べて光強度の弱いELシートであっても、付着性微細藻類の培養株を培養するために好適に用いることができる。
【0037】
また、ELシートは、アクリル樹脂等、耐水性素材を被覆して用いるとよい。耐水性素材を被覆することで、防水加工を施すことができ、培地中に浸けても故障することなく、安定して光を照射できる。
【0038】
上記のように、発光板上全面に培養した付着性微細藻類の培養株を用い、一例としてアワビの養殖を行う場合、以下のように行えばよい。
【0039】
図2に示すように、海水を入れた養殖水槽16に、付着性微細藻類の培養株13が付着した発光板14と、アワビの幼生18を入れる。
【0040】
海水としては、自然海水をそのまま利用することができる。なお、養殖しようとするアワビが生息する海域と同様の成分の自然海水が好ましい。また、栄養分を添加した人工海水や塩分濃度を調整した人工海水を用いてもよい。海水の温度は、アワビの種類によって産卵時期が異なるため、養殖するアワビの産卵時期の海水の温度に調節して用いるとよい。一例として、エゾアワビは秋に産卵し、初期幼生期は20℃前後の海水中に生息するので、エゾアワビを養殖する場合は、海水を20℃程度に調節するとよい。
【0041】
アワビの幼生は、アワビの卵を受精し孵化させて用意する。なお、孵化して間もないアワビの幼生18については、Nitzschia属、或いはCylindrotheca属の培養株を上述の方法にて付着させた発光板14を用いるとよい。
【0042】
アワビの幼生が、餌料である培養株13が付着した発光板14へと移動し、培養株13を食べつつ成長していく。Nitzschia属、或いはCylindrotheca属の培養株は、殻長が1mmまでのアワビの幼生にとって最も好ましい餌料となるので、アワビの幼生を効率的に育てることができる。
【0043】
この際に、発光板14から光を照射させたままにしておくとよい。アワビの幼生が培養株を食べるので、培養株13が減少していく。一方、発光板14が照射する光が培養株13の光合成を促進するので、培養株13が細胞分裂し増殖していく。このため、新たにアワビの餌料を追加して与えなくても、十分にアワビの餌料を供給できる。したがって、1つの水槽で、アワビの餌料となる付着性微細藻類の培養株を増殖しつつ、アワビの幼生を育てることができる。
【0044】
また、上述したように、アワビの幼生は、殻長が1mmまでとそれ以降では、好適な餌料が異なる。このため、アワビの幼生が殻長1mm程度まで成長した後、上述の方法でCocconeis属や、Achnanthes属の培養株を付着させた発光板を養殖水槽に入れるとよい。
【0045】
そして、先に入れたNitzschia属や、Cylindrotheca属の培養株が付着している発光板の発光を止め、一方、Cocconeis属や、Achnanthes属の培養株を付着させた発光板を発光させる。Nitzschia属や、Cylindrotheca属の培養株の増殖が止まり、餌料が無くなっていくので、殻長が1mm程度まで成長したアワビの幼生が自らCocconeis属や、Achnanthes属の培養株を付着させた発光板に移動する。
【0046】
従来では、アワビの幼生をコレクターから剥がして移していたが、本実施形態ではそのような作業が不要である。Cocconeis属、或いはAchnanthes属の培養株は、殻長1〜5mmのアワビの幼生にとって最も好ましい餌料となるので、アワビの幼生は順調に成長していく。上記と同様に、発光板が照射する光が培養株の光合成を促進するので、培養株が細胞分裂し増殖していく。このため、新たにアワビの餌料を追加する必要がない。
【0047】
なお、アワビの幼生は、殻長が1mm程度に育つまで1ヶ月程度(16−42日間)であり、殻長が5mm程度に育つまでは、5ヶ月程度を要する。こうして、アワビが自然の海で生息できるまで育てた後、海に放流すればよい。このように、成長するにつれて好適な餌料が異なる底生動物の養殖についても、異なる付着性微細藻類の培養株を付着させた発光板を用意することで、アワビの幼生を移す必要がなく、アワビの養殖を容易に行うことができる。
【0048】
上述の実施形態では、アワビを養殖する場合について説明したが、他の底生動物、例えばナマコやサザエ等にも当然に適用できる。他の底生動物に適用する場合、その底生動物の好適な餌料となる付着性微細藻類の培養株を用いればよい。
【0049】
また、発光板14に付着性微細藻類の培養株を増殖させる際、図3に示すように、発光板14を縦置きにして配置してもよい。発光板14全面が発光するので、どのように置いても光が不足することなく、発光板14全面に渡り培養株の光合成を促進できる。従来のコレクターで培養株や自然群集を培養させる場合、複数のコレクターを縦にして配置すると、コレクターの下部には光が届きにくいため、コレクター下部においては培養株の光合成を促進するのが困難であった。それに比べ、本実施形態では、発光板14を縦にして配置しても発光板14の全面が光るため、培養株が発光板14表面上に全面的に増殖する。
【0050】
また、複数の発光板14を並べて配置してもよい。この場合、発光板14を縦置き或いは横置きいずれでも構わない。発光板14としてELシートを用いると、ELシートは薄いので、水槽内に多くのELシートを配置することができる。すなわち、大量の培養株の培養が実現できる。
【0051】
また、図4に示すように、発光板14を波板状に加工して用いてもよい。表面積がより大きくなるので、より大量の培養が実現できる。たとえば、波板状の光透過性樹脂板を用い、この光透過性樹脂板でELシートを両面から挟み込むことで容易に加工できる。ELシートは薄く、容易に変形させることが可能なので、簡単に波板状に加工することができる。
【実施例】
【0052】
図5に示す装置を用い、付着性微細藻類の培養株を増殖できるか否か検証した。付着性微細藻類としてNitzschia属の培養株を用いた。
【0053】
濾過した海水を培地12とした。この培地12に栄養を加えた。加えた栄養は、窒素、リン、ケイ素、鉄をはじめとした金属元素数種、ビタミン数種である。また、塩分は、25PSU(約25パーミル)である。沿岸域の表層水の塩分は、降雨や河川水の流入によって25PSU程度まで低下することがあるが、通常の海水では33PSU程度である。しかし、本実施例に用いるNitzschia属が低塩分に適応しているので、塩分濃度を25PSUにした。
【0054】
ELシート14の上方1cmにフラスコ19を置き、このフラスコ19内に上述の培地12を入れた。そして、培地12にニッチア属の培養株13を入れた。初期の細胞数密度は、1.1×10cell/Lであった。なお、ELシート14をフラスコ19の下に配置したのは、後述のように、培養株の細胞数の計測を容易にするためである。
【0055】
これを外部から光が入らない暗室に入れ、ELシート14に通電し、光を照射させた。ELシート14は、30cm四方のサイズで、青緑色に発光するものを用いた。また、ELシート14の光強度は20μmolm−2−1であるが、ELシート14とフラスコ19とは1cm離間させているため、フラスコの底における光強度は、9μmolm−2−1であった。なお、暗室内の温度は、常時15℃となるように制御した。
【0056】
培養を始めて2日後、4日後、6日後、及び8日後について、培地内の細胞数密度を計測した。細胞数密度は、フラスコ19を強く振って攪拌することで、底に付着した培養株を剥がして培養液中に懸濁させて均一に分布させた状態で、培養液のクロロフィル蛍光値を蛍光光度計で測定した。クロロフィル蛍光値と細胞数密度の関係はあらかじめ求めておき、クロロフィル蛍光値の変化からNitzschiaの増殖速度を計算した。
【0057】
その結果を、図6に示す。時間の経過とともに細胞数密度が増殖していることがわかる。この結果から、光強度の弱いELシートの光でも、培養株の光合成が促進され、細胞分裂を繰り返し増殖することが確認できた。なお、比増殖速度は約0.15/dayである。
【0058】
また、参照例として、蛍光灯を光源としたものについて、上記実施例と同様に培地12を入れたフラスコ19にNitzschia属の培養株13を入れて試験を行った。光強度は、さまざまな目合いのメッシュを用いたり、蛍光灯からの距離を変えたりすることで調節した。蛍光灯の光強度は10、20、30、50、100、200μmolm−2−1で行った。
【0059】
その比増殖速度を図7に示す。蛍光灯を光源とした場合には、光強度10のときに、比増殖速度は約0.15/dayであった。本実施例のELシートを用いた場合でも、0.15/dayであったので、同様の値である。従って、光源の違いにおける増殖速度に差はなく、使用電力(コスト)を考慮すると、ELシートの方が好ましいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
アワビ、ナマコ、サザエ等、底生動物の餌料となる付着性微細藻類、或いは、健康食品の原料となる付着性微細藻類を効率的に培養できる。従って、付着性微細藻類を餌料とする底生動物の養殖業等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態にて、付着性微細藻類を培養している様子を示す側面から見た模式図である。
【図2】本発明の実施形態にて、発光板上に培養した付着性微細藻類を用い、アワビの幼生を養殖している様子を示す側面から見た模式図である。
【図3】他の実施形態に係る付着性微細藻類を培養している様子を示す側面から見た模式図である。
【図4】他の実施形態に係る付着性微細藻類を培養している様子を示す側面から見た模式図である。
【図5】実施例における付着性微細藻類を培養している様子を示す側面から見た模式図である。
【図6】実施例における培養株の細胞数密度の変化を示す図である。
【図7】参照例における培養株の増殖速度を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
11 培養水槽
12 培地
13 培養株
14 発光板(ELシート)
15 電源線
16 養殖水槽
17 海水(塩水)
18 アワビの幼生
19 フラスコ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付着性微細藻類の培養株を含む培地に発光板を介在させ、
前記発光板が照射する光で前記培養株の光合成を促進し、前記発光板表面上にて前記培養株を付着させて増殖させる、
ことを特徴とする付着性微細藻類の培養方法。
【請求項2】
Nitzschia属、Cocconeis属、Cylindrotheca属、Achnanthes属、Caloneis属、Seminavis属、或いはNavicula属の付着珪藻の培養株、又はUlvella属の付着性の緑藻の培養株から選択される1種又は2種以上の前記付着性微細藻類の培養株を用いることを特徴とする請求項1記載の付着性微細藻類の培養方法。
【請求項3】
前記発光板としてEL(Electro Luminescence)シートを用いることを特徴とする請求項1記載の付着性微細藻類の培養方法。
【請求項4】
前記発光板として耐水性素材を被覆したELシートを用いることを特徴とする請求項3記載の付着性微細藻類の培養方法。
【請求項5】
前記発光板として波板状に加工した前記ELシートを用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の付着性微細藻類の培養方法。
【請求項6】
前記培養株の増殖を底生動物の幼生が介在する海水中で行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の付着性微細藻類の培養方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−51292(P2010−51292A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222736(P2008−222736)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】