説明

仮設階段

【課題】設置角度を調整でき、梯子としても便利良く使える軽量・安全な仮設階段を得る。
【解決手段】断面ほぼ門字形に折曲げられた金属踏み板(10)の複数と、その左右両側片(13)へ各々ほぼΩ形のサドル金具(17)を介して密着状態に組付け一体化される金属単管桁(16)の左右一対とから成り、各サドル金具の第1連通長孔(20)から各金属踏み板のセンターボルト受け入れ孔(14)へ差し込むセンターボルト(22)と、同じく各サドル金具の第2連通長孔(21)から各金属踏み板における複数組の角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)へ択一的に差し込む角度調整ボルト(23)との一対づつによって、その各金属踏み板と組み付けられる金属単管桁の設置傾斜角度(α)を大小調整できるように定めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は納屋や倉庫、庭地、作業現場などの高い所へ、梯子のように便利良く立て掛けて使うこともできる安全な仮設階段に関する。
【背景技術】
【0002】
取付角度の調整可能な踏み板やこれを備えた仮設階段は、下記特許文献1、2に開示されており、既に公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3013958号公報
【特許文献2】特許第2946327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1に開示の取付角度可変ステップでは、元部側リンク部材(17)と先部側リンク部材(19)とから側面視のV字形をなす2枚リンク(13)がステップ部材(11)の側板(11a)へ、元部側ボルトナット構造(12)と先部側ボルトナット構造(18)を介して軸着されているばかりでなく、その元部側リンク部材(17)の表面にはクランプ金具(16)のV字形取付け板(21)やクランプ基台(22)が固着されてもいる。
【0005】
そのため、ステップ部材(11)に作用する荷重の強い対抗力を得られる反面、非常に多くの組立部品を要し、全体として著しく重量化することになる。その結果、土木建築工事現場の同じ所に長期間設置して、工事業者が重い資材を運搬するために使うステップであるならばともかく、梯子(簡易階段)のように軽快に持ち運ぶことにより、立て掛ける場所を変えて、便利良く使用することができない。
【0006】
更に、元部側リンク部材(17)の表面に固着されたV字形取付け板(21)の傾斜面から、クランプ金具(16)のクランプ基台(22)が立ち上がっており、そのクランプ金具(16)によって固定される金属パイプ(P)と、ステップ部材(11)の側板(11a)との左右相互間には、広い空隙が存在している。しかも、クランプ金具(16)のクランプアーム(23)と相俟って、金属パイプ(P)を締め付け固定する長いクランプボルト(25)の先端部が、ステップ部材(11)から斜め横下方へ張り出す常態にある。
【0007】
そのため、子供などの立ち入りを防ぐカバーシートが張り巡らされた土木建築工事現場のステップであるならばともかく、そのステップをあたかも梯子のように、納屋や倉庫、庭地などの高い所(例えば2階、石垣、ブロック塀など)へ立て掛けて使用した場合、その戯れて昇り降りする子供が上記広い空隙に足を詰めたり、周辺部をくぐり抜ける子供が上記クランプボルト(25)の先端部によって、身体の負傷や衣類の引き裂け事故などを起したりする危険がある。
【0008】
他方、上記特許文献2に開示さた仮設階段では、係止体(5)と噛み合うクランプ体(4)の基体(2)が足踏み板(1)の踏面から上向きに突出しているばかりでなく、その足踏み板(1)の側面や基体(2)と、クランプ体(4)によって固定される金属製パイプ(3)との左右相互間には、やはり広い空隙が存在している。更に、クランプ体(4)の回動アームと相俟って上記パイプ(3)を締め付け固定する長いクランプボルトの先端部が、足踏み板(1)から斜め横下方へ張り出し露呈している。
【0009】
そのため、上記特許文献1と同様な諸問題があり、やはり梯子のような設置場所を変えやすい利便性と、使用上の安全性を確保することができない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような諸問題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では平面視の長方形をなす踏面の長辺から平行な前後両片と、同じく踏面の短辺から平行な左右両側片とが、何れも下方へほぼ直角に折り曲げられた金属踏み板の複数と、
【0011】
その各金属踏み板の左右両側片へ各々ほぼΩ形のサドル金具を介して、着脱自在に組み付け一体化される金属単管桁の左右一対とから成り、
【0012】
上記各金属踏み板における左右両側片の前後何れか約一半部を側面視の扇形に造形して、その扇形の要部に左右一対のセンターボルト受け入れ孔と、そのセンターボルト受け入れ孔を中心とする一定な回動半径軌跡上に沿って点在する左右一対づつ複数組の角度調整ボルト受け入れ孔とを開口分布させる一方、
【0013】
上記各金属単管桁を抱持し得るサドル金具の両端フラット面部に、上記各金属踏み板のセンターボルト受け入れ孔と連通する第1連通長孔と、同じく各金属踏み板の角度調整ボルト受け入れ孔と択一的に連通する第2連通長孔とを各々開口形成して、
【0014】
その各サドル金具の第1連通長孔から各金属踏み板のセンターボルト受け入れ孔へ差し込み横架するセンターボルトと、同じく各サドル金具の第2連通長孔から各金属踏み板の角度調整ボルト受け入れ孔へ択一的に差し込み横架する角度調整ボルトとの一対づつによって、その各金属踏み板に組み付け一体化される金属単管桁の設置傾斜角度を大小調整できるように定めたことを特徴とする。
【0015】
又、請求項2では各サドル金具の第1連通長孔から各金属踏み板のセンターボルト受け入れ孔へ差し込み横架するセンターボルトと、同じく各サドル金具の第2連通長孔から各金属踏み板の角度調整ボルト受け入れ孔へ択一的に差し込み横架する角度調整ボルトとを互いに同一として、その何れも各金属踏み板の折り曲げ内部から互いに同一の第1、2固定ナットを用いて締め付けると共に、
【0016】
各金属単管桁を押圧する止めビスの植え付け用となるネジ孔を、各サドル金具の中央円弧面部に開口形成したことを特徴とする。
【0017】
更に、請求項3では各金属踏み板における踏面の前後何れか約一半部へ、手摺り受け支柱の取り付け用となる左右一対づつ複数組の下穴を開口分布させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の上記構成によれば、仮設階段をなす各金属踏み板が1枚物から断面ほぼ門字形に折り曲げられており、その踏み板自身の左右両側片へ左右一対の金属単管桁を、ほぼΩ形のサドル金具によって各々密着する状態に組み付け一体化しているため、必要最小限の部品点数から全体的に軽量な仮設階段を得られ、誰もが容易に持ち運ぶことにより、梯子(簡易階段)のように立て掛ける場所を変えて、便利良く使用できる効果がある。
【0019】
また、上記仮設階段の組立状態では各金属踏み板の左右両側片と、両金属単管桁との相互間に少しも空隙が発生せず、しかも各サドル金具の第1連通長孔から各金属踏み板のセンターボルト受け入れ孔へ差し込み横架されるセンターボルトと、同じく各サドル金具の第2連通長孔から各金属踏み板の角度調整ボルト受け入れ孔へ択一的に差し込み横架される角度調整ボルトとは、その何れも各金属踏み板の折り曲げ内部(裏側)を指向する状態にあり、その先端部が各金属踏み板から横外方へ張り出し露呈しないため、その仮設階段を戯れて昇り降りする子供が、各金属踏み板と両金属単管桁との左右相互間隙に足を詰めたり、上記ボルトの先端部によって身体の負傷や衣類の引き裂け事故などを起したりする危険はない。その結果、安全性に著しく優れ、その意味からも梯子(簡易階段)として使用しやすい。
【0020】
更に、各サドル金具の両端フラット面部に開口分布する第1、2連通長孔は、その何れも文字通りの長孔として金属単管桁の長手中心線と直交する方向に沿い開口延在しているため、ここからセンターボルトを各金属踏み板のセンターボルト受け入れ孔へ、角度調整ボルトを同じく各金属踏み板の角度調整ボルト受け入れ孔へ、容易に差し込み横架させることができ、その角度調整ボルトの差し替えによる上記設置傾斜角度の調整作業を円滑に行なえ、それにも拘らず角度調整ボルト受け入れ孔は円形の丸孔であるため、その調整状態を確実に固定維持し得る効果がある。
【0021】
特に、請求項2の構成を採用するならば、センターボルトと角度調整ボルトとの互換使用や、これらに締結される第1、2固定ナットの互換使用を行なえ、量産効果の向上を得られるほか、各サドル金具の中央円弧面部に開口する予備のネジ孔へ、各金属単管桁の押圧固定用止めビスを植え付けて、その各金属単管桁と各サドル金具との相対的な移動を阻止したり、或いは金属踏み板同士の隣り合う前後間隔を歩行者の昇降しやすく、広く又は狭く調整したりすることも可能となる効果がある。
【0022】
更に、請求項3の構成を採用するならば、各金属踏み板に開口分布する左右一対づつ複数組の下穴へ、必要に応じて差し込む取付ボルトとその固定ナットにより、手摺り受け支柱を垂立する状態に取り付け固定し、その手摺り受け支柱の上端部へ歩行者の手摺りを、上記金属単管桁と平行な傾斜状態に設置使用することができ、仮設階段の昇降時における安全性がますます向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る仮設階段の設置使用状態を示す側面図である。
【図2】金属踏み板の展開状態を示す斜面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2から折り曲げ立体化した金属踏み板を示す斜面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図1の一部を抽出して示す拡大図である。
【図7】図6の正面図である。
【図8】図6の8−8線に沿う拡大断面図である。
【図9】図1から金属単管桁の上端部を抽出して示す拡大側断面図である。
【図10】図1の10−10線に沿う拡大断面図である。
【図11】図1の11−11線に沿う拡大断面図である。
【図12】図1の12−12線に沿う拡大断面図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】図8の14−14線に沿う拡大断面図である。
【図15】図1の15−15線に沿う拡大断面図である。
【図16】図1の16−16線に沿う拡大断面図である。
【図17】設置傾斜角度の異なる仮設階段を示す図1に対応する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1は納屋や倉庫、その他の屋内に設置した使用状態の仮設階段(S)を例示しており、(10)はその仮設階段(S)を形作る複数の金属踏み板(段板)であって、幅方向に細長い平面視の長方形(例えば約620mm×約250mm又は約910mm×約250mmの大きさ)な踏面(11)と、その踏面(11)の両長辺から下方へほぼ直角に折り曲げられた平行な前後両片(12)と、同じく踏面(11)の両短辺からやはり下方へほぼ直角に折り曲げられた平行な左右両側片(13)とを備えている。
【0025】
つまり、各金属踏み板(10)は一定な厚み(例えば約2.5mm)を有する1枚物の縞鋼板から、予じめ図2、3のような平面輪郭形状に打ち抜かれており、同図の点線を折り曲げ稜線(y)(x)として、その展開状態から図4、5のような断面ほぼ門字形に折り曲げ立体化されたものである。その縞鋼板の凹凸縞模様が踏面(11)に歩行者の滑り止め機能を与えることとなる。
【0026】
但し、金属踏み板(10)としてはその踏面(11)が凹凸粗面化されている限り、上記縞鋼板に代るエスキパンドメタルやバーリング加工された高張力鋼板などを採用しても良い。
【0027】
その場合、各金属踏み板(10)の前後両片(12)と左右両側片(13)は図4〜6のように、水平な踏面(11)から下方へ一定量(H1)(例えば約40mm)だけ張り出しているが、特に左右両側片(13)の前後何れか約一半部(図例では階段を昇る方向に前進すると仮定したときの約前半部)だけは、更に下方へ大きく張り出す側面視の扇形に造形されている。その踏面(11)からの大きな張り出し量(H2)は上記の一定量(約40mm)も含む全体として、例えば約140mmである。
【0028】
そして、このような左右両側片(13)の約前半部をなす扇形の要(カナメ)部には、左右一対のセンターボルト受け入れ孔(14)が円形に開口形成されている。その両センターボルト受け入れ孔(14)は図2、3に示した金属踏み板(10)の展開状態から明白なように、上記踏面(11)の長手中心線(O−O)上に位置している。
【0029】
また、上記センターボルト受け入れ孔(14)を中心とする一定な回動半径軌跡(R−R)上に沿って、左右一対づつ複数組(図例では4組)の円形な角度調整ボルト受け入れ孔(15a)(15b)(15c)(15d)が等間隔おきに開口分布されている。各金属踏み板(10)の左右両側片(13)にはセンターボルト受け入れ孔(丸孔)(14)のほかに、このような角度調整ボルト受け入れ孔(丸孔)(15a)(15b)(15c)(15d)も点在しているのである。
【0030】
(16)は仮設階段(S)を形作る左右一対の金属単管桁であって、一定な太さ(例えば約48.6mmの外径)の一般構造用炭素鋼管から成り、図1や図6〜8に示すように左右一対づつのサドル金具(17)を介して、上記金属踏み板(10)の左右両側片(13)へ組み付け一体化されることになる。
【0031】
茲に、各サドル金具(17)は一定厚み(例えば約4.2mm)の鋼板からほぼΩ形に塑性変形されており、上記金属単管桁(16)を抱持する中央円弧面部(18)と、上記金属踏み板(10)の左右両側片(13)に対する取付座となる両端フラット面部(19)とを有している。(20)(21)はその各サドル金具(17)の両端フラット面部(19)に開口形成された一対の第1、2連通長孔であって、何れも金属単管桁(16)の長手中心線と直交する方向に沿い延在する楕円形を呈しており、その第1連通長孔(20)が上記した各金属踏み板(10)のセンターボルト受け入れ孔(14)と連通する一方、第2連通長孔(21)が同じく各金属踏み板(10)における複数組の角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)と択一的に連通するようになっている。
【0032】
そのため、上記中央円弧面部(18)により金属単管桁(16)を抱持した状態にある各サドル金具(17)の両端フラット面部(19)を、各金属踏み板(10)の左右両側片(13)へ当てがって、その各サドル金具(17)の第1連通長孔(20)から各金属踏み板(10)のセンターボルト受け入れ孔(14)へ、1本のセンターボルト(22)を差し込み横架させると共に、同じく各サドル金具(17)の第2連通長孔(21)から各金属踏み板(10)の角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)へ、択一的に1本の角度調整ボルト(23)を差し込み横架させて、そのセンターボルト(22)並びに角度調整ボルト(23)を各金属踏み板(10)の折り曲げ内部(裏側)から、各々第1、2固定ナット(24)(25)によって締め付ければ、上記金属単管桁(16)の左右一対と各金属踏み板(10)とを、図6〜8のような相互間隙のない密着状態に組み付け一体化することができる。その場合、各金属踏み板(10)における左右両側片(13)の凹凸縞模様は、第1、2固定ナット(24)(25)の緩み止め機能を果す。
【0033】
しかも、その金属単管桁(16)の設置傾斜角度(α)を図1と図17との対比から明白なように、上記角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)に対する角度調整ボルト(23)の差し替えによって、大きく(急な傾斜状態)又は小さく(緩やかな傾斜状態)調整することができるのである。上記センターボルト(22)を一旦緩めた上、そのセンターボルト(22)を支点として、金属踏み板(10)を回動させることにより、その左右両側片(13)に開口分布する角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)の希望する1個づつを選択すれば良い。
【0034】
但し、上記センターボルト(22)と第1固定ナット(24)との締結状態や、角度調整ボルト(23)と第2固定ナット(25)との締結状態を解けば、各金属踏み板(10)とその両金属単管桁(16)とを分解できることは言うまでもない。
【0035】
また、各サドル金具(17)の両端フラット面部(19)に開口分布する第1、2連通長孔(20)(21)は、互いに同一であり、これらに差し込むセンターボルト(22)と角度調整ボルト(23)やこれらに締結する第1、2固定ナット(24)(25)も、各々互いに同一である。そのため、各サドル金具(17)の方向性を変えて使用したり、両ボルト(22)(23)や両ナット(24)(25)を互換使用したりすることができる。
【0036】
更に、各サドル金具(17)の中央円弧面部(18)に予備のネジ孔(26)を開口形成しておくことが好ましい。そうすれば、図8から明白なように、そのネジ孔(26)へ植え付け螺合した止めビス(27)によって、上記中央円弧面部(18)に抱持した各金属単管桁(16)を押圧固定することができ、その金属単管桁(16)とサドル金具(17)との相対的な移動を防止したり、或いは上記金属単管桁(16)における設置傾斜角度(α)の変化に応じて、金属踏み板(10)同士の隣り合う前後間隔を歩行者の昇降しやすく広狭調整したりすることも可能になるからである。
【0037】
図示の実施形態では、各金属踏み板(10)の左右両側片(13)に開口分布する角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)のうち、上記金属単管桁(16)の設置傾斜角度(α)を最上段の調整ボルト受け入れ孔(15a)が約62度、最下段の調整ボルト受け入れ孔(15d)が約32度、中二段の調整ボルト受け入れ孔(15b)(15c)が約52度と約42度に各々調整できるようになっているが、その左右一対づつの複数組は合計4組のみに限らず、自由に増減することができ、また調整される傾斜角度(α)の具体的な数値も図示のそれのみに限らず、自由に変更することができるが、約30度〜約70度の範囲内に設定することが望ましい。
【0038】
図1に例示した仮設階段(S)の使用状態では、その各金属踏み板(10)に組み付け一体化された金属単管桁(16)の設置傾斜角度(α)が約42度であり、その両金属単管桁(16)の上端部が図9に拡大して示す如く、これにかぶせ付け固定された第1金属管継手(エンドフック金具)(A)の係止フック(28)と押えカバープレート(29)を介して、納屋や倉庫などの高い所を横架する既設又は新設の水平な梁材(30)へ、係脱自在に係止固定されている一方、同じく両金属単管桁(16)の下端部が図10に拡大して示す如く、やはりこれにかぶせ付け固定された第2金属管継手(エンド金具)(B)の羽根板(31)と、その羽根板(31)に対応的な羽根板(32)が枢支連結されたベース金具(C)により、木材やコンクリートなどの地面(G)に取り付け固定されている。(33)(34)は上記第1、2金属管継手(A)(B)のソケット、(35)は上記羽根板(31)(32)同士の連結ボルト・ナット、(36)はベース金具(C)の固定ボルトである。
【0039】
そのため、仮設階段(S)の設置状態が安定良く固定維持されることになり、特に図6〜8から明白なように、各金属踏み板(10)とその両金属単管桁(16)との左右相互間には少しも空隙がなく、完全な密着状態に保たれていることや、上記センターボルト(22)と角度調整ボルト(23)の先端部が悉く金属踏み板(10)の折り曲げ内部(裏側)を指向しており、その金属踏み板(10)から横外方へ張り出していないことなどとも相俟って、常時危険なく使用することができるのである。
【0040】
また、金属踏み板(段板)(10)の設置個数が多く、作用長さの長い仮設階段(S)となるような場合は、図1や図11〜13に示す如く、その長い両金属単管桁(16)の中途部へ同じ金属単管から成る補強脚柱(37)の左右一対を据え立てて、その各補強脚柱(37)の上端部にかぶせ付け固定した第2金属管継手(B)の羽根板(31)と、各金属単管桁(16)の中途部に通し込み固定した第3金属管継手(中間通し込み金具)(D)の羽根板(38)とを、やはり連結ボルト・ナット(39)によって枢支連結する一方、各補強脚柱(37)の下端部にかぶせ付けた高さ調整金具(E)を、地面(G)へ固定ボルト(40)によって取り付けても良い。
【0041】
(41)は上記第3金属管継手(D)のソケット、(42)は高さ調整金具(E)のソケットであって、これを支持する垂直なネジ軸(43)に沿って昇降されるようになっており、その高さがナット(44)によって調整固定されるようになっている。その高さ調整代は一例として約70mmである。
【0042】
このような構成を採用するならば、作用長さの長い仮設階段(S)が中途部から撓むおそれを、その左右一対の補強脚柱(37)によって防止することができ、耐久強度と安全性も向上する。その場合、両補強脚柱(37)を支持する高さ調整金具(E)の昇降操作により、仮設階段(S)の金属踏み板(10)を地面(G)の不陸などに影響されることなく、常時正確な水平状態に保てるのである。
【0043】
但し、仮設階段(S)における両金属単管桁(16)の上下両端部を水平な梁材(30)や地面(G)へ取り付け固定せず、納屋や倉庫、その他の屋内の高い所(例えば階上の床面)、庭地の石垣や空き地のコンクリートブロック塀、その他の屋外の高い所へ、梯子(簡易階段)のように立て掛けるだけにとどめてもさしつかえない。このような仮設階段(S)の設置状態にあっても、上記した使用上の安全性を確保することができ、軽快に持ち運んで設置場所の変更を容易に行なえる。
【0044】
更に、図2〜4に示すような手摺り受け支柱(45)の取り付け用となる左右一対づつ複数組(図例では2組)の下穴(46)を、各金属踏み板(10)における踏面(11)の前後何れか他半部(図例では階段を昇る方向に前進すると仮定した時の約後半部)に予じめ開口分布させておくことが好ましい。
【0045】
そうすれば、上記仮設階段(S)の補強脚柱(37)とほぼ同様にして、金属単管から成る手摺り受け支柱(45)の下端部を図14に拡大して示す如く、ここへかぶせ付けられた取付台(F)とその取付台(F)から上記金属踏み板(10)の下穴(46)へ差し込む取付ボルト(47)により、その金属踏み板(10)の踏面(11)から垂立する状態に取り付け固定すると共に、その手摺り受け支柱(45)の上端部へ図15に拡大して示す如く、第2、3金属管継手(B)(D)とその連結ボルト・ナット(39)を介して、金属単管から成る手摺り(48)を上記金属単管桁(16)と平行する状態に取り付け使用することができ、仮設階段(S)を昇降する歩行者の安全性がますます向上する。(49)は上記取付台(F)のソケット、(50)は金属踏み板(10)における踏面(11)の裏側(下方)から上記取付ボルト(47)に締結された固定ナット、(51)は手摺り(48)の開放端部にかぶせ付け固定されたエンドキャップである。上記踏面(11)の凹凸縞模様は歩行者の滑り止め機能のみならず、固定ナット(50)の緩み止め機能も果すことができる。
【0046】
その場合、図1や図16に示す如く、上記手摺り(48)の上端部は前後一対の第2金属管継手(B)とその羽根板(31)同士の連結ボルト・ナット(52)を介して、階上の手摺り受け支柱(53)により支持された延長手摺り(54)と連結使用することもできる。(55)はその延長手摺り(54)の中途部と手摺り受け支柱(53)の上端部とを連結するT字形の金属管継手、図9〜16の符号(56)は上記の各種ソケット(33)(34)(41)(42)(49)に植え付け螺合された金属単管押圧固定用の止めビスである。
【0047】
尚、左右一対の金属単管桁(16)と平行な左右一対の手摺り(48)を支持する手摺り受け支柱(45)は、図1や図17から明白なように、適当な高さ位置の金属踏み板(10)から一定の前後相互間隔を保って立設すれば良い。もっとも、手摺り(48)とその受け支柱(45)は左右一対の何れか片方だけとして設置使用することもあり得る。
【符号の説明】
【0048】
(10)・金属踏み板
(11)・踏面
(12)・前後両片
(13)・左右両側片
(14)・センターボルト受け入れ孔
(15a)(15b)(15c)(15d)・角度調整ボルト受け入れ孔
(16)・金属単管桁
(17)・サドル金具
(18)・中央円弧面部
(19)・両端フラット面部
(20)・第1連通長孔
(21)・第2連通長孔
(22)・センターボルト
(23)・角度調整ボルト(23)
(24)・第1固定ナット
(25)・第2固定ナット
(26)・ネジ孔
(27)・止めビス
(28)・係止フック
(29)・押えカバープレート
(30)・梁材
(31)(32)(38)・羽根板
(33)(34)(41)(42)(49)・ソケット
(35)(39)(52)・連結ボルト・ナット
(36)(40)・固定ボルト
(37)・補強脚柱
(43)・ネジ軸
(44)・ナット
(45)・手摺り受け支柱
(46)・下穴
(47)・取付ボルト
(48)・手摺り
(50)・固定ナット
(51)・エンドキャップ
(53)・手摺り受け支柱
(54)・延長手摺り
(55)・T字形金属管継手
(56)・止めビス
(A)・第1金属管継手
(B)・第2金属管継手
(C)・ベース金具
(D)・第3金属管継手
(E)・高さ調整金具
(F)・取付台
(G)・地面
(S)・仮設階段
(R−R)・回動半径軌跡
(O−O)・踏面の長手中心線
(α)・金属単管桁の設置傾斜角度
(x)(y)・折り曲げ稜線
(H1)(H2)・張り出し量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視の長方形をなす踏面(11)の長辺から平行な前後両片(12)と、同じく踏面(11)の短辺から平行な左右両側片(13)とが、何れも下方へほぼ直角に折り曲げられた金属踏み板(10)の複数と、
その各金属踏み板(10)の左右両側片(13)へ各々ほぼΩ形のサドル金具(17)を介して、着脱自在に組み付け一体化される金属単管桁(16)の左右一対とから成り、
上記各金属踏み板(10)における左右両側片(13)の前後何れか約一半部を側面視の扇形に造形して、その扇形の要部に左右一対のセンターボルト受け入れ孔(14)と、そのセンターボルト受け入れ孔(14)を中心とする一定な回動半径軌跡(R−R)上に沿って点在する左右一対づつ複数組の角度調整ボルト受け入れ孔(15a)(15b)(15c)(15d)とを開口分布させる一方、
上記各金属単管桁(16)を抱持し得るサドル金具(17)の両端フラット面部(19)に、上記各金属踏み板(10)のセンターボルト受け入れ孔(14)と連通する第1連通長孔(20)と、同じく各金属踏み板(10)の角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)と択一的に連通する第2連通長孔(21)とを各々開口形成して、
その各サドル金具(17)の第1連通長孔(20)から各金属踏み板(10)のセンターボルト受け入れ孔(14)へ差し込み横架するセンターボルト(22)と、同じく各サドル金具(17)の第2連通長孔(21)から各金属踏み板(10)の角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)へ択一的に差し込み横架する角度調整ボルト(23)との一対づつによって、その各金属踏み板(10)に組み付け一体化される金属単管桁(16)の設置傾斜角度(α)を大小調整できるように定めたことを特徴とする仮設階段。
【請求項2】
各サドル金具(17)の第1連通長孔(20)から各金属踏み板(10)のセンターボルト受け入れ孔(14)へ差し込み横架するセンターボルト(22)と、同じく各サドル金具(17)の第2連通長孔(21)から各金属踏み板(10)の角度調整ボルト受け入れ孔(15a)〜(15d)へ択一的に差し込み横架する角度調整ボルト(23)とを互いに同一として、その何れも各金属踏み板(10)の折り曲げ内部から互いに同一の第1、2固定ナット(24)(25)を用いて締め付けると共に、
各金属単管桁(16)を押圧する止めビス(27)の植え付け用となるネジ孔(26)を、各サドル金具(17)の中央円弧面部(18)に開口形成したことを特徴とする請求項1記載の仮設階段。
【請求項3】
各金属踏み板(10)における踏面(11)の前後何れか約一半部へ、手摺り受け支柱(45)の取り付け用となる左右一対づつ複数組の下穴(46)を開口分布させたことを特徴とする請求項1記載の仮設階段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−241560(P2011−241560A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112933(P2010−112933)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 証明書
【出願人】(391015959)株式会社ジョイント工業 (6)