説明

仰臥可能な省エネ浴槽

【課題】快適な仰臥姿勢で入浴でき、リフォームの際の取り替え用として幅約1200mm前後の既存の狭い浴室に設置できる浴槽を提供する。
【解決手段】浴槽の前後壁が、底壁に対して適宜に傾斜した背もたれ壁と、ほぼ直立する対向壁とで構成され、浴槽の両側壁が背もたれ壁の上方部に比べて対向壁の近傍において広がり、平均的日本人が仰臥姿勢で両足を組んで入浴した際に、頭部を背もたれ壁の上縁に載せると膝部または脛部が対向壁に軽く接触する程度の長さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、快適な仰臥姿勢で入浴できる安価な省エネ浴槽に関し、リフォームの際の取り替え用として幅約1200mm前後の既存の狭い浴室に設置することができる仰臥可能な省エネ浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスホテル、団地または古いマンションでは、バスルームはユニットバス形式の短寸のものが多く、入浴時に立て膝をして浴槽に入らなければならないので、気分転換のために入浴しても疲労回復やリラックスした気分に殆どなれない。これに対し、新設の戸建て住宅や大規模の高級マンションでは、広いバスルームに1400mm以上の長寸の浴槽が設置されており、足を伸ばして入浴できるのでリラックスできる反面、使用湯量と湯沸かし費用が高くなり、特に冬場に毎日入浴すると非常に不経済である。
【0003】
入浴時において、快適でリラックスするには、立て膝をして入浴するのではなく、仰臥姿勢で入浴できることが重要であり、実際には入浴時に足が伸ばせるか否かは大した問題ではない。仰臥姿勢で入浴可能な浴槽として、実開昭63−189080号、特開平11−318735号および特開2002−291637号などが例示できる。これらの浴槽は、一般に、背もたれ壁の傾斜角度20〜45度またはそれ以上である。また、底壁の長さが80〜1100mmであり、入浴者は足を軽く曲げて浴槽に入っているから、全長は短くても1400mm程度である。
【特許文献1】実開昭63−189080号公報
【特許文献2】特開平11−318735号公報
【特許文献3】特開2002−291637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の浴槽のように全長が1400mm以上になると、たとえ背もたれ壁があって快適な入浴が可能であっても、設置可能な場所が戸建て住宅や新築マンションに制限されてしまう。旧来のビジネスホテルや古いマンションでは、バスルームが狭くて設置可能な浴槽の長さが1200mm前後にすぎないので、全長が1400mm以上である前記の浴槽を設置することができず、たとえ快適な浴槽でも取り付けることができない。
【0005】
また、全長が1400mm以上で広幅の浴槽であると、傾斜させた背もたれ壁によって満水量が多少少なくなっても、旧来の1200mmユニットバスと比べて、やはり使用湯量は相当に多くなってしまう。使用湯量が多くなれば当然湯沸かし費用が高くなるとともに、都市ガスの大量消費によって二酸化炭素の発生量も多くなり、ひいては地球温暖化にも悪影響を与える。
【0006】
本発明は、従来の背もたれ式の浴槽に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、長さ約1200mm程度の短寸の浴槽であるのに、快適な仰臥姿勢が可能である省エネ浴槽を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、間伐材のような安価な材料で組み立てることで仰臥可能な省エネ浴槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る仰臥可能な省エネ浴槽では、浴槽の前後壁が、水壁面に対して適宜に傾斜した背もたれ壁と、ほぼ直立する対向壁とで構成される。本発明の省エネ浴槽は、その両側壁が背もたれ壁の上方部に比べて対向壁の近傍において広がることにより、入浴者が両足を組んで入ることが可能であり、平均的日本人が仰臥姿勢で両足を組んで入浴した際に、頭部を背もたれ壁の上縁に載せると膝部または脛部が対向壁に軽く接触する程度の長さを有する。
【0008】
好ましくは、本発明の省エネ浴槽は、全長が1200mm前後であり、且つ底壁が水平面に対して5〜15度傾斜している。
【0009】
本発明の省エネ浴槽は、背もたれ壁から対向壁まで延びる支持板を浴槽内で水平または斜めに設置し、該支持板の傾斜角度を適宜に変更することにより、入浴者の身長の長短に対応させることが可能である。また、本発明の省エネ浴槽では、背もたれ壁と底壁との交差部分に傾斜または湾曲表面の隅付け材を嵌め込んで固着すると好ましい。このような隅付け材は、底壁と対向壁、底壁と両側壁、背もたれ壁と両側壁、対向壁と両側壁との交差部分にも嵌め込んで固着してもよい。
【0010】
本発明の省エネ浴槽は、平行に並べて組み立てた間伐材の小割り材ないしプラスチックプレートまたはガラス繊維強化プラスチック(FRP)の成形品によって構成される。この間伐材は、ヒノキ、サワラまたはコウヤマキであると好ましい。
【0011】
本発明を図面によって説明すると、本発明に係る省エネ浴槽1(図1)は、例えば、ヒノキ、サワラやコウヤマキなど間伐材を用いた木製であると、比較的安価に製作できるので好ましい。プラスチックプレートは、間伐材とほぼ同様の形状と寸法に細長く成形しても、背もたれ壁、対向壁、底壁、両側壁に相当する大きさの5枚に一体成形してもよい。このプラスチックプレートは、多数本のボルト−ナットなどで結合し、浴槽1に組み立てることが可能である。
【0012】
また、浴槽1は、ポリプロピレンやFRPなどのプラスチック成形品製、ほうろう製、ステンレス製、タイル製であってもよく、木製浴槽の一部にプラスチック材などの他の材料を使用することも可能である。木製浴槽の場合には、樹脂の含浸、塗布または噴霧などによって耐水・防水処理を施したり、木材自体に防腐処理を施してもよい。
【0013】
浴槽1は、適宜の傾斜角度を有する背もたれ壁3を備え、しかも既存の狭いバスルームに設置できるように長さが1200mm前後である。このため、図2に示すように入浴者34が両足を組んで入ることができるように、浴槽1の両側壁7,7が背もたれ壁3の上方部に比べて対向壁5の近傍において広がり、入浴者34が頭部36を除いて全身を湯に漬けられることを要する。この背もたれ壁は、団地サイズのような長さ1100mmの浴槽であっても、傾斜角度α,β(図3)を比較的小さくすればよい。
【0014】
浴槽1において、通常、背もたれ壁3の傾斜角度αは20〜75度である。この傾斜角度が20度未満であると、浴槽1に収容可能な湯量が少なくなりすぎ、しかも湯の水位が入浴者34の耳近くになるので好ましくない。また、この傾斜角度が75度を超えると、必要湯量が増加するうえに、仰臥しているという感じが消滅してしまう。より好ましくは、傾斜角度αは30〜60度であり、この角度であると必要湯量が適量になり、さらに短い槽長さでも仰臥姿勢によって浮遊感が生じてリラックスできる。
【0015】
浴槽1の底壁6は水平であってもよいが、浴槽1に収容する湯量を少なくするために適宜傾斜させると好ましい。通常、底壁6の傾斜角度βは5〜15度であり、この傾斜角度が5度未満であると湯量の節約効果が少なく、この傾斜角度が15度を超えると身体全体が傾斜しすぎて仰臥姿勢が不安定になる。
【0016】
底壁6は、滑り防止のために粗面加工したり、ゴムやビニル製の滑り止め具を取り付けることが可能である。図3に例示するように、背もたれ壁3と底壁6との交差部分には、湾曲または傾斜表面の隅付け材30を嵌め込んで固着してもよく、該隅付け材は、小割り材2と同一または異なる木製またはプラスチック成形品製である。このような隅付け材は、主として省エネ対策のために、底壁と対向壁、底壁と両側壁、背もたれ壁と両側壁、対向壁と両側壁との交差部分にも嵌め込んで固着することが可能である。
【0017】
浴槽1において、両側壁7,7の間隔は、背もたれ壁3の上方部に比べて対向壁5の近傍において広がり、背もたれ壁3の上方部における間隔W1(図2)は450〜550mm、対向壁5の近傍における間隔W2(図2)は600〜750mmである。両側壁7,7の間隔は、浴槽1を利用する入浴者34の体格に応じて定め、この間隔が大きすぎると無駄な湯を使用することになり、この間隔が狭すぎると入浴者34の両肩部や組んだ足が側壁7に接触して入浴の快適さを損なうことになる。
【0018】
浴槽1の深さつまり槽高さは、槽長さが1200mm前後であれば400mm程度であり、浴槽内に深さ200mm程度まで湯を入れると、通常の入浴者34が仰臥姿勢で浅く入浴することで湯のレベル35(図3)が150mmほど上昇し、全身を湯に漬けることができる。必要湯量は、入浴者34の体格によって適宜調整すればよい。この槽高さは、団地サイズのような長さ1100mmの浴槽であれば、高さ400mmよりも若干大きくすることを要する。
【0019】
浴槽1が箱形や角丸形などの木製であって板状の小割り材2を用いる場合、ボルト12と丸ナット14(図5参照)や板状の連結金具のような適宜の部材を用いて組み立てればよく、またはだぼ継ぎ、千切り継ぎ、あり継ぎまたは釘の打ち込みなどで組み立ててもよい。浴槽1の組み立ては、熱硬化性や熱反応性の接着剤を補助または全面的に利用して行ってもよく、組み合わせ部分をパテなどのゴム状物質で目止めしてもよい。
【0020】
所望に応じて、浴槽1内に支持板32(図3)を浴槽内部に水平または斜めに設置してもよく、適宜の頭置き台や枕を背もたれ壁3に取り付けることが可能である。また、背もたれ壁3の上縁には、大人の入浴者34の頭部36が嵌るような凹みを設けてもよい。木製やプラスチック製の浴槽であれば、入浴者34の両肩部、臀部、両足部に応じた浅い凹みを形成することも可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る省エネ浴槽は、全長を1200mm前後に限定できるので、単に新設のバスルームだけでなく、旧来の狭いバスルームだけを備えたマンション、団地、ビジネスホテルでも設置可能である。しかも、本発明に係る省エネ浴槽は、適当に傾斜した背もたれ壁を備えることにより、入浴者が浴槽内で仰臥して両足を組むと快適な入浴が可能であり、且つ槽高さが400mmのように低くなり、高齢者や身体が不自由な人でも比較的容易に入浴することができる。
【0022】
本発明において、浴槽内に深さ200mm程度まで湯を入れると、入浴者が仰臥姿勢で浅く入浴することで全身を湯に漬けることができる。このため、使用湯量は約100リットルにすぎず、既存の長さ1200mmの浴槽と比べても半分以下になり、湯沸かし時間およびガス使用量が従来の半分以下になる。この結果、ガス料金が年間3万円以上も節約になるうえに、都市ガスの消費削減によって二酸化炭素の発生量も少なくなり、地球温暖化に対して好影響を与えることができる。また、本発明の省エネ浴槽をヒノキなどの間伐材で組み立てると、いっそう安価な浴槽を製造することができる。
【0023】
本発明に係る省エネ浴槽は、既設のマンション、団地、ビジネスホテルなどにおけるバスルームのリフォームの際に設置すると、入浴の快適さやガス使用料金などの点で、顧客における満足度が高まるものと推定できる。現状のリフォームでは、既存の固定式の浴槽を同機能の新しいものに交換するだけであるが、これを本発明の浴槽に取り替えると、短寸で軽いので移動させて洗浄・乾燥することが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。図1は本発明に係る省エネ浴槽1を例示し、該浴槽はヒノキまたはコウヤマキの間伐材から製材した多数枚の小割り材2によって組み立てる。この小割り材2は、通常、長さ1200mm、幅100mm、厚さ25mmであり、これらを浴槽1の部位に応じて個々に所定の平面形状に裁断する。
【0025】
小割り材2で組み立てる木製の浴槽1は、図1から図3に示すように、背もたれ壁3の上縁の横幅W1が500mm、直立する対向壁5の横幅W2が650mmであり、該浴槽の全長L1は1200mm、高さHは400mmに定める。背もたれ壁3の傾斜角度αは約45度に定める。また、底壁6の長さL2を800mm、且つ該底壁の傾斜角度βを約9度30分に定める。実際には、1200mmの全長L1で200mm高くなるように底壁3を傾斜させるため、β=tan−11/6である。
【0026】
複数枚の小割り材2によって平板状の背もたれ壁3,対向壁5,底壁6および両側壁7,7を密に構成するには、各小割り材を所定の平面形状に裁断するとともに、例えば、表面と平行に直交方向に貫通する横孔8(図4)を適当な間隔をおいて端面に穿孔する。外側配置の小割り板2aには、横孔8と連通する縦孔10を垂直に穿孔し、該縦孔は、小割り板2aを貫通せず、浴槽1の外方にだけ露出させる。所定の小割り材2を図示のように平行に並べ、各横孔8を合致させてから、図5に示すようにボルト12を各横孔8に通し、縦孔10に挿入した丸ナット14にねじ込んで密に接合する。丸ナットは、縦孔10に嵌合可能な直径の円柱形であり、その周壁にボルト12がねじ込み可能なねじ孔を設けている。
【0027】
例えば、対向壁5と底壁6のように、両者を直角に接合する場合には、底壁6の端縁に沿って小割り材2bに垂直方向に貫通する縦孔15(図6)を適当な間隔をおいて穿孔する。対向壁5の小割り板2cには、縦孔15と合致する盲孔16を端面に穿孔し、さらに該盲孔と連通する縦孔18を形成し、該縦孔18は小割り板2cを貫通せず、浴槽1の外方にだけ露出させる。底壁6の縦孔15と対向壁5の盲孔16を合致させてから、図6に示すようにボルト20を縦孔15および盲孔16に通し、縦孔18に挿入した丸ナット22にねじ込んで密に接合する。同様に、底壁6に対して背もたれ壁3および両側壁7,7を密に接合すればよい。図示しないけれども、実際には、ボルト12,20などは、小割り材2の側面や端面から露出しないように、該ボルトの沈み孔を同心状に設けたり、その側面や端面にボルトカバー材を接着する。
【0028】
一方、図7に例示するように、両側壁7,7は、底壁6の各小割り材2を介して長寸のボルト24とナット26によって直接結合することも可能である。この場合、両側壁7,7の端縁に沿って小割り材2dに垂直方向に貫通する縦孔28を適当な間隔をおいて穿孔する。ボルト24を両側壁7,7の縦孔28および底壁6の各小割り材の横孔8を通し、ナット26で密に固定する。このような直接接合は、両側壁7,7と背もたれ壁3ないし対向壁5について行ってもよい。
【0029】
浴槽1内において、湾曲表面の隅付け材30(図3)を背もたれ壁3と底壁6との交差部分に嵌め込んで固着すると好ましい。この固着は、接着剤の塗布、継ぎ組み、釘の打ち込みなどによって行う。隅付け材30は、通常、小割り材2と同一の木製である。隅付け材30は、横倒ししたほぼ三角柱状の形状であり、一方の底面が平坦で底壁6と接し、他方の底面が背もたれ壁3と同じ傾斜角度で該背もたれ壁と接着する。隅付け材30の表面を滑らかに湾曲させることにより、浴槽内部における触感が良化する。図示しないけれども、このような隅付け材は、底壁と対向壁、底壁と両側壁、背もたれ壁と両側壁、対向壁と両側壁との交差部分にも嵌め込んで固着する。
【0030】
所望に応じて、浴槽1内において、背もたれ壁3から対向壁5まで延びる支持板32(図3)を浴槽内部に水平に設置してもよい。支持板32は、幼児や子供などの入浴の際の補助具であり、入浴者の身長の長短に対応させるために用いる。支持板32は多孔板でもよく、背もたれ壁3の幅の半分以上の横幅を有する。支持板32は、例えば、一端部をプラスチックヒンジ(図示しない)などで回動可能に係止し、他端部をピンなどで固定することによって傾斜角度を適宜に変更することが可能である。
【0031】
浴槽1が、角度45度に傾斜した背もたれ壁3および角度約9度30分に傾斜した底壁6を有することにより、図1から図3に示すように、大人の入浴者34が浴槽1内で仰臥し、足を組んで入浴すると湯の水位35が上昇し、両肩部を含む全身を湯に漬けることができる。この際に、入浴者34が頭部36を背もたれ壁3の上縁に位置させると、全身がやや沈み込んで膝部38が対向壁5に軽く接触する(図3参照)。浴槽1は、槽高さが400mmのように相当に低いことにより、高齢者や身体が不自由な人でも比較的容易に入浴できる。浴槽1内には、一般に深さ200mm程度まで湯を入れると、入浴者34が仰臥姿勢で浅く入浴するとその体積によって湯の水位35が相当に上昇する。
【0032】
浴槽1は、全長が1200mmであるので、旧来の狭いバスルームを備えたマンション、団地、ビジネスホテルにおいて、バスルームのリフォームの際に交換用として販売できる。浴槽1をバスルームのリフォームの際に設置すると、入浴の快適さやガス使用料金の節減などの点で、顧客における満足度が高まる。浴槽1は、短寸で軽いので移動させて洗浄・乾燥することが容易であり、夏期にはバスルームの外へ出して乾燥させ、シャワーのみで身体を洗うことも可能である。
【0033】
図8は本発明の変形例を示し、FRP成形品製の浴槽40の内部形状は、前記の浴槽1のそれとほぼ同様である。このFRPは、熱硬化性樹脂の不飽和ポリエステル樹脂などを用い、プレス成形法、スプレーアップ法またはハンドレイアップ法によって成形する。浴槽40では、例えば、背もたれ内壁42の傾斜角度αが60度および内底壁44の傾斜角度βが10度であり、対向内壁45はほぼ直立している。背もたれ内壁42の上方部は、前記の浴槽1に比べていっそう狭くなり且つその中央部に入浴者46の頭部を載せる凹み47を設ける。浴槽40の両内側壁48,48は、背もたれ内壁42から後方へ向かって平行に延びてから対向内壁45の近傍において急に広がるので、前記の浴槽1に比べて湯量をいっそう節約でき、且つ入浴者が両足を組んで入浴することが可能である。
【0034】
浴槽40は、外形が縦1200mm、横700mmである面取りされた直方体形状であり、狭いバスルーム内に収納しても隙間なく設置することができる。例えば、背もたれ内壁42と対向内壁45との内寸は1150mmであり、両内側壁48,48の内寸は、背もたれ内壁42の広い部位において450mm、対向内壁45の近傍で650mmである。浴槽40の深さは400mmである。
【0035】
浴槽40は、傾斜角度60度の背もたれ内壁42および傾斜角度10度の内底壁44を有することにより、大人の入浴者46が浴槽内で仰臥し、図示のように足を組んで入浴すると両肩部を含む全身を湯に漬けることができる。この際に、入浴者46が頭部を背もたれ内壁42の凹み47上縁に位置させると、全身がやや沈み込んで膝部が対向内壁に軽く接触するので、快適な入浴が期待できる。浴槽40では、浴槽内に深さ200mm程度まで湯を入れると、入浴者が仰臥姿勢で浅く入浴するとその体積によって湯の水位が上昇し、湯に全身を漬けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る省エネ浴槽を例示する概略側面図である。
【図2】図1の省エネ浴槽を示す概略平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿って切断した縦断面図であり、各小割り材を貫通する横孔を図示していない。
【図4】各小割り材における横孔および縦孔を例示する側面図である。
【図5】図4のB−Bに沿って切断した縦断面図であり、各小割り材の平行接合態様を示す。
【図6】小割り材の直角接合態様を示す部分断面図である。
【図7】各小割り材における別の平行接合態様を示す部分断面図である。
【図8】本発明の変形例を示すプラスチック浴槽の概略平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 省エネ浴槽
2 小割り材
3 背もたれ壁
5 対向壁
6 底壁
7,7 側壁
34 入浴者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の前後壁が、水平面に対して適宜に傾斜した背もたれ壁と、ほぼ直立する対向壁とで構成され、浴槽の両側壁が背もたれ壁の上方部に比べて対向壁の近傍において広がることにより、入浴者が両足を組んで入ることが可能であり、平均的日本人が仰臥姿勢で両足を組んで入浴した際に、頭部を背もたれ壁の上縁に載せると膝部または脛部が対向壁に軽く接触する程度の長さを有する仰臥可能な省エネ浴槽。
【請求項2】
全長が1200mm前後であり、且つ底壁が水平面に対して5〜15度傾斜している請求項1記載の省エネ浴槽。
【請求項3】
背もたれ壁から対向壁まで延びる支持板を浴槽内で水平または斜めに設置し、該支持板の傾斜角度を適宜に変更することにより、入浴者の身長の長短に対応させる請求項1記載の省エネ浴槽。
【請求項4】
背もたれ壁と底壁との交差部分に傾斜または湾曲表面の隅付け材を嵌め込んで固着する請求項1記載の省エネ浴槽。
【請求項5】
平行に並べて組み立てた間伐材の小割り材ないしプラスチックプレートまたはガラス繊維強化プラスチックの成形品によって構成され、この間伐材はヒノキ、サワラまたはコウヤマキである請求項1,2または3記載の省エネ浴槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−175099(P2007−175099A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373884(P2005−373884)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【特許番号】特許第3868467号(P3868467)
【特許公報発行日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(505134855)
【Fターム(参考)】