説明

伸縮性シートの製造方法

【課題】生産速度によらずに一定の伸縮特性を有する伸縮性シートを安定して製造することができる伸縮性シートの製造方法が提供すること。
【解決手段】一対の帯状シート50,60の間に糸状弾性体7を伸長状態に固定した伸縮性シート3を連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であり、繰り出した糸状弾性体7を伸長状態で弾性体巻回手段14に導入する供給工程と、弾性体巻回手段14を用いて糸状弾性体7を、糸搬送用長手構造体12,13に連続的に巻回し、巻回した糸状弾性体を、該構造体12,14の長手方向に搬送する搬送工程と、その糸状弾性体7をシート50,60間に挟んで固定する一体化工程とを備え、供給工程においては、弾性体巻回手段14より上流側に配した速度調整手段15Bにより、糸状弾性体7を、一対の搬送ベルト12,13に対する巻きかけ速度と同等又はそれ以上の速度にして弾性体巻回手段14に導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
資材をできる限り省き、廃棄物をできる限り抑え、環境に優しく、コストを抑えるという観点から、ファスニングテープを備えたウエストパネル材を別工程で製造しておき、吸収体を含む長方形状の吸収性本体にこのウエストパネル材を付加して製造される展開型の使い捨ておむつが知られている。ウエストパネル材は、装着性の観点から、伸縮性の部材であることが好ましく、ウエストパネル材としては、一般的に伸縮性のフィルムを用いて形成されたものが用いられる。しかし、伸縮性のフィルムはコストがかかるため、汎用の弾性部材である所謂糸ゴムを用いてウエストパネル材を形成することが好ましい。但し、糸ゴムを用いてウエストパネル材を得る工程と、そのウエストパネル材を吸収性本体に付加して展開型の使い捨ておむつを得る工程とを一連の流れで連続して行う場合、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材の伸縮方向は、一般的に吸収性本体の搬送方向と同方向となり、展開型の使い捨ておむつの着用時に求められるウエストパネル材の伸縮方向と直交する方向となる。従って、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材をインライン工程で吸収性本体に付加して展開型の使い捨ておむつを製造する場合、糸ゴムを用いて形成したウエストパネル材を90度反転させて吸収性本体に付加する必要がある。このようにウエストパネル材を90度反転させる装置が別途必要となるため、設備投資の増大を招いてしまう。
【0003】
上述のような90度反転させる装置を用いない方法として、例えば、特許文献1,特許文献2には、長さ方向に走行中の透水性シートに接着剤を塗布し、該接着剤塗布面に、テンションの与えられた糸状弾性体を、走行するシートのシート面に沿って且つシート走行方向に向けてジグザグ状態で平行移動させ、該糸状弾性体を伸長させた状態でシートに接着する工程と、前記糸状弾性体を両端で切断する工程とを行う伸縮性シートの製造方法が記載されている。また、特許文献1には、ジグザグ状態の糸状弾性体を、平行に配置し直す方法も記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2のように、糸状弾性体を、一対の送りベルトに巻回してシートの搬送方向と交差する方向に配向させ、その状態の糸状弾性体をシートと一体化させて伸縮性シートを得る方法においては、シートの搬送方向に沿って導入した糸状弾性体を該シートに固定する場合とは異なり、伸縮性シートの生産速度に応じて、シートの伸縮応力特性が変動し易く、例えば、生産速度が早くなると、製造されるシートの伸縮応力特性を一定に維持することが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−243309号公報
【特許文献2】特開2010−22588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る伸縮性シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、前記糸状弾性体を連続して繰り出し、繰り出された該糸状弾性体を弾性体巻回手段に導入する供給工程と、該弾性体巻回手段を用いて前記糸状弾性体を、糸搬送用長手構造体に連続的に巻回し、巻回した該糸状弾性体を、該糸搬送用長手構造体の長手方向に搬送する搬送工程と、搬送した該糸状弾性体をシート間に挟んで固定する一体化工程とを備え、前記供給工程においては、前記弾性体巻回手段の上流側に配した速度調整手段により、前記糸状弾性体を、前記糸搬送用長手構造体に対する巻回速度と同等又はそれ以上の速度に調整して、該弾性体巻回手段に導入する伸縮性シートの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の伸縮性シートの製造方法によれば、一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、生産速度によらずに一定の伸縮特性を有する伸縮性シートを安定して製造することができる伸縮性シートの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施態様により得られるウエストパネル材及び展開型使い捨ておむつを示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる伸縮性シートの製造装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す装置の回転アーム(弾性体巻回手段)より上流側の構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、巻回速度を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の伸縮性シートの製造方法を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施態様で製造する伸縮性シートは、図1に示すように、例えば、展開型の使い捨ておむつ1のウエストパネル3に用いられる。従って、先ず、本実施態様により製造される伸縮性シートをウエストパネルに用いた展開型の使い捨ておむつ1について説明する。
【0011】
展開型の使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)は、図1に示すように、装着時に装着者の腹側に位置する腹側部A、背側に位置する背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に位置する股下部Cを有する吸収性本体2と、背側部Bの左右両外方に連設された左右一対のウエストパネル3,3とを有する。おむつ1は、図1に示すように、腹側部Aの左右両外方に連設された左右一対のパネル材4,4を有している。尚、おむつ1の吸収性本体2は、図1に示すように、平面状に拡げた状態において、長方形状である。また、おむつ1のパネル材4は、図1に示すように、平面状に拡げた状態において、台形状であり、長さの長い下底側が、接着剤や融着等の手段により吸収性本体2に固定されている。
以下の説明では、吸収性本体2の長手方向(おむつ1の長手方向でもある)をY方向、吸収性本体2の幅方向(おむつ1の幅方向でもある)をX方向として説明する。
【0012】
一対のウエストパネル3,3それぞれは、平面状に拡げた状態において、矩形状である。各ウエストパネル3は、2枚のシート5,6と、2枚のシート5,6の間に伸長した状態で配された複数本の糸状弾性体7とを有している。各ウエストパネル3は、一対のシート5,6の間に糸状弾性体7をY方向と交差する方向に伸長した状態で固定された伸縮性シートからなる。具体的には、各ウエストパネル3は、図1に示すように、同形同大の矩形状の2枚のシート5,6の間に、Y方向と直交する方向(X方向)に伸長した糸状弾性体を、Y方向に略等間隔を空けて配して、接着剤や融着等の手段により一体的に固定して形成されている。このように形成された矩形状のウエストパネル3には、そのX方向外方側の端部にファスニングテープ8が接着剤や融着等の手段により固定されている。また、矩形状のウエストパネル3は、そのX方向内方側の端部が接着剤や融着等の手段により吸収性本体2の背側部Bに固定され、背側部BのX方向外方に連設されている。尚、本実施態様で製造されるウエストパネル3(伸縮性シート)の有する糸状弾性体7は、Y方向と直交する方向に伸長されているが、Y方向と交差する方向に伸長されていればよい。
【0013】
吸収性本体2は、図1に示すように、液透過性の表面シート21と、液不透過性又は撥水性の裏面シート22と、これら両シート21,22間に介在された液保持性の吸収体23とを有している。吸収性本体2は、図1に示すように、おむつ1の内面をなす表面シート21と、おむつ1の外面をなす裏面シート22とを、これら両シート21,22間に吸収体23を介在させて接合することにより形成されている。また、吸収性本体2は、図1に示すように、Y方向の両側部に沿って立体ガード形成用シート24,24を配設してなる。立体ガード形成用シート24は、吸収性本体2のY方向両側部に沿って表面シート21に固定されている。各立体ガード形成用シート24は、X方向内方側の端縁近傍に沿って立体ガード形成用の弾性部材25を有しており、着用時には、その弾性部材25の収縮力により、該端縁から所定幅の部分が表面シート21から離間して立体ガードを形成する。また、吸収性本体2の長手方向両側部の脚廻りに配される部分には、レッグギャザー形成用の弾性部材26が配されている。着用時には、弾性部材26の収縮によりレッグギャザーが形成され、脚廻りに対して良好にフィットする。
【0014】
おむつ1の形成材料について説明する。
ウエストパネル3を構成するシート5,6及びパネル材4としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、シート5,6及びパネル材4としては、不織布、織物、フィルムまたはそれらの積層シート等を用いることができる。吸収性本体2を構成する表面シート21、裏面シート22としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート22としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体23としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。立体ガードを構成する立体ガード形成用シート24としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
【0015】
糸状弾性体7及び立体ガードを構成する弾性部材25としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。本発明における糸状弾性体には、断面が円形、正方形状のものの他、楕円形、断面矩形等の細幅帯状のものも含まれ、マルチフィラメントタイプのものも用いることができる。糸状弾性部材の幅(又は径)は、例えば、0.1〜3mmであり、好ましくは1mm以下である。ファスニングテープ8としては、例えば、不織布等のテープ基材の一方の面上にメカニカルファスナーのフック部材を熱融着や接着剤等により貼り付けてなるものを用いることができる。
【0016】
次に、本発明の伸縮性シートの製造方法の好ましい実施態様を、上述したおむつ1のウエストパネル3(伸縮性シート)を製造する場合を例にとり図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施態様のウエストパネル3(伸縮性シート)の製造方法に好適に用いられる製造装置を模式的に示したものである。
【0017】
製造装置11は、図2に示すように、ウエストパネル3に使用される伸縮性シート3Aを連続的に製造する装置であり、シートの搬送方向(y方向)と直交する方向(x方向)に離間した一対の搬送ベルト12,13に、糸状弾性体7を連続的に巻回する弾性体巻回用の回転アーム(弾性体巻回手段)14を備えている。また、製造装置11は、図2及び図3に示すように、糸状弾性体7を連続して繰り出し、回転アーム14に糸状弾性体7を伸長状態で導入する弾性体供給手段15と、前述の一対の搬送ベルト12,13により糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60の間に搬送する搬送手段16と、一対のニップローラー171,172を用いて一対の帯状シート50,60の間に伸長状態の糸状弾性体7を固定する一体化手段17と、帯状シート50,60の幅方向両端部それぞれから延出している糸状弾性体7を切断する切断手段18とを備えている。
本実施態様においては、一対の搬送ベルト12,13が、本発明における糸搬送用長手構造体であり、該糸搬送用長手構造体の長手方向は、両搬送ベルト12,13の延設方向(y方向)である。
【0018】
シートの搬送方向は、一対の搬送ベルト12,13に巻回された糸状弾性体7の搬送方向又はその糸状弾性体7と一体化されたシート(帯状シート50及び/又は60)の搬送方向である。
図2中矢印のy方向は、シートの搬送方向である、糸状弾性体7や一対の帯状シート50,60の搬送方向を示し、最終的に本実施態様により製造されるウエストパネル3(伸縮性シート)の搬送方向及び該ウエストパネル3(伸縮性シート)を取り付けたおむつ1の連続体の搬送方向とも同じ方向である。
また、図2中矢印のx方向は、帯状シート50,60の幅方向であり、シートの搬送方向と直交する方向である。また、図2中矢印のz方向は、後述する一対のニップローラー171,172どうしが対向する方向である。
【0019】
搬送手段16の搬送ベルト12は、図2に示すように、無端状の回転ベルトであり、上下2段の上段搬送ベルト12aと下段搬送ベルト12bとからなる。上段搬送ベルト12aは、回転軸方向がz方向に配されたプーリー121,122間に架け渡されている。下段搬送ベルト12bは、回転軸方向がz方向に配されたプーリー124,125間に架け渡されている。プーリー121は、一対の帯状シート50,60の間に伸長状態の糸状弾性体7を固定する一対のニップローラー171,172の下流側に位置し、プーリー122は、ニップローラー171,172の上流側に位置している。プーリー124は、ニップローラー171,172よりも下流側に位置し、プーリー125は、ニップローラー171,172の上流側に位置している。プーリー121,124は、同じ位置に上下2段で配されている。また、プーリー122,125も、同じ位置に上下2段で配されている。また、プーリー122(プーリー125)は、帯状シート50,60のx方向端部よりもx方向外方に位置している。プーリー121及びプーリー124それぞれには、その駆動部にサーボモーター(不図示)が連設されており、上段搬送ベルト12a及び下段搬送ベルト12bそれぞれの回転速度を変更することができる。
【0020】
搬送手段16の搬送ベルト13は、図2に示すように、搬送ベルト12と同様に、無端状の回転ベルトであり、上下2段の上段搬送ベルト13aと下段搬送ベルト13bとからなる。上段搬送ベルト13aは、回転軸方向がz方向に配されたプーリー131,132間に架け渡されている。下段搬送ベルト13bは、回転軸方向がz方向に配されたプーリー134,135間に架け渡されている。プーリー131は、一対のニップローラー171,172の下流側に位置し、プーリー132は、ニップローラー171,172の上流側に位置している。プーリー134は、ニップローラー171,172よりも下流側に位置し、プーリー135は、ニップローラー171,172の上流側に位置している。プーリー131,134は、同じ位置に上下2段で配されている。また、プーリー132,135も、同じ位置に上下2段で配されている。また、プーリー132(プーリー135)は、帯状シート50,60のx方向端部よりもx方向外方に位置している。プーリー131及びプーリー134それぞれには、その駆動部にサーボモーター(不図示)が連設されており、上段搬送ベルト13a及び下段搬送ベルト13bそれぞれの回転速度を変更することができる。
【0021】
図2に示すように、上述のように配されたプーリー121,122及びプーリー124,125に架け渡されることにより搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)は、一対のニップローラー171,172の上流側から下流側に亘って配される。また、上述のように配されたプーリー131,132及びプーリー134,135に架け渡されることにより搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、一対のニップローラー171,172の上流側から下流側に亘って配される。更に、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、帯状シート50,60のx方向外方に位置し、互いに左右対称に配されている。搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、それぞれの外周側がy方向に移動するように回転する。
【0022】
搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)は、何れもタイミングベルトであることが好ましい。搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の回転速度、即ち、プーリー121及びプーリー124並びにプーリー131及びプーリー134それぞれの駆動部に配されたサーボモーター(不図示)の回転速度は、製造装置11の備える制御部(不図示)により、制御されている。
【0023】
回転アーム14は、図2に示すように、軸部142、周回部143及び連結部144を有するアーム部141と、軸部142の中心線を回転軸として、アーム部141を回転させる駆動機構147とを備えている。連結部144は、軸部142及び周回部143のそれぞれに対して角度をなして結合しており、周回部143と軸部142とは略平行となっている。軸部142は、その一端に糸状弾性体7の導入口145を有し、周回部143は、その一端に、糸状弾性体7の導出口146を有しており、導入口145から導入された糸状弾性体7が、軸部142、連結部144及び周回部143を通って導出口146からスムーズに導出される。アーム部141の屈曲部や導出口146等には、糸状弾性体7との間の摩擦を低減し得る各種公知の部材(従動ロールや低摩擦部材等)を配置することもできる。
【0024】
周回部143は、導出口146の位置が、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上流側の端部より下流側に配されている。回転アーム14は、その駆動部(軸部142)にサーボモーター148が取り付けられており、該サーボモーター148の回転により、周回部143が、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の外周を周回する。導出口146が回転する軌跡の直径は、一対の搬送ベルト12,13の外面間の距離より大きい。
このような回転アーム14により、取り込んだ糸状弾性体7を、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上流側の端部であって且つそれぞれの外周側に連続的に巻回することができる。回転アーム14の回転速度、即ち、サーボモーター148の回転速度は、製造装置11の備える制御部(不図示)により、制御されている。
【0025】
弾性体供給手段15は、図3に示すように、ボビン70から糸状弾性体7を引き出す手段と、ボビン70から引き出された糸状弾性体7に所定のテンションをかけるテンション調整手段15Aと、テンション調整手段15Aの下流側に位置して、テンション調整手段15Aから送り出された糸状弾性体7の速度を調整して、回転アーム(弾性体巻回手段)14に導入する速度調整手段15Bとを備えている。
テンション調整手段15Aは、ボビン70の下流側に位置して糸状弾性体7にブレーキによりテンションをかけるテンサー151と、テンサー151の下流側に位置する繰り出しローラー152と、繰り出しローラー152の下流側に位置するテンション測定器153とを備えている。繰り出しローラー152は、その回転軸方向がx方向に配されている。繰り出しローラー152には、その駆動部にサーボモーター(不図示)が取り付けられている。繰り出しローラー152は、その外周に糸状弾性体7が1回又は複数回(好ましくは2回)巻き付けられて使用される。本実施態様で用いた繰り出しローラー152は、前記の引き出し手段の全体又は一部を兼ねており、繰り出しローラー152によって、ボビン70から引き出された糸状弾性体7が、ガイド部材150のガイド孔を通ってテンサー151に導入される。
【0026】
テンション調整手段15Aは、テンション測定器153により、繰り出しローラー152とガイドローラー155との間の糸状弾性体7のテンションを検出し、製造装置11の備える制御部(不図示)により、テンション測定器153からの検出出力に基づき、繰り出しローラー152の回転速度をフィートバック制御する。これにより、ガイドローラー155から送り出される糸状弾性体7のテンションを、設定した所定のテンションに調整することができる。
【0027】
速度調整手段15Bは、テンション調整手段15Aから送り出された糸状弾性体7の速度を調整し、その速度調整された糸状弾性体7を、回転アーム(弾性体巻回手段)14に導入する。速度調整手段15Bは、図3に示すように、回転アーム14の近傍に、フィードローラー156を備えている。フィードローラー156は、回転アーム14と繰り出しローラー152との間に配され、その回転軸方向がx方向に配されている。フィードローラー156の前後には、ガイドローラー156a,156bが配されている。フィードローラー156は、その駆動部にサーボモーター(不図示)が取り付けられている。サーボモーター(不図示)の回転速度、即ちフィードローラー156の回転速度は、製造装置11の備える制御部(不図示)により、制御されている。
フィードローラー156は、糸状弾性体の搬送経路において、回転アーム14の近傍、特に直前に配置されていることが好ましい。例えば、フィードローラー156を離れてから回転アーム14に導入されるまでの糸状弾性体の搬送経路の長さは、ボビン70から回転アーム14までの糸状弾性体の搬送経路の全長に対して、10〜50%であることが好ましく、より好ましくは10〜30%であることが好ましい。
【0028】
一体化手段17は、図2,図4に示すように、一対のニップローラー171,172を備えている。一対のニップローラー171,172としては、金属製の円筒形のローラーや、低硬度シリコンゴム製の円筒形のローラーを用いることができる。一対のニップローラー171,172は、何れか一方の駆動部にサーボモーター(不図示)が取り付けられており、製造装置11が備える制御部(不図示)により回転速度が制御されている。一対のニップローラー171,172それぞれの回転軸には駆動伝達用のギヤが取り付けられている。この駆動手段(不図示)により、伸縮性シートの生産速度に基づき、サーボモーター(不図示)の回転速度、即ち一方のニップローラー171,172の回転速度をコントロールすることができる。その際、駆動伝達用のギヤが噛み合うことによって、他方のニップローラー172,171にも駆動力が伝達され、一対のニップローラー171,172を回転させることができる。一対のニップローラー171,172の軸受け部分は、一対の帯状シート50,60の間に伸長状態の糸状弾性体を確実に固定する為に、油圧、空圧、バネ等の力を利用して、それぞれの軸受け部分が加圧されている。
【0029】
一対のニップローラー171,172は、図2に示すように、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の内周側と搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の内周側との間に位置している。
【0030】
切断手段18は、図2に示すように、搬送されてくる糸状弾性体7が当たる部分が先鋭な切断刃となされたカッター180を備えている(搬送ベルト13側のカッター180は図示略)。カッター180は、支持体(不図示)により、糸状弾性体7が当たる位置に配置されており、糸状弾性体7が、搬送ベルト12,13により搬送されてカッター180に押しつけられることにより切断される。切断手段18は、y方向においては、一対のニップローラー171,172と、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)のプーリー121,124及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)のプーリー131,134との間に位置している。
切断手段18により糸状弾性体7を切断するx方向の位置は、ニップローラー171,172と搬送ベルト12,13との間であっても良いし、搬送ベルト12,13それぞれの内周部と外周部との間であっても良いし、搬送ベルト12,13それぞれの外周部の外側であっても良い。また、切断手段18としては、糸状弾性体7を切断し得る各種公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、外周面に周方向に亘る切断刃を備えたカッターローラーと該切断刃を受けるアンビルローラーとを備えたローラーカッター等を用いることもできる。また、レーザーや熱等により切断してもよい。
【0031】
次に、上述した製造装置11を用いて伸縮性シートを製造する方法について説明する。
【0032】
先ず、図3に示すように、糸状弾性体7を連続して繰り出し、繰り出された糸状弾性体7を伸長状態で弾性体巻回手段としての回転アーム14に導入する(供給工程)。
詳述すると、繰り出しローラー152を用いて、ボビン70から糸状弾性体7を連続して引き出す。本実施態様では、ボビン70は、回転しないものであるが、回転するものであっても良い。そして、ボビン70から引き出された糸状弾性体7にテンション調整手段15Aにより所定のテンションをかける。より具体的には、テンション測定器153により、繰り出しローラー152とガイドローラー155との間の糸状弾性体7のテンションを検出し、製造装置11の備える制御部(不図示)により、テンション測定器153からの検出出力に基づき、繰り出しローラー152の回転速度やテンサー151のブレーキを調整し、ガイドローラー155から下流側に向かって、所定のテンション(所定の伸長倍率)に調整された糸状弾性体7のテンションを送り出す。なお、テンサー151のブレーキは、ボビン70から引き出す際に生じることのある糸状弾性体の急激な弛みが下流工程に影響を与えないように設けてある。
【0033】
テンション調整手段15Aによりテンションを調整した製造する伸縮性シート中の糸状弾性体の伸長倍率の好ましい範囲は、1.5〜4.0倍であり、より好ましくは1.8〜3.5倍、更に好ましくは2.0〜3.0倍である。
伸長倍率は下記の式で求められる。
伸長倍率=(伸ばされた糸状弾性体の長さ)÷(伸ばされていない糸状弾性体の長さ(糸状弾性体の自然長さ))
【0034】
そして、その糸状弾性体7を回転アーム14に導入するのであるが、導入する際には、前述したテンション調整手段15Aにより、所定のテンション(所定の伸長倍率)に伸長された糸状弾性体7の速度を、速度調整手段15Bにより、回転アーム14(弾性体巻回手段)により糸状弾性体7を一対の搬送ベルト12,13に巻回させる巻回速度と同等又はそれ以上の速度に速度調整して、回転アーム14に供給する。
【0035】
ここで、「巻回速度」とは、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の外周側及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の外周側に1周周回された糸状弾性体7の長さL(以下「周回長さL」ともいう)を、1周周回させるに要した時間Tで除することにより得られる値を意味する。回転アーム14(弾性体巻回手段)に導入する糸状弾性体7の速度、及び糸状弾性体7の巻回速度の単位は、例えば[m/sec]とする。
前記時間Tは、図4に示すように、y方向に移動しながら、搬送ベルト12の外周側及び搬送ベルト13の外周側を周回する糸状弾性体7が、搬送ベルト12及び搬送ベルト13の周囲における、ある特定の位置(例えば図4中P1の位置)を通った後、再びその位置(例えば図4中P2の位置)を通る迄の時間であり、弾性体巻回手段が回転アームの場合、該回転アームが1回転する時間と等しい。他方、前記周回長さLは、図4に示すように、搬送ベルトの移動及びそれによる糸状弾性体の移動を考慮して、図中の部分a〜dの長さの合計を該長さL1とする。
【0036】
回転アーム14(弾性体巻回手段)の上流側に配置した速度調整手段15Bにより、回転アーム14に導入する糸状弾性体7の速度を、前記巻回速度と同等又はそれ以上の速度に速度調整することにより、生産速度によらずに一定の伸縮特性を有する伸縮性シートを安定して製造することができる。また、本実施態様の伸縮性シートの製造方法は、上述した通り、比較的簡易な設備及びプロセスにより実施できる。
【0037】
生産速度の影響を受けにくくする観点から、回転アーム14に導入する糸状弾性体7の速度[m/sec]は、前記巻回速度[m/sec]の95〜200%であることが好ましく、より好ましくは100〜150%であり、更に好ましくは110〜120%である。回転アーム14に導入する糸状弾性体7の速度が前記巻回速度と同等とは、回転アーム14に導入する糸状弾性体7の速度が前記巻回速度の95〜105%であることを意味する。回転アーム14に導入する糸状弾性体7の速度は、前記巻回速度以上、特に前記巻回速度より高速であることがより好ましい。
【0038】
供給工程後には、図2,図4に示すように、回転アーム14を用いて伸長状態の糸状弾性体7を一対の搬送ベルト12,13に連続的に巻回し、一対の搬送ベルト12,13を用いて連続的に巻きかけられた糸状弾性体7を一対の帯状シート50,60の間に搬送する(搬送工程)。詳述すると、伸長状態で回転アーム14内に供給された糸状弾性体7は、導入口145から、アーム部141内に導入され、軸部142,連結部144及び周回部143内を通って、導出口146から導出される。導出口146から導出される糸状弾性体7は、回転アーム14が回転しながら導出されることによって、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の上流側の端部における外周側及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上流側の端部における外周側に巻回する。ここで、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の回転走行により、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)の外周側及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の外周側に糸状弾性体7を連続的に螺旋状に巻きかけられる。この連続的に巻きかけられた糸状弾性体7を下流側の一対の帯状シート50,60の間に搬送する。
【0039】
ここで、一対の搬送ベルト12,13に巻きかけられた糸状弾性体7は、y方向と交差する方向に伸長しており、y方向と直交する方向には配されていない。巻きかけられた糸状弾性体7をy方向と直交する方向(x方向)に修正するには、例えば、図2に示すように、糸状弾性体7が巻きかけられている場合には、搬送ベルト12においては、上段搬送ベルト12aの回転速度を下段搬送ベルト12bの回転速度よりも遅くし、搬送ベルト13においては、下段搬送ベルト13bの回転速度を上段搬送ベルト13aの回転速度よりも遅くすることにより、y方向への搬送中に糸状弾性体7の傾きを徐々に変化させ、一対の帯状シート50,60の間に搬送するまでに、糸状弾性体7の傾きをy方向と直交する方向(x方向)に修正することができる。
【0040】
図2に示すように、帯状シート50は、予め、セーラー(不図示)等により、x方向の両端部それぞれが外面側に折られており、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の上段側から一対のニップローラー171,172の間に供給されている。また、図2に示すように、帯状シート60は、予め、セーラー(不図示)等により、x方向の両端部それぞれが外面側に折られており、搬送ベルト12(上段搬送ベルト12a,下段搬送ベルト12b)及び搬送ベルト13(上段搬送ベルト13a,下段搬送ベルト13b)の下段側から一対のニップローラー171,172の間に供給されている。尚、帯状シート50及び/又は帯状シート60は、一対のニップローラー171,172の間に供給される前に、その内面側に接着剤が塗布されている。接着剤はストライプ状、スパイラル状、サイン波形状等に塗布されていてもよいし、全面にスプレーしたりベタ状に塗布されていてもよい。
【0041】
次いで、ニップローラー171,172を用いて一対の帯状シート50,60の間に糸状弾性体7を伸長状態で固定する(一体化工程)。詳述すると、連続的に巻きかけられた糸状弾性体7が一対の帯状シート50,60の間に配された連続体を、一対のニップローラー171,172間に供給し、一対の帯状シート50,60の間に糸状弾性体7を伸長状態で固定する。
【0042】
次いで、一対の帯状シート50,60の幅方向(x方向)両端部それぞれから延出している糸状弾性体7を前述したカッター180で切断する(切断工程)。
【0043】
次いで、外面側に折られた帯状シート50,60それぞれのx方向の両端部を、セーラー(不図示)等により、折りを直し、一対の帯状シート50,60の間に糸状弾性体7をy方向と交差する方向に伸長した状態に固定した帯状の伸縮性シートを連続的に製造することができる。この製造された帯状の伸縮性シートを、公知の切断手段(図示せず)により、間欠的にx方向に亘って切断する。間欠的に切断する間隔は、おむつ1の備えるウエストパネル3の寸法と同じである。これにより、ウエストパネル3(伸縮性シート)を連続的に製造することができる。
【0044】
ウエストパネル3を備えるおむつ1の製造方法としては、公知の方法により、吸収性本体2の連続体を別工程で製造する。吸収性本体2の連続体は、表面シート21の連続体、裏面シート22の連続体、及び両シート21,22の連続体間に、搬送方向(y方向)に間欠的に複数個の吸収体23,23・・・を配し、表面シート21の連続体の搬送方向(y方向)の両側部に伸長した複数本の弾性部材25及び立体ガード形成用シート24の連続体を配されている。
この製造された吸収性本体2の連続体を、搬送方向(y方向)に搬送しながら、x方向両外方に突出するように一対のウエストパネル3を、吸収性本体2の連続体に含まれる吸収体33毎に配したおむつ1の連続体を製造する。ここで、吸収性本体2の連続体の搬送方向(y方向)と、ウエストパネル3(伸縮性シート)を製造する際の搬送方向(y方向)は、同方向であり、ウエストパネル3(伸縮性シート)を90°反転する必要はない。その後、その連続体を、公知の切断手段(図示せず)により、個々のおむつ1の寸法に切断して、おむつ1を製造することができる。
【0045】
本発明の伸縮性シートの製造方法は、上述の実施態様に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0046】
例えば、図1では、一対のウエストパネル3,3を矩形状としたが、台形や平行四辺形としてもよい。伸縮性シートより、一対のウエストパネル3,3を切断して形成する際に、できるだけ廃棄する部分がない形状とすることが好ましい。また、糸状弾性体7は、その傾きをy方向と直交する方向(x方向)に修正したが、搬送ベルト12に巻きつけた角度のまま修正せずに一対の帯状シート50,60に固定してもよい。
【0047】
また、弾性体巻回手段としては、回転軸部分に糸状弾性体の導入部を有する円盤と該円盤からy方向の下流側に突出するアームとを有し、該アームが、搬送ベルト12,13の周囲を周回して、糸状弾性体を搬送ベルト12,13の周囲に巻回させるもの等を用いることもできる。また、フィードローラー156としては、図2に示すように、材料(糸状弾性体)を巻き掛けて該材料を送るものに代えて、ニップロールで材料を挟んで該材料を送るもの等を用いることもできる。
また、一対のニップロール170,171間に、幅方向両端部をそれぞれの外面側に折り返して細幅にした帯状シートを導入し、その帯状シート間に糸状弾性体を固定するのに代えて、一対のニップロール170,171間に、幅方向両端部が折り返していない帯状シートを導入し、その帯状シート間に糸状弾性体を固定しても良い。
【0048】
また、搬送ベルトとしては、一対の搬送ベルトではなく、WO2005/060910に開示のようなコンベアベルトを用いてもよい。この場合、用いられるコンベアベルトは1本でよい。また、糸搬送用長手構造体として、特開2002−192641号公報の図4〜6に記載されているスクリュー溝が設けられた糸支持部材を用いてもよい。
【0049】
本発明の製造方法により製造される伸縮性シートは、使い捨ておむつ1のウエストパネル3以外に、展開型又はパンツ型の使い捨ておむつの胴周り部、パンツ型使い捨ておむつの胴回り部、パンツ型の生理用ナプキン、使い捨ての下着、使い捨てマスクの耳掛け部、掃除用シート、包帯などにも使用することができる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。しかし、本発明は、下記により何ら制限されるものではない。
【0051】
〔実施例1〕
図2に示す伸縮性シートの製造装置を用いて、帯状シート50,60の間に糸状弾性体7が固定された伸縮性シートを製造した。その伸縮性シートの製造に際しては、ボビン70から引き出した糸状弾性体7のテンションを、繰り出しローラー152を含むテンション調整手段15Aにより、一定のテンション(テンション測定器153で計測される糸ゴムテンションを伸縮性シートの所望の伸縮応力になるように、0〜100gf範囲内で設定する。実施例1では85gfとした。)になるように制御し、また、フィードローラー156を主要な要素とする速度調整手段15Bにより、その糸状弾性体7の速度を、搬送ベルトに対する巻回速度の115%の速度となるように調整して、回転アーム14に導入した。回転アーム14により糸状弾性体を巻回する際の、巻回長さL1は1362m、巻回時間Tは60秒、巻回速度(L1/T)は22.7m/sec(1362m/min)であった。また、伸縮性シートの搬送速度(伸縮性シートのローラー171,172間からの引き出し速度であり、ローラー171,172の周速と同じである。)は、16.8m/minであった。
得られた伸縮性シートにおける糸状弾性体の伸長倍率を、測定したところ、1.9倍であった。
【0052】
次いで、伸縮性シートの搬送速度を、順に、33.6m/min、50.4m/min、及び67.2m/minに変更して伸縮性シートを製造した。テンション調整手段15Aよるテンションの制御及び速度調整手段15Bによる導入速度の制御は、上記の場合と同様に、テンション測定器153で計測される糸ゴムテンションを伸縮性シートの所望の伸縮応力になるように、0〜100gf範囲内で設定する。本実施例では85gfとなるように行った。得られた伸縮性シートにおける糸状弾性体の伸長倍率は、いずれの結果も1.9倍となった。
【0053】
〔実施例2〕
速度調整手段15Bにより調整する糸状弾性体7の速度を、搬送ベルトに対する巻回速度の100%の速度とした以外は、実施例1と同様にして伸縮性シートを製造した。得られた伸縮性シートにおける糸状弾性体の伸長倍率は、順に、2.0倍、2.0倍、2.1倍であった。
【0054】
〔比較例1〕
実施例1で使用した装置から、速度調整手段15Bを取り除き、該速度調整手段15Bによる速度制御を行わない以外は、実施例1と同様にして伸縮性シートを製造した。
次いで、ローラー171,172の周速を、順に、33.6m/min、50.4m/min、及び67.2m/minに変更して伸縮性シートを製造した。テンション調整手段15Aよるテンションの制御は、上記の場合と同様に、テンション測定器153で計測される糸ゴムテンションを伸縮性シートの所望の伸縮応力になるように、0〜100gf範囲内で設定する。比較例1も85gfとなるように行った。得られた伸縮性シートにおける糸状弾性体の伸長倍率は、順に、2.2倍、2.4倍、3.0倍であった。
【0055】
〔評価〕
実施例1及び実施例2、比較例1の結果を対比すると、比較例1おいては、伸長倍率が、シート搬送速度33.6m/minのときに1.9倍のものが、シート搬送速度が上がるにつれて増加する傾向が顕著に見られ、シート搬送速度67.2m/minのときには3.0倍となったのに対して、実施例2においては、伸長倍率の増加傾向が大きく低減されるが、シート搬送速度33.6m/minのときに1.8倍だったものが、67.2m/minのときには2.1倍の結果であった。それに対して、実施例1おいては、シート搬送速度が上がっても伸長倍率が、1.9倍で一定であり、本発明によれば、生産速度が速くなっても伸縮特性の安定した伸縮性シートを効率的に製造することができることが判る。
【符号の説明】
【0056】
1 展開型の使い捨ておむつ
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
24 立体ガード形成用シート
25 弾性部材
3 ウエストパネル
3A ウエストパネルに使用される伸縮性シート
4 パネル材
5,6 シート
50,60 帯状のシート
7 糸状弾性体
70 ボビン
8 ファスニングテープ
11 製造装置
12 搬送ベルト(糸搬送用長手構造体の一部)
12a 上段搬送ベルト
121,122 プーリー
12b 下段搬送ベルト
124,125 プーリー
13 搬送ベルト(糸搬送用長手構造体の一部)
13a 上段搬送ベルト
131,132 プーリー
13b 下段搬送ベルト
134,135 プーリー
14 回転アーム(弾性体巻回手段)
15 供給手段
15A テンション調整手段
151 テンサー
152 繰り出しローラー
153 テンション測定器
15B 速度調整手段
156 フィードローラー
17 一体化手段
171,172 ニップローラー
18 切断手段
180 カッター
A 腹側部,B 背側部,C 股下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の帯状シートの間に糸状弾性体を該帯状シートの搬送方向と交差する方向に伸長した状態に固定した伸縮性シートを連続的に製造する伸縮性シートの製造方法であって、
前記糸状弾性体を連続して繰り出し、繰り出された該糸状弾性体を弾性体巻回手段に導入する供給工程と、該弾性体巻回手段を用いて前記糸状弾性体を、糸搬送用長手構造体に連続的に巻回し、巻回した該糸状弾性体を、該糸搬送用長手構造体の長手方向に搬送する搬送工程と、搬送した該糸状弾性体をシート間に挟んで固定する一体化工程とを備え、前記供給工程においては、前記弾性体巻回手段の上流側に配した速度調整手段により、前記糸状弾性体を、前記糸搬送用長手構造体に対する巻回速度と同等又はそれ以上の速度に調整して、該弾性体巻回手段に導入する伸縮性シートの製造方法。
【請求項2】
前記供給工程においては、前記速度調整手段より上流側に配したテンション調整手段により張力を一定のテンションに調整し、その糸状弾性体の速度を、前記速度調整手段により速度調整して前記弾性体巻回手段に導入する、請求項1記載の伸縮性シートの製造方法。
【請求項3】
前記糸搬送用長手構造体が、該糸搬送用長手構造体の長手方向と直交する方向に離間した一対の搬送ベルトである、請求項1又は2記載の伸縮性シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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