説明

伸縮性不織布

【課題】従来の伸縮性不織布と比較して高モジュラスで、伸縮のヒステリシスが良好な伸縮性不織布を提供すること。
【解決手段】伸縮性不織布は、10〜50重量%の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと、下記式(1)で表される繰り返し単位を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を含む弾性繊維、及び該弾性繊維と異なる他の弾性繊維又は非弾性繊維を含む弾性繊維層を含む。前記ブロック共重合体は、20℃、周波数2Hzで測定された動的粘弾性の貯蔵弾性率G’が1×104〜8×106Paであり、且つ同温度及び同周波数で測定された動的粘弾性の動的損失正接tanδ値が0.2以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伸縮性不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
エラストマー樹脂からなる弾性繊維を含む伸縮性不織布が種々知られている。例えば特許文献1には、少なくとも約10重量%のA−B−Aブロック共重合体及びポリオレフィンを含む押出成形可能なエラストメリック組成物からなるミクロファイバを含むエラストメトリック不織布が記載されている。しかし、このミクロファイバは、その構成樹脂としてポリオレフィンを含んでいるので、それに起因して伸縮特性が十分なものとはならない。
【0003】
特許文献2には、エラストマーメルトブローン繊維層及びエラストマーフィラメント層を有する異方性弾性繊維ウエブと、該ウエブに結合したギャザー可能な層とを有する複合弾性材料が記載されている。エラストマーフィラメントを構成する材料は、40〜80重量%のエラストマーポリマーと、5〜40重量%の樹脂粘着剤である。このように、エラストマーフィラメントは、エラストマー樹脂以外の樹脂を含んでいるので、それに起因して伸縮特性が十分なものとはならない。
【0004】
特許文献3には、スチレン含有量が10〜40重量%であり、数平均分子量が70000〜150000のスチレン系エラストマーを60〜98重量%含む繊維又はフィルムからなる弾性シートを有する伸縮性複合シートが記載されている。この繊維又はフィルムには、スチレン系エラストマーに加えて、エラストマー以外の材料、例えばオレフィン系レジンやオイル成分が含まれている。これらの材料が含まれていることに起因して、この伸縮性複合シートは、その伸縮特性が十分なものとはならない。
【0005】
特許文献4には、スチレンを主体とする重合体ブロックAと、イソプレンを主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体の、イソプレンに基づく二重結合に水素を添加することによって得られるスチレン系エラストマーの繊維からなる伸縮性不織布が記載されている。しかし、この不織布は低いモジュラスであり、また伸縮のヒステリシスが十分なものとは言えない。
【0006】
【特許文献1】特開昭62−84143号公報
【特許文献2】特開平5−272043号公報
【特許文献3】特開2002−361766号公報
【特許文献4】特開平4−11059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る伸縮性不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、10〜50重量%の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと、下記式(1)で表される繰り返し単位を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を含有する弾性繊維、及び該弾性繊維と異なる他の弾性繊維又は非弾性繊維を含み、
前記ブロック共重合体は、20℃、周波数2Hzで測定された動的粘弾性の貯蔵弾性率G’が1×104〜8×106Paであり、且つ同温度及び同周波数で測定された動的粘弾性の動的損失正接tanδ値が0.2以下である伸縮性不織布を提供するものである。
【0009】
【化3】

【発明の効果】
【0010】
本発明の伸縮性不織布は、従来の伸縮性不織布と比較して高モジュラスで、伸縮のヒステリシスが良好である。従って本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維の使用量を少なくしても良好な伸縮特性が発現するので、薄手で通気性や肌触りが良好であり、延びやすく、適度な収縮力を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の伸縮性不織布は、弾性を有する繊維の集合体である。尤も、伸縮弾性を損なわない限りにおいて、非弾性繊維が少量含まれていてもよい。即ち本発明の伸縮性不織布は、弾性繊維のみからなるか、又は弾性繊維及び非弾性繊維を含んで構成されている。本発明の伸縮性不織布は例えば、弾性繊維のみからなる単層の不織布であるか、又は弾性繊維及び非弾性繊維を含む単層の不織布である。そして本発明においては弾性繊維の構成樹脂として特定のブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマーを用いている。このブロック共重合体は、以下に述べる構造及び動的粘弾性特性を有していることによって特徴付けられる。
【0012】
本発明で用いられるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAを含んでいる。芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらの芳香族化合物のうち、工業的観点からスチレンを用いることが好ましい。
【0013】
重合体ブロックAは、ブロック共重合体中に10〜50重量%含まれ、好ましくは15〜30重量%含まれる。ブロック共重合体における重合体ブロックの量が10重量%未満の場合、ブロック共重合体の成形性や耐熱性が満足すべきものとはならない。50重量%超の場合、ブロック共重合体の伸縮特性や柔軟性が低下してしまう。
【0014】
重合体ブロックAに加えて、ブロック共重合体は、前記の式(1)で表される繰り返し単位を主体とする重合体ブロックBを含んでいる。ブロック共重合体中における重合体ブロックBの量は、ブロック共重合体中における重合体ブロックAの量の残部である。即ち、ブロック共重合体中における重合体ブロックBの量は、50〜90重量%、好ましくは70〜85重量%である。
【0015】
重合体ブロックBは、式(1)で表される繰り返し単位に加えて、以下の式(2)で表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。式(2)で表される繰り返し単位は、重合体ブロックB中に20モル%以下、特に10モル%以下の量で含まれ得る。勿論、重合体ブロックBは、式(2)で表される繰り返し単位を含んでいなくてもよい。
【0016】
【化4】

【0017】
ブロック共重合体における重合体ブロックAと重合体ブロックBとの配列様式としては種々のものがある。好ましくは線状の配列様式、特に基本型がA−B−A型であるトリブロックであることが、ブロック共重合体の伸縮特性が良好になる点から好ましい。
【0018】
ブロック共重合体は、上述の構造を有するものであることに加えて、以下に述べる動的粘弾性特性を有している。これによって、このブロック共重合体から構成される弾性繊維を含む本発明の伸縮性不織布は、従来の伸縮性不織布と比較して高モジュラスで、伸縮のヒステリシスが良好なものとなる。高モジュラスであることは、通気性や肌触りを高める目的で伸縮性不織布の坪量を低くして、該不織布を薄手のものにした場合や、弾性繊維の繊維径を小さくした場合であっても、良好な伸縮特性が発揮されることになるので有利である。つまり、伸縮性不織布が伸ばしやすくなり、且つ伸ばされた状態から収縮するときの強度が高くなる。従って、このブロック共重合体から構成される弾性繊維を含む本発明の伸縮性不織布は、例えばパンツ型使い捨ておむつにおける外装面全面を構成するシートとして特に好適なものである。
【0019】
また、ブロック共重合体から構成される弾性繊維は、他の一般的なエラストマー繊維に比べ、べたつき性ないしタック性が小さいという利点も有する。これによっても、ブロック共重合体から構成される弾性繊維を含む本発明の伸縮性不織布は、肌触りが良好なものとなる。
【0020】
ブロック共重合体は、20℃、周波数2Hzで測定された動的粘弾性の貯蔵弾性率G’が1×104〜8×106Pa、好ましくは5×104〜5×106Pa、更に好ましくは1×105〜1×106Paになっている。これに加えてブロック共重合体は、20℃、周波数2Hzで測定された動的粘弾性の動的損失正接tanδ値が0.2以下、好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.05以下になっている。tanδ値の下限に特に制限はなく、小さければ小さいほど好ましいが、現在の工業的技術で達成可能な下限値は0.005程度である。
【0021】
前記の貯蔵弾性率G’は、ブロック共重合体の動的粘弾性測定における弾性成分を表す指標、すなわち硬さを表す指標である。一方動的損失正接tanδ値は、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比G”/G’で表され、ブロック共重合体が変形する際にどのくらいエネルギーを吸収するかを表す指標である。ブロック共重合体の貯蔵弾性率G’の値が下限値未満であると、モジュラスが低いため、伸縮のヒステリシスが十分なものにならない。G’の値が上限値を超えると、モジュラスが高いため伸長時に大きな力を必要とし、硬い感触のものとなる。また、降伏が生じるので残留歪みが大きくなる。一方、ブロック共重合体の動的損失正接tanδ値が前記の上限値を超えると、変形したときの残留歪みが大きくなり、伸縮特性が十分なものとならない。
【0022】
ブロック共重合体の動的粘弾性測定は、上述の通り、20℃、周波数2Hz、引張モードで行われる。与える歪みは0.1%である。本実施形態における具体的な測定は、Anton Paar社製のPhysica MCR500を用いて行った。なお試料は、長さ30mm、幅10mm、厚さ0.8mmの板状のものとした。
【0023】
ブロック共重合体は例えば次の工程で合成できる。先ず、シクロヘキサン等の炭化水素溶媒に、芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物を適宜の順序で添加し、有機リチウム化合物や金属ナトリウム等を開始剤としてアニオン重合を行い共役ジエンに基づく二重結合を有する共重合体を得る。共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン等が用いられる。特にイソプレンを用いることが好ましい。
【0024】
次に、この共重合体の共役ジエンに基づく二重結合に水素を添加して、目的とするブロック共重合体を得る。共役ジエンに基づく二重結合の水素添加率は、その80%以上、特に90%以上が耐熱性・耐候性の点から好ましい。水素添加反応は、白金、パラジウム等の貴金属系触媒や、有機ニッケル化合物、有機コバルト化合物又はこれらの化合物と他の有機金属化合物との複合触媒を用いて行うことができる。水素添加率は、ヨウ素価測定法によって算出される。
【0025】
ブロック共重合体として市販品を用いることもできる。そのような市販品としては例えば株式会社クラレから入手可能なスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体であるSEPTON(登録商標)2004やSEPTON(登録商標)2002が挙げられる。
【0026】
本発明の伸縮性不織布に含まれる弾性繊維は、樹脂成分が、前記のブロック共重合体のみから構成されていてもよく、或いは前記のブロック共重合体及び他の樹脂を含んで構成されていてもよい。弾性繊維が前記のブロック共重合体及び他の樹脂を含む場合、弾性繊維におけるブロック共重合体の含有量は20〜80重量%、特に40〜60重量%であることが好ましい。
【0027】
弾性繊維が前記のブロック共重合体及び他の樹脂を含有する場合、当該他の樹脂としては、例えば、ゴム、またはポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなどを原料とする樹脂を用いることができる。これらは2種以上を組み合わせて用いることもできる。或いは、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンとエチレン等の共重合体などからなるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどからなるポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂等の溶融紡糸可能な非弾性の樹脂を用いることができる。
【0028】
弾性繊維の繊維形態としては、(イ)前記のブロック共重合体単独、又は該ブロック共重合体と、他の樹脂とのブレンドからなる単独繊維、(ロ)前記のブロック共重合体と他の樹脂とを構成樹脂とする芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維などが挙げられる。特に、前記のブロック共重合体単独からなる単独繊維を用いることが好ましい。
【0029】
弾性繊維は、連続繊維及び短繊維の何れの形態であってもよい。好ましくは連続繊維の形態である。弾性繊維が連続繊維であると、ノズルリップからの熱風によって連続して伸長されるので、繊維径が細くなるばかりでなく、繊維径のバラツキが少なくなるという利点があるからである。また、冷風にて延伸する場合も同様の傾向となる。これによって、不織布を透かして見たときの地合いが良好となり、また、不織布の伸縮特性のバラツキが小さくなる。繊維径の細いものが得られるということは、熱風及び冷風の容量を小さくでき、製造コストの点でもメリットがある。
【0030】
弾性繊維はその繊維径が、5〜400μm、特に10〜100μmであることが、伸縮性不織布の通気性の確保及び伸縮特性の向上の点から好ましい。
【0031】
本発明の伸縮性不織布には、前記の弾性繊維に加えて、他の弾性繊維が含まれていてもよい。他の弾性繊維としては、例えばポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーを含む繊維が挙げられる。伸縮性不織布が他の弾性繊維を含む場合、当該他の弾性繊維の割合は、伸縮性不織布に対して5〜80重量%、特に5〜50重量%であることが好ましい。
【0032】
本発明の伸縮性不織布が非弾性繊維を含んでもよいことは先に述べた通りであるが、該非弾性繊維としては例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維が挙げられる。非弾性繊維は、弾性繊維の形態に応じ、短繊維でもよく或いは長繊維でも良い。また非弾性繊維は親水性でも撥水性でも良い。非弾性繊維として、芯鞘型又はサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。非弾性繊維が芯鞘型の複合繊維の場合、芯がPET、PP、鞘が低融点PET、PP、PEが好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、前記のブロック共重合体を含む弾性繊維との熱融着が強くなるので好ましい。
【0033】
特に好ましい非弾性繊維は、ポリオレフィン系樹脂を含んで構成される繊維である。そのような繊維としては、例えば、(イ)ポリオレフィン系樹脂単独又は複数種類のポリオレフィン系樹脂のブレンド物からなる単繊維や、(ロ)ポリオレフィン系樹脂が鞘部を構成している芯鞘型複合繊維、(ハ)サイド・バイ・サイド型複合繊維において、少なくとも一の構成樹脂がポリオレフィン系樹脂であるもの、(ニ)分割要素の少なくとも一種がポリオレフィン系樹脂である分割繊維などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0034】
非弾性繊維の割合は、伸縮性不織布に対して20〜80重量%、特に30〜70重量%であることが好ましい。
【0035】
本発明の伸縮性不織布は、弾性を有する繊維を含む集合体である。弾性を有する繊維の成形方法として、溶融した樹脂をノズル孔より押し出し、押し出された樹脂を所定倍率で延伸した後に、所定の長さ、例えば数mmないし数十mmに切断する方法がある。この方法で製造される繊維は短繊維(ステープルファイバ)である。得られた短繊維は、例えばカード機によってカーディングされた後、エアスルー方式の熱風の吹き付けやヒートエンボスによる融着、接着剤による接着、ウオータージェットによる交絡等の方法によって不織布化される。即ち本発明の伸縮性繊維は、例えばエアスルー不織布、ヒートボンド不織布、ケミカルボンド不織布、スパンレース不織布等であり得る。
【0036】
弾性を有する繊維の成形方法の別法として、例えば溶融した樹脂をノズル孔より押し出し、この押し出された溶融状態の樹脂を熱風により伸長させることによって繊維を細くするメルトブローン方法と半溶融状態の樹脂を冷風や機械的ドロー比によって延伸するスパンボンド法がある。また、溶融紡糸法の一種であるスピニングブローン法がある。これらの方法で製造される繊維は連続繊維(フィラメント)である。即ち本発明の伸縮性繊維は、例えばスピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成された不織布であり得る。特に好ましくは、スピニングブローン法又はメルトブローン法で得られた不織布である。図1には、本発明の伸縮性不織布を製造するために用いられる装置に備えられているスピニングブローン法の紡糸ダイ21が示されている。
【0037】
本発明の伸縮性不織布が上述した如何なる形態の不織布であっても、該不織布の構成繊維は繊維形態を保っていることが好ましい。これによって、本発明の伸縮性不織布を柔軟なものとすることができ、また通気性を高くすることができる。
【0038】
スピニングブローン法においては、溶融ポリマーの吐出ノズルの先端近辺に、一対の熱風吐出部を、前記ノズルを中心に対向配置し、その下流に一対の冷風吐出部を、前記ノズルを中心に対向配置した紡糸ダイを用いる。スピニングブローン法によれば、溶融繊維の熱風による伸長と、冷風による冷延伸とが連続的に行われるので、伸縮性繊維の成形を容易に行えるという利点がある。また、繊維が緻密になりすぎず、短繊維に類した太さの伸縮性繊維を成形できるので、通気性の高い不織布が得られるという利点もある。更にスピニングブローン法によれば、連続フィラメントのウエブを得ることができる。連続フィラメントのウエブは、短繊維のウエブに比較して高伸張時の破断が起こりにくく、弾性を発現させやすいことから、本発明において極めて有利である。
【0039】
スピニングブローン法に用いられる紡糸ダイとしては、例えば特公昭43−30017号公報の図1に記載されているもの、特開昭62−90361公報の図2に記載されているもの、特開平3−174008号公報の図2に記載されているものを用いることができる。更に、特開平3−174008号公報の図2に示されるものや、特許第3335949号公報の図1ないし図3に示されるものを用いることができる。
【0040】
繊維成形されたウエブは、繊維形態を保ったまま熱融着される。熱融着方法としては、エアスルー方式の熱風吹き付けや熱エンボスによる接着等により不織布化される。図1には、本発明の伸縮性不織布を製造するために用いられる装置に備えられているエアスルー方式に熱風炉24が示されている。熱風炉24内では、所定温度に加熱された加熱ガス、特に加熱空気が吹き出すようになっている。ウエブが熱風炉内に導入されると、該ウエブの上方から下方に向けて、若しくはその逆方向に、又は両方向に加熱ガスが強制的に貫通する。
【0041】
エアスルーの条件としては、熱風風量0.4〜3m/秒、温度80〜160℃、搬送速度5〜200m/分、熱処理時間0.5〜10秒であることが好ましい。特に、エアスルー法として一般的に行われる熱風風量よりも高いことが好ましく、特に好ましくは熱風風量1〜2m/秒である。エアスルー熱処理に用いるネットに通気度の高いものを用いると、エアの通りによって繊維が一層入り込みやすくなる。熱風処理に用いるネット、及び弾性繊維の直接紡糸に用いるネットは、それらの通気度が250〜800cm3/(cm2・s)、特に400〜750cm3/(cm2・s)であることが好ましい。上記条件は繊維を軟化させて均一に入り込ませる点と繊維を融着させる点においても好ましい。更に、繊維を交絡させるためには、熱風風量を3〜5m/秒とし、吹きつけ圧を0.1〜0.3kPaとすることで可能となる。弾性繊維ウエブ1’の通気度が8m/(kPa・s)以上、更に好ましくは24m/(kPa・s)以上であると、熱風の通りがよくなるので好ましい。また、繊維の融着が良好で最大強度が高くなる。更に毛羽立ちも防止される。
【0042】
熱エンボスとしては、例えば線圧は、加工対象である繊維シート10Bの厚みにもよるが、一般に50〜600N/cm、特に100〜400N/cmであることが好ましい。またエンボスロールの加熱温度は、繊維の構成樹脂の種類や繊維シート10Bの搬送速度にもよるが、一般に50〜160℃、特に80〜130℃であることが好ましい。
【0043】
エアスルー方式の熱風処理によって、ウエブが一体化された繊維シート10Bが得られる。繊維シート10Bは、一定幅を有して一方向に延びる長尺帯状のものである。繊維シート10Bは、次いで弱接合装置25に搬送される。弱接合装置25は、周面にエンボス用凸部が規則的に配置された金属製のエンボスロール26及びそれに対向配置された金属製又は樹脂製の受けロール27を備えたエンボス装置からなる。弱接合装置25によって繊維シート10Bには熱エンボス加工が施される。これによって、エンボス加工が施された繊維シート10Aが得られる。なお弱接合装置25による熱エンボス加工に先立って行われる熱融着によって、ウエブの構成繊維は互いに融着して一体化しているので、弱接合装置25による熱エンボス加工は、本発明において必須のものではない。構成繊維の融着を確実にしたい場合は、弱接合装置25による熱エンボス加工は有効である。また、弱接合装置25によれば、構成繊維の融着に加えて、繊維シート10Aの毛羽立ちが抑えられるという利点がある。
【0044】
熱エンボス加工によって得られた繊維シート10Aは、図2に示すように、個々独立した散点状の接合部4を多数有する。接合部4は規則的な配置パターンで形成されている。接合部4は、例えば、繊維シート10Aの流れ方向(MD)及びその直交方向(CD)の両方向に不連続に形成されていることが好ましい。
【0045】
弱接合装置25において熱エンボス加工が施された繊維シート10Aは、引き続き延伸装置30へ送られる。延伸装置30は、一方又は双方の凹凸ロール33,34の枢支部を公知の昇降機構により上下に変位させ、両者の間隔が調節可能に構成されている。図1並びに図3(b)及び(d)に示されるように、各凹凸ロール33,34は、一方の凹凸ロール33の大径部31が、他方の凹凸ロール34の大径部32間に遊挿され、他方の凹凸ロール34の大径部32が一方の凹凸ロール33の大径部31間に遊挿されるように組み合わされる。この状態の両ロール33,34間に、繊維シート10Aを噛み込ませて、繊維シート10Aを延伸させる。
【0046】
この延伸工程においては、図2及び図3に示すように、繊維シート10Aの幅方向における、接合部4の位置と、凹凸ロール33,34の大径部31,32の位置とを一致させることが好ましい。具体的には、図2に示すように、繊維シート10Aには、MDに沿って接合部4が一直線状に複数個並んで形成されている接合部列が、複数列形成されており(図2では10列図示)、図2において、最も左側に位置する接合部列R1を始めとして、そこから一つ置きの接合部列R1のそれぞれに含まれる接合部4については、一方の凹凸ロール33の大径部31の位置が一致し、左から2つ目の接合部列R2を始めとして、そこから一つ置きの接合部列R2のそれぞれに含まれる接合部については、他方の凹凸ロール34の大径部32の位置が一致するようにしてある。図2中、符号31,32で示す範囲は、繊維シート10Aが、両凹凸ロール33,34間に噛み込まれている状態の一時点において、各ロールの大径部31,32の周面と重なる範囲を示したものである。
【0047】
繊維シート10Aが、凹凸ロール33,34間に噛み込まれた状態で両ロール33,34間を通過する際には、図3(b)及び(d)に示すように、接合部4と、何れかの凹凸ロールの大径部31,32とが重なる一方、大径部31,32と重ならない大径部同士間の領域、即ち上述した接合部列R間の領域が幅方向へ積極的に引き伸ばされる。従って、接合部4の破壊が生じるのを防止しつつ、繊維シート10Aの接合部以外の部分を効率的に延伸させることができる。その結果、本製造方法によれば、高伸縮性であり、また、破れや毛羽立ちの少ない外観の良好な伸縮性不織布を効率的に製造することができる。
【0048】
前記の延伸加工によって、繊維シート10Aの厚みは、延伸加工前後で1.1倍〜4倍、特に1.3倍〜3倍に増すことが好ましい。これによって、非弾性繊維層2,3の繊維が塑性変形して伸びることで繊維が細くなる。
【0049】
延伸加工される前の繊維シート10Aの厚みが薄いと、繊維シート10Aのロール原反を運搬及び保管するスペースを小さくできるメリットがある。
【0050】
更に、前記の延伸加工によって、繊維シート10Aの曲げ剛性は、延伸加工前に比較して30〜80%、特に40〜70%に変化することが好ましい。これによって、ドレープ性が良く柔らかな不織布が得られる。また、延伸加工される前の繊維シート10Aの曲げ剛性が高いことで、搬送ラインで繊維シート10Aに皺が入りにくくなるので好ましい。その上、延伸加工時にも繊維シート10Aに皺が入らず加工しやすいものとなるので好ましい。
【0051】
延伸加工前後での繊維シート10Aの厚みや曲げ剛性は、非弾性繊維の伸度、エンボスロールのエンボスパターン、凹凸ロール33,34のピッチや先端部の厚み、かみ合わせ量によって制御することができる。
【0052】
厚みは、伸縮性不織布を20±2℃、65±2%RHの環境下に無荷重にて、2日以上放置した後、下記方法にて求めた。伸縮性不織布を0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟み、その状態下にマイクロスコープにて断面を25倍から200倍の倍率で観察し、各層の平均厚みを求めた。また平板間の距離から全体の厚みを求めた。繊維の入り込みについては相互の入り込みの中間点を厚みとした。
【0053】
凹凸ロール33,34の大径部31,32の周面は、繊維シート10Aに損傷を与えないようにするために、先鋭でないことが好ましい。例えば図3(b)及び(d)に示すように、所定幅の平坦面となっていることが好ましい。大径部31,32の先端面の幅W〔図3(b)参照〕は、0.3〜1mmであることが好ましく、接合部4のCD方向の寸法の0.7〜2倍、特に0.9〜1.3倍であることが好ましい。これにより、非弾性繊維の繊維形態が破壊されにくくなり、高強度の伸縮性不織布が得られる。
【0054】
大径部間のピッチP〔図3(b)参照〕は、0.7〜2.5mmであることが好ましい。このピッチPは、接合部4のCD方向の寸法の1.2〜5倍、特に2〜3倍であることが好ましい。これによって布様の外観を呈し、肌触りの良い伸縮性不織布が得られる。また、接合部4のCD方向のピッチ(CD方向に隣合う接合部列R1同士の間隔、またはCD方向に隣合う接合部列R2同士の間隔)は、大径部間のピッチPに対し、位置関係を一致させるため基本的には2倍であるが、繊維シート10AのCD方向の伸びやネックインのため1.6倍〜2.4倍の範囲内であれば位置を一致させることが可能である。
【0055】
延伸装置30から送り出された繊維シート10Aは、その幅方向への延伸状態が解放される。即ち伸長が緩和される。その結果、繊維シート10Aに伸縮性が発現し、該シート10Aはその幅方向へ収縮する。これによって目的とする伸縮性不織布10が得られる。なお、延伸状態を解放する場合、延伸状態が完全に解放されるようにしてもよく、或いは伸縮性が発現する限度において、延伸状態が或る程度維持された状態で延伸状態を解放してもよい。
【0056】
本発明の伸縮性不織布は、その厚みが0.05〜10mm、特に0.1〜5mmであることが好ましい。またその坪量が10〜300g/m2、特に20〜160g/m2であることが好ましい。厚み及び坪量がこれらの範囲内であることによって、本発明の伸縮性不織布は、適度な通気性や柔軟性をもち、肌触りがよいものとなる。厚みの測定は伸縮性不織布を20±2℃、65±2%RHの環境下に無荷重にて、2日以上放置した後、下記方法にて求めた。伸縮性不織布を0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟み、その状態下に、伸縮性不織布断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。
【0057】
本発明の伸縮性不織布は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものである。本発明の伸縮性不織布は、その面内方向の少なくとも一方向に伸縮性を有する。面内のすべての方向に伸縮性を有していてもよい。その場合には、方向によって伸縮性の程度が異なることは妨げられない。本発明の伸縮性不織布は、従来の伸縮性不織布と比較して高モジュラスで、伸縮のヒステリシスが良好なものである。最も伸縮する方向に関し、本発明の伸縮性不織布の伸縮性の程度は、100%伸長時の荷重が20〜500cN/25mm、特に40〜150cN/25mmであることが好ましい。この値は、少なくとも、MD方向及びCD方向の何れか一方において満足することが好ましく、両方向において満足することがより好ましい。また本発明の伸縮性不織布は、100%伸長状態から収縮させたときの残留歪みが好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下、一層好ましくは7%以下という小さな値になる。即ち伸縮のヒステリシスが良好なものである。
【0058】
本発明の伸縮性不織布は、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性の点から、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることができる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。例えば、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等として用いることができる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮性不織布の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜160g/m2程度、厚み0.1〜5mm程度とすることが望ましい。また、本発明の伸縮性不織布は、その構成繊維が繊維形態を保っていることに起因して柔軟であり、また通気性が高くなっている。柔軟性の尺度である曲げ剛性に関し、本発明の伸縮性不織布は、曲げ剛性値が10cN/30mm以下と低いものとなっていることが好ましい。通気性に関しては、通気度が16m/(kPa・s)以上となっていることが好ましい。また、伸縮方向の最大伸度は100%以上であることが望ましい。
【0059】
曲げ剛性は、JIS L−1096に準拠して測定され、ハンドルオメーターによる押し込み量8mm、スリット幅10mmの条件において、それぞれ流れ方向とそれに対して直角方向に曲げた際の平均値として得られる。通気度は、カトーテック製AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES-F8-AP1により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「%」及び「部」はそれぞれ「重量%」及び「重量部」を表す。
【0061】
〔実施例1〕
図1に示す装置を用いて伸縮性不織布を製造した。先ず弾性繊維ウエブを次の方法で形成した。ブロック共重合体として、株式会社クラレ製のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体であるSEPTON(登録商標)2004を用いた。このブロック共重合体は、重合ブロックAとしてスチレンを18重量%、重合ブロックBとしてエチレン−プロピレンを82重量%含むものである。このブロック共重合体について動的粘弾性測定を行ったところ、20℃、2Hzにおける貯蔵弾性率は1.9×105Paであり、動的損失正接tanδ値は0.02であった。また、これと異なる他の非弾性繊維の樹脂として、MFR60/10minのポリプロピレン樹脂(ホモ)を用いた。これらの樹脂を用いて2種の樹脂の混合繊維からなる弾性繊維ウエブを形成した。ウエブの形成には2台の押出機を用い、各樹脂をダイス温度290℃にてそれぞれの押出機で溶融させ紡糸ノズルから押し出し、スピニングブローン法によってネット上に繊維を堆積させた。紡糸ノズルはそれぞれの樹脂を交互に押し出す形状のものであった。SEPSとポリプロピレンの重量比率は50/50とした。弾性繊維の繊維径は25μmであった。非弾性繊維の繊維径は18μmであった。ウエブの坪量は15g/m2であった。
【0062】
このウエブを熱処理機に導入し、エアスルー方式で熱風を吹き付け、熱処理を行った。熱処理の条件は、ネット上温度140℃、熱風風量2m/秒、吹きつけ圧0.1kPa、吹き付け時間15秒であった。この熱処理によって2種の繊維を含むウエブが一体化された繊維シートが得られた。
【0063】
次いで前記繊維シートに熱エンボス加工を施した。熱エンボス加工は、エンボス加工は、エンボス凸ロールとフラット金属ロールとを備えたエンボス装置を用いて行った。エンボス凸ロールとしてMDのピッチ2mm、CDのピッチ2mmである多数の凸部を有するドット状凸ロールを用いた。各ロールの温度は120℃、線圧は300N/cmとした。このエンボス加工によって接合部が規則的なパターンで形成された繊維シートを得た。この繊維シートに対して延伸加工を施した。延伸加工は、軸線方向に延び且つ互いに噛み合う刃溝を周面部に有している一対の歯溝ロールを備えた延伸装置を用いて行った。延伸加工によって前記繊維シートをCD方向に延伸させた。これによりCD方向に伸縮する35g/m2の伸縮性不織布が得られた。なお、各工程の搬送速度は何れも10m/分であった。
【0064】
〔実施例2〕
ブロック共重合体として、株式会社クラレ製のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体であるSEPTON(登録商標)2002を用いた。このブロック共重合体は、重合ブロックAとしてスチレンを30重量%、重合ブロックBとしてエチレン−プロピレンを70重量%含むものである。このブロック共重合体について動的粘弾性測定を行ったところ、20℃、2Hzにおける貯蔵弾性率は3.0×105Paであり、動的損失正接tanδ値は0.03であった。これ以外は実施例1と同様にして伸縮性不織布を得た。
【0065】
〔比較例1〕
ブロック共重合体として、株式会社クラレ製のスチレン−ビニルイソプレン−スチレンブロック共重合体であるHYBRAR(登録商標)7311を用いた。このブロック共重合体は、スチレンを12重量%、ビニルイソプレンを88重量%含むものである。このブロック共重合体について動的粘弾性測定を行ったところ、20℃、2Hzにおける貯蔵弾性率は1.0×106Paであり、動的損失正接tanδ値は0.3であった。これ以外は実施例1と同様にして伸縮性不織布を得た。
【0066】
〔比較例2〕
ブロック共重合体として、旭化成ケミカルズ株式会社製のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体であるTUFTEC(登録商標)H1031を用いた。このブロック共重合体は、スチレンを30重量%、エチレン−ブチレンを70重量%含むものである。このブロック共重合体について動的粘弾性測定を行ったところ、20℃、2Hzにおける貯蔵弾性率は1.0×107Paであり、動的損失正接tanδ値は0.03であった。これ以外は実施例1と同様にして伸縮性不織布を得た。
【0067】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた伸縮性不織布の特性を以下の表1に示す。表中の各項目の測定方法は次の通りである。
【0068】
<100%伸長時強度、残留歪み>
伸縮性不織布の伸縮方向へ50mm、それと直交する方向へ25mmの大きさで、矩形の試験片を切り出した。引張試験機(島津製作所製)に試験片を装着した。装着時のチャック間距離は25mmとした。試験片の伸縮方向へ300mm/分の速度で150mm伸長させ(チャック間隔が計50mmとなる)、ただちに毎分300mmの速度で初期長さに戻した。このときの伸長率と引っ張り力の関係をチャート紙に記録した。伸長率は以下の式によって表される。
伸長率(%)=伸長した長さ(mm)/初期長さ(mm)×100
つまり、前記測定方法において、試験片は伸長率100%まで伸長されることとなる。このときの引っ張り力を、100%伸長時強度とする。
【0069】
一般に、エラストマーは伸長すると残留歪みが発生する。残留歪み(%)は、伸長率100%から初期長さ(伸長度0%)へ戻るとき(戻り過程)、引っ張り力が0となった点に達したときの伸長率とした。伸縮特性を残留歪みで評価し、残留歪みが小さいほど伸縮特性が良い。本発明の伸縮性不織布における好ましい残留歪みの値は、先に述べた通りである。
【0070】
【表1】

【0071】
表1に示す結果から明らかなように、実施例の不織布は比較例の不織布に比べて残留歪みが小さく、伸縮特性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の伸縮性不織布の製造に用いられる好ましい装置を示す模式図である。
【図2】図2は、延伸加工を施す繊維シートの一例を示す平面図である。
【図3】図3(a)は、図2に示す繊維シートのCD方向のa−a線に沿う断面図、図3(b)は、凹凸ロール間で変形した状態(延伸させている状態)の図3(a)に対応する断面図、図3(c)は、図2に示す繊維シートのCD方向のc−c線に沿う断面図、図3(d)は、凹凸ロール間で変形した状態(延伸させている状態)の図3(c)に相当する断面図である。
【符号の説明】
【0073】
4 接合部
10A 繊維シート
10 伸縮性不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜50重量%の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと、下記式(1)で表される繰り返し単位を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を含有する弾性繊維、及び該弾性繊維と異なる他の弾性繊維又は非弾性繊維を含み、
前記ブロック共重合体は、20℃、周波数2Hzで測定された動的粘弾性の貯蔵弾性率G’が1×104〜8×106Paであり、且つ同温度及び同周波数で測定された動的粘弾性の動的損失正接tanδ値が0.2以下である伸縮性不織布。
【化1】

【請求項2】
重合体ブロックBが、更に下記式(2)で表される繰り返し単位を20モル%以下含んでいる請求項1記載の伸縮性不織布。
【化2】

【請求項3】
ブロック共重合体の基本型がA−B−Aである請求項1又は2記載の伸縮性不織布。
【請求項4】
前記弾性繊維が前記ブロック共重合体のみからなるか、又は該ブロック共重合体と他の熱可塑性エラストマーを含有してなる請求項1ないし3の何れかに記載の伸縮性不織布。
【請求項5】
前記非弾性繊維が、ポリオレフィン系樹脂を含んで構成されている請求項1ないし4の何れかに記載の伸縮性不織布。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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