説明

位相ベースのセンシング

2つの異なる波長を含むパルス入力を提供することによって、位相ベースのトランスデューサに呼び掛ける方法。合成波長によって、さらに合成波長が成分波長よりも著しく大きくなるように設定することによって直面する位相変化を得るために種々の波長成分を使用することができ、こうして検出された位相は感度が低下してオーバースケールの影響を受けにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感知パラメータを決定するために呼び掛け(interrogation)信号の位相変化を利用するセンサに関し、特に、限定的ではないが、光ファイバ干渉センシングに関する。本発明は、地震測量および画像化の分野に具体的なアプリケーションがある。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンサでは、感知パラメータが光ファイバに歪みを発現させるように配置された、光ファイバが採用される。典型的に、ファイバはコイルとして配置されるが、他の配置も可能である。このような歪みはそのファイバ内を伝播する光信号の位相に変化を生じさせ、その変化は干渉法によって検出され得る。この種のトランスデューサに関する様々な配置がこれまでに提案されており、その多くは変形しやすいコアまたはマンドレルに巻かれた光ファイバのコイルを有し、これらは感知振動などの感知パラメータに応答して半径方向に伸縮する。
【0003】
このような光ファイバセンサは、極めて高い感度を示す可能性があり、完全に受動的であるという利点を有し、センシングトランスデューサでは電源を採用しない。また、このようなセンサは、比較的容易に多重化され得るため、センサの大きなアレイを必要とするアプリケーションでは好評である。
【0004】
このようなアプリケーションの例としては、石油およびガス探索業界における地震測量があり、これらの業界では数百個または数千個もの振動センサおよび/またはハイドロフォンを備える大型の時間多重化アレイが海底下の地層からの入射パルス反射を感知するために使用され得る。このようなアレイを一定周期でサンプリングすると、既存の埋蔵量または潜在的な新しい埋蔵量に関する3次元の時間経過データが提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センシングに対するこの手法において遭遇する問題は、所与のサンプリングレートに対して、ある振幅閾値を超える信号が位相ベースの感知情報に歪みを生じさせ、復調過程で障害を引き起こす可能性があることである。一般に過負荷またはオーバースケーリングと呼ばれるこの影響は、測定信号の周波数に左右される。地震計測システムでは、これは、特に入射パルスがセンサの近くで発生したとき(通常、アレイの上方を通過する水上艦から曳航されるエアガンによって)に直接届いた入射パルスに関連する特有の問題を引き起こす可能性がある。オーバースケーリングが歪みを発生することなくこの入射パルスを記録できることが望ましい。
【0006】
光計測学の分野では、2つの波長を組み合わせて使用すると、干渉法を用いて極めて高い精度で、たとえば、1mm程度の比較的大きい光路長を測定することができることが知られている。これには、干渉計を伝播する光が合成波長を有し、合成位相、すなわち、位相変化を引き起こすものと考えられる効果がある。たとえば、複数の偏光状態で動作する2つのレーザー光源によって生成される合成波長で動作し得る自由空間干渉計を記述したR.Dandliker,R.ThalmannおよびD.Prongue著「Two−wavelength laser interferometry using superheterodyne detection」Opt.Lett.13,339−(1988)を参照されたい。
【0007】
本発明の一般的な目的は、改良されたセンシング方法および装置を提供することであり、本発明の具体的な態様の目的は多重化光ファイバセンサアレイを用いて感知する改良された方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に従って、位相ベースのトランスデューサに呼び掛ける方法が提供され、上記トランスデューサは感知パラメータに応答して位相出力を提供するように適合され、上記方法は、第1および第2の入力パルスを上記トランスデューサに入力するステップであって、上記パルスはパルス間に時間遅延を有するステップと、上記第1および第2の入力パルスに応答して上記トランスデューサから出力を受け取るステップと、感知パラメータの大きさを測定するために出力を処理するステップとを備え、上記入力パルスの少なくとも1つは少なくとも2つの異なる波長の成分を含む。
【0009】
このように、トランスデューサは、2つの異なる入力波長の組合せによって生成されて合成位相出力を生成する合成波長に応答して動作するものと考えられ得る。合成波長が2つの成分波長のいずれよりも著しく大きくなるように配置することによって、合成位相は比較的小さくなり、したがって、オーバースケーリングの影響を受けにくくなる。さらに、偏光を必要としないので、より単純な物理的実装が提供される。したがって、方法は、ハードウェアを殆どまたは全く変更せずに多重化アレイを含む、既存のセンサ配置に適用可能である。
【0010】
可能な実施形態の波長およびパルスタイミングの正確な配置が以下でさらに詳しく説明されるが、特に好ましい実施形態において、1つのパルスは第1の波長および第1の周波数シフト(λおよびf)を有する第1の成分と、異なる波長λおよび異なる周波数シフトfを有する第2の成分とから形成される。パルス対の他のパルスは、さらに、2つの成分から形成され、第1の成分は第1の波長λを有し、第2の成分は第2の波長λを有し、すなわち、両パルスは基本的に同じ波長の組合せを有する。しかしながら、他のパルスの両成分は、共通の第3の周波数シフトfを有する。
【0011】
この配置は、ある位相の大きさ、したがって、感知パラメータの大きさを提供するためにトランスデューサの出力を処理する際に特別な利点を提供する。この実施形態によると、トランスデューサ出力が種々の波長における位相成分を含み、3つの入力周波数の種々の組合せを有するように配置され得る。有利には、入力周波数を注意深く選択すると、所望の出力位相を周波数選択プロセスによって得ることができる。好ましくは、異なるパルスの周波数間の差は、同じパルスにおける2つの周波数間の差よりも著しく大きい。
【0012】
これは、トランスデューサが上記両入力パルスから得られる成分を有する出力パルスを生成するように適合される配置において特によく利用され、その実施形態は以下でさらに詳しく説明される。
【0013】
本発明は、添付図面を参照して本明細書において説明されるように、実質的に、方法、装置、および/または使用に及ぶ。
【0014】
本発明の一態様における特徴は、適当に組み合わせて本発明の他の態様に適用されてもよい。特に、方法の態様は装置の態様に適用されてもよく、逆も同様である。
【0015】
さらに、ハードウェアで実現される特徴は一般にソフトウェアで実現されてもよく、逆も同様である。本明細書におけるソフトウェアおよびハードウェアの特徴への言及は、相応に解釈されるべきである。
【0016】
ここで、本発明の好ましい特徴を単なる例として添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】先行技術の光ファイバトランスデューサ配置を示す。
【図2】1対の時間間隔を開けた入力パルスを示す。
【図3a】図2の入力に応答して戻される出力パルスを示す。
【図3b】図2の入力に応答して戻される出力パルスを示す。
【図3c】図2の入力に応答して戻される出力パルスを示す。
【図4】本発明の態様に従って呼び掛け信号を生成する配置を示す。
【図5】図4の配置のパルス出力を示す。
【図6a】検出配置を示す。
【図6b】検出配置を示す。
【図7】図6の検出配置の態様を示す周波数図である。
【図8a】代替の検出配置を示す。
【図8b】図8aの関連周波数図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、1本の光ファイバ13で形成され、直列に配置される4つの個別の光ファイバセンシングコイル104、106、108、110を備える、全体を102で示される、知られているタイプの光ファイバセンサパッケージが図式的に示される。光ファイバ112の一部は、パッケージ入力/出力(i/o)ファイバとしての役割を果たす。コイルの各々が光ファイバ13の各端において結合されるファイバ結合ミラーを有するように、ファイバ結合ミラー114、116、118、120、122は、光ファイバ13に沿ったそれぞれの場所で光ファイバ13に結合される。ファイバブラッグ格子におけるように、各センサの前後から光の一部を反射する他の手段がファイバ結合ミラーの代わりに使用され得る。実際に、たとえば、コイルのうちの3つは、地震測量アプリケーションに適した4部品パッケージを形成するためのハイドロフォンの一部を形成する4番目のコイルを有する3つの直交光ファイバ加速度計を形成するように配置され得る。各トランスデューサにおけるコイルの物理的配置は、本発明にとって重要でなく、したがって、ここでは説明されないが、可能な配置の限界は当業者に知られている。このようなパッケージの大規模なアレイは、一緒に結合されて空間的構成で配置され、たとえば、時間経過の地震学的イメージ(time lapsed seismic imagery)を提供するために多重化を用いて周期的に呼び掛けられ得る。
【0019】
図2を参照すると、1対の呼び掛け光パルス202、204をパッケージi/oファイバ112に導入することによって、図1のパッケージ102の呼び掛けが実行されてもよい。パルス202、204はそれぞれの周波数ωおよびωを有し、パルス202はパルス204に対してτ=2L/cだけ遅延され、Lはセンサにおけるコイルの長さであり、cはファイバ内の光パルスのレートである。
【0020】
図3aから図3cは、1対の入力パルスの各々で形成される出力を考慮することによってパッケージの光出力応答を示す。図3aにおいて、パッケージに到着する第1のパルス202は、5つのファイバ結合ミラーの各々で反射されて、任意の時間基準に対して測定される5つの出力パルス301、302、303、304、および305を生成する。同様に、図3bを見ると、パルス204は同じ任意の時間基準に対して5つの時間遅延された出力パルス322、323、324、325、および326を生成する。入力パルスは単一コイルを通じて飛行時間の2倍だけ遅延され、さらに入力パルスは同じファイバに存在するので、2組の出力は重畳されて、図3cに示される6つのパルス331、332、333、334、335、および336を生成する。パルス331および336は単一パルスの単一反射のみを表すが、パルス332から335(斜線を付けて示される)は各々が隣接するファイバ結合ミラーによって反射される2つのパルスの組合せに対応することが理解される。したがって、これらのパルスは2つの隣接するミラー間のコイルを(2回)通過したパルスと通過しなかったパルスの結合を表すことが理解される。したがって、位相検出を利用してそのコイルがもたらした位相変化を測定することができ、これによって、当該技術分野で知られているように感知パラメータの大きさが得られる。
【0021】
φ(t)が感知パラメータである場合、上記のタイプのセンサから戻る一連のパルスの測定に使用される光検出器から得られる信号は、cos(ωt+φ(t))として書かれ、すなわち、感知情報は周波数ωの搬送信号に重畳された位相変化として表される。この後、当業者にとって知られている技術が採用されて搬送波からの位相信号を復調することができる。搬送周波数は、典型的に、ナイキスト周波数の1/2となるように選定され、ナイキスト周波数はさらにサンプリング周波数の1/2である。各戻り光パルスが一度サンプリングされることは普通であり、サンプリング周波数はパルス対がアレイに伝送されるレートである。例として、サンプリング周波数は、約320kHzとすることができ、約160kHzのナイキスト周波数と約80kHzの搬送周波数が得られる。サンプリング周波数は、典型的に、いくつかある要因の中で特にセンサのタイプと配置とに左右される現実的な上限値を有する。
【0022】
位相変調された搬送波の瞬時周波数がナイキスト帯から外れるとき、すなわち、
【数1】

または
【数2】

であるとき、オーバースケール状態が発生する。ここで、ωおよびωはそれぞれナイキスト周波数および搬送周波数である。実際には、オーバースケール状態が発生すると、周波数空間における限界の1つを折り返すことによって瞬時周波数をナイキスト帯にエイリアスバックすることになる。感知パラメータの振幅と周波数とに応じて、瞬時周波数は何回もラップバックされ得る。感知パラメータがφ(t)=φcosωtとして近似的にモデル化される場合、ω=2ωの通常状態では発生しないオーバースケールの状態が
【数3】

として表されることもある。
【0023】
以下でさらに詳しく説明されるように、呼び掛け波長が大きくなると、戻される位相値が小さくなり、したがって、オーバースケール状況に対する感度が低くなる。しかしながら、光ファイバを通って伝播され得る波長の値に対する実際的な限界があり、このことが本発明にとって好ましいアプリケーションである。しかしながら、2つ以上のかなり小さい波長成分から合成波長を発生することによって、オーバースケールに対して抑制された感度を有する合成位相測定値が提供される。
【0024】
図4は、本発明に従って、呼び掛け信号を生成する配置を示す。レーザー光源402が、ファイバを伝播し、光の一部が第1の音響光学変調器(AOM)406に入り第2の部分が波長分割マルチプレクサ(WDM)410に入るように、カップラー404によって分割される波長λを有する光を生成する。同様に、波長λの第2のレーサー光源412からの光もカップラー414によって分割され、WDM410に入る部分および他の部分が第2のAOM416に送られる。WDM410からの光は第3のAOM418に伝えられる。
【0025】
AOMは、それらの入力を一定の間隔で変調して光パルスが装置を通過し得るように適合される。AOM406はまずオン状態に切り替えられて、周波数fによって波長λをシフトし、同時にAOM416は周波数fによって波長λを切り替える。AOM418は、呼び掛けされているセンサの形状によって決定される遅延期間後にオンに切り替えられて、周波数fによって両波長(WDM410内で結合されている)をシフトする。図1に示されるセンサシステムを呼び掛けするように適合された実施形態において、遅延期間はアレイのコイルを通る飛行時間の2倍に相当し、したがって、基本的な動作原理と、入力および出力のパルスのパターンとは、実質的に不変である。周波数と波長の組合せは、当然ながら、以下に説明されるようにはるかに複雑である。
【0026】
また、AOMによって設定される周波数シフトは必然的に波長に変化をもたらす。しかしながら、変化は、それらの基礎値よりも何桁も小さく、当業者には理解されるように、この波長摂動を無視すること、すなわち、AOMの出力がその入力と同じ波長を有するものと考えることは本明細書の目的に適っている。波長への言及はそれ相応に解釈されるべきである。同様に、2つの異なる周波数シフトは、典型的に、2つの異なる周波数をもたらすことになる。本明細書では、周波数および周波数シフトの両方の用語が使用されることがあり、周波数および周波数シフトへの言及は必要に応じて適宜に解釈されるべきである。
【0027】
AOM406、416、および418から出てくる光は、前方のセンサアレイに伝送するために追加的なWDM420において一緒に多重化され、その結果、パルスネットワークを通じて失われる光エネルギーはほとんどない。
【0028】
図5を参照すると、図4の配置の結果は、「成分」パルス502として示される、fによってシフトされたλを含む第1のパルスと、「成分」パルス504として示される、fによってシフトされたλとをもたらす。fによってシフトされた両波長を含めるために第2のパルスが示される。理解しやすいように成分パルスを個別に考えることは便利であり、かつパルス502および504は図4においてそれぞれAOM406および416の出力として識別され得るが、センサまたはセンサアレイに印加される実際の信号はパルス列506および508の波長分割多重結合であることは理解される。
【0029】
前述の入力の第1のパルスに応答する、図1のセンサアレイなどのセンサアレイから受け取られる出力は、パルス列510として示されており、図3aに類似しているが、第2のパルスからの対応出力は512として示されており、図3bに類似している。最後に結合出力が514として示されており、図3cに類似している。結合出力は波長と呼び掛け波形を形成する際に使用される3つすべての周波数との両方を含むパルスを含むことが分かる。
【0030】
第1のパルスにおける第1および第2の周波数と、第2のパルスにおける第3の周波数とを有する入力パルスパターンが示されているが、パルスの順序はAOMの切替え順序を変えることによって等しく反転され得ることは理解される。
【0031】
本発明を具体化する干渉計システムにおいて、出力パルスは位相差として表されるデータを含む入力パルスの組合せを表す。ここで、2つの異なる波長がセンサまたはトランスデューサに入力されるので、干渉計の2つのアーム間で得られる位相差はやはり異なることになる。これらの2つの測定値の差は、
Φ=φ−φ=4πneffL/λ−4πneffL/λ=[4πneffL/(λ+Δλ)](Δλ/λ)
となり、ここで、λ=λ、λ=λ+Δλである。したがって、干渉計の2つのアームを伝播する光はあたかも下記の合成波長を有するかのように振舞うことはこの手法から明らかである。
λsyn=(λ+Δλ)λ/Δλ
【0032】
そのため、波長間の差が小さくなると合成波長が大きくなり、したがって、合成位相Φが小さくなる。
【0033】
合成波長方式は、センサの感度を係数(Δλ/λ)だけ減少させる。この後、トランスデューサによってもたらされる位相変化、したがって、感知パラメータの大きさを測定するために合成位相の位相検出を実施することが望まれる。この位相検出を実施できる配置が図5aおよび5bに示される。
【0034】
この検出をさらに詳しく検討する前に、トランスデューサからの出力を検討することが有用である。固有の強度は次のように表される:
I(λ)=IO1{1+Vcos[2π(f−f)t+φ(M+1,λ)−φ(M,λ)]}
I(λ)=IO2{1+Vcos[2π(f−f)t+φ(M+1,λ)−φ(M,λ)]}
【0035】
ここで、I(λ)およびI(λ)は、波長λおよびλに対応するインターフェログラムである。φ(M+1,λ)およびφ(M,λ)は、アレイ内のミラーM+1とMとの間、あるいは、さらに一般的には対象となっている干渉計の異なるアーム間の波長1によって得られる位相である。上記の表現に次式を代入する場合:
ω=2π(f−f
ω=2π(f−f
φ=φ(M+1,λ)−φ(M,λ
φ=φ(M+1,λ)−φ(M,λ
次いで、インターフェログラムは次のように書き換えられ得る:
I(λ)=IO1{1+Vcos[ωt+φ]}
I(λ)=IO2{1+Vcos[ωt+φ]}
【0036】
ここで、図6aを参照すると、両波長を含むアレイから戻る光はまずカップラー602などの適当な手段にて分割される。両波長を含む一方の部分は検出器604に進むが、他方の部分は光デマルチプレクサ606に伝播し、ここで波長が分離される。波長λは検出器608に伝えられる。
【0037】
図6bは、図6aの検出器604の詳細を示す。高周波(80から100MHz)を含むパルス光信号は、光検出器620に当たって電気信号に変換される。電気信号は、まず、適当な高域通過フィルター622、たとえば、バターワースフィルターなどのアナログフィルターを用いた1kHzカットオンを用いてDCブロックされる。この後、高域通過信号は、高周波平衡四象限乗算器を用いたアナログ二乗器624で二乗される。これによって、以下のように、2ω、2ω、(ω+ω)、および(ω−ω)における周波数成分が得られる:
[I(λ+λac=1/2(IO1+1/2(IO2+1/2(IO1cos(2ωt+φ)+1/2(IO2cos(2ωt+φ)+IO1O2cos[(ω+ω)t+(φ+φ)]+IO1O2cos[(ω−ω)t+(φ−φ)]
【0038】
合成位相φ−φは、差周波数(ω−ω)における位相差であり、626において二乗器の後の信号を低域通過フィルター処理することによって得られる。
【0039】
結果は、628において前置増幅され、高周波ADC630によってディジタル化され、知られているように動作し得る位相復調器632に伝えられる。
【0040】
例として、f=200MHz(上昇)、f=200.04MHz(上昇)、およびf=110MHz(上昇)を選定する場合、各インターフェログラムに関連する搬送周波数は(f−f)=90MHzおよび(f−f)=90.4MHzとなる。f、fおよびfの正確な値は、典型的に、利用可能な音響光変調器(AOM)周波数、パルスの遷移エッジ、および最終搬送周波数(f−f)=0.04MHzによって指示される。(f−f)は、典型的に、アレイ設計を受け入れるように選択される。
【0041】
図7は、それらの周波数とアナログ低域通過フィルター626の関係を示す。この場合、パルス繰返しレートは160kHzである。約10nsのパルスの遷移エッジを維持するために、約100MHzのカットオフを有するような低域通過フィルターが示されており、和周波数成分および2倍周波数成分からの干渉を回避するために、フィルター除去は180MHzにおいて好ましくは少なくとも−60dBとされるべきである。
【0042】
「正常な」位相情報、つまり、単一波長における位相情報を回復するために、検出器608から取り込まれるパルス(前述のように搬送周波数90.04MHzを有するλ)は、比較的低い(しかし、比較的普通のパルス繰返し)サンプリング周波数160kHzにおいてアナログ−ディジタルコンバータ(ADC)によってサブサンプリングされ、したがって、上記信号における搬送波は(f−f)=40kHzにエイリアスバックされる(aliased back)。この後、サブサンプリングされた信号は、復調器で復調される。復調信号はφに対応する。典型的な動作に対するエイリアシング条件は
{1−REM[(f−f)]/f]}×f=(f−f
ここで、「REM」は括弧[ ]内の除算後の余りであり、fはナイキスト周波数である。ここでは、ナイキスト周波数は80kHzである。
【0043】
前述の場合、[(f−f)/f]=[90.04MHz/80kHz]=1125.5で、REM(1125.5)=0.5であり、したがって、{1−REM[(f−f)/f]}×f=40kHzであり、これは(f−f)である。(f−f)=90MHz(上昇)、(f−f)=90.nn MHz(上昇)、および(f−f)=0.nn MHzとすることは容易であり、パルス繰返しレートは4×0.nn MHzであり、ここで、nnは適当な十進数の組合せである。たとえば、0.nn=0.05の場合、主信号の搬送周波数は50kHzで、パルス繰返しレートは200kHzである。
【0044】
あるいは、90.04MHzである検出器608からの電気信号は、これに90MHz信号を掛けて、その結果を低域通過フィルター処理することによってダウンコンバートされ得る。90MHz信号は、それ自体、低域通過フィルター処理が後に続くfとfの積であるか、あるいは単独の90MHzのRF信号源からの信号である。ダウンコンバートされた信号は、この後、前述のように復調される。
【0045】
図8aは、合成位相を回復するさらなる実施形態を示しており、光検出器において2つの波長を混合しない光出力の直接利用を伴う。したがって、波長の混合は、混合が光検出に先立って光学的に行われる図6aの配置とは対照的に光検出の後に電気的領域で実施される。アレイから戻されて光デマルチプレクサから出てくる光は、波長λを検出する検出器800に向かって移動し、検出器802は波長λを検出する。f=200.07MHz(λ)、f=200.02MHz(λ)、およびf=110.00MHz(λおよびλ)である場合、搬送周波数は807における90.07MHzの(f−f)と809における90.02MHzの(f−f)である。800および802から出てくる電気信号は、それぞれ804および806で帯域通過フィルター処理され、この場合、中心周波数は公称(f−f)から90MHzで約±10MHzの帯域を有する。帯域通過フィルター処理後、信号は、高周波アナログ四象限乗算器808で混合され、続いて810で低域通過フィルター処理される。低域通過フィルターのカットオフは、パルス遷移のエッジが光検出器800および802の後では受け取られたままであるが、和周波数においてかなり除去されるよう180.09MHzの和周波数2(f+f−2f)以下となるように設定される。実際上は、この例のフィルター810のカットオフは約100MHzのはずである。低域通過フィルターの後の出力信号は、50kHzのダウンシフトされた周波数にあり、その結果、パルス繰返しレートは200kHzである。この後、アナログ信号は、812でディジタル化されて814で復調される。図8bは、低域通過フィルターの前の入力、ミキシング前及びミキシング後の差および和周波数成分を示す典型的な周波数領域図を示す。
【0046】
このように、本発明の実施形態は、呼び掛けされるトランスデューサまたはトランスデューサのアレイがオーバースケールに対する抑制された感度とより標準的な位相出力とを有する合成位相出力を提供することができる。出力は、合成位相がオーバースケール状態の間だけ頼られるように適応的に選択され得る。
【0047】
本発明は単なる例として前述されており、本発明の範囲内で細部の変更がなされ得ることは理解される。
【0048】
明細書と、(必要に応じて)特許請求の範囲および図面とに開示される各特徴は、独立に、あるいは任意の適切な組合せによって提供される可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相ベースのトランスデューサを呼び掛ける方法であって、前記トランスデューサが感知パラメータに応答して位相出力を提供するように適合され、
第1および第2の入力パルスを前記トランスデューサに入力するステップであって、前記パルスが該パルス間に時間遅延を有するステップと、
前記第1および第2の入力パルスに応答して前記トランスデューサから出力を受け取って、感知パラメータの大きさを測定するために出力を処理するステップとを備え、
前記入力パルスの少なくとも1つが少なくとも2つの異なる波長の成分を含む、方法。
【請求項2】
両入力パルスが少なくとも2つの異なる波長の成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一方の入力パルスが第1および第2の異なる周波数成分を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
他方の入力パルスが第3の単一周波数を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
異なる波長の成分が波長分割多重方式を用いて結合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
一方のパルスが波長λを有し周波数fだけシフトされる第1の成分と波長λを有し周波数fだけシフトされる第2の成分とから形成され、他方のパルスが波長λを有し周波数Fだけシフトされる第1の成分と波長λを有し周波数fだけシフトされる第2の成分とから形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
−f>>f−fでありかつf−f>>f−fである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
出力が前記2つの異なる入力波長の組合せである波長における前記合成位相を代表する信号を生成するように処理される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組合せ波長が前記入力波長よりも著しく大きい、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
出力が実質的にf−fにおいて搬送周波数を有する合成位相を代表する信号を生成するように処理される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項11】
出力が単一波長における位相を代表する、単一入力波長の信号を生成するように処理される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
単一波長信号の搬送周波数が合成位相の搬送周波数にダウンコンバートされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記単一波長信号がサブサンプリングされる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
単一波長信号の搬送周波数がサブサンプリング時に合成位相の搬送周波数にエイリアスを生じるように設定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記トランスデューサが少なくとも1つの固有の光ファイバセンサを備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記トランスデューサが前記入力パルスの両方から得られる成分を有する単一出力パルスを生成するように適合される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記トランスデューサが複数のセンサを含むセンサパッケージを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
パッケージ内のセンサが時分割多重化される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記パッケージが単一入力/出力ファイバを備える、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
位相ベースのトランスデューサを呼び掛けるシステムであって、
第1の波長における信号を発生する第1の信号源と、
第2の波長における信号を発生する第2の信号源と、
前記第1および第2の波長における信号を結合する波長分割マルチプレクサと、
信号をパルス化する音響光変調器とを備え、
システムが少なくとも2つのパルスを前記トランスデューサに出力するように配置され、少なくとも2つのパルスの少なくとも1つが前記第1および第2の波長の両方を含む、位相ベースのトランスデューサを呼び掛けるシステム。
【請求項21】
前記システムが前記少なくとも2つのパルスに応答して前記トランスデューサから戻される出力を受け取って、前記第1および第2の波長の組合せである合成波長における位相を代表する信号を生成するために前記出力を使用する検出器をさらに備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
光ファイバ位相ベースのセンサの2波長呼び掛けの方法であって、
前記センサに少なくとも2つのパルスを入力するステップであって、前記2つのパルスが少なくとも2つの異なる波長および3つの異なる周波数を含むステップと、
前記第1および第2の波長の組合せである第3の合成波長における位相の大きさを測定するために前記得られた出力を使用するステップとを備える、方法。
【請求項23】
一方のパルスが第1および第2の異なる周波数を含み、他方のパルスが前記第1および第2の周波数と異なる第3の周波数を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
位相ベースのセンサまたはトランスデューサがハイドロフォン、地震計、または加速度計の1つである、請求項1から23のいずれか一項に記載のシステムまたは方法。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の多重化光ファイバセスミックアレイを呼び掛ける、システムまたは方法。
【請求項26】
前記アレイが一時的または空間的に画像化用として配置される、請求項25に記載のシステムまたは方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2010−533292(P2010−533292A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515589(P2010−515589)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002306
【国際公開番号】WO2009/007694
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)