説明

位相差素子

【課題】光透過率と複屈折とが高い位相差素子を提供する。
【解決手段】透明基板1上に斜め方向から材料蒸気を到達させ、Ta25とTi02とを含有する第一の屈折膜21と第二の光屈折膜23とを交互に積層することで複屈折膜20を形成する。複屈折膜20のTaとTiの合計量に対するTiの割合(Ti/(Ta+Ti))は、4.0原子%以上30原子%以下であり、可視光のうちの青色の光の透過率が高く、また、複屈折が大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1/2波長板や1/4波長板に代表される位相差素子に関し、さらに詳しくは、使用帯域の光において、面内軸方向での光屈折率の違いを利用した位相差素子、およびそれを用いた液晶表示装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、位相差素子(波長板)は、水晶などの無機光学単結晶や高分子延伸フィルムにより作られている。しかし、無機光学単結晶は、位相差素子として、性能、耐久性、信頼性に優れるものの、原材料費、加工コストが高いという欠点があり、他方、高分子延伸フィルムは、熱やUV光線に対して劣化しやすく耐久性が低いという欠点がある。
【0003】
斜め柱状構造をもつ斜方蒸着膜(斜方蒸着位相差素子)は、原理的に膜厚を調整することによって任意の位相差を設定でき、大面積化が比較的容易であると共に、大量生産すると低コストになる可能性がある。
【0004】
下記特許文献1〜7には、斜方蒸着位相差素子が記載され、特許文献1〜3は、蒸着材料にTa25を使用している。
Ta25は高屈折率材料(約2.2)であり、斜方蒸着により大きな複屈折が得られるが、Ta25に限らず斜方蒸着で形成した光学薄膜は、通常の蒸着法で形成された光学薄膜と比較して光学的なロスが大きく光の透過率が低下する。
さらに、斜方蒸着位相差素子を波長板として機能させるためには、1μm〜数μm程度の膜厚が必要となり、膜厚が厚いほど光学ロスの影響を受けやすくなる。
【0005】
特許文献8には、光学ロスの低減のため、膜厚の薄い斜方蒸着膜と、同じく膜厚の薄い正面蒸着膜を多数積層する方法が述べられている。斜方蒸着膜の1層の膜厚を薄くすることで蒸着物質の針状構造の安定化を図り、斜め蒸着膜間に高密度の正面蒸着膜を配置することにより、膜の機械的強度を高める効果を得ようとしている。
【0006】
しかし、上記のような膜構成では、斜方蒸着時と正面蒸着時とで基板の角度を交互に変える必要があり、さらに、特許文献8に記載されているような40層を超える積層には、膨大な時間を必要とする。また、1層毎に大気暴露を行うと蒸着膜が水分や空気中のダストにより汚染される恐れがある。
【0007】
特許文献9には、蒸着装置1内にプラズマ源、もしくはイオン源を併用し、装置内に形成されるプラズマを積極的に活用し、高いエネルギー状態の蒸着物質を基板に突入させることで、基板との密着性が高く光学ロスを軽減させる方法が記載されている。
【0008】
特許文献8,9では複雑な膜構成や装置構造などにより膜の光学ロスを低減する方法が述べられているが、リードタイムの増加や、蒸着装置が限定されるなどの問題がある。
【0009】
このように、耐熱性に優れる位相差素子として斜方蒸着位相差素子があるが、近年のプロジェクターにおける輝度向上の要求から、波長板へ適用する際の分光透過率特性が問題となっている。特に、1〜数μm程度の斜方蒸着膜厚を必要とする波長板では、400〜500nmの波長帯域での透過率低下が顕著であり、例えば液晶プロジェクターに使用すると、青色光の輝度が低下してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−145924号公報
【特許文献2】特開平9−297214号公報
【特許文献3】特開2001−228330号公報
【特許文献4】特開昭59−49508号公報
【特許文献5】特開昭63−132203号公報
【特許文献6】特開平5−134115号公報
【特許文献7】特開平11−109129号公報
【特許文献8】特開平10−81955号公報
【特許文献9】特許第4009044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、斜方蒸着位相差素子において、膜構成や蒸着装置などに依存せず、斜方蒸着の材料組成により、光透過率が大幅に向上した位相差素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、透明基板と、Ta25とTiO2とを含有する蒸着材料から放出されて直進する材料蒸気が、透明基板上に第一の斜め方向から入射し、前記材料蒸気が入射する前記第一の斜め方向に沿って成長された第一の光屈折膜と、前記材料蒸気が、前記第一の斜め方向とは異なる方向である第二の斜め方向から入射し、前記第一の光屈折膜上に、前記材料蒸気が入射する前記第二の斜め方向に沿って成長された第二の光屈折膜とを有する複屈折膜とが設けられた位相差素子であって、前記第一、第二の光屈折膜のTaとTiの合計量に対するTiの割合(Ti/(Ta+Ti))は、4.0原子%以上30原子%以下にされた位相差素子である。
また、本発明は、前記複屈折膜は、前記第一、第二の光屈折膜が交互に複数層積層されて形成された位相差素子である。
また、本発明は、前記透明基板は石英ガラス基板である位相差素子である。
また、本発明は、前記第一の斜め方向の前記透明基板の表面と平行な成分と、前記第二の斜め方向の前記透明基板の表面と平行な成分とは、互いに逆方向に向けられた位相差素子である。
また、本発明は、上記記載の前記位相差素子を有し、液晶と前記位相差素子とを通過した光が外部に放出される表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の位相差素子は、従来の位相差素子よりも著しく高い透過率を有しており、可視光を高強度で透過させることができる。従って、本発明は透明性が高く、複屈折量が大きい位相差素子が得られる。
また、無機材料を用いているため、耐熱性にも優れており、特に、拡散光を放出するような液晶プロジェクター等の液晶表示装置では、透過率が高いので高強度の光を放出でき、また、耐熱性が高いので、光学ユニット部を小型化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に用いる蒸着装置の一例
【図2】(a)〜(e):本発明の位相差素子の製造工程を説明するための図面
【図3】斜方蒸着によって形成された薄膜の構造を説明するための図面
【図4】表面に突条を有する透明基板
【図5】その透明基板上に形成された複屈折膜を説明するための図面
【図6】Ti/(Ti+Ta)の値と透過率の関係を説明するためのグラフ
【図7】突条を有する透明基板上と、平坦な透明基板上とに複屈折膜を形成した場合の、波長と複屈折Δnとの関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の製造工程を説明する。
図1を参照し、予め、蒸着装置5の真空槽6内に、Ta25とTiO2とを含有する蒸着材料14を配置しておき、透明基板を真空槽6内に搬入し、蒸着材料14に対して表面を斜め姿勢にして、透明基板を蒸着材料14の上方位置に配置する。図1、図2(a)の符号1は真空槽6内に斜め姿勢で配置された透明基板であり、ここでは石英ガラスの基板が用いられている。
【0016】
次いで、真空雰囲気にされた真空槽6内で蒸着材料14を加熱し、Ta25の蒸気と、TiO2の蒸気とが混合された材料蒸気を真空槽6内に放出させ、透明基板1から見て、材料蒸気を、透明基板1の表面に第一の斜め方向に入射させると、図2(b)に示すように、透明基板1上には、第一の屈折膜21が形成される。
【0017】
第一の屈折膜21を構成する結晶粒19は、図3に示すように、材料蒸気が入射した第一の斜め方向18に沿って成長する。
第一の屈折膜21が所定膜厚に形成された後、透明基板1を、透明基板1表面に垂直で、透明基板1の中心を通る中心線回りに180°回転させる。
【0018】
この状態では、透明基板1から見て、第一の斜め方向とは異なる第二の斜め方向から第一の屈折膜21表面に材料蒸気が入射し、図2(c)に示すように、第一の屈折膜21の表面に、第二の屈折膜23が形成される。
【0019】
図1の符号10が付された矢印は、材料蒸気の進行方向であり、符号11は、透明基板1の薄膜が形成される表面に対して垂直な法線を示している。第一の斜め方向と透明基板1の法線11とによって、60°以上80°以下の角度θが形成されるように設定されている。また、第二の斜め方向と法線11との間でも、60°以上80°以下の第二角度φが形成されるように設定されている。
【0020】
ここでは、第一角度θと第二角度φとは、同じ値であるが、透明基板1に対する入射方向が異なっており、特に、透明基板1が中心線周りに180°回転されているから、第一の斜め方向の透明基板1の表面と平行な成分と、第二の斜め方向の透明基板1の表面と平行な成分とは、互いに逆向きになっている。要するに、第一、第二の方向の、透明基板1の表面と平行な成分が成す角度は180°である。
【0021】
第二の屈折膜23が所定膜厚に形成された後、透明基板1を、中心線回りに180°回転させ、第二の屈折膜23の表面に第一の斜め方向から材料蒸気を入射させ、第二の屈折膜23表面に第一の屈折膜21を形成する。
【0022】
このように、同じ組成の材料蒸気によって、透明基板1を180°回転させることで、第一の屈折膜21と第二の屈折膜23とを切り替えて形成し、第一の屈折膜21と第二の屈折膜23とを交互に複数層積層させると、図2(d)に示すように、透明基板1の表面に、交互に積層された複数の第一の屈折膜21と第二の屈折膜23とから成る複屈折膜20が形成される。第一、第二の屈折膜21、23は、それぞれ数層であり、ここでは、複屈折膜20の総厚は6μmとした。
【0023】
各第一、第二の屈折膜21、23は、同じ組成であり、複屈折膜20は、複屈折膜20中のTi/(Ti+Ta)の値(この式中「Ti」と「Ta」は、チタン原子数とタンタル原子数を表す)は、4原子%以上30原子%以下になるようにされた酸化物薄膜であり、可視光に対する直線偏光の光透過率が大幅に向上されている。
【0024】
柱状組織間に水分が付着していると、蒸着膜の屈折率が変化し、特性が大きく変わってしまうため、形成された複屈折膜20を、200℃に加熱してアニール処理を行い、複屈折膜20の色抜きと、複屈折膜20の柱状組織間に吸着している水分の蒸発とを行うとよい。
【0025】
アニール処理は、水分が蒸発する100℃以上の温度に複屈折膜20を昇温させることが好ましい。他方、温度を上げすぎると、柱状組織同士が成長してコラム状となり、複屈折の低下や透過率の低下などが発生するため、300℃以下であることが好ましい。
【0026】
アニール処理後、図2(e)に示すように、複屈折膜20上に保護膜26を形成すると、本発明の位相差素子7が得られる。
なお、複屈折膜20の複屈折は、第一、第二の屈折膜21、23を形成するときに第一、第二の角度を変更することによって変化させることができる。
【0027】
保護膜26には、湿度透過性の小さい薄膜を形成するとよい。また、保腹膜26は、光透過率を向上させるために、反射防止膜(AR膜)の機能を備えたものも望ましい。ここでAR膜は、一般的に用いられる高屈折膜、低屈折膜から成る多層薄膜でもよい。AR膜を形成した後、所望の大きさに切断する際には、切断には、ガラススクライバー等の切断装置を用いることができる。
【実施例】
【0028】
<透過率>
真空槽内にTa25にTiO2が添加された蒸着材料を配置し、ガラス基板(石英基板)の法線方向と、ガラス基板に入射する材料蒸気の進行方向との間の第一、第二の角度が70°になるようにして複屈折膜を形成した。
【0029】
ここではTa25とTiO2の比率が異なる蒸着材料を配置し、組成が異なる6種類の複屈折膜を形成し、それぞれ200℃でアニール処理を行った。形成した複屈折膜のTi/(Ti+Ta)の値をEDX(エネルギー分散型X線分光法)の測定器によって測定したところ、0、3、5、10、19、33原子%であった。各複屈折膜の膜厚は広帯域1/2波長板に必要な6.0μmとした。
ガラス基板の裏面には、入射光の反射率を低減する目的で、反射防止膜を成膜した。
形成した各複屈折膜に対して、波長が680〜600nm、590〜520nm、510〜430nmの三種類の測定光を照射し、各波長の測定光に対する透過率(各波長域の平均値)を測定した。
【0030】
図6のグラフは、横軸がTi/(Ti+Ta)の値、縦軸が透過率の値であり、各屈折膜の測定結果から、4原子%以上では透過率の向上が見られ、特に510〜430nmの青色光の波長帯域で透過率が著しく向上していることが分かる。
透過率が向上する要因は、Tiが不純物のゲッターとして働くこと、およびTiO2が活性化してTa25の酸素欠損の部位に酸素を供給していることと考えられる。
【0031】
他方、Ti/(Ti+Ta)が30原子%を越えると透過率は減少しており、TiO2の含有量が大きくなると、透過率が低下することが分かる。
その原因は、TiO2の光吸収端はTa25よりも長波長側にあり、TiO2は可視光を吸収しやすいので、複屈折膜中のTiO2の含有量が増加するとTiO2に吸収される光の量が増加するためと考えられる。
【0032】
その結果、特に広帯域の1/2波長板など、複屈折膜の膜厚が厚い位相差素子においては、形成される複屈折膜のTi/(Ti+Ta)の値が、4原子%以上30原子%以下の範囲となるTa25とTiO2の含有率の蒸着材料を真空槽内に配置して材料蒸気を発生させることで、透過率に優れた位相差素子を提供することができる。
【0033】
<変形例>
上記位相差素子7では、表面が平坦な透明基板1上に斜め蒸着して複屈折膜20を形成したが、図4の符号2に示すように、ガラス基板(石英基板)33の表面に、エッチング法によって平行な溝31を形成することで、ガラス基板33の表面に直線状の突条32が離間して平行に形成された透明基板2を作成し、材料蒸気を突条32の表面に到達させ、突条32の表面に複屈折膜を成長させて位相差素子を形成することもできる。
【0034】
一例として、ガラス基板33に深さDが50nmの溝31を平行に等幅等間隔で形成することで、隣接する中心線間距離Pを一定値150nmにして突条32を形成し、Ta25とTiO2とを含有する蒸着材料に対して、図1のように、第一、第二の角度θ、φが70°となるように透明基板を配置して、材料蒸気を到達させ、突条32の表面に複数の第一、第二の屈折膜を交互に積層させて、複屈折膜30を形成した。第一、第二の屈折膜の形成を切り換えるときには、透明基板を180°回転させ、材料蒸気が入射する方向に対する透明基板の向きを複数回変更し、図5に示す位相差素子8を得た。
この位相差素子8は、第一、第二の屈折膜22、24が交互に複数層成膜された複屈折膜30を有している。
【0035】
突条32の中心線間距離Pは、複数列が互いに平行に配置された突条32のピッチであり、複屈折させる光のうち、最短波長の値よりも中心線間距離Pを短くしておくと、最短波長以上の波長の光に対して大きな複屈折量が得られる。
【0036】
同じ組成、同じ膜厚の複屈折膜を、平坦な透明基板1の表面上と、溝31と突条32とを有する透明基板2の突条32の表面上とにそれぞれ形成して、複屈折Δn(Δn=ne−n0e:異常光線の屈折率、n0:通常光線の屈折率)を測定した。
【0037】
図7のグラフの横軸は光の波長、縦軸は複屈折Δnであり、同図の曲線L1は、突条32上に形成された複屈折膜の測定結果であり、同図曲線L2は、平坦な透明基板上1の表面上に形成した複屈折膜の測定結果である。
図7を見ると、突条32上に形成された複屈折膜の複屈折量は、平坦な透明基板1の表面に形成された複屈折膜の複屈折量の2.8倍になっている。
【0038】
よって、所望の複屈折量を得るためには、表面が平坦な透明基板に比べて複屈折膜を薄膜化する事ができる。薄膜化は、生産工程の高速化及び効率化や、成膜に使用する材料費の抑制など、多くのメリットを持つ。
【0039】
平行に配置された突条32上に複屈折膜を形成すると、複屈折の値が大きくなるのは、隣接する突条32上に形成された複屈折膜は離間して形成され、その間には隙間が形成されており、複屈折膜と複屈折膜との間には第一、第二の屈折膜よりも屈折率が低い空気層が存していて、構造複屈折の効果が加味された事によると考えられる。
【0040】
この溝31と突条32とは、言わば一次元格子が形成されているが、波長以下であれば、ランダムパターンや、文献(東芝レビューvol.60 No.102005)に記載のブロックコポリマーを用いたパターン形成方式、すなわち、ガラス基板上に上記と同様にSiO2を成膜し、ブロックコポリマーによりパターン形成を行ない、SiO2にブロックコポリマーのパターンを転写することによって得ることができる。
【0041】
なお、SiO2を成膜しないで、ガラス上に直接パターン形成してもかまわない。このようにして形成されて波長板においても、Ti/(Ti+Ta)が4原子%以上30原子%以下の範囲となるようなTa25+TiO2の含有比率の蒸着材料を用いることで、透過率に優れた位相差素子を提供することができる。
【0042】
上記各実施例では、Ta25とTiO2とを混合した蒸着材料を昇温させて材料蒸気を放出させていたが、Ta25とTiO2とを真空槽内の別々の容器に配置して個別に昇温させ、Ta25の蒸気とTiO2の蒸気とを別々に発生させて材料蒸気としてもよい。この場合も、Ta25の蒸気とTiO2の蒸気とは同じ透明基板に一緒に到達するので、TaとTiの合計量に対するTiの割合(Ti/(Ta+Ti))が、4.0原子%以上30原子%以下にされた複屈折膜が形成されるように、別々に配置されたTa25とTiO2とから蒸気を放出させればよい。
【符号の説明】
【0043】
1、2……透明基板
14……蒸着材料
18……第一の斜め方向
21、22……第一の屈折膜
23、24……第二の屈折膜
20、30……複屈折膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
Ta25とTiO2とを含有する蒸着材料から放出されて直進する材料蒸気が、透明基板上に第一の斜め方向から入射し、前記材料蒸気が入射する前記第一の斜め方向に沿って成長された第一の光屈折膜と、
前記材料蒸気が、前記第一の斜め方向とは異なる方向である第二の斜め方向から入射し、前記第一の光屈折膜上に、前記材料蒸気が入射する前記第二の斜め方向に沿って成長された第二の光屈折膜とを有する複屈折膜とが設けられた位相差素子であって、
前記第一、第二の光屈折膜のTaとTiの合計量に対するTiの割合(Ti/(Ta+Ti))は、4.0原子%以上30原子%以下にされた位相差素子。
【請求項2】
前記複屈折膜は、前記第一、第二の光屈折膜が交互に複数層積層されて形成された請求項1記載の位相差素子。
【請求項3】
前記透明基板は石英ガラス基板である請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の位相差素子。
【請求項4】
前記第一の斜め方向の前記透明基板の表面と平行な成分と、前記第二の斜め方向の前記透明基板の表面と平行な成分とは、互いに逆方向に向けられた請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の位相差素子。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された前記位相差素子を有し、液晶と前記位相差素子とを通過した光が外部に放出される表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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