説明

位置検出装置、情報処理装置及びプログラム

【課題】複数の情報処理装置の位置を直接取得する構成を有しなくても、最小の操作でそれらの情報処理装置の位置関係を検出することのできる位置検出装置、情報処理装置およびプログラムを提供すること。
【解決手段】位置検出装置は、互いに突当てられた複数の情報処理装置を特定する装置特定手段と、前記複数の情報処理装置のうちいずれかの動きを取得する動き取得手段と、前記特定された前記複数の情報処理装置のうち前記いずれかが突当てられた際の動きに基づいて、前記特定された複数の情報処理装置の相対位置を検出する相対位置検出手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置検出装置、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2には、それぞれがディスプレイを有する複数のデバイスに、位置変化に応じて表示する情報を変化させる技術が開示されている。ここで、複数のデバイスのそれぞれには、他のデバイスの位置を直接測定するための位置検知器が備えられている。
【0003】
特許文献3には、車載情報機器および携帯機器のセンサにより検出された位置情報や加速度情報等の時系列データを、認証の可否を決定するための認証キーとして利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−134087号公報
【特許文献2】特開平11−143606号公報
【特許文献3】特開2011−101118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、複数の情報処理装置の位置を直接取得する構成を有しなくても、本発明の構成を有しない場合よりも少ない数の操作でそれらの情報処理装置の位置関係を検出することのできる位置検出装置、情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は位置検出装置であって、互いに突当てられた複数の情報処理装置を特定する装置特定手段と、前記複数の情報処理装置のうちいずれかの動きを取得する動き取得手段と、前記特定された前記複数の情報処理装置のうち前記いずれかの突当てられた際の動きに基づいて、前記特定された複数の情報処理装置の相対位置を検出する相対位置検出手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明において、前記動き取得手段は、前記複数の情報処理装置のそれぞれの動きを取得し、前記相対位置検出手段は、前記特定された前記複数の情報処理装置のそれぞれの突当てられた際の動きに基づいて、前記複数の情報処理装置の相対位置および角度を検出する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は請求項1または2に記載の発明において、前記装置特定手段は、互いに突当てられた少なくとも3つの情報処理装置を特定し、前記相対位置検出手段は、前記少なくとも3つの情報処理装置の動きの変化の向きと大きさとに基づいて、前記少なくとも3つの情報処理装置の相対位置を検出する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は請求項1または2に記載の発明において、前記装置特定手段は、互いに突当てられた少なくとも3つの情報処理装置を特定し、前記相対位置検出手段は、前記少なくとも3つの情報処理装置の動きの変化の向きと当該少なくとも3つの情報処理装置が突当てられた時間のずれとに基づいて、前記少なくとも3つの情報処理装置の相対位置を検出する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記装置特定手段は、複数の情報処理装置のそれぞれの動きを検出するセンサの出力に基づいて、互いに突当てられた複数の情報処理装置を特定する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は請求項5に記載の発明において、前記特定手段は、複数の情報処理装置のそれぞれの動きを検出するセンサの出力と、前記複数の情報処理装置の組合せを制限する情報とに基づいて、互いに突当てられた複数の装置を特定する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は請求項1から6のいずれかに記載の発明において、前記相対位置検出手段が出力する相対位置に基づいて、それぞれ前記特定される複数の情報処理装置に含まれる複数の表示手段に前記相対位置に応じた画像を表示させるよう制御する表示制御手段、をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は請求項7に記載の発明において、前記表示制御手段は、前記複数の表示手段のそれぞれに位置あわせの目安となる画像を出力させるよう制御する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は情報処理装置であって、動きを検出するセンサの出力に基づいて、他の情報処理装置と突当てられたことを検出する突合検出手段と、前記突当てられたことが検出された場合に、前記突当てられた際の動きの変化を示す情報を、前記他の情報処理装置との相対位置を検出する位置検出装置に送信する送信手段と、を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は請求項9に記載の発明において、前記送信手段は、2回以上連続して他の情報処理装置と突当てられたことを検出した場合に、前記他の情報処理装置との相対位置を検出する位置検出装置に送信する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、互いに突当てられた複数の情報処理装置を特定する装置特定手段、前記複数の情報処理装置のうちいずれかの動きを取得する動き取得手段、および、前記特定された前記複数の情報処理装置のうち前記いずれかが突当てられた際の動きの変化に基づいて、前記特定された複数の情報処理装置の相対位置を検出する相対位置検出手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0017】
請求項12に記載の発明は、動きを検出するセンサの出力に基づいて、他の情報処理装置と突当てられたことを検出する突合検出手段、および、前記突当てられたことが検出された場合に、前記突当てられた際の動きの変化を示す情報を、前記他の情報処理装置との相対位置を検出する位置検出装置に送信する送信手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1,9,11,12に記載の発明によれば、複数の情報処理装置の位置を直接取得する構成を有しなくても、本発明の構成を有しない場合よりも少ない数の操作でそれらの情報処理装置の位置関係を検出することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、一部の情報処理装置の動きに基づいて位置関係を抽出する場合より精度良く位置関係を検出することができる。
【0020】
請求項3,4に記載の発明によれば、3つ以上の情報処理装置が互いに突当てられた場合にそれらの位置関係を検出することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、それぞれが動きを検出するセンサを有する情報処理装置の位置関係を検出することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、複数の情報処理装置の組合せを制限する情報を用いない場合より、情報処理装置の位置関係を検出する処理時間を短縮することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、情報処理装置にその位置関係に応じた画像を表示させることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有しない場合より情報処理装置の位置あわせが容易になる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、本構成を有しない場合より位置検出装置の処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態にかかる位置検出システムの構成の一例を示す図である。
【図2】情報端末の構成の一例を示す図である。
【図3】位置検出装置の構成の一例を示す図である。
【図4】情報端末が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図5】位置検出装置が実現する機能を示す機能ブロック図である。
【図6】動き記録部の処理フローの一例を示す図である。
【図7】互いに突当てられる2つの情報端末の一例を示す図である。
【図8】図7に示す突当て操作に伴うセンサの出力波形の一例を示す図である。
【図9】衝突検出部および送信部の処理フローの一例を示す図である。
【図10】位置検出装置の処理フローの一例を示す図である。
【図11】突当てられる3つの情報端末の一例を示す図である。
【図12】図11に示す突当て操作に伴う加速度センサの出力波形の一例を示す図である。
【図13】互いに突当てられる情報端末の他の例を示す図である。
【図14】情報端末に表示される位置あわせ画像の一例を示す図である。
【図15】位置検出装置を含む情報端末の構成の例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る位置検出システムの構成の一例を示す図である。同図に示すように、位置検出システムは、複数の情報端末1と、位置検出装置2とを含んでおり、複数の情報端末1と、位置検出装置2とはネットワーク3を介して通信する。
【0028】
図2は、情報端末1の構成の一例を示す図である。情報端末1は、中央制御部11と、記憶部12と、通信部13と、入出力部14と、センサ15とを含んでいる。情報端末1は情報処理装置の一種であり、例えばタブレット端末、スマートフォンや、パーソナルコンピュータなどである。
【0029】
中央制御部11は、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作する。なお、上記プログラムは、インターネット等のネットワーク3を介して提供されるものであってもよいし、フラッシュメモリやCD−ROM等の情報記録媒体に格納されて提供されるものであってもよい。
【0030】
記憶部12は、RAMやROM等のメモリ素子およびハードディスクドライブ等によって構成されている。記憶部12は、上記プログラムを格納する。また、記憶部12は、各部から入力される情報や演算結果を格納する。
【0031】
通信部13は、他の装置と通信接続するための通信手段等で構成されている。通信部13は、中央制御部11の制御に基づいて、他の装置から受信した情報を中央制御部11や記憶部12に入力し、他の装置に情報を送信する。
【0032】
入出力部14は、液晶パネル等の表示出力手段と、タッチパネル、マウス等の入力手段とを制御する手段などによって構成されている。入出力部14は、中央制御部11の制御に基づいて、画像データ等を液晶モニタ等の表示手段に対して出力し、タッチパネル等より操作者からの情報を取得する。
【0033】
センサ15は、加速度センサや、ジャイロスコープ、カメラ等のいずれかにより構成される。センサ15は、情報端末1の動きを検出し、複数の情報端末1が互いに突当てられた(軽く衝突した)際の動きを検出する。以下ではセンサ15として加速度センサを用いた場合について詳細に説明する。
【0034】
図3は、位置検出装置2の構成の一例を示す図である。位置検出装置2は、中央制御部21と、記憶部22と、通信部23とを含んでいる。位置検出装置2は例えばサーバコンピュータなどによって構成されている。
【0035】
中央制御部21は、記憶部22に格納されているプログラムに従って動作する。なお、上記プログラムは、インターネット等のネットワーク3を介して提供されるものであってもよいし、CD−ROMやDVD−ROM等の情報記録媒体に格納されて提供されるものであってもよい。
【0036】
記憶部22は、RAMやROM等のメモリ素子およびハードディスクドライブ等によって構成されている。記憶部22は、上記プログラムを格納する。また、記憶部22は、各部から入力される情報や演算結果を格納する。
【0037】
通信部23は、他の装置と通信接続するための通信手段等で構成されている。通信部23は、中央制御部21の制御に基づいて、他の装置から受信した情報を中央制御部21や記憶部22に入力し、他の装置に情報を送信する。
【0038】
以下では情報端末1および位置検出装置2の機能について、情報端末1および位置検出装置2の処理とともに説明する。
【0039】
図4は、情報端末1が実現する機能を示す機能ブロック図である。情報端末1は機能的に、動き記録部31と、状態検出部32と、送信部33と、表示出力部34とを含む。これらの機能は中央制御部11が記憶部12に格納されたプログラムを実行し、通信部13、入出力部14およびセンサ15を制御することによって実現される。表示出力部34は、中央制御部11および入出力部14を中心として実現され、位置検出装置2に含まれる表示制御部46の制御に基づいて、表示手段に画像を表示する。図5は、位置検出装置2が実現する機能を示す機能ブロック図である。位置検出装置2は機能的に、受信部41と、動き取得部42と、装置特定部43と、組合せ制限部44と、相対位置検出部45と、表示制御部46とを含む。これらの機能は中央制御部21が記憶部22に格納されたプログラムを実行し、通信部23を制御することによって実現される。
【0040】
動き記録部31は、中央制御部11、記憶部12およびセンサ15を中心として実現される。動き記録部31は、動きを検出するセンサ15の出力を記憶部12に格納する。図6は動き記録部31の処理フローの一例を示す図である。動き記憶部31は、はじめに、一定時間間隔でセンサ15から値を取得する(ステップS101)。次に、センサ15から取得した値を、記憶部12に格納する(ステップS102)。なお、動き記録部31は、過去一定の時間に取得した情報、言い換えればセンサ15から最近N回取得した値が保持されるように、今回取得したセンサ15からの値を記憶部12に格納する。そして、操作者から終了の命令が入力されるまたはタイムアウトになるなどの終了する条件が満たされれば(ステップS103のY)、動き記憶部31の処理を終了する。その終了する条件が満たされなければ(ステップS103のN)、ステップS101から処理を繰り返す。
【0041】
図7は、互いに突当てられる2つの情報端末1A,1Bの一例を示す図である。図7は、操作者が情報端末1A,1Bを持ち、左右に並べて情報の閲覧を行う前の状況を示す。情報端末1Aの右側(x軸のプラス向き)に情報端末1Bが配置されている。図7に示す各情報端末1A,1Bはセンサ15として加速度センサを有し、その加速度センサが加速度を検出する軸を各情報端末1A,1Bの表示部に図示している。なお、図示しないが加速度センサは前後のz軸方向についても加速度を検出する。以下では、操作者が、位置関係を指示したい2つの情報端末1A,1Bのそれぞれの側面のうち、隣接させたい側面どうしを3回突き当てる動作をし、その動作に基づいて位置検出装置2に位置関係を検出させる例について説明する。なお、後述するが、位置関係が指示された情報端末1にはその位置関係に応じた画像が表示される。
【0042】
図8は、図7に示す突当て操作に伴うセンサ15の出力波形の一例を示す図である。図7では、情報端末1Aも情報端末1Bもx軸方向に動いて突き当てられる。突き当て動作により検出される加速度はx軸方向の加速度であり、作用反作用の法則により突当てられた瞬間の情報端末1A,1Bの加速度の向きはほぼ反対となる。位置検出装置2はこれらのセンサ15の出力の波形に基づいて、突当てられた情報端末1を特定し、その位置関係を検出する。その処理の詳細については後述する。
【0043】
図9は、状態検出部32および送信部33の処理フローの一例を示す図である。状態検出部32は、中央制御部11および記憶部12を中心として実現される。また、送信部33は中央制御部11および通信部13を中心として実現される。状態検出部32は、動きを検出するセンサ15の出力に基づいて、他の情報端末1と突当てられた状態を検出する。送信部33はその突当てられた状態が検出された場合に、その突当てられた際の動きを示す情報を、他の情報端末1との相対位置を検出する位置検出装置2に送信する。より具体的には、はじめに、状態検出部32は、動き記録部31が記憶部12に格納した情報から、最近のM回(以下では判定区間という)に取得されたセンサ15の値の列を取得する(ステップS111)。なお、MはN以下の自然数である。次に、状態検出部32は、取得したセンサ15の値の列が示す波形が、位置関係を検出する処理のトリガとなる条件を満たしているか判断する(ステップS112)。ここで、図8の例では、トリガとなる条件は、情報端末1が3回連続して他の物体(これは実質的に情報端末1である)に突当てられたか否かである。より詳細には、状態検出部32はその3回の突当てに伴う加速度の変動として、十分の数秒程度に渡る比較的小さな絶対値の加速度を有する第1の区間、その後に瞬間的に第1の区間より大きな絶対値で逆向きの加速度を有する第2の区間、その後に徐々に絶対値が小さくなるような振動を有する第3の区間、という区間の並びが3回繰り返されることを検出する。第1の区間は操作者による移動の操作に対応し、第2の区間は情報端末1の衝突に対応する。また第3の区間の振動は、衝突後に機器そのものの弾性と操作者が機器を保持している指などの弾性により生じる。なお、上述の条件では3回の突当てとしているが、この回数は何回でも構わない。回数を2回以上とすると、一緒に突当てられていない情報端末1が誤って特定されることが減少する。
【0044】
そのトリガとなる条件が満たされていれば(ステップS112のY)、送信部33は、判定区間のセンサ15の値の列を位置検出装置2に送信する(ステップS113)。また、送信部33はあわせてそのセンサ15の値の列の検出時刻を送信する。上述の条件が満たされていない場合(ステップS112のN)またはステップS113の送信後に、状態検出部32は操作者から終了の命令が入力されるなどの終了する条件が満たされているかを判定する(ステップS114)。終了する条件がみたされていれば(ステップS114のY)、処理を終了し、終了する条件が満たされていなければ(ステップS114のN)、ステップS111の処理から繰り返す。
【0045】
なお、送信部33が送信するセンサ15の値の列は、例えば加速度センサのx軸、y軸、z軸のそれぞれの値の列であってもよいし、公知の方法で検出される衝突の向きを示す軸の角度の情報と、その軸の方向に座標変換された加速度の値の列とであってもよい。後者の値の列は、x軸方向、y軸方向、z軸方向以外の方向から突当てられたことを位置検出装置2が検出する場合に用いられる。
【0046】
図10は、位置検出装置2の処理フローの一例を示す図である。以下では位置検出装置2が実現する機能について処理フローに従い説明する。受信部41は、中央制御部21、および通信部23を中心として実現される。受信部41は、情報端末1から送信される判定区間のセンサ15の値の列やそのセンサ15の値を検出した検出時刻を含む情報を受信し、それらの情報を送信した情報端末1と関連づけて記憶部22に格納する。
【0047】
動き取得部42は、中央制御部21および記憶部22を中心として実現される。動き取得部42は、複数の情報端末1のそれぞれの動きを取得する。より具体的には、動き取得部42は、情報端末1から送信される判定区間のセンサ15の値の列とその検出をした検出時刻の情報とを記憶部22から取得する(ステップS151)。ここで、動き取得部42は、本処理を行う時刻から一定の範囲内(例えば5秒間)にある時刻に出力されたセンサ15の値の列を取得する。ここで、一定の範囲内を判定するための時刻は、前述のセンサ15の値の列の検出時刻が情報端末1と位置検出装置2との時計のずれに応じて補正されたものであってよい。後述する装置特定部43が、センサ15の値以外を用いて互いに突当てられた複数の情報端末1を特定する場合は、動き取得部42は複数の情報端末1のうちいずれかの動きを取得するだけでもよい。
【0048】
組合せ制限部44は、中央制御部21および記憶部22を中心として実現される。組合せ制限部44は、装置特定部43が特定する複数の情報端末1の組合せを制限する。具体的には、組合せ制限部44は、予め記憶部22に格納された、情報端末1の組合せを制限する情報を取得する(ステップS152)。なお、組合せを制限する情報は、情報端末1の組合せのうち装置特定部43で特定することを禁止する組合せの情報であってもよいし、装置特定部43で特定することを許す組合せの情報であってもよい。また情報端末1の組合せは、情報端末1の識別情報を用いて指定してもよいし、情報端末1の所有者や所有者の属するグループの情報を用いて指定してもよい。組合せを制限すると、装置特定部43が複数の情報端末1を特定する際に、処理対象となる組合せの数が減り処理時間が短縮される。またセキュリティ上情報を共有させたくない情報端末1の間での通信も防止される。
【0049】
装置特定部43は、中央制御部21および記憶部22を中心として実現される。装置特定部43は、互いに突当てられた複数の情報端末1を特定する。装置特定部43は、はじめに、それぞれが動き取得部42によりセンサ15の値の列が取得された情報端末1のうち2つからなる複数の組合せを生成する(ステップS153)。その際に、装置特定部43は、情報端末1の組合せを制限する情報に基づいて、その情報が示す組合せを除外するようにその複数の組合せを生成する。この組合せは、次の処理での判定対象となる。次に装置特定部43は、生成された組合せのそれぞれについて、その組合せに含まれる情報端末1が互いに突当てられているか判定する(ステップS154)。
【0050】
突き当てる操作がその組合せに含まれる2つの情報端末1の間で行なわれたか否かは、具体的には、3回当たった際の時間間隔が一致するか否かにより判定する。他には、衝突時の加速度変化と情報端末1の質量から計算可能な力積の大きさの一致性、それぞれの情報端末1が他の情報端末1と衝突した向きの相補性(左向きと右向き、上向きと下向きなど)、センサ15の値の列が示す波形の相関係数などを用いて判定してもよい。なお、3回当たった際の時間間隔が一致するか否かを判定することは、3回の衝突の時刻が一致しているか判定することと同義である。衝突時刻は、情報端末1のセンサ15の値の列を取得する際に条件とした検出時刻と、時間間隔とにより求められるからである。
【0051】
次に、装置特定部43は、互いに突当てられた情報端末1を含むと判定された組合せに基づいて、互いに突当てられた複数の情報端末1を特定する(ステップS155)。2つの情報端末1が突当てられた場合には、検出される組合せは1つであるので、その組合せに含まれる2つの情報端末1を互いに突当てられた情報端末1として特定する。また、例えば3つの端末が一度に突当てられた場合には、2または3の組合せが検出される。このような場合には、それらの組合せに含まれる3つの情報端末1を、互いに突当てられた情報端末1として特定する。
【0052】
図11は、突当てられる3つの情報端末1A,1B,1Cの一例を示す図である。図11は、操作者が2つの情報端末1A,1Bを片手に持ち、さらに情報端末1Cを別の手で持ち情報端末1Aの左側に突当て、情報端末1Cを情報端末1Aの左側にあるものとして関連づける場合を示す。ここで、情報端末1Aと情報端末1Bとは接触しているか、あるいはわずかな間隙で配置されているか、または同じ手で保持されるなどにより、情報端末1Aの加速度の変動が情報端末1Bに直接または間接に伝わるとする。図12は、図11に示す突当て操作に伴う加速度センサの出力波形の一例を示す図である。このような場合には、情報端末1Cと情報端末1Aとが衝突することにより生じる加速度の変動が情報端末1Bにも伝わるため、3つの情報端末1が互いに突当てられた情報端末1として特定される。
【0053】
なお、ここでは互いに突合わせられた情報端末1を加速度センサの出力により検出する例が示されているが、他の方法を用いてもよい。カメラの出力を用いて移動量を検出して衝突のタイミングを検出して加速度の代わりとしてもよいし、ジャイロスコープの出力を加速度センサの出力の代わりに用いてもよい。情報端末1がパーソナルコンピュータであれば、そのパーソナルコンピュータの一部となるマウスの移動量を用いてもよい。マウスを用いる場合は、操作者はマウスと他の情報端末1であるタブレット端末とを衝突させるとよい。また、衝突時に発生する音をマイクを介して取得し、その音を取得したタイミングを用いて互いに突合わせられた情報端末1を特定してもよい。
【0054】
相対位置検出部45は、中央制御部21および記憶部22を中心として実現される。相対位置検出部45は、特定された複数の情報端末1のうちいずれかが突当てられた際の動きに基づいて、特定された複数の情報端末1の相対位置を検出する(ステップS156)。2つの情報端末1の間の相対位置は、例えば以下のようにして検出するとよい。まず、相対位置検出部45は、それぞれの情報端末1のx軸、y軸、z軸の加速度変化の中で、3回突当てる操作による加速度変化の絶対値が最も大きい軸を選択する。次に、その軸の加速度の値の列を用いて、衝突時の加速度の方向を取得する。そして、相対位置検出部45はその加速度の方向に基づいて、情報端末1の相対位置を検出する。例えば、図7や図8に示す例では、相対位置検出部45は、情報端末1Aが衝突時にx軸のマイナス方向の加速度が生じることを抽出し、情報端末1Bが情報端末1Aのx軸プラス側(左側)にあることを検出する。また相対位置検出部45は、情報端末1Bが衝突時にx軸のプラス方向の加速度が生じることを抽出し、情報端末1Aが情報端末1Bのx軸マイナス側(左側)にあることを検出する。ここで、2つの情報端末1のうち片方の動きから1つの情報端末1の相対位置を検出してもよい。例えば情報端末1の向きが同じであることが重力加速度の測定などにより予め特定されていれば、情報端末1Aの加速度の値の列から、情報端末1Aが左側にあり、情報端末1Bが右側にあることが検出される。
【0055】
上述の処理を用いれば、操作者が2つの情報端末1をその位置関係を示すように突当てることによりその位置関係が検出される。操作者が2つの情報端末1を上下の位置関係にしたい場合には、操作者はその2つの情報端末1の一方の上側面と他方の下側面を突き当てる操作を行えばよい。また、操作者が情報端末1を前後(奥行き方向)の位置関係にしたい場合には、操作者は2つの情報端末1の一方の前面と他方の背面とを突き当てる操作を行なえば良い。
【0056】
それぞれの情報端末1の動きを用いて、各情報端末1の角度を検出してもよい。図13は互いに突当てられる情報端末1の他の例を示す図である。本図の場合には、相対位置検出部45は情報端末1Bの加速度の値の列により、衝突時に情報端末1Aが情報端末1Bのy軸プラス側にあることを検出する。そして、情報端末1Aと情報端末1Bとについて求められる他の情報端末1の方向に基づいて、相対位置検出部45は情報端末1Aと情報端末1Bとの相対的な角度を検出する。
【0057】
相対的な角度の検出は、x軸方向、y軸方向、z軸方向の単位でなくてもよい。例えば、情報端末1の送信部33や動き取得部42で、情報端末1の衝突による加速度の方向をセンサ15の値の列から座標変換などの考え方を用いて抽出すれば、上述の方向以外の相対的な角度も検出される。
【0058】
また、相対位置検出部45は3つ以上の情報端末1が突当てられた場合にもその相対位置を検出する。ここでは、それぞれの情報端末1の向きは、予め分かっているとする。相対位置検出部45は、それぞれの情報端末1の衝突時の加速度(動きの変化)の向きと大きさを検出し、それに基づいて複数の情報端末1の相対位置を検出する。はじめに、相対位置検出部45は情報端末1のそれぞれについて衝突時の加速度の方向を検出する。また、必要に応じて情報端末1の向きに合わせて加速度の方向を変換する。次に、加速度の大きさが最大で反対向きとなる2つの情報端末1について位置関係を検出する。その後、加速度の大きさが次に大きいものを、その加速度と同じ向きが検出された情報端末1の外側に配置することを繰り返す。
【0059】
図12に示すように、操作者の操作により直接衝突する情報端末1Cと情報端末1Aとで検出される衝突時の加速度の大きさが最も大きく、情報端末1Aを介して間接的に衝突の加速度が伝わる情報端末1Bにおける衝突時の加速度の大きさはより小さくなっている。この加速度の大きさは直接衝突する情報端末1から離れるにつれ小さくなる。相対位置検出部45はこれを利用して3つ以上の情報端末1の位置関係を検出する。また、加速度の大きさの代わりに衝突する時間のずれを用いて3つ以上の情報端末1の位置を求めてもよい。図12からもわかるように、衝突する時間は、直接衝突する情報端末1から離れるにつれ遅くなるからである。
【0060】
もちろん、3つ以上の情報端末1の相対位置を検出させるために、操作者が、2つの情報端末1の相対位置を位置検出装置2に検出させる操作と、その情報端末1のうち1つと他の情報端末1との相対位置を検出させる操作とを行ってよい。例えば情報端末1Aと情報端末1Bとの相対位置を検出させてから、情報端末1Aと情報端末1Bとが衝突しないように、情報端末1Aと情報端末1Cとを突当ててもよい。この場合は2つの情報端末1の間で相対位置を検出する方法により検出される。また、情報端末1Cと情報端末1Aとを突合わせる際に情報端末1Bに衝突する場合は、既に検出された相対位置の情報を考慮して、情報端末1A,1B,1Cの相対位置を検出してもよい。
【0061】
表示制御部46は、中央制御部21、記憶部22、および通信部23を中心として実現される。表示制御部46は、相対位置検出部45が出力する相対位置に基づいて、それぞれ複数の情報端末1に含まれる複数の表示手段に検出された相対位置に応じた画像を表示させるよう制御する。より具体的には、表示制御部46は、検出された相対位置に基づいて、画像全体の中で、どのエリアをそれぞれの情報端末1が表示するかについての情報を、情報端末1に送信する。情報端末1は、この情報に基づいて、表示手段を介してその相対位置に応じた画像を表示する。例えば、大きな文書画像の左側部分を情報端末1Aの表示画面へ、右側部分を情報端末1Bの表示画面へ、それぞれ表示させてもよい。この場合は、1つの情報端末1よりも多くの情報が有機的に結合されて表示される。この際、表示制御部46は相対位置だけでなく、情報端末1のそれぞれの画面サイズに基づいて、表示を制御してもよい。例えば、スマートフォンとタブレット端末など、画面サイズの異なる情報端末1を並べて表示させる場合に、表示される大きさを合わせるよう表示制御部46が制御してもよい。また、表示制御部46は相対位置が検出された複数の情報端末1のうち1つの画面がスクロールしたら、他の情報端末1の画面もスクロールするように表示を制御してもよい。
【0062】
また、表示制御部46は、複数の情報端末1のそれぞれの表示の向きも制御してよい。検出された情報端末1間の相対角度などに基づいて、例えば、何らかの方法で特定される1つの情報端末1の向きから他の情報端末1の向きが特定される。その特定された向きを用いて表示制御部46は複数の情報端末1のそれぞれの表示の向きを制御してよい。なお、情報端末1の表示の向きは、突合わされる方向が必ず横向きであるなどの仮定に基づいて特定してもよい。仮に各情報端末1が重力加速度を利用して縦向きか横向きかを判断する機能を有していても、水平面上に配置されている各情報端末1はその表示の向きを判定できない場合がある。このような場合であっても、検出された相対角度に基づいて表示の向きが特定され制御される。例えば、図7で情報端末1Aに縦向きの表示がされ、情報端末1Bに横向きの表示がされ、どちらも水平面上に置かれている状態で、情報端末1Aと情報端末1Bとを水平面上をずらしながら突当てた場合、表示制御部46は情報端末1Aおよび1Bが同じ表示の向きとなるよう表示するように制御する。
【0063】
また、表示制御部46は、複数の表示手段のそれぞれに位置あわせの目安となる画像を出力させるよう制御してもよい。図14は、情報端末1に表示される位置あわせ画像の一例を示す図である。図14の例では、各情報端末1の画面のうち、他の情報端末1に近い側の端に位置合わせ用のマーカ70を表示している。複数の情報端末1を突合わせた際にその位置がずれていた場合に、操作者はこのマーカ70を参考にして位置あわせをすればよい。
【0064】
なお、位置検出装置2は、情報端末1の筐体に含まれていてもよい。図15は、位置検出装置2を含む情報端末1の構成の例を示す機能ブロック図である。図14に示す情報端末1は、機能的に、動き記録部61、状態検出部62、送受信部63、動き取得部64、装置特定部65、組合せ制限部66、相対位置検出部67、表示制御部68および表示出力部69を含む。動き記録部61、状態検出部62、動き取得部64、装置特定部65、組合せ制限部66、相対位置検出部67、表示制御部68および表示出力部69は、それぞれ、動き記録部31、状態検出部32、動き取得部42、装置特定部43、組合せ制限部44、相対位置検出部45、表示制御部46および表示出力部34と同様の処理を行う。
【0065】
送受信部63は、中央制御部11、記憶部12および通信部13を中心として実現される。送受信部63は状態検出部62により送信の条件が検出された判定区間のセンサ15の値を他の情報端末1に送信し、他の情報端末1からその情報端末1のセンサ15の値を受信する。情報端末1のそれぞれは送受信した情報に基づいて相対位置を検出する。送受信部63は、複数の情報端末1の中で相対位置を検出する制御端末を決定し、その中心装置以外の情報端末1が制御端末にセンサ15の値を送信し、またその制御端末の制御に基づいて表示出力部69が画像を表示してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1,1A,1B,1C 情報端末、2 位置検出装置、3 ネットワーク、11 中央制御部、12 記憶部、13 通信部、14 入出力部、15 センサ、21 中央制御部、22 記憶部、23 通信部、31,61 動き記録部、32,62 状態検出部、33 送信部、34,69 表示出力部、41 受信部、42,64 動き取得部、43,65 装置特定部、44,66 組合せ制限部、45,67 相対位置検出部、46,68 表示制御部、63 送受信部、70 マーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに突当てられた複数の情報処理装置を特定する装置特定手段と、
前記複数の情報処理装置のうちいずれかの動きを取得する動き取得手段と、
前記特定された前記複数の情報処理装置のうち前記いずれかが突当てられた際の動きに基づいて、前記特定された複数の情報処理装置の相対位置を検出する相対位置検出手段と、
を含むことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記動き取得手段は、前記複数の情報処理装置のそれぞれの動きを取得し、
前記相対位置検出手段は、前記特定された前記複数の情報処理装置のそれぞれが突当てられた際の動きに基づいて、前記複数の情報処理装置の相対位置および角度を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記装置特定手段は、互いに突当てられた少なくとも3つの情報処理装置を特定し、
前記相対位置検出手段は、前記少なくとも3つの情報処理装置の動きの変化の向きと大きさとに基づいて、前記少なくとも3つの情報処理装置の相対位置を検出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記装置特定手段は、互いに突当てられた少なくとも3つの情報処理装置を特定し、
前記相対位置検出手段は、前記少なくとも3つの情報処理装置の動きの変化の向きと当該少なくとも3つの情報処理装置が突当てられた時間の相違とに基づいて、前記少なくとも3つの情報処理装置の相対位置を検出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記装置特定手段は、複数の情報処理装置のそれぞれの動きを検出するセンサの出力に基づいて、互いに突当てられた複数の情報処理装置を特定する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記特定手段は、複数の情報処理装置のそれぞれの動きを検出するセンサの出力と、前記複数の情報処理装置の組合せを制限する情報とに基づいて、互いに突当てられた複数の装置を特定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記相対位置検出手段が出力する相対位置に基づいて、それぞれ前記特定される複数の情報処理装置に含まれる複数の表示手段に前記相対位置に応じた画像を表示させるよう制御する表示制御手段、
をさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記複数の表示手段のそれぞれに位置あわせの目安となる画像を出力させるよう制御する、
ことを特徴とする請求項7に記載の位置検出装置。
【請求項9】
動きを検出するセンサの出力に基づいて、他の情報処理装置と突当てられた状態を検出する状態検出手段と、
前記突当てられた状態が検出された場合に、前記突当てられた際の動きを示す情報を、前記他の情報処理装置との相対位置を検出する位置検出装置に送信する送信手段と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記送信手段は、2回以上連続して他の情報処理装置と突当てられた状態を検出した場合に、前記他の情報処理装置との相対位置を検出する位置検出装置に送信する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
互いに突当てられた複数の情報処理装置を特定する装置特定手段、
前記複数の情報処理装置のうちいずれかの動きを取得する動き取得手段、および、
前記特定された前記複数の情報処理装置のうち前記いずれかが突当てられた際の動きの変化に基づいて、前記特定された複数の情報処理装置の相対位置を検出する相対位置検出手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項12】
動きを検出するセンサの出力に基づいて、他の情報処理装置と突当てられたことを検出する突合検出手段、および、
前記突当てられたことが検出された場合に、前記突当てられた際の動きの変化を示す情報を、前記他の情報処理装置との相対位置を検出する位置検出装置に送信する送信手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−69014(P2013−69014A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205576(P2011−205576)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)