説明

位置検出装置

【課題】 ハンドルバーに固定される位置検出装置において、被検出部と検出部との位置ズレを抑え、検出精度の低下を抑制可能な位置検出装置を提供する。
【解決手段】
ハンドルバー2に設けられたハンドルグリップ3の回動動作に基づいて回動する被検出部4と、被検出部4を検出する検出部5と、被検出部4と検出部5とを収納するケース6とを備えた位置検出装置1において、被検出部4を回動可能に支持するとともに検出部5を固定する支持部材7を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車のハンドルグリップ等の操作手段の操作位置をホールIC等の磁気検出部にて検出する位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の位置検出器は、二輪車のハンドルバーに回動可能に取り付けられたハンドルグリップと、このハンドルグリップの回動操作に同期して回動し磁石や磁性体からなる被検出部である閉磁気回路を備えた移動部材と、前記閉磁気回路に生じる漏洩磁界を検出する検出部である磁気検出部と、この磁気検出部を搭載した回路基板と、前記移動部材や磁気検出部や回路基板等を収納する枠体とを備えたものであった(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−98005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の位置検出装置では、前記閉磁気回路を備えた前記移動部材は、前記ハンドルバーに取り巻くように配置されて回動可能に支持されており、前記閉磁気回路に生じる漏洩磁界を検出する前記磁気検出部は、前記回路基板を介して前記ハンドルバーに固定された前記枠体に固定されていた。
【0005】
前記位置検出装置が取り付けられる前記ハンドルバーは、その用途上、要求される寸法の公差が、厳しいものである必要はなかった。このハンドルバーを基準として、前記被検出部である閉磁気回路と前記検出部である磁気検出部とを別々に設けているために、前記閉磁気回路と前記磁気検出部との位置関係が、設計当初の位置関係からズレが生じ、検出精度が低下するという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、ハンドルバーに固定される位置検出装置において、被検出部と検出部との位置ズレを抑え、検出精度の低下を抑制可能な位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における位置検出装置は、ハンドルバーに設けられたハンドルグリップの回動動作に基づいて回動する被検出部と、前記被検出部を検出する検出部と、前記被検出部と前記検出部とを収納するケースとを備えた位置検出装置において、前記被検出部を回動可能に支持するとともに前記検出部を固定する支持部材を設けたものである。
【0008】
また、前記被検出部を磁気部材とし、前記検出部を前記磁気部材の磁束密度の変化を検出する磁気検出部としたものである。
【0009】
また、前記支持部材を前記ハンドルバーを取り囲むように形成したものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、ハンドルバーに固定される位置検出装置において、被検出部と検出部との位置ズレを抑え、検出精度の低下を抑制可能な位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の位置検出装置の側面図。
【図2】図1中A−A線の断面図。
【図3】図2中B−B線の断面図。
【図4】支持部材と抜け止め部材の斜視図。
【図5】支持部材の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明の第1実施形態を、二輪車のハンドルバーに回動可能に設けられたハンドルグリップの操作位置(回動角)を検出する位置検出装置を例にとって説明する。
【0013】
本発明の位置検出装置1は、図示しない二輪車のハンドルバー2に設けられるものであり、ハンドルグリップ3と、このハンドルグリップ3とともに回動する被検出部4と、この被検出部4を検出する検出部5と、被検出部4を回動可能に支持するとともに検出部5を固定した支持部材7と、被検出部4と検出部5とを収納するケース6とを備えている。
【0014】
ハンドルバー2は、鉄やアルミニウム等の金属からなり、円筒形状である。
【0015】
ハンドルグリップ3は、スリーブ3aとグリップ部3bとで構成されており、スリープ3aは、合成樹脂からなる円筒形状で、ハンドルバー2の外周に回動自在に位置している。スリープ3aは、図3中左側の端部に、鍔部3cを備えている。鍔部3cは円盤形状で、ハンドルグリップ3の外周に切れ目なく設けられている。そして、その縁の一部に、被検出部4と連結し、ハンドルグリップ3の回動を伝達する連結部3dを備えている。
【0016】
グリップ部3bは、運転者が握る部分であり、ゴム等の弾性部材からなり、スリーブ3aの外周を切れ目なく覆っており、スリーブ3aに強固に固定されている。
【0017】
被検出部4は、ベース部材4aと、磁石4bと、ヨーク4cとからなり、磁気部材を構成している。
【0018】
ベース部材4aは合成樹脂からなり、環状で、支持部材7が貫通する孔部41を備えており、支持部材7に回動可能に支持されている。また、ベース部材4aには、ハンドルグリップ3に設けた連結部3dが挿入される凹みからなる受け部42を備えている。ハンドルグリップ3の連結部3dを受け部42に挿入することによって、ハンドルグリップ3の回動が、ベース部材4aに伝わり、被検出部4が回動するものである。
【0019】
磁石4bは、永久磁石からなり、円柱形状で、本実施形態では、2つ設けられている。ある。2つの磁石4bは、ともにベース部材4aに固定されている。
【0020】
ヨーク4cは、金属の軟磁性材料からなり、板状で、かつ半円弧の形状である。ヨーク4cは、ベース部材4aに固定されている。ヨーク4cは、1つ設けられている。ヨーク4cは、両端で2つの磁石4bと接触し、閉磁気回路を構成している。
【0021】
検出部5は、磁気検出素子51と回路基板52とからなり、磁気検出部を構成している。
【0022】
磁気検出素子51は、磁束密度の変化を電気信号に変換するものであり、例えば、ホール素子等である。磁気検出素子51は、2つ設けられており、ヨーク4cの板面に沿うように配設され、磁石4bとヨーク4cによって形成される閉磁気回路の漏洩磁束密度の変化を検出するものである。
【0023】
回路基板52は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性の基材に図示しない導電路やこの導電路と電気的に接続された電子部品等を備えたものである。磁気検出素子51は、回路基板52に電気的に接続されている。また、回路基板52には、外部回路に接続された配線54が電気的に接続されている。磁気検出素子51の信号は、回路基板52と配線54を介して外部の回路に出力される。
【0024】
53は、回路ホルダー部53であり、支持部材7に一体に形成されている。回路ホルダー部53は、カップ形状をしており、磁気検出素子51と回路基板52を収納するものである。特に、回路ホルダー部53には、磁気検出素子51を収納する袋状の収納部55を備えており、この収納部55内に磁気検出素子51が嵌め込まれている。収納部55は、ヨーク4cに近接し、ヨーク4cの板面に沿うように設けられている。
【0025】
支持部材7は、合成樹脂からなり、環状で、ハンドルバー2が貫通する孔部71を備えた筒状体であり、ハンドルバー2の外周を取り囲んでいる。そして、支持部材7は、ハンドルバー2に対して、図示しない手段によって回動しないように固定されている。支持部材7は、円筒形状の回動支持部72を備えており、被検出部4を回動可能に支持している。
【0026】
支持部材7は、図3中、回動支持部72の左側に、回動支持部72の外周より大きい外周の移動規制部73を備えている。この移動規制部73は、被検出部4のハンドルグリップ3の回動軸方向において、図3中左側への移動を規制するものである。
【0027】
また、支持部材7は、図3中、回動支持部72の右側に、抜け止め部材74が取り付けられている。この抜け止め部材74は、被検出部4の回動支持部72からの脱落を防止するとともに、被検出部4のハンドルグリップ3の回動軸方向において、図3中右側への移動を規制するものである。
【0028】
抜け止め部材74について詳述する。抜け止め部材74は、孔部74bを有する環状であり、その孔部74bの内側に突出する所定の長さを有する一対の凸部(第1の固定部)74aが設けられている。この凸部74aは、庇状で、孔部74bの貫通方向(言い換えると、ハンドルグリップ3の回動軸方向)に対して垂直方向(抜け止め部材74の板面方向)であって、孔部74bの内周に沿って設けられている。
【0029】
一方、支持部材7の回動支持部72の端部側には、一対の凸部74aに対応する一対の案内溝部(第2の固定部)7aが、設けられている。案内溝部7aは、凸部74aを案内溝部7aに導き入れる導入溝部7a1と、凸部74aを保持する保持溝部7a2とで構成されており、導入溝部7a1は、支持部材7の孔部71と同一方向(言い換えると、ハンドルグリップ3の回動軸方向)に延びており、保持溝部7a2は、導入溝部7a1とは、直角に交わる方向に、支持部材7の回動支持部72の外周に沿って設けられている。したがって、抜け止め部材74は、図4中の矢印Cのように、凸部74aが、案内溝部7aの導入溝部7a1に沿って案内溝部7a内に入る。次いで、凸部74aが、案内溝部7aの保持溝部7a2に沿って回転移動する。そして、凸部74aが、保持溝部7a2の当接部7a4に当接して回転移動を停止する。
【0030】
また、保持溝部7a2には、凸部74aが当接部7a4に当接した状態で、抜け止め部材74の凸部74aに係合し、抜け止め部材74を固定する固定部として突起7bが設けられている。この突起7bは、案内溝部7a2を構成する側壁7a3に設けられており、案内溝部7a2の幅を狭めるように、案内溝部7a2内側方向へ突出して形成されている。本実施形態では、突起7bは、支持部材7の孔部71と同一方向(言い換えると、ハンドルグリップ3の回動軸方向)に突出して形成されている。従って、抜け止め部材74を支持部材7に溶着や接着剤を用いずに取り付けることができるため製造工程を簡素化できる。
【0031】
支持部材7には、移動規制部73の左側に、支持部75を備えている。この支持部75には、検出部5の回路ホルダー部53が一体に形成されている。なお、8は、コイルスプリングからなるリターンスプリングであり、運転者によって操作されたハンドルグリップ3を初期の位置に復帰させるものである。このリターンスプリング8の一端は、被検出部4のベース部材4aに固定されており、他端は、支持部材7に固定されている。
【0032】
ケース6は、第1、第2のケース61、62とから構成されている。第1、第2のケース61、62とも、合成樹脂製で、およそ半円形状のカップ形状である。第1、第2のケース61、62は、ハンドルグリップ3の回動中心軸方向に沿って分割するものである。第1、第2のケース61、62は溶着等の適宜手段によって固定されている。
【0033】
ケース6は、被検出部4と検出部5とを収納するものである。なお、本実施形態では、支持部材7も、ケース6とともに被検出部4と検出部5とを収納する外殻の一部を構成している。ケース6は、ハンドルバー2に対して図示しない手段によって回動しないように固定されている。
【0034】
なお、63は、パッキンであり、検出部5の配線54が貫通している。
【0035】
以上の構成によって、ハンドルバー2に固定される位置検出装置1において、被検出部4と検出部5との位置ズレを抑え、検出精度の低下を抑制することができる。
【0036】
また、支持部材7に被検出部4と検出部5とを組み付けたことによって、被検出部4、検出部5、支持部材7とを1つの組み立て部品として取り扱うことができ、製造工程や車両への組み付け工程等において、取り扱いが容易になり、作業性の向上とコスト削減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、二輪車のハンドルグリップ等の操作手段の操作位置を検出する位置検出装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 位置検出装置
2 ハンドルバー
3 ハンドルグリップ
4 被検出部(磁気部材)
4a ベース部材
4b 磁石
4c ヨーク
5 検出部(磁気検出部)
6 ケース
7 支持部材
7a 案内溝部(第2の固定部)
7a1 導入溝部
7a2 保持溝部
7a3 側壁
7a4 当接部
7b 突起(固定部)
51 磁気検出素子
52 回路基板
72 回動支持部
74 抜け止め部材
74a 凸部(第1の固定部)
74b 孔部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルバーに設けられたハンドルグリップの回動動作に基づいて回動する被検出部と、前記被検出部を検出する検出部と、前記被検出部と前記検出部とを収納するケースとを備えた位置検出装置において、前記被検出部を回動可能に支持するとともに前記検出部を固定する支持部材を設けたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記被検出部を磁気部材とし、前記検出部を前記磁気部材の磁束密度の変化を検出する磁気検出部としたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記支持部材を前記ハンドルバーを取り囲むように形成したことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記支持部材に対して前記被検出部が抜けないように保持する抜け止め部材を備え、前記抜け止め部材に第1の固定部を備え、前記支持部材の端部側に前記第1の固定部に対応する第2の固定部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記抜け止め部材は孔部を有する環状であり、前記第1の固定部は前記孔部の内側に突出する凸部であり、第2の固定部は前記凸部に対応する案内溝部であり、前記案内溝部に前記抜け止め部材を固定する固定部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の位置検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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