説明

位置検出装置

【課題】従来の位置検出器では、軸部がきわめて強いねじり力を受けながら極端に長期にわたり使用された場合には、案内面に接する摺動ホルダの2つの摺動面の一方のみが偏摩耗するおそれがあり、もし2つの摺動面の一方のみが偏摩耗すると磁石は磁気検知器と平行にならず、位置検出精度が低下するおそれがあった。
【解決手段】固定部に設けられた案内部に沿って直線的に往復移動する移動部材と、移動部材と一緒に移動する磁石と、固定部に設置されて磁石からの磁界を検知する磁気検知器と、を有する位置検出装置において、磁石は移動部材の移動方向に向く両端部よりもその中間領域が突出する突曲面を有する立体形状であり、突曲面は移動部材の移動軸に対して軸対称となる形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種装置の機構の移動量を検知するのに使用される移動検出装置に係り、特に、移動部材に磁石が搭載され、固定部に前記磁石からの磁界を検知する磁気検知器が設けられた位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器に使用される位置検出装置では、固定部に設けられた案内部に沿って直線的に往復移動する移動部材と、移動部材と一緒に移動する磁石と、固定部に設置されて磁石からの磁界を検知する磁気検知器とを有しており、磁石による磁界が磁石からの距離により変化することを利用して、磁気検知器の出力から磁石と磁気検知器の距離を検出し、磁石が取り付けられた移動部材の位置を検出する。
このような位置検出装置では、磁石の磁界の磁束密度が磁石からの距離により線形に変化すると精度の良い位置検出が可能であるが、磁石の形状によっては磁束密度が非線形に変化することがある。
このため、特許文献1では図5(a)に示すように、磁気検知器116の近傍に形成された案内面114を摺動する摺動ホルダ120が設けられ、この摺動ホルダ120に磁石130が保持されている。磁石130の磁気検知器116に向く対向面133は曲面であり、この対向面133が摺動ホルダ120に形成された開口部123から磁気検知器116の方向へ突出して、磁気検知器116との距離を短くしている。摺動ホルダ120と移動本体部112bは板ばね140で接続されており、移動本体部112bが移動すると摺動ホルダ120が案内面114を摺動するため、磁石130と磁気検知器116との相対距離を常に最適に設定でき、磁束密度の変化を線形にできる。
さらに、特許文献1に開示される構成では、摺動ホルダ120と移動本体部112bとの間には板ばね140が設けられ、この板ばね140によって摺動ホルダ120が案内面114に押しつけられているため、位置検出装置が長期にわたり使用され、摺動ホルダ120や案内面114が摩耗した場合でも、摺動ホルダ120は案内面114に確実に押しつけられ、磁石130と磁気検知器116との相対距離を常に最適に維持できるので安定した位置検出が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−060339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、位置検出器の用途によっては、軸部112aがねじり力を受ける場合があり、軸部112aがきわめて強いねじり力を受けながら極端に長期にわたり使用された場合には、図5(b)に示すように案内面114に接する摺動ホルダ120の2つの摺動面120a,120bの一方のみが偏摩耗するおそれがあり、もし2つの摺動面120aまたは120bの一方のみが偏摩耗すると、磁石130は磁気検知器116と平行にならない。
特許文献1に開示される構成では、位置検出精度を維持するためには磁石と磁気検知器は平行であることが必要であるので、軸部112aがきわめて強いねじり力を受けながら極端に長期にわたり使用された場合には、位置検出精度が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は磁石と磁気検知器が平行とならない場合でも、位置検出精度が低下しない位置検出装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、固定部に設けられた案内部に沿って直線的に往復移動する移動部材と、前記移動部材と一緒に移動する磁石と、前記固定部に設置されて前記磁石からの磁界を検知する磁気検知器と、を有する位置検出装置において、前記磁石は、前記移動部材の移動方向に向く両端部よりもその中間領域が突出する突曲面を有する立体形状であり、前記突曲面は前記移動部材の移動軸に対して軸対称となる形状であることに特徴を有する。
【0007】
これにより、本発明の位置検出装置では、磁石は両端部よりもその中間領域が突出する突曲面を有しているので、磁石を磁気検知器に近接して配置でき、磁気検知器が検出する磁石からの磁界の磁束密度が高くなり、安定した検出動作が可能となる。さらに、磁石が移動軸の中心を軸とした軸対称体となっているため、磁石を移動軸に取り付ける際や長期にわたる使用により磁石の回転取り付け誤差が発生しても、位置検出精度は低下しない。
【0008】
また、本発明による位置検出装置では、前記磁石は磁界の向きが前記移動部材の前記移動方向と一致するように着磁されており、前記磁気検知器は前記磁石からの前記磁界の磁束密度の前記移動方向に垂直な方向の成分の強さを検知することに特徴を有する。
【0009】
これにより、本発明の位置検出装置では、移動部材とともに磁石が移動したときに磁気検知器の出力信号が一方側の最大から他方側の最大まで連続して変化する磁界特性を得ることができるので、磁気検知器の検出値から磁石の位置を容易に検出できる。
【0010】
また、本発明による位置検出装置では、前記磁石の前記突曲面の形状は、前記磁石が移動したときに前記磁気検知器で検知される前記磁界の前記磁束密度の前記垂直な方向の成分が、前記磁石の移動距離に対して線形に変化するような形状とされていることに特徴を有する。
【0011】
これにより、本発明の位置検出装置では、移動部材とともに磁石が移動したときの磁気検知器の出力信号が直線的に変化するので、磁気検知器の出力信号を複雑な補正をすることなく、磁石の位置を精度良く検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁石は両端部よりもその中間領域が突出する突曲面を有し、かつ移動軸の中心を軸とした軸対称体となっているため、磁石を磁気検知器に近接して配置できるとともに、磁石の回転取り付け誤差が発生しても、位置検出精度は低下しない位置検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る位置検出装置の三面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る位置検出装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】上記実施形態の位置検出装置の構造を示す断面図である。(a)は図1のA−A断面図。(b)は図1のB−B断面図である。(c)はB−B断面位置でガイド部が摩耗しスライダーが傾斜した状態を示す断面図である。
【図4】磁石の対向面の形状による磁場強度変化を説明するグラフである。
【図5】従来構造の位置検出装置の構造を示す断面図である。(a)は図1のA−A断面に対応する従来構造の位置検出装置の断面図。(b)は図5(a)のC−C断面図でガイド部が摩耗し摺動ホルダが傾斜したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態>
以下、本発明の実施形態について図1から図4を参照し説明する。
なお、本発明の実施の形態に係る位置検出装置は自動車の各種装置制御に用いられるリニアスケールであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の位置検出装置に適用することが可能である。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るリニアスケールの外観図である。
図1に示すように、リニアスケールは、ケース(固定部)1に取り付けられたカバー4から摺動可能な軸部2aが突出しており、軸部2aの先端を測定対象物に接触させることにより測定対象物の位置を測定する。
【0016】
図2はリニアスケールの構成を示す分解斜視図である。以下、図2を参照しリニアスケールの構成部品を説明する。
【0017】
リニアスケールは、図2に示すように、外形を構成するケース1と、ケース1に移動可能に保持されるスライダー(移動部材)2と、スライダー2に保持される磁石3,スライダー2を突出方向に付勢する圧縮バネ6,ケース1の開口部に嵌合するカバー4、および、ケース1の上面に配置されるセンサ(磁気検知器)5から構成される。
【0018】
ケース1は、成形材等で有底の略筒形状に形成され、内筒面にはスライダー2を筒形状の深さ方向にガイドするガイド溝部(案内部)1aが設けられ、外筒面にはセンサ5の取り付け部1cおよび取り付け面1dを有する。また、筒形状の開口部はカバー4を取り付ける形状を有しており、その外周には位置検出装置を用途先製品に取り付けるためのフランジ部1bを有している。
【0019】
スライダー2は成形材等で形成され、略板状の本体部と、本体部の一方側に突出する円柱状の軸部2aと、本体部の他方側に突出する同じく円柱状の磁石保持部2bを有する。また本体部の長手側の両端部は摺動腕部2c,2dとなる。
【0020】
磁石3は中心に穴部を有する略円筒形状の、焼結または少量のプラスチック材とともに成形加工されたネオジウム磁石で、円筒形状の側面部は中間領域が突出した突曲面となっている。また、磁石3は円柱形状の長さ方向に着磁され、一方の端面がN極となり他方の端面がS極となる。
【0021】
カバー4は成形材等で板状に形成され、中央に貫通穴部を有し、スライダー2を摺動可能に保持する。
【0022】
センサ5はホールセンサ等の、磁気により出力信号が変化するセンサで、センサ5はセンサ5を通過する磁束のうち、センサ5を取り付ける取り付け面1dに直交する方向成分の強さにより出力信号が変化する。以下、取り付け面1dに直交する方向を検出方向と記載する。
【0023】
圧縮バネ6は非磁性のバネ用ステンレス鋼線等で製作される。
【0024】
次に図3を参照して、本実施形態における位置検出装置の構造を説明する。図3は位置検出装置の構造を示す断面図で、図3の(a)は位置検出装置を図1のA−Aに沿って切断した断面図である。
【0025】
図3の(a)に示すように、磁石3の中央の穴部にはスライダー2の磁石保持部2bが差し込まれ、磁石3はスライダー2に固定される。カバー4はケース1の開口部に固定される。また、スライダー2の軸部2aはカバー4の中央の貫通穴部を通過し、摺動腕部2c,2dはケース1のガイド溝部1a(図2参照)と係合する。これにより磁石3が固定されたスライダー2はケース1のガイド溝部1aに沿って筒形状部内を直線的に摺動可能となる。
【0026】
圧縮ばね6はスライダー2の摺動腕部2c,2dの先端付近の端面(図示せず)とケース1の内底面に圧縮されながら当接することにより、スライダー2をカバー4側に付勢する。これにより軸部2aはカバー4から最大に突出した状態となるとともに、被測定物により移動させられることが可能となる。
【0027】
センサ5はケース1の外筒面に設置されており、ケース1の筒形状の壁部を介して磁石3と対向している。
【0028】
磁石3が移動したときのセンサ5の出力変化特性は、磁石3による検出方向成分の磁束密度の分布特性により決定される。
【0029】
以下に、図4を参考に、磁石3による検出方向成分の磁束密度の分布状態を説明する。なお、以降、磁石3の長さ方向の中央位置を磁石中心と呼称する。
【0030】
図4は、磁石3のセンサ5と対向する面から磁石−センサ間の距離だけ離れた位置での、磁石中心からの距離による磁束密度の検出方向成分の変化を示すグラフである。なお、グラフ中の検出方向磁束密度の(+)は磁束が磁石3からセンサ5にむかう方向であることを示し、(−)は磁束がセンサ5から磁石3にむかう方向であることを示す。
【0031】
本発明の実施の形態、すなわち磁石3の形状が両端部よりその中間領域が突出する突曲面となっている場合の検出方向の磁束密度の変化を実線L1で示す。
また比較のため、磁石の形状が本発明の実施の形態によらない、単純な円筒状である場合の検出方向の磁束密度の変化を破線L2で示す。
【0032】
磁石3の磁力線は一方の端面であるN極から出て、湾曲しながら磁石3の外部を通過し最後に他方の端面であるS極に戻るが、磁石中心位置では磁力線は磁石3の長さ方向と平行になる。また端面付近では磁力線が磁極に集中する。
【0033】
このため、磁石中心位置では検出方向の磁束密度はゼロとなり、磁石中心位置から遠ざかると徐々にプラスまたはマイナス側に変化し、磁石3の端面位置では磁力線の磁極への集中により検出方向の磁束密度は急激に変化して極値となり、以降緩やかにゼロに近づく。
【0034】
本発明の実施の形態によらない単純な円筒状の磁石では、磁石中心からの距離が変化しても磁石の側面部とセンサ位置までの距離は一定であるため、磁石中心付近では緩やかに変化し、端面位置付近で大きく変化し、全体としてはうねりを持ったSの字状の変化を示す。
【0035】
これに対し、本発明の実施形態で用いた磁石3では、略円柱状の側面部の中間領域が両端部より突出する突曲面となる立体形状となっているので、磁石中心から離れると側面部が徐々にセンサ位置から遠ざかるように変化し、本発明の実施の形態によらない単純な円筒状の磁石の場合と比較して、中央位置付近のセンサ位置での検出方向の磁束密度の変化が大きくなる。また、端面位置では磁石3の側面部までの距離が大きいので磁極への磁力線の集中の影響が小さくなるので、端面位置での検出方向の磁束密度の変化が緩やかとなる。
この結果、本発明の実施形態で用いた略円柱状の側面部の中間領域が両端部より突出する突曲面となる立体形状とした磁石3では、センサ位置での磁力線の検出方向の磁束密度は磁石3の中央位置から端面位置付近までほぼ直線的に変化する。
【0036】
以上より、円柱形状の側面部を中間領域が両端部より突出する突曲面とした磁石3の、検出方向成分の磁束の強度は、図4に実線L1で示すように、磁石中心位置でゼロとなり、端面位置の手前まではほぼ直線的に変化し、端面位置で極値となり以降緩やかにゼロに近づく。
【0037】
以上は磁石中心からの距離による磁束密度の検出方向成分の変化の説明であるが、本発明の実施形態でセンサ5として使用するホールICの出力信号は、センサ5の検出方向の磁束密度に直線比例して変化するため、磁石3がセンサ5の直上を移動したときのセンサ5の出力信号の変化は磁石3の中心からの距離による磁力線の変化と同一となる。
【0038】
従って、本発明の実施の形態によらない単純な円筒状の磁石では磁束密度の検出方向成分はうねりを持った変化を示すので、このような形状の磁石を使用するとセンサ5の出力から精度良く位置を測定することができない。
【0039】
これに対し、本発明の実施形態で用いた中間領域が突出する突曲面となっている磁石3の場合、磁束密度の検出方向成分は端面位置の手前まではほぼ直線的に変化するのでセンサ5の出力から位置を精度良く測定することが可能である。
【0040】
磁石3の突曲面の具体的な形状はシミュレーションにて求めることが可能で、例えば磁石3をフェライト磁石とし、磁石3の突曲面とセンサ5の最小隙間を0.8mm、磁石3の最大厚さを2mm、磁石長を16mmとした場合、突曲面の曲率をR45とすると、磁石3の全長の概ね3/4の範囲で検出方向成分の磁束の強度が1%以下の誤差で直線的に変化する特性を得ることができる。
【0041】
以上のように、シミュレーションを併用することにより、磁石の突曲面の形状を磁石が移動したときに磁気検知器で検知される磁束密度の検出方向成分が磁石の移動距離に対して線形に変化するような形状とすることとが可能である。
これにより、磁石が移動したときに磁気検知器で検知される検出方向の成分、すなわち移動方向に垂直な方向の磁束密度の成分が直線的に変化する磁界特性を得ることができるので、精度の良い位置検出が可能となる。
【0042】
次に、図5の(a)および(b)を参照して、リニアスケールのスライダー2の軸部2aがねじり力を受けながら長期間使用され、スライド機構のガイド構造部が偏摩耗した場合の挙動を説明する。
【0043】
図5の(a)は図1のA−Aに対応する面で切断した、本発明の実施の形態によらない従来構造の位置検出装置の断面図で、(b)は、従来の位置検出装置を図5の(a)のC−Cに沿って切断した断面図で、従来の位置検出装置のスライダーの摺動ガイド構造部が偏摩耗した状態を示す。
【0044】
図5の(b)は、例えば、軸部112aが反時計方向のねじり力を受けながら長期間使用され、摺動ホルダ120の2つの摺動面120a,120bのうち摺動面120bのみが摩耗し、摺動ホルダ120が反時計方向に傾斜している。
この状態では摺動ホルダ120が傾斜することにより磁石130も傾斜し、磁石130と磁気検知器116が平行にはならない。
【0045】
従来の位置検出装置では磁石130は磁気検知器116に向く対向面113が曲面となった板状であるため、周囲の磁場も対向面113の形状に似た分布となる。このような形状の磁場を持つ磁石130が傾斜すると、磁気検知器116の位置では磁石130の移動に伴う磁束密度変化の直線性が悪化することが知られている。
【0046】
このため、従来の位置検出装置ではスライド機構のガイド構造部が偏摩耗すると位置検出精度が低下する。
【0047】
これに対し、本発明の実施形態に係るリニアスケールでは、図3に示すように、磁石3を移動方向の移動軸に対して軸対称となる形状とした。これにより磁石3により作られる周囲の磁場も移動軸に対し軸対象の分布となる。
【0048】
図3の(c)は本発明の実施形態に係るリニアスケールのスライダー2の摺動腕部2c,2dが摩耗しスライダー2が傾斜した状態を示す、図1のB−B断面図である。
本発明の実施形態に係るリニアスケールでも摺動腕部2c,2dが摩耗すると、図3の(c)に示すようにスライダー2は傾斜する。しかし磁石3が軸対称となる形状であるため、スライダー2が傾斜してもセンサ5の中心を通るセンサ5に垂直な線分と磁石3の中心は一致しており、磁石3により作られる周囲の磁場が移動軸に対し軸対象の分布であるため、センサ5と磁石3の磁場の状態は変化しない。
【0049】
以上のように、ケース1(固定部)に設けられたガイド溝部1a(案内部)に沿って直線的に往復移動するスライダー2(移動部材)と、前記スライダー2(移動部材)と一緒に移動する磁石3と、前記ケース1(固定部)に設置されて前記磁石3からの磁界を検知するセンサ5(磁気検知器)と、を有するリニアスケール(位置検出装置)において、前記磁石3は、前記スライダー2(移動部材)の移動方向に向く両端部よりもその中間領域が突出する突曲面を有する立体形状であり、前記突曲面は前記スライダー2(移動部材)の移動軸に対して軸対称となる形状である本発明の実施の形態に係るリニアスケール(位置検出装置)では、磁石3により作られる周囲の磁場が移動軸に対し軸対象の分布であるため、スライド機構のガイド構造部が偏摩耗しスライダー2が傾斜しても位置検出精度が悪化することがなく、磁石3の位置を精度良く測定することが可能である。
【0050】
以上、本発明による位置検出装置の実施例を記載したが、例示した磁石3の突出形状および曲率等は本発明の実施に係る事例であり、実施にあたり曲率および突出形状は種々変更可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 ケース(固定部)
1a ガイド溝部(案内部)
1b フランジ部
1c 取り付け部
1d 取り付け面
2 スライダー(移動部材)
2a 軸部
2b 磁石保持部
2c 摺動腕部
2d 摺動腕部
3 磁石
4 カバー
5 センサ(磁気検知器)
6 圧縮ばね
112a 軸部
112b 移動本体部
114 案内面
116 磁気検知器
120 摺動ホルダ
120a 摺動面
120b 摺動面
123 開口部
130 磁石
133 対向面
140 板バネ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に設けられた案内部に沿って直線的に往復移動する移動部材と、
前記移動部材と一緒に移動する磁石と、
前記固定部に設置されて前記磁石からの磁界を検知する磁気検知器と、
を有する位置検出装置において、
前記磁石は、前記移動部材の移動方向に向く両端部よりもその中間領域が突出する突曲面を有する立体形状であり、前記突曲面は前記移動部材の移動軸に対して軸対称となる形状であることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記磁石は磁界の向きが前記移動部材の前記移動方向と一致するように着磁されており、前記磁気検知器は前記磁石からの前記磁界の磁束密度の前記移動方向に垂直な方向の成分の強さを検知することを特徴とする、請求項1に記載の位置検出装置
【請求項3】
前記磁石の前記突曲面の形状は、前記磁石が移動したときに前記磁気検知器で検知される前記磁界の前記磁束密度の前記垂直な方向の成分が、前記磁石の移動距離に対して線形に変化するような形状とされていることを特徴とする、請求項2に記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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