説明

位置調整ユニット

本発明は、切断機の切断頭部の移動調整動作を行うように機能する位置調整ユニットに関し、特に食品をスライスするスライサの移動調整動作を行うように機能する位置調整ユニットに関する。頭部は位置調整ユニットに取り付けられることができる。位置調整ユニットはハウジングアッセンブリと当該ハウジングアッセンブリに設けられたアクチュエータとを有する。アクチュエータは、調整方向において動かない固定部と、調整方向において、固定部に対して調整可能な部分とを有し、調整動作を実行する。位置調整ユニットは、ハウジングアッセンブリに取り付けられ且つ調整方向に弾性変形可能な少なくとも1つの軸受をさらに有している。調整可能な部分は軸受と係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断機のナイフ頭部の並進(直動)調整動作を行うための調整ユニット(位置調整ユニット)に関し、特に、食品の切断のためのスライサの並進調整動作を行うための調整ユニットに関する。ナイフ頭部は調整ユニットに取り付けることができる。
【背景技術】
【0002】
塊状の製品(1つの大きな製品)の形態であるチーズ製品、ソーセージ製品、及びハム製品等の食品の切断のために、塊状の製品は搬送手段において切断エッジへ搬送され、当該切断エッジにおいて、製品の塊は、切断機の切断頭部の切断ナイフにより所定の厚みの製品スライスに切断される。この切断処理において、ナイフ面と切断エッジとの間のスペースにより画定される切断ギャップを決められた寸法に設定することが、異なる理由のために望まれる。切断プロセスの間にブランク切断を行うことがさらに望まれる場合もあり、さらに、これは製品搬送手段又は切断エッジに対するナイフ又はナイフ頭部の調整を必要とする。
【0003】
ナイフ又はナイフ頭部と製品搬送手段又は切断エッジとの間の切断ギャップの設定又は上述した相対調整は、例えば、搬送手段又は当該搬送手段により形成される切断エッジがナイフ面に対して置き換えられるように行われる場合もある。これとは異なり、切断ギャップの設定は、ナイフ頭部が、調整デバイスを用いて切断エッジに対して動かされるように行われる場合もある。
【0004】
上記調整デバイスは、通常別個のものであり且つ設定動作を行うアクチュエータを有する調整メカニズムである。
【0005】
食品を切断するためのスライサは高精度装置(精密機械)であるので、アクチュエータの置換可能な部分は、非常に正確に格納されなければならず、このために、滑り軸受又はローラ(要素)軸受が、公知の調整デバイスにしばしば使用される。しかしながら、ローラ(要素)軸受又は滑り軸受を使用するアクチュエータのジャーナル(journaling)と呼ばれる部分は、一般的にジャーナルにおいてなされる要求を満たさない。例えば、ジャーナルのために使用されるローラ(要素)軸受は摩耗しやすいので、ジャーナルの要求される精度は長期間に亘って保証されることはできない。対照的に、滑り軸受は、実際には、要求される小さな誤差が維持されるような精度を初めから生成することはできない。
【0006】
ジャーナルと呼ばれる種類の問題点は、軸受が、アクチュエータの可動部分と比較して異なるように膨張することである。これは、食品の処理において普及している環境状態のもとで特に顕著になり、当該環境状態では、70℃までがナイフ頭部の内部に使用することができ、その一方で、食品の処理における環境温度は5℃と15℃との間であるだけである。
【発明の概要】
【0007】
予め決められたジャーナルの誤差が調整動作の精度を少しも損なうことなく長期間に亘って維持され得るように調整ユニットのアクチュエータのジャーナルを改良することが本発明の目的である。
【0008】
本発明の目的は請求項1の特徴・構成により達成される。本発明によれば、調整ユニット(位置調整ユニット)が、切断機のナイフ頭部の並進調整動作を生成するために設けられ、特に、食品を切断するためのスライサの並進調整動作を生成するために設けられる。ナイフ頭部は調整ユニットに取り付けられ、上記調整ユニットは、ハウジングアッセンブリと、当該ハウジングアッセンブリ内に設けられたアクチュエータと、当該アクチュエータのための特製の軸受とを有している。これに関して、アクチュエータは、特に、調整の向きにおいて動かない部分と、動かない部分に対して調整方向に可動な部分とからなり、当該可動な部分は調整動作を行うために設けられる。軸受は、調整方向において要求される可動なジャーナル(部)を形成するために、動作の向きにおいて弾性変形可能なように形成され且つハウジングアッセンブリに固定され、その結果、軸受と係合する可動部分の調整動作は、それ自体が弾性変形可能な軸受により、ハウジングアッセンブリに対して均一にされ得る。
【0009】
ローラ(要素)軸受又は滑り軸受を使用する公知の種類の軸受とは異なり、相対動作は、それ自体弾性変形する軸受を用いる本発明のジャーナルにより、軸受とアクチュエータの可動部分との間において生じない。むしろ、要求される動作の均一化が行われ、軸受が、当該軸受の変形の結果として、アクチュエータの可動部分の調整動作を補償する。
【0010】
軸受の上記変形は弾性域において行われるので、この弾性域を超える摩耗現象は生じない。むしろ、弾性変形可能な軸受は、許容誤差を超えてしまうような長期間(に亘る)変形をすることなく、当該軸受の弾性力の結果として非変形スタート位置に常に戻る。
【0011】
ローラ(要素)軸受を使用する公知の種類のジャーナルとは異なり、本発明による軸受は、当該軸受の弾性変形に基づいて長期間の形状安定性を有し、その結果、軸受はどのような摩耗又は損傷現象を生じずに、本発明による調整ユニットの長期間及び長い使用の後に置き換えられる必要はない。
【0012】
上記した内容から解るように、アクチュエータの可動部分は弾性変形可能な軸受と係合する。可動部分が本発明による軸受と係合すると本明細書で言われる場合、これは、可動部分が弾性変形可能な軸受に直接固定されることを必ずしも意味していない。つまり、可動部分は、当該可動部分がアクチュエータの動かない部分による作用により軸受と共に調整方向に動くような弾性変形可能な軸受と接続されているだけである。つまり、別の要素がアクチュエータの可動部分と軸受との間に設けられる場合もあり、当該別の要素は、アクチュエータの可動部分と軸受との間を結合し、これら2つの要素同士の間の接続を確実にする。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項、以下の説明、及び図面において説明される。
【0014】
本発明の好ましい形態では、ナイフ頭部は、調整ユニットに取り外し可能なように又は交換可能なように取り付けることができる。これについては、ナイフ頭部及び調整ユニットは共通のサブアッセンブリを形成せず、それぞれ別個のサブアッセンブリである。ナイフヘッドは別個のサブアッセンブリであり、全体として調整ユニットに結合され、当該調整ユニットから再び取り外される場合もある。特に、1つの調整ユニットを複数の別個のナイフ頭部と共に使用することもできる。
【0015】
特に、調整ユニットは境界面を有し、当該境界面により、別個のサブアッセンブリとして形成されたナイフ頭部が上記調整ユニットに結合される場合もある。特に、この境界面は、アクチュエータに設けられ、好ましくは、アクチュエータの可動部分が境界面を形成する。
【0016】
特に、ナイフ頭部と調整ユニットとの間の結合はネジ接続手段により行われる。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、軸受は径方向外方領域(外側領域)と径方向内方領域(内側領域)とを含み、軸受は、径方向外方においてハウジングアッセンブリに固定され、径方向内方において可動部分と係合する。よって、軸受は外側において固定され(特に、接続され)、内側においてアクチュエータ又は当該アクチュエータの可動部分と協働する。よって、ナイフ頭部を介して径方向に軸受に作用する力は、ハウジングアッセンブリに設けられた径方向外方により吸収され得る。軸受の径方向外方は当該ハウジングアッセンブリに固定される。
【0018】
特に、本発明によれば、軸受はハウジングアッセンブリに固定され、当該ハウジングアッセンブリは、切断動作の間に動かなく、ナイフ頭部の切断ナイフは、切断動作の間、当該ハウジングアッセンブリに相対的に動き、特に回転する。よって、ハウジングアッセンブリ及び当該ハウジングアッセンブリに固定された軸受は動かない又は静的な要素であり、つまり、例えば切断動作の間回転する切断ナイフにより、ハウジングアッセンブリ及び軸受が回転することはない。これは、調整ユニットとナイフ頭部との間を分離することにより達成される。
【0019】
アクチュエータは、手動動作又はモータ駆動するように形成された調整デバイスである場合もある。
【0020】
よって、調整ユニットの調整デバイスは、好ましい実施形態によれば、軸方向に延在し、当該軸方向は、本発明においては、動作の間に回転し且つ調整ユニットに取り付けられるナイフ頭部の切断ナイフの回転軸と並行である。一方、軸受は、径方向すなわち調整方向に垂直な方向にはほぼ変形しないので、要求される寸法安定性が径方向において望まれるように維持され得る。言い換えると、本発明による軸受は、全体で考えると異方性の変形作用を有し、軸方向における変形は認められるが、反対に、径方向における軸受の剛性の結果として径方向の変形は防止される。軸受の径方向の剛性により、ナイフ頭部の動作の間に働く非常に大きな横方向の力は、径方向に回転軸が転移するという懸念無しに吸収され得る。
【0021】
軸方向における軸受の所望の弾性変形性は、特定の実施形態によれば、例えば、軸受が、接続され、ハウジングアッセンブリにおいて調整方向に垂直な向きに自由に突出する少なくとも1つの軸受要素を含むことにより確実にされ、アクチュエータの可動部は上述したように突出部又は当該突出部の自由端と係合する。よって、軸受はいわばバネ要素として機能し、当該バネ要素のバネ効果は、軸受の自由に突出した部分の断面積の値及び断面寸法と共に弾性係数によるものである。
【0022】
よって、軸受は、例えば、複数の突出ロッド要素である場合もあり、アクチュエータの可動部分は、当該複数の突出ロッド要素の自由端と係合する。
【0023】
しかしながら、本発明の別の特定の実施形態によれば、軸受要素は薄い・フラットな・肉厚の小さい部材(areal body)である場合もあり、当該薄い・フラットな・肉厚の小さい部材の表面は軸方向に垂直に延在し、当該薄い・フラットな・肉厚の小さい部材の周縁部に沿ってハウジングアッセンブリに堅固に接続される。薄い・フラットな・肉厚の小さい部材のような軸受要素の実施形態により、上述した軸受の変形作用に対する異方性は、単に当該軸受の構成の故に達成される場合もある。よって、薄く・フラットに・肉厚を小さく形成された軸受体は、径方向を考えると、当該軸受の比較的大きな断面積の故に比較的堅く且つ小さな変形であり、一方、薄く・フラットに・肉厚を小さく形成された軸受は、軸方向における慣性二次モーメントの効果の故に、軸方向において柔らかく且つ変形できるように作用し、その結果、所望の異方性変形作用が、単に軸受要素の形状の故に達成される場合もある。
【0024】
本発明による調整ユニットのさらに特定の実施形態によれば、軸受要素は、例えば、シートメタル、特にスチールシートメタルとして形成される場合もある。当該軸受要素は、金属材料についての弾性範囲特性における変形作用の故に有利であることがわかる。よって、弾性作用は、単に且つただ材料の弾性力によるものである場合もあり、一方の側部において接続されている自由に突出するジャーナルによるものである場合もあり、その結果、別の手段が軸受に所望の弾性変形特性を与えるために設けられる必要はない。
【0025】
可動部分は、軸方向だけに動くが、径方向には動かないようなアクチュエータの可動部分の特に信頼性のあるジャーナルを確実にするために、薄い・フラットな・肉厚の小さい軸受部材は開口部を有することができ、当該開口部は薄い・フラットな・肉厚の小さい部材における突出部の自由端により画定される。よって、突出部又は当該突出部の自由端はいわば境界領域であり、当該境界領域は、それ自体で閉ざされ、薄い・フラットな・肉厚の小さい部材の開口部を画定する。
【0026】
よって、軸受は、例えば、シートメタルリングである場合もあり、当該シートメタルリングは、当該シートメタルリングの外側の周縁においてハウジングアッセンブリに堅固に接続され、周縁領域と呼ばれる領域により形成される当該シートメタルリングの内縁において、アクチュエータの可動部分と係合する。このように、アクチュエータの可動部分は径方向において軸受により一様に支持することができ、よって、アクチュエータの可動部分の偏心(非対称・不均一・中心を外れた)変形が阻止され得る。
【0027】
軸受は複数の金属シートを有することができ、本発明の好ましい実施形態においては、当該複数の金属シートは重ねられ(層状に形成され)、シートメタルパッケージを形成する。軸受がシートメタルリングとして示されるならば、当該シートメタルリングは、互いに同軸に重ねられ、その結果、シートメタルリングの各開口部が整列するように設けられる。これに関して、各々水平になるように重ねられた複数の金属シートを有するシートメタルパッケージとして軸受を構成することは、軸受の剛性が径方向において非常に増大する効果に対して有利である。
【0028】
別の実施形態では、本発明による調整ユニットは、ハウジングアッセンブリに固定される少なくとも2つの軸受を有し、当該少なくとも2つの軸受は、調整方向に弾性変形可能であり、且つ調整方向において互いに所定の間隔を離されて設けられている。アクチュエータの可動部分は、上記軸受と前述したように、すなわち例えば間接的に係合する。本発明(例えば前述したような)による少なくとも2つの軸受要素を介するアクチュエータの可動部分の上記ジャーナルは、アクチュエータの可動部分の起こりうる傾きが防止され得るとして有利であることがわかる。第2軸受は、最初に説明したローラ(要素)軸受又は滑り軸受の形態で形成されてもよいが、上述したように、軸受の寸法安定性は当該ローラ(要素)軸受又は滑り軸受により長期間に亘って維持されることはできず、アクチュエータの可動部分の傾きを生ずるかもしれない。
【0029】
上記した内容からわかるように、本発明によるジャーナルは寸法安定性及びジャーナルの予め設定された誤差の値を維持することを有している。よって、軸受金属シートは、レーザカットされたリング状シートメタルブランク(板)として形成される場合もある。なぜなら、寸法安定性を有する非常に精密な要素が、レーザ制御切断処理を用いて生成され得るからである。
【0030】
本発明による調整ユニットの別の実施形態によれば、アクチュエータの動かない部分(固定部・静止部)は、駆動可能なねじ山を設けられたスピンドルを含み、アクチュエータの可動部分はスピンドルナットを含んでいる。当該スピンドルナットはねじ山を設けられたスピンドルと協働し且つ調整方向、つまり軸方向におけるねじ山を設けられたスピンドルの作用により並進して動かされ得る。これに関して、ねじ山を設けられたスピンドルは雄ねじ部を有し、スピンドルナットの雌ねじ部が、当該雄ねじ部と螺合し、その結果、スピンドルナットは動かないねじ山を設けられたスピンドルの回転により長手軸方向に位置をずらされ得る。
【0031】
アクチュエータは、実際にはピストンを内包したシリンダ(piston-in-cylinder)ユニットとして形成される場合もあり、例えば当該ピストンを内包したシリンダユニットは、動かないシリンダと、当該シリンダに可動なように設けられたピストンとを有している。しかしながら、ねじ山を設けられたスピンドルに螺合されるスピンドルナットを有するねじ山を設けられたスピンドルとしてアクチュエータを構成することは、このようなスピンドル駆動部の自動ロック特性の故に特に有利である。
【0032】
本発明は、さらに食品を切断するための装置に関し、特に、高速スライサに関する。当該装置は、駆動されて切断動作、特に回転切断動作させられ得る切断ナイフを有するナイフ頭部と、ナイフ頭部の直線調整動作を生じさせるためにここで説明される調整ユニットとを含んでいる。
【0033】
好ましくは、調整ユニット及びナイフ頭部は、別個のサブアッセンブリとして形成され、当該調整ユニット及びナイフ頭部は、互いに取り外し可能であるか又は交換できるように接続される。これに関して、調整ユニットはナイフ頭部のための支持装置として設けられる場合もある。
【0034】
本発明の別の実施形態によれば、ナイフ頭部の切断ナイフの回転軸及び調整ユニットのアクチュエータの回転軸は互いに所定の間隔を開けられて設けられている。ナイフ頭部の切断ナイフはアクチュエータに対して偏心するように調整ユニットに取り付けられている。
【0035】
本発明によれば、調整ユニットは、調整ユニット自体の調整動作を除いて動かないか静的なサブアッセンブリであるように設けられる。これは、調整ユニットの要素がナイフ頭部の切断ナイフと共に動かさないことを意味している。よって、調整ユニットの要素の不必要な動作は防止される。例えば、切断動作の間に回転する切断ナイフにより、調整ユニットの要素が、切断ナイフと共に又はナイフ頭部の要素と共に回転させられることはない。
【0036】
よって、調整ユニットは、ナイフ頭部の所定の部分がおこすことができる動作とは独立しており、特に、切断ナイフのための駆動とは独立している。
【0037】
本発明は図面を参照しつつ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による調整ユニットの断面図であり、当該調整ユニットは当該調整ユニットに接続されたナイフ頭部を有している。
【図2】図1に示した調整ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
両方の図において、同一の要素又は互いに対応する要素は、同一の参照符号を付けられている。
【0040】
図1及び図2は本発明による調整ユニット(位置調整ユニット)10を示している。当該調整ユニット10は、図1に示したようにナイフ頭部12がネジ接続手段36により螺合されるナイフ頭部キャリア32を有し、上記ナイフ頭部が、図1においては、当該ナイフ頭部が、ナイフ面58と切断エッジ60との間の切断ギャップの設定を行うために、軸方向Aすなわち調整方向Aに調整されるべき切断ナイフ34を有していることが見られる。上記切断エッジは、ここでは概略的に示されているだけであり且つ切断されるべき製品64のための製品支持部62の端部に形成されている。
【0041】
調整ユニット10及びナイフ頭部12は別個のサブアッセンブリである。分離面52が図1に示され、当該分離面52の一方にナイフ頭部12が設けられ、当該分離面52の他方に調整ユニット10が設けられている。以下においてより詳しく説明するアクチュエータの可動部32は、調整ユニット10とナイフ頭部12との間のいわば「境界面(インターフェイス)」として機能する。ネジ接続手段36は、以下においてより詳しく説明される軸受の所定の部分28を固定し且つ調整ユニット10をナイフ頭部12、実際には、ナイフ頭部の支持部66に結合するように機能する。上記ナイフ頭部の支持部66の中央軸(中心軸)は組み立てられた状態でアクチュエータの回転軸54と一致する。支持部66の中央軸は切断ナイフ34の回転軸56から並行に隔てられている。ナイフ頭部12が調整ユニット10に取り付けられた状態では、切断ナイフ34のスピンドル50又は回転軸56は、調整ユニット10のアクチュエータの回転軸54に対して偏心して設けられている。
【0042】
調整ユニット10は、複数のハウジング部からなるハウジングアッセンブリ14を有し、当該複数のハウジング部は、複数のネジを用いて互いにフランジにおいて接続され、これにより、ハウジングアッセンブリ14は、当該ハウジングアッセンブリ14の内部にワークスペース16が設けられるようになる。
【0043】
軸方向に整列されたスピンドル24及び当該スピンドル24に螺合されたスピンドルナット26を含むスピンドル駆動部はワークスペース16内に設けられている。スピンドル24は、外周において、2つのアンギュラ(angular)ローラ(要素)軸受18を介してハウジングアッセンブリ14の内壁において軸支され、その結果、上記スピンドル24は、ウォーム歯車20及びウォーム22を介して手動又はモータ駆動により、当該スピンドル24の長手軸の周りを回転することができる。これに関連して、スピンドル24は、ワークスペース16において軸方向に動かないように設けられ、その結果、ねじ山を設けられたスピンドル24の回転により、軸方向におけるスピンドルナット26の調整動作が生じる。
【0044】
スピンドルナット26は、ナイフ頭部キャリア32により囲まれており、当該ナイフ頭部キャリア32は、当該ナイフ頭部キャリア32が、軸方向におけるスピンドルナットの調整動作においてスピンドルナット26と共に動くようにスピンドルナット26に接続されている。簡単に上述したように、ナイフ頭部12はネジ接続手段36を用いてナイフ頭部キャリア32に固定され、その結果、スピンドルナット26の調整動作はナイフ頭部キャリア32を介してナイフ頭部12に伝えられ得る。
【0045】
ナイフ頭部キャリア32とスピンドルナット26からなる設定ユニットが、径方向に傾かないように、本発明に従い形成された2つのシートメタルパッケージの形態の2つの互いに間隔を開けられた軸受28、30が設けられ、当該軸受28、30はハウジングアッセンブリ14からワークスペース16に径方向内方に延在する。
【0046】
特に図2において見られるように、シートメタルパッケージ26、30は、シートメタルパッケージ28、30を形成するために各々水平になるように重ねられた(層状に設けられた)複数の円形シートメタルリング又はシートメタルブランクを示し、シートメタルパッケージ30は、シートメタルパッケージ28の外径よりも小さな外径を有している。各シートメタルブランク26、30は同軸開口部を有し、当該同軸開口部を通り、ねじ山を設けられたスピンドル24は、設定ユニット26、32と共に延在する。
【0047】
図2に示したように、シートメタルパッケージ28、30の各金属シートは、外周において穴を有するカラー(環状の部材)をそれぞれ有しており、その結果、シートメタルパッケージ28、30は、これらの穴を通るネジ接続手段38、40を用いてハウジングアッセンブリに固定され得る。2つのシートメタルパッケージ28、30は、径方向外方のネジ接続手段38、40を用いてハウジングアッセンブリ40に堅固にクランプされ、その結果、ハウジングアッセンブリ14からワークスペース16に突出するシートメタルパッケージ28、30の径方向内方部42、44は、軸方向において弾性変形作用を示す。
【0048】
ナイフ頭部キャリア32は、径方向内方のネジ接続手段48、36を用いてシートメタルパッケージ28、30、特に突出部44、42の端部に固定され、その結果、設定ユニット26、32は、軸方向において、ハウジングアッセンブリ14に対して動けるように軸支される。しかしながら、径方向では、軸受28、30又はシートメタルパッケージ28、30を形成するシートメタルリングは、径方向における設定ユニット26、32のずれ(escape)が、少なくともナイフ頭部12の動作の間に作用する力が印加された状態でも防止されるような大きな剛性を有している。
【0049】
ナイフ頭部12、特に切断ナイフ34の軸方向の調整を行うために、ウォーム22がモータ駆動部又は手動駆動部により動かされ、従ってウォーム歯車20が駆動され、当該ウォーム歯車20の所定の部分において、スピンドル24は長手軸の周りを回転させられる。スピンドル24は、軸方向において動かないように軸支されているので、スピンドル24の回転動作により、スピンドルナット26(当該スピンドルナット26に取り付けられたナイフ頭部キャリア32を含む)は軸方向に動かされる。
【0050】
スピンドルナット26は、ナイフ頭部キャリア32を介してシートメタルパッケージ28、30の突出部42、44に接続されているので、設定ユニット26、32の軸調整動作により、シートメタルパッケージ28、30は軸方向に変形する。対照的に径方向では、シートメタルパッケージ28、30は設定ユニット26、32のための堅固な支持部として機能し、その結果、設定ユニット26、32は、シートメタルパッケージ28、30により軸方向に動作可能であるシートメタルパッケージ28、30におけるジャーナルによりガイドされる。
【0051】
シートメタルパッケージ28、30は、径方向を考えると非常に大きな剛性を有し且つ径方向にはほとんど変形しない故に、径方向において非常に寸法安定性があり且つ正確なジャーナルを設ける目標が、ローラ(要素)軸受又は滑り軸受を用いる設定要素26、32の公知のジャーナル(軸受)処理において生じるような長い期間の使用の故に相対動作による摩耗現象を生ずることなく達成され得る。上記相対動作は本発明による設定ユニット26、32のジャーナルにおいて生じない。なぜなら、設定ユニット26、32の動作は、軸受に対する相対動作により補償されず、例えば、シートメタルパッケージ28、30自体の変形により補償されるからであり、その結果、摩耗現象は相対動作の結果として生じない。
【0052】
最後に(最終的に)、ナイフ頭部12は、切断ナイフ34と共に、設定ユニット26、32の動作により軸方向Aに調整される。なぜなら、ナイフ頭部12はネジ接続手段36を介してナイフ頭部キャリア32に接続されているからである。よって、設定ユニット26、32のために非常に寸法安定性があり、正確であり、且つ摩耗の少ないジャーナル(軸受)は、本発明による設定ユニット10を上記したように設けることにより提供され、特にシートメタルパッケージ28、30の形態の本発明によるジャーナル(軸受)により提供されることができ、その結果、軸受28、30の交換は、非常に長時間に亘って使用した後でも必要はなくなる。
【符号の説明】
【0053】
10 調整ユニット
12 ナイフ頭部
14 ハウジングアッセンブリ
16 ワークスペース
18 アンギュラローラ(要素)軸受
20 ウォーム歯車
22 ウォーム
24 スピンドル
26 スピンドルナット
28 軸受/シートメタルパッケージ
30 軸受/シートメタルパッケージ
32 ナイフ頭部キャリア
34 切断ナイフ
36 ネジ接続手段
38 ネジ接続手段
40 ネジ接続手段
42 突出部
44 突出部
48 ネジ接続手段
50 ナイフ頭部のスピンドル
52 ナイフ頭部と調整ユニットとの間の分離面
54 スピンドルの回転軸
56 ナイフ頭部の回転軸
58 ナイフ面
60 切断エッジ
62 製品支持部
64 製品
66 支持部
A 調整方向/軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断機のナイフ頭部(12)、特に食品を切断するスライサの並進調整動作を生成するための調整ユニット(10)であって、前記ナイフ頭部は前記調整ユニットに取り付けることができ、前記調整ユニット(10)は、
ハウジングアッセンブリ(14)と、
前記ハウジングアッセンブリ(14)内に設けられたアクチュエータと、
前記ハウジングアッセンブリ(14)に固定される少なくとも1つの軸受(28、30)と、
を含み、
前記アクチュエータは、調整方向において動かない固定部(24)と、前記固定部(24)に対して前記調整方向(A)に動くことができる可動部(26、32)と、を有し、調整動作を実行し、
前記少なくとも1つの軸受(28、30)は前記調整方向(A)に弾性変形することができ、前記可動部(26、32)と係合することを特徴とする調整ユニット。
【請求項2】
前記ナイフ頭部(12)は前記調整ユニット(10)に取り外しできるように取り付けられることができるか、交換可能なように取り付けられることができることを特徴とする請求項1に記載の調整ユニット。
【請求項3】
前記調整ユニット(10)は境界面を有し、前記境界面により別個のサブアッセンブリとして形成された前記ナイフ頭部(12)が結合され得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の調整ユニット。
【請求項4】
前記境界面は、前記アクチュエータ、特に前記アクチュエータの前記可動部(32)に設けられることを特徴とする請求項3に記載の調整ユニット。
【請求項5】
前記軸受(28、30)は、径方向外方領域及び径方向内方領域を有し、前記軸受(28、30)は前記径方向外方領域において前記ハウジングアッセンブリ(14)に固定され、前記径方向内方領域において前記可動部(32)に固定されることを特徴とする請求項1−4のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項6】
前記軸受(28、30)は、切断動作の間、動かない前記ハウジングアッセンブリ(14)に固定され、前記ナイフ頭部(12)の切断ナイフ(34)は、前記切断動作の間、前記ハウジングアッセンブリに対して動き、特に回転することを特徴とする請求項1−5のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項7】
前記ナイフ頭部(12)は、切断ナイフ(34)の回転軸が前記調整ユニット(10)の前記アクチュエータの回転軸に対して偏心するように前記調整ユニット(10)に取り付けることができることを特徴とする請求項1−6のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項8】
前記調整方向(A)は動作の間回転する前記ナイフ頭部(12)の切断ナイフ(34)の回転軸(56)に並行であり、前記軸受(28、30)は前記調整方向に垂直な方向にほぼ変形しないことを特徴とする請求項1−7のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項9】
前記軸受(28、30)は、前記ハウジングアッセンブリ(14)に固定され、且つ前記調整方向(A)に垂直に自由に突出する少なくとも1つの軸受要素(28、30)を含み、前記アクチュエータの前記可動部(26、32)は突出部(42、44)と係合することを特徴とする請求項1−8のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項10】
前記軸受要素(28、30)は薄い部材として形成され、前記薄い部材の表面は前記調整方向(A)に垂直に整列され、前記薄い部材は前記薄い部材の外周に沿って前記ハウジングアッセンブリ(14)に堅固に固定されることを特徴とする請求項9に記載の調整ユニット。
【請求項11】
前記軸受要素(28、30)はシートメタル要素として形成されることを特徴とする請求項9又は10に記載の調整ユニット。
【請求項12】
前記突出部(42、44)の自由端は前記薄い部材に形成される開口部を画定することを特徴とする請求項9−11のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項13】
前記軸受(28、30)は、少なくとも1つのシートメタルリングを含み、前記少なくとも1つのシートメタルリングは、前記少なくとも1つのシートメタルリングの外周において前記ハウジングアッセンブリ(14)に堅固に固定され、内周において前記アクチュエータの前記可動部(26、32)と係合することを特徴とする請求項1−12のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項14】
前記軸受(28、30)は、複数のシートメタル部を含み、前記複数のシートメタル部は重ねられてシートメタルパッケージを形成することを特徴とする請求項1−13のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項15】
前記調整ユニット(10)は少なくとも2つの軸受(28、30)を有し、前記少なくとも2つの軸受(28、30)は、前記ハウジングアッセンブリ(14)に固定され、調整方向(A)に弾性変形でき、前記調整方向において互いから隔てられて設けられ、前記アクチュエータの前記可動部(26、32)と係合することを特徴とする請求項1−14のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項16】
前記軸受(28、30)は請求項8−14のいずれか1つに従い形成されることを特徴とする請求項15に記載の調整ユニット
【請求項17】
前記アクチュエータの前記固定部(24)は駆動可能なねじ山を設けられたスピンドル(24)を含み、前記アクチュエータの可動部(26、32)はスピンドルナット(26)を含み、前記スピンドルナット(26)は前記ねじ山を設けられたスピンドル(24)と協働し、前記ねじ山を設けられたスピンドル(24)の作動により前記調整方向(A)に並進できることを特徴とする請求項1−16のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項18】
前記軸受金属シートは、レーザカットされたリング状シートメタルブランクを含むことを特徴とする請求項1−17のいずれか1つに記載の調整ユニット。
【請求項19】
食品を切断するための装置、特に高速スライサであって、前記装置は、
駆動されて切断動作、特に回転切断動作を行う切断ナイフ(34)を有するナイフ頭部(12)と、
前記ナイフ頭部(12)の並進調整動作を行う請求項1−18のいずれか1つに記載の調整ユニット(10)と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項20】
前記調整ユニット(10)及び前記ナイフ頭部(12)は別個のサブアッセンブリとして形成され、前記調整ユニット(10)及び前記ナイフ頭部(12)は、互いに取り外し可能なように又は交換可能なように接続されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記調整ユニット(10)は前記ナイフ頭部(12)のための支持装置として形成されることを特徴とする請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
前記ナイフ頭部(12)の前記切断ナイフ(34)の回転軸(56)と前記調整ユニット(10)のアクチュエータの回転軸(54)は、互いに並行であり、互いに所定の間隔を離されて設けられていることを特徴とする請求項19−21のいずれか1つに記載の装置。
【請求項23】
前記調整ユニット(10)は、前記調整ユニット(10)自体の調整動作を除いて動かない又は静的なサブアッセンブリであることを特徴とする請求項19−22のいずれか1つに記載の装置。
【請求項24】
前記調整ユニット(10)は、前記ナイフ頭部(12)の所定の部分がおこすことができる動作と独立しており、特に前記切断ナイフ(34)のための駆動部から独立していることを特徴とする請求項19−23のいずれか1つに記載の装置。
【請求項25】
前記調整ユニット(10)、特に前記調整ユニット(10)の前記軸受(28、30)は前記切断ナイフ(34)のための駆動部から分離されていることを特徴とする請求項19−24のいずれか1つに記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−503542(P2010−503542A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527713(P2009−527713)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007509
【国際公開番号】WO2008/034513
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502451557)ヴェーバー マシーネンバオ ゲーエムベーハー ブレイデンバッハ (7)