説明

低出力の光治療を送達するための方法および装置

【課題】低出力の光治療を送達するための方法および装置を提供する。
【解決手段】相当な時間の期間にわたり、所与の治療領域の上に保持することができ、それぞれの治療の間に多数回にわたりその治療領域の上を移動させることができる適当なヘッド部分の中において、少なくとも1個の低出力の光放射線源を使用している装置が開示されている。この装置、すなわち、手持式発光アプリケータ(LEA)または発光スキン・アプリケータ(LESA)、は放射線を皮膚に供給する時に、患者の皮膚の表面の上を移動させることに適合しているブラシまたはローラーの形態にすることができる。このようなLEAまたはLESAの皮膚接触面は、皮膚をマッサージして放射線を送達できる突出部分または剛毛等のような、突起部分を有することができる。加えて、皮膚接触装置に連結することに適合している改装ハウジングを含む、所与の治療領域に対して光放射線を送達する装置が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔優先権〕
本特許出願は、2001年11月29日に出願されている米国特許出願第09/996,662号の一部継続出願である2003年11月4日に出願されている米国特許出願第10/702,104号に対して、優先権を主張している。
【0002】
〔発明の背景〕
本発明は、種々の、皮膚科、美容、健康、および免疫に関する状況を治療するために光放射線を利用するための方法および装置、に関連しており、特に、これらの方法および装置が、スパ、サロンおよび家庭を含む、医療用および非医療用の環境の両方において、行なわれるために十分に安全で十分に安価であるように、低い出力およびエネルギーのレベルにおいて動作する上記のような方法および装置に関連している。
【0003】
光放射線は、種々の皮膚科およびその他の医療状況を治療するために、多年にわたって用いられている。これらの治療は、一般に、100ワット/cm2 を超えて患者の皮膚にエネルギーを送達し、一般には、この値を相当に超えてエネルギーを送達するために、レーザー、フラッシュランプまたはその他の比較的に高出力の光放射線源を利用することに関連している。これらの治療に必要とされる高出力の光放射線源は、(a)高価で、かさばる可能性があり、取り付けに費用がかかり、(b)かなりの熱を発生し、この熱は、消散されなければ、放射線源を損傷させて、その他の問題を引き起こす可能性があり、したがって、少なくともその放射線源のために、かさばった高価な冷却技術を採用することを必要とし、さらに、(c)患者およびオペレータの両方に対する、例えば、患者の目および患者の皮膚から標的外の領域の両方に対する、安全上の危険性を生じる。この結果として、高価な安全機能を上記の装置に頻繁に適用する必要があり、一般に、このような装置はFDAにより認可されて、医療担当者のみにより操作される必要がある。患者の皮膚の表面における高いエネルギーは安全の問題も生じ、治療が可能である患者の種類を限定する可能性があり、例えば、極めて黒い皮膚の個人を治療することが不可能になる場合が多くなる。加えて、高いエネルギーは、上記のような標的外の組織を保護するために、治療領域の上方および/またはその他の方向からその治療領域に接触する、組織の冷却、を必要とすることにより、治療装置の費用をさらに増大させる可能性がある。
【0004】
一般に、数十万ドルの範囲である、光皮膚科処置を行なうためにこれまでに用いられてきた装置の高い費用や、そのような処置が医療担当者により行なわれる必要性は、上記のような治療が一般的に普通ではなく、限られた数の比較的に裕福な患者にのみ利用可能であることを、意味している。しかしながら、このような治療が有用になる可能性のある状況は、世界中の人口の大部分により経験される状況である。例えば、このような治療は、不所望の領域における毛髪の成長の制限または排除および所望の領域における毛髪の成長の刺激、を含む毛髪の成長の管理、PFBのための治療、脈管の障害部位、皮膚の若返り、および皮膚組織、毛穴の大きさ、弾性、しわおよび皮膚の張り、を改善することを含む老化防止、改善された脈管系およびリンパ系、改善された皮膚の湿潤化、アクネ、色素沈着した障害部分の除去、再色素沈着、刺青の減少/除去、乾癬、体臭の減少、脂性の減少、汗の減少、瘢痕の減少/除去、皮膚老化防止、皮膚癌を含む皮膚病の予防および阻止、脂肪の減少および脂肪性浮腫の減少を含む皮下領域の改善、痛みの軽減、筋肉、関節等のための生体刺激、および多数の他の状況(以下、「患者の状況」または「状況」として、集合的に呼ばれることがある)、を含むが、これらに限定されない。それゆえ、医療担当以外の人により経済的に安全に行なうことができ、治療される人により自分で管理することも可能であって、上記の治療が世界中の人口の大きく広げられた部分にとって利用可能になるように、十分に安価であって、出力およびエネルギーの両方において十分に低くなる、方法および装置が提供できるようになれば、望ましいと考えられる。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明は、安全で安価である出力およびエネルギーのレベルにおいて種々の状況を治療するために、光放射線を利用するための方法および装置、を提供している。すなわち、相当な時間の期間にわたり、所与の治療領域の上に保持することができ、それぞれの治療の間に多数回にわたりその治療領域の上を移動させることができる適当なヘッド部分の中において、少なくとも1個の低出力の光放射線源を使用している装置が開示されている。この装置、すなわち、手持式発光アプリケータ(LEA)または発光スキン・アプリケータ(LESA)、は放射線を皮膚に供給する時に、患者の皮膚の表面の上を移動させることに適合しているブラシまたはローラーの形態にすることができる。このようなLEAまたはLESAの皮膚接触面は、皮膚をマッサージして放射線を送達できる突出部分または剛毛等のような、突起部分を有することができる。加えて、皮膚接触装置に連結することに適合している改装ハウジングを含む、治療領域に対して光放射線を送達する装置が開示されている。
【0006】
一例の実施形態において、少なくとも1個の突起部分を有する皮膚接触面を伴うアプリケータと、作動時に、その皮膚接触面を通して、その面に接触している患者の皮膚に、光放射線を送達する様式で、アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、を有している、患者の状況の治療のための装置が開示されている。このアプリケータは、放射線を皮膚に供給する時に、患者の皮膚の表面の上を移動させることに適合しているブラシまたはローラーの形態にすることができる。また、このアプリケータは手持式のユニットにすることができる。さらに、上記の皮膚接触面は、この皮膚接触面から延出している、突出部分および剛毛等のような、少なくとも1個の突起部分を有することができる。この突起部分は、使用中に、皮膚に対して圧縮力を加えることに適合している。それぞれの突起部分の皮膚接触端部は、患者の皮膚に接触していない時に、放射線に対して全内反射(total internal reflection)を有することができるが、患者の皮膚に接触している時は、その患者の皮膚に対して放射線を通過させる。上記の装置はまた、皮膚が照射されている時に、その患者の皮膚に対して所与の物質を供給するための機構も含むことができる。
【0007】
一例の実施形態において、上記少なくとも1個の光放射線源は光放射線源のアレイとすることができ、それぞれの放射線源は少なくとも1個の対応している突起部分を通して光放射線を送達するように取り付けられている。さらに、複数の放射線源のそれぞれを、対応している突起部分を通して放射線を送達するように、取り付けることも可能である。また、上記少なくとも1個の光放射線源は半導体放射線放射要素のアレイとすることができる。また、上記少なくとも1個の光放射線源は、所望の治療プロトコルを行なうために、異なる波長において動作可能である。さらに、上記少なくとも1個の光放射線源は連続波の放射線源とすることができる。これらの放射線源は上記のアプリケータに対して改装することができ、そのアプリケータに対してその放射線源を取り付けるための機構を含むこともできる。あるいは、上記少なくとも1個の放射線源は上記アプリケータの一部分であってもよい。
【0008】
上記の装置はヒート・シンクをさらに含むことができる。加えて、上記の装置はハンドルを含んでいてもよく、このハンドルは、上記装置が使用中である時に、オペレータにより保持されることに適合しており、上記のヒート・シンクは熱を少なくとも1個の放射線源からハンドルわたって下げて、この熱はさらにハンドルからオペレータの手にわたって下げられる。また、別の実施形態において、上記装置は、上記のアプリケータと患者の皮膚との間の接触の検出器と、放射線が少なくとも1個の放射線源から患者の皮膚に供給されることを可能にするために、上記の検出器に応答して動作する制御装置と、をさらに含んでいる。
【0009】
さらに別の実施形態において、上記の皮膚接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成されている。また、上記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源からの熱が上記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けることができる。これにより、加熱されたプレートは使用中に所与の皮膚領域を加熱することに適合できる。上記の装置は、上記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品、を含むことができ、この場合に、この部品は、上記装置の使用の前に、冷却されることに適合している。すなわち、この部品は冷却されると相変化を生じることができ、上記少なくとも1個の放射線源から熱を取り出す時に、その初期の相に戻る。
【0010】
本発明の別の態様において、患者の状況を改善するための方法が開示されており、この方法において、既知の出力密度の光治療用の放射線に通常において応答する患者の状況が選択されて、一連の時間的に離れている治療のセッションが患者に送達され、この場合に、それぞれのセッションは、医療環境内においてその患者の状況を治療するために必要とされる一般的な出力密度よりも低い出力密度の治療用の放射線を供給する。したがって、この方法は、既知の出力密度の光治療用の放射線に通常において応答する患者の状況を選択する工程と、一連の時間的に離れている治療のセッションを患者に送達する工程と、を含むことができる。この場合に、それぞれのセッションは、その患者の状況を治療するために必要とされる一般的な出力密度よりも低い出力密度の治療用の放射線を供給する。上記の一連の時間的に離れている治療のセッションは、その一連の治療のセッションの累積的な効果により、患者の状況が改善されるまで、継続できる。この場合に、患者の皮膚の表面に適用される出力密度は約1mW/cm2 〜約100W/cm2 であり、少なくとも、治療される状況および放射線の波長により決まる。好ましくは、患者の皮膚の表面における上記のエネルギーは10mW/cm2 〜10W/cm2 である。また、放射線は1秒〜1時間の持続時間にわたり供給できる。さらに、上記の方法は、患者に対して送達される一連の治療のセッションに対応して、以下の等式により決定されるような、出力密度を使用できる。
P(N) = P(1)/σ(N, ΔT, β)、
この場合に
P(1)は1回の治療に対応する既知の出力密度であり、
Nは治療の回数であり、
ΔTはP(1)により処理を受ける組織または細胞の温度上昇であり、
βはP(1)による処理時間に対するP(N)による処理時間の比率であり、
σは以下のようであり、
【数1】

この場合に、
A=3.1×1098/秒、
Eは150000J/モルであり、
Rは1.986J/モル・Kである。
【0011】
一例の実施形態において、上記の方法は、光放射線が患者の皮膚の表面に供給されている時に、その患者の皮膚の表面の上に、その光放射線のための供給源を収容しているヘッド部分を移動させる処理、を含む。このヘッド部分が皮膚の表面の上を移動する速度およびそのヘッド部分が患者の皮膚の表面の特定の領域の上を通過する回数は、それぞれの特定の領域の上における休止時間が処理の持続時間内に入るように、設定される。上記の供給工程の間に供給される光放射線は連続波の放射線とすることができる。
【0012】
別の実施形態において、上記の方法は、放射線が患者の皮膚の表面に供給されている時に、その患者の皮膚の表面の上に、放射線の供給源を収容しているヘッド部分を移動させる処理、を含む。このヘッド部分は、このヘッド部分が患者の皮膚の表面の上を移動する時に、その患者の皮膚の表面を清浄にし、さらに/または、摩擦する皮膚接触面を有することができる。この供給工程の間に供給される光放射線は連続波の放射線とすることができる。通常の間隔はおよそ1日に数回から1ヶ月に1回の治療である。本発明の別の特徴は、衛生習慣(すなわち、シャワー浴、入浴、ひげそり、はみがき等)、機械的および電気的なマッサージ、刺激、熱または冷温の療法、局所的な薬物またはローションの療法、および刺鍼術等のような、別の治療が、上記の皮膚の治療と組み合わせることができること、である。
【0013】
治療される状況は以下の表1において列挙されている情況の内の一つとすることができ、放射線の波長はその表1において示されている、それぞれの対応している範囲内、にすることができる。また、放射線の供給源は、皮膚科、美容または健康の状況、を治療するために適している波長および/または波長帯域において動作する。この供給源は放射線源のアレイとすることができ、この場合に、これらの供給源は、所望の治療プロトコルを行なうために、異なる波長において動作可能である。
【0014】
本発明の方法は、放射線の供給源から熱を下げる処理、を含むことができる。この供給源は、オペレータにより保持されるハンドルを有するアプリケータの中に置くことができ、この場合に、熱を下げる処理は、その供給源からハンドルにわたって熱を下げる処理、を含み、さらに、ハンドルからオペレータの手にわたって熱が下げられる。放射線の供給源はまた、皮膚接触面を有するアプリケータの中に置くことも可能である。この場合に、圧力がその皮膚接触面に加えられて、供給源からのエネルギーの送達の効率を高めることができる。この圧力は、患者の皮膚を圧縮するための、皮膚接触面からの突出作用を引き起こすことができる。
【0015】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、皮膚接触面を有しているアプリケータの中にある、放射線の供給源を利用する処理、を含むことができる。この皮膚接触面は、その表面から延出している光学的な突出部分および/または剛毛を有することができる。これらの光学的な突出部分/剛毛は適当な放射線源からの光放射線を集中させるために使用できる。
【0016】
本発明の方法は、上記の供給工程を行なう前に、適当な放射線源を収容しているアプリケータを冷却するか冷凍する処理の内の一つ、をさらに含むことができる。この放射線の供給源は、皮膚接触面またはブラシにおけるような点を有するアプリケータ、に連結できる。上記の方法は、患者の皮膚に対する、上記の皮膚接触面およびこの皮膚接触面から延出している突出部分/剛毛の内の一方の、接触を検出する処理と、この検出に応じて、適当な放射線源から患者の皮膚まで、光放射線の送達を可能にする処理と、を含むことができる。あるいは、放射線の供給源は皮膚接触面を有するアプリケータに連結できる。このアプリケータは、上記の供給工程の内の少なくとも一部分の間に、患者の皮膚に対してローションを供給することに適合できる。また、この放射線の供給源は、皮膚接触面を有するアプリケータの中に置くこともでき、この場合に、上記の方法は皮膚の若返りのために適用され、さらに、その供給工程の間に、上記のアプリケータは患者の皮膚の表面から死んだ皮膚を摩擦してすりへらすと共に、供給される光放射線はコラーゲンの再生を容易にする。
【0017】
別の実施形態において、本発明の方法は、患者の皮膚における複数の離れている小さな斑点に同時に送達されてこれらの斑点を加熱するための放射線、をさらに含むことができる。この方法は、加熱された斑点を通る、患者の体への、物質の少なくとも一部分の送達を容易にするために、その患者の皮膚に物質を供給して、それらの斑点を加熱する処理、をさらに含むことができる。この放射線の送達は、皮膚を振動またはこれ以外の様式で刺激する処理、磁場、電場および音響場、の内の少なくとも一つと組み合わせることができる。また、逆反射する光エネルギーが患者の皮膚から出て、その皮膚の中に戻ることも可能である。
【0018】
本発明の一例の態様において、患者の状況を改善するための方法が開示されており、この方法において、光放射線は患者の皮膚の標的領域の中に侵入するように供給されて、この標的領域は、光放射線を供給している状態で、振動され、これにより、その放射線の光学経路が治療の間に変化して、その標的領域内においてさらに大きな量として作用する。
【0019】
また、患者の状況を改善するための方法が提供されており、この方法において、光放射線は患者の皮膚の標的領域の中に侵入するように供給されて、その標的領域の表面は、光放射線の供給の前かその間に、摩擦され、これにより、その放射線に対する障害物が除去されて、その標的領域内においてさらに大きな侵入として作用する。
【0020】
さらに別の態様において、本発明は、出力面を有する、発光アプリケータ(LEA)または発光スキン・アプリケータ(LESA)、を備えている、患者の皮膚の状況の治療のための装置、を提供しており、この出力面は皮膚に直接に接触できるか、ローションまたはゲル等のような物質、層または光学的に透過性の材料またはスペーシング、を皮膚に直接に供給できる。さらに、少なくとも1個の光放射線源が、作動時に、皮膚接触面に接触している患者の皮膚の表面に対して、その皮膚接触面を通して光を送達するような様式で、上記のアプリケータに連結されており、1回の治療の間において何らかの評価できる治療効果を有するためには不十分であるエネルギーを患者の皮膚の表面において有する光放射線を送達するように、上記の少なくとも1個の放射線供給源が選択されて、上記のアプリケータが設計されている。さらに、光放射線が一連の時間的に離れている治療のセッションにおいて患者に送達されるように、上記の少なくとも1個の放射線供給源を選択することができ、上記のアプリケータを設計してもよく、この場合に、それぞれのセッションは、患者の状況を治療するために必要とされる一般的な出力密度よりも低い出力密度の治療用の放射線を供給する。さらに、これらの一連の時間的に離れている治療のセッションは、患者の状況の改善を結果として生じる、累積的な効果を有している。この場合に、患者の皮膚の表面におけるエネルギーは約1mW/cm2 〜約100W/cm2 とすることができ、この供給されるエネルギーは、少なくとも、治療される状況および放射線の波長により決まる。好ましくは、患者の皮膚の表面における上記のエネルギーは10mW/cm2 〜10W/cm2 である。
【0021】
上記のアプリケータは、放射線が患者の皮膚の表面に供給されている時に、その患者の皮膚の表面の上において移動させることに適合しているブラシの形態、にすることができる。また、その皮膚接触面は当該皮膚接触面から延出している突出部分および/または剛毛を有することができる。上記少なくとも1個の光放射線源は光放射線源のアレイとすることができ、それぞれの光放射線源は対応している1個以上の突出部分または剛毛を通して光放射線を送達するように取り付けられている。さらに、それぞれの突出部分/剛毛の皮膚接触端部は、患者の皮膚に接触していない時に、放射線に対して全内反射を有することができるが、患者の皮膚に接触している時は、その患者の皮膚に対して放射線を通過させる。
【0022】
本発明の別の実施形態において、上記のアプリケータは、光学的に透過性の層を介して、高い摩擦力を伴って、治療領域に接触できる。さらに、このアプリケータは、当該アプリケータが標的領域またはその近くの皮膚に接触するように、その皮膚に対して押しつけることができる。また、このアプリケータは、当該アプリケータをその接触領域から移動させることなく、表面下の組織またはその他の生物学的な構造を治療するために、機械的に激しく動かすことができる。例えば、アプリケータを所与の接触面積で患者の頬に接触させるように、その患者の頬に対して押しつけることができる。さらに、このアプリケータは、皮膚の表面における物理的な接触点を変えないまま、患者の歯またはその下層の腺または組織を治療するために、患者の頬に押し込むことができる。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態において、発光アプリケータは、スキン・ブラシ、シャワー・ブラシ、シェービング・ブラシ、歯ブラシ、かみそり、マイクロアブレージング・アプリケータ、マッサージ器、スポンジ、ローション、ゲル、石鹸、局所用薬物分配器、および熱または冷温のアプリケータ等のような、既存のスキン・アプリケータに取り付けるか組み込むことができる。
【0024】
一例の実施形態において、上記少なくとも1個の光放射線源は光放射線源のアレイである。この光放射線源のアレイはヒート・シンクの上に置かれている半導体ウエハの中に置くことができる。さらに、このウエハは、発光ダイオードまたは垂直発光ダイオード・レーザーの、マトリックスまたはアレイとして、設計できる。上記の光放射線源は、所望の治療プロトコルを行なうために、異なる波長において動作可能にできる。また、上記少なくとも1個の光放射線源は連続波の放射線源であってもよく、治療領域の全体に及ぶために十分に高い周波数を伴うパルス化した放射線源であってもよい。
【0025】
別の実施形態において、上記の装置はヒート・シンクを含むことができ、このヒート・シンクは、上記装置の中の、光源、電源および熱消散用の部品、から熱を除去できる。本発明の装置は上記装置のためのハンドルをさらに含むことができ、このハンドルは、上記装置が使用されている時に、オペレータにより保持されることに適合しており、ヒート・シンクは上記少なくとも1個の放射線源からハンドルにわたって熱を下げて、この熱はさらにハンドルからオペレータの手にわたって下げられる。
【0026】
さらに別の実施形態において、上記の装置はアプリケータと患者の皮膚との間の接触の検出器と、放射線が上記少なくとも1個の放射線源から患者の皮膚に供給されることを可能にするために、その検出器に応答して動作する制御装置と、をさらに含むことができる。上記装置は、患者の目および/または治療領域の一部分または治療領域外の領域を保護するための機構、をさらに含むことができ、治療を比較的にまたは全く必要としない領域が潜在的な傷害から保護できるようにしている。
【0027】
上記の装置はまた、皮膚が照射されている時に、その患者の皮膚に物質を供給するための機構も含んでいてもよい。この物質は、毛髪および爪等のような、人体における皮膚およびその他の部分に対して、有益な作用を与えることができる。この物質は、皮膚、腺、毛髪、爪の中へのさらに良い送達のために、さらに/または、放射線の治療効果を高めるために、上記装置により活性化できる。
【0028】
上記のアプリケータは入浴用ブラシとすることができ、この場合に、水は、入浴および放射線源の冷却の両方のために、そのアプリケータを通して供給できる。この水は水の流れを形成するために、表面の中の開口部を通して供給される。上記少なくとも1個の放射線源からの放射線は開口部を通して供給され、水の流れは患者に対する放射線の送達のための導波管として作用する。上記のアプリケータはまた治療される患者の体の部分に適合するように形づくることも可能である。
【0029】
本発明の装置は皮膚を振動させ、さらに/また、これ以外の様式で刺激するための機構をさらに含むことができる。この装置はまた、患者の皮膚に対して磁場、電場および音響場の内の少なくとも一つを供給するための機構も含むことができる。別の実施形態において、本発明は、放射線源のための電気エネルギーを発生するように、患者の皮膚の上における上記アプリケータの移動により作動する発生装置、をさらに含んでいる。
【0030】
本発明の皮膚接触面は、この皮膚接触面が患者の皮膚から反射した放射線を逆反射して患者の皮膚に戻すように、作ることができる。これらの放射線源は上記のアプリケータに対して改装することができ、そのアプリケータに対してこれらの放射線源を取り付けるための機構を含むこともできる。好ましくは、少なくとも1個の放射線源はアプリケータの一部分である。好ましい実施形態において、このアプリケータは手持式のユニットである。
【0031】
上記の皮膚接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成できる。また、上記の光放射線源は、少なくとも1個の放射線源から下げられた熱が上記のプレートを加熱して、この加熱されたプレートが、そのプレートが接触している患者の皮膚を加熱できるように、そのプレートに取り付けることができる。一例の実施形態において、本発明は放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品を含むことができる。この部品は、上記装置の使用の前かその間に、少なくとも冷却されることに適合できる。このヒート・シンクまたは付属の要素は冷却されると相変化を生じることができ、上記少なくとも1個の放射線源から熱を下げる時に、その初期の相に戻る(例えば、溶融または蒸発により熱を取り出すために)。
【0032】
本発明の別の態様において、適当な放射線源から患者の皮膚に対して光放射線を供給することによりその患者を治療するための方法が開示されている。この放射線は、約1mW/cm2 〜約100W/cm2 のエネルギーを患者の皮膚の表面において有することができ、この場合に、この供給されるエネルギーは、少なくとも、治療される状況および放射線の波長により決まる。好ましくは、患者の皮膚の表面における上記のエネルギーは10mW/cm2 〜10W/cm2 である。また、この放射線は1秒〜1時間の持続時間にわたり供給できる。
【0033】
さらに別の態様において、本発明は、適当な放射線源から患者の皮膚に対して低エネルギーの光放射線を供給するのと同時に、その患者の皮膚を清浄にし、さらに/または、摩擦することにより、患者の、皮膚科、美容または健康の状況を治療するための方法を提供している。この場合に、化学的なまたは研磨性の特性を有する特別のローションがこれらの有益な効果を与えることができる。
【0034】
別の態様において、本発明は、マーカーが治療領域の上にある時にだけ、上記の装置が動作できるように、そのマーカーを含有しているローションとの組み合わせにおいて本発明のアプリケータを使用して患者を治療するための方法および装置、を提供している。このような、患者の、皮膚科、美容または健康の状況を治療するための方法は、実質的に、本明細書において図示されていて説明されているようなものである。
【0035】
別の実施形態において、皮膚の表面の上に液体を送るための少なくとも1個の液体送達導管と、作動時に、上記の皮膚の表面に対して上記の液体と共に光放射線を送達する様式で、アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、を含むアプリケータを有している、患者の状況の治療のための装置が開示されている。このアプリケータは手持式にすることができる。また、このアプリケータは入浴用ブラシとすることができ、この場合に、水は、入浴またはシャワーの両方のために、そのアプリケータを通して供給できる。さらに、水は少なくとも1個の放射線源を冷却するために供給することも可能にできる。また、この水は水の流れを形成するために表面の中の開口部を通して供給できる。上記少なくとも1個の放射線源からの放射線は開口部を通して供給することができ、水の流れは患者に対する放射線の送達のための導波管として作用する。上記のアプリケータはまた治療される患者の体の部分に適合するように形づくることができる。さらに、上記のアプリケータは皮膚を振動させ、さらに/また、これ以外の様式で刺激するための機構を含むことができる。上記の放射線源は上記のアプリケータに対して改装することができ、これらの放射線源をアプリケータに取り付けるための機構を含むことができる。この放射線源はまた、上記のアプリケータの一部分とすることも可能である。
【0036】
上記の皮膚接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成できる。また、上記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源から取り出された熱が上記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けることができる。これにより、加熱されたプレートは使用中に所与の皮膚領域を加熱することに適合する。上記の装置は、上記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品、をさらに含むことができ、この場合に、この部品は、上記装置の使用の前に、冷却されることに適合している。すなわち、この部品は冷却されると相変化を生じることができ、上記少なくとも1個の放射線源から熱を下げる時に、その初期の相に戻る。
【0037】
別の実施形態において、皮膚接触面を伴うアプリケータと、作動時に、その皮膚接触面を通して、その面に接触している患者の皮膚に、光放射線を送達する様式で、アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、を有している、患者の状況の治療のための装置が開示されている。この装置は、患者の皮膚に対して、磁場、電場および音響場の内の少なくとも一つを供給するための機構、をさらに備えている。このアプリケータは手持式にできる。上記の皮膚接触面は、患者の皮膚から反射した放射線を逆反射してその皮膚に戻すように、作ることができる。さらに、上記の装置は放射線源のための電気エネルギーを発生するように、患者の皮膚の上における上記アプリケータの移動により作動する発生装置、をさらに含んでいる。また、上記の放射線源は上記のアプリケータに対して改装することができ、そのアプリケータに対してその放射線源を取り付けるための機構を含むこともできる。あるいは、上記少なくとも1個の放射線源は上記アプリケータの一部分であってもよい。
【0038】
上記の皮膚接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成することができ、この場合に、上記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源から取り出された熱が上記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けられている。上記のアプリケータは、上記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品、をさらに含むことができ、この場合に、この部品は、上記装置の使用の前に、冷却されることに適合している。すなわち、この部品は冷却されると相変化を生じることができ、上記少なくとも1個の放射線源から熱を下げる時に、その初期の相に戻る。
【0039】
さらに別の実施形態において、皮膚接触装置に対して連結されることに適合している改装ハウジングと、作動時に、その皮膚接触装置の使用と同時に皮膚の表面に光放射線を送達する様式で、上記改装ハウジングに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、を有している、患者の状況の治療のための装置が開示されている。上記の皮膚接触装置は、放射線が患者の皮膚の表面に供給される時に、その患者の皮膚の表面の上を移動させることに適合しているブラシまたはローラーの形態にすることができる。さらに、この皮膚接触面は、当該皮膚接触面から延出している、突出部分または剛毛等のような、少なくとも1個の突起部分、を有することができ、これらの突起部分は、使用中に、皮膚に対して圧縮力を加えることに適合している。上記少なくとも1個の光放射線源は半導体放射線放射要素のアレイとすることができる。また、上記少なくとも1個の光放射線源は所望の治療プロトコルを行なうために異なる波長において動作可能である。
【0040】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、一般に、実質的な時間の期間、すなわち、1秒〜1時間、にわたり、所与の治療領域の上に保持されるか、それぞれの治療の間に多数回にわたりその治療領域の上を移動する、適当なヘッド部分の中における、低出力光放射線供給源、好ましくは、低出力光放射線供給源のアレイ、の使用を含む。なお、患者の体の面積および治療される状況に応じて、治療中の所与の領域の上における累積的な休止時間を上記の示されている範囲の中に含むことができる。また、使用されている装置は、手持式の発光アプリケータ(LEA)または発光スキン・アプリケータ(LESA)として、呼ばれる場合がある。上記の治療は通常の間隔、すなわち、日ごとに、または、1日、1週間、1ヶ月に数回、あるいは、その他の適当な間隔、で繰り返すことも可能である。また、それぞれの治療の間の間隔は実質的に固定されていてもよく、「必要に応じた」基準であってもよい。例えば、上記の治療は所与の状況を初期的に治療するために実質的に規則的であるか固定されている基準にし、その後、維持のための「必要に応じた」基準にすることができる。また、この治療は、数週間、数ヶ月、数年にわたり継続でき、さらに/または、患者の規則的な日常の衛生習慣の中に組み込むことも可能である。
【0041】
したがって、種々の状況を治療するために、光がこれまでに用いられてきたが、このような治療は、例えば、1週間、1ヶ月、あるいはそれ以上等の、広く離れた間隔で繰り返される、1回〜10回の治療を、一般的に含んでいた。これに対して、本発明の治療の数は10回〜数千回にすることができ、これらの治療の間隔は数時間〜1週間またはそれ以上にすることができる。なお、光による脈管および色素沈着した障害部分の治療の経験を通して、低出力による多数回の治療が高出力による1回の治療と同程度の効果を与えることが可能であることが、本発明者により立証されている。この治療のメカニズムは、光化学作用、光−熱作用、光受容体、細胞の相互作用の光制御またはこれらの作用の一部の組み合わせ、を含むことができる。多数回式の系統的な治療の場合に、少ない投与量は、薬物を系統的に使用する様式と同様の様式で、細胞、組織または体の機能を調節するために効果的になる可能性がある。
【0042】
理論的に、熱衝撃型応答のメカニズムにおいて、N回の治療PN の場合の出力密度は1回の治療P1 の場合の出力密度に比べて、低くすることができると共に、同様の生物学的な結果が得られる。さらに、アレニウスの積分を用いて、以下の等式が決定される。
σ(N,τ1 ,τN ,G)=P1 /PN
【数2】

この場合に、
A=3.1・1098/秒、
E=150000J/モル、
R=1.986J/モル・K、である。
また、Gは治療後のアレニウス積分の値であり、この値は治療された組織内の熱による機能障害の生体分子の測定値である。τ1 およびτN は、それぞれ、P1 およびPN の治療時間である。さらに、TRTは治療された組織の熱緩和時間である。
【0043】
図4は5ミリ秒のTRTを伴う標的についての治療の数の関数としてのσ(N,τ1 ,τ2 ,G)を示しており、このグラフは小さい90ミクロンの血管において一般的であり、τ1 は0.5ミリ秒であり、この値は選択的な加熱分解に対応する一般的な治療モードであり、τ≪TRTである場合に、τN は900秒(15分間の処置)であり、Gは0.0015である。図4において示されているグラフは、140回の治療(日ごとの治療の1ヶ月分)に対応する出力密度が1回の治療が必要とされる場合に対して70倍だけ低下させることが可能であり、300回の治療(日ごとの治療の1年分)に対応する出力密度が1回の治療が必要とされる場合に対して2250倍だけ低下させることが可能であること、を示唆している。なお、これらの治療の数、頻度および長さの間の関係はそれぞれの状況に対応して異なっていてもよく、多数回の比較的に密接した間隔の治療が施される場合に、比較的に低い出力密度を必要とする同様の傾向を伴う。さらに、特定の状況において、その必要とされる出力密度またはエネルギーも、治療のために用いる波長または波長域、の関数として、変更できる。
【0044】
上記の等式(1)および図4は、多数回の治療により、皮膚の若返りおよびしわの減少に対応する治療のパラメータの推定のために使用できる。例えば、美容の改善は、フィッツパトリック・リンクル・シビアリティ・スケール(Fitzpatric Wrincle Severity scale)(ブジェアリング・ピー(Bjerring P.),クレメント・エム(Clement M.),ハイッケンドルフ・エル(Heickendorff L),エゲビスト・エイチ(Egevist H),キールナン・エム(Kiernan M),「セレクティブ・ノン−アブレィテイブ・リンクル・リダクション・バイ・レーザー(Selective non-ablative wrinkle reduction by laser)」,ジャーナル・オブ・キュテニアス・レーザー・テラピー(J. Cutaneous Laser Therapy),2000年,2巻,p.9−15)において測定されているような、しわの外観における1.88の減少の平均値を伴って観察されている。なお、この改善は、585nmの波長、0.00035秒のパルス幅および2.4J/cm2 のフルエンスおよび6900W/cm2 の出力密度において、色素レーザーを用いる1回の治療により達成されている。一方、上記の等式(1)および図4により示されているように、同一の結果が、585nmの光源を伴う、日ごとの15分間の治療により、50W/cm2 の出力密度を伴って、1ヵ月後に、あるいは、3W/cm2 の出力密度を伴って、1年後に、達成できる。これらのパラメータは、光源として、LED、ダイオード・レーザーまたは低出力ランプを伴う、本発明において提案されている発光アプリケータ(LEA)に実施できる。加えて、治療の数は皮膚を38〜42℃まで同時に加熱することによりさらに減少させることができる。このことは同一のアプリケータまたは外部加熱源を使用することにより達成できる。
【0045】
同様に、フルエンスまたは出力も、生物組織において他の光化学作用を達成するために、多数回の治療を用いて減少させることが可能である。一例の実施形態において、減少されたフルエンスまたは出力および多数回の治療により処理される光化学処理は青色光によるアクネ治療である(エー・アール・シャリタ(A. R. Shalita),ワイ・ハース(Y. Harth),およびエム・エルマン(M. Elman),「アクネ・フォトクリアリング(エー・ピー・シーテイー・エム)・ユージング・ア・ノベル,ハイ−インテンシティ,エンハンスド,ナロウ−バンド,ブルー・ライト・ソース(Acne PhotoClearing (APCTM) Using a Novel, High-Intensity, Enhanced, Narrow-Band, Blue Light Source)」,クリニカル・アプリケーション・ノーツ(Clinical Application Notes),9巻,1号)。アクネは、アクネ菌(挫瘡プロピオンバクテリウムまたはピー・アクネ)が異常増殖を生じることにより、腺が皮脂や角質性の破片によりふさがれる、皮脂腺の病気である。なお、このピー・アクネの破壊はあらゆる効果的なアクネ療法の不可欠な部分である。
【0046】
アクネ治療の有効な方法である、APCは、アクネ菌がこれらの通常の代謝過程の一部として、ポルフィリン(porphyrins)を生成するという事実に基いている。すなわち、光によるポルフィリン(porphyrins)の照射は、例えば、癌の光力学的な療法において、用いられる光感作の作用、を引き起こす。ポルフィリン(porphyrins)の最も強い吸収バンドはソレット・バンド(Soret band)と呼ばれており、この帯域は可視スペクトル(405〜425nm)の紫〜青色の範囲に存在している。光子を吸収すると共に、ポルフィリン(porphyrin)分子は一重項−三重項の変換を生じて、組織を損傷させる細菌を酸化する一重項原子の酸素を発生する。また、アクネ菌を照射すると、同様の光化学的な過程が開始される。この過程は細菌により生成される内因性のポルフィリン(porphyrins)の中における光の吸収を含む。この結果として、ポルフィリン(porphyrins)は細菌を酸化する遊離の一重項酸素を減成して、ピー・アクネを根絶することにより、炎症性の病巣の数を著しく減少させる。このような治療の特定の臨床結果が報告されている(エー・アール・シャリタ(A. R. Shalita),ワイ・ハース(Y. Harth),およびエム・エルマン(M. Elman),「アクネ・フォトクリアリング(エー・ピー・シーテイー・エム)・ユージング・ア・ノベル,ハイ−インテンシティ,エンハンスド,ナロウ−バンド,ブルー・ライト・ソース(Acne PhotoClearing (APCTM) Using a Novel, High-Intensity, Enhanced, Narrow-Band, Blue Light Source)」,クリニカル・アプリケーション・ノーツ(Clinical Application Notes),9巻,1号)。また、臨床的な調査において、金属ハロゲン化物ランプからの90W/cm2 で線量が54J/cm2 の光により、10分間にわたり、1週間に2回、35人の患者を治療する場合に、平均の障害部分の数における60%の減少が見られている。さらに、治療の全体の過程は4週間続き、この間に、それぞれの患者は8回の治療を受けている。
【0047】
医務室等のような、監視下の状況において行なわれる必要のある、強い光の1回または数回の治療の使用の代わりに、細菌の母集団の量の同様の減少が、本発明において提案されている発光アプリケータ(LEA)を用いる、かなり低い出力および線量の、比較的に多い回数の治療により、達成できる。このようなLEAによる低出力の治療は家庭環境内において行なうことができる。なお、所定時間の期間当たりの治療の回数と細菌の母集団の量の全体的な変化との間の関係は、治療の過程の間における細菌の複雑な母集団の活動力により、単純ではないことに注目する必要がある。すなわち、使用者は、このような1回の治療当たりの少量の線量の方法を用いて治療の間の時間を短縮させても、有効な結果を得ることは通常においてないであろう。さらに、このことは伝統的なバーフルスト(Verhulst)モデルを用いて以下において説明されている。
【0048】
このバーフルスト(Verhulst)モデルは、母集団の成長速度が個々の間の競合により制限されること、を示唆している。このモデルを上記の細菌に適用することにより、以下の微分方程式が得られる。
【数3】

この場合に、
Bは時間tにおけるバクテリアの母集団の量であり、
stは静止期の母集団の量であり、
αは競合の無い、すなわち、B≪Bstである、場合の母集団の成長速度である。
なお、上記の方程式(2)は光治療の間において有効である。この方程式(2)の解は以下のようになる。
【数4】

この場合に、
B(0)は初期の母集団の量である。
【0049】
上記の治療の効果は、方程式(2)の右側に新たなパラメータのXを加えて、説明される必要があり、このパラメータXは母集団の量の光誘発型の減少を表わしている。また、治療部位における光の強度はW(t)であり、この場合に、任意の時間依存性が仮定されている。なお、細菌に対する光の作用は、上記のパラメータX、すなわち、1単位の光の強度および1単位の母集団の量当たりの根絶速度、により記述されている。上記の強度および母集団の量に関して、根絶速度の線形の依存性を仮定すると、調速微分方程式は以下の形態を採る。
【数5】

この方程式(4)は上記のオリジナルのバーフルスト(Verhulst)モデルの一部の変形を示している。この場合に、このオリジナルのモデルと同様に、上記の各式は分析的に解を得ることができる。
【0050】
定期的な治療もまたモデル化できる。この場合に、上記の関数W(t)は方形パルスの周期的なシーケンスになる。これらのパルスの間の時間の間隔および最初のパルスの前の時間遅延はτ1 であり、パルスの持続時間はτ2 である。したがって、この周期はτ=τ1 +τ2 により与えられる。この場合に、本発明者は、それぞれのパルスの終了時、すなわち、瞬間の時間tn =n・τ、における母集団の量に関心を持っており、この場合に、nは1から始まる任意のパルス数である。この場合に、α・τ2 ≪1であれば、n回目の治療Bn 後のバクテリアの母集団に対応する発現は以下のようになる。
【数6】

上記において、
F=W・τ2 は1回の治療当たりの光の線量である。
【0051】
上記のシャリタ(Shalita)他(クリニカル・アプリケーション・ノーツ(Clinical Application Notes),9巻,1号)により報告されている実験データおよび上記のモデル(5)の比較により、本発明者は以下のモデル・パラメータ、すなわち、α=0.3週-1、X=0.013cm2 /J、およびBst=105 コロニー/cm2 、の値を得ている。さらに、これらのパラメータを上記の方程式(5)に適用して、時間に対する母集団の量を評価した。この比較の結果が図9において示されており、この図9は、本発明の実験モデルがシャリタ(Shalita)他の臨床データのモデルに極めて近いこと、を示している。曲線1はシャリタ(Shalita)他の臨床データであり、この場合に、金属ハロゲン化物ランプからの90W/cm2 で線量が54J/cm2 の光による10分間の処理が用いられている。一方、曲線2は410〜420nmの波長を伴うLEDの、13mW/cm2 で線量が7.8J/cm2 の光による10分間の処理を使用している、本発明の発光アプリケータ(LEA)による日ごとの治療を示している。この場合に、母集団の量は治療中に急に低下し、それぞれの治療の間に徐々に増殖している。したがって、図9は、本発明において提案されている手持式の発光アプリケータ(LEA)による低出力(13mW/cm2 )での日ごとの治療により、クリアライト(ClearLight)(商標)という高出力(90mW/cm2 )で固定式の192ポンド(87kg)の装置(カリホルニア州、サンタ・クララのルメニス・インコーポレイテッド(Lumenis Inc.)から市場において入手可能)と、同じ細菌に対する効果が達成できること、を示している。
【0052】
図10は、同等の細菌の減少を達成するために、4週間の期間にわたる種々の光の線量を伴って、必要とされる治療の量を示しているグラフである。例えば、約28回の治療に対応する線量は1回の治療に対応する線量よりも24倍だけ低い。さらに、本発明の方法を用いるアクネ治療の効果は以下の技法を用いて高めることができる。すなわち、皮膚の圧縮は腺を含む皮脂腺に対する光のさらに良好な浸透を引き起こすことができる。また、400〜700nmの範囲からの異なる波長の最適な組み合わせが使用可能である。また、比較的に長い波長ほど皮脂腺において有効になり、皮脂の生成を調整するために使用できる。また、漏斗および/または皮脂腺は加熱できる。さらに、上記の光治療はコメドおよび皮脂腺の開口部の浄化と組み合わせることができる。また、上記の光治療は抗菌性および/または抗炎症性のローションとの組み合わせで使用でき、これらのローションは光治療の前および/または後に適用できる。さらに、上記の光治療は光増感剤を含有しているローションの適用との組み合わせで使用できる。また、上記の光治療は5−アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid)(ALA)等の光増感剤の生成を開始する分子を含有しているローションの適用と組み合わせることができる。加えて、光吸収を増加して、比較的に良好な加熱作用を生じる、カーボン、メラニン、または色素等のような、吸収性の化合物を含有しているローションも適用できる。
【0053】
上記のような、本発明において示唆されている、特定の光のパラメータおよび補助化合物の製法により、上記の治療方法が与えられている。これらの治療は、相当に多数回の治療と、例えば、1日ごとまたは1週ごとに、投与する必要があるという頻度の基準とにより、家庭で行なえることが好ましい。以下において論じられているように、体に必要とされる光の線量を送達するために、種々の光に基く装置が使用できる。
【0054】
利用されている光放射線源は、約1mW/cm2 〜約100W/cm2 の出力密度を、患者の皮膚の表面に供給できるが、10mW/cm2 〜10W/cm2 の範囲が好ましい。また、使用する出力密度は、1回の治療が評価できる治療効果を生じない程度である。すなわち、治療効果は、長時間の期間にわたる比較的に頻繁な治療により、上記において示されているように、達成できる。また、上記の出力密度は、治療される状況、使用する1個以上の波長、および治療が望まれる体の場所、すなわち、治療の深さ、患者の皮膚の種類等、を含むが、これらに限定されない、多数のファクターの関数として変化する。また、適当な光放射線源は、例えば、約5〜10ワットの出力を供給できる。
【0055】
適当な供給源は以下のような半導体発光装置を含む。
・エッジ発光式LED(EELED)、表面発光式LED(SELED)または高輝度LED(HBLED)を含む発光ダイオード(LEDs)。このLEDは、格子構造およびその他の構造を伴っている、AlInGaN/AlN(285nmから発光)、SiC、AlInGaN、GaAs、AlGaAs、GaN、InGaN、AlGaN、AlInGaN、BaN、InBaN、AlGaInP(NIRおよびIRにおいて発光)等のような、異なる材料を基材とすることができる。また、別の適当な種類のLEDは、活性材料としてポリマーを用いていて、極めて低コストで発光の広範囲なスペクトルを有している有機LEDである。
・超発光ダイオード(SLDs)。SLDは広範囲の発光スペクトルの供給源として使用できる。
・レーザー・ダイオード(LD)。レーザー・ダイオードは最も有効な光源(LS)である。導波レーザー・ダイオード(WGLD)は極めて有効であるが、光をファイバーの中に連結していることにより最適ではない。垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)は、一片のウエハに基いて構築されている大面積マトリックスのエミッタに対するファイバーの連結において、最も有効である。このことはエネルギーおよび費用の両方において効果的である。なお、上記のLEDのために用いられている同じ材料をダイオード・レーザーのために使用できる。
・レーザー・ダイオード・ポンプ輸送を伴うファイバー・レーザー(FL)。
・LD、LEDまたは電流/電圧供給源からの電気的ポンプ輸送または光ポンプ輸送を伴う蛍光固体光源。このFLSは電気的なポンプ輸送を伴う有機ファイバーとすることができる。
【0056】
さらに、他の適当な低出力レーザー、ミニ−ランプまたはその他の低出力ランプ等も上記の供給源として使用できる。LEDは、それらの低コスト、それらが容易に包装されるという事実、および種々の状況を治療するために適している広範囲な波長における利用可能性により、現在において好ましい放射線源である。特に、MCVD技法は、所望のアレイ、好ましくは、LEDおよび/またはVCSELの二次元アレイを、比較的に低コストで、成長させるために使用できる。さらに、固体光源は単色の適用において好ましい。しかしながら、ランプ、例えば、白熱電球、蛍光灯、マイクロ・ハライド・ランプまたはその他の適当なランプも、白色光、赤色光、NIRおよびIRの放射線のための好ましい光源である。
【0057】
固体供給源の効率は1〜50%であり、これらの光源は極めて高密度のパッケージの中に取り付けられているので、その発光領域からの熱の除去は、一般に、その光源の出力の主な制約条件になる。すなわち、比較的に良好な冷却状態において、光源のマトリックスは、ダイアモンド、サファイア、BeO、Cu、Ag、Al、ヒート・パイプ、またはその他の適当な熱放散装置に取り付けることができる。特定の装置のために用いる光源は、多数の基本的な光源の部品を入れたパッケージとして、構築または形成できる。半導体の発光構造から皮膚への光の改善された送達のために、その構造と皮膚との間の空間を、空気の隙間を伴うことなく、約1.3以上の屈折率を有する透明な材料により充たすことができる。
【0058】
光を皮膚の中に連結するための機構を伴う光源は、例えば、シャワー・ブラシまたは顔面クレンジング・ブラシ、マッサージャー、またはローラー(例えば、内容全体において参照により本明細書に組み入れられている、皮膚の温度を調整するための装置についての、2001年、11月29日に出願されている、米国特許出願第09/996,662号を参照されたい)を含む、任意の種類のブラシ等のような、皮膚に適用できる、任意のハンド・ピースの中またはそのハンド・ピースに、取り付けることができる。加えて、上記の光源は、シャワー・ヘッド、マッサージャー、スキン・クリーニング装置等に連結できる。また、これらの光源は、既存の製品にクリップ留めするか、ベルクロ式の固定をするか、その他の様式で取付け/改装することのできる取付手段の中に、取り付けることができ、あるいは、これらの光源は新しい製品に一体化できる。
【0059】
図11Aにおいて示されているように、光源1102は、参照により本明細書に組み入れられている、2001年11月29日に出願されている、米国特許出願第09/996,662号において開示されているような、使用者の温度を調整するために使用できるローラー組立体1148の外表面部に、取り付けることができる。あるいは、光源1102’は上記のローラー組立体の透明な外表面部を通して投射することができ、このローラー組立体は、サファイアまたは石英またはプラスチック等のような、良好な熱伝達特性を有する透明な材料により構成できる。さらに、このことは、例えば、通路1118の一部を、図11Bにおいて示されているように、光源に置き換えることにより、達成できる。あるいは、これらの光源はローラー1112の内部に置くことも可能である。
【0060】
上記の利用されている光源は単一の波長で出力を発生してもよく、あるいは、選択された範囲の波長または1個以上の波長の帯域にわたって出力を発生できる。広帯域の光源の場合に、その出力を所望の波長帯域に限定するために、フィルター処理が必要になる。放射線源のアレイを使用する場合に、それぞれのまたは幾つかの放射線源は選択された異なる波長または波長帯域において動作可能であり(あるいは、異なる帯域を与えるためにフィルター処理することができ)、この場合に、これらの与えられる波長および/または波長帯域は、治療される状況および使用される治療プロトコル、により決まる。このように、異なる波長で光源を用いることは、皮膚の中の異なる深さにおける一つ状況に対応する同時の治療を可能にするか、あるいは、二つ以上の状況が単一の治療の間に治療されることも可能にできる。この場合に、用いられる波長は290nm〜20000nmの範囲内にすることができる。なお、種々の治療に対する波長範囲の例が以下において記載されている。上記の用いられる光源は連続波(CW)であってもよく、この用語は0.5Hzと同等かこれよりも高い比率でパルス化されている光源もふくみ、あるいは、例えば、1秒〜10000Hz当たりに10個のパルス等のような、適当な比率で動作するパルス化された光源であってもよい。なお、上記の比率は、治療されている個人の生物学的な反復速度に対して、例えば、心拍数または呼吸周期等に対して、同期化することができ、あるいは、光と同時に体に送達されている音響波の振動速度に対して同期化することもできる。
【0061】
上記の治療のために用いられるヘッド部分は、好ましくは、そのヘッド部分から延出している剛毛を伴うブラシ様の装置であり、これらの剛毛は、好ましくは、有機または無機の材料から成る光ファイバーであり、これらの光ファイバーを通して、光放射線が患者の皮膚に供給されるか、あるいは、上記のヘッド部分は皮膚に接触するための尖ったまたは丸みを付けた突出部分を有するマッサージ式の装置であってもよく、これらの突出部分を通して、光放射線が患者の皮膚に供給される。また、水を放出するためのシャワー−ヘッドまたはその他の装置の場合には、その水は患者の皮膚に光を送達するための導波管として作用でき、別の種類の連結器を必要としなくてもよい。放射線源アレイを用いる場合に、この放射線源アレイは、それぞれの突出部分、それぞれの剛毛またはそれぞれの剛毛の群、に及ぶ放射線源が存在するように、設計できる。また、上記の剛毛または突出部分における接触部分が光を伝達しない場合には、その光は、これらの剛毛または突出部分の間および/またはそれらの周囲において、皮膚に供給される。さらに、これらの突出部分または剛毛は患者の皮膚を掃除して、死んだ皮膚、よごれ、細菌および種々の治療残留物を除去することができ、これらの突出部分または剛毛は、種々の治療を容易にする一つの過程である皮膚の刺激およびマッサージ、を行なうこともできる。また、上記の突出部分および剛毛は放射線を皮膚の表面の上の小さなスポットに集中させて、これにより、特定の放射線源の出力に対応して、治療の各スポットに送達されるエネルギーを実質的に増加することができ、特に、治療中に上記のヘッド部分に圧力が加えられると、患者の皮膚をへこませて、供給される放射線を所望の治療または標的の領域にさらに近づけることができる。これらの剛毛または突出部分は、したがって、標的領域へのエネルギーの送達の効率を相当に高めることができ、特定の放射線源の出力に対応して、さらに効果的な治療を可能にする。上記の放射線源の出力、各放射線源の間隔、ヘッド部分の設計(すなわち、使用する突出部分または剛毛)およびその他の装置のパラメータは、既に述べられている、患者の皮膚表面における、エネルギーまたは出力密度、を発生するように、選択される。また、用いられる剛毛は比較的に硬くても柔らかくてもよく、突出部分の形状は、特定の治療に対応して望まれる摩擦、患者の皮膚の感じやすさおよびその他のファクター、の程度に応じて、調節可能である。なお、平坦または湾曲状であってもよく、平滑またはあらくてもよい、均一な皮膚接触面を有するヘッド部分もまた、本発明の意図の範囲内であるが、このようなヘッド部分は、少なくとも、上記の突出部分または剛毛が行なうような、エネルギー効率を高めるために放射線を集中させること、をしないという理由により、現在においては好まれていない。
【0062】
用いられている上記のヘッド部分またはブラシの大きさは、そのヘッド部分が治療するために設計されている体の部分に応じて変えることができ、例えば、身体を治療するために大きくなり、顔面を治療するために小さくできる。比較的に大きなボディ・ブラシは、例えば、入浴用ブラシとして用いることができ、シャワー・ブラシとして体をきれいにすると共に、例えば、生体刺激等の、光放射線治療を同時に行なうために、光放射線と水の両方を送達する。また、この水は放射線源を冷却するために使用することも可能である。さらに、ブラシの剛毛が光ファイバーでなければ、水は、患者の皮膚に送達される光のための導波管として作用することもできる。皮膚に接触する上記LEAの前方の部分は機械的な変化を防ぐために軟質の材料により作成できる。例えば、この前方の部分は、極めて小さな直径の柔軟なファイバーまたは光学的な樹脂パッドまたは光学経路を伴う弾性パッド、を伴うブラシとすることができる。
【0063】
本発明のために用いられている低出力の放射線源は、以前に用いられていた比較的に高出力の放射線源よりも、はるかに少ない熱を発生するが、これらの放射線源も多少の熱を生じており、この熱は、特に比較的に長い治療においては、その放射線源から消散させることが望ましい。この場合に、放射線源に接触している、例えば、アルミニウムまたは一部の他の金属あるいは熱伝導性のセラミック等のような、熱伝導性の材料から成るヒート・シンクは上記のヘッド部分から熱を消散させることができ、さらに、この熱はそのヒート・シンクから周囲の空気中に除去される。さらに、このヘッド部分が、患者の皮膚に接触する突出部分、を有する場合には、これらの突出部分を熱伝導性の材料により作成して、熱を患者の体を通して除去することも可能である。
【0064】
この熱は患者に対して痛みや不快感を引き起こすほどには十分に高くなく、いくらかの治療を助長できる、患者の皮膚における穏やかな過温症を、引き起こすことができる。同様に、上記のヒート・シンクは上記の装置のハンドルまで延在して、熱が、そのヒート・パイプを介して、オペレータの手を通して消散されることを可能にする。この場合も、その熱は何らかの危険性または不快感を生じるほどには十分でない。上記のアプリケータはまた、初期の治療の間に患者の皮膚に対して穏やかな低体温症を生じて、その放射線源からの熱の除去を容易にするために、治療の前に、冷蔵庫または冷凍庫の中に置くことも可能である。例えば、上記のヒート・シンクは放射線源に接触しているパックであってもよく、このパックは、例えば、水、ワックスまたはその他の材料等の、冷凍可能な液体を収容しており、これらの材料は、光源および/または皮膚を冷却するために適当な範囲内の溶融温度または気化温度を有していて、放射線源により加熱される時に相変化を生じ、この相変化は相当な熱の除去を生じる。治療後に、上記の材料は、特別なクーラーの使用によるか周囲温度による冷却により、その初期の相に戻して、再利用できる。例えば、この材料は、室温(20〜30℃)から許容可能な皮膚温度(38〜42℃)までの範囲内の溶融温度を有するワックスまたはパラフィンとすることができる。
【0065】
上記において示されている装置からのエネルギー出力は、その装置からの光放射線が不注意に患者の目に映りこんでも、その人の目に対して瞬時に傷害を生じることはなく、何らかの傷害が生じることが可能になる前に、その患者が不快を感じて、目を逸らせるか、患者の目からその放射線を移動させる程度に、低い。このような作用は電球を直接見ることに類似していると考えられる。同様に、患者の皮膚に対する傷害は、推奨される曝露の間隔を超える場合に、本発明のエネルギー・レベルにおいて、当然に生じることはない。この場合も、上記のパラメータの組み合わせが一部の状況においていくらかの傷害を生じる程度になるまでに、患者の不快感は何らかのそのような傷害の前に十分に生じて、その進行を終結させるであろう。
【0066】
エネルギー効率は高めることができ、安全性は改善できるが、前に示されているように、安全性は、突出部分、剛毛またはその他の皮膚接触面が患者の皮膚に接触している時にのみ作動する放射線源を有するか、そのような接触がある時にのみ突出部分、剛毛またはその他の皮膚接触面からの出力を可能にすることにより、本発明の装置において問題にならなくなる。このことは接触している突出部分/剛毛においてのみ出力を供給することを可能にし、これにより、例えば、接触している剛毛/突出部分に付随している一部の放射線源はオンになるが、接触していない剛毛/突出部分に付随している他の放射線源はオフになり、あるいは、何らかの接触により、全ての突出部分/剛毛が出力を供給することが可能にしている。さらに、適当な圧力センサーを、例えば、それぞれの剛毛または剛毛の群の基端部に備えてもよく、対応している放射線源はそのセンサーの出力に応答して作動し、あるいは、接触を検出してその接触に応答して全ての放射線源を作動する1個以上のセンサーを備えることも可能であり、あるいは、剛毛またはその他の出力ウインドウは、その先端部が患者の皮膚に接触するまで、全内反射を有することができるが、上記のような接触がある時にだけ、光がその剛毛/ウインドウから出力されるようにしてもよい。このような接触センサーは機械的、電気的、磁気的または光学的にすることができる。さらに、上記の装置はセンサーを備えることができ、このセンサーは治療の結果に関する情報を与えることができる。例えば、アクネにおけるプロトポルフリン(protoporphrine)の蛍光を検出するために、蛍光センサーが使用できる。この場合に、治療が進行すると、蛍光信号は減少する。したがって、この方法は、治療が完了することになる時を示すために、使用できる。
【0067】
本発明の装置におけるエネルギーの必要条件は、その装置が充電不能な電池を伴って妥当な回数の治療に対応して動作できるために十分に小さくすることが可能であるが、例えば、電動歯ブラシと共に、現在において用いられているような、アプリケータの移動により作動する再充電可能な電池または電気機械的な発生装置も利用可能になることも現在において考えられている。また、AC配線に接続されている適当な電源も使用可能になると考えられる。
【0068】
単一のブラシ様アプリケータが好ましい実施形態において用いられているが、このアプリケータは本発明における限定ではない。例えば、このアプリケータは、フェイス−マスクの形態か治療される患者の体の別の部分に一致するような形状、にすることができ、このようなアプリケータの皮膚に対向している面は、上記の好ましい実施形態の場合と同様に、放射線を送達するための、突出部分、ウォーター・ジェットまたは剛毛、を有している。また、このような装置は患者の皮膚の上を移動させることが可能であるが、この装置が静止している限り、上記の好ましい実施形態における摩擦またはクリーニングの作用を与ええることはなくなる。
【0069】
上記のヘッド部分は開口部を有することも可能であり、この開口部を通して、ローション、薬物または局所的な物質等のような、物質が、治療の前、その間、またはその後に、分配される。このようなローション、薬物、局所的な物質等は、例えば、特定の治療を助長するために光活性化型のPDT分子を含有している。さらに、このようなPDTまたはALA様のローションは、治療の前に、あるいは、治療に加えて、あるいは、治療の代わりに、適用することも可能である。また、LEAは、光熱的または光化学的なメカニズムによりローションと汗腺との間の相互作用を高めるために、制汗性または消臭性のローションと共に使用できる。さらに、上記のローション、薬物または局所的な物質は、スキン・クリーニング、コラーゲン生成等のような、皮膚および人間の健康のために異なる有益な効果を伴う分子を含有できる。
【0070】
本発明の教示を利用することにより治療可能な状況は既に述べられている状況の少なくとも大部分を含んでいるが、これらの教示に対応する適用例のリストは、これらの教示を伴う経験が増えるのに従って、確実に広がるであろう。表1は、これらの適用例のそれぞれに対応する教示を利用するための適当なパラメータと共に、これらの適用例の一部を列挙している。
【0071】
皮膚の若返りのための、一部の可能な適用例を考慮すると、上記の光放射線はコラーゲンの成長を刺激できる。さらに、皮膚の上を移動する、最適化された微小表面の形状を伴う突出部分または剛毛は死んだ皮膚を剥がすか除去して、皮膚に対して微小外傷を生じることにより、微小摩擦作用を与えることができ、この皮膚において、光はコラーゲンの成長による修復を補助する。この治療の標的領域は皮膚の中の約0.1mm〜0.5mmにおける乳頭状真皮であり、組織の中の水はこの治療のための主要な発色要素であるので、上記の放射線源からの波長は、わずかな光子だけが乳頭状真皮を通り過ぎるように、水または脂質または蛋白質により強く吸収される範囲内にする必要がある。例えば、900nm〜20000nmの波長域はこれらの基準を満たす。また、皮脂腺の治療においては、この波長は900〜1850nm、好ましくは915nm、1208nm、1715nm等のような、脂質の吸収のピークの近辺にすることができる。また、アクネの治療、とりわけ、アクネを引き起こす細菌の殺菌、においては、290nm〜700nmの波長域がその目的を達成する。さらに、毛髪成長の管理は、変化を加速するか、逆に、毛髪の成長状態を抑えるように、毛包基質に作用することにより達成でき、これにより、供給されるエネルギーおよびその他のファクターに応じて、毛髪の成長を加速するか遅らせることができる。
【0072】
図1は本発明を実施するために適している単純化されたヘッド部分10のいくぶん概略的な断面図であり、このヘッド部分は平坦な皮膚接触面を有しており、この皮膚接触面は平滑でもあらくてもよい。この皮膚接触面12は、好ましくは、所与の材料から成る、層、概して薄い層であり、この材料は皮膚に対して良好な光学的な適合性を有していて、光学的に透過性であり、好ましくは、熱伝達特性を有しており、例えば、有機または無機のガラス、誘電性結晶またはサファイアである。さらに、皮膚に対する比較的に良好な接触のために、上記の材料は柔軟で透明なプラスチックにすることができる。さらに、例えば、LEDまたはその他の適当な放射線源のマトリックス・アレイ等のような、アレイを含む、ウエハまたはその他の適当なパッケージ14が上記の層12に接触して取り付けられていて、放射線を層12を通して患者の皮膚16に送り出す。この放射線源のアレイは適当な電源18により駆動され、この電源18は、例えば、再充電可能なまたは廃棄可能な電池あるいは標準的な壁式の電源プラグを含み、適当な制御装置も含むことができ、これらの制御装置は、放射線源をオン/オフし、その他の様式でこれらの動作を制御するための、手動動作型の制御装置を含むことができる。これらの放射線源からの熱は層12を通して患者の皮膚16まで下げることができるが、付加的な熱の低下が必要とされる限り、良好な熱伝達特性を有する適当な材料から成るヒート・シンクまたはヒート・パイプ20をウエハ/パッケージ14に対して熱的に接触させて備えてもよい。なお、このヒート・シンクまたはヒート・パイプ20は、熱をオペレータの手の中へ下げることも可能になるように、ハンドル22の中に延在した状態で示されている。あるいは、このヒート・シンクまたはヒート・パイプ20は、氷またはワックス等のような、相変化性または相転移性の材料を伴って、所与の容器に接触させてもよい。矢印24は、ヘッド部分10を患者の皮膚16を横切って移動させることのできる方法の内の二つ、を示している。しかしながら、このヘッド部分は、図面の中または外に向かう方向や、皮膚の表面に近接しているか平行な全ての他の方向にも、移動させることができる。この場合に、放射線源と患者の皮膚の表面との間の間隔が十分に小さく維持できれば、それぞれの放射線源から皮膚表面に到達する光はかなり集中させることができる。さらに、エネルギー効率を高めるために、それぞれの放射線源から皮膚表面に光を集中させるために、適当な光学機器を、ウエハ/パッケージ14や層12の中に、あるいは、これらの間に、設けることも可能である。例えば、フライズ−アイ・レンズ・アレイをこの機能のために採用できる。
【0073】
本発明の別の実施形態において、上記のアプリケータは、光学的に透過性の層を介して、強い摩擦を伴って、治療領域に接触できる。さらに、このアプリケータは、当該アプリケータが所与の標的領域またはその近くの皮膚に接触するように、その皮膚に対して押圧できる。また、このアプリケータは、当該アプリケータをその接触領域から移動させることなく、表面下の組織を治療するために、機械的に激しく動かすことができる。例えば、アプリケータを所与の接触面積で患者の頬に接触させるように、その患者の頬に対して押圧することができる。さらに、このアプリケータは、物理的な接触点を変えないまま、患者の歯または下層の腺または組織を治療するために、患者の頬に押し込むことができる。図12Aおよび図12Bにおいて示されているように、アプリケータのヘッドピース1203は、透明で熱伝達性の材料により構成されているコンタクト・ウインドウ1201を含むことができる。このコンタクト・ウインドウ1201は、当該コンタクト・ウインドウ1201が使用者により交替できるように、取り外し可能にすることに適合できる。さらに、光源のアレイ1202からの光がコンタクト・ウインドウ1201を通して投射されるように、LEDまたはVCSELのアレイ1202またはその他の光源が配置できる。ヒート・シンク1204は光源1202のアレイに熱的に連結でき、ヒート・シンク・ピン1205によりその位置が保持できる。これらのヒート・シンク1204およびヒート・シンク・ピン1205は、水、ワックスまたはパラフィン等のような、高い熱容量のまたは相変化性の材料から成る材料1210に対して熱接触できる。また、上記のアプリケータはハンドル1206を有することができ、このハンドル1206の中を通して電力供給線1207を取り付けることができる。あるいは、このハンドル1206は、電池等のような、内部電源を有することもできる。さらに、ローション・カートリッジ1208は、ローションが、貯蔵可能になり、ローション出口1209を通して皮膚に流出できるように、ハンドル1206の中に配置できる。
【0074】
図2および図3は、剛毛および突出部分が、それぞれ、患者の皮膚の表面に対して、ウエハ/パッケージ14の中の放射線源から、光を送達するために用いられている場合の、さらに好ましい実施形態、を示している。これらの図を簡単にするために、ヒート・シンク20およびハンドル22は図示されていないが、ハンドル22(図1)等のようなハンドルまたはある種のハンドグリップがそれぞれの実施形態に対応して普通に採用され、ヒート・シンク20も、必要であれば、採用できる。図2において示されている剛毛26の性質および機能は、図3において示されている突出部分30の性質および機能と同様に、いくらか詳細に既に論じられている。突出部分30はヘッド部分10”のハウジングの中に成形することができ、好ましくは、光学的に透過性の材料から成り、この材料は、一部の実施形態において、良好な熱伝達特性を有することもできる。このような良好な光と熱の伝達の両方を確実にするために、ウエハ/パッケージ14と突出部分との間の間隔をできるだけ小さくすることが必要である。突出部分30は図3において尖っているものとして示されており、多くの適用例において好ましいが、さらに丸みを付けた突出部分が好まれる場合の適用例もある。いくらかの圧力がヘッド部分10”に加えられると、突出部分30は皮膚の表面のわずかに下方に延出して、標的領域に対する放射線の送達をさらに増す。これらの突出部分30は、皮膚に接触していなければ、光源14からの全てのまたはほとんど全ての光が全内反射してヘッド部分の中に留まるが、一つの突出部分30の表面が皮膚に対してわずかに光学的に接触しても、その接触部位における皮膚の中に光が伝えられるように、設計して形づくることができる。さらに、適切な屈折率を有するローションは光学的な連結を改善できる。図5A〜図5Dは、突出部分および剛毛における全内反射現象を用いる上記の概念の実施形態、を示している。狭い発散を伴う光源31からの光は、空気の屈折率が1であるので、全内反射により、突出部分30または透明な剛毛26(図5Aおよび図5C)の先端部から、通常において、完全に反射される。しかしながら、突出部分30または透明な剛毛26の先端部が皮膚16に接触すると(図5Bおよび図5D)、その皮膚の高い屈折率(n=1.4〜1.5)により、光の大部分は皮膚の中に伝えられる。このような概念は高められた目の安全性および快適感を与えることができる。加えて、後方に反射される光は、電池のエネルギーを節約するために、光源に対する電力を減少させるための信号として、用いることができる。さらに、このような発光アプリケータ10の効率は、皮膚から反射される光をその皮膚に向けてその中に戻すために、高い反射性の前面部32を使用することにより、高めることができる。
【表1】

【0075】
例えば、発光アプリケータ(LEA)を伴うシャワー・ヘッド等のような、本発明の多くの付加的な実施形態も可能である。図6はシャワー・ヘッドのLEAの概略図である。水33はハンドルを通してこのヘッド部分の中に入り、穴37を通して水流の中に分配される。光源36(例えば、ミニ・ランプまたはLED)は、光が穴37を出る水流の中に伝えられるように、それぞれの穴37の近くに取り付けられており、この水流は体に対する光の比較的に良好な送達のための導波管として作用する。この目的のために、それぞれの穴の内表面部は高い反射性の材料により被覆できる。
【0076】
皮膚の中に、薬物、ローションまたはその他の物質を送達するためのLEAにおいて、このようなLEAは、角質層(水、脂質、角質化した細胞)により強く吸収される波長を伴う光に対して透過性の剛毛または突出部分を伴うブラシとして構築できる。皮膚に対して接触しているそれぞれの剛毛/突出部分の先端部は、角質層を通るローション、薬物またはその他の物質の浸透を増加するために十分に高い温度まで、その角質層を加熱できる。この場合に、角質層の中の高温の領域は比較的に小さく、この領域は剛毛/突出部分と共に移動し続けるので、この治療は無痛にできる。さらに、この治療は、剛毛の回転または振動、その他の機械的な振動、磁場、電場、音響場等のような、別の作用を伴うLEAを組み合わせることにより、向上させることができる。
【0077】
さらに、小形の電磁気発生装置を上記のLEAの中に取り付けることにより、そのLEAの皮膚を横切る継続的な移動の間に、光源を駆動および/またはポンプ輸送するために、電気エネルギーを発生させることができる。
【0078】
それぞれのLEAの大きさおよび形状は、このLEAが用いられる体の部分および治療される状況に対応して、最適化できる。したがって、ヘッド形LEA、くし形LEA、顔面用LEA、あごひげ用LEA、胸部用LEA、足用LEA、身体用LEA、背中用LEA、わきの下用LEA、首用LEA等を備えることが可能である。また、光源は、スキン・ブラシ、シャワー・ブラシ、シェービング・ブラシ、かみそり、歯ブラシ、マイクロアブレージング・アプリケータ、マッサージ器、ローション、ゲル、石鹸、スポンジ、局所用薬物分配器、およびLEAを形成するための熱または冷温のアプリケータ・パッド等のような、既存のスキン・アプリケータに対して改装できる。例えば、光源のアレイを、ベルクロ(Velcro)、クリップまたはその他の適当な手段により、入浴用ブラシまたはその他のブラシまたはボディ・マッサージャーに、取り付けることができる。
【0079】
図13は本発明の別の実施形態を示しており、この実施形態において、改装式または「スナップ−オン」式の付属型光治療装置1300が、ブラシ1302等のような、皮膚表面治療装置に連結されている。この装置1300は、この装置を皮膚治療装置に固定するための、例えば、1個以上のクリップ1306等のような、取付機構、を伴うハウジング1304、を含むことができる。このハウジング1304の中には、少なくとも1個の放射線源1314および、随意的に、例えば、別の図面に関連して上述されているように、配置されている電源1318が存在している。このハウジングは、放射線源1314の調節可能な配置のための柔軟な「グースネック形」の連結部分1308、をさらに含むことができる。
【0080】
図14は、シャワー・ヘッド1402(または類似の手持式の入浴用装置)と共に使用するための別の改装装置1400、を示している。この装置1400は、固定バンド1404と、シャワー・ヘッドのノズルを通る水の送達と同時に、光治療を送達するための少なくとも1個の放射線源1414と、を含むことができる。
【0081】
発光式シェービング・ブラシは、クリーム/ゲルの分配および/またはスキン・マッサージのための剛毛と、適当な出力および波長を伴う光源と、の両方を有することができる。この場合に、光は、比較的に良好なシェービングのためにクリームおよび/または皮膚または毛幹を加熱するために使用でき、毛髪の再成長を調整するために機能することもできる。放射される光の波長は、メラニン、水、脂質または毛幹/角質層の細胞に対応する、高い吸収の範囲内にする必要がある。このような発光式のシェービング・ブラシの体系的な使用は皮膚の感度および皮膚の滅菌を調整することができる。この場合に、波長は、細菌の除去のための290〜1350mmの範囲から選択される必要がある。この種のブラシはアクネの治療および予防のために使用できる。発光式のシェービング・ブラシはまた、毛髪の成長の調整のために使用することもできる。この場合に、波長は400〜1350nmの範囲から選択される必要がある。このような発光式のシェービング・ブラシを体系的に使用することは、毛髪の成長速度を遅らせて、さらに/または、毛髪の組織および/または毛髪の色素沈着を変化させるために、有効になるであろう。有益な効果として、シェービングの間隔は、毛髪の成長の遅れにより、増大させることができる。加えて、発光式シェービング・ブラシは、かみそり負け(PFB)およびあごひげの成長により生じるその他の皮膚の問題、を効果的に治療/予防することができる。約300〜400nmの範囲内の波長は毛幹を軟化させるために使用でき、約600〜1200nmの範囲内の波長は、PFBを予防する等のために、毛幹の成長を中止させるために使用できる。このブラシはまたアクネの治療および予防のために使用することも可能である。発光式シェービング・ブラシは、例えば、光増感剤またはALA等のような光増感剤生成化合物を伴うローション等のような、光活性化型のローションとの組み合わせにおいて使用することもできる。この光増感剤の濃度は太陽およびその他の発光システムによる副作用の閾値よりも低くする必要があるが、発光アプリケータによる、毛包、皮脂腺または皮脂包における、光化学作用の閾値よりも高くする必要がある。この結果として、上記の治療は、毛髪の成長、アクネ、皮膚の脂性、皮膚の色調および皮膚の組織において、有効になることができる。
【0082】
図7は発光式シェービング・ブラシの一例の概略図である。光源50からの光は透明な剛毛51の中に部分的にまたは完全に連結されている。ハンドル53に取り付けられている電源52は再充電可能な電池または廃棄可能な電池のいずれでもよい。図8は光および熱の両方の作用を伴う高効率アプリケータの概略図である。この場合に、光源50は高い熱伝導性のプレート54(Cu、Al)の中に取り付けられている。この光源50の効率は電源52からの全体の電気エネルギーの1〜30%とすることができる。残りの70〜99%は光源および電源からの熱エネルギーになり、この熱エネルギーは、低い熱伝導性のハンドル53に取り付けられているプレート54の中に連結されている。さらに、光源を冷却するために使用できる相転移性の材料および電子機器52を、熱伝導性プレート54とハンドル53との間に配置できる。このプレート54は、相転移性の材料に対する接触表面を増加する、ヒート・パイプ等のような、ピンまたはその他の特徴部分、を伴って、設計される必要がある。また、治療の間のプレート54の温度は熱伝達性の材料の溶融温度または気化温度に近くする必要がある。治療の間に、加温されたプレート54は皮膚の表面の層および/または皮膚の上の何らかのローションを加熱する。その後、光源からの光は、比較的に深い標的の熱治療または光化学的な治療のために、比較的に深在の皮膚層の中に浸透する。さらに、皮膚をマッサージしてその皮膚の中への光の浸透を増加するために、アプリケータの中にバイブレータを配置できる。また、別の実施形態において、上記の接触プレートは移動可能または回転可能にすることができる。このような回転可能なプレートはマイクロ−モーターに連結して、皮膚の微小な摩擦および浄化のために使用できる。
【0083】
以上において、本発明は多数の実施形態に基いて説明されており、これらの実施形態の変形例も説明されているが、これらの実施形態および変形例は例示のみとして記載されており、別の実施形態および変形例も、当業者において明らかになると共に、本発明の範囲および趣旨の中に依然として留まることになる。それゆえ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲の各請求項によってのみ限定されている。
【0084】
〔実施の態様〕
(1)患者の所与の状況を治療するための装置において、
少なくとも1個の突起部分を有する、生物学的な標的への接触面を伴う、アプリケータと、
作動時に、前記少なくとも1個の突起部分を通して、前記接触面に接触している患者の生物学的な標的に、光放射線を送達する様式で、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えている、装置。
(2)実施態様1に記載の装置において、
前記突起部分は、前記生物学的な標的に接触している時以外は、発光を阻止できる、装置。
(3)実施態様1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は光放射線源のアレイであり、それぞれの放射線源は少なくとも1個の対応している突起部分を通して光放射線を送達するように取り付けられている、装置。
(4)実施態様3に記載の装置において、
前記複数の放射線源のそれぞれは、対応している突起部分を通して放射線を送達するように取り付けられている、装置。
(5)実施態様3に記載の装置において、
それぞれの突起部分の皮膚接触端部は、患者の皮膚に接触していない時に、放射線に対して全内反射を有するが、患者の皮膚に接触している時は、その患者の皮膚に対して放射線を通過させる、装置。
【0085】
(6)実施態様1に記載の装置において、
前記アプリケータは、放射線が患者の生物学的な標的の表面に供給される時に、その患者の生物学的な標的の表面の上に移動させるよう構成されているブラシの形態である、装置。
(7)実施態様1に記載の装置において、
前記アプリケータは、放射線が患者の生物学的な標的の表面に供給される時に、その患者の生物学的な標的の表面の上に移動させるよう構成されているローラーの形態である、装置。
(8)実施態様1に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は、当該接触面から延出している突出部分および剛毛の群から選択される少なくとも1個の突起部分、を有している、装置。
(9)実施態様1に記載の装置において、
前記突起部分は、使用中に、前記生物学的な標的に対して圧縮力を加えるよう構成されている、装置。
(10)実施態様1に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的の表面における放射線は1mW/cm2 〜100W/cm2 であり、この放射線は、少なくとも、治療される状況およびその放射線の波長により、決まる、装置。
【0086】
(11)実施態様6に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的の表面における放射線は10mW/cm2 〜10W/cm2 である、装置。
(12)実施態様1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は半導体放射線放射要素のアレイである、装置。
(13)実施態様1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は所望の治療プロトコルを行なうために異なる波長において動作可能である、装置。
(14)実施態様1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は連続波の放射線源である、装置。
(15)実施態様1に記載の装置において、
ヒート・シンクをさらに備えている、装置。
【0087】
(16)実施態様15に記載の装置において、
使用時にオペレータにより保持されるよう構成されている、前記装置のためのハンドルを備えており、前記ヒート・シンクは熱を前記少なくとも1個の放射線源から前記ハンドルにわたって下げて、この熱はさらにそのハンドルからオペレータの手にわたって下げられる、装置。
(17)実施態様1に記載の装置において、
前記アプリケータと前記患者の生物学的な標的との間の接触の検出器と、
放射線が前記少なくとも1個の放射線源から患者の皮膚に供給されることを可能にするために、前記検出器に応答して動作する制御装置と、
をさらに備えている、装置。
(18)実施態様1に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的が照射されている時に、その患者の生物学的な標的に対して所与の物質を供給するための機構、を備えている、装置。
(19)実施態様1に記載の装置において、
前記放射線源は前記アプリケータに対して改装され、これらの放射線源をそのアプリケータに取り付けるための機構を含んでいる、装置。
(20)実施態様1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源は前記アプリケータの一部分である、装置。
【0088】
(21)実施態様1に記載の装置において、
前記アプリケータは手持式のユニットである、装置。
(22)実施態様1に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成されており、前記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源からの熱が前記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けられていて、これにより、その加熱されたプレートは使用中に所与の皮膚領域を加熱するよう構成されている、装置。
(23)実施態様1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品を備えており、このヒート・シンク部品は、前記装置の使用の前に、冷却されるよう構成されている、装置。
(24)実施態様23に記載の装置において、
前記ヒート・シンク部品は冷却されると相変化を生じ、前記少なくとも1個の放射線源から熱を取り出す時に、その初期の相に戻る、装置。
(25)実施態様1に記載の装置において、
前記アプリケータは、
生物学的な標的の表面の上に液体を送達するための少なくとも1個の液体送達導管を備えており、
前記少なくとも1個の光放射線源は、前記生物学的な標的の表面に対して、前記液体と共に、光放射線を送達できる、
装置。
【0089】
(26)実施態様25に記載の装置において、
前記アプリケータは入浴用ブラシであり、水は、入浴およびシャワーの両方のために、前記アプリケータを通して供給される、装置。
(27)実施態様26に記載の装置において、
水は、前記少なくとも1個の放射線源を冷却するために、供給される、装置。
(28)実施態様25に記載の装置において、
前記水は、水流を形成するために、前記表面の中の開口部を通して供給され、前記少なくとも1個の放射線源からの放射線もまたそれらの開口部を通して供給されて、前記水流は前記患者への前記放射線の送達のための導波管として作用する、装置。
(29)実施態様25に記載の装置において、
前記アプリケータは、処理される患者の体の一部分に適合するように、形づくられている、装置。
(30)実施態様25に記載の装置において、
前記生物学的な標的を、振動するかこれ以外の様式で刺激することの、少なくとも一方のための機構、を備えている、装置。
【0090】
(31)実施態様25に記載の装置において、
前記放射線供給源は前記アプリケータに対して改装され、これらの放射線源をそのアプリケータに取り付けるための機構を含んでいる、装置。
(32)実施態様25に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源は前記アプリケータの一部分である、装置。
(33)実施態様25に記載の装置において、
前記アプリケータは手持式のユニットである、装置。
(34)実施態様25に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成されており、前記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源から取り出された熱が前記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けられていて、これにより、その加熱されたプレートは使用中に所与の皮膚領域を加熱するよう構成されている、装置。
(35)実施態様25に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品を備えており、このヒート・シンク部品は、前記装置の使用の前に、冷却されるよう構成されている、装置。
【0091】
(36)実施態様35に記載の装置において、
前記ヒート・シンク部品は冷却されると相変化を生じ、前記少なくとも1個の放射線源から熱を取り出す時に、その初期の相に戻る、装置。
(37)実施態様1に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的に対して、磁場、電場、音響場の内の、少なくとも一つを供給するための機構、をさらに備えている、装置。
(38)実施態様37に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は、当該接触面が前記患者の生物学的な標的から反射した放射線を逆反射して、その生物学的な標的の中に戻すように形成されている、装置。
(39)実施態様37に記載の装置において、
前記放射線源のための電気エネルギーを発生するように、前記患者の生物学的な標的の上における前記アプリケータの移動により作動する発生装置、をさらに備えている、装置。
(40)実施態様37に記載の装置において、
前記放射線源は前記アプリケータに対して改装され、これらの放射線源をそのアプリケータに取り付けるための機構を含んでいる、装置。
【0092】
(41)実施態様37に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源は前記アプリケータの一部分である、装置。
(42)実施態様37に記載の装置において、
前記アプリケータは手持式のユニットである、装置。
(43)実施態様37に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成されており、前記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源から取り出された熱が前記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けられていて、これにより、その加熱されたプレートは使用中に所与の生物学的な標的を加熱するよう構成されている、装置。
(44)実施態様37に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品を備えており、このヒート・シンク部品は、前記装置の使用の前に、冷却されるよう構成されている、装置。
(45)実施態様44に記載の装置において、
前記ヒート・シンク部品は冷却されると相変化を生じ、前記少なくとも1個の放射線源から熱を下げる時に、その初期の相に戻る、装置。
【0093】
(46)実施態様1に記載の装置において、
生物学的な標的への接触装置に連結されるよう構成されている改装ハウジング、をさらに備えている、装置。
(47)実施態様46に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触装置は、放射線が患者の生物学的な標的の表面に供給される時に、その患者の生物学的な標的の表面の上に移動させるよう構成されているブラシの形態である、装置。
(48)実施態様46に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触装置は、放射線が患者の生物学的な標的の表面に供給される時に、その患者の生物学的な標的の表面の上に移動させるよう構成されているローラーの形態である、装置。
(49)実施態様46に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は、当該接触面から延出している突出部分および剛毛の群から選択される少なくとも1個の突起部分、を有している、装置。
(50)実施態様46に記載の装置において、
前記突起部分は、使用中に、前記生物学的な標的に対して圧縮力を加えるよう構成されている、装置。
【0094】
(51)実施態様46に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触装置は、放射線が生物学的な標的の表面に供給される時に、その生物学的な標的の表面に水を送達するよう構成されている入浴用ブラシの形態である、装置。
(52)実施態様46に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的の表面における放射線は1mW/cm2 〜100W/cm2 であり、この放射線は、少なくとも、治療される状況およびその放射線の波長により、決まる装置。
(53)実施態様52に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的の表面における放射線は10mW/cm2 〜10W/cm2 である、装置。
(54)実施態様46に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は半導体放射線放射要素のアレイである、装置。
(55)実施態様46に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は所望の治療プロトコルを行なうために異なる波長において動作可能である、装置。
【0095】
(56)図示および説明されている装置と実質的に同等の光治療のための装置。
(57)患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚の表面に液体を送達するための少なくとも1個の液体送達導管を含んでいるアプリケータと、
作動時に、前記皮膚の表面に対して、前記液体と共に、光放射線を送達するための様式で、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えている、装置。
(58)患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触面を有するアプリケータと、
作動時に、前記皮膚接触面に接触している患者の皮膚に対して、その皮膚接触面を通して、光放射線を送達するための様式で、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えており、
前記アプリケータは、前記光放射線に対する曝露中に、前記皮膚の少なくとも一部分を機械的に圧縮するための液体送達導管、を含む、
装置。
(59)患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触面を有するアプリケータと、
作動時に、前記皮膚接触面に接触している患者の皮膚に対して、その皮膚接触面を通して光放射線を送達するように、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えており、
前記装置は、前記患者の皮膚に対して、磁場、電場、音響場の内の、少なくとも一つを供給するための機構、をさらに備えている、
装置。
(60)患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触装置に連結されるよう構成された改装ハウジングと、
作動時に、前記皮膚接触装置の使用と同時に皮膚の表面に光放射線を送達するように、前記改装ハウジングに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、を備えている、装置。
【0096】
(61)患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触面を有するアプリケータと、
作動時に、前記皮膚接触面に接触している患者の皮膚に対して、その皮膚接触面を通して、光放射線を送達するように、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、を備えており、
光放射線が前記患者に対して一連の時間的に離れている治療のセッションにおいて送達されるように、前記少なくとも1個の光放射線源が選択されていて、前記アプリケータが設計されており、それぞれのセッションは、前記患者の状況を治療するために必要とされる既知の出力密度よりも低い出力密度の治療用の放射線を供給し、
前記一連の時間的に離れている治療のセッションは前記患者の状況の改善を結果として生じる累積的な効果を有する、
装置。
(62)患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触面を有するアプリケータと、
作動時に、前記皮膚接触面に接触している患者の皮膚に対して、その皮膚接触面を通して、光放射線を送達するように、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えており、
前記アプリケータは、前記光放射線に対する曝露中に、前記皮膚の少なくとも一部分を機械的に圧縮するための少なくとも1個の突起部分、を有している、
装置。
(63)患者の所与の状況の治療のための装置において、
患者の皮膚に接触するためのアプリケータと、
作動時に、皮膚の所与の状況を治療するために、患者の皮膚に対して、累積的な線量の光放射線を送達するように、前記アプリケータに連結されている、複数の低出力の、光放射線源と、
前記光放射線源に対して熱を介して接触している少なくとも1個のヒート・シンク部品であって、当該ヒート・シンク部品から熱を除去するために、熱交換器および/または冷却剤の流体を随意的に含んでいる、少なくとも1個のヒート・シンク部品と、
を備えている、装置。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】平坦な皮膚接触面を有している、本発明による、アプリケータ・ヘッドの簡単化されている概略的断面図である。
【図2】剛毛が、患者の皮膚に対して、ウエハ/パッケージの中の放射線源から、光を送達するように用いられている場合の、代替のヘッド部分の概略的断面図である。
【図3】突出部分が、患者の皮膚に対して、ウエハ/パッケージの中の放射線源から、光を送達するように用いられている場合の、ヘッド部分の概略的断面図である。
【図4】治療の数の関数としてのηを示しているアレニウスの積分のグラフである。
【図5A】限られた発散が突起部分の先端部から通常において完全に反射される、全内反射現象の概略図である。
【図5B】突出部分の先端部が皮膚に接触している場合の全内反射現象の概略図である。
【図5C】限られた発散が透過性の剛毛の先端部から上場において完全に反射される、全内反射現象の概略図である。
【図5D】透過性の剛毛の先端部が皮膚に接触している場合の全内反射現象の概略図である。
【図6】シャワー・ヘッドLEAの概略図である。
【図7】発光シェービング・ブラシの一例の概略図である。
【図8】光および熱の両方の効果を伴う高効率アプリケータの概略図である。
【図9】高強度の、数回の治療の方法(1)を、低強度の、本発明の多数回投与式の治療方法(2)に対して、比較している、周期的な治療における、時間に対する細菌の母集団のグラフである。
【図10】治療の数に対する1回の治療当たりの光の投与量のグラフである。
【図11A】光の投射システムを伴うローラー装置の上部斜視図である。
【図11B】図11Aにおけるローラーの正断面図である。
【図12A】本発明による手持式の発光装置の断面図である。
【図12B】本発明による手持式の発光装置の下面図である。
【図13】改装式または「スナップ−オン」式の付属型光治療装置が皮膚表面治療装置に連結されている、本発明の別の実施形態の説明図である。
【図14】シャワー・ヘッドに接続して使用するための別の改装式の装置の説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の所与状況を治療するための装置において、
少なくとも1個の突起部分を有する、生物学的な標的への接触面を伴う、アプリケータと、
作動時に、前記少なくとも1個の突起部分を通して、前記接触面に接触している患者の生物学的な標的に、光放射線を送達する様式で、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記突起部分は、前記生物学的な標的に接触している時以外は、発光を阻止できる、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は光放射線源のアレイであり、それぞれの放射線源は少なくとも1個の対応している突起部分を通して光放射線を送達するように取り付けられている、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記複数の放射線源のそれぞれは、対応している突起部分を通して放射線を送達するように取り付けられている、装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置において、
それぞれの突起部分の皮膚接触端部は、患者の皮膚に接触していない時に、放射線に対して全内反射を有するが、患者の皮膚に接触している時は、その患者の皮膚に対して放射線を通過させる、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、
前記アプリケータは、放射線が患者の生物学的な標的の表面に供給される時に、その患者の生物学的な標的の表面の上に移動させるよう構成されているブラシの形態である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記アプリケータは、放射線が患者の生物学的な標的の表面に供給される時に、その患者の生物学的な標的の表面の上に移動させるよう構成されているローラーの形態である、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は、当該接触面から延出している突出部分および剛毛の群から選択される少なくとも1個の突起部分、を有している、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記突起部分は、使用中に、前記生物学的な標的に対して圧縮力を加えるよう構成されている、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的の表面における放射線は1mW/cm2 〜100W/cm2 であり、この放射線は、少なくとも、治療される状況およびその放射線の波長により、決まる、装置。
【請求項11】
請求項6に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的の表面における放射線は10mW/cm2 〜10W/cm2 である、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は半導体放射線放射要素のアレイである、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は所望の治療プロトコルを行なうために異なる波長において動作可能である、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は連続波の放射線源である、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置において、
ヒート・シンクをさらに備えている、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、
使用時にオペレータにより保持されるよう構成されている、前記装置のためのハンドルを備えており、前記ヒート・シンクは熱を前記少なくとも1個の放射線源から前記ハンドルにわたって下げて、この熱はさらにそのハンドルからオペレータの手にわたって下げられる、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、
前記アプリケータと前記患者の生物学的な標的との間の接触の検出器と、
放射線が前記少なくとも1個の放射線源から患者の皮膚に供給されることを可能にするために、前記検出器に応答して動作する制御装置と、
をさらに備えている、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的が照射されている時に、その患者の生物学的な標的に対して所与の物質を供給するための機構、を備えている、装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、
前記放射線源は前記アプリケータに対して改装され、これらの放射線源をそのアプリケータに取り付けるための機構を含んでいる、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源は前記アプリケータの一部分である、装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置において、
前記アプリケータは手持式のユニットである、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成されており、前記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源からの熱が前記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けられていて、これにより、その加熱されたプレートは使用中に所与の皮膚領域を加熱するよう構成されている、装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品を備えており、このヒート・シンク部品は、前記装置の使用の前に、冷却されるよう構成されている、装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、
前記ヒート・シンク部品は冷却されると相変化を生じ、前記少なくとも1個の放射線源から熱を取り出す時に、その初期の相に戻る、装置。
【請求項25】
請求項1に記載の装置において、
前記アプリケータは、
生物学的な標的の表面の上に液体を送達するための少なくとも1個の液体送達導管を備えており、
前記少なくとも1個の光放射線源は、前記生物学的な標的の表面に対して、前記液体と共に、光放射線を送達できる、
装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置において、
前記アプリケータは入浴用ブラシであり、水は、入浴およびシャワーの両方のために、前記アプリケータを通して供給される、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、
水は、前記少なくとも1個の放射線源を冷却するために、供給される、装置。
【請求項28】
請求項25に記載の装置において、
前記水は、水流を形成するために、前記表面の中の開口部を通して供給され、前記少なくとも1個の放射線源からの放射線もまたそれらの開口部を通して供給されて、前記水流は前記患者への前記放射線の送達のための導波管として作用する、装置。
【請求項29】
請求項25に記載の装置において、
前記アプリケータは、処理される患者の体の一部分に適合するように、形づくられている、装置。
【請求項30】
請求項25に記載の装置において、
前記生物学的な標的を、振動するかこれ以外の様式で刺激することの、少なくとも一方のための機構、を備えている、装置。
【請求項31】
請求項25に記載の装置において、
前記放射線供給源は前記アプリケータに対して改装され、これらの放射線源をそのアプリケータに取り付けるための機構を含んでいる、装置。
【請求項32】
請求項25に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源は前記アプリケータの一部分である、装置。
【請求項33】
請求項25に記載の装置において、
前記アプリケータは手持式のユニットである、装置。
【請求項34】
請求項25に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成されており、前記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源から取り出された熱が前記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けられていて、これにより、その加熱されたプレートは使用中に所与の皮膚領域を加熱するよう構成されている、装置。
【請求項35】
請求項25に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品を備えており、このヒート・シンク部品は、前記装置の使用の前に、冷却されるよう構成されている、装置。
【請求項36】
請求項35に記載の装置において、
前記ヒート・シンク部品は冷却されると相変化を生じ、前記少なくとも1個の放射線源から熱を取り出す時に、その初期の相に戻る、装置。
【請求項37】
請求項1に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的に対して、磁場、電場、音響場の内の、少なくとも一つを供給するための機構、をさらに備えている、装置。
【請求項38】
請求項37に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は、当該接触面が前記患者の生物学的な標的から反射した放射線を逆反射して、その生物学的な標的の中に戻すように形成されている、装置。
【請求項39】
請求項37に記載の装置において、
前記放射線源のための電気エネルギーを発生するように、前記患者の生物学的な標的の上における前記アプリケータの移動により作動する発生装置、をさらに備えている、装置。
【請求項40】
請求項37に記載の装置において、
前記放射線源は前記アプリケータに対して改装され、これらの放射線源をそのアプリケータに取り付けるための機構を含んでいる、装置。
【請求項41】
請求項37に記載の装置において、前記少なくとも1個の放射線源は前記アプリケータの一部分である、装置。
【請求項42】
請求項37に記載の装置において、
前記アプリケータは手持式のユニットである、装置。
【請求項43】
請求項37に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は良好な熱伝導特性を有するプレートにより形成されており、前記少なくとも1個の光放射線源は、これら少なくとも1個の放射線源から取り出された熱が前記プレートを加熱するように、そのプレートに取り付けられていて、これにより、その加熱されたプレートは使用中に所与の生物学的な標的を加熱するよう構成されている、装置。
【請求項44】
請求項37に記載の装置において、
前記少なくとも1個の放射線源に対して熱を介して接触しているヒート・シンク部品を備えており、このヒート・シンク部品は、前記装置の使用の前に、冷却されるよう構成されている、装置。
【請求項45】
請求項44に記載の装置において、
前記ヒート・シンク部品は冷却されると相変化を生じ、前記少なくとも1個の放射線源から熱を下げる時に、その初期の相に戻る、装置。
【請求項46】
請求項1に記載の装置において、
生物学的な標的への接触装置に連結されるよう構成されている改装ハウジング、をさらに備えている、装置。
【請求項47】
請求項46に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触装置は、放射線が患者の生物学的な標的の表面に供給される時に、その患者の生物学的な標的の表面の上に移動させるよう構成されているブラシの形態である、装置。
【請求項48】
請求項46に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触装置は、放射線が患者の生物学的な標的の表面に供給される時に、その患者の生物学的な標的の表面の上に移動させるよう構成されているローラーの形態である、装置。
【請求項49】
請求項46に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触面は、当該接触面から延出している突出部分および剛毛の群から選択される少なくとも1個の突起部分、を有している、装置。
【請求項50】
請求項46に記載の装置において、
前記突起部分は、使用中に、前記生物学的な標的に対して圧縮力を加えるよう構成されている、装置。
【請求項51】
請求項46に記載の装置において、
前記生物学的な標的への接触装置は、放射線が生物学的な標的の表面に供給される時に、その生物学的な標的の表面に水を送達するよう構成されている入浴用ブラシの形態である、装置。
【請求項52】
請求項46に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的の表面における放射線は1mW/cm2 〜100W/cm2 であり、この放射線は、少なくとも、治療される状況およびその放射線の波長により、決まる装置。
【請求項53】
請求項52に記載の装置において、
前記患者の生物学的な標的の表面における放射線は10mW/cm2 〜10W/cm2 である、装置。
【請求項54】
請求項46に記載の装置において、前記少なくとも1個の光放射線源は半導体放射線放射要素のアレイである、装置。
【請求項55】
請求項46に記載の装置において、
前記少なくとも1個の光放射線源は所望の治療プロトコルを行なうために異なる波長において動作可能である、装置。
【請求項56】
図示および説明されている装置と実質的に同等の光治療のための装置。
【請求項57】
患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚の表面に液体を送達するための少なくとも1個の液体送達導管を含んでいるアプリケータと、
作動時に、前記皮膚の表面に対して、前記液体と共に、光放射線を送達するための様式で、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えている、装置。
【請求項58】
患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触面を有するアプリケータと、
作動時に、前記皮膚接触面に接触している患者の皮膚に対して、その皮膚接触面を通して、光放射線を送達するための様式で、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えており、
前記アプリケータは、前記光放射線に対する曝露中に、前記皮膚の少なくとも一部分を機械的に圧縮するための液体送達導管、を含む、
装置。
【請求項59】
患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触面を有するアプリケータと、
作動時に、前記皮膚接触面に接触している患者の皮膚に対して、その皮膚接触面を通して光放射線を送達するように、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えており、
前記装置は、前記患者の皮膚に対して、磁場、電場、音響場の内の、少なくとも一つを供給するための機構、をさらに備えている、
装置。
【請求項60】
患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触装置に連結されるよう構成された改装ハウジングと、
作動時に、前記皮膚接触装置の使用と同時に皮膚の表面に光放射線を送達するように、前記改装ハウジングに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、を備えている、装置。
【請求項61】
患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触面を有するアプリケータと、
作動時に、前記皮膚接触面に接触している患者の皮膚に対して、その皮膚接触面を通して、光放射線を送達するように、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、を備えており、
光放射線が前記患者に対して一連の時間的に離れている治療のセッションにおいて送達されるように、前記少なくとも1個の光放射線源が選択されていて、前記アプリケータが設計されており、それぞれのセッションは、前記患者の状況を治療するために必要とされる既知の出力密度よりも低い出力密度の治療用の放射線を供給し、
前記一連の時間的に離れている治療のセッションは前記患者の状況の改善を結果として生じる累積的な効果を有する、
装置。
【請求項62】
患者の所与の状況の治療のための装置において、
皮膚接触面を有するアプリケータと、
作動時に、前記皮膚接触面に接触している患者の皮膚に対して、その皮膚接触面を通して、光放射線を送達するように、前記アプリケータに連結されている少なくとも1個の光放射線源と、
を備えており、
前記アプリケータは、前記光放射線に対する曝露中に、前記皮膚の少なくとも一部分を機械的に圧縮するための少なくとも1個の突起部分、を有している、
装置。
【請求項63】
患者の所与の状況の治療のための装置において、
患者の皮膚に接触するためのアプリケータと、
作動時に、皮膚の所与の状況を治療するために、患者の皮膚に対して、累積的な線量の光放射線を送達するように、前記アプリケータに連結されている、複数の低出力の、光放射線源と、
前記光放射線源に対して熱を介して接触している少なくとも1個のヒート・シンク部品であって、当該ヒート・シンク部品から熱を除去するために、熱交換器および/または冷却剤の流体を随意的に含んでいる、少なくとも1個のヒート・シンク部品と、
を備えている、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−510466(P2007−510466A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538445(P2006−538445)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/036505
【国際公開番号】WO2005/046793
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
【出願人】(504464748)パロマー・メディカル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】PALOMAR MEDICAL TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】82 Cambridge Street,Burlington,MA 01803,U.S.A.
【Fターム(参考)】