説明

低周波刺激美容ローラー

【課題】所望の箇所に簡単な操作で低周波パルス電圧を作用させることができるようにするとともに、人為的に強弱感を調節できるようにして使い勝手を改善した低周波刺激美容ローラーを提供する。
【解決手段】、低周波パルス電圧発生装置5と、この低周波パルス電圧発生装置5を収納保持するハンドル部2を兼ねたハウジング本体1と、このハウジング本体1の下面に取付けられるローラーユニット16とを有してなり、前記ローラーユニット16は下面開口部に所要の間隔を存して2本のシャフト29を架設すると共に、当該2本のシャフト29に導電性材料からなる回転子17をそれぞれ付設してなり、当該2本の回転子17を前記低周波パルス電圧発生装置5の出力電極とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔やボディーなどの肌に低周波パルス電圧を作用させることにより整肌美容を行う低周波刺激美容ローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顔やボディーなどの肌に外的刺激を与えて整肌美容を行う主な手段として、冷却法、温熱法、赤外線照射法、振動マッサージ法などが提案され、これまでに、その刺激要素に応じた各種美容器具類が開発されてきている。
【0003】
また、電気的刺激を付与して肌の美容効果を向上させるべく、肌に正極及び負極の粘着性導電パッドを貼り付けて低周波パルス電圧を印加する低周波美容器具も数多く開発されてきている。
【0004】
たとえば、下記の特許文献1には、マイクロプロセッサと、このマイクロプロセッサにより制御され、パルス信号を生成する刺激発生器と、操作を入力するために前記マイクロプロセッサに接続されるスイッチと、顔の皮膚に付着可能な1つの面を有するパッドと、このパッドに取付けられ、前記刺激発生器に電気的に接続された2本の電極を有する顔面マッサージのための電気的刺激装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、高電圧パルスを人体に貼られた電極を通じて人体に通電することにより、低周波治療を行う低周波治療器において、複数チャンネルの治療パルス発生源と、これら治療パルス発生源の任意個数のチャンネル出力を重畳させて出力させる手段を具備した低周波治療器が開示されており、これによった場合は、数百Hzから1200Hzの高い治療周波数パルス出力中に、数Hzから数十Hzの刺激感の強い周波数のパルス群を挿入でき、刺激感の少ない高い周波数での除痛効果と、低い周波数での強い刺激感を同時に得ることができるとされている。
【0006】
さらに、特許文献3には、皮膚に導子を当て、この導子から皮膚に電流を流して刺激を与える生体刺激装置において、繰り返し出力される矩形波パルスをパルス幅変調し、この矩形波パルスよりも高い周波数成分を複数含む矩形波パルス群の繰り返しを刺激信号として前記導子に出力する刺激発生手段を備えたことを特徴とする生体刺激装置が開示され、幅広い治療、施術効果を得ることができるとともに、ソフトな刺激感を得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−245585号公報
【特許文献2】特開2000−14800号公報
【特許文献3】特開2001−259048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記した低周波パルス電圧を生体に作用させる従来技術においては、いずれも粘着性を有する導電パッドを肌に貼り付けて低周波パルス電圧を印加するものであるため、貼り付けた箇所に炎症を起こしたり、痒みを生ずるなどのトラブルが生じるおそれがある。また、肌に導電体を貼り付けて使用するものであるため、整肌を行う箇所ごとに導電体を貼り換える必要があり、作業が間欠的になるという問題点があると共に、各人の肌の特徴に応じた使い分けが甚だ面倒であるという問題点があった。
【0009】
さらに、従来の低周波刺激装置においては、矩形波ないし正弦波による電気的刺激を肌に作用させるだけのもであるから、きわめて単調であり、人為的に押す、あるいはさするなどの微妙な感覚を得ることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記した従来の低周波刺激装置の問題点を解消し、所望の箇所に簡単な操作で低周波パルス電圧を作用させることができるようにするとともに、人為的に強弱感を調節できるようにして使い勝手を改善した低周波刺激美容ローラーを提供することを目的とするものである。
【0011】
前記目的を達成するための本発明の構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、顔や肌に導体を当て、当該導体から顔や肌にパルス電圧を印加して刺激を与える生体刺激装置において、動作電源回路と、動作電圧を昇圧する高圧発生回路と、当該高圧発生回路で昇圧された低周波パルス電圧を一対の電極間に印加するパルス電圧出力回路と、前記高圧発生回路及びパルス電圧出力回路を含む全体の動作制御を行うCPUからなる制御部を有してなる低周波パルス電圧発生装置と、この低周波パルス電圧発生装置を収納保持するハンドル部を兼ねたハウジング本体と、このハウジング本体の下面に取付けられるローラーユニットとを有してなり、前記ローラーユニットは下面開口部に所要の間隔を存して2本のシャフトを架設すると共に、当該2本のシャフトに導電性材料からなる回転子をそれぞれ付設してなり、当該2本の回転子を前記低周波パルス電圧発生装置の出力電極としたことを特徴とする低周波刺激美容ローラーである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記回転子は、顔や肌への当接面が凹凸状ないし多角形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の低周波刺激美容ローラーである。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記2本の回転子の中間位置に、さらに非電気的刺激用ローラーを付設したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の低周波刺激美容ローラーである。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、前記ローラーユニットは絶縁材料からなる上カバー及び当該上カバーに連設された左右側面カバーを有してなり、前記非電気的刺激用ローラーの軸部は、前記左右側面カバーに穿設してある通孔によって支承されていることを特徴とする請求項3に記載の低周波刺激美容ローラーである。
【0015】
さらに、請求項5に係る発明は、前記ローラーユニットを構成する2本のシャフトは両端腕部に貫通孔を穿設したブラケットによってそれぞれ支承されており、導電性材料からなる回転子は当該シャフトの外周部に固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の低周波刺激美容ローラーである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る低周波刺激美容ローラーによれば、回転自在な電極を通じて顔やボディーなどの肌に電気的回路が形成され、パルス放電回路から出力される低周波パルス電圧が印加されるとともに、電極を構成する2本の回転子がそれぞれ独立して肌表面を刺激し整肌美容が良好に行われる。
【0017】
特に、電極を構成する各回転子表面は凹凸状ないし多角形状に形成されているので押し付ける力を自在に調節することができ、これにより良好な物理的刺激と、パルス放電による電気刺激を同時に作用させることができる。
【0018】
また、前記2本の回転子の中間位置にさらに非電気的刺激用ローラーを付設して構成した場合は、2本の低周波電極の中間に電気的刺激ではない物理的刺激を与えることができる刺激ローラーが位置することとなって、施術を受ける者に心地よい刺激を与えることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る低周波刺激美容ローラーにおける低周波パルス電圧発生装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る低周波刺激美容ローラーの一実施形態を示す正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明に係る低周波刺激美容ローラーの一実施形態を示す斜視図である。
【図5】ローラーユニットの分解状態斜視図である。
【図6】ローラーユニットの正面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】ローラーユニットの平面図である。
【図9】図7のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る低周波刺激美容ローラーの具体的構成を添付の図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
図中1は本発明に係る低周波刺激美容ローラー装置の全体をなすABS樹脂などの合成樹脂によって成形されたハウジング本体であり、このハウジング本体1内に後述する低周波パルス電圧発生装置が配設される。2は当該ハウジング本体1の上面に横向きに突成した掴み手となるハンドル部を示す。
【0022】
当該ハンドル部2の表面には低周波パルス電圧発生装置における電源のON−OFF及びモードの切り換えを行う操作キー3と液晶表示部4が配設されている。なお、操作キー3による操作は1回押すごとに電源ON→FACE(30Hz/30Vpp)→BODY1(10Hz/65Vpp)→BODY2(10Hz/85Vpp)→電源OFFのように順次切り換わるように設定されている。
【0023】
図中5は前記ハウジング本体1内に配設する低周波パルス電圧発生装置であり、当該低周波パルス電圧発生装置5は、商用電源AC100Vを取り込むための外部入力回路6、充電用定電流回路7、充電制御回路8及びニッケル・水素充電池9等からなる動作電源回路と、動作電圧を昇圧して高電圧を得る高圧発生回路10と、この高圧発生回路10で昇圧された低周波パルス電圧を一対の電極間に印加するパルス電圧出力回路11と、前記高圧発生回路10及びパルス電圧出力回路11を含む全体の動作制御を行うCPUからなる制御部12を具備している。なお、13は制御部12に低電圧電源を供給する5V発生回路、14は電池制御回路、15は操作音及び終了音を出力するブザー制御回路、33はハウジング本体1の上部に付設した充電用接点である。
【0024】
なお、パルス電圧発生手段は低周波と中周波の混合波形を用いるようにしてもよいし、電気的刺激の強さの設定に連動して出力するパルスの波形を変化させる波形変化手段としてバースト波形を用いたり、出力パルスの本数を変えたり、あるいは出力パルスの出力時間を制御したりすることも可能である。
【0025】
前記パルス電圧出力回路11から供給される低周波パルス電圧は、本発明の場合、ハウジング本体1の下面に取付けられるローラーユニット16に回転自在に付設されている一対の導電性材料からなる回転子17,17を介して顔やボディーなどの肌に印加される。
【0026】
すなわち、ローラーユニット16は低周波パルス電圧発生装置5を内蔵したハウジング本体1の下面に形成された凹陥部に、図示しないネジあるいは嵌め込み等任意の手段によって固定されるもので、絶縁材料からなる上カバー18及び当該上カバー18に連設された左右側面カバー19を有している。当該左右側面カバー19,19のほぼ中央部には2本の切溝20,20によって形成された舌片21に通孔22をそれぞれ穿設してある。
【0027】
当該通孔22には後述する非電気的刺激用ローラー23の軸部両端が挿着され、非電気的刺激用ローラー23が通孔22,22によって支承されるようになっている。非電気的刺激用ローラー23は、図5及び図7に示すように、その周面にいくつかの角部24を形成してあり、ハウジング本体1のハンドル部2を把持して顔やボディー等の皮膚表面に力を加減しながら押し付け回転させることによって良好なマッサージ効果が得られるものである。
【0028】
パルス電圧出力回路11から供給される低周波パルス電圧の出力部25となる一対の導電性材料からなる回転子17,17は、ローラーユニット16を構成する上カバー18及び左右側面カバー19,19によって形成される下面開口部にブラケット26,26を介して回転自在に取付けられる。なお、一対の回転子17,17はそれぞれ所要の間隔を存して配設されるもので、回転子17同士の間には前記した非電気的刺激用ローラー23が配設される。
【0029】
ブラケット26は左右両端の腕部27,27に通孔28,28を穿設してあり、この通孔28内にシャフト29の両端軸部を嵌入させてシャフト29を回転自在に保持するようになっている。回転子17,17は当該シャフト29,29の外周部に固定されるものであり、図示の実施形態においては、回転子17の内部肉厚部の中心に貫通孔を形成してあり、当該貫通孔内にシャフト29を圧入し、且つシャフト29に圧入してあるほぼ円形をなす固定板30を回転子17の肉厚部端面に当接させ、適宜ネジ等で固定するようにしてある。
【0030】
回転子17,17の外周面は、図5及び図6に示すように単調な円筒状とはなっておらず、長手方向に沿って3つのエリアに区分されており、且つ各エリア毎に位置をずらすようにして外周面を凹凸状ないし多角形状に形成してある。これによって、肌に心地よい刺激を与えることができるものである。なお、回転子17はその全体を導電性材料により作成してもよいが、回転子17自体は合成樹脂によって作成し、その表面に導電性メッキを形成するようにしてもよいのは勿論である。その他、図中の34は回転子17の両端部に嵌着させる端面キャップである。
【0031】
パルス電圧出力回路11から出力される低周波パルス電流は、ハウジング本体1の底部に付設された端子31,31及び導電性素材からなる板バネ32,32を介し、ブラケット26、シャフト29を通じて回転子17に供給され、顔や肌等にパルス電圧が印加される。
【0032】
従って、本発明美容ローラーによれば、一対の回転子17を介して顔やボディーなどの肌に電気的回路が形成され、パルス放電回路から出力される低周波パルス電圧が印加されるとともに、電極を構成する2本の回転子がそれぞれ独立して肌表面を刺激し整肌美容が良好に行われるものである。
【0033】
特に、電極を構成する各回転子17の表面は長手方向に沿って3つのエリアに区分され、且つ各エリア毎に位置をずらすようにして外周面が凹凸状ないし多角形状に形成されているので押し付ける力を自在に調節することができ、これにより良好な物理的刺激と、パルス放電による電気刺激を同時に作用させることができるものである。
【0034】
さらに、前記2本の回転子17の中間位置にさらに非電気的刺激用ローラー23を付設して構成した場合は、二組の低周波電極の中間に電気的刺激ではない物理的刺激を与えるローラーが位置することとなって、施術を受ける者に心地よい刺激を与えることができるものである。
【符号の説明】
【0035】
1:ハウジング本体
2:ハンドル部
3:操作キー
4:液晶表示部
5:低周波パルス電圧発生装置
6:外部入力回路
7:充電用定電流回路
8:充電制御回路
9:ニッケル・水素充電池
10:高圧発生回路
11:パルス電圧出力回路
12:制御部
13:5V発生回路
14:電池制御回路
15:ブザー制御回路
16:ローラーユニット
17:回転子
18:上カバー
19:左右側面カバー
20:切溝
21:舌片
22:通孔
23:非電気的刺激用ローラー
24:角部
25:出力部
26:ブラケット
27:腕部
28:通孔
29:シャフト
30:固定板
31:端子
32:板バネ
33:充電用接点
34:端面キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔や肌に導体を当て、当該導体から顔や肌にパルス電圧を印加して刺激を与える生体刺激装置において、動作電源回路と、動作電圧を昇圧する高圧発生回路と、当該高圧発生回路で昇圧された低周波パルス電圧を一対の電極間に印加するパルス電圧出力回路と、前記高圧発生回路及びパルス電圧出力回路を含む全体の動作制御を行うCPUからなる制御部を有してなる低周波パルス電圧発生装置と、この低周波パルス電圧発生装置を収納保持するハンドル部を兼ねたハウジング本体と、このハウジング本体の下面に取付けられるローラーユニットとを有してなり、前記ローラーユニットは下面開口部に所要の間隔を存して2本のシャフトを架設すると共に、当該2本のシャフトに導電性材料からなる回転子をそれぞれ付設してなり、当該2本の回転子を前記低周波パルス電圧発生装置の出力電極としたことを特徴とする低周波刺激美容ローラー。
【請求項2】
前記回転子は、顔や肌への当接面が凹凸状ないし多角形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の低周波刺激美容ローラー。
【請求項3】
前記2本の回転子の中間位置に、さらに非電気的刺激用ローラーを付設したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の低周波刺激美容ローラー。
【請求項4】
前記ローラーユニットは絶縁材料からなる上カバー及び当該上カバーに連設された左右側面カバーを有してなり、前記非電気的刺激用ローラーの軸部は、前記左右側面カバーに穿設してある通孔によって支承されていることを特徴とする請求項3に記載の低周波刺激美容ローラーである。
【請求項5】
前記ローラーユニットを構成する2本のシャフトは両端腕部に貫通孔を穿設したブラケットによってそれぞれ支承されており、導電性材料からなる回転子は当該シャフトの外周部に固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の低周波刺激美容ローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−94176(P2013−94176A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236562(P2011−236562)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(511179172)株式会社ライズ (2)
【出願人】(000105707)TBCグループ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】